【文献】
XIE YiDong et al.,SCIENCE CHINA CHEMISTRY,2010年10月,Vol.53 No.10,2208-2214
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記天然油が、ヒマシ油、コーン油、綿実油、オリーブ油、ピーナッツ油、ペパーミント油、ひまわり油、ゴマ油、大豆油、水素化植物油、水素化大豆油、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項5の組成物。
前記合成油が、ポリジメチルシロキサン、官能基修飾ジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサン−コポリオール、ポリジメチルシロキサン−クロスポリマー、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1の組成物。
前記官能基修飾ジメチルシロキサンが、H、OH、フェニル、プロピル、オクチル、アミノ−プロピル、またはビニルで1つまたは2つのメチル基を独立的に置き換えることにより修飾されたシロキサンモノマーである、請求項8の組成物。
前記ポリジメチルシロキサン−コポリオールが、70〜90%のシクロペンタシロキサンと10〜30%のPEG/PPG−18/18との混合物である、請求項8の組成物。
前記非イオン性有機界面活性剤が、ポリソルベート、ソルビタンエステル、脂肪酸エステル、ワックスエステル、ポロキサマー、およびリン脂質からなる群より選択される、請求項14の組成物。
前記ポリソルベートが、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項15の組成物。
前記脂肪酸エステルが、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、脂肪酸のスクロースエステル、グリセロールモノステアレート、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項15の組成物。
前記脂肪酸エステルが、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート、スクロースエステル、グリセリルステアレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリオキシル 15 ヒドロキシステアレート、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項15の組成物。
前記セルロースポリマーが、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項22の組成物。
前記シクロデキストリンが、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項24の組成物。
局所炎症を治療もしくは改善するための、または皮膚の病気を治療もしくは改善するための、局所投与用に製剤化された、安定化ACCを含む局所医薬組成物であって、紅斑(赤み)、硬化(肥厚)および落屑(スケーリング)からなる群より選択される少なくとも1種の臨床パラメータが治療または改善される、医薬組成物。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、非晶質炭酸カルシウム(ACC)を含む非水性の液体製剤および半固体製剤を提供する。本発明の液体製剤は分散ビヒクル(相)を含み、分散ビヒクル(相)中においてACCは不溶であるが安定であり均一に分散している。製剤は、ヒト対象に非経口投与、局所投与または経腸投与されてよく、様々な剤形に製剤化され得る。従って、ACC製剤は、ヒト対象に投与された場合に炭酸カルシウムの非晶質形態の恩恵(カルシウムのバイオアベイラビリティの向上など)をもたらす。発明者等の知る限りでは、非晶質炭酸カルシウムを含む安定な局所製剤または非経口製剤は、以前に企図または実証されていない。
【0037】
本発明が提供するACC製剤は、以前に開示された他のACCの組成物および製剤に対する優位性をいくつか包含する。例えば、ACCは水性環境において非常に不安定であることがよく知られているため、本発明の製剤は、ACCに対して非水性の安定化環境をもたらす。さらに、生物病原体は非水性環境では繁殖せず、従って、非水性製剤は、防腐剤を実質的に用いることなく調製および保存されてよい。さらに、非水性製剤は通常、水性製剤ほど容易には蒸発せず、および/または滴らない。これは、製剤と製剤が適用される組織(複数可)の接触時間を延ばすであろう。例えば、シリコーン系製剤は、容易に塗り広げることができ、水に長時間曝露(例えば入浴時またはプールもしくは海での水泳時)された後でさえ皮膚に付着したままである可能性がある。さらに、シリコーンの使用は、製剤に絹のような感触をもたらす。これは、使用者には魅力的であり、より粘着性の高い懸濁液よりも塗り広げるのが容易である。
【0038】
本発明が提供する製剤を得る際に、発明者等は、非固体の安定なACC製剤の開発をこれまで妨げていた技術的問題をいくつか克服した。例えば、水性エマルジョンを調製する際に、多くの化合物で既知である親水親油バランス(HLB)値が使用されることがあり、これは、通常は油と水とを含む特定の懸濁液/エマルジョンのための界面活性剤の選択の指針とするために使用される。しかし、この値は、非水性エマルジョンの作製に関しては良い指針とはならない。さらに、無水製剤は、粘着性がありグリース状であることが多い。凝集物は重度の副作用を生じさせる可能性があるため、均一性も重要である。これらの技術的問題およびその他の技術的問題を克服するための方法が本発明により提供される。
【0039】
本発明の製剤において、ACCは長期間にわたって、その非晶質形態のままである。いかなる理論またはメカニズムにも束縛されることはないが、この向上した安定性は、分散ビヒクルの疎水性に起因する可能性がある。分散ビヒクルの選択は、特に、分散ビヒクルの、ACCの非晶質状態を維持し分散ビヒクル中へのACCの溶解を防ぐと同時にACCを均一に分散させる能力によって決定される。好ましくは、本発明の製剤に使用される分散ビヒクルは、医薬的に許容されるビヒクルであり、そのため、非経口経路、局所経路または経腸経路によるヒト対象への製剤の投与を可能にする。分散ビヒクルは、さらに、所望の体器官におけるACCの放出を可能にするように、および/または所望の体器官におけるカルシウムの吸収を促進するように、選択されてよい。
【0040】
一態様では、本発明は、ACCとACCを非晶質形態で安定化させる少なくとも1種の作用物質とを含む複数のACC粒子、および、その中においてACC粒子が不溶であり実質的に均一に分散または懸濁している非水性液体担体、を含む、非晶質炭酸カルシウム(ACC)粒子の分散系または懸濁液の形態の液体または半固体の非水性組成物を提供する。
【0041】
本明細書で使用される用語「分散系」は、非水性液体担体の連続相中にACC粒子が分散している系である。本明細書で使用される用語「懸濁液」は、機械的撹拌ならびに特定の賦形剤または懸濁剤の使用により、非水性液体担体全体にわたってACC粒子が分散している系である。懸濁液は、非水性液体担体中におけるACC粒子の均一な分散を可能にするためにエンドユーザーによって機械的に撹拌されてよい。
【0042】
一部の実施形態によれば、組成物は、コロイドの形態である。本明細書で使用される場合、用語「コロイド」は、連続非水性液体担体中のACC粒子の均一分散系に関する。一部の実施形態によれば、ACC粒子は、懸濁液中におけるもののように通常のろ過または遠心分離によって連続非水性液体担体から分離することができない。さらなる実施形態によれば、ACC粒子は、コロイド中で沈降または浮上しない。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「コロイド」は、さらに、連続液体担体中の微視的に分散したsACC粒子に関する。一部の実施形態によれば、コロイドは、均一なコロイドである。本明細書で使用される場合、用語「均一なコロイド」は、コロイド全体にわたってACC粒子の実質的に均一な分布が見込まれる、連続液体担体中の安定化ACCの分散系を指す。一部の実施形態によれば、sACC粒子は少なくとも約2日間、コロイド全体にわたって均一に分散している。さらなる実施形態によれば、ACC粒子は、コロイド中で浮上または沈降しない。コロイドの分散ビヒクルは、1種以上の非水性溶媒を含んでよく、ここで上記溶媒は概して混和性である。
【0044】
一部の実施形態によれば、コロイドは、コロイド全体にわたるACC粒子の均一な分散を維持する分散剤をさらに含む。さらに、一部の実施形態において、分散剤は、コロイド中におけるACC粒子の沈降または浮上を防止または低減する。
【0045】
特定の実施形態において、非水性液体担体は、粘稠性の液体、ペースト、エマルジョンまたはゲルの形態であってよい。用語「懸濁液」および「コロイド」は非水性液体担体中におけるACC粒子の分布の形態を指すが、用語「エマルジョン」、「ペースト」および「ゲル」は非水性液体担体の外観に関する。
【0046】
本明細書で使用される場合、用語「エマルジョン」は、2つ以上の液体不混和相を含む非水性液体担体に関し、2つ以上の液体不混和相のうちの1つは分散相であり、別の1つは連続相であり、ここで分散相は液滴の形態で連続相中に分散している。ACC粒子を、不混和相のうちのいずれか1つにおいて分散させることができる。エマルジョンは、マクロエマルジョン、マイクロエマルジョンまたはナノエマルジョンの形態であってよい。
【0047】
本明細書で使用される場合、用語「エマルジョン」は、さらに、2つ以上の液体不混和相を含む組成物中のACC粒子の分散系に関し、2つ以上の液体不混和相のうちの1つは分散相であり、別の1つは連続相であり、ここで分散相は液滴の形態で連続相中に分散している。ACC粒子を、不混和相のうちのいずれか1つにおいて分散させることができる。従って、一部の実施形態によれば、エマルジョンの液体担体は、少なくとも2種の非水性溶媒を含み、ここで上記溶媒は不混和性である。
【0048】
一部の実施形態によれば、エマルジョンは、均一なエマルジョンである。本明細書で使用される場合、用語「均一なエマルジョン」は、エマルジョン全体にわたってACC粒子の実質的に均一な投与量が見込まれ、従って投与量を予測して予め決定することができる、エマルジョンの連続相中またはエマルジョンの分散相中の安定化ACCの分散系を指す。一部の実施形態によれば、ACC粒子は少なくとも約6ヵ月間、エマルジョン全体にわたって均一に分散している。
【0049】
一部の実施形態によれば、エマルジョンは、安定なエマルジョンである。本明細書で使用される場合、用語「安定なエマルジョン」は、目に見える浮上または沈降を伴うことなくACC粒子がエマルジョン中にとどまる、エマルジョンの連続相中またはエマルジョンの分散相中のACC粒子の分散系を指す。あるいは、用語「安定なエマルジョン」は、少なくとも約6ヵ月にわたって会合したままである2つ以上の不混和相を指す。
【0050】
一部の実施形態によれば、エマルジョンは、親水性の液体と親油性の液体とを含む。一部の実施形態において、ACC粒子は、親水性の液体中に分散している。さらなる実施形態において、親水性の液体は、親油性の液体の連続相中に分散している。あるいは、親油性の液体はACC粒子と共に、親水性の液体の連続相中に分散している。一部の実施形態において、ACC粒子は、疎水性の液体中に分散している。さらなる実施形態において、親油性の液体は、親水性の液体の連続相中に分散している。あるいは、親水性の液体はACC粒子と共に、親油性の液体の連続相中に分散している。
【0051】
エマルジョンは、マクロエマルジョン、マイクロエマルジョンまたはナノエマルジョンの形態であってよい。それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0052】
マクロエマルジョンとは対照的に、マイクロエマルジョンおよびナノエマルジョンは、その液滴サイズが小さいため、半透明に見える。本明細書で使用される場合、用語「マイクロエマルジョン」は、疎水性の液体と親水性の液体と両親媒性成分との、半透明で熱力学的に安定な混合物を指す。典型的には、マイクロエマルジョンは、マクロエマルジョンの形成に通常必要とされるような高エネルギー投入を必要とすることなく、成分が組み合わされ互いに混ぜ合わされると自然に形成される。マイクロエマルジョンは、親水性相中に分散したコロイド状親油性相、または親油性相中でコロイド状に分散した親水性相、を有する可能性がある。分散相のサイズは通常、約5nm〜約400nmの範囲内であり、大抵の場合、約200nm未満である。一部の実施形態において、粒子サイズは、約5nm〜約100nmである。本明細書で使用される場合、用語「ナノエマルジョン」は、ある液体の液滴の、別の不混和液体中でのナノスケール分散系を指す。マイクロエマルジョンとは対照的に、ナノエマルジョンは、その作製に特殊な機器を必要とするが、必要とされる両親媒性成分の量はより少ない。
【0053】
一部の実施形態によれば、エマルジョンは、界面活性剤または乳化剤をさらに含む。界面活性剤の添加は、2つ以上の液体不混和相を混合してエマルジョンを作製することを可能にする。界面活性剤の添加は、さらに、エマルジョンの安定化を可能にする。一部の実施形態によれば、界面活性剤は、エマルジョン全体にわたるACC粒子の均一な分散を助ける。
