(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
デジタルプリディストーション処理器、プリコーディングおよびベースバンド信号変換部、フィードバック信号変換部、デプリコーダ、およびプリディストーションパラメータ計算部を備えるデジタルプリディストーション処理装置であって、
前記デジタルプリディストーション処理器は、第1のベースバンド信号を受信して、プリディストーションパラメータに基づいて前記第1のベースバンド信号にデジタルプリディストーション処理を実行して第2のベースバンド信号を取得し、前記第2のベースバンド信号を前記プリコーディングおよびベースバンド信号変換部に送信するように構成され、
前記プリコーディングおよびベースバンド信号変換部は、前記第2のベースバンド信号にプリコーディングおよびベースバンド信号変換を実行してN個のチャネルのプリコーディングされた無線周波数信号を取得し、前記N個のチャネルのプリコーディングされた無線周波数信号を電力増幅器に送信するように構成され、N≧2であり、
前記フィードバック信号変換部は、前記電力増幅器によって増幅されたN個のチャネルの無線周波数信号をフィードバックリンクに結合し、前記フィードバックリンク内のN個のチャネルの無線周波数信号をN個のチャネルの第3のベースバンド信号に変換し、前記N個のチャネルの第3のベースバンド信号を前記デプリコーダに送信するように構成され、
前記デプリコーダは、前記N個のチャネルの第3のベースバンド信号をデプリコーディングして第4のベースバンド信号を取得し、前記第4のベースバンド信号を前記プリディストーションパラメータ計算部に送信するように構成され、
前記プリディストーションパラメータ計算部は、前記第1のベースバンド信号および前記第4のベースバンド信号に基づいてプリディストーションパラメータを計算し、計算を通して取得された前記プリディストーションパラメータを前記デジタルプリディストーション処理器に送信するように構成される、
装置。
周期的な前記第1のベースバンド信号を前記デジタルプリディストーション処理器に送信するように構成されるプリディストーションキャリブレーション信号送信部をさらに備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
前記フィードバック信号変換部は、前記フィードバックリンク内の前記無線周波数信号を前記第3のベースバンド信号に変換するように構成される無線周波数信号変換器を備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
前記フィードバック信号変換部はさらに、前記フィードバックリンク内の前記N個のチャネルの無線周波数信号から少なくとも1つのチャネルの無線周波数信号を選択し、前記少なくとも1つのチャネルの無線周波数信号を前記無線周波数信号変換器に送信するように構成されるマルチチャネルセレクタを備える、請求項6に記載の装置。
前記プリコーディングされた無線周波数信号を受信し、前記プリコーディングされた無線周波数信号を増幅し、増幅された前記プリコーディングされた無線周波数信号をアンテナに送信するように構成される、電力増幅器をさらに備える、請求項1から11のいずれか1項に記載の装置。
前記電力増幅器によって増幅された前記N個のチャネルの無線周波数信号をフィードバックリンクに結合し、N個のチャネルの無線周波数信号をN個のチャネルの第3のベースバンド信号に変換する前記段階は、
無線周波数信号結合をM回およびフィードバック信号変換をM回実行することによって、前記電力増幅器によって増幅された前記N個のチャネルの無線周波数信号を前記フィードバックリンクに結合し、前記N個のチャネルの無線周波数信号を前記N個のチャネルの第3のベースバンド信号に変換する段階を含み、2≦M≦Nである、請求項15から17のいずれか1項に記載の方法。
【発明の概要】
【0005】
本明細書は、デジタルプリディストーション処理方法および装置を説明し、これによって、フィードバックリンクにおいてデプリコーディング処理を実行することによって、複数の送信チャネルが1つのフィードバックリンクおよび1つのデジタルプリディストーション処理器を共有する。このように、送信デバイスの実装のコストおよび複雑性が減少しながら、マルチトランジットチャネル電力増幅器の出力の線形性および効率が改善され、システム性能全体がさらに改善される。
【0006】
第1の態様によると、本願の一実施形態は、デジタルプリディストーション処理器、プリコーディングおよびベースバンド信号変換部、フィードバック信号変換部、デプリコーダ、およびプリディストーションパラメータ計算部を含む、デジタルプリディストーション処理装置を提供する。デジタルプリディストーション処理器は、第1のベースバンド信号を受信し、プリディストーションパラメータに基づいて第1のベースバンド信号
にデジタルプリディストーション処理を実行し、第2のベースバンド信号を取得し、第2のベースバンド信号をプリコーディングおよびベースバンド信号変換部に送信するように構成される。プリコーディングおよびベースバンド信号変換部は、第2のベースバンド信号
にプリコーディングおよびベースバンド信号変換を実行し、N個のチャネルのプリコーディングされた無線周波数信号を取得し、N個のチャネルのプリコーディングされた無線周波数信号を電力増幅器に別々に送信するように構成され、ここで、N≧1である。フィードバック信号変換部は、電力増幅器によって増幅されたN個のチャネルの無線周波数信号をフィードバックリンクに結合し、フィードバックリンクにおけるN個のチャネルの無線周波数信号をN個のチャネルの第3のベースバンド信号に変換し、N個のチャネルの第3のベースバンド信号をデプリコーダに送信するように構成される。デプリコーダは、N個のチャネルの第3のベースバンド信号をデプリコーディングし、第4のベースバンド信号を取得し、第4のベースバンド信号をプリディストーションパラメータ計算部に送信するように構成される。プリディストーションパラメータ計算部は、第1のベースバンド信号および第4のベースバンド信号に基づいてプリディストーションパラメータを計算し、計算を通して取得されたプリディストーションパラメータをデジタルプリディストーション処理器に送信するように構成される。オプションで、第1のベースバンド信号は、サービス信号であってよく、または、デジタルプリディストーション処理に専用で用いられる信号であってよい。専用信号を用いることによる計算によって取得されたプリディストーションパラメータは、また、サービス信号
にデジタルプリディストーション処理を実行する処理に適用されてよい。N個のチャネルの信号は、フィードバックリンクにおいてデプリコーディング処理を実行することによって、1個のチャネルの信号に変換されてよい。このように、マルチチャネルプリディストーション処理は、1つのフィードバックリンクおよび1つのプリディストーション処理器を用いることによってサポートされ得る。加えて、フィードバックリンクへと結合された、N個のチャネルの増幅された無線周波数信号は、プリコーディングされ、送信チャネルごとの電力増幅器の歪みなどの情報を含み、無線信号受信端部(例えば、ユーザ機器)において受信された信号と同様である。プリディストーションパラメータは信号を用いることによって計算される。このように、受信端部における信号の信号対干渉ノイズ合計比(Signal to Interference plus Noise Ratio、SINR)は、プリディストーション処理の間にさらに増加し得、システム性能全体はさらに改善される。
【0007】
可能な設計において、フィードバック信号変換部が、電力増幅器によって増幅されたN個のチャネルの無線周波数信号をフィードバックリンクに結合することは、フィードバックリンクに、電力増幅器によって出力されたN個のチャネルの無線周波数信号を結合すること、または、フィードバックリンクに、アンテナによって送信されるべきN個のチャネルの無線周波数信号を結合することを含む。電力増幅器によって出力された無線周波数信号は、送信リンクにおいて生成された信号の歪み情報の大部分を含み、受信端部で受信された真信号と同様であり、無線周波数信号はプリディストーションパラメータ計算のためにフィードバックリンクに結合される。これは、受信端部で受信された信号
にプリディストーション処理を実行することと同等である。言い換えれば、受信端部におけるSINRおよびアウトオブバンド相互変調インジケータが、プリディストーションパラメータを取得するためのターゲットとして用いられる。このように、スペクトル漏れ抑制効果が改善され得、エラーベクトル振幅(Error Vector Magnitude、EVM)が減少し得る。言い換えれば、受信端部の信号の、信号対干渉ノイズ合計比およびアウトオブバンド相互変調インジケータは増加し、システム性能は改善される。アンテナによって送信されるべき無線周波数信号は、電力増幅器によって増幅されて空間への放射のためのアンテナに送信される無線周波数信号である。信号はさらに、アンテナ構成要素の処理の間に引き起こされる信号の歪みを含み、受信端部で受信された真信号と一層同様であり、信号はプリディストーションパラメータを計算するように用いられる。このように、受信端部での信号の信号対干渉ノイズ合計比はさらに増加し得、システム性能は改善される。
【0008】
