(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6860323
(24)【登録日】2021年3月30日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】構築物補修用移動式作業台
(51)【国際特許分類】
E02B 3/06 20060101AFI20210405BHJP
E02B 7/00 20060101ALI20210405BHJP
E04G 3/24 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
E02B3/06 301
E02B7/00 Z
E04G3/24 302Z
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-206360(P2016-206360)
(22)【出願日】2016年10月20日
(65)【公開番号】特開2018-66215(P2018-66215A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2019年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】504464173
【氏名又は名称】株式会社 南組
(74)【代理人】
【識別番号】100082234
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145078
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】南 修
【審査官】
富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭62−082643(JP,U)
【文献】
特開昭61−225487(JP,A)
【文献】
実開昭53−047718(JP,U)
【文献】
特開昭61−137966(JP,A)
【文献】
実開昭55−064348(JP,U)
【文献】
実開平07−038428(JP,U)
【文献】
特開昭58−101972(JP,A)
【文献】
特開2002−242424(JP,A)
【文献】
実開昭57−021141(JP,U)
【文献】
実開昭60−187243(JP,U)
【文献】
実開昭61−020735(JP,U)
【文献】
実開平05−003480(JP,U)
【文献】
特開平04−238960(JP,A)
【文献】
特開2016−030928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 3/04−3/14
5/00−8/08
E02C 1/00−5/02
E04G 1/00−7/34
27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構築物上を移動可能な支持台車と、該支持台車の移動方向に対して直角方向に支持台車から突設され、前記構築物上を転動する車輪を先端側に有するマストを備えた支持枠部からなる左右一対の移動支持体と、該各移動支持体の下側に位置して、基端側が前記支持台車に回動可能に連結され、先端側に前記構築物に当接する緩衝体を有する一対の基端側足場材で構成される左右一対の基端側足場体と、基端側が該各基端側足場体の先端側に係脱可能かつ回動可能に連結され、先端側下面に車輪を有する一対の先端連結足場材からなる左右一対の先端側足場体と、前記基端側足場体及び先端側足場体を夫々構成する各一対の足場材間に着脱可能に架設される複数の昇降用踏板と、前記マストの上端側に設けた滑車を介して前記先端側足場体と地上側に配置する駆動源との間に張設した昇降用ワイヤを伸縮させることにより、前記左右一対の基端側足場体及び先端側足場体を前記構築物に対して昇降させる足場体昇降機構とから構成してなる構築物補修用移動式作業台。
【請求項2】
前記支持台車は、前記構築物上に敷設したガイドレールに走行輪が係合する構成にしてあることを特徴とする請求項1記載の構築物補修用移動式作業台。
【請求項3】
前記左右一対の基端側足場体と先端側足場体との間に、基端側を該各基端側足場体に連結し、先端側を前記各先端側足場体の基端側に連結し、先端側に前記構築物に当接する緩衝体を設けて構成した左右一対の中間足場体を係脱可能に設けてある請求項1記載の構築物補修用移動式作業台。
【請求項4】
