(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6860181
(24)【登録日】2021年3月30日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】野菜の低カリウム化処理方法
(51)【国際特許分類】
A23L 19/00 20160101AFI20210405BHJP
A23L 33/00 20160101ALI20210405BHJP
【FI】
A23L19/00 A
A23L33/00
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2020-12570(P2020-12570)
(22)【出願日】2020年1月29日
【審査請求日】2020年1月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519416521
【氏名又は名称】株式会社SONIC SQUARE
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(74)【代理人】
【識別番号】100166659
【弁理士】
【氏名又は名称】楠 和也
(74)【代理人】
【識別番号】100076381
【弁理士】
【氏名又は名称】染谷 伸一
(72)【発明者】
【氏名】福山 広輝
【審査官】
田ノ上 拓自
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−024926(JP,A)
【文献】
カリウムについて,2018年 4月,p.1-2,www.tenjinkai.or.jp>connectors>php>transfer, 検索日:2020年7月29日
【文献】
C1微炭酸水で野菜・果物を洗う,地球生活塾日本支部購買部,2008年 4月17日,p.1-3,shop.pagia-jp.com/?eid=863118, 検索日2020年7月15日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 19/00−19/20
A23L 31/00−33/29
A23L 5/40−5/49
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
WPIDS/WPIX(STN)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
野菜の低カリウム化処理方法であって、
野菜を炭酸水に浸漬することにより野菜中のカリウムを除去する工程を有し、
前記野菜を前記炭酸水に浸漬する時間が10〜30分であり、
前記炭酸水の炭酸濃度は1000〜1520ppmである
ことを特徴とする野菜の低カリウム化処理方法。
【請求項2】
前記炭酸水に浸漬する前の前記野菜をカットする工程を有する
請求項1に記載の野菜の低カリウム化処理方法。
【請求項3】
前記野菜がキャベツである
請求項1又は2に記載の野菜の底カリウム化処理方法。
【請求項4】
前記炭酸水に浸漬した後の前記野菜を脱水処理する工程を有する
請求項1〜3のいずれかに記載の野菜の低カリウム化処理方法。
【請求項5】
前記炭酸水に浸漬した後で且つ前記脱水処理を行う前の前記野菜を水で洗浄する工程を有する
請求項1〜4のいずれかに記載の野菜の低カリウム化処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は低カリウム野菜を提供するための野菜の低カリウム化処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特に慢性透析患者にとっては高カリウム血症の原因となるカリウム摂取が制限されるため、野菜摂取に際して低カリウム化することが求められており、野菜の簡単な低カリウム化処理方法として特許文献1に示されるように酸浸漬を行う処理が知られている。
【0003】
この処理方法は低カリウム化のための水耕栽培に比して水耕栽培に適した野菜に限定されず、大根やゴボウ等の根菜類等にも適用できる点で優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2016/133164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、低カリウム化のために用いる各種の酸によって処理野菜に酸臭や酸味が残留し、材料本来の味や風味等を損なうという問題があり、これを改善するためには特許文献1にも示すように、さらにアルカリ処理を施す必要があった。そしてこのアルカリ処理自体もさらに野菜の味や風味等を損なう原因になっていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上記課題を解決又は改善するもので
、野菜の低カリウム化処理方法であって、野菜を炭酸水に所定時間浸漬することにより野菜中のカリウムを除去する
工程を有し、前記炭酸水の炭酸濃度は1000〜1520ppmであることを特徴としている。
【0007】
前記炭酸水に浸漬する前の前記野菜をカット
する工程を有するものとしてもよい。
【0008】
前記野菜がキャベツである
ものとしてもよい。
【0009】
前記炭酸水に浸漬した後の
前記野菜を脱水処理する
工程を有するものとしてもよい。
【0010】
前記炭酸水に浸漬し
た後で且つ前記脱水処理を
行う前の前記野菜を水で洗浄する
