特許第6860189号(P6860189)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6860189
(24)【登録日】2021年3月30日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】球面ヘリカルアンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 11/08 20060101AFI20210405BHJP
   H01Q 1/36 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   H01Q11/08
   H01Q1/36
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-163943(P2016-163943)
(22)【出願日】2016年8月24日
(65)【公開番号】特開2018-32993(P2018-32993A)
(43)【公開日】2018年3月1日
【審査請求日】2019年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】599011687
【氏名又は名称】学校法人 中央大学
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100097238
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 治
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】白井 宏
(72)【発明者】
【氏名】藤田 佳祐
【審査官】 赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−049775(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104538732(CN,A)
【文献】 特開平11−041025(JP,A)
【文献】 特開2003−037426(JP,A)
【文献】 Oleksiy S.Kim,Minimum Q Electrically Small Antennas,IEEE Transactions on Antennas and Propagation ,2012年 8月,vol.60,No.8,3551-3558
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 11/08
H01Q 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
球面ヘリカルアンテナであって、
球面に沿った螺旋状の形状を有する第1の導体を備え、
前記第1の導体は、中点からずれた位置に給電点を有し、
前記中点からずれた位置は、前記球面ヘリカルアンテナのインピーダンスを所望の大きさに調整する位置である、球面ヘリカルアンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載の球面ヘリカルアンテナにおいて、前記第1の導体は、球体形状又は球殻形状の絶縁体に巻き付けられている、球面ヘリカルアンテナ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の球面ヘリカルアンテナにおいて、前記第1の導体の球面上の位置は、前記球面を有する球の中心を原点とする球面座標系において、z軸の正の方向からの角度をθ、x軸の正の方向からの角度をφとして、下記の式(1)及び(2)によって表される、球面ヘリカルアンテナ。
【数1】
【数2】
ただし、式(2)において、Jθは自己共振時のθ方向の電流成分を示し、Jφは自己共振時のφ方向の電流成分を示す。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の球面ヘリカルアンテナにおいて、
前記第1の導体が沿っている球面と同一の球面に沿った螺旋状の形状を有する第2の導体をさらに備え、
前記第2の導体は開放状態である、球面ヘリカルアンテナ。
【請求項5】
請求項4に記載の球面ヘリカルアンテナにおいて、前記第2の導体は複数本であり、前記第2の導体の各々は開放状態である、球面ヘリカルアンテナ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の球面ヘリカルアンテナにおいて、
前記第1の導体が沿っている球面とは半径が異なる球面に沿った螺旋状の形状を有する第3の導体をさらに備え、
前記第3の導体は開放状態である、球面ヘリカルアンテナ。
【請求項7】
請求項6に記載の球面ヘリカルアンテナにおいて、前記第3の導体は複数本であり、前記第3の導体の各々は開放状態である、球面ヘリカルアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球面ヘリカルアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば船舶通信や衛星通信などのような様々な通信分野において、小型で性能の良いアンテナが求められている。