可能な設計において、装置は、第1のベースバンド信号をデジタルプリディストーション処理器に送信するように構成されたプリディストーションキャリブレーション信号送信部をさらに含む。オプションで、第1のベースバンド信号は周期的な信号であってよい。オプションで、プリディストーションキャリブレーション信号送信部は、独立の信号送信装置および/またはモジュールであってよく、または、別の信号送信装置と一体化されてよい。プリディストーションキャリブレーション信号送信部が配置され、特定のデジタルプリディストーション処理要求に基づいて第1のベースバンド信号を送信し得る。このように、サービス信号への影響は回避され、サービス信号の特徴がデジタルプリディストーション処理要求を満たさないシナリオも、またサポートされ得る。専用信号を用いることによる計算によりデジタルプリディストーション処理装置によって取得されたプリディストーションパラメータは、サービス信号
にデジタルプリディストーション処理を実行する処理にもまた適用され得る。デジタルプリディストーション処理は周期的なベースバンド信号を用いることによって実行され、送信リンクにおける無線周波数信号は、プリディストーションパラメータを計算するために、複数回フィードバックを実行することによってフィードバックリンクにフィードバックされ得る。このように、フィードバックリンクにおける無線周波数信号を変換するように用いられる構成要素は減少し、処理の複雑性は減少する。
【0009】
可能な設計において、フィードバック信号変換部は、フィードバックリンクにおける無線周波数信号を第3のベースバンド信号に変換するように構成された、無線周波数信号変換器を含む。オプションで、フィードバック信号変換部は、フィードバックリンクにおけるN個のチャネルの無線周波数信号を、N個のチャネルの第3のベースバンド信号にそれぞれ変換するように構成された、N個の無線周波数信号変換器を含んでよい。
【0010】
可能な設計において、フィードバック信号変換部は、フィードバックリンクにおけるN個のチャネルの無線周波数信号から少なくとも1つのチャネルの無線周波数信号を選択し、少なくとも1つのチャネルの無線周波数信号を無線周波数信号変換器に送信するように構成された、マルチチャネルセレクタをさらに含む。オプションで、フィードバック信号変換部はマルチチャネルセレクタと、少なくとも1つの無線周波数信号変換器とを含んでよい。マルチチャネルセレクタはフィードバックリンクにおけるN個のチャネルの無線周波数信号から少なくとも1つのチャネルの無線周波数信号を選択し、少なくとも1つのチャネルの無線周波数信号を少なくとも1つの無線周波数信号変換器に送信する。無線周波数信号変換器は、受信された無線周波数信号を第3のベースバンド信号に変換する。マルチチャネルセレクタは、複数のフィードバック処理において、N個のチャネルの無線周波数信号をフィードバックリンクに結合することをサポートし得、N個のチャネルの無線周波数信号は、変換を複数回実行することによって、N個のチャネルの第3のベースバンド信号に変換される。この処理の態様は、フィードバックリンクに結合されてベースバンド信号に変換されるとき、同じ処理リンクを時間で分割する複数のチャネルの無線周波数信号をサポートし得、さらに、フィードバックリンクのハードウェアのコストおよび実装の複雑性を縮小し得る。例えば、無線周波数信号変換器の数は減少してもよい。オプションで、同じ第1のベースバンド信号は、周期的なベースバンド信号の送信と協調することによって、周期的に複数回送信されてよく、送信された第1のベースバンド信号
に、一回ごとに同じプリコーディング処理が実行され、フィードバックリンクにおける少なくとも1つのチャネルの無線周波数信号は、対応する第3のベースバンド信号に一回ごとに変換され、フィードバックおよび変換が複数回実行された後に、N個のチャネルの第3のベースバンド信号が取得される。
【0011】
上述の2つの可能な設計を参照すると、オプションで、無線周波数信号変換器は、アナログ信号をデジタル信号に変換するように構成され、または、アナログ無線周波数信号をデジタルベースバンド信号に変換するように構成される、アナログ−デジタル変換器(Analog to Digital Converter、ADC)を含む。オプションで、無線周波数信号変換器は、無線周波数信号をベースバンドにシフトし、ベースバンド信号を取得するように構成された、周波数混合器をさらに含んでよい。
【0012】
可能な設計において、プリコーディングおよびベースバンド信号変換部は位相シフタおよびベースバンド信号変換器を含む。位相シフタは、プリコーディング行列に基づいて第2のベースバンド信号
に振幅および/または位相調整を実行して、プリコーディングされたベースバンド信号を取得し、プリコーディングされたベースバンド信号をベースバンド信号変換器に送信するように構成される。ベースバンド信号変換器は、受信されたプリコーディングされたベースバンド信号を、プリコーディングされた無線周波数信号に変換するように構成される。オプションで、プリコーディングおよびベースバンド信号変換部は、N個の位相シフタおよびN個のベースバンド信号変換器を含んでよい。N個の位相シフタは、プリコーディング行列に基づいて第2のベースバンド信号
に振幅および/または位相調整を別々に実行して、N個のチャネルのプリコーディングされたベースバンド信号を取得し、N個のチャネルのプリコーディングされたベースバンド信号をN個のベースバンド信号変換器にそれぞれ送信するように、構成される。N個のベースバンド信号変換器は、受信されたN個のチャネルのプリコーディングされたベースバンド信号を、N個のチャネルのプリコーディングされた無線周波数信号に、それぞれ変換するように構成される。
【0013】
可能な設計において、プリコーディングおよびベースバンド信号変換部は、ベースバンド信号変換器および位相シフタを含む。ベースバンド信号変換器は、受信された第2のベースバンド信号を無線周波数信号に変換するように構成される。位相シフタは、プリコーディング行列に基づいて無線周波数信号
に振幅および/または位相調整を実行し、プリコーディングされた無線周波数信号を取得するように構成される。オプションで、プリコーディングおよびベースバンド信号変換部は、N個のベースバンド信号変換器およびN個の位相シフタを含んでよい。N個のベースバンド信号変換器は、受信された第2のベースバンド信号を、N個のチャネルの無線周波数信号に別々に変換するように構成される。N個の位相シフタは、プリコーディング行列に基づいてN個のチャネルの無線周波数信号
に、振幅および/または位相調整をそれぞれ実行し、N個のチャネルのプリコーディングされた無線周波数信号を取得するように構成される。
【0014】
可能な設計において、プリコーディングおよびベースバンド信号変換部は、ベースバンド信号変換器、電力スプリッタ、および位相シフタを含む。ベースバンド信号変換器は、第2のベースバンド信号を1個のチャネルの無線周波数信号に変換するように構成される。電力スプリッタは、そのチャネルの無線周波数信号をN個のチャネルの無線周波数信号に分割し、N個のチャネルの無線周波数信号を位相シフタに送信するように構成される。位相シフタは、プリコーディング行列に基づいて無線周波数信号
に振幅および/または位相調整を実行し、プリコーディングされた無線周波数信号を取得するように構成される。オプションで、プリコーディングおよびベースバンド信号変換部は、1つのベースバンド信号変換器、1つの電力スプリッタ、およびN個の位相シフタを含んでよい。ベースバンド信号変換器は、第2のベースバンド信号を1個のチャネルの無線周波数信号に変換するように構成される。電力スプリッタは、そのチャネルの無線周波数信号をN個のチャネルの無線周波数信号に分割し、N個のチャネルの無線周波数信号をN個の位相シフタに送信するように構成される。N個の位相シフタは、プリコーディング行列に基づいてN個のチャネルの無線周波数信号
に振幅および/または位相調整をそれぞれ実行し、N個のチャネルのプリコーディングされた無線周波数信号を取得するように構成される。第2のベースバンド信号は、まず1個のチャネルの無線周波数信号に変換され、そして、電力スプリッタによって、そのチャネルの無線周波数信号はN個のチャネルの同じ無線周波数信号に分割され、N個のチャネルの無線周波数信号はプリコーディングされる。この処理の態様は、処理リンクのハードウェアのコストおよび実装の複雑性を、さらに縮小し得る。例えば、ベースバンド信号変換器の数が減少する。
【0015】
上述の3つの可能な設計を参照すると、オプションで、ベースバンド信号変換器は、デジタル信号をアナログ信号に変換するように構成された、または、デジタルベースバンド信号をアナログ無線周波数信号に変換するように構成された、デジタル−アナログ変換器(Digital−to−Analog Converter、DAC)を含む。オプションで、ベースバンド信号変換器は、ベースバンド信号を無線周波数帯に変調し、無線周波数信号を取得するように構成された、変調器をさらに含んでよい。
【0016】
可能な設計において、プリコーディングおよびベースバンド信号変換部は、第2のベースバンド信号をプリコーディングされた無線周波数信号に変換するように構成された、デジタル−アナログ変換器を含む。オプションで、プリコーディングおよびベースバンド信号変換部は、第2のベースバンド信号をN個のチャネルのプリコーディングされた無線周波数信号に別々に変換するように構成された、N個のデジタル−アナログ変換器を含んでよい。
