(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の装置では、散薬収容カセットから容器の散薬排出前後の重さを秤量することで、排出された散薬の重量を算出している。また、特許文献2記載の装置では、散薬収容容器と回転円盤とを含む重量を秤量部で秤量し、散薬収容容器に投入した散薬の投入量を算出している。
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の技術では散薬収容カセットから計量装置のトラフに落下される散薬の重量を測定し、さらに測定された散薬がトラフから回転体の凹溝に供給されるものである。したがって、測定された散薬の重量と凹溝に供給された散薬の重量とは必ずしも一致しない。すなわち、トラフには少量の散薬が残ってしまい、回転体に供給された散薬は測定された量よりも少なくなる。これは、残った散薬を清掃しなければならないということが記載されていることからも明らかである。
【0007】
また、特許文献2記載の技術では、散薬が収容された散薬収容容器と回転円盤との重量を測定しており、この散薬収容容器から回転円盤に散薬を落下させて、落下した散薬を1包ずつに分配するものである。このため、特許文献2においても、散薬収容容器に付着した散薬は落下せず、分配される散薬の重量は測定して算出した重量とは必ずしも一致しないものである。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、配分円盤に実際に供給された配分直前の散薬の重量を測定することにより、分包される散薬の重量を正確に測定することができる散薬分包装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題を解決するために、本発明の散薬分包装置は、一処方分の散薬が円盤の外周近傍に落下されることにより散薬が均等に配分される配分円盤と、前記配分円盤が載置されて前記配分円盤を回転駆動する回転駆動部と、前記回転する配分円盤に対して散薬を少量ずつ落下させて供給する散薬収容容器と、
前記散薬収容容器から前記配分円盤への散薬を供給する振動部と、前記回転駆動部の下方に設けられ、前記散薬収容容器を除く前記配分円盤及び前記回転駆動部の総重量を測定することにより、前記散薬収容容器から前記配分円盤に散薬を落下させながら供給された散薬の重量を測定する秤量部と、
前記秤量部の重量測定結果に基づいて前記散薬収容容器から前記配分円盤に供給しているときの単位時間当たりの重量増加値と予め取得している一処方重量とに基づいて、一処方重量に到達する直前の所定量を算出し、測定した散薬の重量が前記算出した所定量に達したとき前記振動部の駆動を低下し、測定した散薬の重量が一処方重量となったとき前記振動部の駆動を停止するように制御する制御部と、前記配分円盤から1包分ずつ散薬を放出して包装する包装装置と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態の散薬分包装置の円盤配分部の正面図。
【
図2】第1の実施形態の散薬分包装置の円盤配分部と秤量部を示す斜視図。
【
図3】第1の実施形態の散薬分包装置の円盤配分部と秤量部を示す正面図。
【
図4】第1の実施形態の散薬分包装置の円盤配分部と回転駆動部の分解正面図。
【
図5】第1の実施形態の散薬分包装置のブロック図。
【
図6】第1の実施形態の秤量部の時間と測定値との関係を示すグラフ。
【
図7】第1の実施形態の散薬分包装置の動作を示すフローチャート。
【
図8】第2の実施形態の散薬分包装置の円盤配分部と秤量部及び分包部を示す平面図。
【
図9】第2の実施形態の散薬分包装置の円盤配分部と秤量部及び分包部を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下、実施形態に係る散薬分包装置を、図面を用いて説明する。
【0012】
図1は本実施形態の円盤配分部の正面図である。
図1において、円盤配分部は、秤量装置10とその上部に配置された回転駆動部30と、回転駆動部30の上部に設置された散薬の配分円盤である受け皿20とから構成されている。秤量装置10は振動吸収体14を介して分包装置の筐体連結部16に固定されている。
【0013】
図2は円盤配分部から受け皿20を取り外した状態の斜視図で、
図3は円盤配分部から受け皿20を取り外した状態の正面図である。
図4は回転駆動部30を分解し、モータ32とプーリ38とを回転駆動部30のベース31から上方に移動した状態を示す図である。
【0014】
図2乃至
図4に示されるように、秤量装置10の被測定物載置部12には回転駆動部30のベース31が固定されている。
