(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記画像表示制御情報は、MPD(Media Presentation Description)ファイルに設定された画像表示制御情報記録エレメントに、各デバイスタイプ別の情報として記録され、
前記データ処理部は、
MPDファイルの画像表示制御情報記録エレメントから、自装置の装置タイプと一致するデバイスタイプ情報が記録されたエレメントを選択して、選択エレメントに記録された画像表示方式を適用して画像表示処理を実行する請求項6に記載の情報処理装置。
異なる方向の画像を選択的に表示可能とした画像データ、及び、前記画像データに関する画像表示制御情報であり、画像表示を実行するデバイスタイプに応じた画像表示方式を規定した画像表示制御情報を格納したファイルを生成するデータ処理部と、
前記データ処理部の生成したファイルを送信する通信部と、
を有するデータ配信サーバであって、
前記画像表示制御情報には、
前記画像表示方式として、少なくとも、透視投影方式、または魚眼(広角)表示方式のいずれかの指定情報と、
ユーザ選択可能な画像表示領域対角角度情報についての記録情報と、
がさらに含まれ、
前記画像表示領域対角角度情報は、表示部に中心点を基準として画像を投影した際の、前記表示部上に投影された当該画像の範囲である矩形状の画像表示領域を規定する角度の情報であって、当該角度は、前記中心点と前記画像表示領域の対角線上の2つの頂点とを結ぶことによってなす角の角度である、
データ配信サーバ。
異なる方向の画像を選択的に表示可能とした画像データ、及び、前記画像データに関する画像表示制御情報であり、画像表示を実行するデバイスタイプに応じた画像表示方式を規定した画像表示制御情報を、
格納した情報記録媒体であり、
前記画像表示制御情報には、
前記画像表示方式として、少なくとも、透視投影方式、または魚眼(広角)表示方式のいずれかの指定情報と、
ユーザ選択可能な画像表示領域対角角度情報についての記録情報と、
がさらに含まれ、
前記情報記録媒体からの読み出しデータの再生を実行する再生装置において、
前記画像表示制御情報に記録された自装置タイプに一致するデバイスタイプ対応であって、前記指定情報に従った表示方式を適用し、且つ、ユーザ選択情報の入力に応じて選択された画像表示領域対角角度を適用して、画像表示を実行させることを可能とし、
前記画像表示領域対角角度情報は、表示部に中心点を基準として画像を投影した際の、前記表示部上に投影された当該画像の範囲である矩形状の画像表示領域を規定する角度の情報であって、当該角度は、前記中心点と前記画像表示領域の対角線上の2つの頂点とを結ぶことによってなす角の角度である、
情報記録媒体。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本開示の情報処理装置、および情報処理方法、並びにプログラムの詳細について説明する。なお、説明は以下の項目に従って行なう。
1.画像表示処理の概要について
2.指定の画像表示方式を選択して画像表示処理を実行する構成の概要について
3.(実施例1)MP4ファイルにデバイスの利用すべき画像表示方式を規定した実施例について
3−1.(画像表示制御情報記録例1)MP4ファイルにコンテンツ単位の表示方式指定情報を記録する記録例について
3−2.(画像表示制御情報記録例2)MP4ファイルに表示デバイス単位の表示方式指定情報を記録する記録例について
3−3.(画像表示制御情報記録例3)MP4ファイルにユーザが選択できる方式を制限する表示方式指定情報を記録する記録例について
4.MP4ファイルに記録された画像表示制御情報を利用した画像表示制御処理シーケンスについて
5.(実施例2)MPDに画像表示制御情報を記録した実施例について
6.MPDファイルに記録された画像表示制御情報を利用した画像表示制御処理シーケンスについて
7.情報処理装置のハードウェア構成例について
8.本開示の構成のまとめ
【0022】
[1.画像表示処理の概要について]
まず、
図1以下を参照して、全天球画像や全方位画像、あるいはパノラマ画像等、様々な方向の画像を表示部に表示可能とした装置における画像表示処理の概要について説明する。
【0023】
前述したように、昨今、全天球画像や全方位画像、あるいはパノラマ画像等、様々な方向の画像を撮影可能な撮像装置が開発され、このような撮像装置を用いて撮影された画像をPCや、タブレット端末、携帯端末、あるいはヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)等の表示部に表示し、ユーザが選択した任意方向の画像を観察可能としたシステムが広く利用されている。
【0024】
例えば、周囲360度の全方位画像の映像(動画像)データを外部サーバから取得、あるいは記録メディアから読み出してユーザのPC等の表示装置に表示させることができる。ユーザは、サーバや記録メディアから取得した画像データから、任意方向の画像を選択して表示装置に表示させ、自由に視点を変えながら映像(動画像)や静止画を観察することが可能となる。
【0025】
図1は、携帯端末の表示部に様々な方向の画像を選択して表示した例を説明する図である。
図1に示す画像データ10は、パノラマ画像である。水平方向360度の画像が1枚の画像データとして設定されている。
画像データの中心部がユーザ(観察者)の正面方向(例えば0度=北方向)の画像とすると、画像データ10の左端がユーザ(観察者)の後ろ方向(−180度=南方向)の画像であり、画像データ10の右端もユーザ(観察者)の後ろ方向(+180度=南方向)の画像である。
画像データ10の左端と右端は同じ位置の画像となる。
【0026】
なお、全天球画像や全方位画像、すなわち360度パノラマ画像の場合は、上下方向については180度の画像が撮影されており、上下左右全方向の画像が含まれる。
以下の実施例では、水平方向360度のパノラマ画像を利用した例について説明するが、本開示の構成は、全天球画像や全方位画像を利用した場合にも適用可能であり、異なる方向の画像を選択的に表示可能とした装置において本開示の構成を適用することができる。
【0027】
以下の説明においてパノラマ画像は、水平方向360度のパノラマ画像、全天球画像や全方位画像等の360度パノラマ画像、その他、画像移動により異なる方向の画像を表示可能とした画像全般を含むものとする。
【0028】
図1下段には、ユーザの情報処理装置の一例である携帯端末20を示している。
携帯端末20の表示部には、画像データ10の一部の領域、例えばユーザが任意に選択した領域の画像を表示することができる。
【0029】
左側の携帯端末20の表示画像Aは、画像データ10内の一部領域の画像区間a1〜a2の部分区間の領域画像である。
右側の携帯端末20の表示画像Bは、画像データ10内の一部領域の画像区間b1〜b2の部分区間の領域画像である。
ユーザは、タッチパネルとして構成された表示部に対する指のスライド処理などによって、表示画像を移動させて、任意の領域の画像を表示することができる。
【0030】
なお、携帯端末20には、スピーカ25が備えられており、表示画像に併せて記録された音声データが出力される。
【0031】
図2は、ヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)30を利用してパノラマ画像を表示した例である。
ヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)30に画像を表示する場合は、HMDに搭載した頭部の動きや方向を検出するセンサ情報に応じて、ユーザの頭の向きに応じた画像を表示させる。この画像表示制御により、ユーザは、あたかもHMDの表示部に表示された画像の中に存在しているような感覚を味わうことができる。
【0032】
HMD30を装着したユーザが左を向いたときの画像が表示画像Pである。
HMD30を装着したユーザが右を向いたときの画像が表示画像Qである。
HMD30を装着したユーザは、体(頭)の向きを変更することで、周囲360度の画像を観察することができる。
なお、ヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)30にも、スピーカ35が備えられており、表示画像に併せて記録された音声データが出力される。
【0033】
[2.指定の画像表示方式を選択して画像表示処理を実行する構成の概要について]
図1、
図2を参照して説明したパノラマ画像や、全天球画像や全方位画像等を表示部に表示する際には、撮影された様々な方向の画像の中から一部の画像のみを切り出して表示する処理が実行される。
この画像切り出しを伴う表示処理の方式には、複数の異なる方式がある。
例えば、大きく分類すると、
透視投影(perspective)方式、
魚眼(広角)表示(fish eye)方式、
などがある。
【0034】
透視投影(perspective)方式は、
図3(a)に示すように、ある中心点Oを基準点として射影される撮影画像ABCDを表示画像XYZWに変換するものである。魚眼(広角)表示(fish eye)方式は、魚眼レンズを適用した画像射影変換方式であり、
図3(b)に示すように、画像を仮想球面の中心点Oを基準点として、仮想球面上に投影して、さらに、投影画像を表示用の平面画像に変換する方式である。
なお、魚眼レンズを適用した射影変換方式には、立体射影、等距離射影、等立体角射影、正射影等、様々な方式がある。
【0035】
一般的に、表示装置、例えば、PC、携帯端末、HMD等の表示装置には、所定の表示方式を実行するアプリケーション(プログラム)が格納されており、このアプリ(アプリケーション)に従って選択された表示方式に従って表示処理が実行される。
しかし、この各アプリが選択する表示方式は、コンテンツ製作者の意図、すなわちコンテンツ製作者が見てほしい画像を実現する表示方式に一致するとは限らない。
【0036】
コンテンツ製作者が想定している表示方式と異なる表示方式を利用して画像表示が実行されると、コンテンツ製作者の意図した「見てほしい画像」を、ユーザ(観察者)は見ることができないという問題が発生する。
以下、この問題点を解決する本開示の構成について説明する。
以下において説明する本開示の情報処理装置は、全方位画像等、ユーザの操作や動作に応じて様々な方向の画像を出力する画像表示処理に際して、最適な表示方式、例えば、コンテンツ製作者が見てほしい画像を表示する表示方式を選択して実行することを可能とする。