【0017】
可能な設計において、デジタルプリディストーション処理装置は、プリコーディングされた無線周波数信号を受信し、プリコーディングされた無線周波数信号を増幅し、増幅されたプリコーディングされた無線周波数信号をアンテナに送信するように構成された、電力増幅器をさらに含んでよい。オプションで、デジタルプリディストーション処理装置は、N個のチャネルのプリコーディングされた無線周波数信号をそれぞれ増幅するように構成された、N個の電力増幅器を含んでよい。
【0018】
第2の態様によると、本願の一実施形態は、第1の態様の1つに記載のデジタルプリディストーション処理装置または第1の態様の可能な設計と、アンテナとを含む、無線送受信装置を提供する。
【0019】
第3の態様によると、本願の一実施形態は、第2の態様に記載の無線送受信装置を含む、基地局を提供する。
【0020】
第4の態様によると、本願は、第1の態様のいずれか1つに記載のデジタルプリディストーション処理装置または第1の態様の可能な設計を実装するように構成された、チップシステムを提供する。チップシステムはチップを含み得、またはチップおよび別のディスクリートデバイスを含み得る。チップは、特定用途向け集積回路(Application−Specific Integrated Circuit、ASIC)であり得、または別の形態のチップであり得る。オプションで、チップシステムは、上述の態様において説明された機能、例えば、上述の態様に関与する信号および/またはパラメータを獲得することと、上述の態様におけるデジタルプリディストーション処理プロセスを実行することと、を実装するデジタルプリディストーション処理装置をサポートするように構成されたプロセッサをさらに含んでよい。可能な設計において、チップシステムはさらにメモリを含む。メモリは、デジタルプリディストーション処理装置に必須なプログラム命令およびデータを格納するように構成される。
【0021】
第5の態様によると、本願の一実施形態は、プリディストーションパラメータに基づいて第1のベースバンド信号
にデジタルプリディストーション処理を実行し、第2のベースバンド信号を取得する段階と、プリコーディング行列に基づいて第2のベースバンド信号
にプリコーディングおよびベースバンド信号変換処理を実行し、N個のチャネルのプリコーディングされた無線周波数信号を取得する段階であって、ここで、N≧1である段階と、N個のチャネルのプリコーディングされた無線周波数信号を、電力増幅器を用いることによって増幅する段階と、電力増幅器によって増幅されたN個のチャネルの無線周波数信号をフィードバックリンクに結合して、N個のチャネルの無線周波数信号をN個のチャネルの第3のベースバンド信号に変換する段階と、N個のチャネルの第3のベースバンド信号をデプリコーディングして、第4のベースバンド信号を取得する段階と、第1のベースバンド信号および第4のベースバンド信号に基づいてプリディストーションパラメータを計算する段階とを含む、デジタルプリディストーション処理方法を提供する。オプションで、第1のベースバンド信号は、サービス信号であってよく、または、デジタルプリディストーション処理に専用で用いられる信号であってよい。
【0022】
可能な設計において、電力増幅器によって増幅されたN個のチャネルの無線周波数信号をフィードバックリンクに結合する段階は、電力増幅器によって出力されたN個のチャネルの無線周波数信号をフィードバックリンクに結合する段階、または、アンテナによって送信されるべきN個のチャネルの無線周波数信号をフィードバックリンクに結合する段階を含む。
【0023】
可能な設計において、第1のベースバンド信号は周期的な信号である。オプションで、周期的な第1のベースバンド信号はサービス信号であってよく、または、デジタルプリディストーション処理に専用で用いられる信号であってよい。
【0024】
可能な設計において、電力増幅器によって増幅されたN個のチャネルの無線周波数信号をフィードバックリンクに結合する段階と、N個のチャネルの無線周波数信号をN個のチャネルの第3のベースバンド信号に変換する段階とは、無線周波数信号結合をM回、およびフィードバック信号変換をM回実行することによって、電力増幅器によって増幅されたN個のチャネルの無線周波数信号をフィードバックリンクに結合する段階と、N個のチャネルの無線周波数信号をN個のチャネルの第3のベースバンド信号に変換する段階とを含み、ここで、1≦M≦Nである。オプションで、M回の無線周波数信号結合の間、N個のチャネルの増幅された無線周波数信号は一回ごとにフィードバックリンクに結合され、M回のフィードバック信号変換の間、フィードバックリンクに結合された少なくとも1つのチャネルの無線周波数信号が選択されて、一回ごとに第3のベースバンド信号に変換される。オプションで、M回の無線周波数信号結合の間、少なくとも1つのチャネルの増幅された無線周波数信号は一回ごとにフィードバックリンクに結合され、M回のフィードバック信号変換の間、フィードバックリンクに結合された少なくとも1つのチャネルの無線周波数信号が、一回ごとに第3のベースバンド信号に変換される。N個のチャネルの無線周波数信号は、フィードバックリンクに結合され得、1つのフィードバック処理においてN個のチャネルの第3のベースバンド信号に変換され得る。この処理の態様において、処理の遅れは小さく、デジタルプリディストーション処理は一回ごとにより速く完了し得、デジタルプリディストーション処理性能はさらに改善される。代わりに、N個のチャネルの無線周波数信号は、少なくとも2つのフィードバック処理においてフィードバックリンクに結合され得、N個のチャネルの第3のベースバンド信号に変換され得る。この処理の態様は、フィードバックリンクに結合されてベースバンド信号に変換されるとき、同じ処理リンクを時間で分割する複数のチャネルの無線周波数信号をサポートし得、さらに、フィードバックリンクのハードウェアのコストおよび実装の複雑性を縮小し得る。オプションで、同じ第1のベースバンド信号は周期的なベースバンド信号の送信と協調することによって、周期的にM回送信され得、送信された第1のベースバンド信号
に、一回ごとに同じプリコーディング処理が実行され、フィードバックリンクにおける少なくとも1つのチャネルの無線周波数信号は、対応する第3のベースバンド信号に一回ごとに変換され、フィードバックおよび変換がM回実行された後、N個のチャネルの第3のベースバンド信号が取得される。
【0025】
可能な設計において、プリコーディング行列に基づいて第2のベースバンド信号
にプリコーディングおよびベースバンド信号変換処理を実行する段階は、第2のベースバンド信号
に振幅および/または位相調整を実行して、N個のチャネルのプリコーディングされたベースバンド信号を取得する段階と、N個のチャネルのプリコーディングされたベースバンド信号を、N個のチャネルのプリコーディングされた無線周波数信号に変換する段階とを含む。
【0026】
可能な設計において、プリコーディング行列に基づいて第2のベースバンド信号
にプリコーディングおよびベースバンド信号変換処理を実行する段階は、第2のベースバンド信号をN個のチャネルの無線周波数信号に変換する段階と、プリコーディング行列に基づいてN個のチャネルの無線周波数信号
に振幅および/または位相調整を実行し、N個のチャネルのプリコーディングされた無線周波数信号を取得する段階と、を含む。オプションで、第2のベースバンド信号は、別々にN個のチャネルの無線周波数信号に変換されてよく、そして、振幅および/または位相調整、すなわち、プリコーディング処理は、プリコーディング行列に基づいてN個のチャネルの無線周波数信号
に実行される。代わりに、第2のベースバンド信号は1個のチャネルの無線周波数信号に変換されてよく、そしてそのチャネルの無線周波数信号はN個のチャネルの同じ無線周波数信号に分割され、N個のチャネルの無線周波数信号がプリコーディングされる。この処理の態様は、処理リンクのハードウェアのコストおよび実装の複雑性をさらに縮小し得る。
【0027】
第6の態様によると、本願の一実施形態はデジタルプリディストーション処理装置を提供する。デジタルプリディストーション処理装置は、第5の態様における任意の方法を実装する機能を有する。機能はハードウェアを用いることによって実装されてよく、または対応するソフトウェアを実行することによってハードウェアによって実装されてよい。ハードウェアまたはソフトウェアは、前述の機能に対応する1または複数のモジュールを含む。
【0028】
第7の態様によると、本願の一実施形態は、上述のデジタルプリディストーション処理装置によって用いられるコンピュータソフトウェア命令を格納するように構成された、コンピュータ記憶媒体を提供する。コンピュータソフトウェア命令は、上述の態様を実行するように設計されたプログラムを含む。
【0029】
