【実施例】
【0046】
以下、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
<植物細胞培養と調製>
キンジソウ、クララおよびバイカイカリソウの葉を殺菌後、切片を切り出し、滅菌済みムラシゲスクーグ培地(MS培地)に植え付けた。成長ホルモンとして、オーキシン2,4D(2,4−ジクロロフェノキシ酢酸)とサイトカイニン(ベンジルアデニン)をそれぞれ1ppm及び0.01ppmの濃度で予め培地に添加した。3週間25℃にて培養を行い、カルス形成確認後、植え継ぎをしながら、カルス誘導を行った。カルスが十分形成された後、培地が付かないようにカルスをシャーレから回収した。
【0047】
セラミド分析のコントロールとして、カルスに60℃に熱したエタノールを添加しよく撹拌し、ろ過後の残渣を再度エタノールで抽出した。抽出液は減圧濃縮後、クロロホルム/メタノール(2:1)で試験管に回収し、常法に従って水を添加して撹拌後、2層に分離した。下層を分取し、濃縮乾固後した後、1mLのクロロホルム/メタノール(2:1)に再溶解した(以下、当該分配抽出方法を「Folch法」と表記する)。
【0048】
また別に、カルスを回収後、凍結乾燥し、得られた乾燥物を粉砕して、凍結乾燥粉砕物とした。この凍結乾燥粉砕カルスに10倍容の水を添加して加熱処理(45℃で5時間インキュベート)した。その後、遠心分離して液部と固形部に分けた。固形部は回収し、真空乾燥した後、セラミド抽出用試料とした。液部はさらにろ紙(5C、アドバンテック)でろ過後、水溶性エキス画分とした。
【0049】
加熱処理乾燥カルス(すなわち、前記セラミド抽出用試料)1gに4倍容のエタノールを添加し、40℃で2時間撹拌抽出した。No1ろ紙で吸引ろ過後、液部は減圧濃縮した。濃縮物から、Folch法に従って脂質を抽出した。そこから一部を分取し、0.4Mメタノール性/NaOHにて38℃で40min反応させた。その後、Folch法に従ってアルカリ安定性の脂質を調製し、セラミド分析用試料とした(以下、当該試料を脂質アルカリ処理物とも呼ぶ)。
【0050】
<TLC分析>
各脂質のアルカリ処理物100μgをケイ酸薄層クロマトグラフィー(以下、TLC)で分析した(展開溶媒:クロロホルム/メタノール/水(90:10:1)、検出:10%硫酸塗布後加熱)。分析結果を
図3に示す。レーンa、b、及びcは、それぞれキンジソウ、クララ、バイカイカリソウのカルスから調製した脂質アルカリ処理物を、またレーンdはセラミド標準品(ノンヒドロキシセラミド、マトレヤ、N−リグノセリルフィトスフィンゴシン、N−α−リグノセリルフィトスフィンゴシン、Avanti polar lipid)を、分析した結果を示す。
図3Aはコントロール(未処理のカルス)の脂質アルカリ処理物、
図1Bはカルスの乾燥加熱処理後の脂質アルカリ処理物を示す。コントロールではほとんど検出されなかったフリーセラミドが、加熱処理後には大きく増加していた。特に、一般の分化植物を加熱処理してもセラミドAPしか検出されないが(後述)、カルスを加熱処理することによりセラミドNPのスポットが大きく検出された。
【0051】
標準品のセラミドNP(N−リグノセリルフィトスフィンゴシン)とセラミドAP(N−α−リグノセリルフィトスフィンゴシン)を用いて、TLCデンシトメトリー法によりカルスから得られたセラミドを定量した。セラミドNPの含量は、抽出した脂質あたりキンジソウ4.2%、クララ5.9%、バイカイカリソウ3.6%であった。セラミドAPも定量し、NP/AP比を求めると、キンジソウ2.00、クララ2.4、バイカイカリソウ1.45であった。
【0052】
クララのカルスではグルコシルセラミドが加熱処理後にほぼ消失していた。そこでTLCプレートにニンヒドリンを噴霧して、スフィンゴイド塩基をニンヒドリン反応により検出すると(
図4)、全サンプルにおいてフィトスフィンゴシン(セラミドNP及びセラミドAPの構成スフィンゴイド塩基)は検出されず、一方、ジヒドロキシスフィンゴイド塩基が検出された。当該ジヒドロキシスフィンゴイド塩基はLC−MSの分析結果から、一般に植物性グルコシルセラミドの主要構成成分であるスフィンガジエニンであることが分かった。このことから、クララのカルスではグルコセレブロシダーゼ活性とセラミダーゼ活性が高く、さらにこれらの酵素はフィトセラミドには作用せずジヒドロセラミドに特異的であることが強く示唆された。