【0003】
小型化が可能なアンテナの1つとして、球面ヘリカルアンテナが提案されている(非特許文献1、2)。球面ヘリカルアンテナは、導体が球面に沿って螺旋状に巻かれた形状のアンテナである。また、球面ヘリカルアンテナにおいて広い周波数帯域で使用可能とするための導体の巻き方が検討されている(非特許文献3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Steven R. Best, “The Radiation Properties of Electrically Small Folded Spherical Helix Antennas”, IEEE Transactions on Antennas and Propagation, vol. 52, No. 4, pp. 953-960, April, 2004
【非特許文献2】Steven R. Best, “Low Q Electrically Small Linear and Elliptical Polarized Spherical Dipole Antennas”, IEEE Transactions on Antennas and Propagation, vol. 53, No. 3, pp. 1047-1053, March, 2005
【非特許文献3】Oleksiy S. Kim, “Minimum Q Electrically Small Antennas”, IEEE Transactions on Antennas and Propagation, vol. 60, No. 8, pp. 3551-3558, August, 2012
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
球面ヘリカルアンテナは、通常、螺旋状の導体の中点に給電点が設けられているが、給電点から見たインピーダンスが小さく、例えば50オームの特性インピーダンスに対して、インピーダンス整合を実現することが困難であった。
【0006】
かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、インピーダンス整合を容易に実現することができる球面ヘリカルアンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る球面ヘリカルアンテナは、球面に沿った螺旋状の形状を有する第1の導体を備え、前記第1の導体は、中点からずれた位置に給電点を有する。
【0008】
また、本発明に係る球面ヘリカルアンテナにおいて、前記第1の導体は、球体形状又は球殻形状の絶縁体に巻き付けられていることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る球面ヘリカルアンテナにおいて、前記第1の導体の球面上の位置は、前記球面を有する球の中心を原点とする球面座標系において、z軸の正の方向からの角度をθ、x軸の正の方向からの角度をφとして、下記の式(1)及び(2)によって表されることが好ましい。
【数1】
【数2】
ただし、式(2)において、Jθは自己共振時のθ方向の電流成分を示し、Jφは自己共振時のφ方向の電流成分を示す。
【0010】
また、本発明に係る球面ヘリカルアンテナにおいて、前記第1の導体が沿っている球面と同一の球面に沿った螺旋状の形状を有する第2の導体をさらに備え、前記第2の導体は開放状態であることが好ましい。なお、ここで、導体が「開放状態」であるとは、導体がいずれの位置においても他の導体と接続していない、且つ、導体の両端の端部が開放されている状態をいう。
【0011】
また、本発明に係る球面ヘリカルアンテナにおいて、前記第2の導体は複数本であり、前記第2の導体の各々は開放状態であることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る球面ヘリカルアンテナにおいて、前記第1の導体が沿っている球面とは半径が異なる球面に沿った螺旋状の形状を有する第3の導体をさらに備え、前記第3の導体は開放状態であることが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る球面ヘリカルアンテナにおいて、前記第3の導体は複数本であり、前記第3の導体の各々は開放状態であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、インピーダンス整合を容易に実現することができる球面ヘリカルアンテナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係る球面ヘリカルアンテナを示す図である。
図2】球面座標系を示す図である。
図3】球面ヘリカルアンテナの2種類の巻き方を対比する図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る球面ヘリカルアンテナを示す図である。
図5】各種アンテナ構成の放射効率を比較する図である。
図6】アンテナサイズと給電点の位置との関係を示す図である。
図7図6のデータを示す表である。