【0054】
本明細書で使用される場合、用語「ペースト」は、粘稠性の、粘度の高い液体に関する。ペーストは、使用される非水性液体担体(例えばグリセリンなど)の性質または賦形剤(例えば増粘剤など)の添加に起因して粘度が高い可能性がある。
【0055】
本明細書で使用される場合、用語「ゲル」は、固体内での液体の分子の分散系であって、その中において固体が連続相であり液体が不連続相である分散系、を含む非水性液体担体に関する。一部の実施形態によれば、ACC粒子は、液体の不連続相中に分散している。
【0056】
本明細書で使用される用語「ACC粒子」は、ACCとACC安定化剤との組み合わせを指す。開示されている、本発明が提供する組成物のACC含有量(重量%)は、別段の記載が無い限り、ACC粒子の量を指す。
【0057】
本明細書で使用される場合、用語「安定化ACC」、「sACC」または「ACCの安定化形態」は、ACCの安定形態が、安定剤を伴わない純粋なACCと比較して、乾燥状態での高い安定性を有するようにACCと少なくとも1種の安定化剤とを含む組成物に関する。本明細書では、用語「安定なACC」は、炭酸カルシウムが長期間(例えば数週〜数年)、その期間にわたる結晶相への転化率が約20%を超えることなく、その非晶質状態に実質的乾燥状態で維持される可能性があるということを表すために使用される。
【0058】
用語「非晶質相」、「非晶質形態」および「非晶質状態」は互換的に使用され得る。用語「非晶質炭酸カルシウム」、「炭酸カルシウムの非晶質相」、「炭酸カルシウムの非晶質形態」および「炭酸カルシウムの非晶質状態」は互換的に使用され得、炭酸カルシウムの結晶形態のいずれでもない相、形態または状態である多形を表す。
【0059】
本明細書で使用される用語「ACC安定剤」または「ACC安定化剤」は互換的に使用され、非晶質炭酸カルシウムを実質的乾燥状態で非晶質状態に維持するのに寄与する任意の物質を指す。本明細書で使用される用語「安定剤」または「安定化剤」は互換的に使用され、封入化されていない炭酸カルシウムを実質的乾燥状態で非晶質状態に維持するのに寄与する任意の物質を指す。一部の実施形態において、「実質的乾燥状態」または「乾燥」は、安定化ACCの総重量に対して20重量%未満の水を含む環境を指す。
【0060】
本明細書で使用される場合、用語「非水性」は、約20重量%以下の含水量を有する製剤を指すことが意図される。本明細書で使用される用語「液体担体」は、製剤に使用される全ての賦形剤の組み合わせを意味し、特に、ACCを除外する。本明細書で使用される用語「賦形剤」は、(例えば所望の粘度、稠度、安定性または任意の他の所望の効果をもたらすために)ACCに添加される非治療的物質を表す。特定の実施形態において、上記用語は、いかなる水性溶媒も使用することなく製造された製剤を指す。
【0061】
用語「液体担体」は、さらに、本発明で説明される賦形剤であって単独では(すなわちACC粒子または任意の他の賦形剤と混合されていない場合に)周囲温度において液体である賦形剤を全て包含する。用語「液体担体」は、さらに、本発明で説明される賦形剤の組み合わせであって、すなわちACC粒子と混合されていない場合に周囲温度において液体である、賦形剤の組み合わせを全て包含する。
【0062】
一部の実施形態によれば、液体担体は、少なくとも2種の有機液体を含む。一部の実施形態によれば、少なくとも2種の有機溶媒は混和性である。特定のこのような実施形態において、組成物は懸濁液の形態である。一部の実施形態によれば、少なくとも2種の有機溶媒は不混和性である。特定のこのような実施形態において、少なくとも2種の有機液体はエマルジョンを形成する。
【0063】
「分散または懸濁している」なる表現は、均一な組成物が形成されていることを意味することが意図される。この表現は、限定されるものではないが、溶液、分散系、懸濁液またはエマルジョンの形態を全て包含する。
【0064】
一部の実施形態によれば、組成物は均一である。本明細書で使用される場合、用語「均一」または「均一に分散または懸濁しているACC粒子」は、ACC粒子が非水性液体担体全体にわたって実質的に分布している、非水性液体担体中の安定化ACCの分散系または懸濁液を指す。一部の実施形態によれば、ACC粒子は、機械的撹拌(例えば振盪など)の後に、組成物全体にわたって均一に分散している。一部の実施形態によれば、ACC粒子は、組成物の調製から少なくとも2時間、好ましくは少なくとも12時間、組成物全体にわたって均一に分散している。さらに別の実施形態によれば、均一な製剤における凝集粒子の濃度は実質的に一定のままである。
【0065】
一部の実施形態によれば、組成物は安定である。本明細書で使用される場合、用語「安定な組成物」は、目に見える浮上または沈降を伴うことなくACC粒子が非水性液体担体中にとどまる、非水性液体担体中のACC粒子の分散系を指す。一部の実施形態によれば、ACC粒子は、少なくとも2時間、例えば再懸濁から2時間、目に見える浮上または沈降を伴うことなく非水性液体担体中にとどまる。
【0066】
一部の実施形態によれば、懸濁液は安定な懸濁液である。本明細書で使用される場合、用語「安定な懸濁液」は、目に見える浮上または沈降を伴うことなくsACC粒子が懸濁液中にとどまる、連続液体担体中のsACC粒子の分散系を指す。一部の実施形態によれば、sACC粒子は、懸濁液の調製から少なくとも12時間、目に見える浮上または沈降を伴うことなく懸濁液中にとどまる。
【0067】
本発明は、さらに、ACCとACCを非晶質形態で安定化させる少なくとも1種の作用物質とを含む複数のACC粒子、および、その中においてACC粒子が不溶であり実質的に均一に分散または懸濁している非水性液体担体、を含む、非晶質炭酸カルシウム(ACC)粒子の分散系または懸濁液の形態の液体または半固体の非水性組成物であって、25℃において40センチポアズ(cP)超の粘度を有する組成物を提供する。
【0068】
本明細書で使用される場合、用語「粘度」は一般に、応力による漸次的変形に対する材料の抵抗性の尺度に関する。本明細書で使用される場合、用語「cP」はセンチポアズを指す。センチポアズは、材料の粘度の尺度であり、ポアズの百分の一、または1ミリパスカル秒(mPa・s)である。本明細書で使用される用語「動的(せん断)粘度」は、隣接する層同士が異なる速度で互いに平行に移動する場合のせん断流に対する材料のを指す。
【0069】
材料の粘度を決定するために、異なる条件下で様々な装置を使用する、いくつかの手法が利用される可能性がある。この変動性は、今度は、実質的に同一の材料に対して広範な粘度値をもたらす可能性がある。本発明の原理によれば、本発明が提供する組成物および製剤の粘度は、回転粘度計によって周囲温度(約25℃)で決定される。回転粘度計は、流体中で物体を回転させるのに必要なトルクを、その流体の粘度の関数として測定する。この方法は、品質管理および製造研究所で頻繁に使用される。本発明が提供する組成物および製剤の粘度を決定するために使用される方法の非限定的な例は、以下の実施例のセクションで示される。より具体的には、特定の実施形態において、粘度は、1rpm、1.5rpmおよび/または2rpmの回転速度でBrookfield Digital Viscometer Model DV−II+ProおよびSpindle #16を使用して室温(24.8℃)で測定される。
【0070】
特定の実施形態において、25℃における組成物の粘度は、100cP超、1,000cP超、10,000cP超、または100,000cP超である。特定の実施形態において、25℃における組成物の粘度は、約100cP〜約50,000cP、約1,000cP〜約30,000cP、または約2,000cP〜約20,000cPである。特定の実施形態において、25℃における組成物の粘度は、約1,000cP〜約500,000cP、約10,000cP〜約300,000cP、または約30,000cP〜約100,000cPである。それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0071】
本発明の組成物中のACC粒子のサイズは、当技術分野において公知であるいくつかの方法によって直接または間接的に決定されてよい。特定の実施形態において、粒子は球状であってよく、その最長寸法がその直径である。特定の実施形態において、粒子は細長くてもよく、その最長寸法がその伸長軸または最長軸である
【0072】
複数の粒子の「平均」粒子サイズは、当技術分野において公知であるいくつかの方法によって定義されてよく、従って、算出されてよい。平均値、中央値、および最頻値が、3つの最も一般的な種類の「平均」である。用語「平均値(または算術平均)」は、値の集合の合計を集合内の値の個数で割ったものである。「中央値」は、値の集合のうちの上位半分と下位半分とを区切る値である。「最頻値」は、値の集合内で最も頻繁に現れる値または値の範囲である。
【0073】
特定の実施形態において、ACC粒子は、約0.1μm〜約1000μm、約0.1μm〜約100μm、または約0.1μm〜約10μmという、その最長寸法の平均粒子サイズを有している。特定の実施形態において、ACC粒子は、1000μm未満、100μm未満、または10μm未満という、その最長寸法の平均粒子サイズを有している。それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態を表す。大きな粒子は、より小さな粒子(例えば1〜10μmのサイズの粒など)の凝集体である可能性がある。他の実施形態によれば、組成物は、凝集体を本質的に有さない。寸法は、組成物中に導入された粒子の寸法を指すということ、および、懸濁液中において、より大きな寸法を有する凝集体が形成される可能性があるということが理解されるべきである。
【0074】
本発明が提供する組成物は、製造、保管および使用の間、実質的に非水性であるが、一定の含水量を完全には回避できない可能性がある。特定の実施形態において、本発明の組成物は、組成物全体の約20重量%未満の水を含む。特定の実施形態において、本発明の組成物は、組成物全体の約5重量%未満の水を含む。特定の実施形態において、本発明の組成物は、組成物全体の約1重量%未満の水を含む。
【0075】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、組成物全体の少なくとも約0.01重量%、少なくとも約0.1重量%、または少なくとも約1重量%のACCを含む。特定の実施形態において、本発明の組成物は、組成物全体の約0.01〜約40重量%、約0.01〜約10重量%、約0.1〜約10重量%、約1〜約10重量%、または約5〜約20重量%のACCを含む。それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態を表す。本発明の原理によれば、他の薬用化粧品用または医薬用の作用物質が、本発明により提供される組成物中、ACC粒子中および/または液体担体中にさらに含まれてよい。
【0076】
特定の実施形態において、非水性液体担体は、有機ポリオール、水不混和性脂質、合成油、およびそれらの混合物からなる群より選択される。特定の実施形態において、非水性液体担体は、有機ポリオール、水不混和性脂質、合成油、またはそれらの任意の組み合わせを含む。それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0077】
本明細書で使用される用語「有機ポリオール」は、複数のヒドロキシル基を含む任意の有機物質を包含する。本明細書で使用される用語「水不混和性脂質」は、水不混和性である任意の脂質を包含する。2種の材料の混和性は光学的に決定されることが多い:混和性の2種の材料を組み合わせた場合、得られる液体は透明である。混合物が濁っているのであれば、その2種の材料は不混和性である。混和性を決定するための他の方法は、当技術分野で周知である。本明細書で使用される用語「合成油」は、シリコーン系合成油など、人工的に作製された油を包含する。
【0078】
一部の実施形態によれば、シリコーン系液体はポリジオルガノシロキサンである。ポリジオルガノシロキサンは、直鎖状の、環状の、または架橋された、ポリジオルガノシロキサンであってよい。ポリジオルガノシロキサンは、ポリジメチルシロキサン(「シリコーン」および「ジメチコン」としても知られている)、ポリフェニルメチルシロキサン、ジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー、ジメチルシロキサン−フェニルメチルシロキサンコポリマー、およびジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマーから選択されてよい。
【0079】
一部の実施形態において、シリコン系(silicon−bases)液体には合成油が包含される。さらなる実施形態において、油にはシリコーンオイルが包含される。用語「シリコーンオイル」は、有機側鎖を有する任意の液状重合シロキサン、大抵はポリジメチルシロキサン、を指すことがある。一部の実施形態によれば、シリコーンオイルは、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、フェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン(diphynyldimethicone)またはポリメチルフェニルシロキサンから選択される。
