(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6860227
(24)【登録日】2021年3月30日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】キャップの検査方法及び検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/90 20060101AFI20210405BHJP
【FI】
G01N21/90 Z
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-84511(P2019-84511)
(22)【出願日】2019年4月25日
(65)【公開番号】特開2020-180885(P2020-180885A)
(43)【公開日】2020年11月5日
【審査請求日】2020年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014661
【氏名又は名称】キリンテクノシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】木方 健心
(72)【発明者】
【氏名】高橋 千代子
【審査官】
越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−027609(JP,A)
【文献】
特開2017−120201(JP,A)
【文献】
特開平9−169392(JP,A)
【文献】
特開2011−69771(JP,A)
【文献】
特開2005−189167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップを側方から撮影した画像を撮像手段により取得し、得られた画像に基づいて前記キャップの本体とリングとを繋ぐブリッジの良否を検査するキャップの検査方法であって、
前記キャップを前記撮像手段による撮影方向に対して反対側から背面照明手段により照明する背面照明手順と、
前記撮像手段による撮影方向に対して同一の側から前記キャップの内周面を照明するように配置された第1の内部照明手段、又は前記撮像手段による撮影方向に対して反対側から前記キャップの内周面を照明するように配置された第2の内部照明手段のいずれか一方を前記キャップの反射率に応じて選択し、選択された第1又は第2の内部照明手段により前記キャップの内周面を照明する内部照明手順と、
前記背面照明手順及び前記内部照明手順とによって照明されたキャップを前記撮像手段により撮影した画像を取得する撮像手順と、
を含むキャップの検査方法。
【請求項2】
前記内部照明手順では、前記キャップの反射率が所定の基準値以上の場合には前記第1の内部照明手段による照明を選択し、前記キャップの反射率が前記基準値未満の場合には前記第2の内部照明手段による照明を選択する請求項1に記載のキャップの検査方法。
【請求項3】
前記キャップの周方向に位置をずらして複数の撮影範囲を設定し、
各撮影範囲ごとに前記撮像手段、前記背面照明手段、前記第1の内部照明手段及び前記第2の内部照明手段を含んだ検査ユニットを配置し、
前記背面照明手順、前記内部照明手順、及び前記撮像手順を、前記検査ユニットごとに時期をずらして実施する請求項1又は2に記載のキャップの検査方法。
【請求項4】
キャップを側方から撮影した画像に基づいて前記キャップの本体とリングとを繋ぐブリッジの良否を検査するキャップの検査装置であって、
前記キャップを側方から撮影した画像を取得する撮像手段と、
前記キャップを前記撮像手段による撮影方向に対して反対側から照明する背面照明手段と、
前記撮像手段による撮影方向に対して同一の側から前記キャップの内周面を照明する第1の内部照明手段と、
前記撮像手段による撮影方向に対して反対側から前記キャップの内周面を照明する第2の内部照明手段と、
を備え、
前記第1の内部照明手段による照明、及び前記第2の内部照明手段による照明が選択可能とされたキャップの検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップの本体とリングとを繋ぐブリッジの良否を検査する方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料容器等の密封に用いられるキャップとして、本体とリングとが幅の細い複数のブリッジにて繋がれ、ブリッジが破断して本体とリングとが相対回転可能か否かによりキャップが開封済か否かを判別できるようにしたキャップが知られている。この種のキャップには、ブリッジが破断する欠陥(ブリッジ切れと呼ばれることがある。)が存在していることがある。そのため、キャップの製造工程あるいはキャップを用いた容器の密封工程等ではブリッジの良否を検査する必要がある。このような検査に用いられる方法としては、上下方向に反転して配置されたキャップを挟んでカメラとバックライト照明器とを配置するとともに、カメラと同一の側でかつ斜め上方からキャップの内周面に照明光を照射する内部用照明器を配置し、バックライト照明器からの照明光によりキャップをシルエットとしてカメラで撮影しつつ、ブリッジ切れで生じた隙間から反射光が漏れ出ている箇所がシルエット中に出現している否かを判別する検査方法及び装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−27609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