【0037】
まず、本開示の情報処理装置の実行する処理の概要について説明する。
図1、
図2を参照して説明したパノラマ画像や、全天球画像や全方位画像等を表示部に表示する情報処理装置としては、例えば、以下のような種類(デバイスタイプ)がある。
(a)ユーザ操作(マウス、タッチパネル操作、スワイプ、リモコン)によって表示画像を移動、変更する装置
(a1)PC
(a2)タブレット端末
(a3)携帯端末
(a4)TV
【0038】
(b)ユーザ(観察者)またはデバイス(表示装置)の動き、向き等の検出センサからの検出情報に応じて表示画像を移動、変更する装置
(b1)外部が全く見えないタイプの没入型HMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ)
(b2)外部も透けて見えるタイプのグラス型HMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ)
(b3)モバイル機器等の携帯端末(モーションセンサで画面移動を行うことを可能とした機器)
【0039】
これらの様々な情報処理装置の表示部に、パノラマ画像、全天球画像、全方位画像等を表示する際、情報処理装置のデータ処理部は、画像に対応して設定されたメタデータを読み込み、メタデータに指定された表示方式を適用して表示処理を実行する。
メタデータに記録される指定方式としては、例えば以下の方式がある。
(1)変換せず、すべて表示する無変換全表示方式
(2)透視投影(perspective)方式、
(3)魚眼を2つ使い、360度すべてを表示する方式、
(4)魚眼(広角)表示(立体射影:Stereograhic)方式、
(5)魚眼(広角)表示(等距離射影:Equidistant)方式、
(6)魚眼(広角)表示(等立体角射影:Wquisolid angle)方式、
(7)魚眼(広角)表示(正射影:Orthographic)方式、
(8)表示方式を限定せず、情報処理装置、またはユーザ指定を許容する設定、
例えば、これら(1)〜(8)のいずれかの指定情報を画像対応のメタデータとして記録して情報処理装置に画像とともに提供する。
【0040】
情報処理装置は、画像表示に際して、表示画像に対応付けられたメタデータを参照して、メタデータに記録された指定方式に従って表示処理を実行する。
なお、メタデータは、例えば、以下のいずれかのファイルに記録する。
(1)AVコンテンツの格納ファイルとして規定されるMP4ファイル、
(2)MPEG−DASH規格において規定されたシグナリングデータ(メタデータ)を構成する1つのマニフェストファイルであるMPD[メディア・プレゼンテーション・ディスクリプション(Media Presentation Description)]ファイル、
上記MP4ファイル、またはMPDファイルに格納して、画像表示を実行するユーザ装置(情報処理装置)に提供される。
【0041】
以下の2つの実施例について、順次、説明する。
(実施例1)MP4ファイルにデバイスの利用すべき画像表示方式を規定した実施例
(実施例2)MPDファイルにデバイスの利用すべき画像表示方式を規定した実施例
【0042】
[3.(実施例1)MP4ファイルにデバイスの利用すべき画像表示方式を規定した実施例について]
まず、実施例1としてMP4ファイルにデバイスの利用すべき画像表示方式を規定した実施例について説明する。
【0043】
図4は、実施例1に従って本開示の画像表示制御を実行する情報処理装置70、および情報処理装置70に対して画像および音声データを含むコンテンツを提供するサーバ50と、メディア60を示した図である。
【0044】
全天球画像や全方位画像、あるいはパノラマ画像等の画像データと音声データは、例えば
図4に示すサーバ50から情報処理装置70に提供される。または、
図4に示すメディア60から情報処理装置70に提供される。
【0045】
サーバ50には、例えば放送局等の放送サーバ51、その他のデータ配信サーバ52が含まれる。
コンテンツは、放送波やインターネット等のネットワークを介して情報処理装置70に送信される。
情報処理装置70は、放送波やインターネット等のネットワークを介してサーバ50から送信されるコンテンツを受信し再生する。
【0046】
また、メディア60には、情報処理装置に装着されるディスク、フラッシュメモリ、ハードディスク等の様々なメディアが含まれる。
情報処理装置70は、これらのメディアに記録されたコンテンツを読み取り再生する。
【0047】
コンテンツ再生を行なう情報処理装置は、例えばTV71、PC72、携帯端末73、ヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)74等であり、画像表示部、音声出力部(スピーカ)を備えた装置である。
【0048】
サーバ50、あるいはメディア60から情報処理装置70に提供されるコンテンツは、全天球画像、または全方位画像、あるいはパノラマ画像等、様々な方向の画像を選択的に表示可能な画像データと音声データを含むコンテンツである。
このコンテンツは、例えばMP4ファイル81に格納されて提供される。
【0049】
MP4ファイル81は、ISOベースメディアファイルフォーマットに従ってデータが記録されたファイルである。
ISOベースメディアファイルフォーマットは、ISO/IEC14496−12で規定されたデータフォーマットであり、例えばフラッシュメモリ等に対する記録データ、あるいは、放送波やネットワークを介した送信データファイルの格納データとして適したデータフォーマットである。
【0050】
ISOベースメディアファイルフォーマットは、例えば、画像(Video)、音声(Audio)、字幕(Subtitle)等、コンテンツ構成データである符号化データや、これらのデータに関するメタデータ(属性情報)を記録媒体(メディア)に記録する際に利用されている。さらに、放送波やネットワークを介して伝送するデータのデータ格納フォーマットとしても利用されている。
【0051】
昨今の多くの携帯端末は、ISOベースメディアファイルフォーマットに従って記録されたMP4データを再生可能な再生アプリケーションを有しており、携帯端末のメディアにコンテンツを記録する場合、MP4形式で記録することが求められる場合が多い。
【0052】
図5、
図6を参照して、ISOベースメディアファイルフォーマットの概要について説明する。
図5には、ISO/IEC14496−12で規定されたISOベースメディアファイルフォーマットの例を示している。
図5に示すMP4ファイルは、ISOベースメディアファイルフォーマットに従ったデータの記録あるいは再生処理における1つの処理単位として設定されるファイルである。
【0053】
MP4ファイルは、ボックス(box)単位の領域設定がなされ、各ボックスには、ボックス単位で定義されたデータが格納される。
各ボックスは、ボックスサイズ(box−size)、ボックスタイプ(box−type)、ボックスデータ(box−data)の各領域を有する。
ボックスサイズ(box−size)には、ボックスのデータ長(バイトサイズ)が記録される。
ボックスタイプ(box−type)には、ボックスに格納するデータの種類が記録される。
ボックスデータ(box−data)には、ボックスタイプで示される種類のデータが記録される。
【0054】
図5に示すMP4ファイルには、以下のタイプのボックスが設定される。
moovボックス、
trakボックス、
mdatボックス、
上記の各ボックスが設定される。
【0055】
画像、音声、字幕等の再生対象データである実データはmdatボックスに格納される。
また、mdatボックスに格納したデータに関する属性情報、再生制御情報等のメタデータは、moovボックス内のtrakボックスに格納される。
【0056】
moovボックスは、MP4ファイルのmdatボックスに格納されたデータのメタデータ(再生制御情報や属性情報)の格納領域として設定されるボックスである。
moovボックス内には、1つ以上のtrakボックスが設定される。trakボックスは、例えば画像、音声、字幕等のデータ種類別に設定可能であり、各データのメタデータを格納する。
【0057】
図6を参照して、MP4ファイルに対するデータ格納構成例について説明する。MP4ファイルには、前述したように以下の各ボックスが設定される。
moovボックス、
trakボックス、
mdatボックス、
上記の各ボックスが設定される。
【0058】
mdatボックスには、例えば、
(a)画像
(b)音声
(c)字幕
これらのデータを格納する。
【0059】
ISOベースメディアファイルフォーマットのデータ部であるmdatボックスの格納データは、基本データ単位としてのサンプル(sample)に区分される。
1つのmdatボックスには画像サンプルのみの集合、あるいは音声サンプルのみの集合、または字幕サンプルのみの集合、いずれか同一種類のデータサンプルの集合が格納されることになる。
【0060】
moovボックスは、MP4ファイルのmdatボックスに格納されたデータのメタデータ(再生制御情報や属性情報)の格納領域である。
moovボックス内には、1つ以上のtrakボックスが設定される。trakボックスは、例えば画像、音声、字幕等のデータ種類別に設定可能であり、各データのメタデータを格納する。
【0061】
図6に示すtrak(Video)ボックスは、画像データに関する属性情報や制御情報を格納した画像対応メタデータ格納ボックスである。
trak(Audio)ボックスは、音声データに関する属性情報や制御情報を格納した画像対応メタデータ格納ボックスである。
trak(Subtitle)ボックスは、字幕データに関する属性情報や制御情報を格納した画像対応メタデータ格納ボックスである。
【0062】
なお、MP4ファイルに格納される再生データに複数の異なる画像データ、例えば2K画像、4K画像等が含まれる場合には、これらの画像種類単位の制御情報をtrak(Video)ボックスに記録することが可能である。
【0063】
また、MP4ファイルの格納音声データに複数の異なる音声データ、例えば日本語音声、英語音声等が含まれる場合には、これらの音声種類に応じた音声チャンネル単位の個別の制御情報をtrak(Audio)ボックスに記録することが可能である。
また、BGM、ナレーション、被写体(オブジェクト)音声等についても、これら各音声チャンネル(音声出力オブジェクトも含む)単位の個別の制御情報をtrak(Audio)ボックスに記録することが可能である。
