【実施例】
【0034】
以下に実施例をあげて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(A)香味改善剤の有効成分がエポキシ化脂肪族不飽和アルデヒドである場合
〔実施例A1〕(抹茶入り煎茶飲料)
4,5−エポキシ−2−デセナールの200ppbエタノール溶液を調製し、抹茶入り煎茶緑茶抽出液(市販の抹茶入り煎茶粉末に水を加え0.3質量%に調製したもの)に0.1質量%添加し、本発明の香味改善剤を0.2ppb含有する抹茶入り煎茶緑茶飲料aを調製した。
【0035】
〔実施例A2〕(抹茶入り煎茶飲料)
4,5−エポキシ−2,7−デカジエナールの500ppbエタノール溶液を調製し、抹茶入り煎茶緑茶抽出液(市販の抹茶入り煎茶粉末に水を加え0.3質量%に調製したもの)に0.1質量%添加し、本発明の香味改善剤を0.5ppb含有する抹茶入り煎茶緑茶飲料bを調製した。
【0036】
〔比較例A1〕(抹茶入り煎茶飲料)
実施例A1の4,5−エポキシ−2−デセナールの代わりにエチルアルコールを配合して本発明の香味改善剤を含有しない抹茶入り煎茶緑茶飲料cを調製した。
【0037】
〔試験例A1〕
本発明の香味改善剤を含有する抹茶入り煎茶緑茶飲料a及びb、香味改善剤を含有しない抹茶入り煎茶緑茶飲料cについて9名の専門パネルにより、抹茶の甘い香味、濃厚感、余韻の豊かさを以下の7段階で評価した。
1点(極めて弱い)、2点(弱い)、3点(やや弱い)、4点(普通)、5点(やや強い)、6点(強い)、7点(極めて強い)。
結果を表3に示した。表中の「抹茶の甘い香味」、「濃厚感」、「余韻の豊かさ」の点数は9名の専門パネルの平均点である。なお、改善率(%)は煎茶緑茶飲料cの合計点数に対する煎茶緑茶飲料a又はbの合計点数の百分率(a又はbの合計点数/cの合計点数×100)で表される。
【0038】
【表3】
【0039】
その結果、専門パネルの全員が本発明品である香味改善剤を添加した抹茶入り煎茶緑茶飲料a及びbは、抹茶の有する自然な甘さ、濃厚感、余韻が強く感じられ、風味が豊かとなった結果、抹茶入り煎茶緑茶飲料の香味が改善され嗜好性が向上すると評価した。
【0040】
〔香料組成物〕
表4の処方により実施例A3の香料組成物aと実施例A4の香料組成物bを調製した。また、比較例A2として4,5−エポキシ−2−デセナールと4,5−エポキシ−2,7−デカジエナールのいずれも添加しない香料組成物cを調製した。
【0041】
【表4】
【0042】
〔実施例A5〕(抹茶ミルク飲料)
抹茶ミルク飲料(牛乳にショ糖8質量%、市販の抹茶0.3質量%を加え調製したもの)に実施例A3の香料組成物aを0.1質量%添加し、抹茶ミルク飲料aを調製した。
【0043】
〔実施例A6〕(抹茶ミルク飲料)
抹茶ミルク飲料(牛乳にショ糖8質量%、市販の抹茶0.3質量%を加え調製したもの)に実施例A4の香料組成物bを0.1質量%添加し、抹茶ミルク飲料bを調製した。
【0044】
〔比較例A3〕(抹茶ミルク飲料)
実施例A5、A6と同様に調製した抹茶ミルク飲料に比較例A2の香料組成物cを0.1質量%添加し、実施例A5と同様にして抹茶ミルク飲料cを調製した。
【0045】
〔試験例A2〕
実施例A5、A6の抹茶ミルク飲料a、b及び比較例A3の抹茶ミルク飲料cについて、9名の専門パネルにより、抹茶の甘い香味、濃厚感、余韻の豊かさを以下の7段階で評価した。
1点(極めて弱い)、2点(弱い)、3点(やや弱い)、4点(普通)、5点(やや強い)、6点(強い)、7点(極めて強い)。
結果を表5に示した。なお、表中の点数と改善率は試験例A1と同様である。
【0046】
【表5】
【0047】
その結果、専門パネルの全員が実施例A3、A4の香料組成物を添加した抹茶ミルク飲料a、抹茶ミルク飲料bは、抹茶の有する自然な甘さ、濃厚感、余韻が強く感じられ、風味が豊かとなった結果、抹茶ミルク飲料の香味が改善され嗜好性が向上すると評価した。
【0048】
〔実施例A7〕(抹茶入りパン)
強力粉1400質量部に水に溶解させた生イースト40質量部を加えてよく撹拌し、28℃で4時間発酵させた。得られた生地に強力粉600質量部、砂糖100質量部、市販の抹茶50質量部、食塩30質量部、実施例A3で調製した香料組成物aを0.1質量部添加し、生地をよくこねた後、容器に詰め、38℃で40分間発酵後、220℃で40分間焼成し、抹茶入りパン1を得た。
同様にして実施例A4で調製した香料組成物bを0.1質量部添加した抹茶入りパン2、及び比較例A2で調製した香料組成物cを0.1質量部添加した抹茶入りパン3を得た。
7名の専門パネルによる官能評価試験を行ったところ、抹茶入りパン1および抹茶入りパン2の方が抹茶の有する自然な甘さ、濃厚感、余韻が強く感じられ、風味が豊かとなり嗜好性が向上した。
