(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記処理実行部は、前記判定処理において前記対象部分が前記判定条件を満たしていないと判定した場合、前記対象部分が前記判定条件を満たすのに必要な前記入力情報の修正値を特定し、前記表示処理において、前記判定処理での前記判定結果と前記修正値とを含む前記判定結果情報を表示することを特徴とする請求項4に記載の設計支援装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、貫通孔や補強板等の特定部分(以下、対象部分)が備えられた被設計部材を設計する際には、上記の対象部分を含めた被設計部材全体の形状を設計することになる。その一方で、設計上の問題の有無を判定する際には、対象部分にフォーカスして判定を行う場合がある。このような場合において、対象部分の位置や大きさ等について設計上の問題があると判定されたときには、その判定結果を明確に知らせることが必要となる。また、判定結果を知らせる際には、当該判定結果に至った原因を特定する上で、作業者が被設計部材の形状を決めるときに入力した情報を上記の判定結果と合わせて確認し得るのが望ましい。
【0007】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、対象部分が備えられた被設計部材の設計図面を容易に取得し、かつ、対象部分に設計上の問題がないかどうかを容易に確認することが可能な設計支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、本発明の設計支援装置によれば
、対象部分が備えられた被設計部材の設計を支援する設計支援装置であって
、前記被設計部材の設計に必要となる入力情報を取得する取得部と
、前記入力情報に基づいて、前記被設計部材の設計に関する処理を実行する処理実行部と
、前記対象部分について予め定められた
複数種類の判定条件を記憶する記憶部と、を有し
、前記処理実行部は
、前記入力情報に応じて前記被設計部材の形状を設計する設計処理と
、前記入力情報と、前記設計処理にて設計された前記被設計部材の形状を示す設計図面と、
前記入力情報に応じて設計された前記被設計部材中の前記対象部分及び該対象部分周辺の拡大図と、を表示する表示処理と
、前記設計処理にて形状が設計された前記被設計部材中の前記対象部分が前記判定条件を満たしているかどうかを判定する判定処理と、を実行し、
前記表示処理において、前記判定条件別の前記拡大図をそれぞれ分けて表示し、それぞれの前記拡大図中には、それぞれ前記判定条件に応じたラインが前記対象部分の図と共に表示されることにより解決される。
【0009】
上記のように構成された本発明の設計支援装置は、入力情報に応じて被設計部材の形状を設計し、その設計図面を表示する。この際、入力情報と設計図面とが一画面に同時表示されるため、設計者であるユーザにとって、表示されている被設計部材の設計図面がどのような入力情報の下で設計された形状を示しているのかを把握し易くなる。また、本発明の設計支援装置では、入力情報に基づいて形状が設計された被設計部材中の対象部分が判定条件を満たしているかどうかを判定する。そして、設計図面を表示する際、当該設計図面中の対象部分の図についての表示形式が上記の判定の結果に応じて変化することになっている。これにより、対象部分の位置や大きさ等について設計上の問題がないかどうかを容易に確認することが可能となる。また、このとき、入力情報と設計図面とが一画面に同時表示されるため、上記の判定結果に至った原因を容易に特定することが可能となる。
以上の結果、本発明の設計支援装置であれば、対象部分が備えられた被設計部材の設計図面を容易に取得し、かつ、対象部分に設計上の問題がないかどうかを容易に確認することが可能となる。
また上記の構成では、対象部分及びその周辺の拡大図が表示され、当該拡大図中には判定条件に応じたラインが対象部分の図と共に表示される。このような構成であれば、対象部分が判定条件を満たしているかどうかをビジュアル化(図示化)し、その判定結果をより容易に確認することが可能となる。また、上記のラインが拡大図中に表示される場合には、当該ラインが設計図面中に表示される場合に比して、対象部分と上記ラインとの位置関係がより見易くなる結果、対象部分が判定条件を満たしているかどうかをより容易に判定することが可能となる。
また上記の構成では、判定条件別の拡大図を一度に表示することで、対象部分が判定条件を満たしているかどうかを判定条件毎に確認する作業をより容易に行うことが可能となる。
【0010】
また、上記の設計支援装置についてより好ましい構成を説明すると、前記表示処理において、前記処理実行部は、前記入力情報と、前記設計図面と、
前記拡大図と、を一画面に同時表示し、
前記表示処理において前記設計図面中の前記対象部分の図が表示される際の表示形式は、前記判定処理での判定結果に応じて変化するとよい。
上記の構成では、
設計図面を表示する際、当該設計図面中の対象部分の図についての表示形式が上記の判定の結果に応じて変化することになっている。また、このとき、入力情報と設計図面とが一画面に同時表示されるため、上記の判定結果に至った原因を容易に特定することが可能となる。
