【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 一般社団法人電気学会、電気学会研究会資料、第25頁〜第30頁、平成28年11月14日発行 電子デバイス/半導体電力変換合同研究会、 平成28年11月15日開催
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1相乃至第3相にそれぞれ対応する第1乃至第3の交流電圧の位相に応じて決まる第1乃至第12の空間ごとに、前記第1乃至第3の交流電圧の中の最大のものを最大相電圧とし、前記第1乃至第3の交流電圧の中の中間のものを中間相電圧とし、前記第1乃至第3の交流電圧の中の最小のものを最小相電圧とし、それぞれ前記第7乃至第9のノードを流れる第1乃至第3の電流の中の前記中間相電圧に対応するものを中間相電流とし、前記中間相電流がゼロより大きい場合には前記中間相電圧から前記最小相電圧を減算してなる電圧に等しく、前記中間相電流がゼロより小さい場合には前記最大相電圧から前記中間相電圧を減算してなる電圧に等しい電圧を入力電圧とすると、
前記制御ステップは、
前記第1の期間においては、前記第2のノードの電圧に対する前記第1のノードの電圧である第1の電圧が前記最大相電圧から前記最小相電圧を減算してなる電圧となるよう前記第1乃至第6の双方向スイッチ素子の状態を制御するとともに、前記第3のノードの電圧に対する前記第4のノードの電圧である第2の電圧がマイナスの値となるように前記第1乃至第4の片方向スイッチ素子の状態を制御し、
前記第2の期間においては、前記第1の電圧が前記最大相電圧から前記最小相電圧を減算してなる電圧となるよう前記第1乃至第6の双方向スイッチ素子の状態を制御するとともに、前記第2の電圧がプラスの値となるように前記第1乃至第4の片方向スイッチ素子の状態を制御し、
前記第3の期間においては、前記第1の電圧が前記入力電圧となるよう前記第1乃至第6の双方向スイッチ素子の状態を制御するとともに、前記第2の電圧がプラスの値となるように前記第1乃至第4の片方向スイッチ素子の状態を制御し、
前記第4の期間においては、前記第1の電圧が前記最小相電圧から前記最大相電圧を減算してなる電圧となるよう前記第1乃至第6の双方向スイッチ素子の状態を制御するとともに、前記第2の電圧がプラスの値となるように前記第1乃至第4の片方向スイッチ素子の状態を制御し、
前記第5の期間においては、前記第1の電圧が前記最小相電圧から前記最大相電圧を減算してなる電圧となるよう前記第1乃至第6の双方向スイッチ素子の状態を制御するとともに、前記第2の電圧がマイナスの値となるように前記第1乃至第4の片方向スイッチ素子の状態を制御し、
前記第6の期間においては、前記第1の電圧が前記入力電圧の反数となるよう前記第1乃至第6の双方向スイッチ素子の状態を制御するとともに、前記第2の電圧がマイナスの値となるように前記第1乃至第4の片方向スイッチ素子の状態を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
前記第1乃至第3の電流の中の前記最大相電圧に対応するものを最大相電流とし、前記中間相電流がゼロより大きい場合には前記最大相電流に等しく、前記中間相電流がゼロより小さい場合には前記最大相電流と前記中間相電流の和に等しい電流を入力電流とすると、
前記算出ステップは、
前記電力指令値に基づいて、前記最大相電流及び前記中間相電流それぞれの指令値を算出するステップと、
算出した前記最大相電流及び前記中間相電流それぞれの指令値に基づいて、前記入力電流の指令値を算出するステップと、
算出した前記入力電流の指令値と前記第1及び第4の期間それぞれの時間長を示す第1のデューティ比の関数である所定の第1の関数とが等しくなるような前記第1のデューティ比を導出するステップと、
前記第1のデューティ比に基づいて、前記第2及び第5の期間それぞれの時間長を示す第2のデューティ比、及び、前記第3及び第6の期間それぞれの時間長を示す第3のデューティ比を算出するステップとを含む
ことを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
前記制御ステップは、前記第2の電圧が前記第1乃至第6の期間の時間長の合計の半分に相当する周期で所定のプラス電圧と所定のマイナス電圧の間を遷移する矩形波信号となるように、前記第1乃至第4の片方向スイッチ素子の状態を制御する
ことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態による電力変換装置1及びその制御装置4の構成を示す図である。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態による電力変換装置1は、マトリックスコンバータ10と、トランス20と、AC/DCコンバータ30とを有して構成される。これらは、系統電源2と負荷3との間に、マトリックスコンバータ10、トランス20、AC/DCコンバータ30の順で接続される。以下では、図示するように、系統電源2に接続されるマトリックスコンバータ10の3つの端部をそれぞれ第7のノードn
7、第8のノードn
8、第9のノードn
9と称し、トランス20に接続されるマトリックスコンバータ10の2つの端部をそれぞれ第1のノードn
1、第2のノードn
2と称し、トランス20に接続されるAC/DCコンバータ30の2つの端部をそれぞれ第3のノードn
3、第4のノードn
4と称し、負荷3に接続されるAC/DCコンバータ30の2つの端部をそれぞれ第5のノードn
