(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6860180
(24)【登録日】2021年3月30日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】太陽光パネル清掃ロボットの測位装置及びその測位方法
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20210405BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
G05D1/02 K
G01B11/00 H
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-543257(P2019-543257)
(86)(22)【出願日】2018年2月7日
(65)【公表番号】特表2020-507858(P2020-507858A)
(43)【公表日】2020年3月12日
(86)【国際出願番号】CN2018075523
(87)【国際公開番号】WO2018145631
(87)【国際公開日】20180816
【審査請求日】2019年9月24日
(31)【優先権主張番号】201710073500.1
(32)【優先日】2017年2月10日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518015815
【氏名又は名称】蘇州瑞得恩光能科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU RADIANT PHOTOVOLTAIC TECHNOLOGY CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110002181
【氏名又は名称】特許業務法人IP−FOCUS
(72)【発明者】
【氏名】彭 芳
(72)【発明者】
【氏名】徐 建栄
(72)【発明者】
【氏名】周 峰
(72)【発明者】
【氏名】王 佳慶
【審査官】
牧 初
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−138873(JP,A)
【文献】
特開昭63−263505(JP,A)
【文献】
特開2005−037341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00− 1/12
G01B 11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光パネル清掃ロボットの測位装置であって、
前記太陽光パネル清掃ロボットは、少なくとも1つの太陽光パネル上を走行又は停止する車体を含み、
各太陽光パネルは、長方形をなし、その辺縁に四本の識別可能なフレームが設けられ、
各太陽光パネルには、互いに直交となる縦線及び横線が設けられ、前記縦線と前記横線はパネル座標系を形成し、
前記測位装置は、
前記車体周辺の画像及び/又は写真をリアルタイムで取得する少なくとも一つの画像取得ユニットと、
前記画像取得ユニットに接続され、前記画像及び/又は写真並びに車体の進行方向により、前記車体の周辺のフレームを識別するフレーム識別ユニットと、
前記画像取得ユニットに接続され、前記画像及び/又は写真並びに前記フレームの位置により、前記車体と前記フレームとの間に存在する縦線の数及び横線の数を識別する縦横線識別ユニットと、
前記縦横線識別ユニットに接続され、前記車体と前記フレームとの間に存在する縦線の数及び横線の数により、前記太陽光パネルにおける前記車体の座標範囲を計算する車体位置計算ユニットと、
を含む、太陽光パネル清掃ロボットの測位装置。
【請求項2】
前記車体位置計算ユニットに接続され、前記車体のサイズ、太陽光パネルにおける前記車体の座標範囲及び前記画像取得ユニットと前記車体との相対位置により、前記太陽光パネルにおける前記画像取得ユニットの座標範囲を計算する画像取得ユニット位置計算ユニットをさらに含む、請求項1に記載の測位装置。
【請求項3】
前記車体位置計算ユニットに接続され、前記車体のサイズ、太陽光パネルにおける前記車体の座標範囲により、前記太陽光パネルにおける前記車体の中心点の座標範囲を計算する車体中心点位置計算ユニットをさらに含む、請求項1に記載の測位装置。
