特許第6860298号(P6860298)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゼロックス コーポレイションの特許一覧

特許6860298合成色における動作不能なインクジェットのためのベクトル補正
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6860298
(24)【登録日】2021年3月30日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】合成色における動作不能なインクジェットのためのベクトル補正
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20210405BHJP
   B41J 2/21 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   B41J2/01 205
   B41J2/01 207
   B41J2/21
【請求項の数】9
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2016-119452(P2016-119452)
(22)【出願日】2016年6月16日
(65)【公開番号】特開2017-13495(P2017-13495A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2019年6月17日
(31)【優先権主張番号】14/754,272
(32)【優先日】2015年6月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・マイケル・クルーン
【審査官】 中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−349659(JP,A)
【文献】 特開2013−070359(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0354723(US,A1)
【文献】 特開2007−145019(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0035984(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0075370(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷された合成色における測色および色相を維持するためのシステムであって、
第1の色平面および第1の画素に対する第1のコントーン補正を表すビットマップを取得するよう構成されるプリンタと、
第1の動作不能な色平面を表す出力信号を生成するよう構成されるセンサと、
第2の隣接する色平面およびコントーンを制御して前記第1の動作不能な色平面を補正するよう構成され、かつ、少なくとも1つの動作可能な色平面を前記第1の画素で補正するよう構成されるコントローラとを備え、
前記コントローラは、動作不能なジェット補正であるIJCの実装を、前記IJCにより欠損として処理される作動中ラスタに残るインクと比較される、動作不能なインクジェットからの残る印刷不能なインクのレベルを精査することにより評価する、システム。
【請求項2】
前記コントローラは前記第2の隣接する色平面を制御して、前記第1の動作不能な色平面を、接するラスタ列における全ての動作可能および動作不能な色平面を動作不能として取り扱うことにより補正する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記合成色の前記色相に関連する前記コントローラに対して出力信号を生成する光センサをさらに備え、前記コントローラは、前記第2の隣接する色平面補正を評価または補正するよう構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、動作不能なインクジェットに残る印刷不能なインクのベルの変化の割合、または、動作可能なインクジェットにおける印刷可能なインクの前記レベルの変化の割合を判定して、動作不能なインクジェットを判定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
印刷される合成色における測色および色相を維持するための方法であって、
第1の色平面および第1の画素に対する第1のコントーン補正を表すビットマップを取得することと、
第1の動作不能な色平面を表す出力信号を生成することと、
第2の隣接する色平面およびコントーンを制御して前記第1の動作不能な色平面を補正し、かつ、少なくとも1つの動作可能な色平面を前記第1の画素で補正するよう構成されることと、
動作不能なジェット補正であるIJCの実装を、前記IJCにより欠損として処理される作動中ラスタに残るインクと比較される、動作不能なインクジェットからの残る印刷不能なインクのレベルを精査することにより評価することと、
を備える、方法。
【請求項6】
前記第2の隣接する色平面を制御することは、前記第1の動作不能な色平面を、接するラスタ列における全ての動作可能および動作不能な色平面を動作不能として取り扱うことにより補正する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
作不能なインクジェットに残る印刷不能なインクのベルの変化の割合、または、動作可能なインクジェットにおける印刷可能なインクの前記レベルの変化の割合を判定して、どのインクジェットが動作不能か判定する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
ハーフトーン印刷プロセスにおいて印刷された合成色の測色および色相を維持するための方法であって、前記方法は、
第1の色平面および第1の画素に対する第1のハーフトーン前の補正を表すビットマップを取得することと、
第1の動作不能な色平面を表す出力信号を生成することと、
第2の隣接する色平面およびハーフトーン後を制御して前記第1の動作不能な色平面を補正し、かつ、少なくとも1つの動作可能な色平面を前記第1の画素で補正するよう構成されることと、
動作不能なジェット補正であるIJCの実装を、前記IJCにより欠損として処理される作動中ラスタに残るインクと比較される、動作不能なインクジェットからの残る印刷不能なインクのレベルを精査することにより評価することと、
を備える、方法。
【請求項9】
前記第2の隣接する色平面を制御することは、前記第1の動作不能な色平面を、接するラスタ列における全ての動作可能および動作不能な色平面を動作不能として取り扱うことにより補正する、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、1つ以上の動作不能なインクジェットを有するインクジェットプリンタにより印刷された、合成色における印刷の色相および鮮明さを保持するための補正メカニズムに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタは、一般的に、1つ以上の印字ヘッドを含む。印字ヘッドは、1つ以上のインクジェット(例えば、ノズル、エミッタ、ジェット)を含んでよい。インクジェットノズルの直径が小さいと、印刷品質および解像度が向上する可能性がある。しかしながら、直径が小さいことにより、インクジェット内のインクが乾燥または停滞する可能性が増し、インクジェットを動作不能にする可能性がある。停滞を解消する浄化サイクルでは、印字ヘッドまたはプリンタが画像生成を停止して、動作不能なジェットを除去する必要があるかもしれない。異物、停滞、および、インクの部分的または全体的な閉塞が、インクジェットを動作不能にする場合がある。動作不能なインクジェットでは、動作不能なジェットを補正するために隣接する動作可能なジェットの再ベクトル化が必要な場合がある。しかし、そのような弱い間欠的なインクジェットラスタ、または、軸外のインクジェットラスタは、動作不能なインクジェットの補正が不十分な場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ドロップオンデマンドの技術は、インクジェットを利用して商業製品(例えば、プリンタ、プロッタ、および、ファクシミリ機)において媒体を印刷する。インクジェットは、インク滴を形成およびインクジェットから選択的に排出して、画像を表面(例えば、紙、蓄積ドラムなど)上に形成してよい。印字ヘッドは、インクジェットを配置および管理して、画像受信表面上への印刷を行ってよい。「ダイレクト」インクジェットプリンタは、インク滴を直接的に印刷表面上へ排出する。「インダイレクト」インクジェットプリンタは、インク滴を、回転画像化ドラムまたはベルトなどの中間画像受信部材上へ排出する。その後、中間画像受信部材は、画像を印刷表面へ転写してよい。印字ヘッドおよび画像受信表面は、インクジェットがインク滴を適切な位置または時間に排出してインク画像を画像受信表面上に形成する際、相互に関連して移動してよい。プリンタにおけるコントローラは、発射信号としても知られる電気信号を所定の時間に生成し、個々のインクジェットを起動してよい。インクジェットは、様々な液体インク色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、および、ブラック)を排出してよい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
印刷合成色における測色および色相を維持するためのシステムは、以下を備える:第1の色平面および第1の画素に対する第1のコントーン補正を示すビットマップを取得するよう構成されるプリンタ;第1の動作不能な色平面を示す出力信号を生成するよう構成されるセンサ;および、第2の隣接する色平面およびコントーンを制御して第1の動作不能な色平面を補正するよう構成され、かつ、少なくとも1つの動作可能な色平面を第1の画素で補正するよう構成されるコントローラ。
【0005】
印刷合成色における測色および色相を維持するための方法は、以下を備える:第1の色平面および第1の画素に対する第1のコントーン補正を示すビットマップを取得すること;第1の動作不能な色平面を示す出力信号を生成すること;および、第2の隣接する色平面およびコントーンを制御して第1の動作不能な色平面を補正し、かつ、少なくとも1つの動作可能な色平面を第1の画素で補正するよう構成されること。
【0006】
ハーフトーン印刷プロセスにおいて印刷合成色の測色および色相を維持するための方法は、以下を備える:第1の色平面および第1の画素に対する第1のハーフトーン前補正を示すビットマップを取得すること;第1の動作不能な色平面を示す出力信号を生成すること;および、第2の隣接する色平面およびハーフトーン後を制御して第1の動作不能な色平面を補正し、かつ、少なくとも1つの動作可能な色平面を第1の画素で補正するよう構成されること。
【0007】