【0080】
好ましいポリオールは、ジオール、トリオールおよびそれらの組み合わせから選択される。一部の実施形態によれば、ポリオールはジオールである。本明細書で使用される場合、用語「ジオール」は、1分子あたり2つのヒドロキシル基を含む化合物を指す。低分子量ジオールの非限定的な例としてはプロピレングリコールが挙げられる。一部の実施形態によれば、ポリオールはトリオールである。本明細書で使用される場合、用語「トリオール」は、1分子あたり3つのヒドロキシル基を含む化合物を指す。低分子量トリオールの非限定的な例としてはグリセロール(本明細書では「グリセリン」とも呼称される)が挙げられる。
【0081】
高分子量ポリオールの例としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリビニルアルコール、ポリシロキサンポリオール、ハロゲン化されたポリエーテルおよびポリエステル等、ならびにそれらの任意の混合物または組み合わせが挙げられる。ポリエーテルポリオールには、−C−O−C−基およびC−OH基を含む任意の化合物が包含される。本発明の組成物において有用なポリエーテルポリオールの非限定的な例としてはポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。一部の実施形態によれば、PEGの分子量は、100〜600Da(200〜500Da、または300〜400Daなど)の範囲内である。ポリエステルポリオールには、−C(=O)−O−基およびC−O基を含む任意の化合物が包含される。ポリカーボネートポリオールには、−O−C(=O)−O−基およびC−OH基を含む任意の化合物が包含される。
【0082】
特定の実施形態において、有機ポリオールは、プロピレングリコール(PG)、ポリエチレングリコール(PEG)、PEG誘導体、グリセロール、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。特定の実施形態において、有機ポリオールは、プロピレングリコール(PG)、ポリエチレングリコール(PEG)、PEG誘導体、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。特定の実施形態において、PEGは、PEG100、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、PEG700、PEG800、PEG900、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択され、ここで数字はポリマーの分子量を指す。特定の実施形態において、PEGは、中央のコア基から延びる3〜10本のPEG鎖を有する「分枝状」PEG、中央のコア基から延びる10〜100本のPEG鎖を有する「星型」PEG、およびポリマー骨格に連結された複数のPEG鎖を有する「櫛型」PEGからなる群より選択される。それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0083】
用語「PEG誘導体」は、PEGの共通繰り返し単位を有するエチレングリコール誘導体を意味する。PEG誘導体の例としては、限定されるものではないが、ジエチレングリコール(DEG)、テトラエチレングリコール(TEG)、第一級アミノ基を有するポリエチレングリコール、ジ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノトシレート、トリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノトシレート、トリ(エチレングリコール)モノベンジルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノトリチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノクロロモノメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノトシルモノアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノアリルモノメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノトシルモノアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノトシレート、テトラ(エチレングリコール)モノベンジルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノトリチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノ1−ヘキセニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノ1−ヘプテニルエーテル(tetra(ethylene glycol) mnon 1−heptenyl ether)、テトラ(エチレングリコール)モノ1−オクテニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノ1−デセニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノ1−ウンデセニルエーテル、ペンタ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、ペンタ(エチレングリコール)モノアリルモノメチルエーテル、ペンタ(エチレングリコール)モノトシルモノメチルエーテル、ペンタ(エチレングリコール)モノトシルモノアリルエーテル、ヘキサ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ヘキサ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、ヘキサ(エチレングリコール)モノベンジルエーテル、ヘキサ(エチレングリコール)モノトリチルエーテル、ヘキサ(エチレングリコール)モノ1−ヘキセニルエーテル、ヘキサ(エチレングリコール)モノ1−ヘプテニルエーテル、ヘキサ(エチレングリコール)モノ1−オクテニルエーテル、ヘキサ(エチレングリコール)モノ1−デセニルエーテル、ヘキサ(エチレングリコール)モノ1−ウンデセニルエーテル、ヘキサ(エチレングリコール)モノ4−ベンゾフェノニルモノ1−ウンデセニルエーテル、ヘプタ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ヘプタ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、ヘプタ(エチレングリコール)モノトシルモノメチルエーテル、ヘプタ(エチレングリコール)モノアリルモノメチルエーテル、オクタ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、オクタ(エチレングリコール)モノトシレート、オクタ(エチレングリコール)モノトシルモノアリルエーテル、ウンデカ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、ウンデカ(エチレングリコール)モノアリルモノメチルエーテル、ウンデカ(エチレングリコール)モノトシルモノメチルエーテル、ウンデカ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、オクタデカ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、オクタ(エチレングリコール)、デカ(エチレングリコール)、ドデカ(エチレングリコール)、テトラデカ(エチレングリコール)、ヘキサデカ(エチレングリコール)、オクタデカ(エチレングリコール)、ベンゾフェノン−4−ヘキサ(エチレン(etliylene)グリコール)アリルエーテル、ベンゾフェノン−4−ヘキサ(エチレングリコール)ヘキセニルエーテル、ベンゾフェノン−4−ヘキサ(エチレングリコール)オクテニルエーテル、ベンゾフェノン−4−ヘキサ(エチレングリコール)デセニルエーテル、ベンゾフェノン−4−ヘキサ(エチレングリコール)ウンデセニルエーテル、4−フルオロ(flouro)ベンゾフェノン−4’−ヘキサ(エチレングリコール)アリルエーテル、4−フルオロベンゾフェノン−4λ−ヘキサ(エチレングリコール)ウンデセニルエーテル、4−ヒドロキシベンゾフェノン−4’−ヘキサ(エチレングリコール)アリルエーテル、4−ヒドロキシベンゾフェノン−4r−ヘキサ(エチレングリコール)ウンデセニルエーテル、4−ヒドロキシベンゾフェノン−4’’−テトラ(エチレングリコール)アリルエーテル、4−ヒドロキシベンゾフェノン−4’’−テトラ(エチレングリコール)ウンデセニルエーテル、4−モルホリノベンゾフェノン−4r−ヘキサ(エチレングリコール)アリルエーテル、4−モルホリノベンゾフェノン−4λ−ヘキサ(エチレングリコール)ウンデセニルエーテル、4−モルホリノベンゾフェノン−4’−テトラ(エチレングリコール)アリルエーテル(4−morpholinobenzophenone−4Metra(ethylene glycol) allyl ether)、および4−モルホリノベンゾフェノン−4r−テトラ(エチレングリコール)ウンデセニルエーテルが挙げられる。
【0084】
一部の実施形態において、組成物は、約5〜99.95重量%のポリオールを含んでよい。一部の実施形態において、組成物は、約50〜99.95重量%のポリオールまたは約5〜95重量%のポリオールを含む。特定の実施形態において、組成物は、約9、10、11、33、35、61、70、77、88、89、91、98または99重量%を含む。それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0085】
本明細書で使用される場合、用語「中鎖トリグリセリド(MCT)」は、その脂肪酸が6〜12個の炭素原子の脂肪族末端を有するトリグリセリドを指す。MCTに見出される脂肪酸は、中鎖脂肪酸(MCFA)と呼称される。中鎖トリグリセリドは、グリセロール骨格と3つの脂肪酸から構成され、ここで、グリセロールに結合した脂肪酸鎖のうちの2つまたは3つは、その長さが中鎖である。MCTの中鎖脂肪酸には、カプロン酸(C6:0)、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、およびラウリン酸(C12:0)が包含される。特定の実施形態によれば、液体製剤は、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドを含む。有益なMCTの商業的抽出のための豊富な供給源には、ココナッツオイルおよびヤシの実油が包含される。
【0086】
特定の実施形態において、水不混和性脂質は、天然油、中鎖トリグリセリド、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。特定の実施形態において、天然油は、ヒマシ油、コーン油、綿実油、オリーブ油、ピーナッツ油、ペパーミント油、ひまわり油、ゴマ油、大豆油、水素化植物油、水素化大豆油、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。特定の実施形態において、中鎖トリグリセリドは、ココナッツオイルまたはヤシの実油の中鎖トリグリセリドを含む。特定の実施形態において、天然油はグリセリドである。特定の実施形態において、グリセリドは水素化されている。特定の実施形態において、グリセリドは、モノグリセリド、ジグリセリドまたはトリグリセリドから選択される。特定の実施形態において、グリセリドは長鎖グリセリドである。
【0087】
本明細書で使用される用語「天然油」は、植物または野菜などの天然起源から得られるか、天然起源から得られる油と同一である、任意の油を指す。
【0088】
特定の実施形態において、合成油はシリコーンオイルである。特定の実施形態において、合成油は、シクロペンタシロキサン、ジメチコノール、セチルジメチコン、カプリリルメチコン、C
30〜45アルキルメチコン、フェニルトリメチコン、ジメチコンクロスポリマー、ビニルジメチコンクロスポリマー、peg/ppg−18/18 ジメチコン、およびPEG−12 ジメチコンからなる群より選択される。
【0089】