【請求項4】
前記車体のGPS測定位置をリアルタイムで取得するGPSユニットと、
前記GPSユニットに接続され、前記車体のGPS測定位置及びパネルレイアウトにより、前記車体が位置する太陽光パネルの情報を判定するパネル判定ユニットと、
をさらに含む、請求項1に記載の測位装置。
【請求項5】
無線を通じてサーバーに接続され、前記車体周辺の画像及び/又は前記車体の測位データを前記サーバーに送信する無線通信ユニットを含み、
前記車体の測位データは、
前記車体が位置する太陽光パネルの情報と、
太陽光パネルにおける前記車体の座標範囲と、
太陽光パネルにおける前記画像取得ユニットの座標範囲と、
太陽光パネルにおける前記車体の中心点の座標範囲と、
を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の測位装置。
【請求項6】
各太陽光パネルの縦線の総数と横線の総数、及び/又は、
前記車体のサイズ、及び/又は、
前記画像取得ユニットと前記車体との相対位置、及び/又は、
少なくとも一つのパネルレイアウト
を予め記憶するメモリをさらに含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の測位装置。
【請求項7】
前記画像取得ユニットは、前記車体の天板の上方又は前記車体の外側壁に設けられ、
前記画像取得ユニットの水平方向の視野角は、0を超えて360度以内である、請求項1に記載の測位装置。
【請求項8】
底部が前記車体の天板に固定される取付ブラケットをさらに含み、
前記画像取得ユニットは、前記取付ブラケットの頂部に取り付けられる
請求項1に記載の測位装置。
【請求項9】
太陽光パネル清掃ロボットの測位方法であって、
前記太陽光パネル清掃ロボットは、少なくとも1つの太陽光パネル上を走行又は停止する車体を含み、
各太陽光パネルは、長方形をなし、その辺縁に四本の識別可能なフレームが設けられ、
各太陽光パネルには、互いに直交となる縦線及び横線が設けられ、前記縦線と前記横線はパネル座標系を形成し、
前記測位方法は、
前記車体周辺の画像及び/又は写真をリアルタイムで取得する画像取得ステップと、
前記画像及び/又は写真並びに車体の進行方向により、前記車体の周辺のフレームを識別するフレーム識別ステップと、
前記画像及び/又は写真並びに前記フレームの位置により、前記車体と前記フレームとの間に存在する縦線の数および横線の数を識別する縦横線識別ステップと、
前記車体と前記フレームとの間に存在する縦線の数および横線の数により、前記太陽光パネルにおける前記車体の座標範囲を計算する車体位置計算ステップと、
を含む、太陽光パネル清掃ロボットの測位方法。
【請求項10】
前記車体のサイズ、太陽光パネルにおける前記車体の座標範囲及び画像取得ユニットと前記車体との相対位置により、前記太陽光パネルにおける前記画像取得ユニットの座標範囲を計算する画像取得ユニット位置計算ステップをさらに含む、請求項9に記載の測位方法。
【請求項11】
前記車体のサイズ、太陽光パネルにおける前記車体の座標範囲により、前記太陽光パネルにおける前記車体の中心点の座標範囲を計算する車体中心点位置計算ステップをさらに含む、請求項9に記載の測位方法。
【請求項12】
前記画像取得ステップの前において、
前記車体のGPS測定位置をリアルタイムで取得するGPS測位ステップと、
前記車体のGPS測定位置及びパネルレイアウトにより、前記車体が位置する太陽光パネルの情報を判定するパネル判定ステップと、
をさらに含む、請求項9に記載の測位方法。
【請求項13】
無線を通じて前記車体周辺の画像をサーバーに送信する画像送信ステップ、及び/又は、
前記車体の測位データをサーバーに送信する測位データ送信ステップと、を含み、
前記車体の測位データは、
前記車体が位置する太陽光パネルの情報と、
太陽光パネルにおける前記車体の座標範囲と、
太陽光パネルにおける前記画像取得ユニットの座標範囲と、
太陽光パネルにおける前記車体の中心点の座標範囲と、