【0049】
〔実施例A8〕(抹茶入りハードビスケット)
ショートニング15質量部、砂糖30質量部、全卵3質量部、食塩1質量部、市販の抹茶0.5質量部、実施例A3で調製した香料組成物aを0.1質量部添加し、30分間撹拌後、30分間エージングを行った。得られた生地を型に流し入れ、220℃、5分焼成し、抹茶入りハードビスケット1を得た。
同様にして実施例A4で調製した香料組成物bを0.1質量部添加した抹茶入りハードビスケット2、及び比較例A2で調製した香料組成物cを0.1質量部添加した抹茶入りハードビスケット3を得た。
7名の専門パネルによる官能評価試験を行ったところ、抹茶入りハードビスケット1及び抹茶入りハードビスケット2の方が抹茶の有する自然な甘さ、濃厚感、余韻が強く感じられ、風味が豊かとなり嗜好性が向上した。
【0050】
〔実施例A9〕(抹茶風味アイスクリーム)
牛乳30質量部、水あめ11質量部、全脂加糖練乳10質量部、無塩バター7.5質量部、脱脂粉乳2.5質量部、水34.4質量部を合わせて湯浴にて攪拌溶解し、砂糖2.5質量部、乳化安定剤0.6質量部を添加、加熱攪拌した後、乳化を行いながら、実施例A3で調製した香料組成物aを0.2質量部添加し、攪拌混合した後、エージングを行い、抹茶風味アイスクリーム1を調製した。
同様にして実施例A4で調製した香料組成物bを0.2質量部添加した抹茶風味アイスクリーム2、及び比較例A2で調製した香料組成物cを0.2質量部添加した抹茶風味アイスクリーム3を調製した。
7名の専門パネルによる官能評価試験を行ったところ、抹茶風味アイスクリーム1及び抹茶風味アイスクリーム2の方が抹茶の有する自然な甘さ、濃厚感、余韻が強く感じられ、風味が豊かとなり嗜好性が向上した。
【0051】
〔実施例A10〕(抹茶風味プリン)
全脂加糖練乳15質量部、果糖ぶどう糖液糖3質量部を蒸留水に溶解し、予め蒸留水に分散させていた全脂粉乳2質量部、脱脂粉乳1質量部を加え加熱し40℃付近で、上白糖3.5質量部、安定剤0.7質量部、乳化剤0.02質量部を加え80℃まで加温した。コーンスターチ0.3部を加えた後、80℃で15分間殺菌した。お湯で100質量部に調製し、クリアミックスにて乳化した。これに実施例A3で調製した香料組成物aを0.2質量部添加して撹拌後、ガラス容器にて冷却して抹茶風味プリン1を調製した。
同様にして実施例A4で調製した香料組成物bを0.2質量部添加した抹茶風味プリン2、及び比較例2で調製した香料組成物cを0.2質量部添加した抹茶風味プリン3を調製した。
7名の専門パネルによる官能評価試験を行ったところ、抹茶風味プリン1および抹茶風味プリン2の方が抹茶の有する自然な甘さ、濃厚感、余韻が強く感じられ、風味が豊かとなり嗜好性が向上した。
【0052】
〔実施例A11〕(抹茶入りハードキャンディー)
砂糖60質量部、水あめ40質量部、水35質量部を合わせて155℃まで加熱した後、130℃まで冷却し、市販の抹茶5質量部、実施例A3で調製した香料組成物aを0.2質量部添加し、混合、成型し、抹茶入りハードキャンディー1、を調製した。
同様にして実施例A4で調製した香料組成物bを0.2質量部添加した抹茶入りハードキャンディー2、及び比較例A2で調製した香味料組成物cを0.2質量部添加した抹茶入りハードキャンディー3を調製した。
7名の専門パネルによる官能評価試験を行ったところ、抹茶入りハードキャンディー1及び抹茶入りハードキャンディー2の方が抹茶の有する自然な甘さ、濃厚感、余韻が強く感じられ、風味が豊かとなり嗜好性が向上した。
【0053】
〔実施例A12〕(抹茶入りチョコレート)
刻んだホワイトチョコレート100質量部を湯煎(約50℃)にて溶解した後、市販の抹茶5質量部、実施例A3で調製した香料組成物aを0.2質量部添加し、良く攪拌後に冷却して成型し本発明の抹茶入りチョコレート1を調製した。
同様にして実施例A4で調製した香料組成物bを0.2質量部添加した抹茶入りチョコレート2、及び比較例A2で調製した香料組成物cを0.2質量部添加した抹茶入りチョコレート3を調製した。
7名の専門パネルによる官能評価試験を行ったところ、抹茶入りチョコレート1及び抹茶入りチョコレート2の方が抹茶の有する自然な甘さ、濃厚感、余韻が強く感じられ、風味が豊かとなり嗜好性が向上した。
【0054】
〔実施例A13〕
実施例A3、A4及び比較例A2の香料組成物a〜cに高級感を付与する香料素材としてゲラニオールを表4の処方に対して0.1質量部ずつ配合した香料組成物a+、b+、c+を調製し、抹茶飲料(牛乳250質量部、砂糖50質量部、抹茶5質量部を混合し、水で総量を1000質量部に調製したもの)に0.2%の賦香率で添加した(飲料中のゲラニオール濃度200ppb)。