これらの特性および他の特性、および、本技術の特徴、並びに、動作の方法および構造の関連要素の機能、および、部品の組み合わせ、および、製造の経済は、その全てが本明細書の一部を形成し同様の参照番号が様々な図において対応する部分を指す添付の図を参照して、以下の説明および請求項を考慮することで、より明らかになるであろう。しかしながら、図が図示および説明のみを目的としており、本実施形態の限定を規定する意図はないことが、明白に理解される。本明細書および請求項において使用される場合、「a(1つの)」「an(1つの)」および「the(その)」の単数形は、他に明示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0008】
特許または出願ファイルは、カラーで作成される少なくとも1つの図を包含する。カラーの図を伴う本特許の複写または特許出願公報は、必要経費の要求および支払いを伴ってオフィスにより提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、どのようにシステムコンポーネントが作用するかを明示するシステムコンポーネントの略図である。
図2図2は、1つ以上の動作不能なインクジェットを補正するよう構成されるプリンタの1つの実施形態を図示する。
図3図3は、共にプリンタフレームバッファまたはカラービットマップを備える、4個のM行N列の出力解像度の色平面を含む1つの実施形態を提示する。
図4A図4Aは、図4Bに図示される第1の2個のビットマップ構成を図示し、構成は図4Bに図示される実際のビットマップとの比較が容易になるよう再現される。
図4B図4Bは、動作不能なシアンインクジェットのIJCを介して取得された30%ブルー合成色を描写し、列7、17、および27におけるラスタ生成物は、動作不能なシアンインクジェットを処理するIJCから取得された合成色を図示する。
図5図5は、動作可能および動作不能なインクジェットの修正されたIJCを介して取得された30%ブルー合成色を描写し、列7、17、および27におけるラスタ生成物は、シアン(動作不能)およびマゼンタ(動作可能)インクジェットの両方の修正されたIJC処理から取得された合成色を図示する。
図6図6は、動作不能なシアンインクジェットのIJCを介して取得された50%ブルー合成色を描写し、列7、17、および27におけるラスタ列生成物は、動作不能なシアンインクジェットを処理するIJCから取得された合成色を図示する。
図7図7は、動作可能および動作不能なインクジェットの修正されたIJCを介して取得された50%ブルー合成色を描写し、列7、17、および27の生成物は、シアン(動作不能)およびマゼンタ(動作可能)インクジェットの両方の修正されたIJC処理から取得された合成色を図示する。
図8図8は、動作不能なシアンインクジェットのIJCを介して取得された55%ブルー合成色を描写し、列7、17、および27におけるラスタ列生成物は、動作不能なシアンインクジェットを処理するIJCから取得された合成色を図示する。
図9図9は、動作可能および動作不能なインクジェットの修正されたIJCを介して取得された55%ブルー合成色を描写し、列7、17、および27における生成物は、シアン(動作不能)およびマゼンタ(動作可能)インクジェットの両方の修正されたIJC処理から取得された合成色を図示する。
図10図10は、動作不能なシアンインクジェットのIJCを介して取得された89%ブルー合成色を描写し、列7、17、および27におけるラスタ列生成物は、動作不能なシアンインクジェットを処理するIJCから取得された合成色を図示する。
図11図11は、動作可能および動作不能なインクジェットの修正されたIJCを介して取得された89%ブルー合成色を描写し、列7、17、および27における生成物は、シアン(動作不能)およびマゼンタ(動作可能)インクジェットの両方の修正されたIJC処理から取得された合成色を図示する。
図12図12は、動作不能なシアンインクジェットのIJCを介して取得された95%ブルー合成色を描写し、列7、17、および27におけるラスタ列生成物は、動作不能なシアンインクジェットを処理するIJCから取得された合成色を図示する。
図13図13は、動作可能および動作不能なインクジェットの修正されたIJCを介して取得された95%ブルー合成色を描写し、列7、17、および27における生成物は、シアン(動作不能)およびマゼンタ(動作可能)インクジェットの両方の修正されたIJC処理から取得された合成色を図示する。
図14図14は、動作不能なマゼンタインクジェットのIJCを介して取得された80%レッド合成色を描写し、列7、17、および27におけるラスタ列生成物は、動作不能なインクジェットを処理するIJCから取得された合成色を図示する。
図15図15は、動作可能および動作不能なインクジェットの修正されたIJCを介して取得された80%レッド合成色を描写し、列7、17、および27における生成物は、マゼンタ(動作不能)およびイエロー(動作可能)インクジェットの両方の修正されたIJC処理から取得された合成色を図示する。
図16図16は、動作不能なマゼンタインクジェットのIJCを介して取得された88%レッド合成色を描写し、列7、17、および27におけるラスタ列生成物は、動作不能なインクジェットを処理するIJCから取得された合成色を図示する。
図17図17は、動作可能および動作不能なインクジェットの修正されたIJCを介して取得された88%レッド合成色を描写し、列7、17、および27における生成物は、マゼンタ(動作不能)およびイエロー(動作可能)インクジェットの両方の修正されたIJC処理から取得された合成色を図示する。
図18図18は、動作不能なシアンインクジェットのIJCを介して取得された80%グリーン合成色を描写し、列7、17、および27におけるラスタ列生成物は、シアン色平面において隣接するインクジェットを動作不能として処理するIJCから取得された合成色を図示する。
図19図19は、動作可能および動作不能なインクジェットの修正されたIJCを介して取得された80%グリーン合成色を描写し、列7、17、および27における生成物は、シアン(動作不能)およびイエロー(動作可能)インクジェットの両方の修正されたIJC処理から取得された合成色を図示する。
図20図20は、動作不能なシアンインクジェットのIJCを介して取得された88%グリーン合成色を描写し、列7、17、および27におけるラスタ列生成物は、動作不能なインクジェットを処理するIJCから取得された合成色を図示する。
図21図21は、動作可能および動作不能なインクジェットの修正されたIJCを介して取得された88%グリーン合成色を描写し、列7、17、および27における生成物は、シアン(動作不能)およびイエロー(動作可能)インクジェットの両方の修正されたIJC処理から取得された合成色を図示する。
図22図22は、動作不能なシアンインクジェットのIJCを介して取得された80%ブルー合成色を描写し、列7、17、および27におけるラスタ列生成物は、動作不能なインクジェットを処理するIJCから取得された合成色を図示する。
図23図23は、動作可能および動作不能なインクジェットの修正されたIJCを介して取得された80%ブルー合成色を描写し、列7、17、および27における生成物は、シアン(動作不能)およびマゼンタ(動作可能)インクジェットの両方の修正されたIJC処理から取得された合成色を図示する。
図24図24は、動作不能なシアンインクジェットのIJCを介して取得された88%ブルー合成色を描写し、列7、17、および27におけるラスタ列生成物は、動作不能なインクジェットを処理するIJCから取得された合成色を図示する。
図25図25は、動作可能および動作不能なインクジェットの修正されたIJCを介して取得された88%ブルー合成色を描写し、列7、17、および27における生成物は、シアン(動作不能)およびマゼンタ(動作可能)インクジェットの両方の修正されたIJC処理から取得された合成色を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態の1つの目的は、インクジェットプリンタにおける動作不能なジェット補正(IJC)を使用して、印刷の前に画像コンテンツを修正することである。具体的には、動作不能なインクジェットは、合成色に不均衡に影響を及ぼす場合がある。IJCは、配列スワスのラスタ列における1つ以上の動作不能な色平面を前補正してよい。IJCは、欠損ラスタを補正し、動作不能なインクジェットを無視してフルスピード印刷を継続してよい。本明細書において使用される場合、「フルスピード印刷」は、特定のインクジェットプリンタにより最適に期待される速度での印刷を意味する。本実施形態は、異なるインクジェットプリンタで使用されることができ、当業者により容易に知られるような任意のプリンタに対する最適な速度範囲で動作してよい。IJCは、出力色平面における欠損ラスタから独立してポストレンダを適用してよい。プロセスは、スカラー(例えば、複数の主要な色平面におけるベクトル補正ではなく、欠損ラスタ色補正)であってよい。最大の修正可能な濃度は、主要な色ドット拡散および欠損ラスタに近い利用可能な主要な色平面を制限してよい。合成色(例えば、複数の色平面から生成される色)の測色の精度は、特に理論的な制限の近くで、所定の最大の修正可能な濃度の一因となる場合がある。一部の実施形態において、色の欠如は、測色の精度の一因となる場合がある。
【0011】
本明細書において使用される場合、「IJC」は、隣接するラスタ列に色を適用して欠損ラスタの色平面を補正するプロセスを指す。IJCは、動作可能な色平面に適用してよい。一部の実施形態において、IJCは、欠損ラスタまたは動作可能なラスタへ適用する。本明細書において使用される場合、「修正されたIJC」は、具体的には、動作可能なラスタ列または色平面にIJCプロセスを適用する。ベクトルIJCは、1つより多い色平面に適用する。スカラーIJCは、動作不能な色平面にのみ適用する。
【0012】
合成色は、2倍以上の追加インクを必要としてよい。したがって、ドットの拡散は、主要な色と比較して、より大きい最大の修正可能な濃度を提供するべきである。最大の修正可能な合成色レベルは、主要な最大値を超えてよいが、期待される範囲までは超えない。例えば、制御されない色相のずれ、および、質感アーチファクトは、期待される最大の修正可能な合成色濃度を低下させる可能性がある。IJC修正された色の部分被覆が高いと、これらのアーチファクトが高まる可能性がある。ある形式のラスタごとの色調整が利用可能でない限り、スカラーバイナリIJCは、IJC処理済ラスタとIJC未処理ラスタとの間の色の差を調和しなければならない。バイナリIJCメカニズムは、ジェット重複補正を含む濃度を合致させてよい。しかしながら、スカラーIJCは、大幅な色相の差(例えば、単一の階調再現曲線(TRC)調整で修正不可能な色相の差)を修正しなくてよい。
【0013】
低い空間周波数において、ベクトルは、欠損の隙間を補正するインクの総量に基づいて様々であってよい。例えば、主要または合成(例えば、第2、第3、および、超合成ブラック)色は、欠損ラスタを容易に補正してよい。しかしながら、合成(例えば、第2の)色における最大の修正可能なレベルは、主要な色における最大の修正可能な合成色レベルを実際に低下させる可能性がある。本開示は、特定の周波数が低い根拠のない修正を回避する可能性があり、これらの低下した最大の修正可能な合成色レベルと関連付けられる不均衡な問題を主要な色の中で補正してよい。