【0053】
<LC−MS分析>
次にLC−MSによりスフィンゴ脂質の構造解析を行った。解析条件は次の通りである。
装置:島津 Prominence−i LC−2030C;検出器:島津LCMS −2020 ESI、スキャンモードm/z 500−850、SIMモード:〔セラミド分子量+H〕イオン、ネブライザー流量1.5L/min、ヒートブロック温度:200℃、A液:5mMギ酸アンモニウム/メタノール、B液:5mMギ酸アンモニウム、アイソクラティック条件 (A/B=98:2)、カラム:GL Sciences InertSustain(C18,3μm,2.1×150mm)、流速:0.2ml/min
【0054】
カルスに含まれるスフィンゴ脂質について、LC−MSにより構造解析を行った(
図5)。なお、LC−MS解析には、脂質アルカリ処理物を用い、LC−MSのポジティブイオンモードで解析した。図中の分子種に示した略語は、セラミド骨格のスフィンゴイド塩基−脂肪酸を示したもので、例えばt18:1はトリヒドロキシ塩基/炭素数18/二重結合1個を示しており、24は脂肪酸炭素数24/二重結合0個/ノンヒドロキシを意味し、26hは脂肪酸炭素数26/二重結合0個/αヒドロキシ、24:1は脂肪酸炭素数24/二重結合1個/ノンヒドロキシを意味する。ノンヒドロキシ脂肪酸−フィトスフィンゴシンの組み合わせがセラミドNP、αヒドロキシ脂肪酸−フィトスフィンゴシンの組み合わせがセラミドAPである。また、2,3ジヒドロキシ脂肪酸−フィトスフィンゴシンの組み合わせをセラミドAPIIと呼ぶ。本分析条件により、セラミドNP、セラミドAPおよびセラミドAPIIの3クラスを分析することが可能であった。当該LC−MS構造解析結果から、TLCで検出された各スポットがセラミドNPとセラミドAPであることが確認された。
【0055】
LC−MS解析とECN〔equivalent carbon number〕および標準品との比較の結果から判定した分子種を
図6に示す。分析の結果、セラミドNPとしては脂肪酸鎖長が22〜26までの11種が、セラミドAPとしては脂肪酸鎖長が22〜26までの10種が、セラミドAPIIとしては脂肪酸鎖長24〜26までの6種が検出され、総セラミド分子としては少なくとも27種が検出された。
【0056】
例えばキンジソウではセラミドNPは全体の約70%を構成し、APは26%、APIIは3%を占めていた。各植物共通して、リグノセリン酸が結合したt18:1−24とt18:0−24の超長鎖脂肪酸型NPが主成分であった。キンジソウとクララでは、t18:0型がそれぞれ全体の36%と39%であったのに対し、バイカイカリソウではt18:0型が全体の53%を占めていた。なお、各結果(特に
図6及び下述の
図7)に示される各セラミドの値(%)は、LC−MSにより分析された各セラミド分子イオンの面積比を示す。
【0057】
以上の結果から、各植物のカルスにおいて加熱処理によりフリーセラミドが新たに生産され、カルスでは分化植物ではほとんど見られないセラミドNPがセラミドの大部分を占めることが明らかになった。加えて、当該セラミドNPが超長鎖型であることも明らかになった。
【0058】
バイカイカリソウにはグルコシルセラミドも多く含まれていたので、同様にLC−MSで分析した(
図7)。植物のグルコシルセラミドは一般に大部分がαヒドロキシ脂肪酸で構成されていることが知られているが、カルスにおいては、脂肪酸鎖長は異なるがフリーセラミドと同様にノンヒドロキシ脂肪酸の割合が約80%と多くを占めていた。
【0059】
<同一植物における分化と未分化細胞との比較>
同一植物における未分化細胞と分化細胞とのセラミドの比較分析を行うため、カルスにおいてセラミドNP生産能の高かったクララの分化植物体を分析した。クララの葉を凍結乾燥してから粉砕し、粉砕乾燥物を調製した。新鮮な植物組織にはフリーセラミドは含まれないことから、加熱処理してから分析した。すなわち、前記粉砕乾燥物に10倍量の水を添加後、45℃で18時間処理した。固液分離して回収した固形部をエタノールで3回抽出し、ろ液を減圧濃縮した。それをFolch法にて分配し、全脂質を得た。さらに弱アルカリ処理物を調製し、TLCで分析した(
