(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
半導体等の発熱部品を冷却するコールドプレートに関連する技術として、特許文献1がある。
図8は特許文献1に記載されたコールドプレートの概要を示すものである。
図8に示すように、複数のコールドプレートAは、コネクタBによって直列に接続されている。また、前記コネクタBは、蛇腹状に成形されることによって伸縮自在な構成となっている。すなわち、配管Cを通って一のコールドプレートAの供給口へ供給された冷却水は、排出口から排出され、コネクタBを通って下流のコールドプレートAの供給口へ供給され、その排出口から排出されて、さらに下流のコールドプレートに順次供給される。
また前記コールドプレートAは、蛇腹状のコネクタを曲げることにより上下、左右に動かすことができる。すなわち前記複数のコールドプレートは、コネクタを曲げて相対的に位置を調整しながら、対象となる発熱部品等への取り付け、あるいは取り外しを行うことができるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら前記コネクタBは、ゴム、プラスチック等の材料を蛇腹状に成形した構成であり、このような蛇腹状の構造は通常の平滑なパイプ、チューブに比して、外力が加わることによる変形の繰り返しに対する耐久性に欠け、特に、管軸回りの捻り変形に対する配慮が何らなされていない。また、チューブの耐久性を高めようとして、肉厚を厚くし、あるいは、強度の高い材料を採用すると、チューブに本来求められていた柔軟性が損なわれる。
また特許文献2には、分岐マニホールドから供給管、排出管へ並列に冷却材を供給、回収する構成が開示されているものの、直列に接続された複数のコールドプレートの相互の接続配管についての構成を開示するものではない。また、分岐マニホールドに対する供給管、排出管の回転を許容する構成ではあっても、供給管、排出管の管軸回りの捻り変形に対する配慮が何らなされていない。
また特許文献3には、単に、供給管、排出管を可撓性のチューブで接続する構成が開示されているに過ぎず、可撓性のチューブの管軸回りの捻り変形に対する配慮が何らなされていない。
【0005】
すなわち特許文献1〜3に開示された技術によっては、冷却材の供給管、排出管自体の管軸回りの変形に起因する損傷を防止することができない。
【0006】
この発明は、コールドプレートに冷却材を供給、排出する接続管およびまたはチューブの管軸回りの変形を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第1の態様にかかるコールドプレートは、冷却対象と接触させるための取り付け面を含む複数の面により囲まれた収容部に冷却材を収容する本体と、前記本体の収容部に連通する第1の開口部に取り付けられた管状の本体側接続部と、この本体側接続部に管軸を中心として回転自在に一端が取り付けられ、他端にチューブが接続されるチューブ側接続部とを有する。
【0008】
本発明の第2の態様にかかるコールドプレートの接続管は、冷却対象と接触させるための取り付け面を含む複数の面により囲まれた収容部に冷却材を収容する本体の前記収容部に連通する第1の開口部に取り付けられる管状の本体側接続部と、この本体側接続部に管軸を中心として回転自在に一端が取り付けられ、他端にチューブが接続されるチューブ側接続部とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、コールドプレートに接続された接続管の捻れを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係るコールドプレートおよび接続管の最小構成例を
図1(a)(b)により説明する。
符号1はコールドプレートであって、表面に、冷却対象と接触させるための取り付け面1aを有し、内部に、冷却媒体を収容する収容部を有する。このコールドプレート1には、前記収容部に連通する第1の開口部2が設けられ、この第1の開口部2には、本体側接続管3が接続され、この本体側接続管3には、屈曲自在なチューブ4が一端に接続されたチューブ側接続管5が接続されている。前記本体側接続管3とチューブ側接続管5とは、管軸を中心として回転自在に連結されている。
【0012】
上記構成のコールドプレート1は、取り付け面1aを冷却対象となる発熱部品としての、半導体チップ等の電子部品に接触させた状態で使用される。また、前記コールドプレート1は、前記第1の開口部2に接続された本体側接続管3、チューブ側接続管5、およびチューブ4を介して、収容部へ水等の冷却材を供給、あるいは排出することができる。また本体側接続管3、チューブ側接続管5が互い回転することができるので、前記電子部品等の冷却対象への取り付け、取り外しに際し、チューブ4の屈曲を最小限にして、捻りによる損傷を防止することができる。またチューブ4が折れることによって内部の冷却材が過剰に圧縮され、あるいは逆流する現象を最小限に抑制することができる。
【0013】
また
図1(b)は接続管の最小構成例を示し、本体側接続管3は、コールドプレート1の第1の開口部2へ取り付けられ、また本体側接続管3には、チューブ側接続管5が管軸を中心として回転自在に取り付けられている。
【0014】
