(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の養生装置は、コンクリートに向けて養生剤が散布される塗布ノズルを備え、トンネルの掘削方向に移動可能なセントルに設けられている。そして、セントルを移動させながら、コンクリート表面に塗布ノズルから養生剤を散布しつつ、コンクリート表面と当接する弾性部材によりコンクリート表面に散布された養生剤を均して、コンクリート表面における養生剤の塗布状態を調整している。
【0008】
特許文献2に記載の養生装置は、移動式打設型枠装置(以下セントルという。)に設けられ、脱型したセントルの移動に伴い、養生装置に設けられた噴霧ノズルからセントルの移動速度に応じた噴霧量で養生剤をコンクリート表面に噴霧している。
【0009】
そして、特許文献1及び特許文献2に記載の養生装置においてコンクリート表面に養生剤を均一に噴霧することができる。しかしながら、養生剤は、時間が経過すると硬化するので、養生剤を噴霧した後のノズル及びノズルへの養生剤の供給経路において洗浄を行わなければ、ノズルや供給経路において硬化した養生剤が目詰まりを起こす虞がある。
【0010】
特許文献1及び特許文献2に記載された養生装置のノズルからコンクリート表面に養生剤を散布した後、洗浄剤、例えば水等をノズルから噴出させてノズル内の養生剤を洗い流そうとすると、養生剤を散布したコンクリート表面に洗浄剤が掛かり、養生剤の散布面が均一でなくなる虞がある。
【0011】
また、養生剤が散布されたコンクリート表面に洗浄剤が掛からないように洗浄作業を行うためには、養生装置をコンクリート表面に養生剤が散布されていない位置まで移動させて洗浄液をノズルから噴出させて洗浄を行う方法、或いはノズル及び養生剤の供給経路をセントルから取り外して洗浄を行う方法がある。しかしながら、どちらの方法も手間と時間が掛かり作業性に劣る。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、養生剤を被噴出対象に向けて均一に噴出させるとともに噴出ノズルのメンテナンス性を向上させる液体噴出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様の液体噴出装置は、被噴出対象に液体を噴出する液体噴出装置であって、前記液体を前記被噴出対象に向けて噴出する噴出ノズルと、前記噴出ノズルと前記被噴出対象との間に進出して前記噴出ノズルから前記被噴出対象に向けて噴出される前記液体を遮る状態と、前記噴出ノズルと前記被噴出対象との間から退避して前記噴出ノズルから前記被噴出対象に向けて噴出される前記液体を許容する状態とを切換え可能な切換部材とを備え、前記噴出ノズルは、前記切換部材の前記許容する状態において第1の液体を前記被噴出対象に向けて噴出させ、該第1の液体の噴出後に前記切換部材を前記許容する状態から前記遮る状態に切換えて、前記噴出ノズルから前記第1の液体と異なる第2の流体を噴出させることを特徴とする。
【0014】
尚、本態様における「第2の流体」とは液体に限定されず、気体、更に気体と液体の両方をも含むものとする。
【0015】
本態様によれば、前記噴出ノズルは、前記切換部材の「許容する状態」において第1の液体を被噴出対象に向けて噴出させ、第1の液体の噴出後に前記切換部材を前記「許容する状態」から前記「遮る状態」に切換えて、前記噴出ノズルから第1の液体と異なる第2の流体を噴出させる。すなわち、被噴出対象の表面に向けて第1の液体を噴出させた後、前記噴出ノズルの位置を変更することなく、前記切換部材が「許容する状態」から「遮る状態」に切り換わり、第2の流体の一例である、第1の液体とは異なる液体を前記噴出ノズルから噴出させることができる。したがって、前記噴出ノズルから第2の流体を噴出させても、噴出した第2の流体が前記切換部材により遮られ、第2の流体が被噴出対象に掛かることを防止できる。そして、被噴出対象の第1の液体の散布面に第2の流体が掛かることを防止できるので、第1の液体の散布面を均一に維持することができる。
【0016】
また、第2の流体である液体が第1の液体を洗浄する洗浄液である場合、第2の流体である液体が前記噴出ノズル内に残った第1の液体を洗い流す。これにより、前記噴出ノズルの洗浄作業(メンテナンス作業)を行うことができる。その結果、第1の液体とは異なる液体により前記噴出ノズル内に残っていた第1の液体を洗い流すので、第1の液体が前記噴出ノズルを詰まらせる虞を低減できる。したがって、被噴出対象に向けて第1の液体を均一に噴出させることができ、前記噴出ノズルのメンテナンス性を向上させることができる。
【0017】
また、第2の流体の一例として、液体の代わりに気体を前記切換部材の前記遮る状態において前記噴出ノズルから噴出させることにより、前記噴出ノズル内に残っていた前記第1の液体を前記気体で吹き飛ばすことができ、前記噴出ノズルの詰まりを抑制できる。また、第2の流体としての第1の液体とは異なる液体を前記噴出ノズルから噴出させた後に、気体を前記噴出ノズルから噴出させることも可能である。この場合、前記噴出ノズル内から第1の液体を洗い流すだけでなく、前記噴出ノズル内の水分を気体で吹き飛ばすことにより、前記噴出ノズルの詰まりをより一層抑制できる。
【0018】