【0014】
IJCは、補正された合成色における色相のずれ、および、合成色アーチファクトを、ラスタごとのベクトルの色修正をせずに減少させてよい。特に低い周波数の色に対して、修正されたIJCは、合成色の最大値を補正してよい。主要な色に対するラスタごとのIJC濃度の合致により、十分な修正が提供されてよい。しかしながら、1つの色平面が動作不能である場合に、他または全ての色平面における対応する動作可能なラスタを動作不能として取り扱うことにより、色相のずれ、および、合成色アーチファクトを減少してよい。言い換えれば、1つ以上の色平面に対する画素位置において損失したインクは、結果的に、他の色平面における対応する画素を動作不能として取り扱うことになってよい(例えば、動作可能および動作不能な色平面の両方)。修正されたIJCは、色相のずれ、または、他のアーチファクトを減少させる可能性がある。正規化された(例えば、構成要素である主要な色の)ドットプロファイルは、統合された関連の色の一因および色濃度の両方を良好に保ってよい。
【0015】
この手法の利点は、欠損ラスタの隙間を減らすこと、および、隣接するドットの拡散で隙間が閉じることを含む。これにより、色相のずれがベクトルのラスタの色修正をせずに減少される可能性があり、最大の修正可能な測色レベルを向上させる可能性がある。IJCの主要な色の処理は、ドットプロファイルを正規化し、色相のずれをラスタ特有のベクトルの色修正をせずに減少させる。合成色の(例えば、1つ以上のインクが欠損している)画素からインクを移すことで、隣接するインクが欠損ラスタの隙間により均一および完全に拡散して満たされてよい。これにより、意図する色からの逸脱が制限される。結果として、修正されたIJCプロセスは、より高い修正可能なレベル、および、より頻繁なフルスピード印刷を達成してよい。さらに、修正された方法がディザーバックプロセスと組み合わされると、ディザーバックレベルが向上する可能性があり、それにより、印刷可能な色域が増える。
【0016】
本明細書において使用される場合、「プリンタ」は、デジタルコピー機、製本機、ファクシミリ機、多機能器など、任意の目的で媒体上に画像を形成する任意の装置である。本明細書において使用される場合、プリンタは、1つ以上のインクジェットを含む印字ヘッドを含む。「スワス」は、典型的に、画像受信部材上へマーキングされる際のラスタ列の隣接する群である。
【0017】
本明細書において使用される場合、「ジェット」および「インクジェット」という単語は交換可能であり、マーキング材料を表面に塗布するコンポーネントを特定して、画像データに対応する画像の一部を形成する。本明細書において使用される場合、「動作不能なインクジェット」という用語は、インクを排出しない、断続的にのみインクを排出する、または、インクジェットが電気発射信号を受信すると画像受信部材の不正確な位置上へインクを排出する、プリンタにおいて正常に動作しないインクジェットを指す。典型的なインクジェットプリンタは、1つ以上の印字ヘッドにおいて複数のインクジェットを含む。各インクジェットは、1つ以上の出力ラスタ列を画像受信部材上へマーキングする役割を果たす。動作不能なインクジェットに起因して欠損している各ラスタ列の近くに位置する動作可能なインクジェットにより印刷されるラスタ列は、欠損している列を補正して画像品質を保ってよい。
【0018】
本明細書において使用される場合、「画素」という用語は、画像内で最小のアドレス可能な要素を指す。正確な定義は、文脈による。他に明示されない限り、本開示における画素は、印刷画像内で最小のアドレス可能な要素を指す。「作動中画素」は、プリンタがインクの滴を画像受信表面の位置上へ排出する印刷画像データにおける画素を指す。「未作動画素」は、プリンタがインクの滴を画像受信表面の位置上へ排出しない値を有する画像データにおける画素を指す。「画素列」という用語は、プロセス方向(例えば、以下のラスタ列を参照)に拡張する画像データにおける画素の配列を指す。画像受信表面は印刷ゾーンにおけるインクジェットをプロセス方向に通過するので、インクジェットが動作不能な場合、インクジェットは、印刷ゾーンにおいて動作不能なインクジェットと並ぶ画素列における作動中画素に対応するインク滴を排出できない。以下に記載されるように、プリンタは、動作不能なインクジェットとクロスプロセス方向に並ぶ画素列における作動中画素に近似する画像データの同じ色平面における追加的な画素を起動し、動作不能なインクジェットで形成された印刷画像における欠陥を削減または除去する。
【0019】
本明細書において使用される場合、「バイナリ画像データ」または「ビットマップ」という用語は、作動中または未作動の画素の2次元(または、3次元)配列として形成される画像データを指す。ビットマップは、多平面色データを含む継続的な色調データのアレイを指してよい。例えば、ビットマップ(例えば、バイナリ画像データ)の各画素は、画素を作動中にするか、または、未作動にするかを示す、2つの値のうちの1つを含んでよい。一部のインクジェットデバイスは、各主要な色の1滴または2滴を画素の位置に印刷してよい。この構成は、画素ごとに3個の状態を与えてよい。一部の実施形態において、インクジェットデバイスは、同じ色の大きい少量の滴を各画素の位置に(さらに、3個の状態の画素)印刷してよく、または、少量または大きい滴を(画素ごとに4個のビットを与える)印刷してよい。例えば、画素ごとに1個のビットは、2個の状態を符号化してよい:0,1。画素ごとに2個のビットは、3個の状態を符号化してよい:00,01,10。画素ごとに4個のビットは、4個の状態を符号化してよい:00,01,10,11。他の本来の挙動が可能である。例えば、インクジェットプリンタは、大小の滴を印刷してよい。一部の実施形態において、大きい滴は、ビットマップにおいて小さい滴に即座に続かなくてよい。インクジェットプリンタは、画像データにおける作動中画素に対応するインク滴を選択的に排出して、インク画像を形成してよい。
【0020】
本明細書において使用される場合、「ラスタ」または「ラスタ列」は、画像の単一の色平面に対応する出力解像度の単一の画素の広範な列であり、4個の出力色平面および本開示の専門用語を想定すると、単一の画素の広範な垂直フレームバッファ列は、各々が4個の出力色平面の各々に対応する4個のラスタからなるであろう。本明細書において使用される場合、ラスタはプロセス方向に延びる。これは、ラスタが高速走査方向に並べられた行である共通の用法と異なる。本明細書において使用される場合、「欠損ラスタ」は、印刷に関わるジェットが動作不能であるため、印刷を行わないラスタである。
【0021】
「孤立インク」という表現または「孤立」という用語は、欠損ラスタにあるため、印刷を行わないインク滴または作動中画素を指す。「欠損ラスタの隙間」または「隙間」は、欠損ラスタに対応する出力列である。
【0022】
本明細書において使用される場合、「画像濃度」という用語は、画像データにおける多数の作動中画素、または、インク画像におけるインク滴に対応してよい。高濃度の領域において、画素の比較的に大きい部分が作動中にされ、画像受信表面の対応する領域が相応に多数のインク滴を受ける。低濃度の領域において、より少量の画素が作動中にされ、画像受信表面の対応する領域が、より少量のインク滴を受ける。さらに、構成要素である作動中画素またはインク滴の総数と独立して、把握された色浸潤レベルを示してよい。
【0023】
本明細書において使用される場合、「スワス」は、補正を必要とする多くても1つの中央に配置される欠損ラスタを含む色平面内で典型的に隣接する稼働ラスタの群である。対象と呼ばれることもある欠損ラスタに加えて、N−ラスタスワスは、少なくともN−1稼働ラスタを含む。各欠損ラスタは、本明細書において使用されるが唯一無二のスワスの部材であり、欠損ラスタスワス内で稼働ラスタは、複数の重複する欠損ラスタのスワスに属してよい。対象以外の欠損ラスタがスワスエリア内で見られる場合、対象でない欠損ラスタが抜かされ、代わりに次の隣接する列がスワスに含まれて、各裂け目の当該の欠損ラスタに対する1つのラスタによりスワスが広がる。これにより、各スワスにおけるラスタ全体の稼働率が確実に最小化される。
【0024】
本明細書において使用される場合、「レンダリング」は、受信されたプリンタ独自の入力画像およびページ記述言語データを、プリンタ出力解像度の継続的な色調画像データへ変換するプロセスを指し得る。レンダリングは、継続的な色調レンダリングが施された画像データを出力デバイスの色の深度および解像度へさらに変換するハーフトーン化プロセスと組み合わされてよく、または、ハーフトーン化プロセスが続いてよい。
【0025】
この出願において、「or(または)」は包括的である。すなわち、他に明示されない限り、AまたはBは、以下を含む可能性を意味する:A、B、または、AおよびB。本明細書、要約、および請求項において、「or(または)」は、一覧表示された要素の全ての可能な組み合わせを含む。意図される場合、排他的「or」は明確に示される(例えば、「xor」)。
【0026】
デジタルカラープリンタは、典型的に、2層である:各出力画素の位置における各出力色が、最小単位の着色剤を配置(沈着、露出、起動、除去など)し得るか、または、画素の位置を空けたままにし得る。1つのビットは、画素ごと、および、着色剤ごとに表してよい。例えば、プリンタは、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラック(CMYK)の4つの主要な色を使用してよく、4つの色平面において同じ解像度およびビット深度を実装してよい。この単純な構成(例えば、コントーン/ハーフトーンなし)において、16個の全ての可能な画素ごとの色の組み合わせを提示するのに、画素ごとに4つのビットのみが必要となる。フレームバッファと呼ばれることもある、ページごとの出力画素情報は、画素ごとに1つのビットの4つの出力フレーム解像度(バイナリ)ビットマップまたは出力色平面として、共通して構築される。
【0027】
マルチカラープリンタは、異なる色の各々に対するバイナリ画像データと関連した異なるインク色のインク滴を排出して、多色インク画像を形成する。本実施形態において、マルチカラープリンタは、ビットマップデータを精査して画素の色を判定する。マルチカラープリンタに利用可能な色は、主要な出力色または「色平面」を表す。幾何学的および機械的に相互に類似して作製された対応するインクジェットの典型的に一致する色平面により、画像品質の変化が最小化される。主要な色が出力される順番により、画像品質に変化が生じる可能性がある。例えば、最初にマゼンタを印刷して次にシアンを印刷するより、最初に主要な色であるシアンを印刷し、続いてマゼンタを印刷することで、異なる合成色を生じさせてよい。画像品質の変化は、機器ごとに単一の機器の製品寿命全体で起こる。共に追随するインクジェットは、色相の不均衡および関連するアーチファクトを最小化する。デジタルプリンタは、4つの出力色平面を含んでよい。本出願に記載されるように、これらの主要な色平面は、シアン、マゼンタ、イエロー、またはブラック(CMYK)を含む。一部の実施形態において、5個、6個、または、それ以上の主要な色平面が使用されてよい。