このように構成された接続管にあっても、前記第1の開口部2に接続された本体側接続管3、チューブ側接続管5、およびチューブ4を介して、コールドプレート1の内部へ水等の冷却材を供給、あるいは排出することができる。また本体側接続管3、チューブ側接続管5が互い回転することができるので、前記電子部品等の冷却対象への取り付け、取り外しに際し、チューブ4の屈曲を最小限にして、捻りによる損傷を防止することができる。またチューブ4が折れることによって内部の冷却材が過剰に圧縮され、あるいは逆流する現象を最小限に抑制することができる。
【0015】
図2〜
図5を参照して本発明の第1実施形態を説明する。なお
図1と共通の構成には同一符号を付し、説明を簡略化する。
第1実施形態では、
図2に示すように、複数のコールドプレート1、11、21を直列に接続した構成となっている。なお符号1a、11a、21aは、それぞれコールドプレートの取り付け面を示し、図示の場合、下面を取り付け面としたが、上面を取り付け面としても良く、コールドプレートを構成して、内部の冷却材収容部を囲む6面の内、冷却対象となる半導体チップ等の平面形状に対応する二つの面のいずれかが取り付け面として使用される。
前記コールドプレート1には、第1の開口部2と、第2の開口部2Aとが設けられ、それぞれ内部の冷却材収容部に連通されている。前記第2の開口部2Aは、チューブ4を介して外部(例えば、図示しない冷却水の供給ヘッダー管)に接続されている。第1の開口部2には、スイベル継手6(
図1の本体側接続管3とチューブ側接続管5とを連結した全体をスイベル継手と称す)が接続されている。
前記コールドプレート1は、このスイベル継手6を介し、前記チューブ14によって下流側のコールドプレート11の第2の開口部12Aに接続され、このコールドプレート11には、チューブ14によって冷却水が供給される。
なお図示例では、第1の開口部2にスイベル継手6が直接取り付けられているが、第1の開口部2に設けられた管などの部材を介してスイベル継手6を取り付けても良い。また第2の開口部2Aに管などの部材を設け、この管を介してチュ−ブ4を取り付けても良い。
【0016】
前記コールドプレート11は、第1の開口部12に取り付けられたスイベル継手16を介し、チューブ24によってさらに下流側のコールドプレート21の第2の開口部22Aに接続され、このコールドプレート21には、第2の開口部22Aに接続されたチューブ24によって冷却水が供給される。
前記コールドプレート21の冷却水を排出する側の第1の開口部22には、スイベル継手26が取り付けられ、さらにチューブ34が取り付けられて、外部(例えば図示しない排出ヘッダー管)に冷却水を排出する。
なお
図2は、コールドプレート1、11、21を3個直列に接続する例を示すが、さらに複数個直列接続した構成でもよい。すなわちコールドプレートの数は、冷却対象となる発熱部品の数に応じて選択されるものである。
【0017】
図3を参照して前記スイベル継手6の詳細な構造を説明する。
スイベル継手6は、
図1の本体側接続管3に対応する軸部100と、チューブ側接続管5に対応する胴部101とを主要な構成部材とする。
前記軸部100には、胴部101を受け入れるべく筒状に形成され、これら軸部100と胴部101とによって囲われた空間部には、胴部100の端部外周に嵌合した状態で弾性変形可能なOリング102が設けられ、さらにOリング102の周囲の隙間を埋めるようにグリス103が充填されている。Oリング102とグリス103によりスイベル継手6の内部を液密に保つことが可能となる。
前記軸部100と胴部101とは、互いに管軸を中心として円周方向へ回転が可能に連結され、軸部100の外側と胴部101内側の重なり合う箇所にもグリス103を塗布することにより、スムーズな回転と、回転に必要な隙間からの液体の漏洩防止とを実現している。
【0018】
前記胴部101の先端(
図3の左端)には、径方向内側へ向かう突起がある凸部104が形成され、軸部100の外周には、径方向内側へ窪む溝部105が形成されている。前記凸部104が溝部105に嵌まり込んだ構造により、軸部100と胴部101との相対回転を許容しつつ、これら二つの部材の軸方向の分離を防止しすることができる。
【0019】
図4を参照してスイベル継手6(16、26)の組立て手順について説明する。
を示す。
図4(a)に示すように、軸部100の先端(
図4の右端)の外周にグリス103を塗布した後、Oリング102の表面にもグリス103を塗布し、軸部100の先端に取り付ける。その後、
図4(b)に示すように、軸部100の先端を胴部101の先端(
図4の左端)に押込む。最後に、
図4(c)に示すように、凸部104の外側を全周カシメ加工によって径方向内側に押込むと、凸部104の内側突起部は溝部105にはまり、軸部100と胴部101とが一体に連結されて、軸方向の分離が防止される。
【0020】
上記構成のコールドプレートにあっては、チューブ4から供給された冷却水がコールドプレート1に接する図示しない発熱部品と熱交換された後、スイベル継手6からチューブ14を経由してコールドプレート11に供給される。このコールドプレート11では、これに接する図示しない発熱部品と冷却水とが熱交換されてスイベル継手16からチューブ24を経由してコールドプレート21に供給される。このコールドプレート21では、これに接する図示しない発熱部品と冷却水とが熱交換される。さらに、前記冷却水は、スイベル継手26からチューブ34を経由して外部へ排出される。