本発明の第2の態様における液体噴出装置は、第1の態様において、前記噴出ノズルが外面に設けられた内筒部材と、前記内筒部材が挿入されるとともに該内筒部材に対して該内筒部材の軸線方向に相対的に変位可能な外筒部材とを備え、前記切換部材は、前記外筒部材で構成され、前記外筒部材を前記軸線方向に沿って前記内筒部材に対して変位させることにより前記遮る状態と前記許容する状態とを切換えることを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、前記噴出ノズルが外面に設けられた内筒部材に対して外筒部材を内筒部材の軸線方向に相対的に変位させるだけで、前記切換部材における前記遮る状態と前記許容する状態とを切換えることができるので、簡易な構造で被噴出対象に第2の流体が掛かることを防止できる。また、第2の流体が第1の液体の洗浄剤である場合、簡易な構造で前記噴出ノズルにおけるメンテナンス動作を実行でき、前記噴出ノズルのメンテナンス性を向上させることができる。
【0020】
本発明の第3の態様における液体噴出装置は、第1の態様または第2の態様において、前記第1の液体は、コンクリートを養生する養生剤であり、前記第2の流体は前記噴出ノズル内の養生剤を洗い流す液体であることを特徴とする。
本態様によれば、前記噴出ノズルにおいて養生剤を噴出させた後で、養生剤を洗い流す液体を噴出させるので、前記噴出ノズルの洗浄が確実に行われ、前記養生剤が前記噴出ノズルにおいて目詰まりを発生させる虞をより一層低減することができる。
【0021】
本発明の第4の態様における養生装置は、トンネルの内周面に打設されたコンクリートを養生する養生装置であって、前記トンネルの軸線方向に沿って移動可能な台車と、前記台車に支持され、前記トンネルの内周面に打設されたコンクリートを覆う状態と、前記コンクリートから離間した状態とを切換え可能な型枠部材と、前記台車に設けられた、第1から第3のいずれか一の態様における前記液体噴出装置と、を備え、コンクリートが打設されてから所定時間経過後に前記型枠部材を前記覆う状態から前記離間した状態へと切換え、前記軸線方向に移動しつつ、前記液体噴出装置から前記コンクリートに向けて前記第1の液体を噴出させ、噴出させた前記第1の液体が前記コンクリートの表面を覆ってコンクリートを養生させることを特徴とする。
【0022】
尚、前記型枠部材において前記トンネルの内周面に打設されたコンクリートを覆う状態とは、打設されたコンクリートを覆うだけでなく、前記型枠部材が前記打設されたコンクリートを保持又は支持する状態をも含んでいる。
【0023】
本態様によれば、前記トンネルの内周面に打設されたコンクリートを覆って保持又は支持する型枠部材が設けられ、前記トンネルの軸線方向に沿って移動可能な前記台車に前記液体噴出装置を設けているので、前記型枠部材を脱型した後に前記台車を移動させつつ、前記噴出ノズルから前記コンクリートに向けて第1の液体(養生剤)を均一に噴出させることができる。そして、第1の液体を噴出させた後に、前記台車を移動させつつ、前記噴出ノズルのメンテナンス(洗浄)を行うことができるので、別途メンテナンス作業を行う必要がなく、トンネル工事の施工期間の短縮を図ることができる。更に、上記第1の態様から第3の態様のいずれか一の態様の作用効果を得られる。
【0024】
本発明の第5の態様における養生装置は、第4の態様において、前記トンネルの内周面の円周方向に沿って、前記液体噴出装置の前記噴出ノズルが複数設けられていることを特徴とする。
【0025】
本態様によれば、前記トンネルの内周面の円周方向に沿って、前記液体噴出装置の前記噴出ノズルが複数設けられているので、前記内周面に向かって第1の液体を均一に噴出させることができるとともに、コンクリート表面に対する噴出面積を大きくすることができ、トンネル工事の施工期間の短縮を図ることができる。また、作業者が第1の液体の塗布を人力で行う必要がないので、トンネル工事における作業性を向上させることができ、施工コストを低減することができる。更に、上記第1の態様から第3の態様のいずれか一の態様の作用効果を得られる。
【0026】
本発明の第6の態様における養生装置は、第5の態様において、複数の前記噴出ノズルは、前記トンネルの内周面の円周方向に沿って延設された内筒部材の外面に間隔をおいて配置され、各噴出ノズルに対応する位置には前記内筒部材に対して相対移動して前記遮る状態と前記許容する状態とを切換える外筒部材が設けられ、複数の前記外筒部材における前記遮る状態と前記許容する状態との切換えは同期していることを特徴とする。
【0027】
本態様によれば、複数の前記外筒部材における前記遮る状態と前記許容する状態との切換えは同期しているので、複数の前記噴出ノズルに対する前記外筒部材の前記遮る状態と前記許容する状態との切換動作を確実に行うことができる。したがって、一部の前記噴出ノズルの状態切換が行われずに第1の液体が前記トンネル内周面に向けて均一に噴出されないことを防止できる。つまり、複数の前記噴出ノズルから前記トンネルの内周面、すなわちコンクリートに向かって第1の液体をより一層、均一に噴出させることができる。更に、上記第1の態様から第3の態様のいずれか一の態様の作用効果を得られる。
【0028】