【0012】
また、上記の設計支援装置についてより一層好ましい構成を説明すると、前記被設計部材に前記対象部分が複数備えられている場合、前記取得部は、前記対象部分毎に前記入力情報を取得し、前記処理実行部は、前記取得部が前記入力情報を取得した際、複数の前記対象部分のうち、どの対象部分についての前記入力情報を取得したのかを特定し、前記表示処理において、前記取得部が前記入力情報を取得している前記対象部分についての前記拡大図を表示するとよい。
上記の構成では、被設計部材に対象部分が複数備えられている場合において、対象部分毎に入力情報が取得される。そして、複数の対象部分のうち、入力情報が取得された一の対象部分について拡大図を表示する。これにより、入力情報が取得された一の対象部分が判定条件を満たしているかどうかを、より容易に確認することが可能となる。
【0013】
また、上記の設計支援装置について更に一層好ましい構成を説明すると、前記表示処理において、前記処理実行部は、前記入力情報と、前記設計図面と、前記判定処理で
の判定結果を示す判定結果情報と、を一画面に同時表示するとよい。
上記の構成では、判定処理での判定結果を示す判定結果情報が表示されるため、判定結果をより明確に知らせることが可能となる。
【0014】
また、上記の設計支援装置について尚一層好ましい構成を説明すると、前記処理実行部は、前記判定処理において前記対象部分が前記判定条件を満たしていないと判定した場合、前記対象部分が前記判定条件を満たすのに必要な前記入力情報の修正値を特定し、前記表示処理において、前記判定処理での前記判定結果と前記修正値とを含む前記判定結果情報を表示するとよい。
上記の構成では、判定処理において対象部分が判定条件を満たしていないと判定した場合、対象部分が判定条件を満たすのに必要な入力情報の修正値を判定結果情報として表示する。これにより、設計者であるユーザは、判定結果情報の確認を通じて、設計上の問題を解消するのに必要な修正内容を容易に把握することが可能となる。
【0015】
また、上記の設計支援装置において、前記取得部は、貫通孔及び該貫通孔周りに配置される補強板が備えられた梁部材の設計に必要となる前記入力情報を取得し、前記記憶部は、前記貫通孔及び前記補強板のうちの少なくとも一方について予め定められた前記判定条件を記憶し、前記処理実行部は、前記設計処理において、前記入力情報に応じて前記梁部材の形状を設計し、前記表示処理において、前記入力情報と、前記設計処理にて設計された前記梁部材の形状を示す前記設計図面と、を一画面に同時表示してもよい。
上記の構成であれば、貫通孔及び該貫通孔周りに配置される補強板が備えられた梁部材について、設計図面を容易に取得し、かつ、貫通孔や補強板に設計上の問題がないかどうかを容易に確認することが可能となる。
【0016】
また、前述した課題は、(A)対象部分が備えられた被設計部材の設計を支援する設計支援方法であって、(B)コンピュータが、前記被設計部材の設計に必要となる入力情報を取得することと、(C)コンピュータが、前記入力情報に基づいて、前記被設計部材の設計に関する処理を実行することと、を有し、(D)コンピュータは、前記処理として、(d1)前記入力情報に応じて前記被設計部材の形状を設計する設計処理と、(d2)前記入力情報と、前記設計処理にて設計された前記被設計部材の形状を示す設計図面とを、一画面に同時表示する表示処理と、(d3)前記設計処理にて形状が設計された前記被設計部材中の前記対象部分が、該対象部分について予め定められた判定条件を満たしているかどうかを判定する判定処理と、を実行し、(E)前記表示処理において前記設計図面中の前記対象部分の図が表示される際の表示形式は、前記判定処理での判定結果に応じて変化することを特徴とする設計支援方法によって解決される。
上記の方法であれば、対象部分が備えられた被設計部材の設計図面を容易に取得し、かつ、対象部分に設計上の問題がないかどうかを容易に確認することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、対象部分を備えた被設計部材の設計図面を容易に取得し、かつ、対象部分に設計上の問題がないかどうかを容易に確認することが可能となる。これにより、被設計部材の設計が効率よく行われるようになり、結果として、設計者の作業負担を軽減させることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態(本実施形態)に係る設計支援装置について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0020】
また、本明細書や後述する各図にて説明する画面のデザインやレイアウト、画面中に表示される情報、その他GUI(Graphic User Interface)に関する内容については、あくまでも一例に過ぎず、装置の仕様やユーザの要求に応じて適宜変更することが可能である。
【0021】
<<本実施形態に係る設計支援装置の概要>>