図8)。その結果、分化植物ではセラミドAPが生産されるが、セラミドNPはまったく生産されず、セラミドNPを生産する能力は未分化植物に特異的であることが分かった。
【0060】
以上の結果から、次のモデルが考えられる。まず、分化植物でも未分化植物でも加熱処理によりセラミドが生産されるのは、当該加熱処理により、オートファジーが誘導されていると考えることができる。つまり、オートファジーにより、スフィンゴ脂質が各構成成分(糖、リン酸、及びフリーセラミド)に分解されると考えることができる。そして、分化植物においては、細胞内でセラミドNPの大部分は2−水酸化酵素により2−水酸化されてセラミドAPになっているため、スフィンゴ脂質の構成成分もセラミドAPとなり、結果として加熱処理後に(つまり、オートファジーによりスフィンゴ脂質が分解されて)得られるセラミドの大部分がセラミドAPである一方、未分化植物においては、セラミドNPを2−水酸化してセラミドAPを合成する能力が未発達である(例えば、当該2−水酸化酵素が存在しないか、又は活性が弱いことが考えられる)ために、セラミドNPが2−水酸化されてセラミドAPに変換されず、スフィンゴ脂質の構成成分もセラミドNPとなり、結果として加熱処理後に(つまり、オートファジーによりスフィンゴ脂質が分解されて)得られるセラミドの大部分がセラミドNPとなるものと考えられる。当該モデルの概要を
図9に示す。なお、
図9において「死んだ細胞」と説明されるのは、オートファジーを伴ったプログラム細胞死(細胞ストレス等によって誘導される)により死んだ細胞のことである。
【0061】
なお、上述したとおり、植物におけるセラミド合成を概観すると、(I)ジヒドロセラミド(C18脂肪酸型)から2−水酸化、不飽和化、糖転移を経てグルコシルセラミドが合成されるか、あるいは(II)フィトセラミド(C24等の超長鎖脂肪酸型)から2−水酸化、リン酸化、糖転移を経てグリコイノシトールホスホセラミド(GIPC)が合成されるところ、当該モデルにより産生されるセラミドNP及びセラミドAPは、超長鎖型フィトセラミドからの前記(II)合成経路由来である。上記結果から考えると、前記(I)合成経路由来のグルコシルセラミドについては、理由は定かではないが、オートファジーによりスフィンゴイド塩基と脂肪酸とにまで分解されてしまうのではないかと推測される。
【0062】
<分化植物のフリーセラミド>
発芽間もない植物であるスプラウトを中心に分化植物を破砕及び加熱処理して上記と同様にTLCによりセラミドAP産生能力を評価した(
図10)。使用したアブラナ科とマメ科植物のスプラウトはいずれもセラミドAP産生能力が高く、また、芽よりも根の方が高かった。アブラナ科植物では、成長した植物体であるカリフラワー(レーンu)やダイコン皮(レーンv)でもセラミドAP産生量が多かった。また、アブラナ科植物とマメ科植物は、特にセラミドAP産生能力が高いことが示唆された。
【0063】
<分化植物の加熱処理前後の比較>
分化植物を破砕及び加熱処理した際のフリーセラミド産生の一例としてブロッコリー(茎部)と緑豆もやしの上記と同様のTLC分析結果を
図11に示す。ブロッコリーは適当な大きさにカット後送風乾燥(45℃)し、乾燥物を粉砕した。それを、熱水処理、無添加処理、酵素(プロテアーゼ)処理の3群に分け、50℃3時間処理した。生もやしを85℃で湯煎して酵素失活し、水を切った後に破砕して脱水後、固形部をアルコール抽出したものをコントロールとした。セラミド産生用としては生もやしをミキサーで破砕して一晩45℃で静置することにより加熱処理した。脱水処理した固形部をエタノールで3回抽出した。ろ過して回収した抽出液を減圧濃縮し、上記と同様にクロロホルム/メタノール/水で2層に分配し、その下層を全脂質とした。コントロールサンプルとセラミド生産サンプルをそれぞれ弱アルカリ処理し、アルカリ処理物をTLCにて分析した。コントロール(レーンa、d)では極微量しか含まれないセラミドAPは、破砕及び加熱処理後は大きく増加した。しかし、セラミドNPは検出されなかった(TLC上でNPの位置に近接するスポットは、標準品との硫酸熱脱水反応の違い(炭化時間の違い)及びLC−MS分析からセラミドではないことが確認された)。