本発明の第7の態様における養生装置は、第4から第6のいずれか一の態様において、前記噴出ノズルから噴出させる前記第1の液体の噴出量は、前記台車の移動速度に応じて制御されることを特徴とする。
【0029】
本態様によれば、前記噴出ノズルから噴出させる前記第1の液体の噴出量は、前記台車の移動速度に応じて制御されるので、前記台車の移動速度が変化しても前記第1の液体を前記トンネルの内周面に均一に噴出させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施例において同一の構成については、同一の符号を付し、最初の実施例においてのみ説明し、以後の実施例においてはその構成の説明を省略する。
【0032】
<<<第1の実施例>>>
<<<セントル(養生装置)の概要>>>
図1ないし
図4(B)を参照して、第1の実施例に係る液体噴出装置について説明する。
図1には、トンネル10(
図5(A)ないし
図8(B)参照)の内周面10aにおいて二次覆工を行う「養生装置」としてのセントル12が示されている。セントル12は、トンネル10の内壁にコンクリートを吹き付けることにより形成されたトンネル10の内周面10a(一次覆工により形成されたコンクリート面)にコンクリートを打設して養生する二次覆工を行う様に構成されている。具体的には、セントル12は、門型の台車14と、アーチ状に形成された型枠部材16と、台車14に取り付けられた液体噴出装置18とを備えている。
【0033】
門型の台車14は、トンネル10の軸線方向に沿って所定の長さに形成されている。さらに台車14は、トンネル10の軸線方向及び当該軸線方向と交差する方向にそれぞれ所定の間隔をおいて複数の脚部14aが設けられている。脚部14aの下部には、複数の車輪20が設けられている。本実施例において台車14は、トンネル10の軸線方向に沿って移動可能に構成されている。一例として、トンネル10の軸線方向に延びる一対の軌条22、22上に車輪20が配置され、台車14は、軌条22、22に沿ってトンネル10の軸線方向に往復動するように構成されている。
【0034】
また、台車14は、複数の車輪20によりトンネル等の路面上を移動する構成としてもよい。本実施例において台車14は、図示しない駆動源により自走するように構成されているが、外部動力源により牽引あるいは推進する構成としてもよい。また、台車14においてトンネル10の軸線方向と交差する方向において脚部14aと脚部14aとは距離をおいて配置されている。
【0035】
より具体的には、台車14においてトンネル10の軸線方向と交差する方向における脚部14aと脚部14aとの間の距離は、トンネルの軸線方向に沿って移動する作業車両(例えば、ずり出しを行う大型ダンプ等)が通行可能な大きさに形成されている。
【0036】
また、台車14には、トンネル10の軸線方向に沿って延びるとともにトンネル10の内周面10aに対向するようにアーチ状に形成されている型枠部材16が設けられている。型枠部材16は
図5(A)に示すトンネル10の内周面10aに打設されたコンクリート24を覆って保持または支持する状態と、
図5(B)に示すコンクリート24から離間した状態、すなわち脱型状態とを切換え可能である。具体的には、台車14に設けられた複数の駆動機構26により型枠部材16の状態が切換えられる。
【0037】
駆動機構26は油圧等により駆動し、伸縮するジャッキとして構成されている。また、台車14と型枠部材16との間及び台車14のトンネル軸線方向の両端部には、それぞれ作業員が作業するための作業台28が設けられている。
【0038】
台車14においてトンネル10内における進行方向後方側にはトンネル10の内周面10aに打設されたコンクリート24に向けて「第1の液体」としての養生剤を噴出する液体噴出装置18が設けられている。液体噴出装置18については後述する。
【0039】
<<<型枠部材について>>>
型枠部材16について説明する。型枠部材16にはトンネル10の軸線方向及び周方向に沿って間隔をおいて複数の開口部30が形成されている。開口部30は、型枠部材16の外面と内面とを連通するように構成されている。また、開口部30には、蓋32が開閉又は着脱可能に取り付けられている。開口部30の蓋32が閉じられると、あるいは開口部30に蓋32が取り付けられると、型枠部材16の外面と内面とは遮断された状態となる。
【0040】
尚、一例として、開口部30の大きさは、開口部30に対して蓋32を開いた状態、又は取り外した状態において作業者が身を乗り出して型枠部材16の外周面、つまり対向する側の面16a側の検査、コンクリート24の流し込みやその他のトンネル10内における作業が可能な程度の大きさに設定されている。
【0041】
また、型枠部材16においてトンネル10の内周面10aに対向する側の面16aは不透水性の材質で構成されるとともに平滑面に形成されている。具体的には、対向する側の面16aは、樹脂材料やステンレス等の金属材料で形成されている。あるいは、対向する側の面16aに樹脂塗装や、セラミックを溶射してコーティングする構成として、何度も転用可能なように耐久性を向上させても良い。
【0042】
型枠部材16においてトンネルの内周面10aと対向する側の面16aが平滑面に形成されているので、コンクリート24が型枠部材16に付着し難く、コンクリート24から型枠部材16を脱型し易くすることができる。これにより、コンクリート24において脱型時に、コンクリート表面の美観を確保することができる。