【0064】
次に、
図7を参照して、trak(Video)ボックスに記録される画像対応の具体的な制御情報記録例について説明する。
図7に示す画像表示制御情報は、パノラマ画像等、様々な方向の画像を選択的に表示することを可能とした画像データを表示部に表示する情報処理装置70に提供される画像表示制御情報である。
具体的には、MP4ファイルに格納された画像データ(パノラマ画像、全天球画像、全方向画像等)の画像表示に際して、以下のいずれの表示方式を実行するかを決定するために利用される制御情報である。
(1)変換せず、すべて表示する無変換全表示方式
(2)透視投影(perspective)方式、
(3)魚眼を2つ使い、360度すべてを表示する方式、
(4)魚眼(広角)表示(立体射影:Stereograhic)方式、
(5)魚眼(広角)表示(等距離射影:Equidistant)方式、
(6)魚眼(広角)表示(等立体角射影:Wquisolid angle)方式、
(7)魚眼(広角)表示(正射影:Orthographic)方式、
(8)表示方式を限定せず、情報処理装置、またはユーザ指定を許容する設定、
例えば、これら(1)〜(8)のどの方式に従った画像表示を実行するかについて決定するための制御情報である。
【0065】
trak(Video)ボックスに記録される制御情報は、
図7に示すようなデータとして記録される。
すなわち、例えば、以下のデータである。
【0066】
aligned(8) class ProjectionType extends
FullBox('PJTT'){
unsigned int(8)device_count;
for(i=1;i<=device_count;i++){
unsigned int(7)device_type;
unsigned int(1)user_selection_flag;
unsigned int(8)default_projection_type;
unsigned int(8)default_diagonal_angle;
if(user_selection_flag){
unsigned int(8)user_selection_type_num;
for(j=1;j<=user_selection_type_num;j++){
unsigned int(8)user_projection_type;
unsigned int(8)user_diagonal_angle;
}
}
}
}
【0067】
図7および上記に示す画像表示方式を指定する制御情報には、
(a)デバイスタイプ別指定情報90、
(b)ユーザ選択許容情報96、
これら(a),(b)の各情報が含まれる。
【0068】
デバイスタイプ別指定情報90は、PC、ヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)等のデバイスの種類(タイプ)に応じた表示方式の指定情報を記録した領域である。
デバイスタイプ別指定情報90には、1以上のデバイスタイプ単位の表示方式が繰り返し記録されるループ領域である。
例えば、
PCと、タブレット端末に対する指定表示方式を第1ループに記録し、
HMDに対する指定表示方式を第2ループとして記録するといった設定で、各デバイスタイプに応じた表示方式の指定情報が記録される。
【0069】
デバイスタイプ別指定情報90内の「表示方式指定対象となるデバイスタイプ(device_type)92」に記録されたデバイスタイプ識別子に対応するデバイスは、そのデバイスタイプ別指定情報90の記録領域に指定された表示方式を適用して画像表示を実行することが要求される。
【0070】
ユーザ選択許容情報96は、デバイスタイプ別指定情報90内の「ユーザ選択可否フラグ93(user_selection_flag)」の設定が、ユーザ選択を許容している設定値の場合に利用され、ユーザが自由に選択できる表示方式を記録した領域である。
「ユーザ選択可否フラグ93(user_selection_flag)」の設定が、ユーザ選択を許容している設定値の場合、ユーザ選択許容情報96に記録された選択肢の中から、ユーザが自由に表示方式を決定することができる。
【0071】
以下、
図7に示す画像表示方式制御情報の各記録データの詳細について説明する。
図7に示す制御データ中の、
「device_count」
上記データは、
図7に示すように、
「デバイス区分数(ループ数)91」である。すなわち、デバイスタイプ別指定情報90に記録された「デバイス区分数(ループ数)91」である。
デバイスタイプとは、画像表示を行う情報処理装置の種別であり、PC、HMD等の種類に相当する。
【0072】
例えば、デバイスタイプ別指定情報90が以下の2つのループから構成されているとする。
(第1ループ)PCと、タブレット端末に対する指定表示方式、
(第2ループ)HMDに対する指定表示方式、
このように、2つのループが記録されている場合、「デバイス区分数(ループ数)(device_count)91」は、
2
となる。
【0073】
また、
図7に示す記制御データ中の、
「device_type」
上記データは、
図7に示すように、
「表示方式指定対象となるデバイスタイプ92」である。
デバイスタイプの設定値とデバイスタイプの対応関係の具体例について、
図8を参照して説明する。
【0074】
図8に示すように、デバイスタイプ設定値と、デバイスのタイプ(種類)との対応は、以下の通りである。
デバイスタイプ設定値=0:デバイス指定なし:全デバイスで利用可(他に0以外の値が併記されている場合は、併記された設定値に対応するデバイス以外のデバイスで利用可)
デバイスタイプ設定値=1:没入型ヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)[HMD表示部の表示画像のみ観察可能なHMD]
デバイスタイプ設定値=2:グラス型ヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)[HMD表示部の表示画像に併せてHMDを透過した外部の景色も併せて観察可能なHMD]
デバイスタイプ設定値=3:ユーザによる画面操作(マウス、タッチ操作等)によって画像移動を可能としたユーザ画面操作型デバイス[PC、タブレット端末、携帯端末等]
デバイスタイプ設定値=4:ユーザによるデバイス移動操作(デバイスを振る等のモーション操作等)によって画像移動を可能としたユーザモーション操作型デバイス[タプレット端末、携帯端末等]
【0075】
例えば、デバイスタイプ別指定情報90の第1ループが、HMDに対する指定表示方式である場合、
その第1ループの「表示方式指定対象となるデバイスタイプ(device_type)92」は、
デバイスタイプ設定値=1,2
となる。
デバイスタイプ設定値=1,2に対応するHMDは、以下に記録された表示方式を適用して表示処理を実行することが要求される。
【0076】
なお、
図8に示す対応関係の設定は一例である。
図8に示す対応関係と異なる設定も可能であり、また
図8に示すデバイス種類以外のデバイスについて設定値を設定する構成としもてよい。
【0077】
図7に示す記制御データ中の、
「user_selection_flag」
上記データは、
図7に示すように、
「ユーザ選択可否フラグ93」である。
これは、表示方式をユーザが選択可能か否かを示すフラグである。例えば、
ユーザ選択可否フラグ=1、
ユーザ選択可否フラグ=0、
これらのフラグ設定がある。
【0078】
ユーザ選択可否フラグ=1の場合、
図7に示す、
「ユーザ指選択可能表示方式(user_projection_type)96」、
「ユーザ選択可能表示領域対角角度(user_diagonal_angle)97」
これらのデータ記録領域に設定された表示方式、および表示領域対角角度から、ユーザが選択した設定で表示処理を実行することが可能となる。
【0079】
図7に示す記制御データ中の、
「projection_type」
上記データは、
図7に示すように、
「指定表示方式94」である。
指定表示方式(projection_type)の設定値と表示方式の対応関係の具体例について、
図9を参照して説明する。
【0080】
図9に示すように、指定表示方式(projection_type)の設定値と表示方式の対応関係は、以下の通りである。
指定表示方式設定値=0:指定なし[情報処理装置(表示装置)側で決定した表示方式を利用可]
指定表示方式設定値=1:画像をそのまま表示(画像変換を行なわない)
指定表示方式設定値=2:透視投影方式
指定表示方式設定値=3:2つの魚眼を利用した360度画像全表示方式
指定表示方式設定値=4:魚眼(広角)表示方式[=立体射影(Stereographic)表示方式]
指定表示方式設定値=5:魚眼(広角)表示方式[=等距離射影(Equidstant)表示方式]
指定表示方式設定値=6:魚眼(広角)表示方式[=等立体角射影(Equisolid angle)表示方式]
指定表示方式設定値=7:魚眼(広角)表示方式[=正射影(Orthographic)表示方式]
【0081】
なお、
図9に示す設定は一例である。
図9に示す設定と異なる設定も可能である。また
図9に示す表示方式以外の表示方式について設定値を設定する構成としもてよい。
【0082】
図7に示す記制御データ中の、
「diagonal_angle」
上記データは、
図7に示すように、
「表示領域対角角度95」である。
表示領域対角角度(diagonal_angle)は、
図8に示す表示方式(c)2:透視投影方式〜(h)7:魚眼(広角)表示方式において、規定される表示領域対角角度を規定した領域である。
図8に示す表示方式(c)2:透視投影方式〜(h)7:魚眼(広角)表示方式を実行する場合、表示領域対角角度を指定することが必要であり、この指定角度情報が記録される。
図10に透視投影方式における対角角度(角度BOD)、
図11に魚眼(広角)方式における対角角度(角度BOD)の例を示す。
【0083】
図7に示す記制御データ中の、
「user_projection_type」
上記データは、
図7に示すように、
「ユーザ選択可能表示方式97」である。
また、
図7に示す記制御データ中の、
「user_diagonal_angle」
上記データは、
図7に示すように、
「ユーザ選択可能表示領域対角角度98」である。
【0084】