ブロッコリーを中性プロテアーゼで処理すると、固形部にはセラミドAPが含まれ(レーンc)、また液部にはペプチドと遊離アミノ酸が高含有していることが確認されたことから、セラミドAPとアミノ酸エキスを同時生産することが可能であることが分かった。また、ブロッコリーともやしに共通してグルコシルセラミドの分解が見られた。さらに、ブロッコリー及びもやし共にセラミドASD(αヒドロキシ脂肪酸−スフィンガジエニン)もわずかに検出され、LC−MSで確認されたその構造上の特徴からグルコシルセラミドの分解物と推測された。もやしのスフィンゴイド塩基分析の結果から、スフィンガジエニンと同じRf値を示すスポットが検出されたが、フィトスフィンゴシンは検出されなかった。
【0064】
以上から、分化植物においては破砕及び加熱処理によりセラミドAPが選択的に生産され、それ以降分解されずに蓄積されると考えられた。また、その一方で、グルコシルセラミドは分解され、フリーセラミドを経て大部分はスフィンゴイド塩基(スフィンガジエニン)まで分解されることが考えられた。さらに、当該結果は、上述したモデル(
図9)とも合致していると考えられた。
【0065】
<ナス科植物の部位差分析>
ピーマンを可食部と胎座とに分け、それぞれ加熱処理を行い、TLCで分析した。ナス科植物であるピーマンの可食部からはセラミドはあまり生産されなかったが、胎座からは多くのセラミドAPが生産された(
図12)。
【0066】
<カルスからのセラミドNP高含有エキスの製造>
キンジソウのカルスを液体培地(組成:MS培地、スクロース、2,4−D 1ppm、)に移し、培養した。2カ月後、細胞をろ過回収し、水で洗浄を繰り返し、新鮮植物細胞として1kgを得た。それを凍結乾燥器で乾燥し、105gの乾燥細胞を得た。乾燥細胞を粉砕機で粉砕した。細胞に500mlの水を添加し、45℃で18時間静置した。それに1Lの水を添加し、よく撹拌後、ろ過して液部と固形部とに分けた。液部は、目開き1μm、及び0.45μmのろ紙でろ過し、清澄化したエキスを調製した。固形部はエタノールで3回抽出し、そのろ液を減圧濃縮した。エキスは、エタノール/水(2:1)50mLを添加して撹拌し、ろ過して固形部と液部に分けた。固形部を回収し、再度含水エタノールで撹拌し、ろ過した。固形部を回収し、アセトン30mLを添加して4℃に冷却してからろ過した。固形部を乾燥処理し、0.32gの乾燥物を得た。この乾燥物に含まれるセラミドを定量すると、セラミドNPが0.16g、セラミドAPが0.08gであった。
【0067】
<農産加工副産物のブロッコリー茎およびダイコン皮からのセラミドAP高含有エキスの製造>
ブロッコリー収穫時に発生する茎部、およびダイコン加工時(おろし、つま等)の副産物のダイコン皮をセラミドAP産生用試料として用いた。また、生鮮植物のなかでも比較的タンパク質含量の高いブロッコリーについては、酵素抽出法によりタンパク質分解と加熱処理を行った。ブロッコリー茎1kgを45℃で20時間送風乾燥し、乾燥物を粉砕して粉末70gを得た。当該ブロッコリー粉末50gに、中性プロテアーゼ(パパイン、ナガセケムテックス)を添加した水1000gを添加し、50℃5時間処理した。その後、85℃20分間酵素失活の処理を行い、室温まで戻した。
【0068】
ダイコン皮は、機械で裁断、脱水処理して約14%まで減量した皮を使用した。500gをミキサーで破砕後、50℃、5時間静置した。
【0069】
酵素分解ブロッコリーとダイコン皮は、それぞれろ紙(5A、アドバンテック)でろ過し、固形部を回収し、乾燥した。ブロッコリーのろ液は、さらにろ紙(5C,アドバンテック)でろ過した。得られた乾燥固形部は粉砕してから、4倍容の99%エタノールを添加して抽出した。ろ過後(No.1、アドバンテック)、ろ液を減圧濃縮した。濃縮したエキスを上述のセラミドNP精製と同様に、セラミド非溶媒である含水エタノール、アセトンで洗浄し、ブロッコリー茎では0.09g、ダイコン皮では0.1gのセラミドAP高含有の乾燥物を得た。また、ろ液に含まれるニンヒドリン陽性物質(主にペプチド及びアミノ酸)の量を確認したところ、前記ろ液に含まれるニンヒドリン陽性物質量は、プロテアーゼ未処理以外は同様にして得たろ液に含まれるニンヒドリン陽性物質量に比べ、約3.4倍に増加していた。LCで定量した遊離アミノ酸量も、同様に約3倍増加していた。