図4の分解図に示されるように、ベース31にはベアリング35が固定されており、このベアリング35の周囲にはプーリ38が回転可能に設けられている。このプーリ38の上部には受け皿ベース36が固定されており、この受け皿ベース36の上部には配分円盤を構成する受け皿20が着脱自在に固定されている。
【0015】
プーリ38の外周にはタイミングギヤが形成されており、ベース31に固定されたモータ32の軸に取り付けられたタイミングギヤ33とプーリ38との間にはタイミングベルト34が掛渡されている。
【0016】
このような構成とすることにより、秤量装置10は、その秤量装置10の被測定物載置部12に固定されている回転駆動部30のベース31を含み、ベース31上に設けられているモータ32、プーリ38、ベアリング35、受け皿ベース36、及び配分円盤である受け皿20等の総重量を測定することが可能である。換言すると、受け皿20に散薬が供給されていない状態では回転駆動部30等の風袋の重量を測定していることになる。
【0017】
図1に戻って説明すると、受け皿20の上部には図示しない筐体に固定された散薬のフィーダ部60が設けられている。この散薬フィーダ部60には散薬が収容された散薬収容容器61が交換可能に取り付けられる。また、散薬フィーダ部60には、取り付けられた散薬収容容器61から散薬を受け皿20に少量ずつ落下させるための振動部62が設けられている。この散薬フィーダ部60は分包装置の筐体に固定されており、秤量装置10の重量測定対象とはなっていない。したがって、秤量装置10は被測定物載置部12に固定された回転駆動部30、受け皿20等の総重量に、薬剤収容容器61から受け皿20に供給された散薬の重量を加算した重量を測定することになる。このため、秤量装置10が測定した重量から前述した風袋の重量を差し引くことにより、散薬収容容器61から受け皿20に実際に供給した散薬の重量を算出することができる。
【0018】
散薬収容容器61から受け皿20に散薬を供給するときは、モータ32によって受け皿20を回転させながら振動部62によって散薬収容容器61を振動させることで散薬を受け皿20上に落下させる。これによって受け皿20上に環状の散薬の山が形成される。
【0019】
また、50は受け皿20に形成された環状の散薬を一包分ずつ落下ホッパ51に落下させるための掻き出し部である。この掻き出し部50は、レバー53がモータ52によって、軸54を中心にして上下に回動可能である。このレバー53の先端にはディスク55が取り付けられ、モータ56で矢印56a方向に回転可能である。散薬を回転する受け皿20に捲くときはレバー53が反時計方向に回動してディスク55が受け皿20から離れ、受け皿20から散薬を分配するときはレバー53が時計方向に回動してディスク55が受け皿20と接する。
【0020】
そして、ディスク55が回転することによって受け皿20上に捲かれた散薬を1包分ずつ落下ホッパ51に落下させ、 2つ折りされた分包紙57間に収容されるものである。これら掻き出し部50については周知の技術であり、例えば特開2019-202801号公報記載のものである。
【0021】
ここで、配分円盤である受け皿20の下には秤量装置10が設けられており、散薬を収容する分包紙57を特開2019−202801号公報記載のように水平方向に搬送することができない。すなわち、受け皿20から放出された散薬を落下ホッパ51に落下させ、水平搬送される包装紙に収容させるためには、落下ホッパ51を縦に長いものにする必要が生じる。これは、長い落下ホッパ中を散薬が通過することとなり、落下ホッパに付着する散薬が多くなることから、包装される散薬の重量が不正確なものとなる虞がある。また、落下ホッパが大きくなることから分包装置も大型となる虞がある。
【0022】
このため、
図1に示すように包装装置70は斜め搬送の包装装置が用いられている。すなわち、2つ折りされた分包紙57を巻き付けたロール(図示省略)を有する水平搬送の包装装置70が、その包装装置の70の底面が分包装置に対して斜めに装着されるようになっている。このロールから前方に引き出された分包紙57は全面側で右斜め下方に搬送される。
【0023】
そして、
図1に示すように、配分円盤である受け皿20から配分された散薬は、配分円盤のすぐ下で落下ホッパ51に落下させ、2つ折りされた分包紙57間に収容する。この散薬が収容された分包紙57は包装装置70内で1包ずつにシールされて、図中右下方向に斜め搬送され、秤量装置10の下を通って分包薬剤集積部75に集積される。このように、包装装置70の分包紙57の搬送路を斜め搬送とすることにより、配分円盤の下方に秤量装置10を設けても装置を大型化することなく構成することができる。散薬が収容された分包紙57は分包薬剤集積部75に設けられたリールによって巻き取るようにしてもよいし、機体外に搬送排出するようにしてもよい。なお、