を含む、請求項9から12のいずれか1項に記載の測位方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃ロボット分野に関し、特に太陽光パネル清掃ロボットの測位装置及びその測位方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化石燃料の減少が日々続くと、新たな再生可能エネルギーとしての太陽エネルギーは、人間が使用するエネルギーの重要な一部になっていた。過去10年間、太陽エネルギー応用技術は、世界の各国で急速に発展してきた。太陽光パネルは、半導体材料に光を照射させて発生する光起電力効果(photovoltaic)により、太陽エネルギーを直接に電気エネルギーに変換する機器である。太陽光パネルは、太陽光がある場所で発電することができるので、大規模な発電所から小型の携帯用充電器までのさまざまな場合に適しているため、近年、急速に発展している。
【0003】
太陽光パネルの作業環境は、屋外に限られる。太陽光パネルの動作に影響を与える最大の問題は、風雨雷ではなく、長年蓄積してきた粉塵である。太陽光パネルに付着した粉塵又はその他の付着物は、パネルの透過率に影響し、光電効率を妨げるため、パネルが太陽光を直接に取得する効率に深刻な影響を与え、パネルのエネルギー吸収及び変換効率を低下させ、発電効率を低下させる。先行技術の太陽光パネルの使用中においては、清掃作業を手作業のみで定期的に行うことができる。太陽光パネルの面積が大きく、また大型発電所では、同時により多くのパネルが使用されるため、粉塵が繰り返して蓄積され、繰り返して清掃する必要がある。これにより、人件費が高く、清掃効率が低く、清掃効果が低い。多くの場合、空間利用率を高めるために、太陽光パネルは、ブラケットによって高い場所に配置されるため、清掃作業により大きな困難性及びリスクをもたらすことになる。多くの太陽光パネルユーザは、清掃コストを削減するために、清掃しないことを選択し、粉塵による電力損失を受けるしかない。よって、太陽光パネルを自動的に清掃できる新たな自動清掃装置が必要とされている。
【0004】
これに対し、業界では、太陽光パネルを清掃するための新型清掃ロボットが開発されている。詳細には、中国特許出願第201610836028.8号に開示されている関連内容が参照されたい。しかしながら、このような清掃ロボットが実際使用され続けるうちに、業界では、直面する様々な問題を解決するため、新しい機能の研究開発を行う必要がある。
【0005】
例えば、太陽光パネルにおける清掃ロボットのリアルタイムの位置に対し、地上のスタッフはリアルタイムで知ることはできない。リアルタイムの位置が不明であるため、清掃ロボットのリアルタイムの動作状態を監視することはできない。さらに、太陽光パネルは、通常高い場所に配置されているため、清掃ロボットが故障したり、走行を停止したり、経路から外れたりしても、スタッフは素早く知ることができない。
【0006】
そこで、先行技術の欠陥を克服するため、新型の太陽光パネル清掃ロボットの測位装置を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的の一つは、従来の清掃ロボットをリアルタイムで測位することができず、作動状態を全面的に監視できないという問題が解決されるように、太陽光パネル清掃ロボットの測位装置を提供することにある。
【0008】
上記の問題を解決するため、本発明のある一つの態様によれば、前記太陽光パネル清掃ロボットは、少なくとも1つの太陽光パネル上を走行又は停止する車体を含み、各太陽光パネルは、長方形をなし、その辺縁に四本の識別可能なフレームが設けられ、各太陽光パネルには、互いに直交となる縦線及び横線が設けられ、前記縦線と前記横線はパネル座標系を形成する太陽光パネル清掃ロボットの測位装置が提供される。前記測位装置は、画像取得ユニット、フレーム識別ユニット、縦横線識別ユニット、及び車体位置計算ユニットを含む。前記画像取得ユニットは、前記車体周辺の画像及び/又は写真をリアルタイムで取得するためのものである。前記フレーム識別ユニットは、前記画像取得ユニットに接続され、前記画像及び/又は写真並びに車体の進行方向により、前記車体の周辺のフレームを識別するためのものである。前記縦横線識別ユニットは、前記画像取得ユニットに接続され、前記画像及び/又は写真並びに前記フレームの位置により、前記車体と前記フレームとの間に存在する縦線の数及び横線の数を識別するためのものである。前記車体位置計算ユニットは、前記縦横線識別ユニットに接続され、前記車体と前記フレームとの間に存在する縦線の数及び横線の数により、前記太陽光パネルにおける前記車体の座標範囲を計算するためのものである。
