【実施例】
【0098】
材料および方法
【0099】
植物材料
the Robert H. Smith Faculty of Agriculture,Food and Environment,The Hebrew University of Jerusalemのリシアンサスプロジェクトには、6つの異なる育種企業の50種を超える商業用雑種に由来する数百種の異なる育種系統および遺伝資源、ならびに様々な供給源から取得された野生型のE.grandiflorumおよびE.exaltatumが含まれる。
【0100】
実生の作製および植物の生育条件
特にHishtil Ltd.IsraelのNehalim苗畑(イスラエル)で、360または406の標準的なリシアンサス播種用トレイにおいて播種を実施した。Hishtil Ltd.Company(イスラエル)の施設で実生を生育させた。2010年まではNehalimのHishtil苗畑で実生を生育させ、2011年からはSusya(イスラエル)で生育させた。標準的な商業用雑種が生育する条件の下で実生を生育させ、標準的なリシアンサスの低温(春化)要求性を満たした。
【0101】
典型的には、Rehovot(イスラエル)に位置するthe Faculty of Agriculture,Food and Environment of the Hebrew University of Jerusalemの農場において選択および種子生産を実施した。開花期は必ず、播種の時期に応じて春から夏(4月から8月)に生じた。標準的なリシアンサス用プロトコルに従って、ならびに生育条件および生育段階に合わせて、潅水および施肥を実施した。特定の症状発現の後にのみ、および開花の開始前にのみ、作物保護処理を実施した。表現型の特徴付けに使用される植物において、最初の花を折り取った。2回目の開花期に収穫を実施した。
【0102】
花の受粉および種子の取扱い
自家受粉:
1.段階3(蕾が膨らみ始める;花弁が萼片よりも高い)〜段階6(外に出た雄しべ;閉じた柱頭;
図1)の間の花を紙袋で覆った。
2.花を覆ってから5〜14日後に袋を開けて手作業で自家受粉を実施した。受粉の後、再び花を紙袋内に封じた。
【0103】
手作業での自家受粉によって生産された種子のみが、真の自家受粉種子であるとみなされた。
【0104】
他家受粉:
1.段階3の花(蕾が膨らみ始める;花弁が萼片よりも高い;
図1)を手作業で開いて、葯を除去した。除雄された花をそれぞれ、紙袋内に封じた。
2.葯の除去から7〜14日後にそれぞれの花の紙袋を開けて、雄親の葯を柱頭に付着させることによって、あるいは70%エタノールで滅菌したブラシであって花粉で覆ったブラシを用いて、柱頭に花粉を手作業で塗布した。手作業での受粉の後、再び花を紙袋内に封じた。
【0105】
(自家受粉および他家受粉の両方について)受粉から50〜75日後に、果実を紙袋内に回収し、37〜45℃のインキュベーターまたは乾燥器の中に入れて乾燥を完了させた。播種するまで、±7℃および湿度30%にて種子を保存した。
【0106】
表現型の特徴付け
本明細書に記載される形質は、多数の形質を特徴付けるという、表現型に関する大規模な試みに基づいており、その試みに基づいて、遺伝的集団の特徴付けのための詳細な表現型カタログを作成するために113の形質が選択された。
【0107】
種々の表現型の特徴を規格化するために、いくつかの用語についての共通言語を定義する必要があった。
【0108】
花に関する段階:
図1に示されるように、出蕾初期から老化までの9つの異なる発達段階が定義された。
段階1:閉じた蕾。萼片は花弁よりも高い(長い)。
段階2:蕾の膨化の開始。萼片および花弁は、ほぼ同じ長さである。
段階3:大きな蕾。萼片は花弁よりも短い。膨らんだ蕾。
段階4:開き始めた花弁。雄しべは完全には成熟していない。
段階5:花が開き始める。花弁同士が分かれている。雄しべは外に出ていない。柱頭は閉じている。
段階6:開いた花。外に出た雄しべ。閉じた柱頭。
段階7:開花期。外に出た雄しべ。開いた柱頭。
段階8:花が萎れ始める。花弁が色あせ、閉じ始める。
段階9:老化。
【0109】
分枝:2つ以上の葉の対を有する分枝のみが分枝と定義された。
【0110】
花蕾:苞葉から生じて1cm超の長さである花蕾のみが花蕾と定義された。
【0111】
開花時期:最初の花が発達段階6(開いた花;外に出た雄しべ;閉じた柱頭;
図1)に達した日。
【0112】
収穫時期:2番目の花が発達段階7(開花期;
図1)に達した日。
【0113】