特定の実施形態において、合成油は、ポリジメチルシロキサン、官能基修飾ジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサン−コポリオール、ポリジメチルシロキサン−クロスポリマー、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。特定の実施形態において、ポリジメチルシロキサンは直鎖状である。特定の実施形態において、ポリジメチルシロキサンは環状である。特定の実施形態において、ポリジメチルシロキサンは、シクロペンタシロキサン、シクロテトラシロキサン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。特定の実施形態において、官能基修飾ジメチルシロキサンは、H、OH、フェニル、プロピル、オクチル、アミノ−プロピル、またはビニルで1つまたは2つのメチル基を独立的に置き換えることにより修飾されたシロキサンモノマーである。特定の実施形態において、ポリジメチルシロキサン−コポリオールは、シクロペンタシロキサンおよびPEG/PPG−18/18 ジメチコンの混合物である。特定の実施形態において、ポリジメチルシロキサン−クロスポリマーは、シクロペンタシロキサンおよびジメチコンクロスポリマーの混合物である。それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態を表す。ポリジメチルシロキサンは、直鎖状ポリジメチルシロキサン、環状ポリジメチルシロキサン、および架橋されたポリジメチルシロキサンから選択されてよい。
【0090】
本明細書で使用される用語「官能基修飾ジメチルシロキサン」は、ジメチルシロキサンの少なくとも1つのメチル基を異なる基で置き換えることにより作製された任意の化合物を指す。
【0091】
特定の実施形態において、本発明が提供する組成物は、界面活性剤、皮膚軟化剤、増粘剤および分散剤からなる群より選択される少なくとも1種の賦形剤をさらに含む。
【0092】
本明細書で使用される場合、用語「界面活性剤」は、2種の液体の間または液体と固体の間の表面張力(または界面張力)を低下させる化合物と定義される。界面活性剤は、洗浄剤、湿潤剤、乳化剤、発泡剤、および分散剤として作用することがある。本明細書で使用される場合、用語「乳化剤(emulsifier)」または「乳化剤(emulsifying agent)」は、エマルジョンを形成または維持する作用物質であって不混和性の2種の液体の分離を防止または低減する作用物質と定義される。理論または作用メカニズムに束縛されることを望むものではないが、界面活性剤は、液体担体中のsACCの分散の均一性を改善するために組成物に添加される。
【0093】
一部の実施形態によれば、界面活性剤は、分散ビヒクル中でのsACC粒子の浮上または沈降を防止または低減する。界面活性剤は、さらに、sACC粒子の凝集を防止または低減することがある。界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤またはそれらの組み合わせを含んでよい。一部の実施形態によれば、液体製剤は、少なくとも2種の異なるタイプの界面活性剤を含む。
【0094】
本明細書で使用される場合、用語「皮膚軟化剤」は、皮膚の外層(表皮)をより柔らかくより柔軟にする化合物または化合物の混合物と定義される。皮膚軟化剤は、例えば蒸発を低減することによって、皮膚の水和(含水量)を増加させる。
【0095】
本明細書で使用される場合、用語「増粘剤」は、液体の他の特性を実質的に変化させることなく液体の粘度を増加させることができる化合物と定義される。また、増粘剤は、生産物の安定性を増加させる他の成分またはエマルジョンの懸濁を改善する可能性もある。
【0096】
本明細書で使用される場合、用語「分散剤」は、粒子の分離を向上させる、および/または粒子の沈降または凝集を防止または改善する、化合物と定義される。理論または作用メカニズムに束縛されることを望むものではないが、分散剤は、分散ビヒクル中のACCの分散の均一性を改善するために液体製剤に添加される。一部の実施形態によれば、分散剤は、分散ビヒクル中におけるsACC粒子の浮上または沈降を防止または低減する。分散剤は、さらに、ACC粒子の凝集を防止または低減する可能性がある。分散剤には、可溶化剤が包含されてよい。
【0097】
分散剤は、バイオポリマー、生体適合性ポリマーおよびそれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。
【0098】
一部の実施形態によれば、バイオポリマーはシクロデキストリンを含む。シクロデキストリンは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリンもしくはγ−シクロデキストリン、または医薬的に許容されるそれらの誘導体(例えばヒドロキシプロピルシクロデキストリンまたはスルホブチルエーテルシクロデキストリンなど)から選択されてよい。それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態を表す。任意選択で、バイオポリマーはタンパク質を含んでもよい。本発明の製剤において有用なタンパク質の非限定的な例としては、ヒト血清アルブミンが挙げられる。
【0099】
本発明の液体製剤において分散剤として使用するのに好適な生体適合性ポリマーは、生分解性または非生分解性であってよい。生体適合性非生分解性ポリマーの非限定的な例としては、ポリビニルアルコール(PVA)およびポリビニルピロリドンが挙げられる。生分解性ポリマーは、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、またはポリリン脂質など、ポリエステルを含んでよい。
【0100】
可能な非イオン性有機界面活性剤の非限定的な例としては、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート(Tween40)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(Tween60)およびポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween80)などのポリソルベート;Cutina GMS Vなどのグリセリルステアレート;Myrj45、Myrj49、Myrj52およびMyrj59などのポリオキシエチレン(POE)脂肪酸エステル;ソルビタンモノラウレート(Span20)、ソルビタンモノパルミテート(Span40)、ソルビタンモノオレエート(Span80)、ソルビタンモノステアレート(Span60)などのソルビタン脂肪酸エステル;限定されるものではないがImwitor−742、Imwitor−308などのオクタン酸/デカン(dectanoic)酸のモノ/ジグリセリド;ポリ(オキシエチレン)セチルエーテル(Brij52、Brij56、Brij58)、ポリ(オキシエチレン)パルミチルエーテル、ポリエチレンオキシドヘキサデシルエーテル、ポリエチレングリコールセチルエーテル等などのポリ(オキシエチレン)アルキル(alkylyl)エーテル;Cremophor EL、ELPおよびRH40などのポリエトキシレンヒマシ油誘導体;Softigen767等などのPEG−6 オクタン酸/デカン酸グリセリド;限定されるものではないがTagat TOなどのポリオキシエチレングリセロールトリオレエート;Caprol PGE860等などのデカグリセロールモノ/ジオレエート;限定されるものではないがパーム油のスクロースエステルおよびSisterna SP10などの脂肪酸のスクロースエステル;2本のポリオキシエチレン(ポリ(エチレンオキシド))親水性鎖に挟まれた中央のポリオキシプロピレン(ポリ(プロピレンオキシド))疎水性鎖から構成される非イオン性トリブロックコポリマーであるポロキサマー(Synperonics、Pluronics、Kolliphor、およびSolutolという商品名でも知られている);およびそれらの組み合わせが挙げられる。それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0101】
可能なカチオン性界面活性剤の非限定的な例としては、ホスファチジルコリン等などのホスファチド;ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド等などの第四級アンモニウムカチオン性界面活性剤;限定されるものではないがドデシルピリジニウムクロリドなどのピリミジニウムカチオン性界面活性剤;およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0102】
安定化ACCの液体製剤の調製において有用なアニオン性界面活性剤には、限定されるものではないがラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸ナトリウム;アルキルスルホン酸ナトリウム;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等などのアルキルアリールスルホン酸ナトリウム;ステアリン酸ナトリウム;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム;コール酸ナトリウム;およびそれらの組み合わせが包含される。それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0103】
両性界面活性剤には、レシチン、N−ドデシルアラニン、コカミドプロピルアミノベタインまたはそれらの組み合わせが包含されてよい。それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0104】
特定の実施形態において、界面活性剤は、非イオン性有機界面活性剤またはアニオン性有機界面活性剤である。特定の実施形態において、非イオン性有機界面活性剤は、ポリソルベート、ソルビタンエステル、脂肪酸エステル、ワックスエステル、ポロキサマー、およびリン脂質からなる群より選択される。特定の実施形態において、ポリソルベートは、Tween80、Tween60、Tween40、Tween20、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。特定の実施形態において、脂肪酸エステルは、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、脂肪酸のスクロースエステル、グリセロールモノステアレート、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。特定の実施形態において、脂肪酸エステルは、Span80、Span60、Span40、Span20、Sisterna、Cutina、MYRJ52、solutol HS15、オレイン酸エチル、パルミチン酸エチル、ミリスチン酸エチル、ステアリン酸エチル、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。特定の実施形態において、ワックスエステルはイソステアリルイソステアレートである。特定の実施形態において、アニオン性有機界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウムである。それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0105】
特定の実施形態において、皮膚軟化剤は、ワックス、固形脂肪、グリセリド、エトキシル化脂肪アルコール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0106】
特定の実施形態において、増粘剤は、セルロースポリマー、シルセスキオキサン、シリカ、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。特定の実施形態において、セルロースポリマーは、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0107】
特定の実施形態において、分散剤はシクロデキストリンである。特定の実施形態において、シクロデキストリンは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0108】
ACCの安定化に好適な安定剤は、限定されるものではないが、有機酸;ヒドロキシカルボン酸のリン酸エステルもしくは硫酸エステル;有機アミン化合物(アミノ酸を含む);ヒドロキシルを有する有機化合物(炭水化物を含む);有機リン化合物もしくはその塩;有機リン酸化合物、有機ホスホン酸化合物;無機亜リン酸;ポリリン酸;生体必須無機イオン;またはそれらの組み合わせから選択されてよいが、ただし、選択される1種以上の安定剤は食品グレードである。任意選択で、安定剤は、限定されるものではないがヒドロキシル基、カルボキシル基、エステル基、アミン基、ホスフィノ基、ホスホノ基、ホスフェート基、スルホニル基またはスルフィノ基から選択される1つ以上の官能基を有する分子を含んでもよい。水酸化物も合わせた、ヒドロキシを有する化合物は任意選択で、カルボキシル等のような他の官能基も有してよいが、ただし、そのヒドロキシルはエステル化されていない。有機酸は、例えばアスコルビン酸または酢酸を含んでよく、任意選択で、有機酸には、少なくとも2つのカルボキシル基を有し250g/mol以下の分子量を有するカルボン酸(クエン酸、酒石酸、リンゴ酸等など)が包含されてもよい。有機酸には、さらに、シュウ酸、マロン酸、グルタコン酸、コハク酸、マレイン酸、乳酸、アコニット酸またはそれらの組み合わせが包含されてよい。
【0109】