【0009】
さらに、他の実施形態では、前記測位装置は、前記車体位置計算ユニットに接続され、前記車体のサイズ、太陽光パネルにおける前記車体の座標範囲及び前記画像取得ユニットと前記車体との相対位置により、前記太陽光パネルにおける前記画像取得ユニットの座標範囲を計算する画像取得ユニット位置計算ユニットをさらに含む。
【0010】
さらに、他の実施形態では、前記測位装置は、前記車体位置計算ユニットに接続され、前記車体のサイズ、太陽光パネルにおける前記車体の座標範囲により、前記太陽光パネルにおける前記車体の中心点の座標範囲を計算する車体中心点位置計算ユニットをさらに含む。
【0011】
さらに、他の実施形態では、前記測位装置は、GPSユニット及びパネル判定ユニットをさらに含む。前記GPSユニットは、前記車体のGPS測定位置をリアルタイムで取得するように構成され、前記パネル判定ユニットは、前記GPSユニットに接続され、前記車体のGPS測定位置及びパネルレイアウトにより前記車体が
位置する太陽光パネル
の情報を判定するように構成される。
【0012】
さらに、他の実施形態では、前記測位装置は、無線を通じてサーバーに接続され、前記車体周辺の画像及び/又は前記車体の測位データを前記サーバーに送信する無線通信ユニットを含み、前記車体の測位データは、前記車体が
位置する太陽光パネル
の情報と、太陽光パネルにおける前記車体の座標範囲と、太陽光パネルにおける前記画像取得ユニットの座標範囲と、太陽光パネルにおける前記車体の中心点の座標範囲とを含む。
【0013】
さらに、他の実施形態では、前記測位装置は、各太陽光パネルの縦線の総数と横線の総数、及び/又は、前記車体のサイズ、及び/又は、前記画像取得ユニットと前記車体との相対位置、及び/又は、少なくとも一つのパネルレイアウトを予め記憶するメモリをさらに含む。
【0014】
さらに、他の実施形態では、前記画像取得ユニットは、前記車体の天板の上方又は前記車体の外側壁に設けられ、前記画像取得ユニットの水平方向の視野角は、0
を超えて360度
以内である。前記画像取得ユニットは、カメラまたは画像センサーを含むが、これらに限定されない。
【0015】
さらに、他の実施形態では、底部が前記車体の天板に固定される取付ブラケットをさらに含み、前記画像取得ユニットは、前記取付ブラケットの頂部に取り付けられる。
【0016】
さらに、本発明の目的のもう一つは、太陽光パネル清掃ロボットの測位方法を提供することである。前記太陽光パネル清掃ロボットは、少なくとも1つの太陽光パネル上を走行又は停止する車体を含み、各太陽光パネルは、長方形をなし、その辺縁に四本の識別可能なフレームが設けられ、各太陽光パネルには、互いに直交となる縦線及び横線が設けられ、前記縦線と前記横線はパネル座標系を形成する。前記測位方法は、前記車体周辺の画像及び/又は写真をリアルタイムで取得する画像取得ステップと、前記画像及び/又は写真並びに車体の進行方向により、前記車体の周辺のフレームを識別するフレーム識別ステップと、前記画像及び/又は写真並びに前記フレームの位置により、前記車体と前記フレームとの間に存在する縦線の数及び横線の数を識別する縦横線識別ステップと、前記車体と前記フレームとの間に存在する縦線の数および横線の数により、前記太陽光パネルにおける前記車体の座標範囲を計算する車体位置計算ステップと、を含む。
【0017】
さらに、他の実施形態では、前記測位方法は、前記車体のサイズ、太陽光パネルにおける前記車体の座標範囲及び画像取得ユニットと前記車体との相対位置により、前記太陽光パネルにおける前記画像取得ユニットの座標範囲を計算する画像取得ユニット位置計算ステップをさらに含む。
【0018】
さらに、他の実施形態では、前記測位方法は、前記車体のサイズ、太陽光パネルにおける前記車体の座標範囲により、前記太陽光パネルにおける前記車体の中心点の座標範囲を計算する車体中心点位置計算ステップをさらに含む。