抽苔:栄養生長から開花への植物の移行は、茎の出現および伸長によって特定された(
図2)。抽苔の度合は、3つの異なる時点によって定義された。
(a)抽苔18週[抽苔(18)]:播種から18週間後における系統ごとの抽苔した植物の割合。
(b)抽苔20週[抽苔(20)]:播種から20週間後における系統ごとの抽苔した植物の割合。
(c)抽苔22週[抽苔(22)]:播種から22週間後における系統ごとの抽苔した植物の割合。
【0114】
2回目の一斉開花に関連した形質:最初の一斉開花の花を収穫した後の植物であって2回目の一斉開花に至るまでの生育の間の植物を表すいくつかの形質。
(a)2回目の一斉開花の生存率[SF.survival]:系統ごとの、収穫後に生き延びて2回目の一斉開花があった植物の割合。
(b)植物あたりの2回目の一斉開花時の茎数[SF.S_PLN]:2回目の一斉開花における植物あたりの分枝(brunches)の数。
(c)2回目の一斉開花におけるロゼット形成率[SF.rosettin]:系統ごとの、最初の収穫の後にロゼットを示して抽苔しなかった植物(
図2A)の割合。
(d)2回目の一斉開花までの日数[SF.days]:系統ごとの、最初の収穫から2回目の収穫(2回目の一斉開花時の収穫)までの最小日数。
【0115】
花の器官のサイズ:花の種々の器官のサイズは、ローラー(2011年中)を用いて、または画像解析(2012年中)によって、測定された。
(a)小花柄の長さ[Pedicel.LN]:全ての時期においてローラーによって測定された、主茎上の花を保持する最後の節間の長さ(
図3C)。
【0116】
4つの主な実験を通じて表現型解析を実施した。
【0117】
2011年、温室:プラスチック製の温室内で加熱することなく8リットルのペール容器において植物を水耕栽培した。使用した栽培用培地は「Odem93」(Tuff Marom Golan Ltd.、イスラエル)(凝灰岩が2/3、泥炭が1/3)であった。それぞれの組換え近交系統(RIL)を、温室内にランダムに配置された3つの容器に植え付けた。容器はそれぞれ、5株のRIL複製体(RIL replicate)を含んだ(RILごとに合計15株の複製体)。さらに、ファミリーレベルでの育種および特徴付けのために、単一の容器に各RIL由来の6株の複製体を植え付けた。温室の総面積は150m
2であった。植え付けの日付は2011年2月15日であった。開花は2011年4月22日に開始した。
【0118】
2012年、温室:2011年の実験に関して記載したのと同一の様式および同じ温室で植物を栽培した。この年の実験は戻し交配系統(BCL)であるF5BC1を含んだため、スペースの制約が原因で、各系統を2つの容器にのみ植え付けた(系統ごとに合計10株の複製体)。植え付けの日付は2012年1月12日であった。開花は2011年4月15日に開始した。
【0119】
2012年、ネットハウス:ネットハウス内で、粗い凝灰岩層の上の薄い凝灰岩層という2相の栽培用培地を含む大きな一列のプラスチック容器において植物を水耕栽培した。単一の場所に、系統ごとに6株の複製体を植え付けた。1m
2あたり30株の植物という密度で植物を栽培した。ネットハウスの総面積は100m
2であった。植え付けの日付は2012年1月12日であった。開花は2012年5月22日に開始した。
【0120】
2013年、SHTIL NETO温室:プラスチック製の温室内で、泥炭を含む大きな実生トレイ(1.5インチ)において植物を栽培した。177種の異なる系統(系統ごとに合計11株の複製体)。播種の日付−2013年7月29日;抽苔の終了−2013年10月20日。
【0121】
発芽から収穫までの栽培期間全体を通じて表現型解析を実施した。主な解析は、開花期に焦点を当て、以下のように実施された:祝日等の特定のイベントは別として週に3回(日曜日、火曜日および木曜日)、各植物で最初に開いた花を記録し、撮影し、取り除いた。生育し続けて収穫時期(上記で定義した通り)に達した植物を収穫した。収穫した植物の表現型決定は、収穫の日およびその翌日に実施した。収穫された植物に関して実施されなかった他の表現型決定解析ならびに花瓶に入れた切り花の表現型決定、および育種作業は、収穫日とは別の日に実施した。
【0122】
DNA抽出
新鮮な若葉を採取し、直ちに液体窒素で凍結させた。凍結させた組織は、DNA抽出まで−80℃に保持した。標準的なマイクロプレップのプロトコル(Fulton T M et al.,1995.Plant Mol.Biol.Report.13:207−209)を用いてDNA抽出を実施した。