これを7名の専門パネルにより、抹茶らしさ(抹茶が本来有する甘い香味)と高級感について、以下の4段階で評価した。結果を表6に示した。
×(弱い)、△(普通)、○(強い)、◎(極めて強い)
【0055】
【表6】
【0056】
エポキシ化脂肪族不飽和アルデヒドとゲラニオールを含む香料組成物a+とb+を添加した抹茶飲料は、専門パネルの全員が抹茶らしさ及び高級感が強いと評価した。エポキシ化脂肪族不飽和アルデヒドを含まない香料組成物c+を添加した抹茶飲料は抹茶らしさが弱く、高級感も普通の抹茶と同程度にしか感じられなかった。
【0057】
〔実施例A14〕
実施例A3、A4及び比較例A2の香料組成物a〜cに高級感を付与する香料素材としてp−ヒドロキシベンズアルデヒドを表4の処方に対して10質量部ずつ配合した香料組成物a+、b+、c+を調製し、実施例A13と同じ抹茶飲料に0.5%の賦香率で添加した(飲料中のp−ヒドロキシベンズアルデヒド濃度50ppm)。
これを7名の専門パネルにより、実施例A13と同様の方法で評価した。結果を表7に示した。
【0058】
【表7】
【0059】
エポキシ化脂肪族不飽和アルデヒドとp−ヒドロキシベンズアルデヒドを含む香料組成物a+とb+を添加した抹茶飲料は、専門パネルの全員が、抹茶らしさ及び高級感が強いと評価した。エポキシ化脂肪族不飽和アルデヒドを含まない香料組成物c+を添加した抹茶飲料は抹茶らしさが弱く、高級感も普通の抹茶と同程度にしか感じられなかった。
【0060】
〔実施例A15〕
実施例A3、A4及び比較例A2の香料組成物a〜cに高級感を付与する香料素材として4−メチル−4−メルカプト−2−ペンタノン(0.1%エタノール溶液)を表4の処方に対して0.1質量部(4−メチル−4−メルカプト−2−ペンタノン0.0001質量部に相当)ずつ配合した香料組成物a+、b+、c+を調製し、実施例A13と同じ抹茶飲料に0.02%の賦香率で添加した(飲料中の4−メチル−4−メルカプト−2−ペンタノン濃度20ppt)。これを7名の専門パネルにより、実施例A13と同様の方法で評価した。結果を表8に示した。
【0061】
【表8】
【0062】
エポキシ化脂肪族不飽和アルデヒドと4−メチル−4−メルカプト−2−ペンタノンを含む香料組成物a+とb+を添加した抹茶飲料は、専門パネルの全員が抹茶らしさ及び高級感が強いと評価した。エポキシ化脂肪族不飽和アルデヒドを含まない香料組成物c+を添加した抹茶飲料は抹茶らしさが弱く、高級感も普通の抹茶と同程度にしか感じられなかった。
【0063】
〔実施例A16〕
実施例A3、A4及び比較例A2の香料組成物a〜cに高級感を付与する香料素材として2−メチルブチルアルデヒドを表4の処方に対して0.1質量部ずつ配合した香料組成物a+、b+、c+を調製し、実施例A13と同じ抹茶飲料に0.05%の賦香率で添加した(飲料中の2−メチルブチルアルデヒド濃度50ppb)。これを7名の専門パネルにより、実施例A13と同様の方法で評価した。結果を表9に示した。
【0064】
【表9】
【0065】
エポキシ化脂肪族不飽和アルデヒドと2−メチルブチルアルデヒドを含む香料組成物a+とb+を添加した抹茶飲料は、専門パネルの全員が、抹茶らしさ及び高級感が強いと評価した。エポキシ化脂肪族不飽和アルデヒドを含まない香料組成物c+を添加した抹茶飲料は抹茶らしさが弱く、高級感も普通の抹茶と同程度にしか感じられなかった。
【0066】
〔実施例A17〕
実施例A3、A4及び比較例A2の香料組成物a〜cに高級感を付与する香料素材として桂皮酸エチルを表4の処方に対して0.1質量部ずつ配合した香料組成物a+、b+、c+を調製し、実施例A13と同じ抹茶飲料に0.005%の賦香率で添加した(飲料中の桂皮酸エチル濃度5ppb)。これを7名の専門パネルにより、実施例A13と同様の方法で評価した。結果を表10に示した。
【0067】
【表10】
【0068】
エポキシ化脂肪族不飽和アルデヒドと桂皮酸エチルを含む香料組成物a+とb+を添加した抹茶飲料は、専門パネルの全員が、抹茶らしさ及び高級感が強いと評価した。エポキシ化脂肪族不飽和アルデヒドを含まない香料組成物c+を添加した抹茶飲料は抹茶らしさが弱く、高級感も普通の抹茶と同程度にしか感じられなかった。
【0069】
〔実施例A18〕
実施例A3、A4及び比較例A2の香料組成物a〜cに高級感を付与する香料素材として2−アセチルピロリン(0.1%エタノール溶液)を表4の処方に対して10質量部(2−アセチルピロリン0.01質量部に相当)ずつ配合した香料組成物a+、b+、c+を調製し、実施例A13と同じ抹茶飲料に0.005%の賦香率で添加した(飲料中の2−アセチルピロリン濃度500ppt)。これを7名の専門パネルにより、実施例A13と同様の方法で評価した。結果を表11に示した。