図8】本発明の第3実施形態に係る球面ヘリカルアンテナを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る球面ヘリカルアンテナ10を示す図である。球面ヘリカルアンテナ10は、導体(第1の導体)11を備えている。
【0018】
導体11は、線状の導体である。導体11は、球面に沿って螺旋状に巻かれた形状である。図1は、x軸、y軸、z軸を有する直交座標系の原点を中心とする球の球面に沿って、導体11が螺旋状に巻かれている様子を示す。
【0019】
導体11の長さは、球面ヘリカルアンテナ10が対象とする信号の波長に基づいて決定することができる。導体11の長さは、例えば、球面ヘリカルアンテナ10が対象とする信号の波長の2分の1程度である。導体11の長さを、球面ヘリカルアンテナ10が対象とする信号の波長の2分の1程度にすることにより、球面ヘリカルアンテナ10の放射効率を向上させることができる。
【0020】
導体11が螺旋状に巻かれている球面の半径は、ユーザが球面ヘリカルアンテナ10に対して要求する小型化の程度などに応じて決定することができる。導体11の長さを同一とすると、球面の半径が大きい場合、導体11は球面に沿って疎に巻かれ、球面の半径が小さい場合、導体11は球面に沿って密に巻かれる。
【0021】
導体11は給電点12を有し、給電点12において、送信機又は受信機に接続される。給電点12は、導体11の中点からずれた位置に配置される。また、導体11の両側の端部は開放されている。ここで、導体11の「中点」とは、導体11の端部から、導体11に沿って導体11の半分の長さを進んだところに相当する、導体11上の位置である。
【0022】
通常の球面ヘリカルアンテナにおいては、対称性の観点などから、給電点は導体の中点(図1に示す配置においては、x−y平面と導体との交点)に配置される。この配置の場合、インピーダンスが小さいため、インピーダンス整合を実現することは困難である。
【0023】
これに対し、本実施形態に係る導体11は、導体11の中点からずれた位置に給電点12が配置される。この配置とすることにより、インピーダンスを大きくすることが可能となり、また、ずらし具合によってインピーダンスを所望の大きさに調整することができる。これにより、球面ヘリカルアンテナ10は、例えば50オームの特性インピーダンスに対しても、インピーダンス整合を容易に実現することができ、その結果、電力を効率的に伝送することができる。
【0024】
インピーダンス整合を実現するために、給電点12を中点からどの程度ずらせばよいかは、シミュレーションにより算出することができる。
【0025】
給電点12を中点からどの程度ずらせば、インピーダンス整合を実現できるかのシミュレーション結果については後述する。
【0026】
導体11は、螺旋状の形状を保持しやすくするため、球体形状又は球殻形状の絶縁体に巻き付けてもよい。絶縁体の材料としては、例えば、発泡スチロールなどのように、電気的特性が空気に近い材料が好適である。また、導体11は、絶縁体に巻き付けずに内部が空間であってもよい。
【0027】
続いて、導体11の巻き方について説明する。導体11が半径Rの球面に沿って巻き付けられた形状である場合、導体11上の各点は、当該球面を有する球の中心を原点とする図2に示すような球面座標系によれば、θ、φにより特定することができる。ここで、θはz軸の正の方向からの角度であり、φはx軸の正の方向からの角度である。
【0028】
例えば、非特許文献1及び2においては、下記の式(3)で表される関係により、導体11を、球面に沿って螺旋状に巻くことを提案している。
【数3】
ここで、式(3)において、Nは導体11の巻き数を示す。
【0029】
上記の式(3)による導体11の巻き方を、以後「ベスト型」とも称する。
【0030】
また、例えば、非特許文献3においては、下記の式(4)、(5)で表される関係により、導体11を、球面に沿って螺旋状に巻くことを提案している。
【数4】
【数5】
ここで、式(5)において、Jθは自己共振時のθ方向の電流成分を示し、Jφは自己共振時のφ方向の電流成分を示す。
【0031】
上記の式(4)、(5)による導体11の巻き方を、以後「キム型」とも称する。
【0032】
キム型の巻き方は、導体11を自己共振させるため、磁気エネルギーと電気エネルギーが等しくなるようにするための巻き方である。キム型の巻き方とすることにより、放射効率を向上させることができる。
【0033】
図3に、ベスト型及びキム型による導体11の巻き方を示す。符号41で示す巻き方がベスト型の巻き方であり、符号51で示す巻き方がキム型の巻き方である。
【0034】
このように本実施形態によれば、導体11は、中点からずれた位置に給電点12を有する。これにより、インピーダンスを大きくすること、及び、インピーダンスを所望の大きさに調整することが可能となり、インピーダンス整合を容易に実現することができる。
【0035】
また、導体11を、球体形状又は球殻形状の絶縁体に巻き付けることにより、導体11を固定することができる。
【0036】
また、導体11を、キム型の巻き方で巻くことにより、放射効率を向上させることができる。
【0037】
[第2実施形態]