エステルには、例えばホスホエノールピルベートが包含されてよい。別の実施形態において、ヒドロキシカルボン酸のリン酸エステルまたは硫酸エステルには、アミノ酸が含まれ、その例としては、ホスホセリン、ホスホトレオニン、スルホセリン、およびスルホトレオニンが挙げられる。別の実施形態において、安定化分子は、ホスホクレアチンなど、アミノ酸のリン酸エステル誘導体である。水酸化物も合わせた、ヒドロキシルを有する化合物には、例えば、単糖、二糖、三糖、オリゴ糖、および多糖(スクロースなど)、または他のポリオール(グリセロールなど)が含まれてよい。ヒドロキシルを有する化合物には、さらに、ヒドロキシ酸(クエン酸、酒石酸、リンゴ酸等など)、または、ヒドロキシルを有するアミノ酸(セリンまたはトレオニンなど)が含まれてよい。それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0110】
リン酸基、亜リン酸基、ホスホン酸基およびそれらの塩またはエステルを含む安定剤の非限定的な例としては、フィチン酸、ジメチルホスフェート、トリメチルホスフェート、ピロリン酸ナトリウム、テトラエチルピロホスフェート、リブロースビスホスフェート、エチドロン酸、ゾレドロン酸および他の医学的ビスホスホネート、3−ホスホグリセリン酸塩、グリセルアルデヒド 3−ホスフェート、1−デオキシ−D−キシルロース−5−リン酸ナトリウム塩、ジエチレントリアミンペンタキス(メチルホスホン酸)、ニトリロトリ(メチルホスホン酸)、5−ホスホ−D−リボース 1−二リン酸五ナトリウム塩、アデノシン 5’−二リン酸ナトリウム塩、アデノシン 5’−三リン酸二ナトリウム塩水和物、α−D−ガラクトサミン 1−ホスフェート、2−ホスホ−L−アスコルビン酸三ナトリウム塩、α−D−ガラクトース 1−リン酸二カリウム塩五水和物、α−D−ガラクトサミン 1−ホスフェート、O−ホスホリルエタノールアミン、二ナトリウム塩水和物、2,3−ジホスホ−D−グリセリン酸五ナトリウム塩、ホスホ(エノール)ピルビン酸一ナトリウム塩水和物、D−グリセルアルデヒド 3−ホスフェート、sn−グリセロール 3−リン酸リチウム塩、D−(−)−3−ホスホグリセリン酸二ナトリウム塩、D−グルコース 6−リン酸ナトリウム塩、ホスファチジン酸、イバンドロン酸ナトリウム塩、ホスホノ酢酸、DL−2−アミノ−3−ホスホノプロピオン酸またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0111】
生体必須無機イオンには、特に、Na、K、Mg、Zn、Fe、P、S、N;酸化物の相のPもしくはS;またはアンモニアもしくはニトロ基としてのN、が包含されてよい。
【0112】
安定化ACCおよびその調製のさらなる例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願第WO2009/053967号および同第WO2014/024191号に見出すことができる。
【0113】
特定の実施形態において、少なくとも1種のACC安定化剤は、有機酸、ヒドロキシカルボン酸の硫酸エステル、ヒドロキシカルボン酸の硫酸エステル、有機アミン化合物、ヒドロキシルを含む有機化合物、有機リン化合物またはその塩、ビスホスホネート化合物、有機リン酸化合物、有機ホスホン酸化合物、無機亜リン酸、有機性または無機性のポリリン酸化合物、有機ポリホスフェート(ATPおよびフィチン酸など)、有機界面活性剤、生体必須無機イオン、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0114】
一部の特定の実施形態によれば、安定化ACCの少なくとも1種の安定剤は、有機酸;ヒドロキシカルボン酸のリン酸エステルもしくは硫酸エステル;有機アミン化合物(アミノ酸を含む);ヒドロキシルを有する有機化合物(炭水化物を含む);有機リン化合物もしくはその塩;有機リン酸化合物、有機ホスホン酸化合物;無機亜リン酸;ポリリン酸;生体必須無機イオン;およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。一部の実施形態によれば、安定化ACCは、少なくとも2種の安定剤を含む。一部の実施形態において、安定剤は、医薬的に許容されるものである。このような医薬的に許容される安定剤のいくつかの特定の非限定的な例としては、フィチン酸、クエン酸、二塩基脱落ピロリン酸ナトリウム(sodium pyrophosphate diabasic)、アデノシン 5’−一リン酸(AMP)ナトリウム塩、アデノシン 5’−二リン酸(ADP)ナトリウム塩およびアデノシン 5’−三リン酸(ATP)二ナトリウム塩水和物、エチドロン酸、ゾレドロン酸、ホスホセリン、および他のリン酸化されたアミノ酸、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。一部の実施形態によれば、安定剤は、ヒドロキシカルボン酸のリン酸エステルもしくは硫酸エステル(ホスホエノールピルベート、ホスホセリン、ホスホトレオニン、スルホセリンまたはスルホトレオニンなど)、ならびに、単糖、二糖、三糖、オリゴ糖および多糖(例えばスクロース、マンノース、グルコース)から選択されるヒドロキシルを有する有機化合物、から選択される少なくとも1種の成分を含む。ヒドロキシルを有する化合物には、さらに、少なくとも1種のアルカリ水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等など)が含まれてよい。リン酸化された酸は、オリゴペプチドおよびポリペプチドで存在してよい。本発明の他の実施形態において、安定剤は有機酸、好ましくはカルボン酸(モノカルボン酸、ジカルボン酸またはトリカルボン酸を含む)、である。それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態を表す。有機酸は、好ましくは、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、グルタコン酸、コハク酸、酒石酸、マレイン酸、乳酸、アコニット酸、リンゴ酸およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。本発明の一部の実施形態において、安定剤は、リン酸化されたアミノ酸、ポリオールおよびそれらの組み合わせから選択される。一部の実施形態において、安定化ACCは、カルボン酸または複数のカルボン酸を含む、安定剤を含む。一部の実施形態において、安定化ACCは、リン酸化された化合物を安定剤として含み、ここでリン酸化は、有機化合物のヒドロキシル基に対しておこなわれる。一部の実施形態において、安定化ACCは、クエン酸、ホスホセリン、ホスホトレオニンおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される安定剤を含む。特定の実施形態において、安定化ACCはクエン酸を含む。一部の実施形態によれば、ACCは、甲殻類の胃石に由来する。一部の実施形態において、安定剤は、安定化ACCの総重量の約0.1〜約15重量%を占める。他の実施形態によれば、ACCは、非水性半固体製剤の分散ビヒクルによって安定化される。
【0115】
一部の実施形態によれば、組成物は周囲温度において少なくとも1ヵ月間、少なくとも2ヵ月間、少なくとも3ヵ月間、少なくとも4ヵ月間、少なくとも5ヵ月間、または少なくとも6ヵ月間、炭酸カルシウムの少なくとも90%をその非晶質状態に保持する。それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0116】
一部の実施形態によれば、液体担体は、ポリオールと水不溶性脂質とを含む。さらなる実施形態によれば、ポリオールは連続相を形成し、水不溶性脂質はエマルジョンの分散相を形成する。任意選択で、ポリオールは分散相を形成し、水不溶性脂質はエマルジョンの連続相を形成する。一部の実施形態によれば、安定化ACCは、上記エマルジョン中に分散している。安定化ACCは、エマルジョンの連続相中に、またはエマルジョンの分散相中に、分散していてよい。それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0117】
一部の実施形態によれば、液体担体は、分散剤をさらに含む。分散剤は、液体担体全体にわたるACC粒子の均一な分布を補助および維持するために使用できる。分散剤は可溶化剤であってよい。分散剤は、バイオポリマー、生体適合性ポリマー、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。一部の実施形態によれば、バイオポリマーはシクロデキストリンを含む。任意選択で、バイオポリマーはタンパク質であってもよい。一部の実施形態によれば、バイオポリマーはヒト血清アルブミンである。生体適合性ポリマーは、ポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドンおよびそれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態を表す。一部の実施形態において、ポリエステルは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)またはそれらの組み合わせから選択される。一部の実施形態において、タンパク質はヒト血清アルブミンを含む。
【0118】
一部の実施形態によれば、液体担体は、少なくとも1種の界面活性剤をさらに含む。界面活性剤は、ポリソルベート、ソルビタンエステル、脂肪酸エステル、ポロキサマー、リン脂質、シリコーン系乳化剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されてよい。脂肪酸エステルは、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、脂肪酸のスクロースエステル、脂肪酸のグリセロールエステルおよびそれらの組み合わせから選択されてよい。好適な脂肪酸のグリセロールエステルの非限定的な例は、グリセロールモノステアレートである。好適なリン脂質の非限定的な例はレシチンである。それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0119】
一部の実施形態によれば、液体担体は粘稠性が高く(「半固体」)、約0.01〜10重量%の安定化ACCと、約50〜99.95重量%の有機液体、シリコーン系液体またはそれらの組み合わせと、約0.1〜25重量%の分散剤と、を含む。一部の実施形態によれば、液体製剤は、約0.1〜10重量%の安定化ACCと、約5〜99.95重量%の有機液体、シリコーン系液体またはそれらの組み合わせと、約0.1〜30重量%の界面活性剤と、を含む。任意選択で、液体組成物は、約0.01〜20重量%の安定化ACCと、約50〜99.95重量%の有機液体、シリコーン系液体またはそれらの組み合わせと、約0.1〜25重量%の分散剤と、約0.1〜2.5重量%の界面活性剤と、を含んでもよい。
【0120】
特定の実施形態によれば、液体担体は懸濁液の形態であり、ここで液体担体は、ポリオールを含む少なくとも1種の有機液体を含む。さらなる実施形態において、ポリオールは、プロピレングリコールおよびPEGの組み合わせを含む。液体担体には、さらに、分散剤が包含されてよく、任意選択で界面活性剤が包含されてもよい。特定のこのような実施形態において、液体担体は、約0.01〜20重量%の安定化ACCと、約50〜99.95重量%のポリオールと、約0.1〜25重量%の分散剤と、を含む。さらなる実施形態によれば、液体担体は、約0.01〜4重量%の安定化ACCと、約75〜99.95重量%のポリオールと、約0.1〜25重量%の分散剤と、を含む。
【0121】
特定の実施形態によれば、液体担体はエマルジョンの形態であり、ここで液体担体は、ポリオールと水不溶性脂質とを含む少なくとも2種の有機液体を含む。特定のこのような実施形態において、組成物は、約0.01〜10重量%の安定化ACCと、約5〜95重量%のポリオールと、約0.1〜40重量%の水不溶性脂質と、約0.1〜75重量%の界面活性剤と、を含む。さらなる実施形態によれば、組成物は、約0.1〜10重量%の安定化ACCと、約5〜80重量%のポリオールと、約15〜40重量%の水不溶性脂質と、約0.1〜40重量%の界面活性剤と、を含む。
【0122】
一部の実施形態によれば、組成物は、少なくとも1種のシリコーン系液体をさらに含む。特定の実施形態によれば、液体担体は、約0.1〜20重量%の安定なACCと、約0.1〜20重量%のポリオールと、約5〜70重量%のシリコーン系液体と、約0.1〜20重量%の水不溶性脂質と、約1〜40重量%の界面活性剤と、を含む。
【0123】
一部の実施形態において、組成物は周囲温度において少なくとも6ヵ月間、安定化ACCの総重量の少なくとも90%をその非晶質形態に保持する。一部の好ましい実施形態において、その非晶質相を保持するACCは、溶解していないACCである。液体担体中での安定化ACCの溶解度は、約1重量%未満(約0.5重量%未満または約0.1重量%未満など)であってよい。それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0124】
一部の実施形態において、組成物は、安定化ACCと、ポリオールと、分散剤と、を含む。さらなる実施形態において、組成物は、安定化ACCと、ポリオールと、分散剤と、界面活性剤と、を含む。
【0125】