5、第6のノードn
6と称する。また、第2のノードn
2の電圧に対する第1のノードn
1の電圧を電圧v
1(第1の電圧)と称し、第3のノードn
3の電圧に対する第4のノードn
4の電圧を電圧v
2(第2の電圧)と称する。
【0020】
トランス20は、互いに磁気結合する2つのコイル20a,20b(第1及び第2のコイル)を有して構成される。コイル20aの一端はリアクトルLを介して第1のノードn
1でマトリックスコンバータ10に接続され、コイル20aの他端は第2のノードn
2でマトリックスコンバータ10に接続される。コイル20bの一端は第3のノードn
3でAC/DCコンバータ30に接続され、コイル20bの他端は第4のノードn
4でAC/DCコンバータ30に接続される。
【0021】
AC/DCコンバータ30は、コイル20bと負荷3との間に接続される電力変換装置である。負荷3は例えばハイブリッドカーのモーターを駆動するための電力変換器であり、電力変換装置1から供給される直流電力によって動作する場合(力行)と、逆に電力変換装置1に対して電力を供給する場合(回生)とがある。詳しくは後述するが、制御装置4は、力行の場合と回生の場合とで異なる動作を行う。負荷3の一端は第5のノードn
5でAC/DCコンバータ30に接続され、負荷3の他端は第6のノードn
6でAC/DCコンバータ30に接続される。また、第6のノードn
6の電圧に対する第5のノードn
5の電圧を電圧V
dcと称する。
【0022】
AC/DCコンバータ30は、一端が第5のノードn
5に接続され、他端が第3のノードn
3に接続されたスイッチ素子S
1(第1の片方向スイッチ素子)と、一端が第6のノードn
6に接続され、他端が第3のノードn
3に接続されたスイッチ素子S
2(第2の片方向スイッチ素子)と、一端が第5のノードn
5に接続され、他端が第4のノードn
4に接続されたスイッチ素子S
3(第3の片方向スイッチ素子)と、一端が第6のノードn
6に接続され、他端が第4のノードn
4に接続されたスイッチ素子S
4(第4の片方向スイッチ素子)と、一端が第5のノードn
5に接続され、他端が第6のノードn
6に接続されたキャパシタC1とを有して構成される。
【0023】
スイッチ素子S
1〜S
4はそれぞれ、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの半導体素子を1つだけ含む片方向スイッチであり、
図1に示すようにダイオードを含んで構成される。スイッチ素子S
1は、ダイオードのアノードが第3のノードn
3に接続されるように回路に組み込まれ、スイッチ素子S
2は、ダイオードのカソードが第3のノードn
3に接続されるように回路に組み込まれ、スイッチ素子S
3は、ダイオードのアノードが第4のノードn
4に接続されるように回路に組み込まれ、スイッチ素子S
4は、ダイオードのカソードが第4のノードn
4に接続されるように回路に組み込まれる。
【0024】
スイッチ素子S
1〜S
4を構成する半導体素子の制御電極には、制御装置4からそれぞれ制御信号C
1〜C
4が供給される。制御信号C
1〜C
4は、それぞれハイ又はローいずれかの値を取る信号である。制御装置4は、これら制御信号C
1〜C
4の値を個別に制御することにより、スイッチ素子S
1〜S
4それぞれのオンオフ状態を個別に制御する。
【0025】
マトリックスコンバータ10は、系統電源2とコイル20aとの間に接続される電力変換装置である。系統電源2は、互いに2π/3ずつ位相のずれた正弦波信号によって表される交流電圧e
u,e
v,e
wを生成する三相交流電源であり、例えば商用電源である。
図1に示すように、u相(第1相)に対応する交流電圧e
u(第1の交流電圧)に対応する系統電源2の出力端は第7のノードn
7でマトリックスコンバータ10に接続され、v相(第2相)に対応する交流電圧e
v(第2の交流電圧)に対応する系統電源2の出力端は第8のノードn
8でマトリックスコンバータ10に接続され、w相(第3相)に対応する交流電圧e
w(第3の交流電圧)に対応する系統電源2の出力端は第9のノードn
9でマトリックスコンバータ10に接続される。以下では、第7乃至第9のノードn
7〜n
9を流れる電流をそれぞれ電流i
eu(第1の電流)、電流i
ev(第2の電流)、電流i
ew(第3の電流)と称する。
【0026】
マトリックスコンバータ10は、一端が第7のノードn
7に接続され、他端が第1のノードn
1に接続されたスイッチ素子S
up(第1の双方向スイッチ素子)と、一端が第8のノードn
8に接続され、他端が第1のノードn
1に接続されたスイッチ素子S
vp(第2の双方向スイッチ素子)と、一端が第9のノードn
9に接続され、他端が第1のノードn
1に接続されたスイッチ素子S
wp(第3の双方向スイッチ素子)と、一端が第7のノードn
7に接続され、他端が第2のノードn
2に接続されたスイッチ素子S
un(第4の双方向スイッチ素子)と、一端が第8のノードn
8に接続され、他端が第2のノードn
2に接続されたスイッチ素子S
vn(第5の双方向スイッチ素子)と、一端が第9のノードn
9に接続され、他端が第2のノードn
2に接続されたスイッチ素子S
wn(第6の双方向スイッチ素子)と、交流リアクトルLfと、入力キャパシタCfとを有して構成される。
【0027】
交流リアクトルLfは、第7のノードn
7とスイッチ素子S
up,S
unの接続点である第10のノードn