従来技術と比較して、本願の複数の実施形態において提供されるデジタルプリディストーション処理方法および装置によると、マルチチャネルPAのプリディストーション処理が、1つのフィードバックリンクおよび1つのデジタルプリディストーション処理器を用いることによるデプリコーディング処理によってサポートされ得、PAによってプリコーディングおよび増幅された後、フィードバックリンクにおけるフィードバック信号は受信端部で受信された信号と一層同様であり、信号はプリディストーションパラメータを計算するために用いられ、デジタルプリディストーション処理に適用される。このように、送信信号のスペクトル漏れ抑制効果がさらに改善され得、EVMが減少し得る。言い換えれば、受信端部において受信された信号のSINRが増加する。加えて、オプションで、マルチチャネルPAはさらに、周期的な専用ベースバンド信号を用いることによってフィードバックリンクを時間で分割してよい。このことは、フィードバックリンクの実装および処理の複雑性をさらに縮小する。結果として、本願の複数の実施形態において提供されるデジタルプリディストーション処理方法および装置によると、送信デバイスの実装のコストおよび複雑性が減少し、マルチトランジットチャネル電力増幅器の出力線形性および効率が改善され、システム性能全体はさらに改善される。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下は、添付の図面を参照して本願の実施形態を説明するものである。
【0032】
本願の複数の実施形態は、ロングタームエボリューション(Long Term Evolution、LTE)システムに適用され得、および、それに続く次世代システム、例えば、5G(5th Generation Mobile Communication、第5世代モバイル通信)システムは、ユニバーサル移動体通信システム(Universal Mobile Telecommunication System、UMTS)、およびモバイル通信のためのグローバルシステム(Global System for Mobile Communications、GSM(登録商標))などの無線通信システムに適用され得、または、デジタルプリディストーション処理が実装される必要がある別の通信システムに適用され得る。本願の複数の実施形態において提供される解決方法および/または装置を適用するネットワークデバイスは、一般に、無線通信システムにおける基地局であり、または、デジタルプリディストーション処理が実装される必要がある別のデバイスまたは装置であってよい。本願における基地局は、マクロ基地局、マイクロ基地局、中継局、アクセスポイント、遠隔無線ユニット(Remote Radio Unit、RRU)、または様々な形態の同様のものを含んでよい。異なるシステムにおいて、基地局の機能を有するデバイスは異なる名前を有してよい。例えば、LTEネットワークにおいて、デバイスは次世代ノードB(evolved NodeB、eNBまたはeNodeB)と称され、3G(3rd Generation、第3世代)ネットワークにおいて、デバイスはノードB(NodeB)と称される。
【0033】
図1は、本願の一実施形態を適用し得る基地局の概略構造図である。基地局は、ベースバンドユニット(Baseband Unit、BBU)と、BBUに接続された少なくとも1つのRRUと、RRUに接続されたアンテナとを含む。各RRUは、少なくとも1つの送信リンクおよび少なくとも1つの受信リンクを含み得る。送信リンクにおいて、BBUによって処理されたベースバンド信号は、BBUとRRUとの間のインタフェースを介してRRUに送信される。ベースバンド信号がRRUの送信リンクにおいて処理された後、無線周波数信号が取得される。無線周波数信号はアンテナによって送信される。受信リンクにおいて、アンテナによって受信された無線信号がRRUの受信リンクにおいて処理され、ベースバンド信号に変換される。ベースバンド信号はBBUとRRUとの間のインタフェースを介してBBUに送信される。ベースバンド信号はBBUにおいて処理される。送信リンクにおいて、BBUによって実行される信号処理は、プリコーディング、変調、および同様のものを含み、RRUによって実行される信号処理は、クリッピング処理、デジタルプリディストーション処理、プリコーディング、アップコンバージョン、増幅、および同様のものを含む。受信リンクにおいて、RRUによって実行される信号処理は、低ノイズ増幅処理、ダウンコンバージョン、および同様のものを含み、BBUによって実行される信号処理は、均一化、復調、デコーディング、および同様のものを含む。BBUおよび/またはRRUの、具体的な信号処理アルゴリズムおよび具体的な信号処理シーケンスは、本願に限定されるものではない。オプションで、基地局はさらに別の構成形態を有してよい。例えば、基地局はBBUおよび無線ユニット(Radio Unit、RU)を含み、または、BBUおよび無線周波数ユニット(Radio Frequency Unit、RFU)を含む。これは、本願に限定されるものではない。
【0034】
一例において、本願の複数の実施形態において提供される、デジタルプリディストーション処理方法および/または装置は、RRUの送信リンクにおける処理に適用されてよい。
【0035】
図2は、本願の一実施形態によるデジタルプリディストーション処理装置の概略構造図である。デジタルプリディストーション処理装置は、デジタルプリディストーション(DPD)処理器、プリコーディングおよびベースバンド信号変換部、フィードバック信号変換部、デプリコーダ、およびプリディストーションパラメータ計算部を含む。デジタルプリディストーション処理装置の信号流および信号処理プロセスを示すように、
図2から
図5はさらに、電力増幅器(PA)またはPAおよびアンテナを示すことに留意されたい。オプションで、本願のこの実施形態におけるデジタルプリディストーション処理装置は、さらにPAを含んでよい。
【0036】
DPD処理器は、1個のチャネルのデジタルベースバンド信号を受信する。ベースバンド信号は、サービスデータを搬送するOFDM信号などのサービス信号、またはDPD処理に専用で用いられる信号であり得る。専用信号も、またOFDM信号であり得る。DPD処理器は、現在記憶されているプリディストーションパラメータを用いることによってベースバンド信号
にプリディストーション処理を実行し、処理されたベースバンド信号をプリコーディングおよびベースバンド信号変換部へ送信する。プリコーディングおよびベースバンド信号変換部は、DPD処理を受けるベースバンド信号
にプリコーディングおよびベースバンド信号変換処理を実行し、N個のチャネルのプリコーディングされたアナログ無線周波数信号を取得し、N個のチャネルのプリコーディングされたアナログ無線周波数信号を、増幅のためにPAに送信する。PAによって増幅されたN個のチャネルの無線周波数信号は、送信のためにアンテナに送信される。オプションで、ベースバンド信号がDPD処理に専用で用いられる信号である場合、PAによって増幅されたN個のチャネルの無線周波数信号は、受信端部へ送信されなくてもよい。PAによって増幅されたN個のチャネルの無線周波数信号は、フィードバックリンクにさらにフィードバックされる。本願のこの実施形態におけるフィードバックリンクは、
図2の破線ボックス内に示され、フィードバック信号変換部、デプリコーダ、プリディストーションパラメータ計算部、およびこれら3つの部分の間の信号送信経路を含むリンクである。フィードバック信号変換部は、PAによって増幅された無線周波数信号を、フィードバックリンクにおけるN個のチャネルのデジタルベースバンド信号に変換し、そして、N個のチャネルのデジタルベースバンド信号をデプリコーダに送信する。デプリコーダは、プリコーディングおよびベースバンド信号変換部によって用いられるものと同じプリコーディング行列を用いることによって、フィードバックリンクにおけるN個のチャネルのデジタルベースバンド信号をデプリコーディングし、1個のチャネルのベースバンド信号を取得し、ベースバンド信号のチャネルをプリディストーションパラメータ計算部に送信する。プリディストーションパラメータ計算部は、フィードバックリンクにおけるベースバンド信号と、DPD処理を受けていないベースバンド信号とに基づいてプリディストーションパラメータを計算し、そして、プリディストーションパラメータを更新のためにDPD処理器に送信し、これによって、DPD処理器は新しいプリディストーションパラメータを用いて、次のプリディストーション処理を実行する。
【0037】
オプションで、プリディストーション処理装置は、カプラ、例えば、N個のチャネルの増幅された無線周波数信号をフィードバックリンクに結合するように構成された方向性カプラを、さらに含んでよい。
【0038】
オプションで、
図2に示されるDPD処理装置におけるプリコーディングおよびベースバンド信号変換部は、複数の方式において実装され得る。
【0039】
一例において、
図2に示されるように、プリコーディングおよびベースバンド信号変換部はN個の位相シフタおよびN個のベースバンド信号変換器を含む。DPD処理を受けるデジタルベースバンド信号は、N個の位相シフタへそれぞれ送信される。N個の位相シフタは、それぞれ、プリコーディング行列に基づいて、デジタル信号
に振幅および/または位相調整を実行し、プリコーディングを完了する。N個のチャネルのプリコーディングされたデジタルベースバンド信号は、デジタル−アナログ変換および無線周波数シフトのために、N個のベースバンド信号変換器へとそれぞれ送信され、これによって、N個のチャネルのプリコーディングされたデジタルベースバンド信号は、N個のチャネルのプリコーディングされた無線周波数信号に変換される。オプションで、この例において、位相シフタはデジタル位相シフタである。
【0040】