キャップの内周面における反射光を利用してブリッジの良否を検査する場合、キャップ内周面の反射率が不足すると、ブリッジ切れで生じた微小な隙間から漏れる光量が低下し、欠陥の見逃しが生じて検査精度が劣化する。市場には、色味、材質等の属性が異なる種々のキャップが提供され、内周面の反射率も様々であるため、従来の技術では検査可能なキャップが制限されるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、キャップのブリッジの良否をその内周面の反射率に応じた適切な手法で検査することが可能なキャップの検査方法及び検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るキャップの検査方法は、キャップ(CP)を側方から撮影した画像を撮像手段(4)により取得し、得られた画像に基づいて前記キャップの本体(Cm)とリング(Cr)とを繋ぐブリッジの良否を検査するキャップの検査方法であって、前記キャップを前記撮像手段による撮影方向(矢印D方向)に対して反対側から背面照明手段(5)により照明する背面照明手順と、前記撮像手段による撮影方向に対して同一の側から前記キャップの内周面を照明するように配置された第1の内部照明手段(6)、又は前記撮像手段による撮影方向に対して反対側から前記キャップの内周面を照明するように配置された第2の内部照明手段(7)のいずれか一方を前記キャップの反射率に応じて選択し、選択された第1又は第2の内部照明手段により前記キャップの内周面を照明する内部照明手順と、前記背面照明手順及び前記内部照明手順とによって照明されたキャップを側方から撮影した画像を前記撮像手段により取得する撮像手順と、を含むものである。
【0007】
上記態様の検査方法によれば、キャップ内で十分な量の反射光が得られる場合には第1の内部照明手段による照明を選択し、キャップ内で十分な量の反射光が得られない場合には第2の内部照明手段による照明を選択し、かつ背面側からの照明よりキャップをシルエット化するように照明しつつキャップを側方から撮影することにより検査を実施する。内部照明手段の選択により、キャップの内周面における反射率に関わりなく、ブリッジ切れに伴って生じた微小な隙間から漏れ出る光の像をシルエット化されたキャップの画像中に明部として明瞭に出現させてブリッジ切れを精度よく検出することができる。
【0008】
上記態様の検査方法において、前記内部照明手順では、前記キャップの反射率が所定の基準値以上の場合には前記第1の内部照明手段による照明を選択し、前記キャップの反射率が前記基準値未満の場合には前記第2の内部照明手段による照明を選択するようにしてもよい。これによれば内部照明手段を基準値に従って適切に使い分けることができる。
【0009】
上記態様の検査方法において、前記キャップの周方向に位置をずらして複数の撮影範囲(R)を設定し、各撮影範囲ごとに前記撮像手段、前記背面照明手段、前記第1の内部照明手段及び前記第2の内部照明手段を含んだ検査ユニット(3A、3B、3C)を配置し、
前記背面照明手順、前記内部照明手順、及び前記撮像手順を、前記検査ユニットごとに時期をずらして実施してもよい。これによれば、キャップを周方向に分割して撮影することにより、キャップを中心線の廻りに自転させなくともキャップの全周を検査することが可能である。
【0010】
本発明の一態様に係る検査装置(1)は、キャップ(CP)を側方から撮影した画像に基づいて前記キャップの本体(Cm)とリング(Cr)とを繋ぐブリッジの良否を検査するキャップの検査装置であって、前記キャップを側方から撮影した画像を取得する撮像手段(4)と、前記キャップを前記撮像手段による撮影方向に対して反対側から照明する背面照明手段(5)と、前記撮像手段による撮影方向に対して同一の側から前記キャップの内周面を照明する第1の内部照明手段(6)と、前記撮像手段による撮影方向に対して反対側から前記キャップの内周面を照明する第2の内部照明手段(7)と、を備え、前記第1の内部照明手段による照明、及び前記第2の内部照明手段による照明が選択可能とされたものである。
【0011】