【0070】
【表11】
【0071】
エポキシ化脂肪族不飽和アルデヒドと2−アセチルピロリンを含む香料組成物a+とb+を添加した抹茶飲料は、専門パネルの全員が、抹茶らしさが強く高級感は極めて強いと評価した。エポキシ化脂肪族不飽和アルデヒドを含まない香料組成物c+を添加した抹茶飲料は抹茶らしさが弱く、高級感も普通の抹茶と同程度にしか感じられなかった。
【0072】
〔実施例A19〕
実施例A3、A4及び比較例A2の香料組成物a〜cに高級感を付与する香料素材として2−エチルヘキサノールを表4の処方に対して0.1質量部ずつ配合した香料組成物a+、b+、c+を調製し、実施例A13と同じ抹茶飲料に0.2%の賦香率で添加した(飲料中の2−エチルヘキサノール濃度200ppb)。これを7名の専門パネルにより、実施例A13と同様の方法で評価した。結果を表12に示した。
【0073】
【表12】
【0074】
エポキシ化脂肪族不飽和アルデヒドと2−エチルヘキサノールを含む香料組成物a+とb+を添加した抹茶飲料は、専門パネルの全員が、抹茶らしさ及び高級感が強いと評価した。エポキシ化脂肪族不飽和アルデヒドを含まない香料組成物c+を添加した抹茶飲料は抹茶らしさが弱く、高級感も普通の抹茶と同程度にしか感じられなかった。
【0075】
〔実施例A20〕
実施例A3、A4及び比較例A2の香料組成物a〜cに高級感を付与する香料素材としてフェニルアセトアルデヒド(20%エタノール溶液)を表4の処方に対して0.1質量部(フェニルアセトアルデヒド0.02質量部に相当)ずつ配合した香料組成物a+、b+、c+を調製し、実施例A13と同じ抹茶飲料に0.1%の賦香率で添加した(飲料中のフェニルアセトアルデヒド濃度20ppb)。これを7名の専門パネルにより、実施例A13と同様の方法で評価した。結果を表13に示した。
【0076】
【表13】
【0077】
エポキシ化脂肪族不飽和アルデヒドとフェニルアセトアルデヒドを含む香料組成物a+とb+を添加した抹茶飲料は、専門パネルの全員が、抹茶らしさが強く高級感は極めて強いと評価した。エポキシ化脂肪族不飽和アルデヒドを含まない香料組成物c+を添加した抹茶飲料は抹茶らしさが弱く、高級感も普通の抹茶と同程度にしか感じられなかった。
【0078】
〔実施例A21〕
実施例A3、A4及び比較例A2の香料組成物a〜cに高級感を付与する香料素材としてβ−イオノンを表4の処方に対して0.001質量部ずつ配合した香料組成物a+、b+、c+を調製し、実施例A13と同じ抹茶飲料に0.02%の賦香率で添加した(飲料中のβ−イオノン濃度200ppt)。これを7名の専門パネルにより、実施例A13と同様の方法で評価した。結果を表14に示した。
【0079】
【表14】
【0080】
エポキシ化脂肪族不飽和アルデヒドとβ−イオノンを含む香料組成物a+とb+を添加した抹茶飲料は、専門パネルの全員が、抹茶らしさ及び高級感が強いと評価した。エポキシ化脂肪族不飽和アルデヒドを含まない香料組成物c+を添加した抹茶飲料は抹茶らしさが弱く、高級感も普通の抹茶と同程度にしか感じられなかった。
【0081】
〔実施例A22〕
実施例A3、A4及び比較例A2の香料組成物a〜cに高級感を付与する香料素材としてシス−ジャスモンを表4の処方に対して0.1質量部ずつ配合した香料組成物a+、b+、c+を調製し、実施例A13と同じ抹茶飲料に0.01%の賦香率で添加した(飲料中のシス−ジャスモン濃度10ppb)。これを7名の専門パネルにより、実施例A13と同様の方法で評価した。結果を表15に示した。
【0082】
【表15】
【0083】
エポキシ化脂肪族不飽和アルデヒドとシス−ジャスモンを含む香料組成物a+とb+を添加した抹茶飲料は、専門パネルの全員が、抹茶らしさ及び高級感が強いと評価した。エポキシ化脂肪族不飽和アルデヒドを含まない香料組成物c+を添加した抹茶飲料は抹茶らしさが弱く、高級感も普通の抹茶と同程度にしか感じられなかった。
【0084】
〔実施例A23〕
実施例A3、A4及び比較例A2の香料組成物a〜cに高級感を付与する香料素材として2−アセチル−2−チアゾリン(1%エタノール溶液)を表4の処方に対して0.1質量部(2−アセチル−2−チアゾリン0.001質量部に相当)ずつ配合した香料組成物a+、b+、c+を調製し、実施例A13と同じ抹茶飲料に0.01%の賦香率で添加した(飲料中の2−アセチル−2−チアゾリン濃度100ppt)。これを7名の専門パネルにより、実施例A13と同様の方法で評価した。結果を表16に示した。
【0085】
【表16】
【0086】