前記基端側足場体、中間足場体及び先端側足場体は、長手方向に昇降用踏板を列設して構成してあることを特徴とする請求項1又は3記載の構築物補修用移動式作業台。
【請求項5】
前記左右一対の中間足場体は、拡開防止杆を架設することにより所定の間隔に保持してある請求項3記載の構築物補修用移動式作業台。
【請求項6】
前記基端側足場体、中間足場体及び先端側足場体には、安全柵又は安全索を着脱可能に設けてあることを特徴とする請求項1又は3記載の構築物補修用移動式作業台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、岸壁、防波堤、ダム等の壁面で、平坦面に限らず傾斜面、段付き屈曲面、湾曲面等からなる壁面を有するコンクリート製構築物を陸上から補修するための構築物補修用移動式作業台に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、海岸には打ち寄せる波から道路、通行車両、歩行者を守るためにコンクリート製の防波堤を設置しているが、高波が寄せる海岸ではコンクリート製の半円弧状構築物を道路を覆うように構築することが行われている。しかし、このような波の影響を受ける防波堤は波力や塩分に長期間晒されることからコンクリート層が次第に劣化し、亀裂が形成され、終には破損する事態も生じている。
そこで、コンクリート製の構築物については補修、補強作業を行う必要があるが、防波堤の場合従来は構築物に沿って海底から足場を組み上げて設置し、この足場の上で作業員が損傷個所を削ってモルタルを塗布し、或いは亀裂にモルタルを加圧充填する等の作業を行っており、足場の範囲で補修作業を終えたら足場を次の補修箇所に移動させて補修作業を行う、また補修作業が終了したら足場を解体する作業を行っている。
【0003】
しかし、構築物の壁面が傾斜面、段付き屈曲面或いは湾曲面の場合には、壁面に沿って足場を組むことが困難か、不可能な場合があり、このような平坦面でない壁面の補修作業に対応できる手段が求められている。
また、護岸や防波堤等の補修箇所は海や川に面しているため、補修工事を行うには海底や川底から足場を組み立てなければならない、補修工事の前後に足場の組立及び解体のための日数を要する、工事中波力の影響を受ける、といった諸事情から工事を円滑に進行できないという問題、台風や低気圧の接近で海が荒れると予想される場合にはその都度足場を解体して撤去しなければならず、工事進行に多大な影響を受けるといった問題、更には作業費が多大に嵩むという問題が生じる。
【0004】
更に、長さのある構築物の補修作業を従来の足場を用いて行う施工方法では、足場を組み立てる、補修作業を行う、足場を解体する、横移動する、再び足場を組み立てる、補修作業を行うという作業を繰り返し行う必要があるため、作業効率を高めるには限界があり、作業完了までに長期間を要し、かつ作業費が嵩むという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】見出せず。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みなされたもので、コンクリート製構築物の傾斜面、段付き屈曲面或いは湾曲面等の異形の壁面の補修に対応でき、海底や川底から足場を組み立てる必要が無いので波力の影響も殆ど受けないし、荒天による撤去作業は迅速に行うことができるので補修工事自体を効率的に行うことが出来、しかも台風等の到来や通過後に速やかに足場の撤去や設置ができるので作業期間を従来技術に比べて大幅に短縮でき、作業費も大幅に軽減することができる構築物補修用移動式作業台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために構成した本発明の手段は、構築物上を移動可能な支持台車と、該支持台車の移動方向に対して直角方向に支持台車から突設され、前記構築物上を転動する車輪を先端側に有するマストを備えた支持枠部からなる左右一対の移動支持体と、該
各移動支持体
の下側に位置して、基端側が前記支持台車に回動可能に連結され、先端側に前記構築物に当接する緩衝体を有する一対の基端側足場材で構成される
左右一対の基端側足場体と、基端側が該基端側足場体の先端側に係脱可能かつ回動可能に連結され、先端側下面に車輪を有する一対の先端連結足場材から構成してなる
左右一対の先端側足場体と、前記基端側足場体及び先端側足場体を夫々構成する各一対の足場材間に着脱可能に架設される