上記態様の検査装置によれば、背面照明手段によりキャップを撮影方向に対する反対側から照明しつつ、キャップの反射率に応じて第1又は第2の内部照明手段を選択してキャップの内周面を照明し、それらの照明に同期して撮像手段にてキャップを撮影することにより、上記態様の検査方法における背面照明手順、内部照明手順及び撮像手順を実施してキャップのブリッジの良否を検査することができる。
【0012】
上記態様の検査装置においては、前記キャップの周方向に位置をずらして設定された複数の撮影範囲(R)ごとに配置され、前記撮像手段、前記背面照明手段、前記第1の内部照明手段及び前記第2の内部照明手段を含んだ複数の検査ユニット(3A、3B、3C)と、前記背面照明手段による照明と、前記第1の内部照明手段又は前記第2の内部照明手段による照明と、それらの照明に同期した前記撮像手段による前記画像の取得とが、前記検査ユニットごとに時期をずらして実施されるように、前記複数の検査ユニットの動作を制御する制御手段(10)とをさらに備えてもよい。これによれば、キャップを周方向に分割して撮影することにより、キャップを中心線の廻りに自転させなくともキャップの全周を検査することが可能である。
【0013】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】
図1の検査装置に設けられた検査ユニットの構成例を示す図。
【
図3】
図1の検査装置における検査手順の一例を示すタイミングチャート。
【
図4】
図1の検査装置に設けられた制御ユニットが実行する検査処理の手順の一例を示すフローチャート。
【
図5】反射率が相対的に高いキャップを検査するときに取得された画像の一例を示す図。
【
図6】反射率が相対的に低いキャップを検査するときに取得された画像の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1及び
図2は本発明の一形態に係る検査装置の一例を示している。
図1に示すように、検査装置1は、キャップCPを搬送するための搬送ライン2上の適宜の位置に設けられる。搬送ライン2は一例としてベルトコンベアである。搬送ライン2は直線状にレイアウトされる例に限らず、適宜にレイアウトされてよい。キャップCPは一例として樹脂製である。検査装置1は、3つの検査ユニット3A、3B、3C(以下、参照符号3で代表することがある。)を含んでいる。
【0016】
各検査ユニット3は互いに等しい構成を備えている。以下、
図2を参照して一つの検査ユニット3を構成を説明する。なお、
図2から明らかなように、キャップCPは上下に反転された状態で、言い換えれば開口部が鉛直方向上方に向けられた状態で搬送ライン2上に配置されている。キャップCPは、本体CmとリングCrとがそれらの境界に位置するブリッジ部Cbにて幅の細い複数のブリッジ(不図示)にて繋がれた周知の構成を備えている。
【0017】
検査ユニット3は、キャップCPを側方から撮影した画像を取得する撮像手段の一例としてのカメラ4と、キャップCPをカメラ4による撮影方向(
図1及び
図2の矢印D方向)と反対側から照明する背面照明手段の一例としてのバックライト照明器5(
図1では図示が省略されている。)と、キャップCPの内周面を照明する第1の内部照明手段の一例としての第1の内部照明器6と、第2の内部照明手段の一例としての第2の内部照明器7とを備えている。
【0018】
カメラ4は、CCDやCMOSといったイメージセンサを利用して、結像面に結像した光学的な画像を電子的な画像に変換し、その電子的な画像に対応する画像信号を出力する周知の撮影装置である。バックライト照明器5は、カメラ4の視野内において、キャップCPよりも大きい発光面5aを備えた照明装置である。
図2では理解の便宜のためにキャップCPを拡大して描いており、キャップCPとバックライト照明器5との間の実際の大小関係を示すものではない。カメラ4とバックライト照明器5の発光面5aとはキャップCPを挟んで対向するように配置されている。カメラ4にて撮影される画像では、バックライト照明器5による照明光がキャップCPにて遮られることにより、キャップCPがシルエットとして写し込まれる。キャップCPをシルエット化して撮影することにより、ブリッジ部Cbから光が漏れ出る場合のコントラストを増加させ、ブリッジ切れの欠陥の検出精度を高めることができる。
【0019】
第1及び第2の内部照明器6、7のそれぞれは、LED等を光源として比較的絞られたビーム状の照明光を照射する照明装置である。第1の内部照明器6は、図中に実線で示すように、カメラ4による撮影方向に対して同一の側からキャップCPの内周面を照明するように照明光L1を照射する。一方、第2の内部照明器7は、図中に破線で示すように、カメラ4による撮影方向に対して反対側からキャップCPの内周面を照明するように照明光L2を照射する。キャップCPの内部に照明光L1、L2を入射させるため、内部照明器6、7のそれぞれは、キャップCPの斜め上方からキャップCPの内周面のブリッジ部Cbを中心とした範囲に向かって照明光L1、L2を照射するように配置されている。言い換えれば、内部照明器6、7は、水平面に対して斜め下方に照明光L1、L2を照射するように傾けられている。照明光L1、L2の水平面に対する傾斜角は、照明光L1、L2がキャップCPにケラれることなく、ブリッジ部Cb付近の内周面に入射する程度に調整されていればよい。