ベースバンド信号変換器は、デジタル−アナログ変換を実行するように構成された、デジタル−アナログ変換器(DAC)を含み得る。オプションで、N個のチャネルのプリコーディングされたデジタルベースバンド信号は、N個のDACにそれぞれ送信される。デジタル−アナログ変換を実行する前に、DACは、DACに含まれる数値制御オシレータ(Numerically Controlled Oscillator、NCO)を用いることによってデジタルベースバンド信号
に無線周波数シフトを実行し得、そして、デジタル−アナログ変換を実行し得る。具体的には、DACはN個のチャネルのプリコーディングされたデジタルベースバンド信号を、N個のチャネルのプリコーディングされた無線周波数信号に変換する。
【0041】
オプションで、ベースバンド信号変換器は、N個の変調器をさらに含んでよい。変調器は、変調方式において、アナログ信号
に無線周波数シフトを実行するように構成される。ベースバンド信号変換器が変調器を含むとき、DACはデジタル−アナログ変換を実行するようにのみ構成される。N個のチャネルのプリコーディングされたデジタルベースバンド信号が、N個のDACにそれぞれ送信され、そして、DACがデジタル−アナログ変換を実行した後に変調器に送信される。変調器は、具体的には、N個のチャネルのプリコーディングされた無線周波数信号を取得するために、受信されたアナログ信号を無線周波数信号に変調する。
【0042】
別の例において、
図6に示されるように、プリコーディングおよびベースバンド信号変換部はN個のベースバンド信号変換器およびN個の位相シフタを含む。
図2に示される、プリコーディングおよびベースバンド信号変換部との相違は、ベースバンド信号変換器が位相シフタの前に配置されることである。DPD処理を受けるデジタルベースバンド信号は、N個のベースバンド信号変換器にそれぞれ送信され、これによって、デジタルベースバンド信号はN個のチャネルのアナログ無線周波数信号に変換される。そして、N個のチャネルのアナログ無線周波数信号は、N個の位相シフタへ送信される。N個の位相シフタは、プリコーディング行列に基づいて、N個のチャネルのアナログ無線周波数信号
に振幅および/または位相調整をそれぞれ実行し、N個のチャネルのプリコーディングされた無線周波数信号を取得する。オプションで、この例において、位相シフタはアナログ位相シフタである。ベースバンド信号変換器の実装および信号処理方式は、
図2の対応する例におけるこれらと同一である。詳細はあらためては説明しない。
【0043】
別の例において、
図7に示されるように、プリコーディングおよびベースバンド信号変換部はN個のDACを含む。DACは、デジタルベースバンド信号
に実行されるプリコーディング、無線周波数シフト、およびデジタル−アナログ変換を完了する。具体的には、DPD処理を受けるベースバンド信号は、N個のDACにそれぞれ送信される。DACは、DACに含まれるNCOを用いることによって、ベースバンド信号
に実行される無線周波数シフトおよび、振幅および/または位相調整を完了し、そしてデジタル−アナログ変換を実行し、N個のチャネルのプリコーディングされたアナログ無線周波数信号を取得する。
【0044】
なおも別の例において、
図8に示されるように、プリコーディングおよびベースバンド信号変換部は1つのベースバンド信号変換器、電力スプリッタ、およびN個の位相シフタを含む。DPD処理を受けるベースバンド信号は、ベースバンド信号変換器を用いることによって1個のチャネルのアナログ無線周波数信号に変換され、そして、電力スプリッタを用いることによって、N個のチャネルのアナログ無線周波数信号に分割される。N個の位相シフタは、プリコーディング行列に基づいて、N個のチャネルのアナログ無線周波数信号
に振幅および/または位相調整をそれぞれ実行し、N個のチャネルのプリコーディングされた無線周波数信号を取得する。ベースバンド信号変換器の実装および信号処理方式は、
図2の対応する例におけるこれらと同一である。オプションで、この例において、位相シフタはアナログ位相シフタである。
【0045】
オプションで、
図6から
図8に各々示されるプリコーディングおよびベースバンド信号変換部が、
図2のプリコーディングおよびベースバンド信号変換部と置き換わってよい。オプションで、上述プリコーディングおよびベースバンド信号変換部の異なる実装が、さらに混合されてよい。例えば、
図2に示されるプリコーディングおよびベースバンド信号変換部は、1個のチャネルのデジタルベースバンド信号またはいくつかのチャネルのデジタルベースバンド信号のために用いられ、
図6に示されるプリコーディングおよびベースバンド信号変換部は、残りの1個のチャネルのデジタルベースバンド信号または残りのいくつかのチャネルのデジタルベースバンド信号のために用いられる。
【0046】
可能な実装において、複数のチャネルの信号は、ベースバンド信号変換器および/または位相シフタをさらに共有してよく、確実に、DACを共有してよい。
図2は例として用いられ、プリコーディングおよびベースバンド信号変換部は、個数がNより小さい位相シフタ、および/または、個数がNより小さいベースバンド信号変換器を含んでよい。この場合、N個のチャネルのベースバンド信号において、少なくとも2個のチャネルの信号が1つの位相シフタおよび/または1つのベースバンド信号変換器を共有する。位相シフタに含まれる具体的な数、ベースバンド信号変換器に含まれる具体的な数、および上述の構成要素を共有する信号の方式は、具体的な要件に基づいて設計されてよい。これは、本願に限定されるものではない。同様に、
図6から
図8のプリコーディングおよびベースバンド信号変換部は、同様の方式で設計されてよい。詳細はあらためては説明しない。
【0047】
オプションで、
図2に示されるDPD処理装置におけるフィードバック信号変換部は、異なる方式でもまた実装され得る。
【0048】
一例において、
図2に示されるように、フィードバック信号変換部は、フィードバックリンクにおけるN個のチャネルの無線周波数信号を、1つのDPD処理プロセスにおけるN個のチャネルのデジタルベースバンド信号に変換し、N個のチャネルのデジタルベースバンド信号をデプリコーダに送信するように構成された、N個の無線周波数信号変換器を含む。
【0049】
無線周波数信号変換器は、アナログ−デジタル変換を実行するように構成された、アナログ−デジタル変換器(ADC)を含む。オプションで、ADCは、ADCに含まれるNCOを用いることによって無線周波数信号でダウンコンバージョンをさらに実行してよく、そしてアナログ−デジタル変換を実行してよい。言い換えれば、アナログ無線周波数信号は、ADCを用いることによってデジタルベースバンド信号に直接変換され得る。
【0050】
オプションで、無線周波数信号変換器はさらに、アナログ無線周波数信号でダウンコンバージョンを実行するように構成された、周波数混合器を含み得る。無線周波数信号変換器が周波数混合器を含むとき、ADCはアナログ−デジタル変換のみを実行するように構成される。フィードバックリンクにおけるアナログ無線周波数信号は、周波数混合器を用いることによってベースバンドにシフトされ、そしてアナログ−デジタル変換のためにADCに送信され、N個のチャネルのデジタルベースバンド信号を取得する。
【0051】
別の例において、
図4に示されるように、フィードバック信号変換部は1つの無線周波数信号変換器、およびマルチチャネルセレクタを含む。無線周波数信号変換器の実装および信号処理は、
図2に示されるフィードバック信号変換部のこれらと同一である。マルチチャネルセレクタは、フィードバックリンクへと結合されたN個のチャネルの無線周波数信号から1個のチャネルの無線周波数信号を選択し、そのチャネルの無線周波数信号を処理のために無線周波数信号変換器へと送信するように構成される。フィードバック信号変換をN回実行した後、フィードバック信号変換部は、N個のチャネルの無線周波数信号すべてをベースバンド信号に変換し得、ベースバンド信号をデプリコーダに送信し得る。この例において、DPD処理器およびプリコーディングおよびベースバンド信号変換部は、同じベースバンド信号
にN回同じ処理を実行し得、例えば、同じプリディストーションパラメータおよび同じプリコーディング行列を用いることによってベースバンド信号の処理を実行し得、N個のチャネルの増幅された無線周波数信号がN回の処理プロセスにおいて同一であることを保証し得る。これによって、フィードバック信号変換部は、各処理プロセスにおいて1個のチャネルの無線周波数信号のみを処理し得、N回の処理プロセスにおいてN個のチャネルの無線周波数信号の転換を完了する。オプションで、N回の処理プロセスにおいてDPD処理器によって取得された同じベースバンド信号は、N回取得された同一のサービスデータであってよく、または、DPD処理に専用で用いられた周期的な信号であってよい。
【0052】
オプションで、フィードバック信号変換部は少なくとも2個の無線周波数信号コンバータおよびマルチチャネルセレクタを含む。マルチチャネルセレクタは、処理プロセスごとに少なくとも1つのチャネルの無線周波数信号を選択し得、処理のために、少なくとも1つのチャネルの無線周波数信号を少なくとも2個の無線周波数信号コンバータに送信する。
【0053】
オプションで、N個のチャネルの増幅された無線周波数信号をフィードバックリンクに結合する処理において、選択が実行され得る。例えば、少なくとも1つのチャネルの無線周波数信号が、一回ごとに選択されてフィードバックリンクに結合され、N個のチャネルの無線周波数信号すべては、少なくとも2回結合を実行することによってフィードバックリンクに結合される。