エポキシ化脂肪族不飽和アルデヒドと2−アセチル−2−チアゾリンを含む香料組成物a+とb+を添加した抹茶飲料は、専門パネルの全員が抹茶らしさ及び高級感が強いと評価した。エポキシ化脂肪族不飽和アルデヒドを含まない香料組成物c+を添加した抹茶飲料は抹茶らしさが弱く、高級感も普通の抹茶と同程度にしか感じられなかった。
【0087】
〔実施例A24〕
実施例A3、A4及び比較例A2の香料組成物a〜cに高級感を付与する香料素材として2−アセチルピリジンを表4の処方に対して0.1質量部ずつ配合した香料組成物a+、b+、c+を調製し、実施例A13と同じ抹茶飲料に0.01%の賦香率で添加した(飲料中の2−アセチルピリジン濃度10ppb)。これを7名の専門パネルにより、実施例A13と同様の方法で評価した。結果を表17に示した。
【0088】
【表17】
【0089】
エポキシ化脂肪族不飽和アルデヒドと2−アセチルピリジンを含む香料組成物a+とb+を添加した抹茶飲料は、専門パネルの全員が、抹茶らしさ及び高級感が強いと評価した。エポキシ化脂肪族不飽和アルデヒドを含まない香料組成物c+を添加した抹茶飲料は抹茶らしさが弱く、高級感も普通の抹茶と同程度にしか感じられなかった。
【0090】
〔実施例A25〕
実施例A3、A4及び比較例A2の香料組成物a〜cに高級感を付与する香料素材としてアセチルピラジンを表4の処方に対して0.1質量部ずつ配合した香料組成物a+、b+、c+を調製し、実施例A13と同じ抹茶飲料に0.01%の賦香率で添加した(飲料中のアセチルピラジン濃度10ppb)。これを7名の専門パネルにより、実施例A13と同様の方法で評価した。結果を表18に示した。
【0091】
【表18】
【0092】
エポキシ化脂肪族不飽和アルデヒドとアセチルピラジンを含む香料組成物a+とb+を添加した抹茶飲料は、専門パネルの全員が、抹茶らしさ及び高級感が強いと評価した。エポキシ化脂肪族不飽和アルデヒドを含まない香料組成物c+を添加した抹茶飲料は抹茶らしさが弱く、高級感も普通の抹茶と同程度にしか感じられなかった。
【0093】
〔実施例A26〕
実施例A3、A4及び比較例A2の香料組成物a〜cに高級感を付与する香料素材として2−アセチルチアゾールを表4の処方に対して0.1質量部ずつ配合した香料組成物a+、b+、c+を調製し、実施例A13と同じ抹茶飲料に0.01%の賦香率で添加した(飲料中の2−アセチルチアゾール濃度10ppb)。これを7名の専門パネルにより、実施例A13と同様の方法で評価した。結果を表19に示した。
【0094】
【表19】
【0095】
エポキシ化脂肪族不飽和アルデヒドと2−アセチルチアゾールを含む香料組成物a+とb+を添加した抹茶飲料は、専門パネルの全員が、抹茶らしさ及び高級感が強いと評価した。エポキシ化脂肪族不飽和アルデヒドを含まない香料組成物c+を添加した抹茶飲料は抹茶らしさが弱く、高級感も普通の抹茶と同程度にしか感じられなかった。
【0096】
(B)有効成分がアルキルピラジン類の場合
〔実施例B1〕(抹茶入り煎茶飲料)
2,6−ジメチル−3−エチルピラジンの100ppbエタノール溶液を調製し、抹茶入り煎茶緑茶抽出液(市販の抹茶入り煎茶粉末に水を加え0.3質量%に調製したもの)に0.1質量%添加し、本発明の香味改善剤を0.1ppb含有する抹茶入り煎茶緑茶飲料aを調製した。
【0097】
〔実施例B2〕(抹茶入り煎茶飲料)
2,3−ジエチル−5−メチルピラジンの100ppbエタノール溶液を調製し、抹茶入り煎茶緑茶抽出液(市販の抹茶入り煎茶粉末に水を加え0.3質量%に調製したもの)に0.1質量%添加し、本発明の香味改善剤を0.1ppb含有する抹茶入り煎茶緑茶飲料bを調製した。
【0098】
〔比較例B1〕(抹茶入り煎茶飲料)
実施例B1の2,6−ジメチル−3−エチルピラジンの代わりにエチルアルコールを配合して本発明の香味改善剤を含有しない抹茶入り煎茶緑茶飲料cを調製した。
【0099】
〔試験例B1〕
本発明の香味改善剤を含有する抹茶入り煎茶緑茶飲料a及びb、香味改善剤を含有しない抹茶入り煎茶緑茶飲料cについて9名の専門パネルにより、抹茶の甘い香味、濃厚感、余韻の豊かさを以下の7段階で評価した。
1点(極めて弱い)、2点(弱い)、3点(やや弱い)、4点(普通)、5点(やや強い)、6点(強い)、7点(極めて強い)。
結果を表20に示した。表中の「抹茶の甘い香味」、「濃厚感」、「余韻の豊かさ」の点数は9名のパネルの平均点である。なお、改善率(%)は煎茶緑茶飲料cの合計点数に対する煎茶緑茶飲料a又はbの合計点数の百分率(a又はbの合計点数/cの合計点数×100)で表される。
【0100】
【表20】
【0101】