【0028】
2次元アレイは、継続的な色調およびバイナリの両方で画像データを配列してよい。画像データは、プロセス方向およびクロスプロセス方向に対応する次元を含んでよい。「走査方向」または「クロスプロセス方向」は、画像受信表面がプリンタを通過する方向に垂直である。「プロセス方向」は、画像受信表面が移動する方向に平行である。本明細書において使用される場合、「画素列」という用語は、プロセス方向に延びる画像データにおける画素の配列を指す。画像受信表面は印刷ゾーンにおけるインクジェットをプロセス方向に通過するので、インクジェットが動作不能である場合、インクジェットは、動作不能なインクジェットと並ぶ画素列における作動中画素に対応するインク滴を排出できない。以下に記載されるように、プリンタは、ラスタ列における作動中画素と隣接する画像データにおける同じ色平面の追加的な画素を起動してよい。追加的な画素は、動作不能なインクジェットとクロスプロセス方向に並んで、動作不能なインクジェットで形成される印刷画像における欠陥を削減または除去してよい。
【0029】
本明細書において使用される場合、「画像濃度」という用語は、画像データにおける多数の作動中画素、ビットマップ、または、インク画像内でのインク滴に対応してよい。高濃度の領域は、画素の比較的に大きい部分を作動中にする。画像受信表面の対応する高濃度の領域は、相応に多数のインク滴を受けてよい。低濃度の領域は、より少数の画素を作動中にし、画像受信表面の対応する低濃度の領域は、より少ないインク滴を受けてよい。画像濃度は、構成要素である作動中画素またはインク滴の総数と独立して把握された色飽和レベルを示してよい。
【0030】
図1は、どのようにシステムコンポーネントが作用し得るかを明示するシステムコンポーネントの略図である。プリンタ10はネットワーク2と接続されてよく、ネットワークは1つ以上の計算デバイス4、電子記憶装置6、外部リソース8、コントローラ16、センサ18、または、他のネットワークコンポーネントを含む。プリンタ10は、印字ヘッド12を含んでよい。印字ヘッド12は、各ラスタ列に対応する1つ以上のインクジェット14を含んでよい。
【0031】
図2は、1つ以上の動作不能なインクジェット14aを補正するよう構成されるプリンタ10の1つの実施形態を図示する(図1に示され、図3に記載される)。プリンタ10は、1つ以上のインクジェット14(例えば、動作可能なジェット14bまたは動作不能なジェット14aのいずれかの色平面に適用される)をIJC補正してよい。2層のデジタルカラープリンタは、所与の出力画素の位置に所与の出力色を含んでよく、最小単位の着色剤を配置(例えば、沈着、露出、起動、除去など)してよい。代替的に、プリンタ10は、画素位置を空けたままにしてよい。画素ごと着色剤ごとに1つのビットが、このプロセスを規定してよい。(図1に示されるような)印字ヘッド12上のラスタの例示的な実施形態は、1つのラスタ316列を印刷してよい。例えば、ラスタ316は、シアン14a、マゼンタ14b、イエロー14c、およびブラック14d(CMYK)のような主要な色を有する4つのインクジェット14を使用してよい。4つの色平面は、同じ解像度およびビット深度を有してよい。この構成において、ラスタ316の幅(例えば、画素幅)は、シアン14aとイエロー14cとの間の距離であり、画素の高さは、マゼンタ14bとブラック14dとの間の距離であるが、他の構成も可能である。例えば、4つの色平面は、コントーンまたはハーフトーンを作成する可変の解像度またはビット深度を有してよい。
【0032】
画素ごとに4個(または、5個)のビットが、16個の全ての可能な画素ごとの色の組み合わせを表してよい。一部の実施形態において、5個目または追加のビットが、作動中または未作動画素を示してよい。画素ごとに1つのビットの4個の出力フレーム解像度(バイナリ)ビットマップまたは出力色平面は、フレームバッファと呼ばれることもあるページごとの出力画素情報を構築してよい。例えば、4個のビットは、CMYKラスタビットマップ構成に基づいてイエロー(0010)の印刷を符号化する。この情報を伝達するために5個のビットを使用する第2の構成において、第1の(または、最後の、または任意の構成ビット)は、プリンタが印刷すべきかを示してよい(例えば、10010はイエローを印刷し、00010は印刷しない)。第2の構成は、動作可能なインクジェット14bの印刷を回避するIJC符号化の利点になることが、明確になるであろう。この例は限定的ではなく、6個または7個のビット符号化を備える6個のインクジェット14のラスタ316など、他の構成が可能である。
【0033】
フレームバッファ内での異なる色平面における画素は、それらの値が画像受信表面上の同じ画素の位置に対する出力色を判定する際に、整列または対応する。ラスタ316は、構成要素である画素の全てが整列する場合、整列または対応する。スワス(例えば、ラスタ316の集合)は、全ての含まれるラスタ316が整列する場合に整列または対応する異なる出力色を表してよい。
【0034】
動作不能なジェット補正(IJC)は、ハーフトーン段階の前または後に包括的に実施されてよい。IJCは、ハーフトーン後のプロセスをラスタ化されたフレームバッファに排他的に使用してよい。IJCは、スカラープロセスを実施してよい。スカラープロセスにおいて、IJCは、欠損ラスタの色平面内でデータを修正するのみでよい。追加的な修正されたIJCは、欠損ラスタのスワスと整列する任意または全部の動作可能な出力インク色を表す他の色平面における画素データに対応してよい。一部の実施形態において、コントローラ16は、修正されたIJC処理(例えば、追加的または隣接するインクジェット14の色平面14a〜14dに対するIJC処理)を最善に適用するために、実施特有の状況を判定してよい。コントローラは、プリンタ10、印刷モード、または、インクジェット14の色平面14a〜14dを制御してよい。本開示のモードは、ベクトルのIJC処理(例えば、修正されたIJCを動作可能なインクジェット14の色平面14a〜14dに適用することを含むよう記載された修正されたIJC)を適用する前に実施特有の状態をチェックすることを含んでよい。例えば、追加的な処理は、特有の色平面14a〜14d、動作可能な色平面14b、または、動作不能な色平面14aに適用するのみであってよい。(注意:他に明示されない限り、この開示は、マゼンタ14aが動作不能14aであり、シアン14bが動作可能14bであると想定する例示的な実施形態を提供する。実際には、任意の色平面14a〜14dは「動作不能」になってよく、または、「動作可能」であってよい)
【0035】
本開示において、IJC濃度変換は、ページを再レンダリングする必要性を除去してよい(例えば、修正されたIJCが不成功である場合)。IJCにより、欠損または動作不能として処理された稼働ラスタ316の色平面14への正確な負担が可能となってよい。修正されたIJCは、最大のIJCの修正可能な濃度を超えても、追加的な処理コストなしで意図する画像濃度を保ってよい。
【0036】
修正されたIJCは、画像コンテンツを変更しなくてよい。例えば、画像コンテンツおよび画像データは、修正されたIJCプロセスを変更しなくてよい。修正されたIJCは、同等の欠損ジェット14の処理を、各欠損ラスタ316のスワス310と整列する全ての色平面14におけるスワス302へ適用するのに有用なインスタンスを含んでよい。プロセスは、IJCをジェット14(動作可能14bおよび動作不能14a)のサブセットへ適用してよい。例えば、プロセスは、「イエロー14cのみ」または「ブラック14d以外の全ての色平面」など、所定の画像から独立した基準にしたがって、稼働スワスを整列してよく、または、積極性が少ないIJCアルゴリズムを使用して稼働ラスタ316を処理してよい。これにより、画像データに依存する条件付きの挙動を回避する利点が提供されてよく、または、クロス色平面14の出力解像度データアクセスに対する要件が回避されてよい。クロス色平面14の出力解像度データは、一部の画像パイプラインアーキテクチャにおいて利用可能でない場合がある。
【0037】
条件付きの制限は、IJC処理の稼働スワス302への体系的な適用を画像データコンテンツに基づいて防いでよい。例えば、処理により、IJCの不利な体系的な適用が回避されてよい。さらに、スワスのグレー14の稼働ラスタ316を欠損として処理することで、対応するシアン14aのジェット14が動作不能である場合、一部の利点が提示される可能性がある。画像の一部がシアン14aを使用しない場合、IJCを作動中にすることで画像品質または色相が歪曲される可能性がある。
【0038】
プリンタの説明
図2は、位相変化インクプリンタ10の実施形態を描写する。位相変化プリンタ10は、1つ以上の動作不能な14aのインクジェット14を、本開示の態様にしたがって補正してよい。他のプリンタ10の構成が考慮される。プリンタ10は、直接的または間接的に搭載されるフレーム20を含んでよい。プリンタ10は、画像受信部材22を含んでよい。図2は、部材22を回転可能な画像化ドラムとして図示しているが、支持エンドレスベルトが部材22を形成してもよい。画像受信部材22(例えば、ドラムまたはベルト)は、画像受信表面24を有してよい。表面24は、インク画像を形成するための位置を提供してよい。アクチュエータ94(例えば、サーボまたは電子モータ)は、画像受信部材22を係合してよい。アクチュエータ94は、画像受信部材22を(例えば、方向26に)回転させてよい。転写定着ローラ19が方向17に回転する際、ドラム22の表面24に負荷がかかり、転写定着ニップ28を形成する。転写定着ニップは、表面24上に形成されるインク画像を加熱された印刷媒体49上へ転写してよい。
【0039】
位相変化インクプリンタ10は、位相変化インク搬送サブシステム60を含んでよい。サブシステム60は、異なる色の位相変化インクの複数のソースを固体形状で有してよい。プリンタ10はマルチカラープリンタであるので、インク搬送サブシステム60は、4つのソース14a、14b、14c、および14dを含んでよい。4つのソースは、位相変化インクの異なる4色CMYK(シアン14a、マゼンタ14b、イエロー14c、およびブラック14d)を表してよい。位相変化インク搬送サブシステムは、溶解および制御装置98を含んでよい。装置98は、位相変化インクの固体形状を(例えば、液体形状へ)溶解または位相変化させてよい。一部の実施形態において、装置98は、固体または液体UV高感度インクを溶解するUV光を含んでよい。UV光は、UV高感度インクを熱的に設定してよい。インクソース14a、14b、14c、および14dの各々は、溶解したインクを印字ヘッドアセンブリ32および34へ供給するために使用される容器を含んでよい。図2において、印字ヘッドアセンブリ32および34の両方とも、溶解したCMYKインクをインクソース14a〜14dから受ける。一部の実施形態において、印字ヘッドアセンブリ32および34は、各々がCMYKインク色のサブセットを印刷するよう構成される。
【0040】