複数の昇降用踏板と、前記マストの上端側に設けた滑車を介して前記先端側足場体と地上側に配置する駆動源との間に張設した昇降用ワイヤを伸縮させることにより、前記
左右一対の基端側足場体及び先端側足場体を前記構築物に対して昇降させる足場体昇降機構とからなる。
【0008】
そして、前記支持台車は、前記構築物上に敷設したガイドレールに走行輪が係合する構成にするとよい。
【0009】
また、前記
左右一対の基端側足場体と先端側足場体との間に、基端側を該基端側足場体に連結し、先端側を前記先端側足場体の基端側に連結し、先端側に前記構築物に当接する緩衝体を設けて構成した
左右一対の中間足場体を係脱可能に設けてもよい。
【0010】
また、前記基端側足場体、中間足場体及び先端側足場体は、長手方向に昇降用踏板を列設した構成にするとよい。
【0011】
更に、前記
左右一対の中間足場体は、拡開防止杆を架設することにより所定の間隔に保持するとよい。
【0012】
また、前記基端側足場体、中間足場体及び先端側足場体には、安全柵又は安全索を着脱可能に設けるとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上述の如く構成したから下記の諸効果を奏する。
(1)構築物の上面に配置する支持台車により、構築物の壁面に対面する足場体を支持する構成にしたから、波力や流水力の影響を受ける水中に足場を組み立てる必要が無く、足場の組立、解体といった従来の作業が無いので補修作業全体の効率化を図ることができるし、従来技術と比べて作業期間を大幅に短縮することができるので補修作業のコストを大幅に節減することができる。
(2)支持台車は構築物に沿って移動可能であるから、長さのある構築物の補修作業を円滑かつ効率的に行うことができる。
(3)支持台車は、走行輪がガイドレールに係合する構成にしてあるから、足場体を確実かつ安定性良く支持することができるし、支持台車及び足場体は円滑に移動することができる。
(4)基端側足場体と先端側足場体との間に中間足場体を係脱可能に設ける構成にすることで、高さのある補修壁面の補修作業にも対応することができる。
(5)基端側足場体、中間足場体及び先端側足場体は、長手方向に昇降用踏板を列設して構成することにより、補修作業を効率良く、円滑にかつ安全に行うことができる。
(6)中間足場体は、一対の中間連結足場材間に拡開防止杆を架設することにより一定の間隔に保持するので補修作業を安全に、また安心して行うことができる。
(7)基端側足場体、中間足場体及び先端側足場体に、安全柵又は安全索を着脱可能に設けるから、作業員は安心して作業に従事することができるし、補修作業中の落下等の事故を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係る構築物補修用移動式作業台の全体構成を示す側面図である。
【
図3】構築物補修用移動式作業台の部分平面図である。
【
図6】構築物補修用移動式作業台を構成する足場体の説明図である。
【
図7】構築物補修用移動式作業台の撤去作業の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。先ず、本実施の形態に係る構築物補修用移動式作業台を用いて補修する構築物の防波堤について説明する。
図1及び
図7において、51は海岸に沿って設けた車道で、該車道51の左側が海である。52は該車道51に波が被らないように車道51に沿って海岸に構築した防波堤で、該防波堤52は道路51を覆う湾曲状に形成してあり、車道51に沿って数百mの長さからなっている。
【0016】
図1及び
図3において、1、1は前記防波堤52の湾曲した上面52Aに平行に敷設してアンカーで固定した一対のガイドレールを示す。該ガイドレール1、1はコ字型チャンネル材1A、1Aを敷設し、各チャンネル材1Aの上面に長尺の鋼板からなるガイド板1Bを固着して構成してある。そして、後述する支持台車2が安定して移動可能なように、各ガイドレール1と防波堤52の間に厚さの異なるスペーサー1C、1Dを介在させて一対のガイドレール1、1が同一平面になるように設定してある。
【0017】
2は構築物補修用移動式作業台を構成し、ガイドレール1、1上を矢示イ方向に移動する支持台車を示す。該支持台車2は鋼材を略四角形に組んだ枠体3A内にメッシュ鋼板の踏板3Bを張設した長方形のデッキ3と、該デッキ3の前側及び後側の両位置に組付けた左右一対の走行機構4、4と、前記枠体3Aに立設した安全柵5とから構成してあり、図示しない牽引車で走行するようにしてある。