【0070】
以上のことから、酵素を用いたタンパク質分解処理は、セラミド産生のための加熱処理を兼ねられることが分かった。よって、特にセラミド産生のための加熱処理に適した温度で活性を有するタンパク質分解酵素を用いたタンパク質分解処理を行うことで、ペプチド及び/又はアミノ酸とセラミドとの両方を産生できることが分かった。
[付記]
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
未分化植物由来原料をオートファジー誘導条件下に供する工程を含む、セラミドNP製造方法。
[2]
(i)未分化植物由来原料を30〜70℃で熱する工程、
(ii)未分化植物由来原料を破砕する工程、及び
(iii)未分化植物由来原料を貧栄養状態に置く工程、
からなる群より選択される少なくとも1工程を含む、セラミドNP製造方法。
[3]
未分化植物由来原料が、未分化植物、未分化植物の乾燥物、又は未分化植物の破砕物である、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]
乾燥物が凍結乾燥物、真空乾燥物、若しくは送風乾燥物であり、及び/又は、破砕物が凍結乾燥破砕物、真空乾燥破砕物、若しくは送風乾燥破砕物である、[3]に記載の方法。
[5]
未分化植物由来原料をオートファジー誘導条件下に供する工程が、
(i)未分化植物由来原料を30〜70℃で熱する工程、
(ii)未分化植物由来原料を破砕する工程、及び
(iii)未分化植物由来原料を貧栄養状態に置く工程、
からなる群より選択される少なくとも1工程である、[1]に記載の方法。
[6]
植物が、キク科植物、マメ科植物、メギ科植物、アブラナ科、バラ科、イネ科、ラン科、ハス科、セリ科、ナス科、ヒルガオ科、サトイモ科、アカザ科、ショウガ科、アカネ科、アヤメ科、ウコギ科、ウルシ科、カエデ科、カキノキ科、キンポウゲ科、クスノキ科、クワ科、サボテン科、シソ科、ウリ科、ミカン科、ユリ科、アオイ科、スイレン科、キジカクシ科、アカテツ科、ヒノキ科、ムラサキ科、ミロタムヌス科、ナデシコ科、サボテン科、ツツジ科及びツバキ科からなる群より選択される少なくとも1種の植物である、[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]
工程(i)を含み、工程(i)における熱する時間が1〜24時間である、[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8]
セラミドNP及び/又はセラミドAPの生産量を制御する方法であって、
(i)植物由来原料を30〜70℃で熱する工程、
(ii)植物由来原料を破砕する工程、及び
(iii)植物由来原料を貧栄養状態に置く工程、
からなる群より選択される少なくとも1工程を含み、用いる植物由来原料において、未分化植物由来原料及び分化植物由来原料の使用割合及び/又は使用量を調節することを含む、方法。
[9]
未分化植物由来原料及び分化植物由来原料の使用量の調節が、セラミドNPの生産を増量したい場合には未分化植物由来原料の使用割合及び/又は使用量を増やし、セラミドAPの生産を増量したい場合には分化植物由来原料の使用割合及び/又は使用量を増やすことを含む、[8]に記載の方法。
[10]
セラミドNP及び/又はセラミドAP、並びにペプチド及び/又はアミノ酸を生産する方法であって、
(i)植物由来原料を30〜70℃で熱する工程、
(ii)植物由来原料を破砕する工程、及び
(iii)植物由来原料を貧栄養状態に置く工程、
からなる群より選択される少なくとも1工程を含み、
且つ工程(i)を必ず含む、方法。
[11]
セラミドNP及び/又はセラミドAP、並びにペプチド及び/又はアミノ酸を生産する方法であって、
(i)植物由来原料を30〜70℃で熱する工程、
(ii)植物由来原料を破砕する工程、及び
(iii)植物由来原料を貧栄養状態に置く工程、
からなる群より選択される少なくとも1工程を含み、
且つ工程(i)を必ず含み、ここで植物由来原料を30〜70℃で熱する工程が、30〜70℃で活性を有するタンパク質分解酵素の存在下で植物由来原料を30〜70℃で熱する工程である、[10]に記載の方法。