図4は、本発明の第2実施形態に係る球面ヘリカルアンテナ20を示す図である。球面ヘリカルアンテナ20は、導体11と、導体(第2の導体)21とを備えている。
【0038】
第2実施形態に係る球面ヘリカルアンテナ20は、第1実施形態に係る球面ヘリカルアンテナ10に対し、導体21を追加した構成である。導体21を追加したこと以外は、第2実施形態に係る球面ヘリカルアンテナ20は、第1実施形態に係る球面ヘリカルアンテナ10と同様の構成であるため、適宜、説明を省略し、主に相違点について説明する。
【0039】
導体21は、線状の導体である。導体21は、導体11と同じ長さを有している。導体21は、導体11と同一の螺旋形状であり、導体11と同一の球面に沿って巻かれている。
【0040】
導体21は、導体11と短絡しないように、導体11とはずれた位置に配置されている。例えば、図4に示す例では、導体21は、導体11をz軸周りに180度回した位置に配置されている。
【0041】
導体21は、導体11とは異なり給電点を有していない。導体21は、開放状態であり、いずれの位置においても他の導体と接続せず、また、両側の端部が開放されている。
【0042】
導体21は、球体形状又は球殻形状の絶縁体に巻き付けることにより、固定することができる。
【0043】
球面ヘリカルアンテナ20は、給電点12を有する導体11に追加して、開放状態の導体21を有することにより、放射効率を向上させることができる。
【0044】
なお、図4においては、開放状態の導体21を1本追加する構成を示したが、開放状態の導体21は複数本あってもよい。導体11と導体21とが全部でN本ある場合、例えば、z軸周りに360度/Nの角度でずらして、導体11及び導体21を配置することにより、導体11と導体21との短絡、及び、導体21同士の短絡を防ぐことができる。
【0045】
図5に、放射効率のアンテナサイズkRへの依存性のシミュレーション結果を示す。ここで、アンテナサイズkRは、波数kと、球面の半径Rとの積であり、波数kは、アンテナが対象としている信号の波長をλとすると、k=2π/λで表される。
【0046】
図5は、球面アンテナの理論値と、キム型のアンテナで導体が1本、2本、4本の場合のシミュレーション結果と、ベスト型のアンテナで導体が1本の場合のシミュレーション結果とを示す。ここで導体の本数とは、導体11と導体21を合わせた本数のことを意味する。
【0047】
図5に示すように、導体が1本の場合で比較すると、キム型の方がベスト型よりも放射効率が高い。また、キム型においては、導体の本数が多くなると放射効率が高くなり、球面アンテナの理論値に近づく。
【0048】
なお、球面アンテナの理論値とは、球面全体を導体とした場合の放射効率の値である。導体の本数を増やすことは、球面が導体で覆われる面積が増え、球面全体が導体である状態に近づく方向であるため、放射効率が球面アンテナの理論値に近づくと考えられる。
【0049】
このように本実施形態によれば、球面ヘリカルアンテナ20は、導体11と同一の球面上に開放状態の導体21をさらに備える。これにより、放射効率を向上させることができる。
【0050】
[給電点の位置のシミュレーション結果]
図6は、給電点12の位置のシミュレーション結果を示す図である。横軸はアンテナサイズkRであり、縦軸は、給電点12の位置におけるz軸の正の方向からの角度θである(角度θについては図2参照)。θ=90度の場合は、給電点12が導体11の中点にあることを意味し、θが小さくなる程、給電点12の中点からのずれが大きくなることを意味する。
【0051】
図6は、通常用いられる50オームの特性インピーダンスに対してインピーダンス整合を実現する場合の給電点12の位置のシミュレーション結果である。図6には、導体が1本の場合と2本の場合の結果を示す。なお、導体の本数は、図5の場合と同様に、導体11と導体21を合わせた本数のことを意味する。
【0052】
図6に示すように、アンテナサイズkRを小さくすると、θが小さくなる。すなわち、アンテナサイズkRを小さくして球面ヘリカルアンテナを小型化しようとすると、給電点12の中点からのずれは大きくなる。
【0053】
また、図6に示すように、導体が2本の場合よりも、導体が1本の場合の方が、θが小さい。すなわち、導体が2本の場合よりも、導体が1本の場合の方が、給電点12の中点からのずれは大きい。
【0054】
図7は、図6のグラフに示したデータを示す表である。
【0055】
図6及び図7に示すように、インピーダンス整合を実現しつつ、アンテナサイズkRを小さくして球面ヘリカルアンテナを小型化するためには、θを小さくすること、すなわち、給電点12の中点からのずれを大きくすることが好適である。
【0056】
例えば、導体が1本の場合、給電点12の位置は、θが31度以下程度であることが好適である。これにより、球面ヘリカルアンテナのアンテナサイズkRを0.4以下程度とすることができる。また、より好ましくは、θが25度以下程度であることが好適である。これにより、球面ヘリカルアンテナのアンテナサイズkRを0.3以下程度とすることができる。また、さらに好ましくは、θが22度以下程度であることが好適である。これにより、球面ヘリカルアンテナのアンテナサイズkRを0.2以下程度とすることができる。
【0057】