【0054】
オプションで、
図4に示されるフィードバック信号変換部および
図2のフィードバック信号変換部は、交換可能であってよい。オプションで、フィードバック信号変換部の異なる実装は、さらに混合されてよい。例えば、
図2に示されるフィードバック信号装置は、1個のチャネルのデジタルベースバンド信号の、またはいくつかのチャネルのデジタルベースバンド信号に関して用いられ、
図4に示されるフィードバック信号変換部は、残りの1個のチャネルのデジタルベースバンド信号または残りのいくつかのチャネルのデジタルベースバンド信号に関して用いられる。プリコーディングおよびベースバンド信号変換部と同様に、フィードバック信号変換部もまた、複数のチャネルの信号の多重化を実装して、物理的構成要素およびリンクの複雑性を縮小する、無線周波数信号変換器であり得る。詳細は本明細書では説明しない。
【0055】
図3は、本願の一実施形態による別のデジタルプリディストーション処理装置の概略構造図である。
図3に対応するデジタルプリディストーション処理装置と
図2に対応するものとの間の差は、デジタルプリディストーション処理装置が、送信されるべき無線周波数信号を、処理のためにアンテナポートからフィードバックリンクに結合することである。オプションで、デジタルプリディストーション処理装置は、無線周波数信号をアンテナポートからフィードバックリンクへ結合するように構成されたカプラをさらに含んでよい。オプションで、カプラは方向性カプラまたは導波路カプラであってよい。
図3に対応するデジタルプリディストーション処理装置の、別の構造、実装、および信号処理方式は、
図2に対応する実施形態におけるデジタルプリディストーション処理装置のこれらと同一である。詳細はあらためては説明しない。
【0056】
図4は、本願の一実施形態による、なおも別のデジタルプリディストーション処理装置の概略構造図である。
図2との相違は、
図4に対応する実施形態におけるデジタルプリディストーション処理装置は、プリディストーションキャリブレーション信号送信部をさらに含むことである。プリディストーションキャリブレーション信号送信部は、DPD処理に専用で用いられるベースバンド信号を送信するように構成される。オプションで、専用ベースバンド信号はOFDM信号であってよく、または、別のタイプのベースバンド信号であってよい。オプションで、ベースバンド信号は周期的であってよく、具体的には、ある期間、特定のインターバルで繰り返される信号であってよい。
【0057】
一例において、DPD処理を完了するために、プリディストーションキャリブレーション信号送信部は同じ信号をN回送信し、DPD処理器、プリコーディングおよびベースバンド信号変換部、およびPAは、N個の同じベースバンド信号
に同じ処理をN回実行する。フィードバック信号変換部は、N個のチャネルの増幅された無線周波数信号を、一回ごとにフィードバックリンクに結合し、変換およびデプリコーダへの送信のために、1個のチャネルの増幅された無線周波数信号を選択する。N回処理を実行した後、フィードバック信号変換部は、PAによって増幅されたN個のチャネルの信号すべてをフィードバックリンクへ結合し、N個のチャネルの信号をベースバンド信号に変換し、ベースバンド信号をデプリコーダへ送信する。デプリコーダは、プリコーディングおよびベースバンド信号変換部によって用いられるものと同じプリコーディング行列を用いることによって、N個のチャネルのベースバンド信号をデプリコーディングし、1個のチャネルのベースバンド信号を取得し、ベースバンド信号のチャネルをプリディストーションパラメータ計算部に送信する。プリディストーションパラメータ計算部は、デプリコーダによって送信されたベースバンド信号と、プリディストーションキャリブレーション信号送信部によって送信され、DPD処理を受けていないベースバンド信号とに基づいてプリディストーションパラメータを計算し、更新のためにプリディストーションパラメータをDPD処理器に送信する。
【0058】
オプションで、フィードバック信号変換部がマルチチャネルセレクタおよび少なくとも2個の無線周波数信号コンバータを含むとき、フィードバック信号変換部は一回ごとの変換のために少なくとも2個のチャネルの無線周波数信号を選択してよく、M回(M<N)の変換を実行することによってN個のチャネルの無線周波数信号の転換を完了する。これに応じて、プリディストーションキャリブレーション信号送信部は、DPD処理を完了するために、同じ信号をM回送信する必要がある。
【0059】
別の例において、プリディストーションキャリブレーション信号送信部は、代わりに、非周期的なベースバンド信号を送信し得る。この場合、フィードバック信号変換部は、
図2に示される実装を用いてよい。
【0060】
図4に示される別の構造、実装、および信号処理方式は、
図2に対応する実施形態におけるこれらと同一である。詳細はあらためて説明しない。
【0061】
図5は、本願の一実施形態による、さらに別のデジタルプリディストーション処理装置の概略構造図である。
図5に対応する実施形態と
図4に対応するものとの間の差は、デジタルプリディストーション処理装置が、アンテナポートからの、送信されるべき無線周波数信号を、処理のためにフィードバックリンクに結合することである。具体的な結合方式は、
図3に対応する実施形態のものと同一である。
図5に示される別の構造、実装、および信号処理方式は、
図4の対応する実施形態におけるこれらと同一である。詳細はあらためて説明しない。
【0062】
図2から
図8のそれぞれに示されるデジタルプリディストーション処理装置、またはデジタルプリディストーション処理装置に含まれる構成部は、本願の複数の実施形態を実装するための重要な構成部を含むにすぎないことに留意されたい。別のソフトウェア/ハードウェア処理モジュールが、システムの要件に基づいて、部品および/または構成要素の間にさらに配置され得る。例えば、PAとアンテナとの間にデュプレクサがさらに配置され得、周波数混合器とADCとの間にフィルタがさらに配置され得る。
【0063】
図2から
図8のそれぞれに示されるデジタルプリディストーション処理装置、またはデジタルプリディストーション処理装置に含まれる構成部は、回路であり得る。回路は、チップシステムによって実装され得る。チップシステムは、中央処理装置(CPU)、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または別のプログラム可能な論理デバイス、トランジスタ論理デバイス、ディスクリートデバイス、ハードウェア構成要素、または上述のデバイスの任意の組み合わせを含み得る。チップシステムは、本願において開示されたコンテンツを参照して説明された、様々な例のロジカルブロック、モジュール、および回路を実装または実施し得る。装置は、代わりに、計算機能を実装するための組み合わせ、例えば1または複数のマイクロプロセッサを含む組み合わせ、またはDSPおよびマイクロプロセッサの組み合わせであり得る。具体例において、本願の複数の実施形態において提供されるデジタルプリディストーション処理装置は、RRUにおけるデジタルチップおよびアナログ無線周波数チップによってまとめて実装され得る。デジタルチップは、先述の実施形態におけるデジタル信号処理構成要素を実装するように構成される。アナログ無線周波数チップは、先述の実施形態におけるアナログ信号および/または無線周波数信号を処理するための構成要素を実装するように構成される。オプションで、アナログ無線周波数チップは、中間周波数信号処理チップおよび無線周波数信号処理チップをさらに含んでよい。
【0064】
図9は、本願の一実施形態によるデジタルプリディストーション処理方法のフローチャートである。
【0065】
段階901:プリディストーションパラメータに基づいて第1のベースバンド信号
にデジタルプリディストーション処理を実行し、第2のベースバンド信号を取得する。
【0066】
一例において、第1のベースバンド信号はサービス信号であってよい。具体例において、第1のベースバンド信号はBBUによってRRUへ送信されたベースバンド信号であってよい。ベースバンド信号は、特定のサービスデータを搬送し、例えば、ユーザダウンリンクデータを搬送する直交周波数分割多重化(orthogonal frequency division multiplexing、OFDM)信号であってよい。
【0067】
別の例において、第1のベースバンド信号はデジタルプリディストーション処理に専用で用いられるベースバンド信号であってよい。専用ベースバンド信号は、BBUから送信されてよく、RRUは、信号がデジタルプリディストーション処理に専用で用いられるベースバンド信号であると示される。代わりに、専用ベースバンド信号は、RRUによって生成または格納され、BBUの要件または命令に基づいて送信されてよい。例えば、第1のベースバンド信号はOFDM信号であってよい。オプションで、デジタルプリディストーション処理に専用で用いられるベースバンド信号は、サービスアイドルタイムセグメントに送信されてよい。専用信号を用いることによる計算によって取得されたプリディストーションパラメータは、また、サービス信号
へのデジタルプリディストーション処理の実行のプロセスに適用されてよい。例えば、サービスアイドルタイムセグメントにおいて、専用ベースバンド信号を用いることによる計算によって取得されたプリディストーションパラメータが、後続のサービス信号送信処理におけるサービス信号でのデジタルプリディストーション処理に用いられてよい。