位相変化インクプリンタ10は、基板供給および取扱サブシステム40を含んでよい。例えば、基板供給および取扱サブシステム40は、供給ソース48が、例えば、画像受信基板をカットシート印刷媒体49の形状で保存および供給するための大容量紙供給またはフィーダである、シートまたは基板供給ソース42、44、48を含んでよい。位相変化インクプリンタ10は、示されるように、文書保持トレイ72、文書シート供給および検索デバイス74、および、文書露出および走査サブシステム76を有する、原稿フィーダ70を含む。媒体搬送経路50は、個々に切断された媒体シートなどの印刷媒体を、基板供給および取扱サブシステム40から抽出し、印刷媒体をプロセス方向に移動させる。媒体搬送経路50は、印刷媒体49を、インク画像を転写定着ニップ28において印刷媒体49へ転写定着する前に印刷媒体49を加熱する、基板加熱器または予熱器アセンブリ52を介して移動させる。
【0041】
供給ソース42、44、48は、媒体搬送経路50を通過して、画像受信部材22と転写定着ローラ19との間に形成された転写定着ニップ28に、画像受信表面24上に形成されるインク画像の登録のタイミングで到達する画像受信基板を提供する。インク画像および媒体がニップを通過して移動する際、インク画像は基板24から転写され、転写定着ニップ28内の印刷媒体49へ固定的に融合される。両面構成において、媒体搬送経路50は、第2のインク画像を印刷媒体49の第2の側へ転写定着するために、印刷媒体49に転写定着ニップ28を2度通過させる。
【0042】
コントローラ16(図1に示される)または電子サブシステム(ESS)80は、プリンタ10の様々なサブシステム、コンポーネント、または、機能の動作または制御を行ってよい。専用ミニコンピュータ、コントローラ16またはESS80は、デジタルメモリ84を有する中央処理装置(CPU)82、または、ディスプレイまたはユーザインタフェース(UI)86を有してよい。ESS80またはコントローラ16は、センサ18、入力および制御回路88、インク滴配置回路、または、制御回路89を含んでよい。インク滴配置制御回路89は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を実装してよい。CPU82は、画像入力ソースから受信された印刷ジョブと関連付けられる画像データフローの読み込み、撮像、準備、または管理を行ってよい。例えば、走査サブシステム76、または、オンラインまたは計算プラットフォーム4(図1に示される)は、CPU82へ接続90を介して送信してよい。したがって、ESS80またはコントローラ16は、他のプリンタサブシステムおよび機能の全ての動作および制御を行うための主要なマルチタスキングまたは処理を提供してよい。サーバ、ネットワーク2、計算デバイス4、プリンタ10、または、他のハードウェアは、ESSセンター80を備えてよい。
【0043】
コントローラ16は、例えば、印字ヘッド動作などのプログラム化された命令を実行する汎用または専用プログラマブルプロセッサ80を実装してよい。メモリ84または記憶装置6は、プロセッサまたはコントローラ16と関連付けられるプログラム化された機能を行うよう要求される命令またはデータを保存してよい。コントローラ16、メモリ6、または、インタフェース回路(例えば、ネットワーク2)は、プリンタ10がインク画像を形成するよう構成してよい。より具体的には、コントローラ16は、動作不能なインクジェット14b(一般的には図1を参照)に対するインクジェット14の動作の補正を制御してよい。コントローラ16は、特定用途向け集積回路(ASIC)に印刷回路カードまたは回路を備えてよい。各回路は、別個のプロセッサを実装してよい。代替的に、複数の回路が同じプロセッサを実装してよい。個別コンポーネントは、超大規模集積回路(VLSI)に提供される回路を実装してよい。プロセッサ、FPGA、ASIC、または個別コンポーネントの組み合わせは、本明細書に記載される任意の回路を実装してよい。
【0044】
汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のプログラマブル論理デバイス、個別ゲートまたはトランジスタ論理回路、個別ハードウェアコンポーネント、または、それらの任意の組み合わせは、本明細書に記載されるコントローラ16の機能を行ってよい。コントローラ16は、マイクロプロセッサ、汎用プロセッサ、または、他のプロセッサまたは状態機械を備えてよい。プロセッサは、計算デバイス4の組み合わせを実装してよい。例えば、プロセッサは、DSPおよびマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連動する1つ以上のマイクロプロセッサ、または、任意の他の同様の構成を実装してよい。
【0045】
ハードウェアは、本開示に関連して以下に記載される方法またはアルゴリズムのステップを具体化してよい。プロセッサは、ソフトウェアモジュールを実行してよい。ソフトウェアおよびハードウェアの組み合わせは、方法のステップを具体化してよい。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD−ROM、または、当業者に既知の保存媒体の任意の他の形態(例えば、電子記憶装置6)に常駐してよい。電子記憶装置6の媒体はプロセッサと結合してよく、それにより、プロセッサは電子記憶装置6の媒体との間で情報を読み書きし得る。記憶装置6の媒体は、プロセッサを統合してよい。プロセッサおよび記憶装置の媒体6は、ASICに常駐してよい。ASICはユーザ端末(例えば、計算デバイス4)に常駐してよい。代替的には、プロセッサおよび記憶装置6の媒体は、個別コンポーネントとしてユーザ端末に常駐してよい。さらに、任意の上述したコンポーネントは、プリンタ10、計算デバイス4、サーバ内に内蔵または個別分散されてよく、あるいは、ネットワーク2と接続されてよい。
【0046】
一部の実施形態において、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、または、それらの任意の組み合わせは、記載される特性を実装してよい。ソフトウェアに実装される機能は、コンピュータ可読保存媒体6に対して1つ以上の命令(例えば、コード)を保存または送信してよい。コンピュータ可読媒体6は、コンピュータ保存媒体6および通信媒体の両方を含む。具体的には、媒体は、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの移送を容易にする任意の媒体を含んでよい。電子保存媒体6は、汎用または専用コンピュータへアクセス可能な任意の利用可能な媒体を含んでよい。限定ではなく例として、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROM、他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、他の磁気記憶装置デバイス、または、所望のプログラムコードを保持または保存するために使用される任意の他の媒体を備えてよい。電子記憶装置6は、プログラムコードを命令またはデータ構造として保存してよい。
【0047】
汎用または専用コンピュータは、記憶装置6にアクセスしてよい。代替的に、汎用または専用プロセッサは、記憶装置6にアクセスしてよい。記憶装置6にアクセスすることは、これらの方法の任意の組み合わせを含んでよい。例えば、いくつかの媒体が、ソフトウェアを(例えば、ウェブサイト、サーバ、または、他の遠隔ソースから)送信するために存在する。同軸ケーブル、ファイバ光ケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、無線技術が、ソフトウェアを送信してよい。他の方法は、赤外線、電波、マイクロ波または他の無線技術を含んでよい。ディスク(discまたはdisk)媒体は、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピーディスク、および、ブルーレイディスクを含む。本明細書において使用される場合、ディスク(disk)はデータを磁気的に再現してよく、一方でディスク(disc)はデータを光学的に(例えば、レーザで)再現してよい。本開示の範囲は、上記に一覧表示されたコンピュータ可読媒体の組み合わせを含む。
【0048】
プリンタ10は、複数のインク滴をインクジェット14から画像受信部材22の表面24上へ排出してよい。コントローラ16は、電気発射信号(例えば、0001)を生成して個々のインクジェット14(例えば、ブラック14d)を動作させてよい。コントローラ16は、電気発射信号を1つ以上の印字ヘッドアセンブリ32、34において生成してよい。マルチカラープリンタ10において、コントローラ16は、印刷ジョブにおいて1つ以上の印刷ページに対応するデジタル画像データを処理してよい。コントローラ16は、CMYK色など、画像におけるインクの各色平面に対する2次元ビットマップを生成してよい。
【0049】
一部の実施形態において、コントローラ16は、プロセスを繰り返してハーフトーンまたはコントーンを作成してよい。これにより、複数層または積層が特定のラスタ位置で生じてよい。このプロセスは、3次元印刷ジョブへ拡張してよい。各ビットマップは、画像受信部材22上の位置に対応する画素の2次元(または、3次元)配列を含んでよい。一部の実施形態において、バイナリ信号は、作動中または未作動画素を表してよい。コントローラ16は、発射信号を生成してインクジェットを起動し、インクの滴を作動中画素に対する画像受信部材22上へ排出するが、表す色に関わらず、未作動画素に対する発射信号は生成しない。プリンタ10において各インク色が組み合わされたビットマップまたは積層されたビットマップは、後に印刷媒体49へ転写定着されるマルチカラーまたはモノクロ画像を生成してよい。コントローラ16は、選択された作動中画素の位置でビットマップを生成してよく、8、16、または32ビット符号化により、プリンタ10は、マルチカラー画像、ハーフトーン画像、ディザー画像などを作成し得る。
【0050】
印刷動作中、印字ヘッドアセンブリ32および34におけるインクジェットの1つ以上は、動作不能になる可能性がある。動作不能なインクジェットは、インク滴を断続的に排出する可能性があり、インク滴を画像受信表面24上の不正確な位置へ排出する可能性があり、または、完全にインク滴を排出できない可能性がある。一部の実施形態において、動作不能なジェットは、弱いジェット、欠損ジェット、または、軸外のジェットを含んでよい。動作不能なジェットは、補正された動作可能なジェットを含んでよい。プリンタ10は光センサ98を利用して、画像受信表面24上へ印刷されたインク滴に対応する画像データを生成してよい。光センサ98は、インク画像の形成後およびニップ28を介して回転する画像化ドラム12の前にデータを生成して、インク画像を転写定着してよい。1つの実施形態において、光センサ98は、個々の光検出器98の線形アレイを含んでよい。検出器98のアレイは、画像受信表面24から反射される光を検出してよい。
【0051】