10との間に挿入されたインダクタと、第8のノードn
8とスイッチ素子S
vp,S
vnの接続点である第11のノードn
11との間に挿入されたインダクタと、第9のノードn
9とスイッチ素子S
wp,S
wnの接続点である第12のノードn
12との間に挿入されたインダクタとによって構成される。また、入力キャパシタCfは、デルタ結線又はスター結線によって互いに接続された3つのキャパシタによって構成されており、その3つの接続点はそれぞれ第10乃至第12のノードn
10〜n
12に接続される。
【0028】
スイッチ素子S
up,S
vp,S
wp,S
un,S
vn,S
wnはそれぞれ、直列に接続された2つの半導体素子によって構成される双方向スイッチである。以下、2つの具体的な例を示しながら、スイッチ素子S
up,S
vp,S
wp,S
un,S
vn,S
wnの具体的な構成について説明する。
【0029】
図2(a)は、スイッチ素子S
xy(xは、u,v,wのいずれか。yは、p,nのいずれか。)の詳細な構成の1つ目の例を示す図である。この例では、スイッチ素子S
xyを構成する半導体素子としてIGBTを利用する。同図に示すように、スイッチ素子S
xyを構成する2つのIGBTは、それぞれのダイオードのアノードが互いに接続されることとなる向きで、回路に組み込まれる。
【0030】
2つのIGBTの制御電極には、制御装置4から制御信号C
xyが供給される。この制御信号C
xyは2種類の信号によって構成されており、制御装置4は、これらの値を個別に制御することにより、スイッチ素子S
xyを、図示したD1方向に電流が流れる状態、図示したD2方向(D1方向と逆向きの方向)に電流が流れる状態、D1方向にもD2方向にも電流が流れる状態、及び、電流が流れない状態の4つの状態のいずれかとする。以下の説明では、D1方向に電流が流れる状態を「D1方向にオン」と称し、D2方向に電流が流れる状態を「D2方向にオン」と称し、D1方向にもD2方向にも電流が流れる状態を「D1D2両方オン」と称する。そして、「D1方向にオン」、「D2方向にオン」、及び「D1D2両方オン」をまとめて「オン」と称し、電流が流れない状態を「オフ」と称する。
【0031】
図2(b)は、スイッチ素子S
xyの詳細な構成の2つ目の例を示す図である。この例では、スイッチ素子S
xyを構成する半導体素子としてMOSFETを利用する。同図に示すように、スイッチ素子S
xyを構成する2つのMOSFETは、それぞれのダイオードのアノードが接続されることとなる向きで、回路に組み込まれる。
【0032】
この例においても、2つのMOSFETの制御電極には、制御装置4から、2種類の信号によって構成される制御信号C
xyが供給される。制御装置4は、この2種類の信号の値を個別に制御することにより、スイッチ素子S
xyを、
図2(a)の例と同様に、オンの状態(D1方向にオン、D2方向にオン、及びD1D2両方オンの各状態を含む)、オフの状態のいずれかとする。
【0033】
図3は、電圧e
u,e
v,e
w,v
1,v
2及び電流i
eu,i
ev,i
ew,i
L,i
uの力行時の波形のシミュレーション結果を示す信号波形図である。同図には、電圧e
u,e
v,e
wによって表される三相交流の一周期分を示している。また、
図4は、
図3に示した領域Aの拡大図である。
【0034】
三相交流の一周期は、電圧e
u,e
v,e
wの位相に応じて、
図3に示すように12個の空間I〜XII(第1乃至第12の空間)に分けることができる。具体的には、電圧e
uの位相が0以上π/6未満である空間I、π/6以上π/3未満である空間II、π/3以上π/2未満である空間III、π/2以上2π/3未満である空間IV、2π/3以上5π/6未満である空間V、5π/6以上π未満である空間VI、π以上7π/6未満である空間VII、7π/6以上4π/3未満である空間VIII、4π/3以上3π/2未満である空間IX、3π/2以上5π/3未満である空間X、5π/3以上11π/6未満である空間XI、11π/6以上2π未満である空間XIIに分けることができる。
図4に示した領域Aは、
図3に示すように、空間IV内の領域となっている。
【0035】
空間I〜XIIそれぞれにおける制御装置4の動作は、電圧e
u,e
v,e
wの大小関係に応じて制御対象となるスイッチ素子が入れ替わることのほかは、基本的に同一である。そこで以下では、空間I〜XIIに共通の説明を行う場合に、電圧e
u,e
v,e
wを各空間内で大きいものから順に電圧e
max(最大相電圧)、電圧e
mid(中間相電圧)、電圧e
min(最小相電圧)と表記することとする。また、電流i
eu,i
ev,i
ewを各空間内で大きいものから順に電流i
max(最大相電流)、電流i
mid(中間相電流)、電流i
minと表記することとする。さらに、電圧e
m(入力電圧)及び電流i
m(入力電流)を以下の式(1)(2)に示すように定義して、説明のために用いることとする。なお、式(1)(2)は力行時のもので、回生時は括弧内の不等号が逆になる。
【0037】
図5(a)は、電圧v
1,v
2及び電流i
Lの力行時の波形を模式的に示す信号波形図であり、
図5(b)は、電圧v
1,v
2及び電流i
Lの回生時の波形を模式的に示す信号波形図である。以下、これらの図を参照しながら、制御装置4によるスイッチ素子S
up,S
vp,S
wp,S
un,S
vn,S
wn,S
1〜S
4の状態の制御について説明する。
【0038】
力行時の制御装置4は、