【0020】
図1に戻って、検査装置1を搬送ライン2の上方から見たとき、検査ユニット3A〜3Cのそれぞれは、3台のカメラ4にてキャップCPの全周を分割して撮影することができるように、各カメラ4による撮影範囲RをキャップCPの周方向に互いにずらした状態で配置されている。言い換えれば、キャップCPの周方向に位置をずらして複数の撮影範囲Rが設定され、撮影範囲Rごとに検査ユニット3が配置されている。各カメラ4の撮影範囲Rは互いに部分的に重複する。なお、
図1から明らかなように、各検査ユニット3を鉛直方向から見たとき、各検査ユニット3の内部照明器6、7は同一の検査ユニット3のカメラ4と一直線状に並ぶように配置されている。
【0021】
検査装置1にはさらに制御手段の一例としての制御ユニット10が設けられている。制御ユニット10は、キャップCPの検査に必要な画像が取得されるように各検査ユニット3のカメラ4、バックライト照明器5、第1及び第2の内部照明器6、7の動作を制御し、かつカメラ4が取得した画像に基づいてキャップCPにブリッジ切れの欠陥が生じているか否かを判別する。制御ユニット10には、入力ユニット11及び出力ユニット12が接続されている。入力ユニット11は、検査装置1のオペレータ等が制御ユニット10に対して各種の指示を与えるために使用される。出力ユニット12は、制御ユニット10によるブリッジ切れの検査結果を出力するために使用される。出力ユニット12には例えばモニタ、プリンタ等の出力装置が適宜に用いられてよい。
【0022】
次に、
図3及び
図4を参照して、検査装置1によるブリッジ切れの検査方法の一例を説明する。
図3は制御ユニット10による検査ユニット3の動作制御の一例を示している。なお、
図3においては検査ユニット3A〜3CをユニットA〜Cと表記し、検査ユニット3が動作している状態をオン、動作していない状態をオフと表記している。制御ユニット10は、キャップCPが搬送ライン2上に設定された検査区間に搬入されると、検査ユニット3A〜3Cを順に動作させてキャップCPを撮影する。つまり、カメラ4によるキャップCPの撮影は、検査ユニット3ごとに時期をずらして実施される。複数の検査ユニット3が同時に動作することはない。したがって、一つの検査ユニット3の照明が他の検査ユニット3におけるキャップCPの撮影に影響を与えるおそれはない。なお、検査区間は、各カメラ4にてキャップCPを撮影することが可能な区間として定められてよい。一例として、全てのカメラ4の視野内にキャップCPが位置する区間として検査区間が定められてよい。
【0023】
一つの検査ユニット3の動作時には、その検査ユニット3に含まれるバックライト照明器5が点灯し(背面照明手順)、かつ内部照明器6、7のいずれか一方が選択的に点灯する(内部照明手順)。また、それらの照明に同期してカメラ4による撮影が行われる(撮像手順)。内部照明器6、7のいずれを点灯するかは、キャップCPの内周面の反射率に基づいて決定される。キャップCPの内周面における反射率が相対的に高い場合には第1の内部照明器6が点灯し、反射率が相対的に低い場合には第2の内部照明器7が点灯するように、点灯対象の内部照明器6、7が選択される。その理由は次の通りである。
【0024】
キャップCPの反射率が高い場合には、カメラ4側の第1の内部照明器6からの照明光L1をキャップCP内で反射させ、その反射光をブリッジ部Cbに導くことにより、ブリッジ切れが生じているキャップCPのブリッジ部Cbから十分な光量の光L3(
図2参照)を出射させることができる。一方、キャップCPの反射率が低い場合には、第1の内部照明器6からキャップCPの内周面を照明してもカメラ4側のブリッジ部Cbに十分な光量の光が到達せず、ブリッジ切れを見逃すおそれが生じる。そこで、キャップCPの反射率が低い場合には、第2の内部照明器7からカメラ4側のブリッジ部Cbの内周側に照明光L2を直接的に照射して、ブリッジ切れが生じているブリッジ部Cbから十分な光量で光L3を出射させる。
【0025】