【0043】
また、対向する側の面16aは、不透水性の機能を備えているので、打設したコンクリート24の水分の蒸発を抑制することができる。その結果、型枠部材16はコンクリート表面の硬化に必要な水分を保水することができるので、コンクリート表面の十分な硬化と緻密性等の向上を得られ、コンクリートの高品質化を図ることができる。
【0044】
<<<液体噴出装置について>>>
図3、
図4(A)及び
図4(B)を参照して液体噴出装置18について説明する。液体噴出装置18は、トンネル10の軸線方向においてセントル12の進行方向後方側、すなわち、型枠部材16の後方に配置されている。また、液体噴出装置18は、トンネル10の内周面10aに沿って湾曲して延びる内筒部材34と、内筒部材34の軸線方向に変位可能に装着された外筒部材36と、内筒部材34に設けられた複数の噴出ノズル38とを備えている。尚、外筒部材36は、一例として、切換部材39を構成している。
【0045】
複数の噴出ノズル38は、内筒部材34において適宜間隔をおいて配置されている。そして、噴出ノズル38は、内筒部材34において半径方向外側に向かって流体、すなわち液体及び気体の少なくとも一方を噴出可能に配置されている。また、図示しないが、噴出ノズル38には複数のノズル穴が設けられている。ここで、噴出ノズル38における噴出可能とは、流体、すなわち液体及び気体の少なくとも一方を、噴出ノズル38の複数のノズル穴から噴出させるだけでなく、噴射、噴霧させることも意味している。尚、以下の説明では、噴出ノズル38から液体を噴出させる場合、液体を霧状に噴出させる噴霧を一例として説明する。
【0046】
内筒部材34内には、ホース40が挿入されている。そして、ホース40は、各噴出ノズル38に流体を供給可能に接続されている。ホース40の一端部は内筒部材34から延びてポンプ42に接続されている。ポンプ42は、養生剤を収容する第1液体タンク44と、「第2の流体」の一例である水を収容する第2液体タンク46とに接続されている。そして、ポンプ42は、ホース40、ひいては各噴出ノズル38に養生剤、又は水を選択して供給可能である。
【0047】
尚、本実施例では、一例としてポンプ42は、養生剤、水を噴出ノズル38に供給する構成としたが、この構成に代えて、ポンプ42にコンプレッサーを接続し、「第2の流体」としての気体、一例として圧縮空気をコンプレッサーからポンプ42を介して噴出ノズル38に供給する構成としてもよい。あるいは、噴出ノズル38に、養生剤、「第2の流体」としての液体及び気体をそれぞれ選択的に供給する構成としてもよい。
【0048】
次いで、外筒部材36は、内筒部材34に対して軸線方向に沿って変位可能に構成されている。具体的には、湾曲した内筒部材34の半径方向内側に沿って延びるワイヤー48に、各外筒部材36は接続されている。そして、ワイヤー48の一端は、付勢手段50に接続されている。付勢手段50は、一例として引っ張りばねとして構成されている。
【0049】
また、ワイヤー48の他端は、駆動モーター52の駆動軸に軸着された駆動プーリー54に接続されている。そして、駆動モーター52が回転駆動すると、ワイヤー48は駆動プーリー54により付勢手段50の付勢力に抗して巻き取られる。これにより、外筒部材36は内筒部材34に対して内筒部材34の軸線方向に沿って変位する。
【0050】
図4(A)及び
図4(B)を参照するに、ワイヤー48が駆動プーリー54に巻き取られていない状態、すなわち付勢手段50の付勢力により外筒部材36が引っ張られている状態では、
図4(A)に示すように外筒部材36は内筒部材34において噴出ノズル38が設けられた位置からずれた位置に位置している。ここで、
図4(A)では、噴出ノズル38は、被噴出対象であるコンクリート24に向けて養生剤を噴霧している状態である。
【0051】
したがって、切換部材39を構成する外筒部材36は、噴出ノズル38とコンクリート24との間から退避して、噴出ノズル38からコンクリート24に向けて噴霧される養生剤を許容する状態にある。この状態では、噴出ノズル38から噴霧された養生剤がコンクリート24の表面に均一に吹き付けられる。そして、噴出ノズル38における養生剤の噴霧を停止する。
【0052】
次いで、
図4(B)に示すように、ワイヤー48が駆動プーリー54に巻き取られると、外筒部材36は付勢手段50の付勢力に抗して、噴出ノズル38とコンクリート24との間から退避した位置から、噴出ノズル38とコンクリート24との間の位置に進出する。この状態で、噴出ノズル38から第2の流体、一例として水を噴霧させると切換部材39を構成する外筒部材36が噴出ノズル38からコンクリート24への吹き付けを遮る。
【0053】
ここで、複数の外筒部材36は、1つのワイヤー48により同時に駆動されて、許容する状態と遮る状態とを切り換えられる。つまり、複数の外筒部材36の状態切換動作は同期している。
【0054】
すなわち、外筒部材36は、噴出ノズル38からコンクリート24に向けて噴出される水を遮る状態となる。したがって、養生剤が吹き付けられたコンクリート24の表面に噴出ノズル38から噴霧された水が吹き付けられることを防止できる。つまり、コンクリート24における養生剤の散布面を均一に維持することができる。