図5(a)に示すように、合計の時間長が1/fである6つの期間a
1〜a
6を一周期とする周波数fの繰り返し動作を行う。以下、各期間での制御装置4の動作について、具体的に説明する。
【0039】
期間a
1では、制御装置4は、電圧v
1がe
max−e
minとなるようスイッチ素子S
up,S
vp,S
wp,S
un,S
vn,S
wnの状態を制御するとともに、電圧v
2が−V
dc(マイナスの値)となるようスイッチ素子S
1〜S
4の状態を制御する。例えば
図3に示した空間IVであれば、e
max=e
u、e
min=e
wであるので、制御装置4は、電圧v
1がe
u−e
wとなるよう、スイッチ素子S
up,S
wnをオンとする。また、制御装置4は、電圧v
2が−V
dcとなるようスイッチ素子S
1,S
4をオンとし、その他のスイッチ素子をオフとする。
【0040】
期間a
2では、制御装置4は、電圧v
1がe
max−e
minとなるようスイッチ素子S
up,S
vp,S
wp,S
un,S
vn,S
wnの状態を制御するとともに、電圧v
2がV
dc(プラスの値)となるようスイッチ素子S
1〜S
4の状態を制御する。例えば
図3に示した空間IVであれば、制御装置4は、期間a
1と同様にスイッチ素子S
up,S
vnをオンとすることによって電圧v
1をe
u−e
wとする一方、電圧v
2がV
dcとなるようスイッチ素子S
2,S
3をオンとし、その他のスイッチ素子をオフとする。
【0041】
期間a
3では、制御装置4は、電圧v
1がe
mとなるようスイッチ素子S
up,S
vp,S
wp,S
un,S
vn,S
wnの状態を制御するとともに、電圧v
2がV
dcとなるようスイッチ素子S
1〜S
4の状態を制御する。例えば
図3に示した空間IVであれば、電流i
mid(=i
ev)がゼロより小さいために上述した式(1)よりe
m=e
max−e
mid=e
u−e
vとなるので、制御装置4は、電圧v
1がe
u−e
vとなるよう、スイッチ素子S
up,S
vnをオンとする。また、制御装置4は、期間a
2と同様にスイッチ素子S
2,S
3をオンとすることによって電圧v
2をV
dcとし、その他のスイッチ素子をオフとする。
【0042】
期間a
4では、制御装置4は、電圧v
1がe
min−e
maxとなるようスイッチ素子S
up,S
vp,S
wp,S
un,S
vn,S
wnの状態を制御するとともに、電圧v
2がV
dcとなるようスイッチ素子S
1〜S
4の状態を制御する。例えば
図3に示した空間IVであれば、制御装置4は、電圧v
1がe
w−e
uとなるよう、スイッチ素子S
un,S
wpをオンとする。また、制御装置4は、期間a
2,a
3と同様にスイッチ素子S
2,S
3をオンとすることによって電圧v
2をV
dcとし、その他のスイッチ素子をオフとする。
【0043】
期間a
5では、制御装置4は、電圧v
1がe
min−e
maxとなるようスイッチ素子S
up,S
vp,S
wp,S
un,S
vn,S
wnの状態を制御するとともに、電圧v
2が−V
dcとなるようスイッチ素子S
1〜S
4の状態を制御する。例えば
図3に示した空間IVであれば、制御装置4は、期間a
4と同様にスイッチ素子S
un,S
wpをオンとすることによって、電圧v
1をe
w−e
uとする。また、制御装置4は、期間a
1と同様にスイッチ素子S
1,S
4をオンとすることによって電圧v
2を−V
dcとし、その他のスイッチ素子をオフとする。
【0044】
期間a
6では、制御装置4は、電圧v
1が−e
m(入力電圧の反数)となるようスイッチ素子S
up,S
vp,S
wp,S
un,S
vn,S
wnの状態を制御するとともに、電圧v
2が−V
dcとなるようスイッチ素子S
1〜S
4の状態を制御する。例えば
図3に示した空間IVであれば、制御装置4は、スイッチ素子S
up,S
vnをオンとすることによって、電圧v
1をe
v−e
uとする。また、制御装置4は、期間a
1,a
5と同様にスイッチ素子S
1,S
4をオンとすることによって電圧v
2を−V
dcとし、その他のスイッチ素子をオフとする。
【0045】
電流i
Lは、制御装置4が以上のようにスイッチ素子S
up,S
vp,S
wp,S
un,S
vn,S
wn,S
1〜S
4を制御することの結果として、
図5(a)に示すように、期間a
1でマイナスからプラスに急上昇し、期間a
2,a
3ではほぼ一定を保ち、期間a
4でプラスからマイナスに急低下し、期間a
5,a
6では再度ほぼ一定を保つ、という動きを見せる略矩形波の信号となる。
【0046】
回生時の制御装置4は、
図5(b)に示すように、合計の時間長が1/fである6つの期間b
1〜b
6を一周期とする周波数fの繰り返し動作を行う。以下、各期間での制御装置4の動作について、具体的に説明する。
【0047】
期間b
1では、制御装置4は、電圧v
1がe
mとなるようスイッチ素子S
up,S
vp,S
wp,S
un,S
vn,S
wnの状態を制御するとともに、電圧v
2がV
dcとなるようスイッチ素子S
1〜S
4の状態を制御する。例えば
図3に示した空間IVであれば、上述したようにe
m=e
max−e
mid=e
u−e
vとなるので、制御装置4は、電圧v
1がe
u−e
vとなるよう、スイッチ素子S
up,S
vnをオンとする。また、制御装置4は、電圧v
2がV
dcとなるようスイッチ素子S
2,S
3をオンとし、その他のスイッチ素子をオフとする。
【0048】