また、例えば、導体が2本の場合、給電点12の位置は、θが62度以下程度であることが好適である。これにより、球面ヘリカルアンテナのアンテナサイズkRを0.4以下程度とすることができる。また、より好ましくは、θが48度以下程度であることが好適である。これにより、球面ヘリカルアンテナのアンテナサイズkRを0.3以下程度とすることができる。また、さらに好ましくは、θが38度以下程度であることが好適である。これにより、球面ヘリカルアンテナのアンテナサイズkRを0.2以下程度とすることができる。
【0058】
なお、通常用いられる特性インピーダンスとして、50オームよりも大きい値、例えば75オームなどもある。75オームなどのような、50オームよりも大きい特性インピーダンスに対してインピーダンス整合をする場合、θの値は、50オームに対してインピーダンス整合する場合よりも小さい値になる。
【0059】
[第3実施形態]
図8は、本発明の第3実施形態に係る球面ヘリカルアンテナ30を示す図である。球面ヘリカルアンテナ30は、導体11と、導体(第3の導体)31とを備えている。
【0060】
第3実施形態に係る球面ヘリカルアンテナ30は、第1実施形態に係る球面ヘリカルアンテナ10に対し、導体31を追加した構成である。導体31を追加したこと以外は、第3実施形態に係る球面ヘリカルアンテナ30は、第1実施形態に係る球面ヘリカルアンテナ10と同様の構成であるため、適宜、説明を省略し、主に相違点について説明する。
【0061】
導体31は、線状の導体である。導体31は、導体11と同程度の長さを有している。導体31は、図8に示すように、導体11が沿っている球面と同心で、かつ、導体11が沿っている球面よりも小さい半径の球面に沿って螺旋状に巻かれている形状である。なお、導体31は、導体11が沿っている球面と同心で、かつ、導体11が沿っている球面よりも大きい半径の球面に沿って螺旋状に巻かれている形状であってもよい。
【0062】
導体31は、上述のように、導体11が沿っている球面と同心で半径が異なる球面に沿って巻かれているため、導体11とは短絡しない。なお、導体31が沿っている球面は、必ずしも導体11が沿っている球面と同心でなくてもよく、導体11が沿っている球面と交わらない構成であればよい。
【0063】
導体31は、導体11とは異なり給電点を有していない。導体31は、開放状態であり、いずれの位置においても他の導体と接続せず、また、両側の端部が開放されている。
【0064】
導体11及び導体31は、導体11及び導体31が沿っている球面の半径がそれぞれR1及びR2(R1>R2)であるとすると、半径R2の球体形状の絶縁体に導体31を巻き付け、その外側を厚みがR1−R2の球殻形状の絶縁体で覆い、その球殻形状の絶縁体に導体11を巻き付けることにより、固定することができる。なお、半径R2の球体形状の絶縁体は、球体形状ではなく、中心部分がくり抜かれた球殻形状であってもよい。
【0065】
球面ヘリカルアンテナ30は、給電点12を有する導体11に追加して、開放状態の導体31を有することにより、放射効率を向上させることができる。
【0066】
下記条件で放射効率のシミュレーションを実施した。
<シミュレーション条件>
外球半径(R1):40mm
内球半径(R2):36mm
導体11及び導体31の直径:1mm
外球のγ:0.17
内球のγ:0.15
【0067】
この結果を、第1実施形態(外球に沿って巻いた導体11のみを有する)と、第3実施形態(内球に沿って巻いた導体31と、外球に沿って巻いた導体11とを有する)とで比較したところ以下のようになった。
<シミュレーション結果>
第1実施形態の放射効率: 84.85%(243.64MHz)
第3実施形態の放射効率: 91.3%(249.42MHz)
【0068】
このように、245MHz程度と同程度の周波数において、内球に沿った導体31を有する第3実施形態に係る球面ヘリカルアンテナ30は、第1実施形態に係る球面ヘリカルアンテナ10よりも放射効率が向上する。
【0069】
なお、本実施形態においては、導体31が1本である例を説明したが、開放状態の導体31は複数本あってもよい。その場合は、第2実施形態と同様にして、複数本の導体31をずらして配置すればよい。また、導体11が沿っている球面(本実施形態では外球に沿った球面)には、第2実施形態と同様に、導体11に追加して、開放状態の導体21があってもよい。さらに、導体11が沿っている球面とは半径が異なる複数の球面のそれぞれに沿って、開放状態の1本又は複数本の導体31があってもよい。
【0070】
このように本実施形態によれば、球面ヘリカルアンテナ30は、導体11が沿っている球面とは半径が異なる球面上に開放状態の導体31をさらに備える。これにより、放射効率を向上させることができる。
【0071】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
【符号の説明】
【0072】
10、20、30 球面ヘリカルアンテナ
11 導体(第1の導体)
12 給電点
21 導体(第2の導体)
31 導体(第3の導体)
41 導体(ベスト型)
51 導体(キム型)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8