個々の光検出器98は、クロスプロセス方向において画像受信部材22の表面24上の1つの画素に対応する画像受信部材22の領域を検出してよい。クロスプロセス方向は、プロセス方向に対して垂直である。光センサ98は、画像受信表面24から反射される光に対応する、反射データと称されるデジタルデータを生成してよい。コントローラ16は、印字ヘッドアセンブリ32および34における動作不能14aインクジェット14を特定してよい。例えば、コントローラ16は、画像受信表面24上で検出される反射値および印刷されたインク画像の所定の画像データを参照してよい。代替的な実施形態において、光センサ98は、インク画像が印刷媒体49上に形成した後、インク画像における欠陥を検出してよい。一部の実施形態において、センサ18は、印字ヘッドアセンブリに配置される動作不能なインクジェット14aを特定してよい。動作不能なインクジェットを特定することに応答して、コントローラ16は、動作不能14aインクジェット14に対する発射信号の生成を停止してよい。例えば、5ビット符号化を使用して、コントローラ16は、第1のビットを0へ変更してインクジェット14への発射信号を中止してよい。コントローラ16は、動作不能14aインクジェット14に最も近い隣接するインクジェット14に対する発射信号を生成または修正してよい。この手法において、プリンタ10は、動作不能14aインクジェット14を補正してよい。
【0052】
プリンタ10は、本明細書に記載されるプロセスを使用して動作不能14aインクジェット14を補正してよい。しかし、プロセッサは、代替的なインクジェット14の構成において動作不能14aインクジェット14を補正してよい。例えば、図2におけるプリンタ10は、位相変化インクの滴を排出してよい。代替的なプリンタの構成は、以下のような異なるインク種類を含んでよい:水性インク、溶剤型インク、UV硬化性インク、固形インクなど。これらのインクおよび類似のインクは、本明細書に記載されるプロセスを使用してよい。図2は、プリンタ10をインダイレクトプリンタとして示しているが、インク滴を直接的に印刷媒体上へ排出するプリンタ(例えば、ダイレクトプリンタ10)が、本明細書に記載されるプロセスを使用して動作してよい。
【0053】
図1に戻ると、プロセスの重要部分は、印字ヘッド12における動作不能14bインクジェット14を検出するコントローラ16に関与する。本開示の実施形態において、検出は、印字ヘッド12、32、または34を動作させて、欠損14aまたは動作不能14aインクジェット14を検出するためにユーザが観察し得るテストパターンを印刷するコントローラ16で実施され得る。その後、ユーザは、計算デバイス4のユーザインタフェースを操作して、欠損14aまたは動作不能14aインクジェット14を特定するデータを入力する。コントローラ16は、このデータを後のアクセスのためにメモリ6に保存してよい。テストパターンは、光をテストパターンの方へ向かわせ、光検出器98(または、一般的にセンサ18)により生成される電気信号を捉える、光センサ98または他のセンサ18を代替的に通過してよい。光センサ98の応答は、光検出器98が受けた反射光を記録してよい。コントローラ16は、メモリ6に保存されるプログラム化された命令を実行し、画像データを分析して欠損14aまたは動作不能14aインクジェット14を検出してよい。その後、コントローラ16は、これらの画像データを処理してよい。電子記憶装置6は、インクジェット14が動作不能14aまたは不良14aであることに関する結果を保存してよい。コントローラ16は、後にメモリ6にアクセスして、データを特定する動作不能14aインクジェット14を判定してよい。したがって、コントローラ16は、画像データの前または後に動作不能14aインクジェット14を検出してよい。したがって、コントローラ16は、メモリ6にアクセスし画像をレンダリングして、任意の不良14aまたは動作不能ジェット14aを印刷(例えば、ビットマップを構築)および特定してよい。
【0054】
コントローラ16は、動作不能なインクジェットに留まる印刷不能インクのレベルにおける変化の割合を判定してよい。例えば、コントローラ16は、主要な色の予期されるインク損失の割合を判定してよい。予期されるインク損失をインクジェットの実際のインク損失と比較することで、動作不能なインクジェットを特定してよい。コントローラ16は、動作可能なインクジェットにおける印刷可能インクのレベルの変化の割合を判定して、動作不能なインクジェットを判定してよい。例えば、コントローラ16は、動作可能なインクジェットにおけるインクの損失を動作不能なジェットと比較して、どのジェットが印刷不能であるか判定してよい。コントローラ16は、閾値、割合、または測定基準を使用して、動作不能なインクジェットを判定してよい。コントローラ16は、合成色または主要な色に対する予期される損失の割合による閾値に基づいてよい。コントローラ16は、全てのインクジェットの平均を判定して、(例えば、閾値が平均の一定割合である)動作不能なインクジェットに対する閾値を判定してよい。
【0055】
コントローラ16は、ハーフトーン後のIJCを評価してよい。一部の実施形態において、コントローラ16は、動作不能なインクジェットに起因して印刷不能な滞留インクのレベルを再検討し、コントーン後またはハーフトーン後IJCを評価してよい。例えば、レンダリング後に光センサ98が合成色(例えば、コントーンまたはハーフトーンのいずれか)における不十分な主要な色の補正を判定する場合、IJCはレンダリング後に適用されてよい。一部の実施形態において、IJCは、レンダリング前および後に適用して、適切な合成配色および色相を確実なものにしてよい。
【0056】
図3は、共にプリンタフレームバッファまたは出力解像度のカラービットマップを備える、典型的には4個のM行N列の出力色平面のうちの1つを提示する。単一の動作不能なジェットに対応する3個の欠損ラスタは、列7、17、および27に描写される。これにより、各ジェットが3個のラスタをマーキングする役割を果たす10ジェットインタレースを使用して、ページプリンタがエミュレートされる。これは、図4図13に提示される35×18画素ビットマップの断片に合致し、各ジェットが役割を果たすラスタの数が異なるのみである、図14図25の顕微鏡写真に描写される出力を印刷するために使用される10ジェットインタレースと比較可能である。顕微鏡写真で描写される印刷モードにおいて、各ジェットは、6個のラスタの役割を果たす。3個の欠損ラスタは、3個の重複しない10列の欠損ラスタスワス310、320、および330に対応する。これらのスワスの各々は、IJCにより個別に処理される。参照302は、この単一の動作不能なジェットの例においてIJCにより修正されない画素列を特定する。修正されたスワスを外れた未修正ラスタは、列0〜2および32〜N−1を含む。欠損ラスタスワス内で、欠損ラスタは316:列7、326:列17、および336:列27である。スワス310における稼働中の「隣接」列314が修正され、欠損ラスタ316(ラスタ7)を補正してよい。この処理は、他の2つのスワス320および330において行われる類似の処理から独立していてよい。スワス320における隣接する列は、スワス330においてラベル化される(324および334)。図3において特定される列は、図4図13における列に対応する。図3図13は、3個の欠損ラスタ列7、17、および27の役割を果たす1つの動作不能なジェットを想定している。他の27個の包括的な稼働列2〜31は、画像濃度を向上させて3個の欠損列から失われた濃度を補正するよう修正された列を表す。
【0057】
ビットマップが連続的なトーンである場合、画素値は共通して色チャネルごとに8ビットまたは画素ごとに32ビットで、4個の主要な色を表す。出力デバイスが、バイナリと呼ばれることが多い2層の値の画素を予期する場合、ビットマップは、画素値を表すバイナリへ、出力色チャネルごとに1ビットまたは画素ごとに4ビットとしてハーフトーン化され、4個の主要な色を表してよい。本開示の例示的な実施形態において、ページを満たすために3個のドラム回転が必要な10ジェットインタレースが想定される。この構成において、出力色平面における端部のない各ジェットが、ジェットに対するドラム回転ごとに1つのラスタをマーキングする3個のラスタへインクを排出しなければならない。
【0058】
例として、図3が、シアン、マゼンタ、イエロー、および、ブラックインクを表す典型的な4個の出力色平面におけるシアン(C)を表すと想定し、かつ、他の3個の色平面における対応するラスタ列に他の重複する欠損ラスタまたは欠損ラスタスワスがないと想定すると、IJCプロセスが描写される色Cのインクジェットにのみ適用される場合、色Cは列7、17、および27において一般的に削減され、したがって、周囲のスワス列が増え、それにより、スワス濃度全体が保護されて、未処理の濃度と合致する。IJCは、列7、17、および27において色Cが所定の無視できるレベルまで削減される場合に、うまくいくのみである。欠損ラスタの近隣に必要な画像濃度が最大の修正可能な濃度より大きい場合、一般的に、IJCは欠損列において残留インクの必要とされる無視できるレベルに到達し得ない。IJCが機能しない場合のページの再レンダリングを回避するために、IJC処理は、主要な色の画像濃度をプロセス全体で保護し、それにより、欠損ラスタにおける残留インクが修正された隣接ラスタで印刷される場合、濃度全体が保護される。
【0059】
一部の事例において、Cが合成色から失われている場合、先行技術において行われるようにIJCプロセスを色Cにのみ適用することにより、たとえ所定の無視できるインクレベルが欠損ラスタにおいて達成される場合でも、補正済および未補正の色平面の間の結果的に生じるドットプロファイルの差は、インクの密度が保護される場合さえ明らかな色相の変化に主に起因する意図されないアーチファクトをもたらし得るインク拡散の重複および混合の差をもたらす。代替的に、さらにIJCが稼働する色平面における対応するラスタスワスへ適用される場合、修正された合成色におけるドットプロファイルは比較的に同じ傾向を維持し、濃度と共に色相を保護する。さらに、濃度はスワス全体で各主要な色の中に保護されるので、IJC処理された稼働ラスタ7、17、および27における通常に印刷された残留インクは、最大のIJC修正可能な濃度を上回ってさえ、追加的な処理を必要とせずに、正確に意図される画像濃度の一因となり続ける。
【0060】
図4図13は、単一の動作不能なジェット色平面(例えば、列7、17、および27におけるシアン)を有するレンダリングされたハーフトーンのビットマップの列数0〜34を含む、35×18の画素ビットマップ範囲(例えば、図3における10ジェットインタレースで印刷される)を描写する。図4図13は、ディザー化されたブルーの均一なフィールドを含み、所望の合成色を生成する。例示的な合成色は、同等なシアンおよびマゼンタ部分からなる。図4図13は、動作不能な色平面のみ(例えば、シアンのみ)に適用されるIJCのペア、および、動作不能な色平面と少なくとも1つの追加的な色平面との両方(例えば、シアンとマゼンタとの両方)に適用される修正されたIJC、を提示する。図4図13は、例示的な実施形態でしかなく、以下により詳細に記述される。
【0061】