一部の実施形態において、組成物は、0.01〜20重量%の安定化ACCと、50〜99.95重量%のポリオールと、0.1〜25重量%の分散剤と、を含む。さらなる実施形態において、組成物は、0.01〜4重量%の安定化ACCと、75〜99.95重量%のポリオールと、0.1〜25重量%の分散剤と、を含む。さらに別の実施形態において、組成物は、0.01〜20重量%の安定化ACCと、50〜99.95重量%のポリオールと、0.1〜25重量%の分散剤と、0.1〜2.5重量%の界面活性剤と、を含む。さらに別の実施形態において、組成物は、0.01〜4重量%の安定化ACCと、75〜99.95重量%のポリオールと、0.1〜25重量%の分散剤と、0.1〜2.5重量%の界面活性剤と、を含む。
【0126】
一部の実施形態において、組成物は、0.01〜2重量%の安定化ACCと、40〜80重量%のプロピレングリコールと、20〜60%のPEGと、0.1〜15重量%のシクロデキストリンと、を含む。さらなる実施形態において、組成物は、0.01〜2重量%の安定化ACCと、40〜80重量%のプロピレングリコールと、20〜60%のPEGと、0.1〜15重量%のシクロデキストリンと、0.1〜2.5重量%のポロキサマーと、を含む。
【0127】
特定の実施形態において、組成物は、約0.1重量%の安定化ACCと、約99重量%のポリオールと、約0.1重量%の分散剤と、を含む。任意選択で、組成物は、約0.05重量%の安定化ACCと、約99.5重量%のポリオールと、約0.5重量%の分散剤と、を含んでもよい。あるいは、組成物は、約0.2重量%の安定化ACCと、約98重量%のポリオールと、約1.5重量%の分散剤と、を含んでよい。さらなる実施形態において、組成物は、約0.8重量%の安定化ACCと、約89重量%のポリオールと、約10重量%の分散剤と、を含む。
【0128】
一部の実施形態において、組成物は、安定化ACCと、ポリオールと、水不溶性脂質と、界面活性剤と、を含む。さらなる実施形態において、組成物は、安定化ACCと、ポリオールと、水不溶性脂質と、芳香族アルコールと、界面活性剤と、を含む。さらなる実施形態によれば、組成物は、安定化ACCと、プロピレングリコールと、油と、中鎖トリグリセリドと、リン脂質と、ポリソルベートと、エトキシル化ヒマシ油誘導体と、を含む。一部の例示的実施形態によれば、組成物は、安定化ACCと、PEGと、プロピレングリコールと、グリセリンと、油と、ベンジルアルコールと、リン脂質と、ポリソルベートと、ポロキサマーと、を含む。一部の例示的実施形態によれば、組成物は、安定化ACCと、PEGと、中鎖トリグリセリドと、1種以上の界面活性剤と、を含む。
【0129】
さらなる実施形態によれば、組成物は、安定化ACCと、PEGと、中鎖トリグリセリドと、1種以上のポリソルベートと、ソルビタン脂肪酸エステルと、スクロース脂肪酸エステルと、グリセリルステアレートと、を含む。任意選択で、組成物は、安定化ACCと、PEGと、中鎖トリグリセリドと、1種以上のポリソルベートと、1種以上のソルビタン脂肪酸エステルと、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルと、グリセリルステアレートと、を含んでもよい。
【0130】
一部の実施形態において、組成物は、0.01〜10重量%の安定化ACCと、5〜95重量%のポリオールと、0.1〜40重量%の水不溶性脂質と、0.1〜75重量%の界面活性剤と、を含む。さらなる実施形態において、組成物は、0.01〜10重量%の安定化ACCと、5〜95重量%のポリオールと、0.1〜40重量%の水不溶性脂質と、0.1〜30重量%の界面活性剤と、を含む。さらに別の実施形態において、組成物は、0.1〜10重量%の安定化ACCと、5〜80重量%のポリオールと、15〜40重量%の水不溶性脂質と、0.1〜75重量%の界面活性剤と、を含む。一部の実施形態において、組成物は、0.01〜10重量%の安定化ACCと、5〜95重量%のポリオールと、0.1〜40重量%の水不溶性脂質と、0.1〜30重量%の界面活性剤と、0.05〜1重量%の芳香族アルコールと、を含む。一部の実施形態によれば、組成物は懸濁液の形態である。
【0131】
一部の実施形態において、組成物は、0.5〜10重量%の安定化ACCと、40〜80重量%のプロピレングリコールと、5〜30重量%の油と、5〜30重量%の中鎖トリグリセリドと、2〜15重量%の界面活性剤と、を含む。一部の実施形態において、組成物は、0.01〜1.5重量%の安定化ACCと、20〜50重量%のプロピレングリコールと、20〜50重量%のプロピレングリコールと、5〜15重量%のグリセリンと、5〜30重量%の油と、2〜15重量%の界面活性剤と、を含む。さらなる実施形態において、組成物は、0.01〜1.5重量%の安定化ACCと、20〜50重量%のプロピレングリコールと、20〜50重量%のプロピレングリコールと、5〜15重量%のグリセリンと、5〜30重量%の油と、2〜15重量%の界面活性剤と、0.05〜4%のベンジルアルコールと、を含む。一部の実施形態において、組成物は、1〜10重量%の安定化ACCと、5〜15重量%のPEGと、15〜50重量%の中鎖トリグリセリドと、25〜75重量%の界面活性剤と、を含む。一部の実施形態において、組成物は、5〜20重量%の安定化ACCと、20〜50重量%のPEGと、10〜40重量%の中鎖トリグリセリドと、25〜75重量%の界面活性剤と、を含む。
【0132】
特定の実施形態において、組成物は、約2%の安定化ACCと、約60重量%のポリオールと、約30重量%の水不溶性脂質と、約7.5重量%の界面活性剤と、を含む。任意選択で、組成物は、約0.3%の安定化ACCと、約77重量%のポリオールと、約15重量%の水不溶性脂質と、約0.2重量%の芳香族アルコールと、約7.5重量%の界面活性剤と、を含んでもよい。あるいは、組成物は、約5%の安定化ACCと、約9重量%のポリオールと、約33重量%の水不溶性脂質と、約52重量%の界面活性剤と、を含んでよい。さらなる実施形態において、組成物は、約8%の安定化ACCと、約35重量%のポリオールと、約22重量%の水不溶性脂質と、約48重量%の界面活性剤と、を含む。
【0133】
特定の実施形態によれば、組成物は、約0.1〜20重量%の安定なACCと、約0.1〜20重量%のポリオールと、約5〜70%のシリコーン系液体と、約0.1〜20重量%の水不溶性脂質と、約1〜40重量%の界面活性剤と、を含む。
【0134】
一部の例示的実施形態によれば、組成物は、安定化ACCと、プロピレングリコールと、PEGと、シクロデキストリンと、を含む。さらなる例示的実施形態によれば、組成物は、安定化ACCと、プロピレングリコールと、PEGと、ポロキサマーと、シクロデキストリンと、を含む。一部の例示的実施形態によれば、組成物は、0.01〜1%の安定化ACCと、40〜75%のプロピレングリコールと、30〜60%のPEGと、0.5〜10%のシクロデキストリンと、を含む。さらなる例示的実施形態によれば、組成物は、0.01〜1%の安定化ACCと、40〜75%のプロピレングリコールと、30〜60%のPEGと、0.5〜10%のシクロデキストリンと、0.1〜1%のポロキサマーと、を含む。
【0135】
一部の例示的実施形態によれば、組成物は、安定化ACCと、PEGと、中鎖トリグリセリドと、ポリソルベートと、脂肪酸エステルと、を含む。一部の例示的実施形態によれば、組成物は、安定化された2〜10%のACCと、5〜15%のPEGと、30〜40%の中鎖トリグリセリドと、38〜48%のポリソルベートと、9〜13%の脂肪酸エステルと、を含む。一部の例示的実施形態によれば、組成物は、安定化された5〜10%のACCと、30〜40%のPEGと、15〜20%の中鎖トリグリセリドと、15〜25%のポリソルベートと、15〜25%の脂肪酸エステルと、を含む。
【0136】
一部の例示的実施形態によれば、組成物は、安定化ACCと、プロピレングリコールと、油と、中鎖トリグリセリドと、1種以上の界面活性剤と、を含む。一部の例示的実施形態によれば、組成物は、1〜3%の安定化ACCと、50〜70%のプロピレングリコールと、15〜20%の油と、10〜20%の中鎖トリグリセリドと、5〜10%の界面活性剤と、を含む。
【0137】
一部の例示的実施形態によれば、組成物は、安定化ACCと、PEGと、プロピレングリコールと、グリセリンと、油と、ベンジルアルコールと、1種以上の界面活性剤と、を含む。一部の例示的実施形態によれば、組成物は、0.1〜1%の安定化ACCと、30〜40%のPEGと、30〜40%のプロピレングリコールと、5〜15%のグリセロールと、10〜20%の油と、0.1〜0.5%のベンジルアルコールと、5〜10%の界面活性剤と、を含む。
【0138】
一部の例示的実施形態によれば、組成物は、安定化ACCと、PEGと、プロピレングリコールと、シクロデキストリンと、セルロースポリマーと、を含む。一部の例示的実施形態によれば、組成物は、1〜10%の安定化ACCと、35〜45%のPEGと、45〜55%のプロピレングリコールと、1〜5%のシクロデキストリンと、0.5〜3%のセルロースポリマーと、を含む。
【0139】
一部の例示的実施形態によれば、組成物は、安定化ACCと、天然油と、プロピレングリコールと、合成油と、ワックスと、を含む。一部の例示的実施形態によれば、組成物は、1〜10%の安定化ACCと、0.5〜2%の天然油と、5〜15%のプロピレングリコールと、70〜80%の合成油と、5〜15%のワックスと、を含む。一部の例示的実施形態によれば、組成物は、1〜5%の安定化ACCと、0.5〜2%の天然油と、5〜15%のプロピレングリコールと、70〜80%の合成油と、10〜15%のワックスと、を含む。
【0140】
一部の例示的実施形態によれば、組成物は、安定化ACCと、グリセロールと、シリカと、セルロースポリマーと、界面活性剤と、を含む。一部の例示的実施形態によれば、組成物は、1〜10%の安定化ACCと、60〜80%のグリセロールと、15〜25%のシリカと、0.5〜3%のセルロースポリマーと、0.5〜2%の界面活性剤と、を含む。
【0141】
一部の例示的実施形態によれば、組成物は、安定化ACCと、PEGと、グリセロールと、硬質脂肪と、を含む。一部の例示的実施形態によれば、組成物は、安定化された1〜10%の安定化ACCと、20〜25%のPEGと、5〜15%のグリセロールと、60〜70%の硬質脂肪と、を含む。
【0142】
一部の実施形態によれば、組成物は、本明細書の以下の実施例1〜6に示される製剤1〜11から選択される。一部の実施形態によれば、組成物は、本明細書の以下の実施例1〜6に示される製剤1〜11のいずれか1つを含む。一部の実施形態によれば、組成物は、本明細書の以下の実施例1〜6に示される製剤1〜11のいずれか1つからなる。
【0143】
別の態様では、本発明は、さらに、上述の組成物のいずれか1つを含む薬用化粧品組成物を提供する。
【0144】
別の態様では、本発明は、さらに、上述の組成物のいずれか1つを含む医薬組成物を提供する。
【0145】
本明細書で使用される用語「薬用化粧品組成物」は、化粧用物質および医薬物質の組み合わせを含む組成物を指す。薬用化粧品は、特に身体の露出領域(皮膚など)において、医学的な恩恵または薬物のような恩恵を有するとされる、生物学的活性を有する成分を伴う化粧品である。本明細書で使用される用語「医薬組成物」は、医薬物質を含む組成物を指す。本発明の原理によれば、ACCは、活性を有する医薬物質とみなされる。ACCは、さらに、活性を有する化粧用物質とみなされてよい。
【0146】
特定の実施形態において、医薬組成物は、ACCと、追加的な医薬物質と、を含む。特定の実施形態において、追加的な医薬物質は、ACC粒子中に含まれる。特定の実施形態において、追加的な医薬物質は、液体担体中に含まれる。
【0147】
本明細書で使用される場合、用語「医薬組成物」は、さらに、本発明の原理に従う組成物であって安定化ACCの治療有効量を含み、任意選択で、好適な希釈剤、防腐剤、可溶化剤、乳化剤、補助剤および/または担体を含んでもよい組成物を包含する。本明細書で使用される「治療有効量」は、所与の状態および投与レジメンに治療効果を与える量を指す。
【0148】
本発明の薬用化粧品組成物または医薬組成物は、非経口、局所、点眼、経鼻および経口を含め、様々な投与経路で投与できる。一実施形態において、医薬組成物は、非経口投与、癌近傍(paracancerally)投与、経粘膜投与、経皮投与、筋肉内投与、静脈内投与、皮内投与、皮下投与、眼内投与、気管内投与、槽内(intracisternally)投与、腹腔内投与、硬膜外投与、脳室内(intraventricularly)投与、頭蓋内投与または腫瘍内投与される。
【0149】
一部の好ましい実施形態によれば、本発明の原理に従うACC組成物を含む薬用化粧品組成物または医薬組成物は、担体または希釈剤の添加を必要としない。特定のこのような実施形態において、ACC組成物は、さらなる製剤化を必要とすることなく、上記投与経路のいずれか1つで投与できる。
【0150】
医薬組成物は、制御放出システムで送達できる。例えば、ACC組成物は、静脈内注入、埋め込み式浸透圧ポンプ、経皮パッチ、リポソーム、または他の投与様式を用いて投与されてよい。
【0151】