期間b
2では、制御装置4は、電圧v
1がe
max−e
minとなるようスイッチ素子S
up,S
vp,S
wp,S
un,S
vn,S
wnの状態を制御するとともに、電圧v
2がV
dcとなるようスイッチ素子S
1〜S
4の状態を制御する。例えば
図3に示した空間IVであれば、制御装置4は、電圧v
1がe
u−e
wとなるよう、スイッチ素子S
up,S
wnをオンとする。また、制御装置4は、期間b
1と同様にスイッチ素子S
2,S
3をオンとすることによって電圧v
2をV
dcとし、その他のスイッチ素子をオフとする。
【0049】
期間b
3では、制御装置4は、電圧v
1がe
max−e
minとなるようスイッチ素子S
up,S
vp,S
wp,S
un,S
vn,S
wnの状態を制御するとともに、電圧v
2が−V
dcとなるようスイッチ素子S
1〜S
4の状態を制御する。例えば
図3に示した空間IVであれば、制御装置4は、期間b
2と同様にスイッチ素子S
up,S
wnをオンとすることによって、電圧v
1をe
u−e
wとする。また、制御装置4は、電圧v
2が−V
dcとなるようスイッチ素子S
1,S
4をオンとし、その他のスイッチ素子をオフとする。
【0050】
期間b
4では、制御装置4は、電圧v
1が−e
mとなるようスイッチ素子S
up,S
vp,S
wp,S
un,S
vn,S
wnの状態を制御するとともに、電圧v
2が−V
dcとなるようスイッチ素子S
1〜S
4の状態を制御する。例えば
図3に示した空間IVであれば、制御装置4は、電圧v
1がe
v−e
uとなるよう、スイッチ素子S
un,S
vpをオンとする。また、制御装置4は、期間b
3と同様にスイッチ素子S
1,S
4をオンとすることによって電圧v
2を−V
dcとし、その他のスイッチ素子をオフとする。
【0051】
期間b
5では、制御装置4は、電圧v
1がe
min−e
maxとなるようスイッチ素子S
up,S
vp,S
wp,S
un,S
vn,S
wnの状態を制御するとともに、電圧v
2が−V
dcとなるようスイッチ素子S
1〜S
4の状態を制御する。例えば
図3に示した空間IVであれば、制御装置4は、電圧v
1がe
w−e
uとなるよう、スイッチ素子S
un,S
wpをオンとする。また、制御装置4は、期間b
3,b
4と同様にスイッチ素子S
1,S
4をオンとすることによって電圧v
2を−V
dcとし、その他のスイッチ素子をオフとする。
【0052】
期間b
6では、制御装置4は、電圧v
1がe
min−e
maxとなるようスイッチ素子S
up,S
vp,S
wp,S
un,S
vn,S
wnの状態を制御するとともに、電圧v
2がV
dcとなるようスイッチ素子S
1〜S
4の状態を制御する。例えば
図3に示した空間IVであれば、制御装置4は、期間b
5と同様にスイッチ素子S
un,S
wpをオンとすることによって、電圧v
1をe
w−e
uとする。また、制御装置4は、期間b
1,b
2と同様にスイッチ素子S
2,S
3をオンとすることによって電圧v
2をV
dcとし、その他のスイッチ素子をオフとする。
【0053】
電流i
Lは、制御装置4が以上のようにスイッチ素子S
up,S
vp,S
wp,S
un,S
vn,S
wn,S
1〜S
4を制御することの結果として、
図5(b)に示すように、期間b
1,b
2でほぼ一定を保った後、期間b
3でプラスからマイナスに急低下し、期間b
4,b
5で再びほぼ一定を保った後、期間b
6でマイナスからプラスにに急上昇する、という動きを見せる略矩形波の信号となる。
【0054】
制御装置4は、以上のようなスイッチ素子S
up,S
vp,S
wp,S
un,S
vn,S
wn,S
1〜S
4の制御を行う前に、外部から入力される電力指令値P
*(
図1参照)に基づいて期間a
1〜a
6,b
1〜b
6の時間長(スイッチ素子S
up,S
vp,S
wp,S
un,S
vn,S
wn,S
1〜S
4それぞれの状態を変更するタイミングを示すデューティ比)を算出する。この時間長は、具体的には、
図5(a)及び
図5(b)に示す3つのデューティ比D
0〜D
2となる。なお、各図の記載から理解されるように、本実施の形態では、期間a
1,a
4,b
3,b
6の時間長をいずれもD
0とし、期間a
2,a
5,b
2,b
5の時間長をいずれもD
1とし、期間a
3,a
6,b
1,b
4の時間長をいずれもD
2とする。そして制御装置4は、算出したデューティ比D
0〜D
2に基づいて、上述したスイッチ素子S
up,S
vp,S
wp,S
un,S
vn,S
wn,S
1〜S
4それぞれの状態の制御を行う。これにより、三相交流の各相において電圧と電流の関係を最適化することができ、その結果として、電力変換装置1による交流入力電流の高調波を低減することが可能になる。以下、詳しく説明する。
【0055】
図6は、制御装置4が行うスイッチング制御処理を示すフロー図である。同図に示すように、制御装置4はまず、外部から電力指令値P
*の入力を受け付ける(ステップS1。入力受付ステップ)。そして、受け付けた電力指令値P
*に基づいて、デューティ比算出処理を実行する(ステップS2。算出ステップ)。
【0056】
図7は、デューティ比算出処理の詳細を示すフロー図である。同図に示すように、制御装置4はまず、電力指令値P
*に基づいて入力電流指令値i
max*,i
mid*を算出する(ステップS10)。入力電流指令値i
max*,i
mid*は、上述した電流i
max,i