以下、本実施形態に係る設計支援装置(以下、本装置1)について、その概要を説明する。本装置1は、被設計部材を設計する際に用いられる。より具体的に説明すると、本装置1は、貫通孔及び補強板が備えられた梁部材の形状を設計すると共に、当該設計形状を示す設計図面を作図するために用いられる。ここで、「梁部材」とは、建物の建築部材として利用される長尺鋼材であり、大梁、小梁及び片持ち梁が含まれる。また、「貫通孔」は、梁部材のウェブに形成される円状の貫通孔であり、対象部分に相当する。また、「補強板」は、梁部材のウェブにおいて貫通孔周りに配置される矩形状の金属板であり、対象部分に相当する。
【0022】
さらに、本装置1は、梁部材の設計内容についての検証(チェック)にも用いられる。厳密に説明すると、本装置1は、梁部材中の貫通孔及び補強板に設計上の問題がないかどうかを判定し、その判定結果を設計者であるユーザに知らせる。なお、設計上の問題の有無を判定するにあたり、貫通孔及び補強板についての判定条件が予め定められている。「判定条件」とは、梁部材の要求強度や製作上の制約を充足するかどうかを判定する上で決められた設計上の条件であり、具体的には、貫通孔及び補強板の位置や大きさに応じて変化する距離や面積についての許容値(限界値)である。
【0023】
なお、本実施形態では、本装置1を梁部材の設計に用いることとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、本発明の適用範囲については上記ケースに限定されるものではなく、他の部材(例えば、梁部材以外の建築材料)の設計に本装置1を用いてもよい。
【0024】
本装置1は、コンピュータによって構成され、具体的にはパソコンによって構成されている。本装置1は、
図1に示すように通常のパソコンが備えるハードウェア機器、具体的にはCPU1a、メモリ1b、ハードディスクドライブ1c、キーボードやマウス等からなる入力機器1d、及びディスプレイやプリンタ等からなる出力機器1eを有する。また、本装置1には、ハードディスクドライブ1c以外の記憶装置(例えば、ソリッドステートドライブ等)がハードディスクドライブ1cの代わりに、あるいはハードディスクドライブ1cと共に備わっていてもよい。なお、
図1は、本装置1のハードウェア構成を示す図である。
【0025】
また、本装置1を構成するコンピュータには、設計用プログラムがインストールされている。この設計用プログラムがCPU1aに読み取られて実行されることにより、上記のコンピュータが本装置1としての機能を発揮するようになる。より具体的に説明すると、作業者であるユーザがコンピュータを操作して設計用プログラムを起動させると、コンピュータのディスプレイに
図2に図示のアプリケーション画面Gが描画されるようになる。
図2は、アプリケーション画面Gの概要図である。なお、
図2ではアプリケーション画面G中に表示される各種情報の図示を省略し、後述の
図3〜
図7にて詳細を記載している。
【0026】
アプリケーション画面Gについて説明すると、本実施形態に係るアプリケーション画面Gは、
図2に示すように、一般的な表計算ソフトのワークシート画面によって構成されている。また、アプリケーション画面Gには各種情報が表示され、情報毎に表示領域が区画されている。具体的に説明すると、アプリケーション画面Gの第一領域(
図2中、記号G1にて示す領域)には、
図3に図示の設計ルール情報が表示される。
図3は、設計ルール情報の一例を示す図である。ここで、「設計ルール情報」とは、梁部材の設計ルールを示す文字及びイラストであり、作業者であるユーザによって参照される。なお、設計ルール情報の一部は、上述した判定条件に該当する。
【0027】
アプリケーション画面Gの第二領域(
図2中、記号G2にて示す領域)は、
図4A及び4Bに図示の入力欄となっている。
図4A及び
図4Bは、入力欄を示す図である。この入力欄は、梁部材の設計に必要となる入力情報を入力するために設けられたものである。なお、本実施形態では、基本情報、梁情報、孔情報及び補強板情報が入力情報として入力されることになっている。そして、入力欄を通じて入力された各入力情報は、入力欄中の対応するセルに表示される。入力情報の詳細については後の項で説明する。
【0028】
また、アプリケーション画面Gの第三領域(
図2中、記号G3にて示す領域)には、
図5A及び
図5Bに示すように、上記の入力情報に基づいて設計された梁部材の形状を示す設計図面Pが表示される。
図5A及び
図5Bは、設計された梁部材の形状を示す設計図面Pの一例を示す図である。なお、設計図面P中には、貫通孔(図中、記号khにて表記)及び補強板(図中、記号rbにて表記)が、それぞれ設計されたサイズ及び配置位置に応じて図示されている。また、貫通孔が複数形成される梁部材の設計図面Pでは、
図5A及び
図5Bに示すように、貫通孔及び補強板が複数表示されるようになる。
【0029】
また、アプリケーション画面Gの第四領域(
図2中、記号G4にて示す領域)には、
図6に示すように、入力情報に応じて設計された梁部材中の貫通孔(図中、記号khにて表記)、補強板(図中、記号rbにて表記)及びこれらの周辺を示す拡大
図WPが表示される。
図6は、拡大
図WPの一例を示す図である。なお、
図6に図示のケースでは拡大
図WPが複数表示されている。このように拡大図が複数表示される理由を含め、拡大
図WPの詳細については後の項で説明する。
【0030】