図1では包装装置70を簡略化して記載してあるが、実際には
図9記載のように構成されている。
【0024】
図5は散薬分包装置のブロック図である。
図5において、100は散薬分包装置で、その全体制御部110は薬局の処方箋システム200に接続されている。全体制御部110には包装装置70と円盤配分部130の円盤配分制御部140が接続されている。円盤配分部130の円盤配分制御部140には、配分円盤である受け皿20の回転用の第1のモータ32、掻き出しディスクレバー駆動用の第2のモータ52、ディスク回転用の第3のモータ56、振動部62及び秤量部10がそれぞれ接続されている。
【0025】
次に、このように構成された円盤配分部の秤量動作について
図6及び
図7を参照しながら説明する。
【0026】
散薬の分包動作が開始されると、全体制御部110は処方箋システム200から処方すべき散薬の種類と一処方分の散薬の重量情報とを取得する(ST1)。全体制御部110は取得した散薬の重量情報を円盤配分部130の円盤配分制御部140に出力する。その後、円盤配分制御部140は、回転駆動部30のモータ32を駆動して受け皿20を回転させて(ST2)、配分円盤である受け皿20への散薬の供給の準備が完了する。そして、散薬が供給される前に、回転駆動部30等の風袋の重量が測定される(ST3)。この風袋の重量は散薬が供給された後に測定された重量から減算されて散薬のみの重量を演算してもよいし、風袋の重量を測定した値をゼロ基準として散薬のみの重量を得るようにしてもよい。その後、円盤配分制御部140は、散薬フィーダ部60の振動部62を駆動させることによって(ST4)、散薬収容容器61から散薬を少量ずつ受け皿20に落下する。このように散薬を落下させながら秤量装置10によって配分円盤である受け皿20へ落下された散薬の重量を測定する(ST5)。
【0027】
この散薬の重量を測定する過程で円盤配分制御部140は、単位時間当たりの重量の増加値を算出する(ST6)。これは、散薬によって比重が異なることと、散薬の落下を停止する際に正確な重量で停止するためである。すなわち、散薬の落下は短時間で行いたいために、単位時間当たりの落下量はある程度の量に設定されている。落下の終了時には振動部62の振動強度を弱めることにより単位時間当たりの落下量を少なくする。そして、落下量が1処方分の重量となったときに振動を停止することにより、正確な落下量とするものである。
【0028】
このため、受け皿20に供給された散薬が一処方分の重量に達する直前の所定量に達した時点で振動部62の振動強度を弱める必要があるが、散薬の比重や、散薬の種類が粉状であるか顆粒状であるかによってこの直前の所定量を変更する必要がある。
【0029】
図6によって、その直前の所定量を変更することについて説明する。
図6は横軸に時間を、縦軸に重量をとったグラフである。秤量を開始してから単位時間当たりの重量の増加値は、例えば比重が高いほど重量が増加する時間が短い。このため、一処方量に達する直前の所定量は、比重が高い散薬は(2)のように一処方量よりも僅かに少ない値になっている。また、比重が低い散薬の所定量(1)は、(2)よりも多い値になっている。すなわち、比重の高い散薬は一処方量に達する重量よりも僅かに少ない重量で所定量に達したと判断して、早めに振動部62の強度を弱くする。また、比重の低い散薬は一処方量により近い重量で振動部62の強度を弱くすることで、いずれの比重でも振動が停止したときに受け皿20に供給された散薬の重量が一処方量の重量と一致するように制御している。
図6中、秤信号が破線のように変化するのは、振動部62の強度を弱くした結果、単位時間当たりの落下する散薬の量が減少するためである。
【0030】
なお、一処方の重量に達する直前の所定量を、散薬の重量を測定した結果に基づいて単位時間当たりの重量増加値によって求めたが、処方箋システム200から処方すべき散薬のデータに、比重又は振動部62の強度を低下させる所定量に関する情報を合わせて取得するようにしてもよい。
【0031】
その後、散薬を供給しつつ、測定した散薬の重量が所定値に達したか否かを判断し(ST7)、供給された散薬の重量が所定値に達するまで継続される。所定値に達すると、振動部の振動強度を低下させる(ST8)。そして、弱い振動で散薬の供給を継続し、散薬の重量が1処方量の重量となったとき(ST9)に、回転駆動部30のモータ32を停止させるとともに、振動部62の駆動も停止する(ST10)。受け皿20に一処方分の散薬が供給されると、受け皿20を間欠的に回転し、掻き出し部50によって1包分ずつ散薬を落下ホッパ51に落下させる掻き出し動作が行われる(ST11)。落下ホッパ51に落下された散薬は包装装置70によって1包ずつシールして分包薬剤集積部75に集積される。