前述したように、ユーザ選択許容情報96は、デバイスタイプ別指定情報90内の「ユーザ選択可否フラグ93(user_selection_flag)」の設定が、ユーザ選択を許容されることを示す設定値の場合に利用され、ユーザが自由に選択できる表示方式を記録した領域である。
「ユーザ選択可否フラグ93(user_selection_flag)」の設定が、ユーザ選択を許容している設定値の場合、ユーザ選択許容情報96の、
「ユーザ選択可能表示方式97」に記録された表示方式選択肢の中から、ユーザが自由に表示方式を決定することができる。
同様に、「ユーザ選択可能表示領域対角角度98」に記録された表示領域対角角度選択肢の中から、ユーザが自由に表示領域対角角度を決定することができる。
【0085】
図7に示す画像表示制御情報は、先に
図5、
図6を参照して説明したMP4ファイルの画像(Video)対応の制御情報(メタデータ)記録領域であるtrakボックスに記録される。
画像表示制御情報記録領域であるtrakボックス内には、様々な制御情報を記録することができる。
【0086】
図7に示す画像表示制御情報を記録するtrakボックス内に設定する記録位置の1つの例について、
図12を参照して説明する。
【0087】
(制御情報格納例1)
図12に示す制御情報格納例1について説明する。
図12に示す例は、MP4ファイルの画像表示制御情報格納ボックスであるtrakボックス内のユーザデータを格納するユーザデータ(udta)ボックス内の下位ボックスとして画像表示制御情報(Projection Type)記録ボックスを設定した例である。
図7に示す制御情報を
図12に示す画像表示制御情報(Projection Type)記録ボックスに記録する。
【0088】
MP4ファイル81には、例えば
図12を参照して説明したメタデータ記録領域に画像表示制御情報を記録することができる。
以下、MP4ファイルに対する具体的な制御情報記録例として、以下の3つの記録例について、順次、説明する。
(画像表示制御情報記録例1)MP4ファイルにコンテンツ単位の表示方式指定情報を記録。
(画像表示制御情報記録例2)MP4ファイルに表示デバイス単位の表示方式指定情報を記録。
(画像表示制御情報記録例3)MP4ファイルにユーザが選択できる方式を制限する表示方式指定情報を記録。
【0089】
以下、各画像表示制御情報記録例について説明する。
[3−1.(画像表示制御情報記録例1)MP4ファイルにコンテンツ単位の表示方式指定情報を記録する記録例について]
まず、画像表示制御情報記録例1として、MP4ファイルにコンテンツ単位の表示方式指定情報を記録する記録例について説明する。
【0090】
MP4ファイルにコンテンツ単位の表示方式指定情報を記録する場合、MP4ファイルの記録データの設定は、以下のような設定となる。
デバイス区分数(ループ数)(device_count)=1
デバイスタイプ(device_type)=0(指定なし)、
これらの設定とする。
【0091】
さらに、
図7に示す画像表示制御情報の記録データにおいて、
「デバイスタイプ別指定情報90」記録領域には、
1つのループが設定され、全てのデバイスに共通の1つの記録方式が記録される。
図7に示す記制御データ中の、
「指定表示方式(projection_type)94」には、
図9に示すいずれかの設定値を記録する。
【0092】
すなわち、
指定表示方式設定値=0:指定なし[情報処理装置(表示装置)側で決定した表示方式を利用可]
指定表示方式設定値=1:画像をそのまま表示(画像変換を行なわない)
指定表示方式設定値=2:透視投影方式
指定表示方式設定値=3:2つの魚眼を利用した360度画像全表示方式
指定表示方式設定値=4:魚眼(広角)表示方式[=立体射影(Stereographic)表示方式]
指定表示方式設定値=5:魚眼(広角)表示方式[=等距離射影(Equidstant)表示方式]
指定表示方式設定値=6:魚眼(広角)表示方式[=等立体角射影(Equisolid angle)表示方式]
指定表示方式設定値=7:魚眼(広角)表示方式[=正射影(Orthographic)表示方式]
これらいずれかの設定値が記録される。
【0093】
さらに、
図7に示す記制御データ中の、
「表示領域対角角度(diagonal_angle)95」には、必要に応じて、指定の表示領域対角角度データが記録される。
【0094】
画像表示を実行するPC、HMD等の表示デバイス(情報処理装置)は、画像表示制御情報を解釈して、指定された表示方式を実行して画像表示処理を実行する。
【0095】
[3−2.(画像表示制御情報記録例2)MP4ファイルに表示デバイス単位の表示方式指定情報を記録する記録例について]
次に、画像表示制御情報記録例2として、MP4ファイルに表示デバイス単位の表示方式指定情報を記録する記録例について説明する。
【0096】
MP4ファイルに表示デバイス単位の表示方式指定情報を記録する場合、MP4ファイルの記録データの設定は、例えば以下のような設定となる。
デバイス区分数(ループ数)(device_count)=2
デバイスタイプ別指定情報中に以下の2つのループを設定する。
デバイスタイプ(device_type)=1(HMD)、
デバイスタイプ(device_type)=0(指定なし)、
これらの設定とする。
【0097】
デバイスタイプ別指定情報の第1ループには、
デバイスタイプ(device_type)=1(HMD)に対応する記録方式指定情報を記録する。
図7に示す記制御データ中の、
「指定表示方式(projection_type)94」には、
図9に示すいずれかの設定値を記録する。
さらに、
図7に示す記制御データ中の、
「表示領域対角角度(diagonal_angle)95」には、必要に応じて、指定の表示領域対角角度データを記録する。
【0098】
また、デバイスタイプ別指定情報の第2ループには、
デバイスタイプ(device_type)=0(指定なし)に対応する記録方式指定情報を記録する。
図7に示す記制御データ中の、
「指定表示方式(projection_type)94」には、
図9に示すいずれかの設定値を記録する。
さらに、
図7に示す記制御データ中の、
「表示領域対角角度(diagonal_angle)95」には、必要に応じて、指定の表示領域対角角度データを記録する。
【0099】
画像表示を実行する表示デバイス(情報処理装置)がHMDである場合は、デバイスタイプ別指定情報の第1ループに記録された指定方式、すなわち、
「指定表示方式(projection_type)94」、
「表示領域対角角度(diagonal_angle)95」、
これらの指定データに従って、画像表示処理を実行する。
【0100】
画像表示を実行する表示デバイス(情報処理装置)がHMD以外である場合は、デバイスタイプ別指定情報の第2ループに記録された指定方式、すなわち、
「指定表示方式(projection_type)94」、
「表示領域対角角度(diagonal_angle)95」、
これらの指定データに従って、画像表示処理を実行する。
【0101】
[3−3.(画像表示制御情報記録例3)MP4ファイルにユーザが選択できる方式を制限する表示方式指定情報を記録する記録例について]
【0102】
次に、画像表示制御情報記録例3として、MP4ファイルにユーザが選択できる方式を制限する表示方式指定情報を記録する記録例について説明する。
【0103】
MP4ファイルにユーザが選択できる方式を制限する表示方式指定情報を記録する場合、MP4ファイルの記録データの設定は、例えば以下のような設定となる。
デバイスタイプ別指定情報90内の「ユーザ選択可否フラグ93(user_selection_flag)」の設定を、ユーザ選択を許容する設定値とする。
ユーザ選択可否フラグ=1、
【0104】
さらに、ユーザ選択許容情報96に、ユーザの選択可能な方式等を記録する。
「ユーザ選択可能表示方式(user_projection_type)97」、
「ユーザ選択可能表示領域対角角度(user_diagonal_angle)98」、
これらの各データ記録領域に、許容する表示方式と表示領域対角角度等を記録する。
【0105】
画像表示を実行する表示デバイス(情報処理装置)は、
「ユーザ選択可能表示方式(user_projection_type)97」、
「ユーザ選択可能表示領域対角角度(user_diagonal_angle)98」、
これらの領域に記録された方式、角度からユーザが選択した方式と角度を適用して画像表示処理を実行する。
【0106】
[4.MP4ファイルに記録された画像表示制御情報を利用した画像表示制御処理シーケンスについて]
次に、情報処理装置において実行する画像表示制御処理シーケンス、すなわち、MP4ファイルに記録された画像表示制御情報を利用した画像表示制御処理シーケンスについて説明する。
【0107】
図13、
図14に示すフローチャートは、ユーザ装置である情報処理装置70において実行する画像表示制御処理シーケンスを説明するフローチャートである。
情報処理装置70は、表示部(ディスプレイ)、音声出力部(スピーカ)を有する。
情報処理装置70は、例えばTV、PC、携帯端末、ヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)等である。
【0108】
情報処理装置70は、例えば
図4に示すサーバ50、あるいはメディア60からMP4ファイルを取得し、MP4ファイルに記録されたコンテンツを再生する。
再生コンテンツは、全天球画像、全方向画像、パノラマ画像等、様々な方向の画像を観察可能とした画像を含み、さらに画像に併せて再生される音声情報を含むコンテンツである。
【0109】
画像データ、音声データは、MP4ファイルに格納され、さらにこれらの画像データ、音声データに対応する制御情報もMP4ファイルに格納されている。
画像表示制御情報には、先に
図7を参照して説明した制御情報が含まれる。
【0110】
情報処理装置70において実行する処理シーケンスについて
図13、
図14に示すフローチャートを参照して説明する。
なお、
図13、
図14に示すフローチャートに従った処理は、情報処理装置70において実行される。情報処理装置70はプログラム実行機能を持つCPUを備えたデータ処理部を有し、データ処理部の制御下で各処理が実行される。なお、情報処理装置70のハードウェア構成例については後段で説明する。
【0111】
図13、
図14に示すフローの各ステップの処理について説明する。
(ステップS101)