また、アプリケーション画面Gの第五領域(
図2中、記号G5にて示す領域)には、
図7A及び
図7Bに示すように、判定結果情報が表示される。
図7は、判定結果情報の表示例を示す図である。ここで、「判定結果情報」とは、設計された梁部材の形状、特に貫通孔や補強板の設計内容に設計上の問題がないかどうかについての判定結果を示す情報である。なお、本実施形態では、後述するように判定条件が複数種類設定されており、判定条件毎に判定結果情報が表示される。また、
図7に示すように、判定条件別の判定結果情報(以下、条件別結果情報)と共に、総合的な判定結果情報(以下、総合結果情報)も表示される。また、一つの梁部材中に貫通孔が複数設けられる場合には、貫通孔毎に条件別結果情報及び総合結果情報が表示されることになっている。
【0031】
以上のように本実施形態では梁部材の設計に関する入力及び出力が一つのアプリケーション画面Gにおいて同時に行われる。分かり易くは、梁部材を設計するためにユーザが入力した情報(入力情報)、設計図面P、拡大
図WP、及び、設計された梁部材の形状に設計上の問題がないかどうかについての判定結果(判定結果情報)が一画面に同時表示される。このような画面構成であれば、設計者であるユーザにとって利便性が高く、表示されている梁部材の設計図面Pがどのような入力情報の下で設計された形状を示しているのかを把握し易くなる。
【0032】
また、設計形状に問題があると判定された場合には、その判定結果とともに、どのような入力情報が入力されたことで当該判定結果に至ったのかを分析することが可能となる。なお、アプリケーション画面Gにおいて、判定結果情報が表示される領域(第五領域)は、入力情報の表示領域(第二領域)と横並び状態で隣接している。そして、ある梁部材を設計するための入力情報と、当該入力情報に基づく設計内容についての判定結果情報とが同一の行にて表示される。より厳密に説明すると、梁部材に設けられた貫通孔及び補強板に関する入力情報と、当該貫通孔及び補強板に関する設計内容についての判定結果情報と、が同じ行において並べられる。これにより、入力情報と判定結果情報との対比がより容易に行えるようになっている。
【0033】
<<本装置の機能について>>
次に、本装置1の機能について
図8を参照しながら説明する。
図8は、本装置1の機能についての説明図である。本装置1は、梁部材の設計に関する各種の機能を搭載している。具体的に説明すると、本装置1は、機能部として、
図8に示すように取得部11と処理実行部12と記憶部13とを有する。これらの機能部は、それぞれ、本装置1を構成するコンピュータのハードウェア機器(具体的には、CPU1a、メモリ1b、ハードディスクドライブ1c、入力機器1d及び出力機器1e)がソフトウェアとしての設計用プログラムと協働することによって実現される。以下、各機能部について説明する。
【0034】
取得部11は、貫通孔及び補強板が備えられた梁部材の設計に必要となる入力情報を取得する。入力情報は、アプリケーション画面Gに設けられた
図4Aに図示の入力欄を通じてユーザにより入力される。入力情報について詳しく説明すると、本実施形態では、基本情報、梁情報、孔情報及び補強板情報が入力情報に該当する。
【0035】
基本情報は、梁部材の形状に関する基本的な情報であり、
図4Aに示すように、貫通孔の数である孔数と、梁断面の各部寸法とが含まれる。梁情報は、梁本体の形状に関する情報であり、
図4Aに示すように、鋼種、内法長さ、梁継手の位置及び寸法、梁せい、梁幅及びフランジ厚が含まれる。なお、梁端部が剛接合であって継手を有しない梁部材については、梁情報のうち、梁継手に関する情報の入力が省略される。
【0036】
孔情報は、貫通孔の位置及び大きさ(孔径)に関する情報である。貫通孔の位置に関する情報としては、梁の左端から貫通孔までの距離L1と、梁天から貫通孔の距離hとが入力される。また、梁部材に貫通孔が複数備えられる場合には、孔情報が貫通孔毎に入力される。換言すると、取得部11は、貫通孔毎に孔情報(入力情報)を取得することになる。
【0037】
補強板情報は、補強板のサイズや位置に関する情報であり、
図4Aに示すように、板厚、板幅、枚数、及び板中心と貫通孔中心との距離が含まれる。また、梁部材に貫通孔が複数備えられる場合には、孔情報と同様、補強板情報が貫通孔毎に入力される。換言すると、取得部11は、貫通孔の数に相当する数だけ、孔情報(入力情報)を取得することになる。
【0038】
以上までに説明した入力情報は、あくまでも一例であり、上述した情報以外の情報を入力情報として取得してもよい。ただし、入力作業の手間を軽減する観点では入力情報を極力少なくした方が望ましく、梁部材の設計においてユーザが決めるべき事項のうち、必要最低限のものに限定するのがよい。
【0039】
ここで、入力情報の入力手順(換言すると、取得部11による入力情報の取得手順)について
図4A及び
図4Bを参照しながら説明すると、設計者であるユーザは、先ず、設計対象とする梁部材について基本情報の孔数を入力する。これにより、