【0055】
また、外筒部材36が遮る状態のまま、水を噴出ノズル38から噴霧すると、噴出ノズル38内、あるいはホース40内に残っていた養生剤が水により洗い流され、噴出ノズル38の外側に排出される。噴出ノズル38から排出された養生剤及び水は、内筒部材34内、あるいは内筒部材34の外面を伝って、排出される。尚、一例として、水を噴霧させる代わりに、気体を噴出させてもよく、水を噴霧させた後に気体を噴出させてもよい。
【0056】
尚、図示しないが、内筒部材34の両端部の下方に排出されてきた養生剤及び水を受ける排水トレイ等を設ける構成としてもよい。排水トレイを設けることにより、トンネル10の床面を排水により汚すことを抑制できる。
【0057】
また、図示しないがセントル12には、セントル12の移動速度を検出する速度センサーが設けられている。そして、液体噴出装置18は、速度センサーで検出された速度に応じて液体噴出装置18の噴出ノズル38から噴出される養生剤の噴出量を適宜調整するように構成されている。
【0058】
<<<トンネルにおけるコンクリートの養生方法について>>>
次いで、
図5(A)ないし
図8(B)を参照して、トンネル10の内周面10aに対して打設されたコンクリート24の養生方法について説明する。
図5(A)ないし
図8(B)の各図においてトンネル10には、トンネル坑口からトンネル10の切羽(不図示)まで所定の距離で区切られた複数の区域が設けられている。本実施例では、トンネル坑口に最も近い区域を第1の区域T1とし、トンネル10の軸線方向に沿って第2の区域T2、第3の区域T3、第4の区域T4、・・・第n番目の区域Tnとしている。尚、
図5(A)ないし
図8(B)の各図では、第5の区域T5まで図示している。
【0059】
図5(A)において、第1の区域T1にセントル12が位置している。そして、セントル12の型枠部材16は、駆動機構26によりコンクリート24に対して離間した状態(脱型状態)から高さ方向上方側に持ち上げられてコンクリート24を覆って保持又は支持する状態に切換えられている。そして、型枠部材16と第1の区域T1におけるトンネル10の内周面10aとの間には、コンクリート24が打設されている。型枠部材16は、打設されたコンクリート24を保持し、コンクリート24の養生状態を維持している。
【0060】
そして、所定期間が経過すると、
図5(B)に示すようにセントル12の駆動機構26を駆動して型枠部材16を、コンクリート24を覆って保持又は支持する状態からコンクリート24に対して離間した状態、すなわち脱型状態へと切換える。
【0061】
次いで、
図6(A)に示すようにセントル12を第2の区域T2に向かって移動させる。この際、液体噴出装置18の噴出ノズル38から養生剤を打設したコンクリート24に向けて噴霧させて、コンクリート24に吹き付ける。
図6(B)に示すようにコンクリート24に吹き付けられた養生剤は、コンクリート24の表面で乾燥して薄い膜を形成する。さらに、吹き付けられた養生剤の一部は、コンクリート24の表面から内側に染み込む。これにより、コンクリート24の表面からコンクリート24の水分が抜け出ることを抑制し、コンクリート24の養生が湿潤環境を保ったまま、継続される。尚、
図6(A)及び
図6(B)においてコンクリート24における太線Sは、吹き付けられた養生剤を示している。
【0062】
次いで、
図7(A)に示すようにセントル12を第2の区域T2に位置させる。そして、液体噴出装置18の噴出ノズル38における養生剤の噴霧を停止させる。養生剤の噴霧停止後に、外筒部材36を許容する状態から遮る状態に切換える。そして、噴出ノズル38から水を噴霧させて噴出ノズル38のメンテナンス(洗浄)を行う。この状態では、養生剤を吹き付けたコンクリート24の表面に水が掛かることがないので、養生剤を吹き付けたコンクリート24の表面を均一に維持することができる。
【0063】
そして、噴出ノズル38内に残留していた養生剤を水で洗い流した後、噴出ノズル38における水の噴霧を停止させる。そして外筒部材36を遮る状態から許容する状態へと切換える。
【0064】
そして、
図7(B)に示すようにセントル12の型枠部材16を、コンクリート24に対して離間した状態(脱型状態)から駆動機構26により高さ方向上方側に持ち上げてコンクリート24を覆って保持又は支持する状態に切換える。そして、型枠部材16と第2の区域T2におけるトンネル10の内周面10aとの間に、コンクリート24を打設する。尚、噴出ノズル38のメンテナンス動作と第2の区域T2における型枠部材16の状態切換動作及びコンクリート24の打設を同時に行うことで、トンネル10の施工期間の短縮を図ることができる。
【0065】
次いで、
図8(A)に示すように、所定期間が経過すると、セントル12の駆動機構26を駆動して型枠部材16を、コンクリート24を覆って保持又は支持する状態からコンクリート24に対して離間した状態(脱型状態)へと切換える。
【0066】
次いで、