その結果、専門パネルの全員が、本発明品である香味改善剤を添加した抹茶入り煎茶緑茶飲料a、抹茶入り煎茶緑茶飲料bは、これまで抹茶香料に使用されていなかった特定のアルキルピラジン類に高級抹茶に特有の「濃厚感」を付与する効果があることを見出した。
【0102】
〔香料組成物〕
表21の処方により実施例B3の香料組成物aと実施例B4の香料組成物bを調製した。また、比較例B2として2,6−ジメチル−3−エチルピラジンと2,3−ジエチル−5−メチルピラジンのいずれも添加しない香料組成物cを調製した。
【0103】
【表21】
【0104】
〔実施例B5〕(抹茶ミルク飲料)
抹茶ミルク飲料(牛乳にショ糖8質量%、市販の抹茶0.3質量%を加え調製したもの)に実施例B3の香料組成物aを0.1質量%添加し、抹茶ミルク飲料aを調製した。
【0105】
〔実施例B6〕(抹茶ミルク飲料)
抹茶ミルク飲料(牛乳にショ糖8質量%、市販の抹茶0.3質量%を加え調製したもの)に実施例B4の香料組成物bを0.1質量%添加し、抹茶ミルク飲料bを調製した。
【0106】
〔比較例B3〕(抹茶ミルク飲料)
実施例B5、B6と同様に調製した抹茶ミルク飲料に比較例B2の香料組成物cを0.1質量%添加し、実施例B5と同様にして抹茶ミルク飲料cを調製した。
【0107】
〔試験例B2〕
実施例B5、B6の抹茶ミルク飲料a、b及び比較例B3の抹茶ミルク飲料cについて、9名の専門パネルにより、抹茶の高級感、濃厚感、余韻の豊かさを以下の7段階で評価した。
1点(極めて弱い)、2点(弱い)、3点(やや弱い)、4点(普通)、5点(やや強い)、6点(強い)、7点(極めて強い)。
結果を表22に示した。なお、表中の点数と改善率は試験例B1と同様である。
【0108】
【表22】
【0109】
その結果、専門パネルの全員が実施例B3、B4の香料組成物を添加した抹茶ミルク飲料a、抹茶ミルク飲料bは、抹茶の高級感、濃厚感、余韻が強く感じられ、風味が豊かとなった結果、抹茶ミルク飲料の香味が改善され嗜好性が向上すると評価した。
【0110】
〔実施例B7〕(抹茶入りパン)
強力粉1400質量部に水に溶解させた生イースト40質量部を加えてよく撹拌し、28℃で4時間発酵させた。得られた生地に強力粉600質量部、砂糖100質量部、市販の抹茶50質量部、食塩30質量部、実施例B3で調製した香料組成物aを0.1質量部添加し、生地をよくこねた後、容器に詰め、38℃で40分間発酵後、220℃で40分間焼成し、抹茶入りパン1を得た。
同様にして実施例B4で調製した香料組成物bを0.1質量部添加した抹茶入りパン2、及び比較例B2で調製した香料組成物cを0.1質量部添加した抹茶入りパン3を得た。
7名の専門パネルによる官能評価試験を行ったところ、抹茶入りパン1および抹茶入りパン2の方が抹茶の高級感、濃厚感、余韻が強く感じられ、風味が豊かとなり嗜好性が向上した。
【0111】
〔実施例B8〕(抹茶入りハードビスケット)
ショートニング15質量部、砂糖30質量部、全卵3質量部、食塩1質量部、市販の抹茶0.5質量部、実施例B3で調製した香料組成物aを0.1質量部添加し、30分間撹拌後、30分間エージングを行った。
得られた生地を型に流し入れ、220℃、5分焼成し、抹茶入りハードビスケット1を得た。同様にして実施例B4で調製した香料組成物bを0.1質量部添加した抹茶入りハードビスケット2、及び比較例B2で調製した香料組成物cを0.1質量部添加した抹茶入りハードビスケット3を得た。
7名の専門パネルによる官能評価試験を行ったところ、抹茶入りハードビスケット1及び抹茶入りハードビスケット2の方が抹茶の高級感、濃厚感、余韻が強く感じられ、風味が豊かとなり嗜好性が向上した。
【0112】
〔実施例B9〕(抹茶風味アイスクリーム)
牛乳30質量部、水あめ11質量部、全脂加糖練乳10質量部、無塩バター7.5質量部、脱脂粉乳2.5質量部、水34.4質量部を合わせて湯浴にて攪拌溶解し、砂糖2.5質量部、乳化安定剤0.6質量部を添加、加熱攪拌した後、乳化を行いながら、実施例B3で調製した香料組成物aを0.2質量部添加し、攪拌混合した後、エージングを行い、抹茶風味アイスクリーム1を調製した。
同様にして実施例B4で調製した香料組成物bを0.2質量部添加した抹茶風味アイスクリーム2、及び比較例B2で調製した香料組成物cを0.2質量部添加した抹茶風味アイスクリーム3を調製した。
7名の専門パネルによる官能評価試験を行ったところ、抹茶風味アイスクリーム1及び抹茶風味アイスクリーム2の方が抹茶の高級感、濃厚感、余韻が強く感じられ、風味が豊かとなり嗜好性が向上した。
【0113】
〔実施例B10〕(抹茶風味プリン)