図4Aに示すように、設計対象とする梁部材に関する情報入力スペースが確保されるようになる。この際、孔情報の入力スペースと補強板情報の入力スペースについては、孔数と同じ数だけ確保されるようになる。つまり、設計対象とする梁部材に複数の貫通孔を設ける場合、当該貫通孔の数と同じ数だけ孔情報及び補強板情報を入力することになる。一例を挙げて説明すると、貫通孔が4つ設けられる場合には、
図4Bに示すように、孔情報及び補強板情報の各々の入力スペースが4行分確保されるようになる。また、各貫通孔には番号が付される。そして、各番号の貫通孔に関する孔情報と、当該貫通孔に対応する補強板に関する補強板情報とが同一の行にて入力される。例えば、
図4B中、番号1が付された貫通孔についての孔情報と、番号1が付された貫通孔に対応する補強板についての補強板情報とは、第41行目の行に入力されることになる。
【0040】
なお、各貫通孔の番号を示すセルに関しては、当該セル上でユーザが所定の動作(例えば、マウスのダブルクリック操作)を行うことで、当該セルの色(セル塗潰し色)を変更させることが可能である。このように貫通孔の番号を示すセルの色を変更させることにより、各貫通孔について設計や検証(設計上の問題の有無についての検証)が済んだか否かを色分けにて識別することが可能となる。
【0041】
記憶部13は、梁部材の自動設計及び設計内容の検査に必要な各種情報を記憶しており、具体的には、
図8に示すように設計パラメータ及び判定条件を記憶している。設計パラメータは、梁部材の設計に必要となる情報のうち、入力情報以外の情報であり、梁部材の標準形状に関する情報等である。
【0042】
判定条件は、貫通孔及び補強板のうちの少なくとも一方(本実施形態では、貫通孔及び補強板の双方)について設計上の問題の有無を判定するために予め定められた条件である。なお、本実施形態では、複数種類の判定条件が設定されており、記憶部13は、当該複数種類の判定条件を記憶している。判定条件についてより詳細に説明すると、入力情報(厳密には、基本情報、梁情報、孔情報及び補強板情報)に応じて決定される距離や面積についての限界値が判定条件として定められている。なお、判定条件の種類数については特に限定されるものではなく、少なくとも一種類以上の判定条件が記憶部13に記憶されていればよい。
【0043】
処理実行部12は、取得部11が取得した入力情報、及び、記憶部13に記憶された情報に基づいて梁部材の設計に関する処理を実行するものである。処理実行部12によって実行される処理としては、設計処理、表示処理及び判定処理が挙げられる。
【0044】
設計処理は、取得部11が取得した入力情報、及び、記憶部13に記憶された設計パラメータに応じて梁部材の形状を自動的に設計する処理である。より具体的に説明すると、設計処理では、梁本体の形状と共に、貫通孔及び補強板の各々の位置や大きさが設計される。また、取得部11が取得した基礎情報の孔数が2以上であった場合(すなわち、梁部材に複数の貫通孔が設けられる場合)には、設計処理において、孔数と同数の貫通孔及び補強板について位置や大きさが設計される。なお、補強板の設計については、すべての貫通孔に対応させて行ってもよく、一部の貫通孔(例えば、貫通孔形成によって補強が必要となる箇所に設けられた貫通孔)と対応するものに限定して行ってもよい。
【0045】
表示処理は、アプリケーション画面Gにて、取得部11が取得した入力情報と、設計処理にて設計された梁部材の形状を示す設計図面Pとを同時に表示する処理である。また、本実施形態に係る表示処理では、前述した拡大
図WPや判定結果情報が更に表示される。
【0046】
判定処理は、記憶部13に記憶されている判定条件を読み出した上で、設計処理にて形状が設計された梁部材中の貫通孔や補強板が上記の判定条件を満たしているかどうかを判定する処理である。また、本実施形態では、前述したように、記憶部13には複数種類の判定条件が記憶されている。このため、本実施形態の判定処理では、貫通孔や補強板が判定条件を満たしているかどうかを判定条件毎に判定することになっている。そして、すべての判定条件を満たしている場合には総合判定結果を「OK」とし、満たされない判定条件がいずれか一つでもある場合には総合判定結果を「NG」とする。
【0047】
また、処理実行部12は、判定処理において貫通孔や補強板が判定条件を満たしていないと判定した場合には、当該貫通孔や補強板が上記の判定条件を満たすのに必要な入力情報の修正値を特定する。より具体的に説明すると、処理実行部12は、貫通孔や補強板が判定条件を満たしていないと判定したとき、当該判定結果に影響を及ぼす情報(以下、被特定情報)を孔情報及び補強板情報の中から特定し、さらに、被特定情報がアプリケーション画面Gにおいてどの列に入力されているのかを特定する。その後、処理実行部12は、特定した被特定情報について、判定条件を満たすのに必要な修正値を算出する。これにより、処理実行部12は、判定条件を満たすのに修正が必要な入力情報(すなわち、被特定情報)が入力された列と、判定条件を満たすのに必要な修正値とを認識するようになる。
【0048】
また、取得部11が取得した基礎情報の孔数が2以上であった場合(すなわち、梁部材に複数の貫通孔が設けられる場合)には、判定処理において貫通孔別に上記の判定が行われる。厳密に説明すると、取得部11が複数の貫通孔のうち、いずれか一つの貫通孔について入力情報(具体的には孔情報)を取得すると、処理実行部12は、取得部11がどの貫通孔についての入力情報を取得したのかを特定する。