【0123】
QTL解析
それぞれの集団および実験について別々に、平均化した列データに対してQTLマッピング解析を実施した。RILにおける特定のマーカーについてのヘテロ接合体遺伝子型は、マーカーの解析から除外した。実験における系統ごとの形質スコアを平均化することによって、順序(ordinal)形質および二元(表現型の有無)形質の両方を、名称を付けた性質を有する形質に変換した。Shapiro−Wilk検定を実施して各形質の分布の正規性仮定を調べ、形質を、正規と非正規の表現型分布を示すものとして分類した。正規および非正規の表現型分布のための方法(Borman K W and Sen S.,2009.A guide to QTL mapping with R/qtl 1st ed.(Springer New York))に従ってLODスコアを算出した。一般に、正規分布の形質については、一方向ANOVA(マーカー回帰)に類似するlog
10尤度比検定を適用し、非正規分布の形質については、Kruskal−Wallis検定の統計量を2で割ったもの(ln10)を用いた。計算は全て、R統計ソフトウェアによって行われた。RILにおけるホモ接合体野生型アレルまたはBCLにおけるヘテロ接合体アレルに起因する差の百分率としてQTLの効果(Effect)を算出した。
【数1】
式中:μ(gra)=QTLに関してホモ接合体のE.grandiflorum植物の形質平均値;μ(exs)=QTLに関してホモ接合体のE.exaltatum植物の形質平均値;μ(het)=QTLに関してヘテロ接合体の植物についての形質平均値。
【0124】
QTLの割り当ては、いくつかの段階で行われた:
1.複数の集団のうちの1つにおける複数の実験のうちの少なくとも1つでLODスコアが2.5という閾値を超える、表現型と遺伝子型との関連性が選択された。
2.QTLについての以前の発見(Lander E S and Schork N J.,1994.Science 265(5181):2037−2048.)のおかげで閾値を低くすることができるため、段階1で選択された関連性について1を超えるLODスコア(<0.031のp値)を示す実験は全て、QTLを示す実験と断定された。
3.いくつかの隣接するマーカーが同じ形質と相関していた場合、その形質についての主なQTLは、連鎖が観察された実験の数に基づいて、およびLODスコアによって、選択された。そのQTLが1つのネットハウス実験だけで検出された場合、そのQTLは除かれた。これは、この実験が、実験設計(系統ごとに1プロットのみ)に起因する生物学的反復数の少なさおよび/またはscirtothripsの蔓延に影響される植物の数の多さの影響を受け、従ってその信頼性が低いためである。
【0125】
QTL地図については、いくつかの密接に関連した形質が同じ遺伝子座に関連している場合にQTLを表すように形質を選択した。割り当てられた形質は、より多くの実験において有意性を示した形質であったか、有意な実験が同数の場合には、より高い平均LODスコアを有する形質であった。いくつかの有意な実験の場合において、地図上に示されるべき効果を以下の順序で選択した:1.白集団、2012;2.白集団、2011;3.ピンク集団、2012;4.ピンク集団、2011。
【0126】
実施例1:組換え近交系統(RIL)
2006年中に、商業用雑種ならびにE.grandiflorumおよびE.exaltatumの野生型寄託物に由来する種々の純系間で140超の交配を実施した(the Hebrew University of Jerusalem(イスラエル)のコレクション)。2007年におけるF
1集団およびそれらの親の表現型の特徴付けは、本明細書に提示される研究で使用される2種の種間組換え近交系統(RIL)の選択を可能にした。その選択は、主に(A)表現型から観察される親系統のホモ接合性;(B)F
1の均一性;および(C)親系統の表現型の特徴、に基づいていた。最終的に、2種の遺伝学的遺伝子移入集団を徹底的調査のために選択した。
【0127】
E.exaltatumとピンク花および白花の栽培バックグラウンドに由来する2種のE.grandiflorumの系統との間での交配から2種のRIL集団を作製した。親系統の主な特徴は以下の通りである。
E.exaltatum:単一の小さな紫色の花、株立ちで生長、遅い開花、強い概日リズム挙動、ロゼットを形成する傾向が無い細い葉および細い茎。交配に使用された寄託物は非常に高い均一性を示し、これは、それがホモ接合型の純系であることを意味した。