図4Aは、ビットマップの編集された第1および第2の地点である。図4Bは、Nスワス列(例えば、列402を含む)とM行(例えば、308)の4個の出力色平面14を提示する。これらのラスタ位置は、出力解像度色ビットマップ(例えば、プリンタフレームバッファ)を備える。単一の動作不能なジェット14に対応する3個のラスタ列304は、シアン14a色平面の損失をもたらす。列416、426、および236は、この損失をシアン14aの欠落として図示する。このビットマップは、10ジェットインタレースプリンタをエミュレートする。この例において、各ジェット14は、以下の3個のラスタをマーキングする役割を果たす:414、424、および434。これにより、図4図13に提示される35×18画素ビットマップの断片が生成される。プロセスは、図14図25の顕微鏡写真に記載される10ジェットプリンタインタレースに類似している。図4図13および図14図25の間の適正な差のみが、各ジェット14が生成の役割を果たすラスタ302の数である。例えば、図14図25は、インクジェット14が、詳細さが少ないと見なされる多くの画素を生成したため、より高い解像度を有する。
【0062】
図14図25は、ページを印刷するために6個の印刷経路(例えば、ドラム解像度)を必要とする固形インクプリンタから生成された、印刷された合成色出力の例示的なカラー顕微鏡写真を図示する。この実施形態において、各インクジェットは6個のラスタ列を印刷する。この例では、出力は10ジェットインタレースを使用して印刷され、図4図13と比較可能な欠損ごとのラスタインク再分散を行った。
【0063】
図14図17は、ディザー化された第2の合成色を描写する。合成色は、構成要素である同等の主要な色を使用して生成され、均一のフィールドを生成する。図4図13と類似して、IJCの修正は、動作不能なジェットと関連付けられる動作不能な色平面に対してのみ行われる。一部の実施形態において、IJCの修正は、構成要素である主要な色の両方(例えば、インクジェット欠損を有する、または、有さない)に適用する。図14図17は、動作不能な色平面(例えば、シアン)にのみ適用されるIJCのペア、および、動作不能な色平面および少なくとも1つの他の色平面(例えば、シアンおよびマゼンタ)に適用されるIJC、を提示する。具体的には、図14図17は、動作不能なマゼンタ色平面のインクジェットから取得されるレッド合成色の出力を図示する。図18図21は、動作不能なシアン色平面のインクジェットから取得されるグリーン合成色の出力を図示する。図22図25は、動作不能なシアン色平面のインクジェットから取得されるブルー合成色の出力を図示する。図14図25は、例示的な実施形態に過ぎず、以下にさらに詳細に記述される。
【0064】
一部の実施形態において、動作可能な列における隣接するラスタは、欠損ラスタ316を補正してよい。この処理は、隣接するスワス320および330において行われる類似の処理と独立して先行してよい。図3における列は、図4図13における列に対応する。例えば、図14図25を印刷するために使用された印字ヘッドは、1インチに600ドットで約8.5”の幅のページを印刷するのに6個の解像度が必要であったため、主要な色平面ごとに約850ジェット、または、約3400の個々にアドレス可能なインクジェットの同時噴出を有していた。図4図13に記載される仮説上の3個の解像度600dpiのプリンタにおける仮説上の印字ヘッドは、約6800個の仮説上のジェットが必要となろう。図4図13は、3個の欠損ラスタ列416、426、および236のための役割を果たす1個の動作不能な色平面ジェット14(例えば、図4Aにおいてシアン14aは動作不能)を想定する。他の27個の動作可能なラスタ列は、画像濃度を向上させ欠損列416、426、および236から失った濃度を補正するよう修正されたラスタ列304を提示する。
【0065】
ビットマップが連続するトーンである場合、画素値は共通して色チャネルごとに8ビットまたは画素ごとに32ビットで、4個の主要な色を表す。例えば、8ビット符号化は、ハーフトーン(例えば、4色の各々に対する2層の符号化)に対応してよく、32ビットはコントーン符号化(例えば、4色の各々に対する8層の符号化)に対応してよい。さらに典型的であるように、出力デバイスが、バイナリと呼ばれることが多い2層の値の画素を予期する場合、ビットマップは画素値を表すバイナリへ、出力色チャネルごとに1ビットまたは画素ごとに4ビットとしてハーフトーン化され、4個の主要な色を表してよい。本開示のこの例示的な実施形態において、ページを満たすために必要な3個のドラム解像度を有する10ジェットインタレースが想定される。この構成において、出力色平面における各端部のないジェットは、ジェットごとのドラム解像度ごとに1個のラスタをマーキングする3個のラスタへインクを排出しなければならない。
【0066】
例として、図4Bが典型的な4個の出力色平面(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラック)を表すと仮定し、さらに、他の色平面におけるラスタ列に対応する重複欠損ラスタまたは欠損ラスタスワスが他にないと仮定すると、IJCは動作不能な色平面14a(例えば、シアン14a)に適用されてよい。動作不能なシアン色インクジェットにのみ適用されるIJCは、一般的に、列416、426、および236におけるシアンの濃度を削減してよい。それに応じて、この削減は、周囲のラスタ列において向上したシアン14aの濃度をもたらし、スワス306の濃度全体を一定に保ってよい。IJCの成功は、隣接するラスタ列(例えば、416、426、および236に隣接する)におけるシアン14aが所定の無視できるレベルまで削減されたかに依存してよい。隣接するラスタ列における欠損色平面の濃度が高すぎると、IJCプロセスは失敗する可能性がある。さらに、シアン14aの濃度が隣接するラスタ列における最大の修正可能な濃度を超える場合、IJCは欠損列における残留インクの必要なレベルに到達しない場合がある。IJCが失敗した際のページの再レンダリングを回避するために、IJC処理は、主要な色の画像濃度をプロセス全体で一定に保つ。これにより、隣接するセルおよび全体の濃度を一定に保ちながら、隣接するセルにおける欠損ラスタおよび欠損ラスタにおける在留インクを印刷することが可能になる。
【0067】
IJCプロセスを欠損色(例えば、シアン)のみに適用することで、色平面の間にドットプロファイルの差が生じる場合がある。欠損ラスタにおいて所定の無視できるインクレベルを達成したとしても、ドットプロファイルの差が生じる可能性がある。補正済および未補正の色平面は、意図されないアーチファクトをもたらすインク拡張の重複または混合の差を生じる場合がある。これは、明白な色相の変化に特に当てはまり、および、保持されたインクの割合に関わらず当てはまる。しかしながら、稼働中の色平面における対応するラスタスワスに適用されるIJCは、修正された合成色におけるドットプロファイルを維持してよい。結果的に生じる合成色は、比較的に変化せず、色相および濃度を保持する傾向がある。さらに、濃度が保持されるので、正確な分配により意図する画像濃度がもたらされる。例えば、スワス全体において各主要な色は、IJC処理された稼働ラスタ416、426、および236における残留インクを通常に印刷した際、正確に意図する画像濃度の一因となり続けてよい。これは、最大のIJC修正可能な濃度を超えたとしても当てはまる。さらに、この利点は追加的な処理コストをもたらさない。
【0068】
図4図13は、1つの欠損シアンジェットを包含するレンダリングおよびIJC後処理されたビットマップの35×18画素の範囲を描写する。これらの図に描写される35×18画素の範囲は、図4Aおよび図4Bの図に対応する。図4図13は、同等な部分のシアンおよびマゼンタからなるディザー化されたブルーの均一なフィールドを表す。例示的な実施形態は、第2の色を形成する主要な出力色の任意のペアを表してよい。各図における列416、426、および236は、動作不能な欠損シアンジェットに対応する。図4および図5は、30%合成ブルー色を描写する。図6および図7は、50%合成ブルー色を描写する。図8および図9は、55%合成ブルー色を描写する。図10および図11は、89%合成ブルー色を描写する。および、図12および図13は、95%合成ブルー色を描写する。ラスタ列2〜31は、3個のラスタスワス(参照番号410、420、および430)を包含する。各ラスタスワスは、動作不能なシアン14aのジェット(スワス列7、17、および27に対応する参照ラスタ列416、426、および236)を有する列を備える。IJCプロセスは、1つ以上のラスタを修正してよい。IJCプロセスは、ラスタ列0、1、32、33、および34(スワス番号402における列)を修正しない。図4図6図8図10、および図12は、欠損色(例えば、シアン14a)にのみ適用されるIJCプロセスを表す。図5図7図9図11、および図13は、修正されたIJCプロセスを欠損シアン14aのラスタ302(例えば、スワスラスタ群410、420、および430内で動作可能および動作不能なインクジェットに対応する欠損色)の両方へ適用する。
【0069】
図5図7図9図11、および図13は、欠損シアンラスタスワスおよび少なくとも1つの対応するシアンでないラスタスワス(例えば、スワスラスタ群410、420、および430内のシアンおよびマゼンタラスタの両方)に適用される修正されたIJCプロセスを表す。前述のように、他の色ラスタは、修正されたIJCプロセスを適用してよい。例えば、隣接するラスタ列は、欠損色ラスタの濃度に大きく対応する。例えば、欠損色の最大濃度まで合成色のための多くの色を印刷する。この例では、10ジェットインタレースを使用する。最大スワス幅は、10ジェットインタレースに対して10列である。したがって、理論上の最大のIJC修正可能な断片的範囲は90%である。
【0070】
図6図8、および図10において、IJCプロセスは、孤立したシアンインク(ラスタ列7、17、および27の参照番号416、426、および236)を良好に再分配してよい。一部の実施形態において、隣接するスワス列は、隣接するスワス列内にシアンを再分配する(ラスタ列2〜6、8〜16、18〜26、および28〜31の参照番号414、424、および434)。一部の実施形態において、IJCは、直接的に隣接するラスタ列の一因になるのみであってよいが、IJCは、スワスにおける任意のラスタ列の一因になってよい。動作不能なインクジェット14aは、列416、426、および236においてシアンインクを生じない。(図4図13の各々における参照番号416、426、および236は、ラスタ列7、17、および27の欠損シアンを特定する)。しかしながら、マゼンタ14bのインクジェットは、動作可能である。
【0071】
マゼンタ14bは欠損でないので、IJCはマゼンタ平面14bを処理しない。したがって、欠損ラスタ列7、17、および27(参照番号414、426、および236に対応する)は、マゼンタのみを包含する。図12は、95%ブルーを備える合成色である。この濃度は、IJCの最大レベルを超える。したがって、IJCプロセスは、このレベルの合成ブルー濃度を訂正し得ない。その結果として、隣接するインクジェットは、一部のシアンを列416、426、および236内へ屈折させようとする可能性がある。
【0072】