図8(B)に示すようにセントル12を第3の区域T3に向かって移動させる。この際、液体噴出装置18の噴出ノズル38から第2の区域T2に打設したコンクリート24に向けて養生剤の噴霧を開始する。そして、第2の区域T2に打設したコンクリート24に養生剤を吹き付けて薄膜を形成し、コンクリート24の養生を継続させる。以下、トンネル10の工事進捗に合わせて上記の作業工程を繰り返す。
【0067】
本実施例では、液体噴出装置18の噴出ノズル38のメンテナンス動作をトンネル10の内周面10aにおけるコンクリート24の二次覆工の工程内においてセントル12の移動や型枠部材16の状態切換動作のタイミングに合わせて並行して行うことにより、トンネル10の施工期間の短縮を図ることができる。
【0068】
<<<第2の実施例>>>
次いで、
図9(A)及び
図9(B)を参照して、第2の実施例に係る液体噴出装置56について説明する。第2の実施例に係る液体噴出装置56は、一組の内筒部材及び外筒部材から構成される点で第1の実施例と異なる。
【0069】
液体噴出装置56は、内筒部材58と、切換部材39を構成する外筒部材60と、噴出ノズル62と、切換手段64とを備えている。内筒部材58の外面には噴出ノズル62が設けられている。また、内筒部材58の端部には台座66が取り付けられている。一例として内筒部材58は、
図9(A)及び
図9(B)に示す矢印Aの方向に台座66に対して回動可能に取り付けられている。また、台座66は軸66aを備えており、台座66は軸66aを支点として矢印Bの方向に回動可能である。
【0070】
外筒部材60は、内筒部材58に対して切換手段64により遮る状態と許容する状態とを切換可能である。より具体的には、外筒部材60には、切換手段64の一端部が接続されている。そして切換手段64の他端部が台座66に接続されている。切換手段64は、一例として油圧や空圧等で作動するシリンダ部材で構成されている。そして、切換手段64が作動すると、外筒部材60は内筒部材58の軸線方向に沿って変位する。これにより、外筒部材60の遮る状態と許容する状態とが切換えられる。
【0071】
液体噴出装置56は、セントル12において液体噴出装置18の代わりに作業台28に少なくとも1つ以上設けることができる。そして、トンネル10の内周面10aに対して均一に養生剤を噴出ノズル62から噴霧させて、内周面10aに養生剤を吹き付けることができるように配置することが望ましい。
【0072】
また、トンネル10の内周面10aに対して噴出ノズル62の位置、すなわち内筒部材58の姿勢を適宜変更可能であるので、内周面10aに対して養生剤の吹き付けが足りない部分に局所的に養生剤を吹き付けることができ、作業性を向上させることができる。
【0073】
<<<第3の実施例>>>
次いで、
図10(A)及び
図10(B)を参照して、第3の実施例に係る液体噴出装置68について説明する。第3の実施例に係る液体噴出装置68は、噴出ノズル70と切換部材72とから構成されている点で第1の実施例と異なる。
【0074】
液体噴出装置68は、噴出ノズル70と、切換部材72と、駆動手段74とを備えている。噴出ノズル70は、一例として基板76に取り付けられている。基板76には、駆動手段74が取り付けられている。駆動手段74は、一例として駆動モーターとして構成されている。そして、駆動手段74の駆動軸74aには、切換部材72の一端72aが取り付けられている。切換部材72の他端部72bは円盤状に形成されている。そして、円盤状の他端部72bの大きさは、
図10(B)に示す遮る状態において噴出ノズル70から噴霧される液体、例えば、水を遮る大きさに設定されている。
【0075】
そして、切換部材72は駆動手段74により
図10(A)及び
図10(B)に示す矢印Cの方向に回動可能に構成されている。そして、切換部材72は
図10(A)に示す許容する状態と、
図10(B)に示す遮る状態とを回動することにより切換可能である。これにより、液体噴出装置68を簡易な構成とすることができる。
【0076】
<<<第4の実施例>>>
次いで、
図11ないし
図15(B)を参照して第4の実施例に係る液体噴出装置78について説明する。第4の実施例に係る液体噴出装置78は、コンクリート橋の架設工事に用いられる移動作業装置80に設けた点で第1の実施例と異なる。
【0077】
<<<移動作業装置の概要>>>
図11及び
図12を参照するに、コンクリート橋82の脚部84が設置された状態で、脚部84からコンクリートブロックを張り出していく、片持ち張り出し架設方式におけるコンクリート橋82が図示されている。そして、コンクリート橋82の上面には、張り出し方向に延びるとともに、張り出し方向と交差する方向に間隔をおいて一対のレール86が設置されている。
【0078】
移動作業装置80は、トラス構造部88と、メインビーム90と、サブビーム92と、作業エリア部94とを備えている。トラス構造部88は側面視平行四辺形状をした支持構造体とし構成されている。そして、トラス構造部88の下部には、車輪96が設けられており、レール86上を走行可能である。すなわち、移動作業装置80はレール86上を張り出し方向に移動可能に配置されている。
【0079】
トラス構造部88の上桁には、張り出し方向に少なくとも1ブロック分張り出すようにメインビーム90が支持されている。メインビーム90の上部には張り出し方向と交差する方向に延びる横梁98が設けられている。横梁98は、張り出し方向と交差する方向において、一対のメインビーム90、ひいてはトラス構造部88を横切って延びている(