図4Bを参照しながら具体的に説明すると、例えば貫通孔が4つ設けられるケースにおいて、番号2が付された貫通孔について孔情報が入力された上で当該貫通孔の番号を示すセル(すなわち、第42行目の列Qに位置するセル)にカーソルが合わせられると、処理実行部12は、番号2が付された貫通孔を判定対象として特定し、当該貫通孔について各判定条件の成否を判定する。さらに、特定した貫通孔が判定条件を満たさない場合には、当該判定条件を満たすのに修正が必要な入力情報(被特定情報)の入力列と修正値とを特定する。
【0049】
ここで、表示処理について改めて説明すると、本実施形態の表示処理では、取得部11が取得した入力情報と、設計処理にて設計された梁部材の形状を示す設計図面Pと、梁部材中の貫通孔及びその周辺を示す拡大
図WPと、貫通孔や補強板が判定条件を満たしているかどうかについての判定結果を示す判定結果情報と、を一画面に同時表示する。これにより、設計者であるユーザにとって利便性が高い画面構成が実現されることになる。
【0050】
また、本実施形態の表示処理では、設計図面Pが判定処理における判定結果を反映して表示されることになっている。より詳しく説明すると、表示処理において設計図面P中の貫通孔及び補強板の図が表示される際の表示形式は、判定処理での判定結果に応じて変化する。
図5A及び
図5Bを参照しながら具体的に説明すると、貫通孔及び補強板についての総合判定結果が「OK」である場合、設計図面P中の貫通孔及び補強板の図は、
図5Aに示すように、黒色の実線にて表示されるようになる。
【0051】
一方、貫通孔及び補強板についての総合判定結果が「NG」である場合、設計図面P中の貫通孔及び補強板の図は、
図5Bに示すように、赤の実線(
図5Bでは図示の都合上、黒色の破線にて表記)にて表示されるようになる。このように本実施形態では、貫通孔及び補強板の表示色が当該貫通孔及び補強板についての総合判定結果に応じて相違する。このような表示色の違いにより、設計者であるユーザは、設計された貫通孔及び補強板の各々の位置や大きさについて設計上の問題がないかどうかを容易に確認することが可能となる。
【0052】
なお、上述した表示色は、あくまでも一例に過ぎず、他の色を採用してもよい。また、本実施形態では、貫通孔及び補強板の表示色を判定結果に応じて変化させることとしたが、これに限定されるものではなく、色以外の表示形式、例えば、線の太さ、線種、ハイライトの有無等を変化させてもよい。
【0053】
また、取得部11が取得した基礎情報の孔数が2以上であった場合(すなわち、梁部材に複数の貫通孔が設けられる場合)には、貫通孔及び補強板の図の表示色が貫通孔別に決められる。より詳しく説明すると、一つの梁部材に対して複数の貫通孔が設けられる場合、前述したように判定条件の成否が貫通孔別に判定される。これに対応する形で、処理実行部12は、表示処理において複数の貫通孔を備える梁部材の設計図面Pを表示するにあたり、各貫通孔及び補強板について、それぞれ表示色を決定する。
【0054】
また、本実施形態の表示処理では拡大
図WPが表示される。拡大
図WPについて
図6を参照しながら説明すると、拡大
図WPでは、貫通孔及び補強板の図と共に限界ラインbrが表示される。この限界ラインbrは、判定条件に応じたラインであり、分かり易くは判定条件としての限界値(許容値)を線として図示化したものである。このような貫通孔及び補強板の図と限界ラインbrが示された拡大
図WPを表示することにより、貫通孔及び補強板が判定条件を満たしているかどうかをビジュアル化(図示化)して表すことが可能となる。そして、設計者であるユーザは、拡大
図WPにおける限界ラインbrと貫通孔、補強板との位置関係から判定条件の成否を容易に確認することができる。
【0055】
ちなみに、限界ラインbrについては、拡大
図WPの他の要素と異なる表示形式(例えば、表示色や線種)にて表示されることが好ましく、例えば赤色の破線(
図6では図示の都合上、黒色の破線にて表記)にて表示されるのが望ましい。
【0056】
なお、前述したように、本実施形態では判定条件が複数種類設定されており、これに対応させて、拡大
図WPが判定条件別に作成されることになっている。そして、表示処理では、
図6に示すように、判定条件別の拡大
図WPが一画面(具体的にはアプリケーション画面G)にて同時に表示されることになっている。これにより、判定条件別の判定結果を同時に、且つ容易に確認することが可能となる。
【0057】
以上のように判定条件をビジュアル化した限界ラインbrを表示することで、判定条件の成否についての確認がより容易になる。一方で、限界ラインbrについては、設計図面P中に表示することも可能である。ただし、限界ラインbrを設計図面Pに表示する場合、本実施形態のように判定条件が複数種類存在すると、複数の限界ラインbrが設計図面P中に混在することになる。この結果、貫通孔及び補強板と限界ラインbrとの位置関係が見難くなる可能性がある。これに対して、本実施形態では、拡大
図WPに限界ラインbrを表示することとし、さらに判定条件毎に拡大
図WPを分けて作成するため、貫通孔及び補強板と限界ラインbrとの位置関係がより見易くなる。