情報処理装置のデータ処理部は、ステップS101において、MP4ファイルを取得する。
【0112】
(ステップS102)
次に、情報処理装置のデータ処理部は、ステップS102において、取得したMP4ファイルから、画像表示制御情報を取得する。
例えば、
図7を参照して説明した画像表示制御情報である。
【0113】
(ステップS103)
次に、情報処理装置のデータ処理部は、ステップS103において、ステップS102で取得した画像表示制御情報から、デバイスタイプ別指定情報を取得する。
図7を参照して説明したデバイスタイプ別指定情報90である。
【0114】
先に
図7を参照して説明したように、デバイスタイプ別指定情報90は、PC、ヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)等のデバイスの種類(タイプ)に応じた表示方式の指定情報を記録した領域である。
デバイスタイプ別指定情報90には、1以上のデバイスタイプ単位の表示方式が繰り返し記録されるループ領域である。
例えば、
PCと、タブレット端末に対する指定表示方式を第1ループに記録し、
HMDに対する指定表示方式を第2ループとして記録するといった設定で、各デバイスタイプに応じた表示方式の指定情報が記録される。
【0115】
(ステップS104)
次に、情報処理装置のデータ処理部は、ステップS104において、デバイスタイプ別指定情報に記録されたデバイスタイプ(device_type)の設定値が自装置のデバイスタイプと一致するデータ記録領域(ループ)を選択する。
【0116】
(ステップS105)
次に、情報処理装置のデータ処理部は、ステップS105において、ステップS104で選択したデバイスタイプ別指定情報内のループに記録されたユーザ選択可否フラグ(user_selection_flag)の設定値がユーザ選択可を示すか否かを判定する。
ユーザ選択可の設定の場合は、ステップS201に進む。
ユーザ選択不可の設定の場合は、ステップS106に進む。
【0117】
(ステップS106)
ステップS104で選択したデバイスタイプ別指定情報内のループに記録されたユーザ選択可否フラグ(user_selection_flag)の設定値がユーザ選択不可の設定であった場合、ステップS106の処理を実行する。
情報処理装置のデータ処理部は、ステップS106において、デバイスタイプ別指定情報内の選択ループに記録された、
(a)指定表示方式(projection_type)、
(b)表示領域対角角度(diagonal_angle)
これら(a),(b)の指定に従って、画像表示処理を実行する。
【0118】
(ステップS201)
一方、ステップS104で選択したデバイスタイプ別指定情報内のループに記録されたユーザ選択可否フラグ(user_selection_flag)の設定値がユーザ選択可の設定であった場合、ステップS201の処理を実行する。
【0119】
情報処理装置のデータ処理部は、ステップS201において、ユーザ選択許容情報領域に記録された、
(a)ユーザ選択可能表示方式(user_projection_type)、
(b)ユーザ選択可能表示領域対角角度(user_diagonal_angle)
これらの各データを取得し、これらの許容方式と許容角度情報を表示部に表示する。
すなわち、ユーザに希望の方式と角度を選択させるためのUIを提示する。
【0120】
(ステップS202)
次に、情報処理装置のデータ処理部は、ユーザの入力情報、すなわち、ユーザの希望する表示方式と表示領域角度情報を入力する。
【0121】
(ステップS203)
次に、情報処理装置のデータ処理部は、ユーザの入力情報、すなわち、ユーザの希望する表示方式と表示領域角度情報に従って選択した方式と角度を適用して画像表示処理を実行する。
【0122】
[5.(実施例2)MPDに画像表示制御情報を記録した実施例について]
次に、実施例2としてMPDに画像表示制御情報を記録した実施例について説明する。
図15は、実施例2に従って本開示の画像表示制御を実行する情報処理装置70、および情報処理装置70に対して画像および音声データを含むコンテンツを提供するサーバ50と、メディア60を示した図である。
【0123】
全天球画像や全方位画像、あるいはパノラマ画像等の画像データと音声データは、
図4に示すサーバ50から送信、またはメディア60から読み取られて情報処理装置70に提供される。
【0124】
サーバ50は、例えば放送局等の放送サーバ51、その他のデータ配信サーバ52が含まれ、放送波やインターネット等のネットワークを介して、様々なデータが情報処理装置70に送信される。
情報処理装置70は、放送波やインターネット等のネットワークを介してサーバ50からの送信データを受信し再生する。
【0125】
メディア60は、情報処理装置に装着されるディスク、フラッシュメモリ、ハードディスク等の様々なメディアである。
情報処理装置70は、これらのメディアの記録データを読み出し、再生する。
【0126】
コンテンツ再生を行なう情報処理装置は、例えばTV71、PC72、携帯端末73、ヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)74等であり、画像表示部、音声出力部(スピーカ)を備えた装置である。
【0127】
サーバ50、あるいはメディア60から情報処理装置70に提供されるコンテンツは、全天球画像、または全方位画像、あるいはパノラマ画像等、様々な方向の画像を選択的に表示可能な画像データと音声データを含むコンテンツである。
このコンテンツは、先に説明した実施例1と同様、例えばMP4ファイル81に格納されて提供される。
【0128】
先に説明した実施例1では、MP4ファイルのメタデータ格納領域であるtrakボックスに例えば
図7を参照して説明したような画像表示制御情報を記録する構成とした。
本実施例2では、
図15に示すMP4ファイル81に格納された画像データに関する画像表示制御情報をMP4ファイル81と別のMPDファイル82に格納して情報処理装置70に提供する。
【0129】
MPD[メディア・プレゼンテーション・ディスクリプション(Media Presentation Description)]ファイル82は、ストリーミング配信コンテンツに関する規格であるMPEG−DASH規格において規定されたシグナリングデータ(メタデータ)を構成する1つのマニフェストファイルである。
MPDファイル82は、動画や音声ファイルの管理情報であるメタデータを記述するためのマニフェストファイルである。
本実施例2は、このMPDファイル82に、MP4ファイル81に格納された画像データに関する画像表示制御情報を記録する構成とした実施例である。
【0130】
MPDファイル82は、例えばあるコンテンツの再生時間を細分化した時間区間であるピリオド(Period)単位で、様々な制御データを記録することができる。
【0131】
図16、
図17を参照してMPDファイルの構成例について説明する。
図16は、MPDフォーマットの一例を示す図である。
図16に示すように、MPDは、画像や、音声それぞれのストリームごとに、以下の様々な規定範囲単位で属性等の情報や制御情報を記述可能である。
(1)時間軸上の区間を規定したピリオド(Period)
(2)画像、音声等のデータ種類等を規定したアダプテーションセット(AdaptatiobSet)
(3)画像、音声等のさらに下位の細分化データ種類を規定したリプレゼンテーション(Representation)
(4)画像、音声のセグメント(AVセグメント)単位の情報記録領域となるセグメントインフォ(SegmentInfo)
【0132】
図17は、MPDに記録されるAVセグメント対応の情報(制御情報や管理情報、属性情報など)を時系列に展開して示した図である。
左から右に時間が経過するものとする。この時間軸は、例えば情報処理装置におけるAVコンテンツの再生時間に対応する。
【0133】
AVセグメントに対応する様々な情報がMPDに記録される。なお、例えばサーバ50から情報処理装置70にMPDファイル82を提供する場合、MPDはシグナリングデータとして、再生対象実データであるAVセグメントを格納したMP4ファイル81に先行して送信される。
【0134】
情報処理装置70は、MPDを解析して、再生対象実データであるAVセグメントを格納したMP4ファイル81のアクセス情報やコーデック情報を取得して、MP4ファイル81に格納されたAVセグメントの再生準備を整えることが可能となる。
【0135】
MPDは、
図16を参照して説明したように、
(1)ピリオド(Period)
(2)アダプテーションセット(AdaptatiobSet)
(3)リプレゼンテーション(Representation)
(4)セグメントインフォ(SegmentInfo)
これらの階層設定の下に、AVセグメントに関する属性情報、制御情報等のメタデータ(シグナリングデータ)を記録する構成となっている。
【0136】
図17は、これらのメタデータ記録領域を時間軸、およびデータ種類別に展開して示した図である。
【0137】
図17には、一例としてピリオド1(Period(1))、ピリオド2(Period(2)の2つのピリオドを示し、さらに、ピリオド1(Period(1))に以下の3つのアダプテーションセット(AdaptationSet)を示している。
(V11)画像対応情報記録領域であるアダプテーションセットV11(AdaptatiobSet(V11))
(A11)日本語音声対応情報記録領域であるアダプテーションセットA11(AdaptatiobSet(A11))
(A12)英語音声対応情報記録領域であるアダプテーションセットA12(AdaptatiobSet(A12))
【0138】
(V11)画像対応情報記録領域であるアダプテーションセットV11(AdaptatiobSet(V11))は、異なる属性を持つストリーム単位の情報記録領域として、以下の2つのリプレゼンテーション(Representation)を有する。
(V111)低ビットレート画像対応の情報記録領域であるリプレゼンテーション(V111)(Representation(V111))
(V112)高ビットレート画像対応の情報記録領域であるリプレゼンテーション(V112)(Representation(V112))
【0139】
同様に、(A11)日本語音声像対応情報記録領域であるアダプテーションセットA11(AdaptatiobSet(A11))は、以下のリプレゼンテーション(Representation)を有する。