【0019】
さらに、異なる実施形態では、前記画像取得ステップの前において、前記測位方法は、前記車体のGPS測定位置をリアルタイムで取得するGPS測位ステップと、前記車体のGPS測定位置及びパネルレイアウトにより、前記車体が
位置する太陽光パネル
の情報を判定するパネル判定ステップと、をさらに含む。
【0020】
さらに、異なる実施形態では、前記測位方法は、無線を通じて前記車体周辺の画像をサーバーに送信する画像送信ステップ、及び/又は、前記車体の測位データをサーバーに送信する測位データ送信ステップと、を含む。前記車体の測位データは、前記車体が
位置する太陽光パネル
の情報と、太陽光パネルにおける前記車体の座標範囲と、太陽光パネルにおける前記画像取得ユニットの座標範囲と、太陽光パネルにおける前記車体の中心点の座標範囲と、を含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、GPS及び識別された車体周辺の太陽光パネルに設けられる縦線と横線によって、車体自体が大面積の太陽光パネルエリアに位置する太陽光パネルにおける正確なエリア位置を特定することで、作業員が清掃ロボットのリアルタイムの位置をリアルタイムで取得することができる太陽光パネル清掃ロボットの測位装置及びその測位方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施例に係る清掃ロボットが太陽光パネルに位置することを示す概略図である。
【
図2】本発明の実施例に係る清掃ロボットの測位装置の論理構造図である。
【
図3】本発明の実施例に係る清掃ロボットの全体的な外観を示す概略図である。
【
図4】本発明の実施例に係る太陽光パネル清掃ロボットの測位方法を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施例に係る清掃ロボットが位置する太陽光パネルの縦横線座標系における縦線方向の投影を示す概略図である。
【
図6】本発明の実施例に係る清掃ロボットが位置する太陽光パネルの縦横線座標系における横線方向の投影を示す概略図である。
【0023】
図中の要素の符号は、以下のように示される。
100:清掃ロボット、200:太陽光パネル、210:フレーム、211:縦線、212:横線、300:ブリッジボード、10:車体、110:取付ブラケット、11:画像取得ユニット、12:フレーム識別ユニット、13:縦横線識別ユニット、14:車体位置計算ユニット、15:画像取得ユニット位置計算ユニット、16:車体中心点位置計算ユニット、17:GPSユニット、18:パネル判定ユニット、19:無線通信ユニット、20:メモリ、30:サーバ
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を実施できることを実証するために、以下、図面を参照して本発明に係る好適実施例について説明する。前記実施例によれば、本発明を当業者に完全に紹介することができ、技術内容をより明確かつ理解しやすくすることができる。本発明は、多くの他の実施例で実施することができ、本発明の保護範囲は、本明細書に開示された実施例に限定されるものではない。
【0025】
図面において、同じ構造を有する要素は、同じ数字で示され、構造的又は機能的に類似する要素は類似の数字で示される。図面に示される各要素のサイズ及び厚さは、任意に示されており、本発明は、各要素のサイズ及び厚さを制限するものではない。図をより明確にするため、図面の一部では、要素の厚さを適切に拡大している。
【0026】
「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「内」、「外」、「側面」等の本発明に言及される方向を表する用語は、図面における方向のみであり、本発明を解釈及び説明するために使用され、本発明の保護範囲を限定するものではない。
【0027】
ある部材が他の要素の「上に」あると記述される場合、前記要素は他の要素の上に直接に配置されてもよく、また中間要素を介して、前記要素は前記中間要素の上に配置され、さらに前記中間要素が他の要素の上に配置されてもよい。要素が他の要素に「取り付け」又は「接続」される場合、両者は、直接に「取り付け」又は「接続」され、又は一つの要素が中間要素を通じて、異なる要素と間接的に「取り付け」又は「接続」されるように理解してもよい。