ここで、該各走行機構4は、
図4、
図5に示すように、四角形の枠部4Aと、該枠部4A内に軸支され、各ガイドレール1のガイド板1Bを両側方から挟む外側及び内側の一対の挟持用車輪4B、4Cと、枠部4Aに軸支され、ガイド板1B上を転動する走行用車輪4Dとから構成してあり、外側の挟持用車輪4Bはガイド板1Bの縁を咥える溝付車輪にすることにより、支持台車2がガイドレール1、1に確実に係合して浮上がることなく安全に走行できるようにしてある。
また、枠部4Aには正面から見て左右の位置に後述する基端側足場体9を連結するための一対の連結片4E、4Eが突設してあり、該各連結片4Eの先端側にはピン穴4Fが形成してある。
【0018】
6、6は前記支持台車1の右側と左側の位置に基端側を固着し、先端側を支持台車2の移動方向イに対して直角方向に突出した左右一対の移動支持体を示す。
7は該各移動支持体6を構成す
る支持枠部を示し、
該支持枠部7は鋼材7A、7A、・・・を横長方形の箱型に組んで構成し、基端側をデッキ3に夫々固着し、先端側を防波堤52から横方向に突出させた状態になっている。
【0019】
8、8は前記支持枠部7、7の先端に夫々立設した一対のマストを示す。該各マスト8は一対の鋼材からなるマスト材8A、8Aを前記支持枠部7の先端に固着して起立させ、その上端、中間及び下端に連結材8B、8C、8Dを夫々架設し、マスト材8Aを斜め支持材8Eで支持して構成してあり、各マスト8の下端に防波堤52上を転動する支持用車輪8Eを設けることで移動支持体6、6は支持台車2と一体に左右方向に移動可能になっている。
【0020】
9、9は前記一対の移動支持体6、6の
下側に位置して支持台車2に連結することにより、防波堤52の上面52Aに配置する左右一対の基端側足場体を示す。該各基端側足場体9は鋼材からなり、並列する一対の基端側足場材9A、9Aと、該基端側足場材9A、9A間に架設して長手方向に列設した複数の昇降用踏板9B、9B、・・・と、側方手摺9Cとから構成してある。そして、各基端側足場材9Aは基端側9Dにピン穴9Eが形成してあり、支持台車2の連結片4Eのピン穴4Fに連結ピン10を挿嵌して連結することにより、防波堤52の湾曲する上面52Aに沿って上下方向に回動可能になっている。また、基端側足場材9Aの先端側9Fには取付板とばねとロッドで構成した緩衝体11が設けてあり、防波堤52の上面52Aに対する衝撃を緩衝するようにしてある。
【0021】
12、12は前記一対の基端側足場体9、9の各先端側9Fに連結して防波堤52の上面52Aに配置する左右一対の中間足場体を示す。該各中間足場体12は鋼材からなり、並列する一対の中間連結足場材12A、12Aと、該中間連結足場材12A、12A間に架設して長手方向に列設した複数の昇降用踏板12B、12B、・・・と、側方手摺12Cとから構成してあり、中間連結足場材12Aの先端側12Dには前記緩衝体11が同様に設けてある。
そして、各中間連結足場材12Aは基端側12Eを前記基端側足場材9Aの先端側9Dと連結ピン10により連結してあり、防波堤52の湾曲した上面52Aに沿って上下方向に回動可能になっている。
【0022】
13、13は前記一対の中間足場体12、12の先端側12Dに連結して防波堤52の上面52A或いは地盤G上に位置する左右一対の先端側足場体を示す。該各先端側足場体13は鋼材からなり、並列する一対の先端連結足場材13A、13Aと、該先端連結足場材13A、13A間に架設して長手方向に列設した複数の昇降用踏板13B、13B、・・・と、側方手摺13Cと、先端連結足場材13Aの先端側13Dに設けた移動用車輪13Eとから構成してある。
そして、先端連結足場材13Aの基端側13Fは中間連結足場材12Aの先端側12Dと連結ピン10によって連結してあり、先端側足場体13、13は防波堤52の上面52A上及び地盤G上を移動可能になっている。また、移動用車輪13Eより先端に位置して緩衝体11が設けてある。
【0023】
14は前記中間足場体12及び先端側足場体13を昇降させるための足場体昇降機構を示す。該足場体昇降機構14は中間足場体12の先端側12Dに一端を連結した昇降用ワイヤ14Aと、地盤Gに設置し、該昇降用ワイヤ14Aの他端側を巻き取り、巻き戻するウインチ14B(図示せず。)と、前記マスト8の連結材8B、8Bに設けられ、該ワイヤ14Aの中間部位を支持する滑車14Cとから構成してある。