隣接するインクジェット14は、大量のシアン14aインクを提供して、隣接するラスタ列における欠損シアン14aをオフセットしてよい。しかしながら、マゼンタが優位なままである。マゼンタのインクジェットは、動作可能に維持される。したがって、マゼンタは、欠損シアン列の「隙間」において突出する。シアンが不十分なことに起因する色混合および量の差により、アーチファクトおよび色相の差(例えば、インクの拡張)が最小になるようにする。しかしながら、マゼンタのドットプロファイルの割合は、これらの技術を圧倒してよい。修正されたスワス内でマゼンタのドットプロファイルは、IJCの処理済ラスタ列(参照番号410、420、および430、列番号2〜31)およびIJCの未処理ラスタ列(参照番号402、列番号0〜1および32〜34)の間のアーチファクトおよび色相の差を、増やす可能性がある。高いインク濃度および被覆率は、これらのアーチファクトを悪化させる可能性がある。
【0073】
IJCの方法では、高いインク濃度エリアにおいて最大の修正可能レベルを削減して、画像または色相の歪曲を回避しようとする。ハーフトーン前、ラスタごとのコントーン、インク偏移、または、インク量の色修正は、一部の色相の差を減少させる可能性がある。しかしながら、これらの対策により複雑性が大きく増し、印刷の速度が低下し、または、未補正の色と異なる可能性がある。製品寿命における器具ごとの差は、これらの欠陥を悪化させる。
【0074】
図5図7図9図11、および図13に描写される本開示の実施形態において、修正されたIJCプロセスは、ラスタにおける欠損シアンおよび一致する稼働マゼンタの両方へ適用する。修正されたIJCプロセスをラスタにおいて未稼働および稼働中の色へ適用することで、シアンおよびマゼンタのドットプロファイルが正規化され、アーチファクトが削減され、画像全体の色相が良好に保たれる。修正されたIJCプロセスをラスタにおいて未稼働および稼働中の色へ適用することで、合成色における欠損列の隙間が空になる傾向があり、最大の修正可能なレベルが増大するこれらの隙間内への良好なインク拡散が可能となる。
【0075】
図14図25は、IJCのカラー顕微鏡写真を修正されたIJCのカラー顕微鏡写真(例えば、プリンタ出力)と比較する。修正されたIJCプロセスは、IJCを未稼働および稼働中の色(例えば、動作不能および動作可能なインクジェット)の両方へ適用する。図14図25は、10ジェットインタレースおよび図4図13のプロセスと類似のIJC処理を使用する。カラー顕微鏡写真は、図3図13に使用される3個ではなく、ページを満たすために6個のスワスまたはドラム経路が必要であるという点で異なる。したがって、各動作不能なジェットは、3個の欠損ラスタ列ではなく6個に対応する。しかしながら、図14図25における各修正されたラスタの関連処理および結果は、図4図13と直接的に関連する。
【0076】
図14図17は、レッド合成色に対するプリンタ出力を図示する。欠損色はマゼンタ14bである。図18図21は、グリーン合成色に対するプリンタ出力を図示する。欠損色はシアン14aである。図22図25は、ブルー合成色に対するプリンタ出力を図示する。動作不能な色はシアンである。
【0077】
図14図16図18図20、および図22は、ラスタ列における欠損色にのみ適用されるIJCプロセスに対応する。カラー顕微鏡写真において、ラスタ列における欠損色は垂直な縞として現れる。例えば、図14は、80%レッド合成色を図示する。図16は、88%レッド合成色を図示する。図14および図16は、垂直なイエローの縞を垂直方向に有する。縦の列1426および1626は、動作不能なマゼンタ14bのインクジェット14に対応するレッド合成色においてイエローで現れる。
【0078】
図18および図20は、IJCのみを合成グリーンラスタ列304における欠損シアン14a色へ適用する。図18は、80%グリーン合成色を図示する。図20は、88%グリーン合成色を図示する。図18および図20は、垂直なイエローの縞を含む。例えば、列1826および2026は、動作不能なシアン14aのインクジェット14に対応するイエローで現れる。
【0079】
図22および図24は、IJCのみを合成ブルーラスタ列304における欠損シアン14a色へ適用する。図22は80%ブルー合成色を図示し、図24は88%ブルー合成色を図示する。図22および図24は、垂直なマゼンタの縞を備える。例えば、列2226および2426は、動作不能なシアン14aのインクジェット14に対応するマゼンタ配色を有する。
【0080】
図15図17図19図21図23、および図25は、修正されたIJCプロセスをラスタ列304またはスワス310における動作不能14aおよび動作可能14bインクジェット14の色14a〜14dへ適用する利点を明示する。より具体的には、図15および図17は、動作不能なシアン14aのインクジェットで印刷されたレッド合成色を図示し、修正されたIJCの利点を明示する。例えば、修正されたIJC方法で取得された図15および図17の縞(1526および1726)は、図14および図16の縞(1426および1626)と好都合に比較される。
【0081】
図23および図25は、スワス310における動作不能なシアン14aのインクジェット14で印刷されたブルー合成色を図示する。図23および図25は、修正されたIJCプロセスの利点を明示する。修正されたIJCプロセスは、シアン欠損ラスタ列および稼働中マゼンタ列の両方へ適用され、修正済および未修正エリアの間に同等な色相の差をもたらす。修正されたIJC処理は、アーチファクトを削減する。マゼンタの垂直な縞は、印刷画像の色相および濃度全体に影響を及ぼす。例えば、修正されたIJCで取得される図23および図25の縞(2326および2526)は、図22および図24の縞(2226および2426)と好都合に比較される。
【0082】
図15図17図19図21図23、および図25は、修正されたIJCプロセスが色相、色濃度、および、欠損および隣接するラスタ位置の画像化の特徴を向上させることを明示する。結果的に生じる画像は、色濃度がより均一であり、縞が最小化され、色相の差が同等化される。
【0083】
修正されたIJCは、スワスにおける隣接する画素列(ラスタ)からのインクが、より均一および完全に欠損ラスタの隙間内へ拡散することを許容してよい。修正されたIJCは、所望なインクの拡散をもたらしてよい。主要な色および隣接する色の両方へ適用される修正されたIJCにより、意図される色からの逸脱が減少する可能性がある。プリンタの寿命全体で一貫性が向上することにより、減少した色の相違に起因する結果が生じる。プリンタの色の変動に対する主要な色およびプリンタの品質制御により、色の相違が大幅に減少する。プロセスは、製品寿命全体で色の一貫性が向上する結果をもたらしてよい。
【0084】
インク拡散プロセスは、印刷画像においてインクを拡散しようと試みる。追加的な量、逸脱した隣接するインクジェット、および、物理的な拡散は、欠損色、欠損ラスタ、または欠損ラスタの隙間のインク浸透を取得するよう処理される。例えば、物理的な拡散は、2つのローラの間のインクを(例えば、ニップで)拡散してよい。インク滴は、欠損ラスタまたは隙間内へ広がってよい。インク滴の量が増えると、そのような拡散が結果的に生じてよく、または、高まってよい。隣接する動作可能なインクジェットから欠損する隙間内へインクを逸脱させようとすることで、欠損色におけるインク浸透を向上させるよう試みる。
【0085】
インク滴拡散プロセスは、隙間における隣接するインクジェットからのインク浸透を拡散することを含む。インク滴の拡散は、欠損インク滴を逸脱させること、噴出されたインク滴を物理的に拡散すること、より多量の欠損インク滴を隣接するインクジェットにおいて噴出すること(例えば、コントーンまたはハーフトーン)、および/または、隙間を欠損インクで浸透させるための他の方法を含んでよい。これらのプロセスは、欠損ラスタの隙間を補正された欠損インクで満たすよう試みる。
【0086】
隣接するドット利得効果は、合成色の隣接する噴出されたインク部分を不完全なインクジェットに対応する隙間内へ移動させる傾向がある。この利得を取得するために、隣接インクは、動作不能なインクジェットがインクを排出するエリアに十分に近い場所へ排出されるべきである。主要な色を混合することで、ドット利得効果が向上する。結果として、コントローラ16は、他の色のインク滴の隣接するインクジェットからの排出を実施してよい。例えば、コントローラ16は、第1の色および第2の色を、動作不能なインクジェットが所望の合成色に対応する少なくとも1つのインク滴色を排出できなかった欠損画素位置からの距離で排出してよい。
【0087】
中間印刷プロセスは、インクを隙間内へ向かわせるニップに遭遇する前に、ドット利得効果を取得してよい。インク質量は、離型剤層に移ってよい。一部のドット利得効果は、機械的な圧力がドット利得効果を促進させる転写定着ローラニップの前に起こってよい。同じ印字ヘッドから排出される一致するインク滴が現れ、インクの離型剤層への移動が容易になる。一致するインク滴は、離型剤層のインクの量を増加させ、したがって、インクの浸透が向上する。さらに、一致するインク滴は、インク色の薄まった知覚性を容易にしてよい。一部の実施形態において、同じ印字ヘッドのインクジェットは、既に排出されたインク滴の上または近くに沈着する一致するインク滴を排出する。既に排出されたインク滴は、共通の列を一致するインク滴と共有してよい。配列により、固形化(例えば、一致するインクおよび既に排出されたインク)の前の異なるインク滴の合体または混合が容易になる。インクは、異なる色を有してよい。良好に混合されたインク滴は、重い合成列ストリング内へ合体し、合成色の隣接する列内へ移動および拡散する傾向がある。したがって、混合されたインク滴は、合成色の隣接するインク列を欠損の隙間内へ動作不能なジェット14からより効率的に押し込むことが可能である。
【0088】
本明細書に開示される方法は、本方法を行うために命令および関連する回路で構成されるプロセッサにより実装されてよい。したがって、そのような命令を図1に示されるプリンタ10内でコンピュータ可読媒体6に保存することは、記載される方法を行うためにシステムの1つ以上のコントローラ16を構成してよい。
【0089】
一部の実施形態において、IJCが成功するための1つのチェックのみが、ハーフトーン後に行われる。例えば、ハーフトーン後のIJCは、組み合わされたハーフトーン前後のIJCの失敗により、失敗する可能性がある。言い換えれば、ハーフトーン前(コントーンドメイン)のIJCの利点があったとしても、動作不能なジェット補正は失敗する場合がある。ハーフトーン前のIJCは、残留する孤立したインクを提供するよう作用してよい。一部の実施形態において、ハーフトーン後(バイナリ)のIJCは、ハーフトーン前のIJCインクを再配置することに成功してよい。修正されたIJCは、動作可能または動作不能な孤立したインクの位置に影響を及ぼしてよい。上述されたように、この修正された位置決めは、最終的な印刷された合成色の測色または色相を向上させる可能性がある。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25