【0028】
図1に示すように、本発明に係る実施例によれば、太陽光パネル清掃ロボット100の測位装置が提供される。前記太陽光パネル清掃ロボット100は、少なくとも一つの太陽光パネル200上を走行又は停止する車体10を含む。
図1に示すように、各太陽光パネル200は、長方形をなし、その辺縁に四本の識別可能なフレーム210が設けられ、各太陽光パネル200には、数本の縦線211及び数本の横線212が設けられる。前記縦線211は前記横線212に直交することにより、前記縦線211と前記横線212はパネル座標系を形成する。通常、複数の太陽光パネル200を接合することにより、より大きな採光面積を形成する。隣接する二つの太陽光パネルは、その間に少なくとも一つのブリッジボード300を設けることにより接続される。
【0029】
さらに、
図2を参照して、前記測位装置は、画像取得ユニット11、フレーム識別ユニット12、縦横線識別ユニット13、車体位置計算ユニット14、画像取得ユニット位置計算ユニット15、車体中心点位置計算ユニット16、GPSユニット17、パネル判定ユニット18、無線通信ユニット19、及びメモリ20を含む。
【0030】
前記画像取得ユニット11は、前記車体10の天板の上方又は前記車体10の外側壁に設けられる。具体的な実施例では、
図3を参照して、前記車体10の天板に取付ブラケット110が固定され、前記画像取得ユニット11は、前記取付ブラケット110の天板に取り付けられる。前記画像取得ユニット11の水平方向の視野角は、0から360度である。前記画像取得ユニットは、カメラ又は画像センサーを含むが、これらに限定されない。
【0031】
前記画像取得ユニット11は、前記車体周辺の画像及び/又は写真をリアルタイムで取得するためのものである。前記フレーム識別ユニット12は、前記画像取得ユニット11に接続され、前記画像及び/又は写真並びに車体10の進行方向により、前記車体10の周辺のフレームを識別するためのものである。前記縦横線識別ユニット13は、前記画像取得ユニット11に接続され、前記画像及び/又は写真並びに前記フレームの位置により、前記車体10と前記フレーム210との間に存在する縦線211の数及び横線212の数を識別するためのものである。
【0032】
具体的に、実施形態では、前記画像取得ユニット11、前記フレーム識別ユニット12、及び前記縦横線識別ユニット13との協働により、前記画像取得ユニット11は、車体10の周辺の写真又は画像を取得することができ、車体10が位置する太陽光パネル200の周辺のフレーム210をはっきり表示することができる。前記フレーム識別ユニット12は、周辺のフレーム210を識別した後、前記縦横線識別ユニット13は、識別されたフレームを境界として、前記車体10の周辺から対応するフレームまでの縦線及び横線の数を識別することにより、測位がなされる。
【0033】
しかし、場合によっては、太陽光パネル200の面積が大きいため、前記車体10の位置は、前記画像取得ユニット11によって取得された車体10周辺の写真又は画像が、前記車体10が位置する太陽光パネル200周辺のフレーム210を明確に示すことができず、隣接する二本又は三本のフレームのみがある場合がある。このとき、前記フレーム識別ユニット12が隣接する二本のフレームを識別した後、前記縦横線識別ユニット13は、識別された隣接のフレームを境界として、前記車体10の対応する二本の辺縁から識別された二本のフレームまでの縦線及び横線の数を識別することにより、測位がなされる。
【0034】
つまり、太陽光パネル200に対する前記車体10の測位について、先ず前記車体10が位置する太陽光パネル200のフレームを識別する必要があり、識別されたフレームを基準又は境界として、さらに識別されたフレームと車体との間の縦線及び横線を識別することにより、位置する太陽光パネル上の縦線及び横線によって形成されたパネル座標系における測位がなされる。測位の基準又は境界とする太陽光パネル200のフレームの本数は、周辺の全てのフレーム、すなわち、四本のフレームを識別する必要がなく、隣接する二本のフレームさえ識別すれば、その後の縦横線による測位がなされる。