【0058】
なお、取得部11が取得した基礎情報の孔数が2以上であった場合(すなわち、梁部材に複数の貫通孔が設けられる場合)、拡大
図WPの表示は、貫通孔別に行われる。厳密に説明すると、取得部11が複数の貫通孔のうち、いずれか一つの貫通孔について入力情報(具体的には孔情報)を取得すると、処理実行部12は、取得部11がどの貫通孔についての入力情報を取得したのかを特定する。
図4Bを参照しながら具体的に説明すると、例えば貫通孔が4つ設けられるケースにおいて、番号2が付された貫通孔について孔情報が入力された上で当該貫通孔の番号を示すセル(すなわち、第42行目の列Qに位置するセル)にカーソルが合わせられると、処理実行部12は、番号2が付された貫通孔についての拡大
図WPを表示するようになる。その後、別の貫通孔の番号を示すセル(例えば、番号3が付された貫通孔の当該番号を示し、第43行目の列Qに位置するセル)へカーソルが移動すると、表示される拡大
図WPが、移動後のカーソル位置に対応する貫通孔(番号3が付された貫通孔)についての拡大
図WPに切り替わるようになる。
【0059】
また、表示処理では判定結果情報が表示される。
図7を参照しながら詳しく説明すると、本実施形態では、複数種類(
図7に図示のケースでは11種類)の判定条件が設定されており、各判定条件の成否についての判定結果を示す判定結果情報(条件別結果情報)が判定条件別に表示される。これと共に、総合的な判定結果情報である総合結果情報も表示される。さらに、本実施形態では、
図7に示すように直交梁干渉情報が併せて表示される。直交梁干渉情報とは、設計対象の梁部材と直交する他の梁部材に貫通孔が干渉するかどうかについての判定結果である。
【0060】
そして、処理実行部12は、貫通孔及び補強板が判定条件を満たしている場合には、
図7に示すように、当該判定条件についての判定結果情報(条件別結果情報)として「OK」を表示する。他方、貫通孔及び補強板が判定条件を満たしていない場合には、
図7に示すように、当該判定条件についての判定結果情報(条件別結果情報)として「NG」を表示する。
【0061】
さらに、貫通孔及び補強板が判定条件を満たしていない場合、処理実行部12は、前述したように、当該判定条件を満たすのに修正が必要な入力情報(被特定情報)の入力列と修正値とを特定する。そして、処理実行部12は、特定した被特定情報の入力列と修正値とを含めた形で条件別結果情報を表示する。より詳しく説明すると、「NG」と表示された条件別結果情報には、被特定情報の入力列と修正値が併記されることになっている。具体例を挙げて説明すると、
図7中、「条件11」についての条件別結果情報を表示するセルのうち、「NG」と表示されたセルには、括弧書きにて、条件11を満たすのに修正が必要な入力情報(被特定情報)の入力列を示す「SZ(S列及びZ列の意)」と、修正値を示す「−46」とが表示されている。
【0062】
以上のように、本実施形態では、貫通孔や補正板が判定条件を満たしていない場合、当該判定条件を満たすのに必要な入力情報の修正値を判定結果情報(厳密には、条件別結果情報)として表示する。これにより、設計者であるユーザは、判定結果情報の確認を通じて、上記の判定条件を満たすのに必要な修正内容を容易に把握することが可能となる。
【0063】
また、取得部11が取得した基礎情報の孔数が2以上であった場合(すなわち、梁部材に複数の貫通孔が設けられる場合)、判定結果情報が貫通孔別に表示される。この際、各貫通孔の判定結果情報は、当該貫通孔に関する孔情報が表示された行と同じ行にて表示される。
図4B及び
図7を対比しながら具体的に説明すると、例えば、番号2が付された貫通孔及び対応する補強板についての判定結果情報は、番号2が付された貫通孔に関する孔情報が表示されている行(具体的には、第42行目の行)と同じ行に表示される。
【0064】
<<本装置による設計支援方法について>>
次に、本装置1による設計支援方法として、本装置1を構成するコンピュータが実行する設計支援処理(以下、設計支援フロー)について説明する。
【0065】
設計支援フローは、
図9に図示の手順に従って進行する。
図9は、設計支援フローの流れを示す図である。また、設計支援フローでは本装置1による設計支援方法が採用されている。
【0066】
設計支援フローを開始するにあたり、設計者であるユーザは、本装置1を構成するコンピュータにて設計用プログラムを起動する。これにより、コンピュータのディスプレイにアプリケーション画面Gが表示されるようになる。設計支援フローが開始されると、先ず、上記のコンピュータが設計対象の梁部材に関する入力情報を取得するようになる(S001)。具体的に説明すると、ユーザは、アプリケーション画面G中に設けられた入力欄に、設計上必要な情報(厳密には基礎情報、梁情報、孔情報及び補強板情報)を入力する。上記のコンピュータは、キーボードやマウス等の入力機器1dを通じてユーザの入力操作を受け付けることで入力情報を取得する。
【0067】