【0021】
このように接続されたコールドプレート1、11、21にあっては、スイベル継手6、16、26を介してチューブ14、24、34が取り付けられているため、これらのチューブ14、24、34は、それぞれ管軸を中心として回転することができ、したがって、コールドプレート1、11、21を発熱部品等に取り付け、あるいは取り外すに際して、チューブ14、24、34が捻れ等の変形をすることが少なく、したがって、捻りに起因するチューブ4、14、24、34の損傷、あるいは劣化に起因する冷却水の漏洩のリスクを低減することができる。
【0022】
図5〜
図7を参照して本発明の第2実施形態を説明する。この第2実施形態は、コールドプレートを発熱部品に取り付けて構成された、装置40に関するものである。なお、
図1〜
図4と共通の構成要素には同一符号を付し、説明を簡略化する。
図5の装置40、例えばサーバにおいて、略水平に配置された基板41には、該基板41と交差する方向(
図5の上下方向)を着脱方向とするコネクタ(雌雄のコネクタのいずれか一方)42、43、44が取り付けられている。
コネクタ42にはコネクタ(雌雄のコネクタのいずれか他方)51を介して基板50が取り付けれ、基板50には発熱部品52が取り付けられている。すなわち、この基板50に形成された導体パターンは、前記コネクタ42、51を介して基板41の導体パターンと電気的に接続されている。
同様に、コネクタ43にはコネクタ61を介して基板60が取り付けれ、基板60には発熱部品62が取り付けられ、コネクタ44にはコネクタ71を介して基板70が取り付けれ、基板70には発熱部品72が取り付けられている。
発熱部品72にはコールドプレート1、発熱部品62にはコールドプレート11、発熱部品52にはコールドプレート21が取り付けられて、チューブ4で外部から供給された冷却水により発熱部品72、62、52は順次冷却され、発熱部品の熱によって温められた冷却水はチューブ34を通って外部に排出される。
【0023】
すなわち、チューブ4からコールドプレート1に供給された冷却水が、コールドプレート1に接する発熱部品72と熱交換されてスイベル継手6からチューブ14を経由してコールドプレート11に供給される。このコールドプレート11では、これに接する発熱部品62と冷却水とが熱交換されてスイベル継手16からチューブ24を経由してコールドプレート21に供給される。このコールドプレート21では、これに接する発熱部品52と冷却水とが熱交換される。さらに、前記冷却水は、スイベル継手26からチューブ34を通って外部へ排出される。
【0024】
図6、7を参照して、前記コールドプレート1、11、21を有する装置における基板の交換等に伴う分解の手順について説明する。
図6に示すように、装置40の基板50を交換する場合、基板50を矢印の方向(
図6の上方)に力を加えると、基板40のコネクタ41と基板50のコネクタ51の嵌合が外れて矢印の方向に移動して、装置40の外部に取り出される。
【0025】
この時、コールドプレート21とコールドプレート11とを接続しているチューブ24が基板50の移動に伴って捻れようとするが、コールドプレート11に取り付けられたスイベル継手16の軸部100と胴部101とが相対的に回転して、管軸を中心とする方向の回転を許容するため、チューブ24の捻れの多くを吸収しつつ基板50を装置40の外側へ取り出すことが可能となる。
さらに、
図7に示すように、基板50が装置40の外側に取り出されることにより、発熱部品52とコールドプレート21とを分離するために十分な作業スペースが確保され、基板50の交換が可能となる。
【0026】
また、
図7に示す状態で、新たな基板(図示略)へコールドプレート21を取り付け、当該新たな基板のコネクタ(図示略)を図中矢印と反対方向へ移動させてコネクタ42に差し込むと、交換作業が終了する。
この新たな基板の取り付けにおいても、スイベル継手26が回転することにより、チューブ24、34の管軸回りの捻れを最小限に抑制して、その損傷を防止することができる。
【0027】
図示例にあっては、供給側のチューブ24と排出側のチューブ34とがコールドプレート21の側面の長手方向に位置をずらして配置されているので、排出側のチューブ34に取り付けられたスイベル継手26が回転することにより、チューブ24と34との相対的な回転により捻れを容易に吸収することができる。
【0028】
なお、基板、コールドプレートの数は上記各実施形態に限定されるものではない。
またコールドプレートの形状は図示例のような六面体に限定されるものではなく、発熱体へ取り付けられる取り付け面と、供給側、排出側のチューブあるいはスイベル継手を取り付けるための面とを有する他の形状であっても良い。
またスイベル継手は、各コールドプレートの排出側の開口部ではなく、供給側の開口部に設け、あるいは、排出側、供給側の両方の開口部に設けても良い。
またスイベル継手を構成する胴部は、コールドプレートと一体の構成として、これに軸部をカシメにより取り付ける構成であっても、あるいは、軸部と胴部とをカシメで連結した構成のスイベル継手の胴部をコールドプレートにねじ込む構成であっても良い。
【0029】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。