【0035】
前記車体位置計算ユニット14は、前記縦横線識別ユニット13に接続され、前記車体10と前記フレームとの間に存在する縦線の数及び横線の数により、前記太陽光パネル200における前記車体10の座標範囲を計算するためのものである。前記画像取得ユニット位置計算ユニット15は、前記車体位置計算ユニット14に接続され、前記車体10のサイズ、太陽光パネル200における前記車体10の座標範囲及び前記画像取得ユニット11と前記車体10との相対位置により、前記太陽光パネル200における前記画像取得ユニット11の座標範囲を計算するためのものである。
【0036】
前記車体中心点位置計算ユニット16は、前記車体位置計算ユニット14に接続され、前記車体10のサイズ、太陽光パネル200における前記車体10の座標範囲により、前記太陽光パネル200における前記車体10の中心点の座標範囲を計算するためのものである。前記GPSユニット17は、前記車体のGPS測定位置をリアルタイムで取得するように構成される。前記パネル判定ユニット18は、前記GPSユニット17に接続され、前記車体10のGPS測定位置及びパネルレイアウトにより、前記車体10が
位置する太陽光パネル
の情報を判定するためのものである。
【0037】
前記無線通信ユニット19は、無線を通じてサーバー30に接続される。前記無線通信ユニット19は、前記車体10周辺の画像をサーバー30に無線で送信し、及び/又は前記車体10の測位データを前記サーバー30に送信するためのものである。前記車体10の測位データは、前記車体10が
位置する太陽光パネル200
の情報と、太陽光パネル200における前記車体10の座標範囲と、太陽光パネル200における前記画像取得ユニット11の座標範囲と、太陽光パネル200における前記車体の中心点の座標範囲等の少なくとも1つの情報を含むが、これらに限られない。前記無線通信ユニット19は、WIFIユニットであることが好ましい。
【0038】
さらに、前記メモリ20は、各太陽光パネル200の縦線の総数と横線の総数、前記車体10のサイズ、前記画像取得ユニット11と前記車体10との相対位置、及び少なくとも一つのパネルレイアウトを予め記憶するためのものである。
【0039】
さらに、本発明に係る他の実施例によれば、太陽光パネル清掃ロボットの測位方法が提供される。前記太陽光パネル清掃ロボットは、少なくとも一つの太陽光パネル上を走行又は停止する車体を含み、各太陽光パネルは、長方形をなし、その辺縁に四本の識別可能なフレームが設けられ、各太陽光パネルには、互いに直交となる縦線及び横線が設けられ、前記縦線と前記横線はパネル座標系を形成する。
【0040】
前記測位方法は、S1:GPS測位ステップと、S2:パネル判定ステップと、S3:画像取得ステップと、S4:フレーム識別ステップと、S5:縦横線識別ステップと、S6:車体位置計算ステップと、S7:画像取得ユニット位置計算ステップと、S8:車体中心点位置計算ステップと、S9:画像送信ステップと、S10:測位データ送信ステップと、を含む。
【0041】
前記GPS測位ステップにおいて、前記車体のGPS測定位置をリアルタイムで取得する。前記パネル判定ステップにおいて、前記車体のGPS測定位置及びパネルレイアウトにより、前記車体が
位置する太陽光パネル
の情報を判定する。
【0042】
太陽光パネル上における前記車体の測位について、先ず前記車体が位置する太陽光パネルのフレームを識別する必要があり、そして、識別されたフレームを基準として、さらに識別されたフレームと車体との間の縦線及び横線を識別することにより、位置する太陽光パネル上の縦線及び横線によって形成されたパネル座標系における測位がなされる。測位の境界とする太陽光パネルのフレームの本数は、必ずしも四本である必要がなく、すなわち、太陽光パネル周辺の全てのフレームを識別する必要がなく、隣接する二本のフレームさえ識別すれば、その後の縦横線による測位がなされる。
【0043】
具体的に、上記の識別測位は、画像取得ステップ、フレーム識別ステップ、及び縦横線識別ステップの三つのステップに分けられる。前記画像取得ステップにおいて、前記車体周辺の画像及び/又は写真をリアルタイムで取得する。前記フレーム識別ステップにおいて、前記画像及び/又は写真並びに車体の進行方向により、前記車体の周辺のフレームを識別する。前記縦横線識別ステップにおいて、前記画像及び/又は写真並びに前記フレームの位置により、前記車体と前記フレームとの間に存在する縦線の数及び横線の数を識別する。