そして、ウインチ14Bで昇降用ワイヤ14Aを巻き取ることにより、
図1に一点鎖線で示すように中間足場体12、12と先端側足場体13、13が引き上げられて折り畳んだ状態で防波堤52から離間し、更に引き上げることによって基端側足場体9も先端側9Dが引き上げられることで、足場体9、12,13は移動可能な状態になる。
【0024】
15は作業台で、該作業台15は防波堤52の補修箇所に応じて各足場体9、12、13に着脱可能に係着することにより使用するものである。16は中間足場体12、12間に設けた拡開防止杆で、該拡開防止杆16は金属棒の両端に鈎を設けた構成からなり、両端の鈎を中間連結足場材12A、12Aに係着して架設することで、中間足場体12、12が不用意に拡開することなく安心して作業を行うことを確保するものである。
また、17は金属棒を組んで構成した安全柵で、該安全柵17は各足場体9、12、13に着脱可能に設けることで、作業時の作業員の安全を図っている。なお、上記安全柵17に代えてロープ等の安全索を用いてもよい。
【0025】
本実施の形態は上述の構成からなるもので、次にその作用について説明する。
先ず、補修対象である防波堤52の上面52Aにガイドレール1、1を長手方向に沿って敷設し、アンカーで固定する。次に、クレーン車により支持台車2を吊上げてガイドレール1、1に設置し、挟持用車輪4B、4Cをレール1に係合させる。次いで、移動支持体6、基端側足場体9、中間足場体12、先端側足場体13を防波堤52上に順次吊上げて連結ピン10により連結することで防波堤52上に構築物補修用移動式作業台の設置が完了する。
この場合、必要に応じて中間足場体12と先端側足場体13の間に他の中間足場体12を連結することで防波堤52の縦方向の全体に足場を設置することができる。
【0026】
このようにして防波堤52上に設置した構築物補修用移動式作業台を用いて防波堤52の補修作業を行うが、各足場体9、12、13には昇降用踏板9B、12B、13Bが設けてあるから、作業員は安全に、効率良く補修作業を行うことができるし、安全柵5、17を設けることにより強風や荒波に対して作業員の安全を確保している。
【0027】
補修作業が完了したら、構築物補修用移動式作業台を次の補修箇所に移動する。この場合は、足場体昇降機構14により地上のウインチ14Bを作動して昇降用ワイヤ14Aを巻き取り、中間足場体12を吊上げることで先端側足場体13も一体に吊上げる。この際、先端側足場体13には移動用車輪13Eが設けてあるから、地盤Gの上でも防波堤52の上でも先端側足場体13は円滑に移動して吊上げられた状態になる。
しかる後、支持台車2を図示しない牽引車によって矢示イ方向に移動させる。この支持台車2と一体に移動支持体6及び各足場体9、12、13が移動するから、短時間で容易に足場の移設が可能であるし、海や川が荒れる恐れがある場合には足場体9、12、13を折り畳むことで速やかに対応することが出来る。
【0028】
上記の手順を繰り返して防波堤52の補修作業が完了したら、
図7に示すように、先端側足場体13、中間足場体12、基端側足場体9、移動支持体6、支持台車2の順でクレーン車53により撤去し、最後にガイドレール1を防波堤52上から撤去することで構築物補修用移動式作業台の撤去作業が終了する。この撤去作業は全て陸上から行うことが可能であるから、従来の足場解体に比して作業日数を大幅に減らすことができる。
【0029】
なお、本実施の形態では支持台車2は牽引式に構成したが、自走式或は押動式に構成してもよい。
【0030】
また、本実施の形態では基端側足場体9と先端側足場体13との間に中間足場体12を連結する構成を説明したが、構築物の大きさに応じて更に他の中間足場体12を連結してもよい。また、中間足場体12を用いずに基端側足場体9に先端側足場体13を連結する構成にしてもよい。この場合は先端側足場体13の基端側13Fに昇降用ワイヤ14Aを連結して吊上げる。
【符号の説明】
【0031】
1 ガイドレール
2 支持台車
4B、4C 車輪
6 移動支持体
7 支持枠部
8 マスト
8E 支持用車輪
9 基端側足場体
9A 基端側足場材
9B、12B、13B 昇降用踏板
11 緩衝体
12 中間足場体
13 先端側足場体
13E 移動用車輪
14 足場体昇降機構
14A 昇降用ワイヤ
14B ウインチ(駆動源)
14C 滑車
15 作業台
16 拡開防止杆
17 安全柵
52 防波堤(構築物)