midの目標値である。具体的には、次の式(3)を用いて、入力電流指令値i
max*,i
mid*の算出を行う。
【0058】
次に制御装置4は、算出した入力電流指令値i
max*,i
mid*に基づいて、入力電流指令値i
m*を算出する(ステップS11)。入力電流指令値i
m*は上述した電流i
mの目標値であり、上述した式(2)に入力電流指令値i
max*,i
mid*を代入することによって算出される。
【0059】
続いて制御装置4は、i
m*=i
m(D
0)を満たすデューティ比D
0を二分法により算出する(ステップS12)。ただし、関数i
m(D
0)は、次の式(4)により表される関数(第1の関数)である。式(4)中のfは、
図5(a)(b)にも示した周波数fであり、Lは、リアクトルLのインダクタンスである。また、式(4)中に現れるデューティ比D
1は式(5)で表され、式(5)中の変数A,B,Cはそれぞれ式(6)のように表される。i
m*=i
m(D
0)によりデューティ比D
0が算出可能であること、及び、式(5)によってデューティ比D
1を得られることについては、後ほど別途詳しく説明する。
【0061】
i
m*=i
m(D
0)を解析的に解くのは困難であるので、制御装置4は、二分法によってデューティ比D
0を算出する。この算出の詳細については、別途後述する。そして、算出したデューティ比D
0に基づき、デューティ比D
1,D
2を算出する(ステップS13)。デューティ比D
1の算出は、上記式(5)により行う。一方、デューティ比D
2の算出は、次の式(7)により行う。
【0063】
図6に戻る。制御装置4は、以上のようにして算出したデューティ比D
0,D
1,D
2に基づき、上述したスイッチ素子S
up,S
vp,S
wp,S
un,S
vn,S
wn,S
1〜S
4の制御を行う(ステップS3。制御ステップ)。具体的には、算出したデューティ比D
0,D
1,D
2に基づいて制御信号C
up,C
vp,C
wp,C
un,C
vn,C
wn,C
1〜C
4を生成し、スイッチ素子S
up,S
vp,S
wp,S
un,S
vn,S
wn,S
1〜S
4のそれぞれに供給する。これにより、三相交流の各相において電圧と電流の関係が最適化されるので、電力変換装置1による交流入力電流の高調波の低減が実現される。
【0064】
図8(a)は、電圧e
u,v
1,v
2及び電流i
eu,i
Lの力行時の波形の実験結果を示す信号波形図であり、
図8(b)は、電圧e
u,v
1,v
2及び電流i
eu,i
Lの回生時の波形の実験結果を示す信号波形図である。また、
図8(c)は、
図8(a)に示した領域Bの拡大図であり、
図8(d)は、
図8(b)に示した領域Cの拡大図である。
【0065】
図8に示した実験結果は、周波数f=15.151kHzとし、トランス20の巻き線比を4:1(コイル20aの巻き数がコイル20bの巻き数の4倍)として行った実験の結果である。また、
図8(a)(c)の実験では電力指令値P
*=1kWとし、
図8(b)(d)の実験では電力指令値P
*=−1kWとした。
【0066】
初めに
図8(c)(d)を参照すると、本実施の形態による電力変換装置1によれば、
図5に示した理論上の波形と同様の波形を得られることが理解される。
【0067】
次に
図8(a)を参照すると、力行時にはU相電圧e
uとU相入力電流i
euとがほぼ同位相となっている。図示していないが、電圧e
vと電流i
ev、電圧e
wと電流i
ewについても同様となる。したがって、本実施の形態による電力変換装置1によれば、三相交流の各相において電圧と電流の関係を最適化することが実現されているので、電力変換装置1における交流入力電流の高調波が低減すると言える。
【0068】
また、
図8(b)を参照すると、回生時にはU相電圧e
uとU相入力電流i
euとがほぼ逆位相となっている。図示していないが、電圧e
vと電流i
ev、電圧e
wと電流i
ewについても同様となる。したがって、本実施の形態による電力変換装置1によれば、力行動作だけでなく回生動作(二次側から一次側への電力伝送)も実現できると言える。
【0069】
以下、i
m*=i
m(D
0)によりデューティ比D
0が算出可能であること、及び、式(5)によってデューティ比D
1を得られることについて、
図9を参照しながら説明する。回生時の動作は力行時の動作を時間反転することによって得られるので、以下では、力行時に着目して説明する。
【0070】
図9は、(e
max−e
mid)>(e
mid−e
min)、e
mid<0、又はi
mid<0の場合における電圧v
1,v
2及び電流i
Lの力行時の波形を模式的に示す信号波形図である。同図の波形は関数i
m(D
0)を導出するための理論的な出発点となるもので、伝送可能な電力を理論上最大化する波形となっている。なお、前提として、制御装置4は、電圧v
2が周期1/2fでV
dcと−V
dcの間を遷移する矩形波信号となるように、AC/DCコンバータ30を構成するスイッチ素子S
1〜S
4それぞれの状態を制御するものとする。また、電圧v
2が周期1/2fでV
dcと−V
dcの間を遷移する矩形波信号となるようにすることが、デューティ比D
0〜D
1を算出する際の条件となる。
【0071】
図9の波形について具体的に説明すると、この波形を実現するための制御装置4は、合計の時間長が1/fである8つの期間c
1〜c
8を一周期とする周波数fの繰り返し動作を行う。そして、期間c
1では、電圧v