E.grandiflorumピンク:中程度のサイズの単一の花、強いピンク色、弱い頂芽優勢、短い節間、花の収量が多い、ロゼット化傾向、および、全体として典型的な夏品種の生育(良好な熱耐性、遅い生育)。
E.grandiflorum白:大きな八重咲きの白い花、多くの花弁、強い頂芽優勢、花の収量が少ない、および、全体として典型的な冬品種の生育(抽苔に中程度の温度を必要とする;速い生育)。
戻し交配系統(BCL)を作製するために、F
5RIL系統をそれらのE.grandiflorum親株と戻し交配させた。2種のRILの構築についての概要を
図4に示す。
【0128】
実施例2:表現型のデータ
2つの場所において、2つの別個の後代について表現型観察を実施した。2011年には、1つの場所における2つのRIL集団を特徴付けした。2012年には、2つの場所における2つのRIL集団および2つのBCL集団を特徴付けした(表3)。実験は必ず親系統およびF
1後代を含み、統計解析は、ランダムに植え付けられた複数の反復物に基づいていた(上述の材料および方法を参照のこと)。
【0129】
【表3】
【0130】
実施例3:遺伝子地図
RIL集団のそれぞれについて、利用可能な遺伝子マーカーを用いて2つの遺伝子地図を構築した。
【0131】
Cornell Universityのthe Institute of Genomic Researchのサービスとして利用可能なシーケンシングによる遺伝子型決定(GBS)のプラットフォーム(Elshire R J et al.2011.PLoS One 6:e19379)を用いてDNA多型データを作成した。このようなプラットフォームを用いて、マーカー検出およびスコア付けを同時に行い、厳密な品質管理を通過した数千個のSNPを検出した。the University of Wisconsin−Madison,Department of Biostatistics&Medical InformaticsのKarl W.Bromanによって開発およびコンパイルされ、およびTechnical Report #214(In:Broman K W and Sen S A. Guide to QTL Mapping with R/qtl. New York:Springer;2009)に記載された、R/qtlの遺伝子地図構築ツールを用いてSNPをマッピングした。マーカーの全てのペアについての推定組換え割合(左上の三角形)およびLODスコア(右下の三角形)のプロットを作成した(
図5)。約4500種のマーカーが、隣接するマーカー同士の間の最長距離が組換え価20%未満となるように決定されたマーカーから構成される69種の連鎖群をもたらした(
図6)。このカットオフは、連鎖群を誤って統一するのを防ぐために選択された。
【0132】
実施例4:春化非依存性を付与するQTLの特定
複雑な表現型の種々の構成要素の詳細を表示して複雑な隠れた生物学的事実を明らかにする一連のプログラムを発達させたPhenome Networks(Rehovot、イスラエル)(Zamir D.,2013.PLoS Biol.11:e1001595)のバイオインフォマティクス機能を用いてQTLを特定した。Phenome Networksは、適切な統計モデルを集団の遺伝学的構造に合致させる多数のR関数およびアルゴリズムを利用する。組み合わされた両方の集団に由来するホモ接合型RIにのみ基づく2013年のShtil Netoでの実験において解析されたように、春化のための主要なQTL(Lod20)は連鎖群2上に位置するということが
図7から明らかである。連鎖群2の詳細な図(
図8)は、QTLの効果が、その連鎖群上の30〜40cMの間の区間内においてピークを迎えることを示す。
【0133】
抽苔の表現型に影響を及ぼす最も強力なマーカーの1つがS1_74154018(配列番号15に記載される核酸配列を有する)であった。
図9に示されるように、遺伝子型1(E.grandiflorumアレルに関してホモ接合型)を有する植物のグループでは約15%の植物が抽苔を示し、残りの85%の植物がロゼットを形成して開花しなかったのに対し、遺伝子型3(E.exaltatumアレルに関してホモ接合型)を有するグループでは90%近い植物が抽苔した。これは、連鎖群2上でのQTLの位置を裏付ける。表4は、効果の再現性を示すホモ接合型RIについて実施された全ての実験からの抽苔データの概要を提示する。位置30.5046992に位置する遺伝子マーカーEG_0075(配列番号3に記載される核酸配列を有する)について