【0044】
さらに、前記画像取得ステップにおいて、前記車体周辺の写真又は画像データを取得し、前記データには、車体が位置する太陽光パネルのフレーム情報が含まれる。前記フレーム識別ステップにおいて、取得されたデータ中のフレーム情報を識別し、さらに識別されたフレームを、その後の縦横線識別の基準又は境界とする。また、前記縦横線識別ステップにおいて、識別されたフレームを基準又は境界として、前記車体の周辺から対応するフレームまでとの間の縦線及び横線の数を識別することにより、前記車体が位置する太陽光パネル上の縦線及び横線によって形成されたパネル座標系における測位がなされる。
【0045】
前記車体位置計算ステップにおいて、前記車体と前記フレームとの間に存在する縦線の数および横線の数により、前記太陽光パネルにおける前記車体の座標範囲を計算する。前記画像取得ユニット位置計算ステップにおいて、前記車体のサイズ、太陽光パネルにおける前記車体の座標範囲及び画像取得ユニットと前記車体との相対位置により、前記太陽光パネルにおける前記画像取得ユニットの座標範囲を計算する。
【0046】
具体的に、
図5、6を参照して、前記車体の長さはA、幅はB、厚さはC(車体のサイズ)である。前記車体の座標は(X,Y)であることが既に知られている。ここで、X1<X<X2(X1、X2は、太陽光パネルにおける車体に最も近い二本の縦線の座標である)、Y1<Y<Y2(Y1、Y2は、太陽光パネルにおける車体に最も近い二本の横線の座標である)、すなわち、X1、X2、Y1及びY2は、車体の座標範囲を形成する。前記車体の天板に対する前記画像取得ユニットの高さはHであることが既に知られている。
【0047】
前記画像取得ユニットの前記車体の天板における投影から前記車体の二つの短辺までの距離は、A1、A2であることが既に知られている。ここで、A2=A−A1である。前記画像取得ユニットの前記車体の天板における投影から前記車体の二つの長辺までの距離は、B1、B2であることが既に知られている。ここで、B2=B−B1である。上記の三つの既知の条件は、前記画像取得ユニットと前記車体との相対位置である。
【0048】
太陽光パネルにおける前記画像取得ユニットの投影座標を、(x,y)とすると、
X1+(1+C/H)*(A−A1)<x<X2−(1+C/H)*A1;
Y1+(1+C/H)*(B−B1)<y<Y2−(1+C/H)*B1。
本実施例では、A1=A/2、B1=0(車体の前端中心箇所)、又はA1=A/2、B1=B/2(車体の中心箇所)であることが好ましい。
【0049】
前記車体中心点位置計算ステップにおいて、前記車体のサイズ、太陽光パネルにおける前記車体の座標範囲により、前記太陽光パネルにおける前記車体の中心点の座標範囲を計算する。
【0050】
具体的に、太陽光パネルにおける前記車体中心点の座標を、(x0,y0)とすると、
X1+A/2<x0<X2−A/2;
Y1+B/2<y0<Y−B/2。
【0051】
前記画像送信ステップにおいて、無線を通じて前記車体周辺の画像をサーバーに送信する。前記測位データ送信ステップにおいて、前記車体の測位データをサーバーに送信する。前記車体の測位データは、前記車体が
位置する太陽光パネル
の情報、及び/又は太陽光パネルにおける前記車体の座標範囲、及び/又は太陽光パネルにおける前記画像取得ユニットの座標範囲、及び/又は太陽光パネルにおける前記車体の中心点の座標範囲を含む。
【0052】
本発明によれば、太陽光パネル清掃ロボットの測位装置及びその測位方法が提供される。GPS及び識別された車体周辺の太陽光パネルに設けられる縦線と横線により、車体自体が大面積の太陽光パネルエリアに位置する太陽光パネルにおける正確なエリア位置を特定することで、作業員は、清掃ロボットのリアルタイムの位置をリアルタイムで取得することができる。
【0053】
以上の通り、本発明の当業者は、本発明の技術案と技術構想に基づいて各種の変更及び変形を加えることができる。これらの変更及び変形は、いずれも本発明に特許請求の範囲に属する。