図12参照)。そして、横梁98の両端部から下方に向けてワイヤー100が下ろされており。ワイヤー100の先端は作業エリア部94に接続されている。すなわち、作業エリア部94は、ワイヤー100を介して横梁98から吊り下げられている。
【0080】
作業エリア部94は、コンクリート橋82において張り出し方向に少なくとも1ブロック分張り出すように吊り下げられている。そして、作業エリア部94は、コンクリート橋82における張り出し部分における鉄筋構造体102の組立、コンクリート104の打設作業が行えるスペースを確保している。
【0081】
サブビーム92は、トラス構造部88においてメインビーム90より下方の位置で張り出し方向に少なくとも1ブロック分張り出すように延設されている。サブビーム92は、図示しないが、後述する鉄筋構造体102を支持可能に構成されている。そして、サブビーム92には、一例として液体噴出装置78が張り出し方向に移動可能に取り付けられている。
【0082】
図12に示すように、液体噴出装置78は、コンクリート橋82の張り出し方向と交差する方向における断面において張り出し部分の周囲を取り囲むように枠状体として構成されている。そして、液体噴出装置78には、枠状に形成された内筒部材106と、内筒部材106においてコンクリート橋82の張り出し部分に向けて養生剤を噴霧可能に、適宜間隔をおいて設けられた複数の噴出ノズル108と、切換部材39を構成する、噴出ノズル108に対して遮る状態と許容する状態とを切換可能な外筒部材110とを備えている。尚、液体噴出装置78における液体の供給方法、廃液処理の方法、外筒部材110の状態切換の駆動手段等は、第1の実施例に係る液体噴出装置18と同様の構成を備えている。
【0083】
次いで、
図13(A)ないし
図15(B)を参照して、液体噴出装置78を用いたコンクリート橋82における架設工程について説明する。尚、
図13(A)ないし
図15(B)において液体噴出装置78の噴出ノズル108及び外筒部材110の図示は省略している。
図13(A)に示すように、コンクリート橋82の張り出し部分において鉄筋構造体102の組立を開始する。この際、液体噴出装置78は液体を噴霧していない状態である。
【0084】
そして、
図13(B)に示すように鉄筋構造体102の組立が完了した後、組立が完了した鉄筋構造体102の周囲を型枠112で覆う。次いで、
図14(A)に示すように、型枠112内にコンクリート104を打設する。そして、張り出し方向において型枠112よりも1ブロック分張り出した部分で次ブロック分の鉄筋構造体102の組立を開始する。
【0085】
次いで、
図14(B)に示すように、コンクリート104を打設後、所定期間経過後に型枠112を取り外す。そして、
図15(A)に示すように、液体噴出装置78の噴出ノズル108から打設したコンクリート104の表面に養生剤を噴霧する。この際、液体噴出装置78はサブビーム92に沿って張り出し方向に養生剤を噴霧しながら移動する。これにより、打設したコンクリート104の表面に養生剤が均一に噴霧される。そして、コンクリート104の表面に養生剤の薄膜が形成され、コンクリート104の養生のための湿潤環境が維持される。尚、
図15(A)及び
図15(B)におけるコンクリート104の網掛け部分は養生剤が噴霧された部分を示している。
【0086】
そして、
図15(B)に示すように、液体噴出装置78が張り出し方向において打設したコンクリート104の端部まで移動すると、噴出ノズル108における養生剤の噴霧を停止する。そして、外筒部材110を許容する状態から遮る状態へと切換えて、噴出ノズル108から水を噴出させて、噴出ノズル108のメンテナンス作業(洗浄作業)を行う。尚、次ブロックにおける鉄筋構造体102の組立作業と、液体噴出装置78における養生剤の噴霧動作及びメンテナンス動作とは並行して行ってもよい。
【0087】
そして、組み立てた次ブロックの鉄筋構造体102の周囲を型枠112で覆い、コンクリート104を打設するとともに次ブロックよりさらに張り出した部分における鉄筋構造体102の組立を開始する。以下、この作業工程を繰り返す。また、移動作業装置80は、コンクリート橋82の張り出し方向への架設の進捗にあわせて、張り出し方向に適宜移動する。
【0088】
尚、本実施例では、液体噴出装置78はサブビーム92に対して張り出し方向に移動可能に構成したが、この構成に代えて、サブビーム92に固定する構成としてもよい。この構成では、移動作業装置80の張り出し方向への移動に際して、コンクリート104に養生剤を噴霧する。また、液体噴出装置78に代えて、複数の液体噴出装置56、68を鉄筋構造体102に打設されたコンクリート104に養生剤を噴霧可能に作業エリア部94に設ける構成としてもよい。
【0089】