キャップCPの内周面における反射率に関わりなく第2の内部照明器7にてキャップCPの内周面を照明した場合には、キャップCPに入射した光がキャップCP内で拡散し、その拡散光の一部がキャップCPの全体から外部に漏れ出てカメラ4に入射するおそれがある。その場合、バックライト照明器5からの照明光によってキャップCPをシルエット化する効果が損なわれてブリッジ切れの検出に支障が生じる。例えば、キャップCPが白色、又は比較的薄い色味で着色され、あるいはキャップCPが半透明の素材で形成されている場合には、キャップCPの内周面の反射率が比較的高い一方で、キャップCP内で光が拡散してその一部が外側に透過し易い。このような場合には第1の内部照明器6による照明が検査に適している。一方、キャップCPが黒色、あるいは比較的濃い色味で着色されているような場合には、キャップCPの内周面における反射率が比較的低い一方で、照明光がキャップCPを透過してシルエット化の効果が損なわれるおそれも低い。このような場合には、第2の内部照明器7による照明が検査に適している。そのため、キャップCPの内周面の照明に関して第1及び第2の内部反射器6、7を設け、キャップCPの反射率に応じていずれか一方を点灯対象として選択することにより、キャップCPをその内周面の反射率に応じて適切に照明することができる。
【0026】
内部照明器6、7の選択に関しては、検査対象のキャップCPの反射率に関して適宜に基準値を設定し、反射率が基準値以上のキャップCPを検査する場合は第1の内部照明器6による照明を選択し、反射率が基準値未満のキャップCPを検査する場合は第2の内部照明器7による照明を選択するようにしてもよい。また、内部照明器6、7の選択は、入力ユニット11を介して予め制御ユニット10に指示されてもよい。その指示は、例えば検査装置1のオペレータが入力ユニット11を介して手作業で入力してもよい。搬送ライン2上にキャップCPの内周面における反射率を検出する計測手段を配置し、その計測手段が計測した反射率と基準値との比較に基づいて制御ユニット10が点灯対象を選択してもよい。
【0027】
図4は、キャップCPが検査区間に搬入されるごとに制御ユニット10が実行する検査処理の手順の一例を示している。制御ユニット10は、検査処理を開始するとまず各検査ユニット3を
図3に例示したように順次動作させて3台のカメラ4のそれぞれが撮影したキャップCPの画像を取得する(ステップS1)。次に、制御ユニット10は、得られた画像に対して、キャップCPの位置を補正する処理、二値化処理といった画像処理を施して、検査に適した画像を生成する(ステップS2)。その後、制御ユニット10は、ステップS2で生成した各画像にて、ブリッジ部Cbから漏れ出た光による明部が存在するか否かによりキャップCPのブリッジの良否を判定し(ステップS3)、その判定結果を出力ユニット12に出力する(ステップS4)。以上により、制御ユニット10は一つのキャップCPに対する検査処理を終了する。
【0028】
以上の形態の検査装置1にて実際にキャップCPを撮影した画像の一例を
図5及び
図6に示す。
図5は第1の内部照明器6を用いてキャップCPの内周面を照明した場合の画像を示し、
図6は第2の内部照明器7を用いてキャップCPの内周面を照明した場合の画像を示している。
図5の画像のキャップCPは半透明白色であり、
図6の画像のキャップCPは黒色である。各図において、上段はキャップ切れが生じているキャップCPを撮影した画像の例、下段はキャップ切れが生じていないキャップCPを撮影した画像の例である。
図5の例、
図6の例のいずれにおいても、ブリッジ切れが生じているキャップCPを撮影した場合には、図中に白色の矩形で囲んで示したように、ブリッジ部Cbから漏れ出た光の像が出現している。一方、ブリッジ切れがないキャップの画像ではそのような像が見られない。これらの結果によれば、内部照明器6、7をキャップCPの反射率に応じて適宜に使い分けることにより、反射率が異なる種々のキャップCPにおけるブリッジの良否を適切に検査し得ることが確認できる。
【0029】
本発明は上述した形態に限定されることなく、種々の変形又は変更を施した形態にて実施することが可能である。例えば、上記の形態では、3組の検査ユニット3を設置して3台のカメラ4によりキャップCPを周方向に分割して撮影したが、検査ユニット3の個数は3に限らず、適宜に変更されてよい。キャップCPをその中心線の廻りに自転させ、単一の検査ユニット3によりキャップCPの全周を検査してもよい。ただし、上記形態のように、複数台のカメラ4にてキャップCPを周方向に分割して撮影する場合には、キャップCPを中心線の廻りに自転させなくともキャップCPの全周の画像を取得できるため、キャップCPを自転させることが困難又は不可能な環境でもキャップCPの全周を検査できる利点がある。
【0030】
検査ユニット3には、照明光L1、L2を整えるためのレンズ、拡散板といった各種の光学部品が設けられてもよい。カメラ4はキャップCPの側方に配置されることを必ずしも要しない。ミラーその他の各種の光学部品を用いてキャップCPを側方から見た画像をカメラ4に導くことができる限り、カメラ4の位置は適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 検査装置
3、3A、3B、3C 検査ユニット
4 カメラ(撮像手段)
5 バックライト照明器(背面照明手段)
6 第1の内部反射器(第1の内部照明手段)
7 第2の内部照明器(第2の内部照明手段)
10 制御ユニット(制御手段)