1がe
max−e
minとなり、電圧v
2が−V
dcとなるように、期間c
2では、電圧v
1がe
max−e
minとなり、電圧v
2がV
dcとなるように、期間c
3では、電圧v
1がe
max−e
midとなり、電圧v
2がV
dcとなるように、期間c
4では、電圧v
1がe
mid−e
minとなり、電圧v
2がV
dcとなるように、期間c
5では、電圧v
1がe
min−e
maxとなり、電圧v
2がV
dcとなるように、期間c
6では、電圧v
1がe
min−e
maxとなり、電圧v
2が−V
dcとなるように、期間c
7では、電圧v
1がe
mid−e
maxとなり、電圧v
2が−V
dcとなるように、期間c
8では、電圧v
1がe
min−e
midとなり、電圧v
2が−V
dcとなるように、それぞれスイッチ素子S
up,S
vp,S
wp,S
un,S
vn,S
wn,S
1〜S
4の状態を制御する。ここで、以下の説明では、
図9にも示すように、期間c
1,c
5の時間長をd
0とし、期間c
2,c
6の時間長をd
1とし、期間c
3,c
7の時間長をd
2とし、期間c
4,c
8の時間長をd
3とする。ただし、次の式(8)に示すように、時間長d
0〜d
3の合計は1とする。期間c
1〜c
4と期間c
5〜c
8とは符号を逆にするだけであるので、以下では期間c
1〜c
4のみに着目して説明を続ける。
【0073】
期間c
1〜c
4のそれぞれにおける電流i
Lの変化量をΔi
0〜Δi
3とすると、
図9から理解されるように、それぞれ次の式(9)〜式(12)のように表される。
【0075】
また、期間c
1の始期から期間c
4の終期までの電流i
Lの変化量をΔiとすると、
図9から理解されるように、Δiは次の式(13)のように表される。
【0077】
Δi
0〜Δi
3及びΔiを用いると、期間c
1〜c
4のそれぞれにおける電流i
Lの平均値i
0_ave〜i
3_aveを次の式(14)〜式(17)のように表すことができる。
【0079】
式(14)〜式(17)は、式(9)〜式(13)に基づいて、それぞれ次の式(18)〜式(21)のように表される。
【0081】
また、平均値i
0_ave〜i
3_aveを用いると、上述した電流i
max,i
midを次の式(22)及び式(23)のように表すことができる。
【0083】
これら電流i
max,i
midをそれぞれ入力電流指令値i
max*,i
mid*として上述した式(3)に代入することにより、電力指令値P
*と時間長d
0〜d
3との関係式が得られる。ただし、未知数がd
0〜d
3の4つであるのに対し、これらを求めるための式が上記式(8)を含めて3つしかないので、時間長d
0〜d
3を決定するための条件を1つ追加する余地がある。
【0084】
そこで、伝送可能な電力が最大となるように、追加の条件を決定する。具体的には、式(23)に着目し、電流i
midの絶対値が小さくならないよう、電流i
midの値の正負に応じて時間長d
2,d
3のいずれかをゼロとする。別の言い方をすれば、式(23)の右辺に示した電流i
midの2つの要素のうち電流i
midの絶対値を減らす方の要素を、時間長d
2,d
3のいずれかをゼロとすることによってゼロとする。このように時間長d
2,d
3のいずれかをゼロとすることで、
図9に示した信号波形は、
図5(a)に示した波形に変形される。
図5に示したデューティ比D
0〜D
2と時間長d
0〜d
3との関係は、次の式(24)で表される。
【0086】
図5(a)に示した信号波形を前提にすると、式(18)〜式(21)を次の式(25)〜式(27)のように書き直すことができる。ただし、式(25)〜式(27)のi
0_ave〜i
2_aveは、それぞれ
図5(a)の期間a
1〜a
3における電流i
Lの平均値である。
【0088】
また、式(22)、式(23)、及び式(2)を次の式(28)及び式(29)のように書き直すことができる。
【0090】
式(28)及び式(29)に式(25)〜式(27)及び式(7)を代入して整理すると、次の式(30)が得られる。
【0092】
式(30)は、D
0とD
1に関する二元連立方程式となっている。したがって、式(30)のi
mとi
midのそれぞれに式(3)から得られる入力電流指令値i
m*,i
mid*を代入すれば、D
0とD
1を得ることができることになる。
【0093】
ここで、式(30)の第一式の右辺は、式(4)に示した関数i
m(D
0)に他ならない。したがって、i
m*=i
m(D
0)によりデューティ比D
0が算出可能であると言える。
【0094】
また、式(30)の第二式をD
1について解くと、次の式(31)のように2通りのD
1が得られる。ただし、A〜Cは式(6)に示したものである。上述した式(5)は、このうちの一方(マイナス側)に相当する。したがって、式(5)によってデューティ比D
1を得ることができると言える。以下、式(31)に示される2通りのD
1のうちマイナス側のD
1を採用することの妥当性について、説明する。
【0096】
式(6)の第一式を用いると、式(6)の第二式を次の式(32)のように変形することができる。
【0098】
式(32)を式(31)に代入すると、次の式(33)が得られる。
【0100】
ここで、式(6)から明らかなように、AはV
dc=e
max−e
minのときにゼロになる。式(33)の分母にはAがあるため、D
1は発散する可能性がある。そこで、Aをゼロに近づけたときにD