【0068】
オプションで、第1のベースバンド信号は周期的であってよく、これによって、デジタルプリディストーション処理装置は、第1のベースバンド信号を複数回処理することによって、複数の送信チャネルの無線周波数信号フィードバックを完了する。例えば、周期的な第1のベースバンド信号は周期的なサービス信号、例えば、インターバルをおいて繰り返し送信されるサービス信号であってよい。代わりに、周期的な第1のベースバンド信号は、要件に基づいて生成された、デジタルプリディストーション処理に専用で用いられる周期的なベースバンド信号であってよい。
【0069】
段階902:プリコーディング行列に基づいて第2のベースバンド信号でプリコーディングおよびベースバンド信号変換処理を実行し、N個の(N≧1)チャネルのプリコーディングされた無線周波数信号を取得する。
【0070】
一例において、プリコーディング行列は、BBUから取得されてよく、または、RRUに格納されてよい。例えば、2レベルプリコーディングアーキテクチャにおいて、RRUはまた、ベースバンド信号または無線周波数信号でプリコーディングオペレーションを実行する必要がある。具体的なプリコーディング行列は、BBUによって判断され、そしてRRUに送信される。
【0071】
一例において、第1のベースバンド信号が周期的な信号であるとき、同じ第1のベースバンド信号は、同じプリディストーションパラメータを複数回用いることによって処理されてよく、同じ第2のベースバンド信号を取得し、そして、プリコーディングおよびベースバンド信号変換処理が、同じプリコーディング行列を用いることによって第2のベースバンド信号
に実行され、これによって、N個のチャネルの無線周波数信号は複数のフィードバック処理におけるフィードバックリンクに結合される。
【0072】
オプションで、プリコーディングおよびベースバンド信号変換処理は、次の方法のうち1つを用いることによって第2のベースバンド信号
に実行されてよい。
(1)第2のベースバンド信号は、まずプリコーディング行列に基づいてプリコーディングされ、N個のチャネルのプリコーディングされたベースバンド信号を取得し、そしてベースバンド信号変換、例えばデジタル−アナログ変換および無線周波数シフトが、N個のチャネルのプリコーディングされたベースバンド信号
に実行され、N個のチャネルのプリコーディングされた無線周波数信号を取得する。
(2)第2のベースバンド信号は、まずベースバンド信号変換のためにN個のチャネルの信号に分割され、N個のチャネルの同じ無線周波数信号を取得し、そして、振幅および/または位相調整は、プリコーディング行列に基づいてN個のチャネルの同じ無線周波数信号
に別々に実行され、N個のチャネルのプリコーディングされた無線周波数信号を取得する。
(3)ベースバンド信号変換は、まず第2のベースバンド信号
に実行され、1個のチャネルの無線周波数信号を取得し、そして、そのチャネルの無線周波数信号はN個のチャネルの同じ無線周波数信号に分割され、振幅および/または位相調整は、プリコーディング行列に基づいてN個のチャネルの同じ無線周波数信号
に別々に実行され、N個のチャネルのプリコーディングされた無線周波数信号を取得する。
(4)ベースバンド信号変換が第2のベースバンド信号
に実行されたとき、振幅および/または位相調整は無線周波数シフト処理において実装され、N個のチャネルのプリコーディングされた無線周波数信号を取得する。
【0073】
確かに、1個のチャネルのデジタルベースバンド信号は、別の方法を用いることによって、または別の処理プロセスにおいて、代わりにプリコーディングされてアナログ無線周波数信号に変換されてもよい。これは、本願に限定されるものではない。
段階903:電力増幅器を用いることによって、N個のチャネルのプリコーディングされた無線周波数信号を増幅する。
【0074】
段階904:電力増幅器によって増幅されたN個のチャネルの無線周波数信号をフィードバックリンクに結合し、N個のチャネルの無線周波数信号をN個のチャネルの第3のベースバンド信号に変換する。
【0075】
オプションで、電力増幅器によって増幅されたN個のチャネルの無線周波数信号すべてが、1つのフィードバック処理においてフィードバックリンクに結合されてよく、または、複数のフィードバック処理においてフィードバックリンクに結合されてよい。
【0076】
一例において、段階901から段階903の処理は同じ第1のベースバンド信号(具体的には、周期的な第1のベースバンド信号)
にM回(1≦M≦N)実行され、N個のチャネルの同じ増幅された無線周波数信号が一回ごとに取得され、少なくとも1つのチャネルの増幅された無線周波数信号が選択されて、一回ごとにフィードバックリンクに結合されてよく、N個のチャネルの増幅された無線周波数信号すべては、結合がM回実行された後にフィードバックリンクに結合される。
【0077】
別の例において、段階901から段階903の処理は、同じ第1のベースバンド信号
にM回実行され、N個のチャネルの同じ増幅された無線周波数信号は、一回ごとに取得され、N個のチャネルの増幅された無線周波数信号すべては、一回ごとにフィードバックリンクに結合される。
【0078】
オプションで、フィードバックリンクにおけるN個のチャネルの無線周波数信号は、次の方法のうち1つを用いることによって、N個のチャネルの第3のベースバンド信号に変換されてよい。
(1)フィードバック信号変換、例えば、ダウンコンバージョンおよびデジタル−アナログ変換は、1つの処理プロセスにおいてN個のチャネルの無線周波数信号
に別々に実行され、N個のチャネルの第3のベースバンド信号を取得する。
(2)少なくとも1つのチャネルの無線周波数信号が、一回ごとに選択され、フィードバック信号変換が少なくとも1つのチャネルの無線周波数信号
に実行され、少なくとも1つのチャネルの第3のベースバンド信号を取得し、変換がM回実行され、N個のチャネルの第3のベースバンド信号を取得する。
【0079】
段階905:段階902のものと同じプリコーディング行列を用いることによって、N個のチャネルの第3のベースバンド信号をデプリコーディングし、第4のベースバンド信号を取得する。オプションで、デプリコーディングの具体的な実装は以下にあるものでよい。プリコーディング行列の逆行列によってN個のチャネルの第3のベースバンド信号を乗じ、第4のベースバンド信号を取得する。デプリコーディングの具体的な実装は、本願に限定されるものではない。
【0080】
段階906:第1のベースバンド信号および第4のベースバンド信号に基づいてプリディストーションパラメータを計算する。
【0081】
オプションで、プリディストーションパラメータは、メモリ多項式モデルおよびボルテラ(Volterra)級数モデルなどのアルゴリズムを用いることによって計算されてよい。これは、本願に限定されるものではない。
【0082】
オプションで、プリディストーションパラメータは、計算を通して取得されたプリディストーションパラメータを用いることによってアップデートされてよく、これによって、新しいプリディストーションパラメータが次のデジタルプリディストーション処理のために用いられる。
【0083】
オプションで、段階901から段階906はデジタルプリディストーション処理装置、例えば、
図2から
図5のそれぞれにおいて示されるデジタルプリディストーション処理装置によって実行されてよく、または、システムまたはネットワークデバイスにおける別の装置、例えば、RRUにおけるデジタル処理装置、および/または、RRUにおける中間周波数処理装置および無線周波数処理装置によって実行されてよい。
【0084】
本願に開示されたコンテンツにおいて説明された方法および装置は、ハードウェアを用いることによって実装され得、または、ソフトウェア命令を実行することによってプロセッサによって実装され得る。ソフトウェア命令は、対応するソフトウェアモジュールを含み得る。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルハードディスク、CD−ROM、または、当該技術分野で既知の任意の他の形態の記憶媒体に記憶され得る。例えば、記憶媒体はプロセッサと結合され、これによって、プロセッサは記憶媒体から情報を読み出し、または、記憶媒体に情報を書き込む。確かに、記憶媒体はプロセッサの構成要素であってよい。オプションで、プロセッサおよび記憶媒体はASIC内に位置してよい。オプションで、ASICはBBU内に、および/またはRRU内に位置してよい。オプションで、プロセッサおよび記憶媒体は、ディスクリートなアセンブリとしてBBUおよび/またはRRU内に存在してよい。
【0085】
当業者は、上述の1または複数の例において、本願において説明された機能はハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせによって実装されてよいことを認識するであろう。本願がソフトウェアによって実装されるとき、前述の機能はコンピュータ可読媒体において記憶されてよいか、コンピュータ可読媒体内の1または複数の命令またはコードとして送信されてよい。コンピュータ可読媒体はコンピュータ記憶媒体および通信媒体を含む。通信媒体は、コンピュータプログラムが、1つの場所から別の場所へ送信されることを可能にする任意の媒体を含む。記憶媒体は、汎用または専用のコンピュータにアクセス可能な、任意の使用可能な媒体であり得る。