(A111)日本語音声対応の情報記録領域であるリプレゼンテーション(A111)(Representation(A111))
同様に、(A12)英語音声像対応情報記録領域であるアダプテーションセットA12(AdaptatiobSet(A12))は、以下のリプレゼンテーション(Representation)を有する。
(A121)英語音声対応の情報記録領域であるリプレゼンテーション(A121)(Representation(A121))
【0140】
さらに、各リプレゼンテーション(Representation)は、セグメント単位で情報が記録可能な構成となっている。
【0141】
例えば、時刻t1に高ビットレート画像と日本語音声を選択して再生する情報処理装置(クライアント)は、再生対象とする高ビットレート画像と日本語音声に関する情報をMPDから選択して取得することになる。
この選択対象とするMPDの記録情報が、図に示すセグメント領域201,202の情報となる。
【0142】
このように、受信装置は、シグナリングデータとして送信装置から送信されるMPDから、自装置で再生対象とするデータ(セグメント)に対応する情報のみを選択して参照する。
このように、MPDには、データ種別、時間単位のセグメント対応情報を記録することができる。
【0143】
以下に説明する実施例2では、
図15に示すMP4ファイル81に、再生対象データである画像や音声データ(AVセグメント)を格納し、MPDファイル82に、MP4ファイル81に格納した画像や音声データ(AVセグメント)に関する制御情報を格納した実施例である。
【0144】
MPDにパノラマ画像等の画像表示制御情報を記録する場合、MPDの構成要素であるロールエレメント(Role Element)に新規の記述子(Descriptor)を準備する。画像制御情報対応のURIは、例えば、"http://foo.bar/scheme/DefaultProjectionType"と"http://foo.bar/scheme/UserProjectionType"とする。
【0145】
MPDには、以下の2つの区分(a),(b)において各々、指定表示態様を記録する。
(a)デフォルト表示方式(DefaultProjectionType)として、画像再生時に自動で選択される表示形式を記録する。
(b)ユーザ表示方式(UserProjectionType)として、ユーザが選択可能な表示形式を記録する。
MPDには、これら2通りの区分各々に指定された記録方式情報を記録する。
【0146】
これらの各区分において、記録する指定値(Value)は、次のようなコンマ区切りの値とする。
設定値(value)=(x,y,z)
とした場合、
x=デバイスタイプ(device_type)、
y=指定表示方式(projection_type)、
z=表示領域対角角度(diagonal_angle)
とする。
【0147】
(x,y,z)に設定する値は、以下の通りである。
x=デバイスタイプ(device_type)には、先に
図8を参照して説明した値を設定する。すなわち、
デバイスタイプ設定値=0:デバイス指定なし:全デバイスで利用可(他に0以外の値が併記されている場合は、併記された設定値に対応するデバイス以外のデバイスで利用可)
デバイスタイプ設定値=1:没入型ヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)[HMD表示部の表示画像のみ観察可能なHMD]
デバイスタイプ設定値=2:グラス型ヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)[HMD表示部の表示画像に併せてHMDを透過した外部の景色も併せて観察可能なHMD]
デバイスタイプ設定値=3:ユーザによる画面操作(マウス、タッチ操作等)によって画像移動を可能としたユーザ画面操作型デバイス[PC、タブレット端末、携帯端末等]
デバイスタイプ設定値=4:ユーザによるデバイス移動操作(デバイスを振る等のモーション操作等)によって画像移動を可能としたユーザモーション操作型デバイス[タプレット端末、携帯端末等]
x=デバイスタイプ(device_type)には、これらの値(0〜4)のいずれかの値を設定する。
【0148】
y=指定表示方式(projection_type)には、先に
図9を参照して説明した値を設定する。すなわち、
指定表示方式設定値=0:指定なし[情報処理装置(表示装置)側で決定した表示方式を利用可]
指定表示方式設定値=1:画像をそのまま表示(画像変換を行なわない)
指定表示方式設定値=2:透視投影方式
指定表示方式設定値=3:2つの魚眼を利用した360度画像全表示方式
指定表示方式設定値=4:魚眼(広角)表示方式[=立体射影(Stereographic)表示方式]
指定表示方式設定値=5:魚眼(広角)表示方式[=等距離射影(Equidstant)表示方式]
指定表示方式設定値=6:魚眼(広角)表示方式[=等立体角射影(Equisolid angle)表示方式]
指定表示方式設定値=7:魚眼(広角)表示方式[=正射影(Orthographic)表示方式]
y=指定表示方式(projection_type)には、これらの値(0〜7)のいずれかの値を設定する。
【0149】
z=表示領域対角角度(diagonal_angle)は、
図8に示す表示方式(c)2:透視投影方式〜(h)7:魚眼(広角)表示方式において規定される表示領域対角角度を記録する。
例えば、180、120等の角度情報を記録する。
【0150】
MPDに画像表示制御情報を記録した場合のXMLデータの例を
図18、および以下に示す。
【0151】
<MPD>
<Period>
<AdaptationSet mime−type="video/mp4">
<Role schemeIdUri="http://foo.bar/scheme/DefaultProjectionType" value="1,2,120">
<Role schemeIdUri="http://foo.bar/scheme/UserProjectionType" value="1,4,180">
<Role schemeIdUri="http://foo.bar/scheme/UserProjectionType" value="1,5,180">
<Role schemeIdUri="http://foo.bar/scheme/DefaultProjectionType" value="3,2,120">
<Role schemeIdUri="http://foo.bar/scheme/UserProjectionType" value="3,4,180">
<Role schemeIdUri="http://foo.bar/scheme/UserProjectionType" value="3,5,180">
<Representation>
<BaseURL> http;//foo.bar/video.mp4</BaseURL>
</Representation>
</AdaptationSet>
<AdaptationSet mime−type="audio/mp4">
<AudioChannelConfiguration schemeUri="urn:mpeg:dash:23003:3:audio_channel_configuration:2011" value="2">
<Representation>
<BaseURL> http;//foo.bar/audio.mp4</BaseURL>
</Representation>
</AdaptationSet>
</Period>
</MPD>
【0152】
図18に示すように、MPDには、複数の記録要素であるエレメント(ロールエレメント)が記録される。各エレメントが、例えば特定のデバイスタイプに対して指定される表示方式、表示領域角度情報を記録したエレメントである。
各エレメントには、以下の設定値が記録される。
設定値(value)=(x,y,z)
とした場合、
x=デバイスタイプ(device_type)251、
y=指定表示方式(projection_type)252、
z=表示領域対角角度(diagonal_angle)253、
【0153】
例えば、第1番目のエレメントは、
設定値(value)=(x,y,z)=(1,2,120)
上記設定である。
これは、以下の指定情報を記録している。
【0154】
x=デバイスタイプ(device_type)=1、
このx=1は、
図8に示す表から理解されるように、
デバイスタイプ設定値=1:没入型ヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)[HMD表示部の表示画像のみ観察可能なHMD]
HMDに対する表示方式を規定したエレメントである。
【0155】
y=指定表示方式(projection_type)=2、
このy=2は、
図9に示す表から理解されるように、
指定表示方式設定値=2:透視投影方式
この透視投影方式の指定情報である。
【0156】
z=表示領域対角角度(diagonal_angle)=120、
これは、透視投影方式に適用する表示領域対角角度の指定情報であり、
表示領域対角角度を120度とする指定情報である。
【0157】
表示装置のタイプが、没入型ヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)である場合、HMDは、このエレメント記録情報に従い、
透視投影方式を適用し、
表示領域対角角度を180度に設定して表示処理を実行する。
【0158】
なお、
図18に示す例では、
デバイスタイプ設定値=1:没入型ヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)[HMD表示部の表示画像のみ観察可能なHMD]
に関するエレメントが3通り、記録されている。すなわち、
設定値(value)=(x,y,z)=(1,2,120)
設定値(value)=(x,y,z)=(1,4,180)
設定値(value)=(x,y,z)=(1,5,180)
これら3つの設定値が記録されている。
これらの設定値の具体的利用態様は、たとえば以下の通りである。
例えば、デフォルト表示方式(DefaultProjectionType)の場合は下記を利用する。
設定値(value)=(x,y,z)=(1,2,120)
また、ユーザ表示方式(UserProjectionType)の場合は下記を利用する。