図15に示されるように、および位置38.2014392に位置する遺伝子マーカーS1_18474044(配列番号40に記載される核酸配列を有する)について
図16に示されるように、特定されたQTLの端の近傍に位置するマーカーでも同様の結果が得られた。
【0134】
【表4】
【0135】
予想外にも、QTLを春化非依存性と結びつける非常に類似した観察結果が、ヘテロ接合型RI雑種で見出された。この場合には、RIとそれぞれのE.grandiflorum親株との雑種の種子を発芽させた。
図10は、春化についての主要なQTL(Lod20)が、ホモ接合型集団の場合(
図7)に示されたように、連鎖群2上に位置することを示し、QTLの効果は、その連鎖群上の30〜40cMの間の区間内においてピークを迎えた(
図11)。
図12は、遺伝子型1(S1_74154018のE.grandiflorumアレルに関してホモ接合型)を有する植物では約40%の植物が抽苔し、残りの60%の植物がロゼットを形成して開花しなかったのに対し、遺伝子型2を有するグループ(S1_74154018のE.grandiflorumアレルを1つおよびS1_74154018のE.exaltatumアレルを1つ含むヘテロ接合型植物)では90%近い植物が抽苔したということを示す。表5は、効果の再現性を示すヘテロ接合型RIを用いて実施された全ての実験からの抽苔データの概要を提示する。
【0136】
これらの結果は、ホモ接合型の状態の場合にのみ有効であることが示されていた、これまでに知られている春化関連遺伝子とは逆に、春化に対する非感受性と関連するQTLが優性であるということを明確に実証する。
【0137】
【表5】
【0138】
この発見は、ファイトトロンにおいて高温条件(28℃を12時間および34℃を12時間という1日のサイクル)下で3ヵ月間、E.exaltatumの春化非依存性アレルに関してヘテロ接合型である雑種植物(F1pと命名)を栽培することによって、さらに確かめられた。主要な商業品種(Rosita White、Rosita2 Purple、Aube Pink Flush、Piccolo2 Hot Lips、Rosita3 Green、Eosita3 PinkおよびTzili)を対照として使用した。
図13で明確に示されるように、春化に依存する品種では最大で約28%が抽苔したのに対し、80%超のヘテロ接合型雑種植物が抽苔した。
【0139】
実施例5:さらなる表現型に対する、春化非依存性を付与するQTLの効果
野生型または祖先の植物から有益な形質を何度も遺伝子移入しようとする試みは、ドナーから受け入れ側の植物への望ましくない形質の遺伝学的引き込みが著しいという問題に直面する。しかし、本発明の植物では、望ましくない形質の引き込みを無視できただけでなく、QTLが、リシアンサスの生育パターンに典型的である2回目の一斉開花における茎の数にポジティブな影響を与えた。
図14は、遺伝子型1(E.grandiflorumアレルに関してホモ接合型)を有する植物では2回目の一斉開花における植物あたりの茎が平均で2.5本に過ぎないのに対し、遺伝子型3(E.exaltatumアレルに関してホモ接合型)の植物では2回目の一斉開花における植物あたりの茎が平均で3.5本であることを示す。
【0140】
QTLは、QTLを含む植物において僅かに増大するという小花柄の長さに対する僅かに負の影響を有した。このような増大は、壊れやすい花を弱体化させるため、望ましくない。しかし、この影響は、小花柄が非常に短いという適切な遺伝的バックグラウンドを有するリシアンサス植物にQTLを導入することで克服される可能性がある。
【0141】
特定の実施形態についての上記の説明は、本発明の一般的性質を極めて完全に明らかにし、その結果、他者は現在の知識を適用することで、過度の実験を伴うことなく、および包括的概念から逸脱することなく、このような特定の実施形態を容易に改変し、および/または様々な用途に適合させることができる。従って、このような適合および改変は、開示される実施形態の等価物の意味および範囲内に包含されるべきであり、また、そのように意図される。本明細書で使用される表現または用語は、説明を目的としており、限定を目的としたものではないということが理解されるべきである。開示される様々な機能を実行するための手段、材料、および工程は、本発明から逸脱することなく様々な代替的形態をとってよい。