【0086】
本願の目的、技術的解決法、および利点は、上述の具体的な実装において詳細にさらに説明される。上述の記載は、本願の具体的な実装にすぎないが、本願の保護範囲を限定するようには意図されないことが理解されるべきである。本願の技術的解決法に基づいて行われた、いかなる改変、同等の置換、または改善も、本願の保護範囲内に入るものとする。
[項目1]
デジタルプリディストーション処理器、プリコーディングおよびベースバンド信号変換部、フィードバック信号変換部、デプリコーダ、およびプリディストーションパラメータ計算部を備えるデジタルプリディストーション処理装置であって、
上記デジタルプリディストーション処理器は、第1のベースバンド信号を受信して、プリディストーションパラメータに基づいて上記第1のベースバンド信号でデジタルプリディストーション処理を実行して第2のベースバンド信号を取得し、上記第2のベースバンド信号を上記プリコーディングおよびベースバンド信号変換部に送信するように構成され、
上記プリコーディングおよびベースバンド信号変換部は、上記第2のベースバンド信号でプリコーディングおよびベースバンド信号変換を実行してN個のチャネルのプリコーディングされた無線周波数信号を取得し、上記N個のチャネルのプリコーディングされた無線周波数信号を電力増幅器に送信するように構成され、N≧1であり、
上記フィードバック信号変換部は、上記電力増幅器によって増幅されたN個のチャネルの無線周波数信号をフィードバックリンクに結合し、上記フィードバックリンク内のN個のチャネルの無線周波数信号をN個のチャネルの第3のベースバンド信号に変換し、上記N個のチャネルの第3のベースバンド信号を上記デプリコーダに送信するように構成され、
上記デプリコーダは、上記N個のチャネルの第3のベースバンド信号をデプリコーディングして第4のベースバンド信号を取得し、上記第4のベースバンド信号を上記プリディストーションパラメータ計算部に送信するように構成され、
上記プリディストーションパラメータ計算部は、上記第1のベースバンド信号および上記第4のベースバンド信号に基づいてプリディストーションパラメータを計算し、計算を通して取得された上記プリディストーションパラメータを上記デジタルプリディストーション処理器に送信するように構成される、
装置。
[項目2]
上記フィードバック信号変換部が、上記電力増幅器によって増幅された上記N個のチャネルの無線周波数信号を上記フィードバックリンクに結合することは、
上記フィードバックリンクに、上記電力増幅器によって出力された上記N個のチャネルの無線周波数信号を結合すること、または、
上記フィードバックリンクに、アンテナによって送信されるべき上記N個のチャネルの無線周波数信号を結合することを含む、
項目1に記載の装置。
[項目3]
周期的な上記第1のベースバンド信号を上記デジタルプリディストーション処理器に送信するように構成されるプリディストーションキャリブレーション信号送信部をさらに備える、項目1または2に記載の装置。
[項目4]
上記フィードバック信号変換部は、上記フィードバックリンク内の上記無線周波数信号を上記第3のベースバンド信号に変換するように構成される無線周波数信号変換器を備える、項目1から3のいずれか1項に記載の装置。
[項目5]
上記フィードバック信号変換部はさらに、上記フィードバックリンク内の上記N個のチャネルの無線周波数信号から少なくとも1つのチャネルの無線周波数信号を選択し、上記少なくとも1つのチャネルの無線周波数信号を上記無線周波数信号変換器に送信するように構成されるマルチチャネルセレクタを備える、項目4に記載の装置。
[項目6]
上記プリコーディングおよびベースバンド信号変換部は、位相シフタおよびベースバンド信号変換器を備え、
上記位相シフタは、プリコーディング行列に基づいて上記第2のベースバンド信号で振幅および/または位相調整を実行して、プリコーディングされたベースバンド信号を取得し、上記プリコーディングされたベースバンド信号を上記ベースバンド信号変換器に送信するように構成され、
上記ベースバンド信号変換器は、受信された上記プリコーディングされたベースバンド信号を上記プリコーディングされた無線周波数信号に変換するように構成される、
項目1から5のいずれか1項に記載の装置。
[項目7]
上記プリコーディングおよびベースバンド信号変換部はベースバンド信号変換器および位相シフタを備え、
上記ベースバンド信号変換器は、受信された上記第2のベースバンド信号を無線周波数信号に変換するように構成され、
上記位相シフタは、プリコーディング行列に基づいて上記無線周波数信号で振幅および/または位相調整を実行し、上記プリコーディングされた無線周波数信号を取得するように構成される、
項目1から5のいずれか1項に記載の装置。
[項目8]
上記プリコーディングおよびベースバンド信号変換部は、ベースバンド信号変換器、電力スプリッタ、および位相シフタを備え、
上記ベースバンド信号変換器は、上記第2のベースバンド信号を1個のチャネルの無線周波数信号に変換するように構成され、
上記電力スプリッタは、上記チャネルの無線周波数信号を上記N個のチャネルの無線周波数信号に分割し、上記N個のチャネルの無線周波数信号を上記位相シフタに送信するように構成され、
上記位相シフタは、プリコーディング行列に基づいて上記無線周波数信号で振幅および/または位相調整を実行し、上記プリコーディングされた無線周波数信号を取得するように構成される、
項目1から5のいずれか1項に記載の装置。
[項目9]
上記プリコーディングされた無線周波数信号を受信し、上記プリコーディングされた無線周波数信号を増幅し、増幅された上記プリコーディングされた無線周波数信号をアンテナに送信するように構成される、電力増幅器をさらに備える、項目1から8のいずれか1項に記載の装置。
[項目10]
項目1から9のいずれか1項に記載のデジタルプリディストーション処理装置と、アンテナとを備える、無線送受信装置。
[項目11]
項目10に記載の無線送受信装置を備える、基地局。
[項目12]
デジタルプリディストーション処理方法であって、
プリディストーションパラメータに基づいて第1のベースバンド信号でデジタルプリディストーション処理を実行し、第2のベースバンド信号を取得する段階と、
プリコーディング行列に基づいて上記第2のベースバンド信号でプリコーディングおよびベースバンド信号変換処理を実行し、N個のチャネルのプリコーディングされた無線周波数信号を取得する段階であって、N≧1である、段階と、
電力増幅器を用いることによって、上記N個のチャネルのプリコーディングされた無線周波数信号を増幅する段階と、
上記電力増幅器によって増幅されたN個のチャネルの無線周波数信号を、フィードバックリンクに結合し、N個のチャネルの無線周波数信号をN個のチャネルの第3のベースバンド信号に変換する段階と、
上記N個のチャネルの第3のベースバンド信号をデプリコーディングして、第4のベースバンド信号を取得する段階と、
第1のベースバンド信号および上記第4のベースバンド信号に基づいてプリディストーションパラメータを計算する段階と、
を備える、方法。
[項目13]
上記電力増幅器によって増幅されたN個のチャネルの無線周波数信号をフィードバックリンクに結合する上記段階は、
上記フィードバックリンクに、上記電力増幅器によって出力された上記N個のチャネルの無線周波数信号を結合する段階、または、
上記フィードバックリンクに、アンテナによって送信されるべき上記N個のチャネルの無線周波数信号を結合する段階、
を含む、項目12に記載の方法。
[項目14]
上記第1のベースバンド信号は周期的な信号である、項目12または13に記載の方法。
[項目15]
上記電力増幅器によって増幅された上記N個のチャネルの無線周波数信号をフィードバックリンクに結合し、N個のチャネルの無線周波数信号をN個のチャネルの第3のベースバンド信号に変換する上記段階は、
無線周波数信号結合をM回およびフィードバック信号変換をM回実行することによって、上記電力増幅器によって増幅された上記N個のチャネルの無線周波数信号を上記フィードバックリンクに結合し、上記N個のチャネルの無線周波数信号を上記N個のチャネルの第3のベースバンド信号に変換する段階を含み、1≦M≦Nである、項目12から14のいずれか1項に記載の方法。
[項目16]
プリコーディング行列に基づいて上記第2のベースバンド信号で上記プリコーディングおよびベースバンド信号変換処理を実行する上記段階は、
上記第2のベースバンド信号で振幅および/または位相調整を実行し、N個のチャネルのプリコーディングされたベースバンド信号を取得する段階と、
上記N個のチャネルのプリコーディングされたベースバンド信号を、上記N個のチャネルのプリコーディングされた無線周波数信号に変換する段階と、
を含む、項目12から15のいずれか1項に記載の方法。
[項目17]
プリコーディング行列に基づいて上記第2のベースバンド信号でプリコーディングおよびベースバンド信号変換処理を実行する上記段階は、
上記第2のベースバンド信号をN個のチャネルの無線周波数信号に変換する段階と、
上記プリコーディング行列に基づいて上記N個のチャネルの無線周波数信号で振幅および/または位相調整を実行し、上記N個のチャネルのプリコーディングされた無線周波数信号を取得する段階と、
を含む、項目12から15のいずれか1項に記載の方法。