全脂加糖練乳15質量部、果糖ぶどう糖液糖3質量部を蒸留水に溶解し、予め蒸留水に分散させていた全脂粉乳2質量部、脱脂粉乳1質量部を加え加熱し40℃付近で、上白糖3.5質量部、安定剤0.7質量部、乳化剤0.02質量部を加え80℃まで加温した。コーンスターチ0.3部を加えた後、80℃で15分間殺菌した。お湯で100質量部に調製し、クリアミックスにて乳化した。これに実施例B3で調製した香料組成物aを0.2質量部添加して撹拌後、ガラス容器にて冷却して抹茶風味プリン1を調製した。
同様にして実施例B4で調製した香料組成物bを0.2質量部添加した抹茶風味プリン2、及び比較例B2で調製した香料組成物cを0.2質量部添加した抹茶風味プリン3を調製した。
7名の専門パネルによる官能評価試験を行ったところ、抹茶風味プリン1および抹茶風味プリン2の方が抹茶の高級感、濃厚感、余韻が強く感じられ、風味が豊かとなり嗜好性が向上した。
【0114】
〔実施例B11〕(抹茶入りハードキャンディー)
砂糖60質量部、水あめ40質量部、水35質量部を合わせて155℃まで加熱した後、130℃まで冷却し、市販の抹茶5質量部、実施例B3で調製した香料組成物aを0.2質量部添加し、混合、成型し、抹茶入りハードキャンディー1、を調製した。
同様にして実施例B4で調製した香料組成物bを0.2質量部添加した抹茶入りハードキャンディー2、及び比較例B2で調製した香味料組成物cを0.2質量部添加した抹茶入りハードキャンディー3を調製した。
7名の専門パネルによる官能評価試験を行ったところ、抹茶入りハードキャンディー1及び抹茶入りハードキャンディー2の方が抹茶の高級感、濃厚感、余韻が強く感じられ、風味が豊かとなり嗜好性が向上した。
【0115】
〔実施例B12〕(抹茶入りチョコレート)
刻んだホワイトチョコレート100質量部を湯煎(約50℃)にて溶解した後、市販の抹茶5質量部、実施例B3で調製した香料組成物aを0.2質量部添加し、良く攪拌後に冷却して成型し本発明の抹茶入りチョコレート1を調製した。
同様にして実施例B4で調製した香料組成物bを0.2質量部添加した抹茶入りチョコレート2、及び比較例B2で調製した香料組成物cを0.2質量部添加した抹茶入りチョコレート3を調製した。
7名の専門パネルによる官能評価試験を行ったところ、抹茶入りチョコレート1及び抹茶入りチョコレート2の方が抹茶の高級感、濃厚感、余韻が強く感じられ、風味が豊かとなり嗜好性が向上した。
【0116】
〔実施例B13〕
実施例B3、B4及び比較例B2の香料組成物a〜cに甘い香味を付与する香料素材として(Z)−1,5−オクタジエン−3−オン(1%エタノール溶液)を表21の処方に対して0.1質量部((Z)−1,5−オクタジエン−3−オン0.001質量部に相当)ずつ配合した香料組成物a+、b+、c+を調製し、抹茶飲料(牛乳250質量部、砂糖50質量部、抹茶5質量部を混合し、水で総量を1000質量部に調製したもの)に0.05%の賦香率で添加した(飲料中の(Z)−1,5−オクタジエン−3−オン濃度500ppt)。これを7名の専門パネルにより、高級感と抹茶が本来有する甘い香味について、以下の4段階で評価した。結果を表23に示した。
×(弱い)、△(普通)、○(強い)、◎(極めて強い)
【0117】
【表23】
【0118】
ピラジン類と(Z)−1,5−オクタジエン−3−オンを含む香料組成物a+とb+を添加した抹茶飲料は、専門パネルの全員が、高級感及び抹茶本来の甘い香味が強いと評価した。ピラジン類を含まない香料組成物c+を添加した抹茶飲料は高級感が弱く、甘い香味も普通の抹茶と同程度にしか感じられなかった。
【0119】
〔実施例B14〕
実施例B3、B4及び比較例B2の香料組成物a〜cに甘い香味を付与する香料素材として3−メチルノナン−2,4−ジオン(1%エタノール溶液)を表21の処方に対して0.001質量部(3−メチルノナン−2,4−ジオン0.00001質量部に相当)ずつ配合した香料組成物a+、b+、c+を調製し、実施例B13と同じ抹茶飲料に0.2%の賦香率で添加した(飲料中の3−メチルノナン−2,4−ジオン濃度20ppt)。これを7名の専門パネルにより、実施例B13と同様の方法で評価した。結果を表24に示した。
【0120】
【表24】
【0121】
ピラジン類と3−メチルノナン−2,4−ジオンを含む香料組成物a+とb+を添加した抹茶飲料は、専門パネルの全員が、高級感及び抹茶本来の甘い香味が強いと評価した。ピラジン類を含まない香料組成物c+を添加した抹茶飲料は高級感が弱く、甘い香味も普通の抹茶と同程度にしか感じられなかった。
【0122】
〔実施例B15〕
実施例B3、B4及び比較例B2の香料組成物a〜cに甘い香味を付与する香料素材としてα−イオノンを表21の処方に対して0.1質量部ずつ配合した香料組成物a+、b+、c+を調製し、実施例B13と同じ抹茶飲料に0.04%の賦香率で添加した(飲料中のα−イオノン濃度40ppb)。これを7名の専門パネルにより、実施例B13と同様の方法で評価した。結果を表25に示した。