設定値(value)=(x,y,z)=(1,4,180)
設定値(value)=(x,y,z)=(1,5,180)
【0159】
このように同一デバイスタイプに対する設定値が複数記録されている場合は、これらの設定から1つを自由に選択して適用することが可能であることを意味する。
この例の場合、
デバイスタイプ設定値=1:没入型ヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)[HMD表示部の表示画像のみ観察可能なHMD]は、以下の3つの設定からいずれかを選択して利用することができる。
【0160】
(設定1)
y=指定表示方式(projection_type)=2:透視投影方式
z=表示領域対角角度(diagonal_angle)=120、
(設定2)
y=指定表示方式(projection_type)=4:魚眼(広角)表示方式[=立体射影(Stereographic)表示方式]
z=表示領域対角角度(diagonal_angle)=180、
(設定3)
y=指定表示方式(projection_type)=5:魚眼(広角)表示方式[=等距離射影(Equidstant)表示方式]
z=表示領域対角角度(diagonal_angle)=180、
【0161】
デバイスタイプ設定値=1:没入型ヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)[HMD表示部の表示画像のみ観察可能なHMD]は、上記の3つの設定からいずれかを選択して利用することができる。
【0162】
[6.MPDファイルに記録された画像表示制御情報を利用した画像表示制御処理シーケンスについて]
次に、情報処理装置において実行する画像表示制御処理シーケンス、すなわち、MPDファイルに記録された画像表示制御情報を利用した画像表示制御処理シーケンスについて説明する。
【0163】
図19、
図20に示すフローチャートは、ユーザ装置である情報処理装置70において実行する画像表示制御処理シーケンスを説明するフローチャートである。
情報処理装置70は、表示部(ディスプレイ)、音声出力部(スピーカ)を有する。
情報処理装置70は、例えばTV、PC、携帯端末、ヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)等である。
【0164】
情報処理装置70は、例えば
図4に示すサーバ50、あるいはメディア60からMPDファイルを取得し、MPDファイルに記録されたコンテンツを再生する。
再生コンテンツは、全天球画像、全方向画像、パノラマ画像等、様々な方向の画像を観察可能とした画像を含み、さらに画像に併せて再生される音声情報を含むコンテンツである。
【0165】
画像データ、音声データは、MP4ファイルに格納され、さらにこれらの画像データ、音声データに対応する制御情報はMPDファイルに格納されている。
情報処理装置70において実行する処理シーケンスについて
図19、
図20に示すフローチャートを参照して説明する。
なお、
図19、
図20に示すフローチャートに従った処理は、情報処理装置70において実行される。情報処理装置70はプログラム実行機能を持つCPUを備えたデータ処理部を有し、データ処理部の制御下で各処理が実行される。なお、情報処理装置70のハードウェア構成例については後段で説明する。
【0166】
図19、
図20に示すフローの各ステップの処理について説明する。
(ステップS301)
情報処理装置のデータ処理部は、ステップS301において、MPDファイルを取得する。
【0167】
(ステップS302)
次に、情報処理装置のデータ処理部は、ステップS302において、取得したMPDファイルから、画像表示制御情報を取得する。
例えば、
図18を参照して説明した画像表示制御情報である。
【0168】
(ステップS303)
次に、情報処理装置のデータ処理部は、ステップS303において、ステップS302で取得した画像表示制御情報から、画像表示制御情報記録エレメント(ロールエレメント)を取得する。
図18を参照して説明したロールエレメントである。
【0169】
先に
図18を参照して説明したように、MPDには、複数のロールエレメントが記録され、各々が、例えば特定のデバイスタイプに対して指定される表示方式、表示領域角度情報を記録したエレメントとなる。
すなわち、各エレメントには、以下の設定値が記録される。
設定値(value)=(x,y,z)
とした場合、
x=デバイスタイプ(device_type)251、
y=指定表示方式(projection_type)252、
z=表示領域対角角度(diagonal_angle)253、
これらの各設定値が記録される。
【0170】
x=デバイスタイプ(device_type)251には、
図8を参照して説明した設定値、すなわち、
デバイスタイプ設定値=0:デバイス指定なし:全デバイスで利用可(他に0以外の値が併記されている場合は、併記された設定値に対応するデバイス以外のデバイスで利用可)
デバイスタイプ設定値=1:没入型ヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)[HMD表示部の表示画像のみ観察可能なHMD]
デバイスタイプ設定値=2:グラス型ヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)[HMD表示部の表示画像に併せてHMDを透過した外部の景色も併せて観察可能なHMD]
デバイスタイプ設定値=3:ユーザによる画面操作(マウス、タッチ操作等)によって画像移動を可能としたユーザ画面操作型デバイス[PC、タブレット端末、携帯端末等]
デバイスタイプ設定値=4:ユーザによるデバイス移動操作(デバイスを振る等のモーション操作等)によって画像移動を可能としたユーザモーション操作型デバイス[タプレット端末、携帯端末等]
x=デバイスタイプ(device_type)には、これらの値(0〜4)のいずれかの値が設定される。
【0171】
y=指定表示方式(projection_type)には、先に
図9を参照して説明した値、すなわち、
指定表示方式設定値=0:指定なし[情報処理装置(表示装置)側で決定した表示方式を利用可]
指定表示方式設定値=1:画像をそのまま表示(画像変換を行なわない)
指定表示方式設定値=2:透視投影方式
指定表示方式設定値=3:2つの魚眼を利用した360度画像全表示方式
指定表示方式設定値=4:魚眼(広角)表示方式[=立体射影(Stereographic)表示方式]
指定表示方式設定値=5:魚眼(広角)表示方式[=等距離射影(Equidstant)表示方式]
指定表示方式設定値=6:魚眼(広角)表示方式[=等立体角射影(Equisolid angle)表示方式]
指定表示方式設定値=7:魚眼(広角)表示方式[=正射影(Orthographic)表示方式]
y=指定表示方式(projection_type)には、これらの値(0〜7)のいずれかの値が設定される。
【0172】
z=表示領域対角角度(diagonal_angle)は、
図8に示す表示方式(c)2:透視投影方式〜(h)7:魚眼(広角)表示方式において規定される表示領域対角角度が記録される。例えば、180、120等の角度情報が記録される。
【0173】
ステップS303では、この設定値(x,y,z)の記録されたエレメントを読み取る。
【0174】
(ステップS304)
次に、情報処理装置のデータ処理部は、ステップS304において、各エレメントに記録された設定値(x,y,z)中の、
デバイスタイプ識別子(x)が、自装置のデバイスタイプと一致するエレメントを選択する。
【0175】
(ステップS305)
次に、情報処理装置のデータ処理部は、ステップS305において、ステップS304で選択した自装置のデバイスタイプと一致するエレメントが、ユーザ選択を許容するユーザ表示方式(UserProjectionType)の指定があるか否かを判定する。
ユーザ選択を許容するユーザ表示方式(UserProjectionType)の指定がある場合は、ステップS401に進む。
ユーザ選択を許容するユーザ表示方式(UserProjectionType)の指定がない場合は、ステップS306に進む。
【0176】
(ステップS306)
ステップS304で選択した自装置のデバイスタイプと一致するエレメントでデフォルト設定のデフォルト表示方式(DefaultProjectionType)のみの指定の場合、ステップS306の処理を実行する。
情報処理装置のデータ処理部は、ステップS306において、デフォルト表示方式(DefaultProjectionType)のエレメントに記録された設定値、すなわち、
設定値(value)=(x,y,z)中のy,zの値を取得して、取得データに従って、画像表示処理を実行する。すなわち、
(y)=指定表示方式(projection_type)、
(z)=表示領域対角角度(diagonal_angle)
これら(y),(z)の指定に従って、画像表示処理を実行する。
【0177】
(ステップS401)
一方、ステップS304で選択した自装置のデバイスタイプと一致するエレメントが複数の場合、ステップS401の処理を実行する。
【0178】
情報処理装置のデータ処理部は、ステップS401において、選択された複数のエレメントに記録された設定値、すなわち、
設定値(value)=(x,y,z)中のy,zの値を取得して、表示部に表示する。すなわち、
(y)ユーザ選択可能表示方式(user_projection_type)、
(z)ユーザ選択可能表示領域対角角度(user_diagonal_angle)
これらの各データを取得し、これらの許容方式と許容角度情報を表示部に表示する。
すなわち、ユーザに希望の方式と角度を選択させるためのUIを提示する。
なお、ユーザ選択時においては、デフォルト表示方式(DefaultProjectionType)、およびユーザ表示方式(UserProjectionType)のどちらも表示してユーザに選択させる設定とする。
【0179】
(ステップS402)
次に、情報処理装置のデータ処理部は、ユーザの入力情報、すなわち、ユーザの希望する表示方式と表示領域角度情報を入力する。
【0180】
(ステップS403)
次に、情報処理装置のデータ処理部は、ユーザの入力情報、すなわち、ユーザの希望する表示方式と表示領域角度情報に従って選択した方式と角度を適用して画像表示処理を実行する。