1が収束するか否かを調べるため、次の式(34)に示すようにD
1の極限を算出する。
【0102】
式(34)は、次の式(35)のように変形できる。ただし、右辺のEは式(36)で表される。
【0104】
ここで、A
2<<A(4D
0(e
max−e
min)−4C)であるため、A
2=0と近似することができる。そうすると、式(36)は次の式(37)のように変形される。
【0106】
また、一般に、平方根に関しては次の式(38)の近似が成り立つ。ただし、x<<1とする。
【0108】
式(38)の近似を用いると、式(37)は次の式(39)のように変形される。
【0110】
式(35)及び式(39)より、次の式(40)が得られる。
【0112】
式(40)より、D
1は、符号がプラスのときには発散するが、マイナスのときには発散しないことが理解される。したがって、式(31)に示される2通りのD
1のうちマイナス側のD
1を採用することが妥当であると言える。
【0113】
以上、i
m*=i
m(D
0)によりデューティ比D
0が算出可能であること、及び、式(5)によってデューティ比D
1を得られることについて説明した。次に、i
m*=i
m(D
0)からデューティ比D
0を求める方法の詳細について、説明する。
【0114】
図10(a)〜(c)はそれぞれ、関数i
m(D
0)の概形を示す図である。
図10(a)は、電圧V
dc,電圧e
mがともに相対的に小さい場合を示し、
図10(b)は、電圧V
dcが相対的に大きく、電圧e
mが相対的に小さい場合を示し、
図10(c)は、電圧V
dcが相対的に小さく、電圧e
mが相対的に大きい場合を示している。
【0115】
関数i
m(D
0)が
図10(a)の関数形となる場合、0≦D
0≦0.5の範囲でi
m(D
0)は単調増加であるため、数値計算によって問題なくD
0を算出できる。一方、関数i
m(D
0)が
図10(b)の関数形となる場合、D
0=0の近傍に極大値、極小値が存在するため、勾配を用いるニュートン法では解に収束しない可能性がある。関数i
m(D
0)が
図10(c)の関数形となる場合には、およそD
0≦0.15の領域でi
m(D
0)の値が複素数となる。したがって、実数のみの計算では解くことができず、D
0を算出するためには複雑な計算が必要になる。
【0116】
そこで、関数i
m(D
0)がどのような関数形であったとしても容易にD
0を算出できるよう、二分法を用いてD
0を算出することとする。二分法の2つの初期値のうち、大きい方はi
m(D
0)がほぼ最大となる0.5とし、小さい方は、i
m(D
0)が複素数にならない最小のD
0と0.0のうちの大きい方とする。この条件を用いると、解が存在すれば初期値により実数領域で解を挟むことが可能になるので、有限回の計算で必ず近似解を得ることができる。
【0117】
なお、i
m(D
0)が複素数にならない最小のD
0は、次のようにして求めればよい。まず、D
1が実数となる条件は、式(5)より、次の式(41)となる。
【0119】
式(41)に式(6)を代入し、D
0について解くと、次の式(42)が得られる。ただし、式(42)中の変数A',B',C'はそれぞれ式(43)のように表される。
【0121】
i
m(D
0)が複素数にならない最小のD
0は、式(42)を満たす最小のD
0である。したがって、式(42)を満たす最小のD
0と、0.0のうちの大きい方を、二分法の2つの初期値のうちの小さい方として用いればよい。
【0122】
以上説明したように、本実施の形態による電力変換装置1の制御装置4によれば、電力指令値P
*に基づいてスイッチ素子S
up,S
vp,S
wp,S
un,S
vn,S
wn,S
1〜S
4それぞれの状態を変更するタイミングを示すデューティ比D
0〜D
2を算出し、算出したデューティ比D
0〜D
2に基づいてスイッチ素子S
up,S
vp,S
wp,S
un,S
vn,S
wn,S
1〜S
4の状態を制御しているので、最適なタイミングでスイッチ素子S
up,S
vp,S
wp,S
un,S
vn,S
wn,S
1〜S
4の状態を制御することが可能になる。したがって、
図8にも示したように、マトリックスコンバータ10を適用した絶縁形AC/DCコンバータである電力変換装置1における交流入力電流の高調波を低減することが可能になる。
【0123】
また、本実施の形態による電力変換装置1の制御装置4によれば、電力指令値P
*に基づいて、最適なタイミングを示すデューティ比D
0〜D
2を算出することが可能になる。
【0124】
また、本実施の形態による電力変換装置1の制御装置4によれば、力行動作だけでなく回生動作も実施可能となる。
【0125】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明が、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施され得ることは勿論である。
【0126】
例えば、上記実施の形態においては、電力指令値P
*が入力される都度、数値演算によってデューティ比D
0〜D
2を算出すると説明したが、電力指令値P
*とデューティ比D
0〜D
2との対応関係を予め決められる場合には、その対応関係を示すルックアップテーブルを予め作成して記憶しておき、電力指令値P
*の入力を受け付けた場合に、対応するデューティ比D
0〜D
2をこのルックアップテーブルから読み出すことにより、デューティ比D
0〜D
2を算出することとしてもよい。