一部の実施形態によれば、薬用化粧品組成物または医薬組成物は、非経口投与に好適な形態に製剤化される。上記形態は、懸濁液、エマルジョンまたはゲルから選択されてよい。非経口投与経路には、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、皮内投与、眼内投与、気管内(intratracheral)投与、槽内投与、腹腔内投与および硬膜外投与が包含されてよい。特定の実施形態において、非経口投与は静脈内である。非経口投与(静脈内投与を含む)のために製剤化された薬用化粧品組成物または医薬組成物は、好ましくは、2重量%以下の安定化ACCを含む。特定のこのような実施形態において、安定化ACCは、平均粒子サイズが約10μm未満、約1μm未満、または約500nm未満である粒子を有する。任意選択で、上記安定化ACCの平均粒子サイズは、約50nm〜約10μmの範囲内であってもよい。
【0152】
一部の実施形態によれば、薬用化粧品組成物または医薬組成物は、局所投与に好適な形態に製剤化される。上記形態は、ゲル、エマルジョン、クリーム、軟膏、ローション、ペースト、坐薬またはパッチから選択されてよい。局所投与経路には、皮膚上投与、吸入投与、点眼、点耳または経鼻投与が包含されてよい。特定の実施形態において、局所投与は点眼である。従って、医薬組成物は、点眼薬または眼軟膏の形態に製剤化されてよい。それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態を表す。局所のために製剤化された薬用化粧品組成物または医薬組成物は、好ましくは、約0.05重量%〜約10重量%の安定化ACCを含む。さらなる実施形態において、上記安定化ACCの平均粒子サイズは、約100nm〜約200μmの範囲内である。
【0153】
一部の実施形態によれば、薬用化粧品組成物または医薬組成物は、経口投与に好適な形態に製剤化される。上記形態は、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エリキシル剤、カプセルまたはゲルから選択されてよい。経口投与のために製剤化された薬用化粧品組成物または医薬組成物は、好ましくは、約1重量%〜約20重量%の安定化ACCを含む。さらなる実施形態において、上記安定化ACCの平均粒子サイズは、約200nm〜約1000μmの範囲内である。
【0154】
本発明の原理に従うACC組成物を含む医薬組成物は、好ましくは、カルシウム代謝またはカルシウムシグナリングに関連する状態の治療に使用される。上記状態は、疼痛、増殖性疾患、神経学的障害、免疫学的障害、心血管疾患、肺疾患、栄養障害、生殖障害、筋骨格障害、カルシウム吸収不良および歯科疾患からなる群より選択されてよい。上記治療は、疾患の症状を緩和することを含んでよい。上記増殖性疾患は、肉腫、癌腫、リンパ腫および黒色腫から選択されてよい。上記癌腫は、例えば、乳癌または気管支原性肺癌である。上記治療は、腫瘍の縮小、その成長の停止、または腫瘍における細胞増殖の鈍化もしくは阻害をもたらしてよい。上記疼痛は、術後疼痛、傷害後疼痛、癌に付随する疼痛、および神経因性疼痛から選択されてよい。上記神経学的障害は、脱髄疾患、認知症、および運動障害から選択されてよく、上記障害は、例えば、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、または他の変性疾患である。治療される上記状態には、骨折または骨粗鬆症などの骨障害または骨髄障害が含まれてよい。好ましい実施形態において、本発明の組成物は、神経変性障害を治療するために使用される。カルシウム吸収不良は、肥満手術後の患者、副甲状腺機能低下症、クローン病、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患またはセリアック病に罹患している患者に存在する可能性がある。また、付加的タイプの薬物(プロトンポンプ阻害剤、抗痙攣薬、および慢性的なコルチコステロイドなど)を摂取する個体も、カルシウム吸収不良を発症する可能性がある。
【0155】
本明細書で使用される場合、用語「治療」は、言及される障害に付随する1つ以上の症状を改善することを意味する。本明細書で使用される場合、用語「防止」は、言及される障害の症状を緩和することを意味する。本明細書で使用される場合、「有効量」なる表現は、言及される障害を発症する恐れがある患者または言及される障害と診断された患者を防止および/または治療して所望の治療効果をもたらすのに有効な量を意味する。本明細書で使用される場合、用語「患者」は哺乳動物(例えばヒト)を意味する。
【0156】
一部の実施形態によれば、薬用化粧品組成物または医薬組成物は、非経口投与に好適な形態に製剤化される。特定のこのような実施形態において、組成物は、懸濁液、ゲルおよびエマルジョンからなる群より選択される形態に製剤化されてよい。非経口投与は、皮下投与、筋肉内投与、皮下投与、静脈内投与、皮内投与、眼内投与、気管内投与、槽内投与、腹腔内投与、または硬膜外投与から選択されてよい。それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態を表す。一部の実施形態によれば、非経口投与は静脈内である。一部の実施形態によれば、組成物は、注射用形態に製剤化される。特定のこのような実施形態において、安定化ACCは、平均粒子サイズが約10μm未満、約1μm未満、約500nm未満、または100nm未満である粒子を有する。さらなる実施形態において、組成物は、最大で約2重量%の安定化ACCを含む。
【0157】
一部の実施形態によれば、薬用化粧品組成物または医薬組成物は、局所投与に好適な形態に製剤化される。特定のこのような実施形態において、薬用化粧品組成物または医薬組成物は、ゲル、エマルジョン、クリーム、軟膏、ローション、ペースト、エマルゲル(emulgel)(ゲル形態のエマルジョン)坐薬およびパッチからなる群より選択される形態に製剤化される。
【0158】
一部の実施形態によれば、本発明の薬用化粧品組成物または医薬組成物は、安定化ACCの、制御可能な送達をもたらす。一部の実施形態によれば、薬用化粧品組成物または医薬組成物は、点眼薬の剤形に製剤化される。
【0159】
一部の実施形態によれば、薬用化粧品組成物または医薬組成物は、経口投与に好適な形態に製剤化される。特定のこのような実施形態において、薬用化粧品組成物または医薬組成物は、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エリキシル剤、カプセルおよびゲルからなる群より選択される形態に製剤化される。
【0160】
特定の実施形態において、上述の医薬組成物は、局所炎症の治療または改善における使用のためのものである。特定の実施形態において、上述の医薬組成物は、皮膚の病気の治療または改善における使用のためのものである。
【0161】
本明細書で使用される用語「局所炎症」は、身体の露出領域(皮膚など)、および隠れた領域(口腔(歯茎および歯周ポケットを含む)、膣および直腸など)における任意の炎症を指す。本明細書で使用される用語「皮膚の病気」は、皮膚、口腔(歯茎および歯周ポケットを含む)、膣および直腸の任意の疾患、障害または異常状態を指す。
【0162】
別の態様では、本発明は、さらに、局所炎症を治療または改善するための、局所投与用に製剤化された、安定化ACCを含む局所医薬組成物を提供する。
【0163】
別の態様では、本発明は、さらに、皮膚の病気を治療または改善するための、局所投与用に製剤化された、安定化ACCを含む局所医薬組成物を提供する。
【0164】
特定の実施形態において、炎症は、自己免疫反応に関連している。特定の実施形態において、皮膚の病気は乾癬である。特定の実施形態において、皮膚の病気は乾癬であり、紅斑(赤み)、硬化(肥厚)および落屑(スケーリング)からなる群より選択される少なくとも1種の臨床パラメータが治療または改善される。
【0165】
別の態様では、本発明は、さらに、必要な患者において局所炎症を治療または改善する方法であって、安定化ACCの治療有効量を患者に局所投与するステップを含む方法を提供する。
【0166】
別の態様では、本発明は、さらに、必要な患者において皮膚の病気を治療または改善する方法であって、安定化ACCの治療有効量を患者に局所投与するステップを含む方法を提供する。
【0167】
特定の実施形態において、上述の方法は、上述のACC組成物のいずれか1つの治療有効量を患者に局所投与するステップを含む。
【0168】
別の態様では、本発明は、さらに、非晶質炭酸カルシウム(ACC)粒子の分散系または懸濁液の形態の液体または半固体の非水性組成物を調製する方法であって、少なくとも1種の非水性液体担体を、分散剤、界面活性剤、増粘剤および皮膚軟化剤からなる群より選択される少なくとも1種の追加的な作用物質と混合する工程と、その混合物にACCを添加する工程と、を含む方法を提供する。
【0169】
特定の実施形態において、方法は、2種の別々の非水性液体担体を調製することを含み、ここでACCは、非水性液体担体のうちの一方に、それがもう一方の非水性液体担体と混合される前に添加される。特定の実施形態において、混合は、高せん断混合(high shear mixing)またはマイクロ流動化装置(micro−fluidizer)の使用を含む。特定の実施形態において、混合は、全ての非液体物質が非水性液体担体に溶解するまで継続する。特定の実施形態において、ACCは、乾燥した安定化ACCである。特定の実施形態において、方法は、非水性液体担体を加熱することをさらに含む。
【0170】
本明細書で使用される場合、用語「約」は、量、時間等などの測定可能な値に対して適用される際に、特定された値から±10%の変動、または±5%の変動、±1%の変動、または、さらには±0.1%の変動、を包含することを意味する。
【0171】
ここまで本発明を一般的に説明してきたが、本発明は、以下の実施例を参照することで、より容易に理解されるであろう。ただし、以下の実施例は説明のために提供されるのであって、本発明を限定することを意図するものではない。
【0172】
実施例
実施例1.懸濁液として製剤化されたACCの液体製剤(製剤1〜4)
以下の手順に従って、懸濁液(製剤1〜3;表1に提示)を調製した。
【0173】
表1に記載される割合でポリエチレングリコール(PEG)およびプロピレングリコール(PG)を混合した。
【0174】
ヒドロキシプロピルβシクロデキストリンをPEG/PG溶液に、完全に溶解するまで高せん断混合しながら添加した。ホスホセリンおよびクエン酸で安定化した、粉末化sACCをPEG/PGとヒドロキシプロピルβシクロデキストリンの溶液に、懸濁液が透明になるまで高せん断混合しながら添加した。透明な懸濁液を、100〜200nmの粒子サイズに達するまでマイクロ流動化装置中で混合した。製剤1中のsACC粒子の測定された平均粒子直径は186.2nm未満であることが見出された。
【0175】
ピロホスフェート、ホスホセリン、エチドロン酸、フィチン酸、クエン酸、ATP、ADPおよびゾレドロン酸のうちの1種以上を安定剤として有する安定化ACCを含む製剤1で実験を繰り返した。同様の方法で懸濁液(製剤4)を調製した。工程2の懸濁液に界面活性剤(ポロキサマー)を添加した。製剤4の組成も表1に提示されている。
【0177】
実施例2.エマルジョンとして製剤化されたACCの液体製剤
以下の手順に従って、エマルジョン(製剤5)を調製した。
【0178】
以下の混合物を調製した:PEG400(15%)とTween60(ポリソルベート)(60%)とTween20(ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート)(6%)とを含む相A混合物;Myritol318(カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)(53%)とSpan60(ソルビタンステアレート)(10%)とSisterna SP10C(スクロースポリステアレート)(5%)とCutina GMS V(グリセリルステアレート)(3%)とACC(8%)とを含む相B混合物。
【0179】
相Aおよび相B(ACCを除く)を別々に、撹拌しながら約75〜80℃に加熱した。加熱した相BにACCを、ACCの粉末が完全に分散するまで高せん断ホモジナイザー(ローター−ステーターシステム)を使用しながら、ゆっくりと添加した。相Bに相Aを、5分間の高せん断混合を用いながら、ゆっくりと添加した。混合バッチを、アンカースターラーによる混合を続けながら室温まで冷却した。別のせん断技術を用いてエマルジョンを作製することができる。
【0180】
製剤5の最終組成(%は重量パーセントに関する):PEG400−9%、Tween60−38%、Tween20−4%、Myritol318−33%、Span60−6%、Sisterna SP10C−3%、Cutina GMS V−2%、sACC−5%。
【0181】
以下の手順に従って、エマルジョン(製剤6)を調製した。
【0182】
以下の混合物を調製した:PEG400(42%)とACC(8%)とTween60(20%)とSpan60(ソルビタンモノステアレート)(5%)とTween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)(5%)とを含む相Aを調製した;Myritol318(カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)(22%)とMYRJ52(ポリオキシエチレン 40 ステアレート)(5%)とCutina GMS V(グリセリルステアレート)(5%)とSpan80(ソルビタンモノオレエート)(5%)とSpan60(ソルビタンモノステアレート)(3%)とで相Bを調製した。