【0181】
[7.情報処理装置のハードウェア構成例について]
次に、上述した実施例に従った処理を実行する情報処理装置、およびサーバのハードウェア構成例について、
図21を参照して説明する。
図21に示すハードウェアは、
図4、
図15に示す情報処理装置(ユーザ装置)70、すなわち、画像再生、音声出力を実行する情報処理装置(ユーザ装置)70のハードウェア構成の一例である。
また、
図21に示すハードウェアは、
図4、
図15に示すサーバ50、すなわち、画像データ、音声データ、並びに上述した画像表示制御情報を格納したファイルを生成して情報処理装置(ユーザ装置)70に送信する処理を実行するサーバ50のハードウェア構成の一例でもある。
【0182】
CPU(Central Processing Unit)301は、ROM(Read Only Memory)302、または記憶部308に記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行するデータ処理部として機能する。例えば、上述した実施例において説明したシーケンスに従った処理を実行する。RAM(Random Access Memory)303には、CPU301が実行するプログラムやデータなどが記憶される。これらのCPU301、ROM302、およびRAM303は、バス304により相互に接続されている。
【0183】
CPU301はバス304を介して入出力インタフェース305に接続され、入出力インタフェース305には、各種スイッチ、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部306、ディスプレイ、スピーカなどよりなる表示部307、音声出力部321が接続されている。CPU301は、入力部306から入力される指令に対応して各種の処理を実行し、処理結果を例えば表示部307、音声出力部321に出力する。
【0184】
入出力インタフェース305に接続されている記憶部308は、例えばハードディスク等からなり、CPU301が実行するプログラムや各種のデータを記憶する。通信部309は、インターネットやローカルエリアネットワークなどのネットワークを介したデータ通信の送受信部、さらに放送波の送受信部として機能し、外部の装置と通信する。
【0185】
入出力インタフェース305に接続されているドライブ310は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいはメモリカード等の半導体メモリなどのリムーバブルメディア311を駆動し、データの記録あるいは読み取りを実行する。
【0186】
なお、データの符号化あるいは復号は、データ処理部としてのCPU301の処理として実行可能であるが、符号化処理あるいは復号処理を実行するための専用ハードウェアとしてのコーデックを備えた構成としてもよい。
【0187】
[8.本開示の構成のまとめ]
以上、特定の実施例を参照しながら、本開示の実施例について詳解してきた。しかしながら、本開示の要旨を逸脱しない範囲で当業者が実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、限定的に解釈されるべきではない。本開示の要旨を判断するためには、請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0188】
なお、本明細書において開示した技術は、以下のような構成をとることができる。
(1) 異なる方向の画像を選択的に表示可能な表示部と、
前記表示部に出力する画像の画像表示制御を実行するデータ処理部を有し、
前記データ処理部は、
出力画像データに関する画像表示制御情報を取得し、該画像表示制御情報に記録された画像表示方式を適用して画像表示処理を実行する情報処理装置。
【0189】
(2) 前記画像表示制御情報は、画像表示処理を実行する情報処理装置のタイプ各々に対応するタイプ別表示方式を規定した情報であり、
前記データ処理部は、自装置のタイプと一致するタイプのタイプ別表示方式を適用して画像表示処理を実行する(1)に記載の情報処理装置。
【0190】
(3)前記画像表示制御情報には、
画像表示方式として、少なくとも、透視投影方式、または魚眼(広角)表示方式のいずれかの指定情報が含まれ。
前記データ処理部は、
前記指定情報に従った表示方式を適用して画像表示処理を実行する(1)または(2)に記載の情報処理装置。
【0191】
(4) 前記画像表示制御情報には、
画像表示方式として、
立体射影方式の魚眼(広角)表示方式、
等距離射影方式の魚眼(広角)表示方式、
等立体射影方式の魚眼(広角)表示方式、
正射影方式の魚眼(広角)表示方式、
上記の各表示方式のいずれかの指定情報が含まれ。
前記データ処理部は、
前記指定情報に従った表示方式を適用して画像表示処理を実行する(1)〜(3)いずれかに記載の情報処理装置。
【0192】
(5) 前記画像表示制御情報には、
画像表示領域対角角度情報が含まれ。
前記データ処理部は、
前記画像表示制御情報に記録された画像表示領域対角角度情報に従って、表示領域対角角度を決定して画像表示処理を実行する(1)〜(4)いずれかに記載の情報処理装置。
【0193】
(6) 前記画像表示制御情報には、
ユーザ選択可能な画像表示方式についての記録情報が含まれ、
前記データ処理部は、
前記ユーザ選択可能な画像表示方式を表示部に表示し、
ユーザ選択情報の入力に応じて、選択された表示方式を適用して画像表示処理を実行する(1)〜(5)いずれかに記載の情報処理装置。
【0194】
(7) 前記画像表示制御情報には、
ユーザ選択可能な画像表示領域対角角度情報についての記録情報が含まれ、
前記データ処理部は、
前記ユーザ選択可能な画像表示領域対角角度情報を表示部に表示し、
ユーザ選択情報の入力に応じて、選択された画像表示領域対角角度を適用して画像表示処理を実行する(1)〜(6)いずれかに記載の情報処理装置。
【0195】
(8) 前記画像表示制御情報は、MP4ファイルに格納されており、
前記データ処理部は、
MP4ファイルから、出力画像データに関する画像表示制御情報を取得し、MP4ファイルから取得した画像表示制御情報に従って画像表示処理を実行する(1)〜(7)いずれかに記載の情報処理装置。
【0196】
(9) 前記画像表示制御情報は、MP4ファイルのtrakボックスに格納されており、
前記データ処理部は、
MP4ファイルのtrakボックスから、出力画像データに関する画像表示制御情報を取得する(8)に記載の情報処理装置。
【0197】
(10) 前記画像表示制御情報は、MPD(Media Presentation
Description)ファイルに格納されており、
前記データ処理部は、
MPDファイルから、出力画像データに関する画像表示制御情報を取得し、MPDファイルから取得した画像表示制御情報に従って画像表示処理を実行する(1)〜(7)いずれかに記載の情報処理装置。
【0198】
(11) 前記画像表示制御情報は、MPD(Media Presentation
Description)ファイルに設定された画像表示制御情報記録エレメントに、各デバイスタイプ別の情報として記録され、
前記データ処理部は、
MPDファイルの画像表示制御情報記録エレメントから、自装置の装置タイプと一致するデバイスタイプ情報が記録されたエレメントを選択して、選択エレメントに記録された画像表示方式を適用して画像表示処理を実行する(10)に記載の情報処理装置。
【0199】
(12) 異なる方向の画像を選択的に表示可能とした画像データと、
前記画像データに関する画像表示制御情報であり、
画像表示を実行するデバイスタイプに応じた画像表示方式を規定した画像表示制御情報を格納したファイルを生成するデータ処理部と、
前記データ処理部の生成したファイルを送信する通信部と、
を有するデータ配信サーバ。
【0200】
(13) 異なる方向の画像を選択的に表示可能とした画像データと、
前記画像データに関する画像表示制御情報であり、
画像表示を実行するデバイスタイプに応じた画像表示方式を規定した画像表示制御情報を、
格納した情報記録媒体であり、
前記情報記録媒体からの読み出しデータの再生を実行する再生装置において、
前記画像表示制御情報に記録された自装置タイプに一致するデバイスタイプ対応の画像表示方式を適用して画像表示を実行させることを可能とした情報記録媒体。
【0201】
(14) 情報処理装置において、画像表示制御を実行する情報処理方法であり、
前記情報処理装置は、
異なる方向の画像を選択的に表示可能な表示部と、
前記表示部に出力する画像の画像表示制御を実行するデータ処理部を有し、
前記データ処理部が、
出力画像データに関する画像表示制御情報を取得し、該画像表示制御情報に記録された画像表示方式を適用して画像表示処理を実行する情報処理方法。
【0202】
(15) 情報処理装置において、画像表示制御を実行させるプログラムであり、
前記情報処理装置は、
異なる方向の画像を選択的に表示可能な表示部と、
前記表示部に出力する画像の画像表示制御を実行するデータ処理部を有し、
前記プログラムは、前記データ処理部に、
出力画像データに関する画像表示制御情報を取得させ、該画像表示制御情報に記録された画像表示方式を適用して画像表示処理を実行させるプログラム。
【0203】
また、明細書中において説明した一連の処理はハードウェア、またはソフトウェア、あるいは両者の複合構成によって実行することが可能である。ソフトウェアによる処理を実行する場合は、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ内のメモリにインストールして実行させるか、あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。例えば、プログラムは記録媒体に予め記録しておくことができる。記録媒体からコンピュータにインストールする他、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介してプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることができる。
【0204】
なお、明細書に記載された各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。また、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。