【0032】
以上のように構成された、第1の実施形態によれば、散薬収容容器から配分円盤である受け皿に実際に供給された散薬の重量を秤量している。従って、供給の途中の部材に付着した散薬を測定することがないので、処方される散薬の正確な重量を秤量できるものである。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、円盤配分部に秤量装置10を設けて配分円盤部の重量を測定するようにしている。このような円盤配分部を2組設け、2組の配分円盤から配分した散薬を共通の落下ホッパによって分包紙間に収納しようとすると、秤量装置10が存在することから、分包紙を水平搬送することができない。すなわち、水平搬送する分包紙間に散薬を収納するためには、落下ホッパが配分円盤の直下で散薬を受け取り、秤量装置10よりも下部で分包紙に散薬を収容することになる。これは、落下ホッパが縦方向に長いものとなってしまい、配分円盤部で散薬の重量を正確に秤量したにも関わらず、落下ホッパに付着する散薬の量が多くなり、分包した散薬の量が不正確なものになってしまう虞がある。このため、第2の実施形態では、円盤配分部を2組設け、2組の配分円盤から1包分ずつ放出した散薬を2組の配分円盤間に設けられた単一の落下ホッパによって受け入れ、分包紙を一方の円盤配分部の配分円盤の下方から他方の円盤配分部の秤量部の下方に向かって斜めに構成された搬送路に沿って搬送するようにした。これによって、落下ホッパを小さく構成することができ、1包分ずつに分包された散薬の量が落下ホッパに付着することで減少することを防止できるものである。
【0033】
図8及び
図9は第2の実施形態を示すもので、
図8は平面図、
図9は正面図を示すものである。
図8及び
図9においては、第1の実施形態と同じ部材には同じ符号を付して説明を省略する。
【0034】
すなわち、秤量装置10、回転駆動部30、配分円盤である受け皿20、散薬フィーダ部60及び掻き出し部50は左右対象に2組設けられている。2組の受け皿20間には2組の掻き出し部50から放出された散薬を受け入れる単一の落下ホッパ51が設けられている。
【0035】
また、包装装置70は、2つ折りされた分包紙57を巻き付けたロールRを有する水平搬送の包装装置70が、その包装装置70の底面が分包装置に対して斜めに装着されるようになっている。そして、一方の受け皿20の下部に位置するロールRから前方に引き出された分包紙57は、前面部で斜め下方に向かう分包紙搬送路71に沿って搬送され、落下ホッパ51の下部が分包紙57間に挿入され、落下ホッパ51から散薬が分包紙57間に収容される。散薬が収容された分包紙57は、さらに分包紙搬送路71に沿って斜め下方に搬送され、ヒートシール部72で一包毎にヒートシールされる。そして、ヒートシールされた部分にミシン目形成部73によってミシン目が形成されたのち、包装散薬集積部75に集積される。なお、包装散薬集積部75に設けられたリールによって薬剤が収容された分包薬剤を巻き取るようにしてもよいし、機体外に搬送して排出するようにしてもよい。
【0036】
このように、第2の実施形態によれば、秤量装置が設けられた2組の円盤配分部であっても、分包紙を一方の円盤配分部の配分円盤の下方から他方の円盤配分部の秤量装置の下方に向かって構成された搬送路に沿って搬送するようにしたので、装置が大型化することなく、かつ散薬の重量を正確に秤量して分包できるものである。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態、変形例を説明したが、これらの実施形態、変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態、変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【解決手段】一処方分の散薬が円盤の外周近傍に落下されることにより散薬が均等に配分される配分円盤と、配分円盤が載置されて配分円盤を回転駆動する回転駆動部と、回転する配分円盤に対して散薬を少量ずつ落下させて供給する散薬収容容器と、回転駆動部の下方に設けられ、配分円盤及び回転駆動部の総重量を測定することにより、散薬収容容器から配分円盤に供給された散薬の重量を測定する秤量部と、秤量部の重量測定結果に基づいて散薬収容容器から配分円盤への散薬の供給を制御する制御部と、配分円盤から1包分ずつ散薬を放出して包装する包装装置と、を有する。