工程を有するものとしてもよい。
【0011】
前記野菜を前記炭酸水に浸漬
する時間が10〜
30分である
ものとしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
以上のように構成される本発明の方法によれば、野菜を炭酸水に浸漬するという簡単な処理により、しかも野菜本来の味や風味を損なうことなく低カリウム化処理を行うことができるほか、従来の酸に浸漬して行う場合のように中和のためのアルカリ処理も不要である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の方法により野菜の低カリウム化処理を行い、カリウム量測定を行った例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は野菜を炭酸水に所定時間(例えば10〜60分)浸漬することによって低カリウム化処理を行うもので、以下に説明する実施例では冬キャベツを用いた。野菜はキャベツ,ほうれん草その他の葉茎菜類に限らず、大根,ゴボウ等の根菜類,キュウリ,ナス,インゲン豆等の果菜類等も処理可能であり、葉や茎の形状に対応して浸漬に適するように予めカットしておくことが望ましいものもあり、例えば間引菜類のようにカットが不要なものもある。
【0015】
炭酸水は市販の炭酸水,例えば水に炭酸水素ナトリウム(重曹)とクエン酸を加えて作られる炭酸水,ソーダサイフォン等の炭酸水生成装置によって生成された炭酸水等いずれでも使用可能である。
【0016】
[実施例]
以下キャベツの低カリウム処理を10分間隔毎に行い、その都度カリウム量を計測した実験例につき説明する。
本実施例の実施条件は以下の通りである。
【0017】
1.使用したキャベツ
(1)品種 冬キャベツ(一玉当り約700gのもの)
(2)使用料 8.4kgを約30〜50mm角にカットしたもの
(3)抽出方法 無作為(注:キャベツの葉は内層、表層により又は作付条件によりカリウム量に個体差がある。)
【0018】
2.炭酸水(下記(1)の装置により製造)
(1)人口炭酸泉製造装置
1)名称 炭酸ELEB おふろスキー
2)メーカー Dragon Peace
(2)炭酸水量 300L
(3)炭酸水濃度 1000〜1520ppm(装置(1)の定格)
【0019】
3.カットキャベツの粉砕機
(1)名称 TSJ800−P スロージューサー
(2)メーカー TESCOM
(3)型番 TSJ800P
(4)定格 回転数 50rpm
【0020】
4.炭酸水(炭酸ガス)濃度測定器
(1)名称 コンパクト カリウムイオンメーター
(2)メーカー HORIBA
(3)型式 LAQUAtwin−K−11
(4)定格 1)測定範囲 4〜9900ppm(mg/L)2〜5000kg/10a
(5)測定対象 カット野菜を粉砕機で液状に微粉砕したもの
【0022】
6.実施工程
キャベツのカットから低カリウム化処理及び各回の処理毎のカリウム量計測を行う工程は
図1に示すフロー図に示す通りであり、以下詳細に説明する。
【0023】
(1)野菜カット
キャベツの葉8.4kgを玉から剥ぎ取って、約30〜50mm角にカットする。
【0024】
(2)試料粉砕
低カリウム化処理前のキャベツのカリウム含有量を計測するため、粉砕機で液状になるまで粉砕する。
【0025】
(3)試料のカリウム測定
前記カリウムイオンメーターを用いて上記粉砕済の試料のカリウム濃度をサンプル的に測定した。その結果処理前の試料のカリウム(K)濃度は2100ppmであった(表1参照)。
【0026】
(4)消毒
野菜が食材である以上生食することを前提にすると、消毒が必要であるため、残りのカット済のキャベツは残留性がなく野菜の食味等を損なわない次亜塩素酸水による散水(浸漬でも良い)を行った。
【0027】
(5)炭酸水浸漬
上記消毒済の試料を前記人口炭酸水製造装置により生成した炭酸水300L中に浸漬した。
【0028】
(6)水洗浄
浸漬後10分経過後に試料のサンプルを取り出して炭酸水を除去するために水道水による水洗浄を行った。
【0029】
(7)脱水
水洗浄後の試料サンプルを送風乾燥(遠心分離型の脱水機によっても良い)させて付着水分を除去し、後のカリウム計測値の精度を高める。
【0030】
(8)粉砕
前述した粉砕機に試料サンプルを投入して、全体が液状になって残存カリウム量の計測が可能な状態に抽出されるまで粉砕する。
【0031】
(9)カリウム測定
液状になった試料サンプルを、前記カリウムイオンメーターによりカリウム含有量(濃度)を測定した。
以下10分毎に上記(6)〜(9)の工程を計6回繰返し反復して行い、10分毎のカリウム濃度を計測した。
【0032】
7.考察
表1に示す通り、この実施例によれば未処理のカットキャベツのカリウム濃度が2100ppmであったのに対し、浸漬時間の経過とともに順次カリウム濃度が低下し、60分経過後は1300ppmに低下し、処理前の濃度に対し約62%迄低下したことが確認された。少なくとも浸漬後40分後にはカリウム濃度が約67%迄低下しており、低カリウム化処理としては実用可能な有効範囲迄低減できるものと解される。
【要約】
【課題】簡単な方法で中和処理等が不要な野菜の低カリウム化処理方法を提供する。
【解決手段】この発明の方法は、野菜を炭酸水に所定時間浸漬することにより野菜中のカリウムを除去するもので、野菜はカットされたキャベツ等の野菜であって、炭酸水に浸漬し水洗浄後脱水処理するものである。
【選択図】
図1