【0183】
相Aおよび相B(ACCを除く)を別々に、撹拌しながら75〜80℃まで加熱した。加熱した相AにACCを、ACCの粉末が完全に分散するまで高せん断ホモジナイザー(ローター/ステーター)を使用しながら、ゆっくりと添加した。次に、相Aに相Bを、5分間の高せん断を用いながら、ゆっくりと添加した。バッチを、アンカースターラーによる連続混合を用いながら室温まで冷却した。他のせん断技術を用いてエマルジョンを作製することができる。代替手段として、相Aと相Bの混合後に、50℃にてACCを添加してもよい。
【0184】
製剤6の最終組成(%は重量パーセントに関する):PEG400−35%、Tween60−17%、Span60−7%、Tween80−4%、Myritol318−18%、MYRJ52−4%、Cutina GMS V−4%、Span80−4%、sACC−7%。
【0185】
製剤5および6を、まず、原子吸光(AA)解析によって、そのCa含量について解析し、ラマン分光法およびXRD分光法によって、エマルジョン中におけるACCの安定性を解析した(
図1A〜
図1B)。
【0186】
さらなるエマルジョン(製剤7および8)は、上述の手順と同様の手順で調製できる。
【0187】
製剤7の組成:プロピレングリコール−60.6%、リン脂質−5%、ポリオキシル35ヒマシ油(Polyoxyl 35 castor oil)−2%、Tween20−0.4%、注射用油−15%、カプリル酸カプリン酸トリグリセリド−15%、sACC−2%。
【0188】
製剤8の組成:PEG400またはPEG300−32%、プロピレングリコール−35%、グリセリン−10%、リン脂質−2%、Tween80−5%、Solutol HS15−0.5%、ベンジルアルコール−0.2%、注射用油−15%、sACC−0.3%。
【0189】
実施例3.懸濁液として製剤化されたACCの液体製剤の非経口注射
表2に詳述されるように懸濁液260〜280μlを実験用マウスに尾静脈を介して注射した。注射後数日間にわたって、マウスに副作用はなかった。
【0191】
ピロホスフェート、ホスホセリン、エチドロン酸、フィチン酸、クエン酸、ATP、ADPおよびゾレドロン酸のうちの1種以上を安定剤として有するsACCを用いて調製した製剤1での反復実験において、本質的に上述の通りにマウスに製剤1を注射したが、有害作用は検出されなかった。
【0192】
実施例4.炎症の治療および改善におけるACCの使用(製剤2F、3F)
この試験の目的は、オキサゾロン誘発性接触遅延型過敏症(contact−delayed−type hypersensitivity)のマウスモデルで、2種の投与経路を用いて、ACCに基づく製剤の潜在的抗炎症活性を評価することであった。
【0193】
動物:10週齢の雌のICRマウスを試験に使用した。
【0194】
動物モデル:以下で本質的に説明されるような遅延型過敏症(DTH)の確立された動物モデルを使用して、新規の抗炎症性の化合物および製剤の有効性を試験した。DTH反応は、細胞性免疫によって引き起こされる炎症のインビボモデルである。このモデルでは、オキサゾロンによる皮膚感作を用いてDTH反応を誘発する。まず、動物をオキサゾロンの溶液で局所的に処置する。オキサゾロンは皮膚のタンパク質を誘導体化し、その結果、それらのタンパク質は、免疫系によって異物とみなされる。このステップは「感作」と呼称される。これは、その後に、マウスが通常、オキサゾロンによる再曝露に対して感受性となるためである。
【0195】
感作から5/6日後に、感作物質であるオキサゾロンへのマウスの再曝露によって「チャレンジ」を実施する。感作物質への再曝露は、IFN−γおよびIL−17などのT細胞サイトカインの放出をもたらし、これらのサイトカインは、表皮の角化細胞による強い炎症応答を開始させる。炎症応答は、T細胞、B細胞、好塩基球および活性化マクロファージに依存する。
【0196】
再曝露がマウスの耳上で実施されると、耳は通常、免疫応答の結果として、曝露から数時間以内に肥厚する。処置されないままであれば、耳は、約1日以内に最大厚さに達し、その後、約100時間以内にほぼ正常な値に達するまで厚さが減少する可能性がある。従って、耳にチャレンジを適用した後に、24時間間隔で耳の厚さを測定することにより、72〜96時間にわたって炎症応答をモニタリングする。
【0197】
必要条件:試験のために、31匹のICRマウスが倫理的に認可され、割り当てられた:雌、齢:10週、体重:25〜30グラム。ACCに基づく製剤(液体懸濁液(クリーム#1)およびクリーム懸濁液(クリーム#2)およびACC経口投与)は、Amorphicalによって調製された。オキサゾロン(sigma、保存4℃)を疾患の誘発のために使用した。
【0198】
感作:試験1日目に、当技術分野で公知のように、各マウスの腹部を剃毛し、使い捨てチップ付きマイクロピペッターを用いて3%オキサゾロン溶液150μlを剃毛領域上に皮膚上適用することによって感作させた。適用後、マウスを3〜5秒拘束して、オキサゾロンの溶媒の少なくとも一部を蒸発させた。
【0199】
チャレンジ:試験6日目に、耳の測定の直後に右耳において耳の両側を1%オキサゾロン溶液10μl(合計で20μl)で局所的に処置した。
【0200】
各群に対する処置を以下の表中に記載する。
【0202】
局所液体懸濁液2F:ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン−3%、ACC−PS−5%、PEG400−40%、プロピレングリコール−50.5%、ヒドロキシプロピルエチルセルロース−1.5%。10分/速度3(HOG−500)の高せん断(ローター/ステーター)混合により成分を混合した。
【0203】
局所半固体クリーム懸濁液3F:シクロペンタシロキサン&PEG/PPG−18/18 ジメチコン−20%、ジメチコン&ジメチコンクロスポリマー−5%、シクロペンタシロキサン&シクロテトラシロキサン−48%、蜜ろう−10%、水素化ヒマシ油−1%、ACC−PS−5%、プロピレングリコール−11%。マグネチックスターラーを使用して全ての成分(ACCとプロピレングリコールを除く)を混ぜ合わせ、均一な混合が達成されるまで80℃に過熱した。50〜55℃まで冷却。5分/速度3の高せん断ホモジナイザーの使用によりACCを添加した。高せん断中にプロピレングリコールを添加した。溶解ミキサー(dissolver mixer)を使用しながら室温まで冷却。
【0204】
経口胃管栄養剤形:ACC−PS−1%、プロピレングリコール−99%。10分/速度3(HOG−500)の高せん断(ローター/ステーター)混合により成分を混合した。
【0205】
試験6日目(チャレンジから1時間後)から合計96時間にわたって試験終了(10日目)まで、群2Fおよび3Fについてクリーム#1および#2を右耳の両側に局所投与した。全ての場合において、投与量は約0.03ml/動物であった。試験1日目から試験終了(10日目)まで、群4Fの動物に毎日ACCを不断給餌した。試験群を、チャレンジの前後にいかなる処置も受けなかった群1Fと比較した。
【0206】
デジタルキャリパーを使用して耳の厚さの測定を実施した。試験6日目において、チャレンジの前(t=0)に、ベースライン値用に各マウスの右耳の厚さを測定した。試験7日目(チャレンジから24時間後)から10日目(局所投与から96時間後)まで、全ての試験群において耳の厚さの変化を評価するために右耳の厚さを測定した。試験1日目に、週2回で、および試験終了時(10日目)に、体重の測定値を記録した。
【0207】
試験終了時に、二酸化炭素での窒息によって動物を屠殺した。屠殺後、耳の基部の弯入を横切るように水平に切断することで、全ての動物の両耳を切除し、その重さを測定した。
【0208】
結果:
図2Aは、オキサゾロンへの2回目の曝露からの処置に応じた耳の厚さを示す。見てわかるように、耳をオキサゾロンに再曝露させると、群F1において重度の耳の腫脹が観察された。これは、オキサゾロン再曝露の後の約24時間の間に炎症が発症することを示す。ACCを経口投与したマウスは、対照群よりも軽度の炎症を発症した。ACCに基づくクリームを局所投与したマウス(F2群およびF3群)は、耳の腫脹を事実上示さなかった。これは、炎症の発症がほとんど無いか全く無いことを示す。
【0209】
図2Bは、試験開始から試験終了までの試験群に応じた処置マウスの平均体重を示す。処置群の間で体重の異常は認められなかった。無処置の対照群において体重の減少が観察され、それよりは軽度の減少が群F4(ACC給餌群)において見られた。
【0211】
全ての試験群は、右耳と左耳の間で同様の比率(1.14〜1.19の間で変動)を示した。
【0212】
結論:この試験では、マウスにおける遅延型過敏症(DTH)モデルを用いることによって、皮膚炎症を含む疾患の治療におけるACCの使用について検討した。この試験の結果は、局所的なACCに基づくクリームの投与がマウスの耳の腫脹を有意に防止および/または低減し、従って、炎症の発症を防止または低減するということを実証した。これらの結果に基づいて、ACCを使用して炎症(自己免疫関連炎症を含む)を治療および/または改善できると結論付けることができる。
【0213】
実施例5.皮膚の病気の治療および改善におけるACCの使用(製剤9)
試験設計:様々な皮膚の疾患および状態(乾癬など)に罹患している患者が、数週(例えば4週)にわたって1日に数回(例えば1日に2回)、その処置可能領域の一部を本発明による局所ACC製剤で処置される。他の部分は、プラセボ処置され、陰性対照として使用される。実験全体を通して、紅斑(赤み)、硬化(肥厚)および落屑(スケーリング)などの臨床パラメータを追跡する。重症度パラメータは、0〜4(無し〜最大)の尺度で測定および等級付けされる。次に、全ての重症度パラメータの合計が、処置領域および対照領域について算出される。
【0214】
以下は、上記の実験で使用されてよい、本発明の原理に従う例示的局所クリームである:ACC−2.7%、蜜ろう(besswax)−3%、イソステアリルイソステアレート−7%、シクロペンタシロキサン&PEG/PPG−18/18 ジメチコン−26.3%、シクロテトラシロキサン&シクロペンタシロキサン−29%、シクロペンタシロキサン&ジメチコンクロスポリマー−14.5%、水素化ヒマシ油−1%、プロピレングリコール−10%、C
30〜45アルキルジメチルシリルポリプロピルシルセスキオキサン−2%、ジメチコン−4.5%。
【0215】
化粧品成分の国際命名法(INCI)による名称「シクロペンタシロキサン(および)PEG/PPG−18/18 ジメチコン」は、70〜90%のシクロペンタシロキサン(デカメチルシクロペンタシロキサン)と10〜30%のPEG/PPG−18/18 ジメチコン(ジメチル、メチルヒドロキシプロピル、エトキシル化プロポキシル化シロキサン)との混合物を指す。
【0216】
INCI名「シクロペンタシロキサン(および)ジメチコンクロスポリマー」は、70〜90%のシクロペンタシロキサン(デカメチルシクロペンタシロキサン)と10〜30%のジメチコンクロスポリマー(ジメチルメチル水素シロキサンの、1,5−ヘキサジエンとの反応生成物)との混合物を指す。
【0217】
「ジメチコン」、「ポリジメチルシロキサン」および「PDMS」なる名称は互換的に使用され、通常はシリコーンと呼称される高分子有機ケイ素化合物の群を一般に指す。PDMSは、化学式CH
3[Si(CH
3)
2O]
nSi(CH
3)
3(式中、nは、繰り返されるモノマー[(CH
3)
2SiO]単位の数である)のものであり、965kg/m
3の密度であり、CASレジストリ番号63148−62−9が割り当てられている。
【0218】
実施例6.半固体製剤(製剤10、11)
練り歯磨き:グリセリン−70.3%、沈降シリカ−21%、ラウリル硫酸ナトリウム−1%、香料−0.2%、二酸化チタン−1%、ACC−5%、カルボキシメチルセルロースナトリウム−1.5%。
【0219】
坐薬:固形脂肪(水素化ココグリセリド)−30%、ココアバター−2%、ACC−5%、グリセリン−10%、PEG400−23%、固形脂肪&グリセロールモノオレエート−15%、固形脂肪&グリセリルリシノレエート&エトキシル化脂肪アルコール−15%。
【0220】
実施例7.粘度および密度の測定(製剤9)
種々の回転速度でBrookfield Digital Viscometer Model DV−II+ProおよびSpindle #16を使用して製剤9(実施例5の局所クリーム)の粘度を室温(24.8℃)で測定した。2rpmでの粘度は56,208cPであり、1.5rpmでの粘度は63,640cPであり、1rpmでの粘度は74,784cPである。クリームの密度は0.97グラム/mLである。
【0221】
本発明を具体的に説明してきたが、当業者であれば、多くの変更および改変をなすことができると理解するであろう。従って、本発明は、具体的に記載された実施形態に限定されるように解釈されるべきではなく、むしろ、本発明の範囲、趣旨および概念は、添付の特許請求の範囲を参照することで、より容易に理解されるであろう。