上記説明をまとめると、被噴出対象であるコンクリート24、104に養生剤を噴出する液体噴出装置18、56、68、78であって、養生剤をコンクリート24、104に向けて噴出する噴出ノズル38、62、70、108と、噴出ノズル38、62、70、108とコンクリート24、104との間に進出して噴出ノズル38、62、70、108からコンクリート24、104に向けて噴出される養生剤を遮る状態と、噴出ノズル38、62、70、108とコンクリート24、104との間から退避して噴出ノズル38、62、70、108からコンクリート24、104に向けて噴出される養生剤を許容する状態とを切換え可能な切換部材39、72とを備え、噴出ノズル38、62、70、108は、切換部材39、72の許容する状態において第1の液体である養生剤をコンクリート24、104に向けて噴出させ、該第1の液体である養生剤の噴出後に切換部材39、72を許容する状態から遮る状態に切換えて、噴出ノズル38、62、70、108から第1の液体である養生剤と異なる第2の流体である水または気体を噴出させる。
【0090】
液体噴出装置18、56、78は、噴出ノズル38、62、108が外面に設けられた内筒部材34、58、106と、内筒部材34、58、106が挿入されるとともに該内筒部材34、58、106に対して該内筒部材34、58、106の軸線方向に相対的に変位可能な外筒部材36、60、110とを備え、切換部材39、72は、外筒部材36、60、110で構成され、外筒部材36、60、110を軸線方向に沿って内筒部材34、58、106に対して変位させることにより遮る状態と許容する状態とを切換える。
【0091】
第1の液体はコンクリートを養生する養生剤であり、第2の液体は噴出ノズル38、62、70、108内の養生剤を洗い流す液体である。
【0092】
トンネル10の内周面10aに打設されたコンクリート24を養生するセントル12は、トンネル10の軸線方向に沿って移動可能な台車14と、台車14に支持され、トンネル10の内周面10aに打設されるコンクリート24を覆う状態と、コンクリート24から離間した状態とを切換え可能な型枠部材16と、台車14に設けられた液体噴出装置18とを備え、コンクリート24が打設されてから所定時間経過後に型枠部材16を覆う状態から離間した状態へと切換え、台車14を軸線方向に移動させつつ、液体噴出装置18からコンクリート24に向けて養生剤を噴出させ、噴出させた養生剤がコンクリート24の表面を覆ってコンクリート24を養生させる。
【0093】
セントル12において、トンネル10の内周面10aの円周方向に沿って、液体噴出装置18の噴出ノズル38が複数設けられている。
【0094】
複数の噴出ノズル38は、トンネル10の内周面10aの円周方向に沿って延設された内筒部材34の外面に間隔をおいて配置され、噴出ノズル38に対応する位置には内筒部材34に対して相対移動して遮る状態と許容する状態とを切換える外筒部材36が設けられ、複数の外筒部材36における遮る状態と許容する状態との切換えは同期している。
【0095】
噴出ノズル38から噴出させる養生剤の噴出量は、台車14の移動速度に応じて制御される。
【0096】
トンネル10の内周面10aに打設されたコンクリート24を養生する方法は、打設されたコンクリート24の表面を所定期間、型枠部材16で覆う工程と、所定期間後にコンクリート24の表面から型枠部材16を脱型する工程と、台車14を移動させながら、コンクリート24の表面にセントル12に設けられた液体噴出装置18からコンクリート24に向けて養生剤を噴出させる工程と、液体噴出装置18において切換部材39を許容する状態から遮る状態に切換えて、噴出ノズル38から養生剤と異なる第2の流体である水、又は気体を噴出させ、噴出ノズル38を洗浄する工程とを備える。
【0097】
脚部84より前方に1ブロック分、張り出したトラス構造部88を有するコンクリート橋82の架設工法で用いる移動作業装置80であって、トラス構造部88の上桁に支持されてトラス構造部88より前方に1ブロック分、更に張り出すように設けられたメインビーム90と、トラス構造部88及びメインビーム90に吊り持ちされた作業エリア部94と、少なくとも1つの液体噴出装置78とを備え、作業エリア部94に位置する一のブロックの鉄筋構造体102の組立完了後、同じく作業エリア部94に位置する次ブロックの位置において、一のブロックの鉄筋構造体102を基点として一のブロックの鉄筋構造体102に連続させて次ブロック用の鉄筋構造体102の組立を開始させるとともに一のブロックの鉄筋構造体102に打設されたコンクリート104に向けて液体噴出装置78から養生剤を噴出させ、噴出させた養生剤がコンクリート104の表面を覆ってコンクリート104を養生させる。
【0098】
上記構成によれば、作業エリア部94に位置する一のブロックの鉄筋構造体102の組立完了後、同じく作業エリア部94に位置する次ブロックの位置において、一のブロックの鉄筋構造体102を基点として一のブロックの鉄筋構造体102に連続させて次ブロック用の鉄筋構造体102の組立を開始するとともに一のブロックの鉄筋構造体102に打設されたコンクリート104に向けて液体噴出装置78から養生剤を噴出させ、噴出させた養生剤がコンクリート104の表面を覆ってコンクリート104を養生するので、一のブロックにおけるコンクリート104の養生と次ブロックにおける鉄筋構造体102の組立を同時に進めることができ、コンクリート橋82における施工期間を短縮でき、施工コストを低減できる。
【0099】
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。