その後、上記のコンピュータは、前ステップS001にて取得した入力情報に基づいて設計処理を実行し、当該入力情報に応じて設計対象の梁部材の形状を自動的に設計する(S002)。具体的には、梁情報に基づいて梁本体の形状を設計し、孔情報に基づいて貫通孔の位置及び大きさを設計し、補強板情報に基づいて補強板の位置及び大きさを設計する。設計終了後、上記のコンピュータは、ステップS001にて取得した入力情報のうち、孔数を示す情報から貫通孔の数(孔数)を特定し、設計対象の梁部材中に貫通孔が複数設けられているかどうかを確認する(S003)。
【0068】
設定対象の梁部材に設けられる貫通孔が一つのみである場合、上記のコンピュータは、判定処理を実行し、設計処理にて形状が設計された梁部材中の貫通孔及び補強板が複数種類の判定条件をすべて満たしているかどうかを判定する(S004)。そして、上記のコンピュータは、貫通孔及び補強板が複数種類の判定条件をすべて満たしていると判定した場合には、設計図面P中の貫通孔及び補強板の図の表示色を黒色に設定する(S005)。
【0069】
一方、貫通孔及び補強板がいずれかの判定条件を満たしていないと判定した場合には、設計図面P中の貫通孔及び補強板の図の表示色を赤色に設定する(S006)。さらに、上記のコンピュータは、満たされなかった判定条件について、当該判定条件を満たすのに修正が必要な入力情報(被特定情報)の入力列と修正値とを特定する(S007)。
【0070】
以上までのステップを経た後、上記のコンピュータは、表示処理を実行する(S008)。表示処理では、アプリケーション画面Gにて、ステップ001にて取得した入力情報、ステップS002にて設計された梁部材の形状を示す設計図面P、貫通孔周りの拡大
図WP、及びステップS004での判定結果を示す判定結果情報が同時表示される。このとき、設計図面P中の貫通孔及び補強板の図は、ステップS005又はステップ006にて設定された表示色にて表示される。具体的に説明すると、貫通孔及び補強板がすべての判定条件を満たしている場合には貫通孔及び補強板の図が黒色にて表示され、貫通孔及び補強板がいずれかの判定条件を満たしていない場合には赤色にて表示される。
【0071】
また、貫通孔及び補強板がいずれかの判定条件を満たしていない場合には、当該判定条件についての判定結果情報(条件別結果情報)として、ステップS007にて特定された被特定情報の入力列と修正値を含んだ情報が表示されるようになる。
【0072】
ステップS003に戻って説明すると、設定対象の梁部材に設けられる貫通孔が複数である場合、上記のコンピュータは、設計処理にて形状が設計された梁部材中の各貫通孔及び各補強板が複数種類の判定条件をすべて満たしているかどうかを判定する(S009)。そして、上記のコンピュータは、各貫通孔及び各補強板がすべての判定条件を満たしていると判定した場合には、設計図面P中、各貫通孔及び補強板の図の表示色を黒色に設定する(S010)。
【0073】
一方、判定条件を満たしていない貫通孔や補強板が存在すると判定した場合、上記のコンピュータは、設計図面P中、判定条件を満たしていない貫通孔及び補強板の図の表示色を赤色に設定する(S011)。なお、このとき、判定条件をすべて満たす貫通孔及び補強板が存在する場合、当該貫通孔及び補強板の図の表示色については、黒色に設定される。
【0074】
また、ステップS009において判定条件を満たしていない貫通孔、補強板が存在すると判定した場合、上記のコンピュータは、当該判定条件を満たすのに修正が必要な入力情報(被特定情報)の入力列と修正値とを特定する(S012)。
【0075】
ステップS010又はステップS012の終了後、上記のコンピュータは、入力情報が取得された貫通孔の中から一の貫通孔を特定する(S013)。具体的に説明すると、アプリケーション画面G中に表示された各貫通孔の番号のうち、その時点でカーソルが合わせられたセル番号の貫通孔を特定する。
【0076】
以上までのステップを経た後、上記のコンピュータは、表示処理を実行する(S014)。表示処理では、アプリケーション画面Gにて、ステップ001にて取得した入力情報、ステップS002にて設計された梁部材の形状を示す設計図面P、ステップS013にて特定された貫通孔周りの拡大
図WP、及びステップS009での判定結果を示す判定結果情報が同時表示される。このとき、設計図面P中の各貫通孔及び補強板の図は、ステップS010又はステップ011にて設定された表示色にて表示される。具体的に説明すると、すべての判定条件を満たしている貫通孔及び補強板の図については黒色にて表示され、いずれかの判定条件を満たしていない貫通孔及び補強板の図については赤色にて表示される。
【0077】
また、貫通孔及び補強板がいずれかの判定条件を満たしていない場合には、当該判定条件についての判定結果情報(条件別結果情報)として、ステップS012にて特定された被特定情報の入力列と修正値を含んだ情報が表示されるようになる。
【0078】
以上までに説明してきた手順にて設計支援フローが実行されることにより、設計者であるユーザは、設計対象の梁部材の設計図面Pを容易に取得するようになる。また、ユーザは、設計図面Pや拡大
図WPを通じて、形状が設計された梁部材中の貫通孔及び補強板に設計上の問題がないかどうかを容易に確認することが可能となる。以上の結果、梁部材の設計及び設計内容の検証が効率よく行われるようになり、ユーザの作業負担が軽減されるようになる。