【0123】
【表25】
【0124】
ピラジン類とα−イオノンを含む香料組成物a+とb+を添加した抹茶飲料は、専門パネルの全員が高級感及び抹茶本来の甘い香味が強いと評価した。ピラジン類を含まない香料組成物c+を添加した抹茶飲料は高級感が弱く、甘い香味も普通の抹茶と同程度にしか感じられなかった。
【0125】
〔実施例B16〕
実施例B3、B4及び比較例B2の香料組成物a〜cに甘い香味を付与する香料素材として公知文献(特開2012−075354号公報)記載の方法で合成した4,5−エポキシ−2−デセナール(1%エタノール溶液)を表21の処方に対して0.1質量部(4,5−エポキシ−2−デセナール0.001質量部に相当)ずつ配合した香料組成物a+、b+、c+を調製し、実施例B13と同じ抹茶飲料に0.2%の賦香率で添加した(飲料中の4,5−エポキシ−2−デセナール濃度2ppb)。これを7名の専門パネルにより、実施例B13と同様の方法で評価した。結果を表26に示した。
【0126】
【表26】
【0127】
ピラジン類と4,5−エポキシ−2−デセナールを含む香料組成物a+とb+を添加した抹茶飲料は、専門パネルの全員が、高級感が強く抹茶本来の甘い香味は極めて強いと評価した。ピラジン類を含まない香料組成物c+を添加した抹茶飲料は甘い香味が強かったが、高級感はあまり感じられなかった。
【0128】
〔実施例B17〕
実施例B3、B4及び比較例B2の香料組成物a〜cに甘い香味を付与する香料素材として公知文献(European Food Research and Technology,2012,235(5),881−891.)記載の方法で合成した4,5−エポキシ−2,7−デカジエナール(1%エタノール溶液)を表21の処方に対して10質量部(4,5−エポキシ−2,7−デカジエナール0.1質量部に相当)ずつ配合した香料組成物a+、b+、c+を調製し、実施例B13と同じ抹茶飲料に0.005%の賦香率で添加した(飲料中の4,5−エポキシ−2,7−デカジエナール濃度5ppb)。これを7名の専門パネルにより、実施例B13と同様の方法で評価した。結果を表27に示した。
【0129】
【表27】
【0130】
ピラジン類と4,5−エポキシ−2,7−デカジエナールを含む香料組成物a+とb+を添加した抹茶飲料は、専門パネルの全員が、高級感が強く抹茶本来の甘い香味は極めて強いと評価した。ピラジン類を含まない香料組成物c+を添加した抹茶飲料は甘い香味が強かったが、高級感はあまり感じられなかった。
【0131】
〔実施例B18〕
実施例B3、B4及び比較例B2の香料組成物a〜cに甘い香味を付与する香料素材として2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノン(20%エタノール溶液)を表21の処方に対して0.1質量部(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノン0.02質量部に相当)ずつ配合した香料組成物a+、b+、c+を調製し、実施例B13と同じ抹茶飲料に0.1%の賦香率で添加した(飲料中の2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノン20ppb)。これを7名の専門パネルにより、実施例B13と同様の方法で評価した。結果を表28に示した。
【0132】
【表28】
【0133】
ピラジン類と2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノンを含む香料組成物a+とb+を添加した抹茶飲料は、専門パネルの全員が、高級感及び抹茶本来の甘い香味が強いと評価した。ピラジン類を含まない香料組成物c+を添加した抹茶飲料は高級感が弱く、甘い香味も普通の抹茶と同程度にしか感じられなかった。
【0134】
〔実施例B19〕
実施例B3、B4及び比較例B2の香料組成物a〜cに甘い香味を付与する香料素材としてイソオイゲノールを表21の処方に対して0.1質量部ずつ配合した香料組成物a+、b+、c+を調製し、実施例B13と同じ抹茶飲料に0.005%の賦香率で添加した(飲料中のイソオイゲノール濃度5ppb)。これを7名の専門パネルにより、実施例B13と同様の方法で評価した。結果を表29に示した。
【0135】
【表29】
【0136】
ピラジン類とイソオイゲノールを含む香料組成物a+とb+を添加した抹茶飲料は、専門パネルの全員が、高級感及び抹茶本来の甘い香味が強いと評価した。ピラジン類を含まない香料組成物c+を添加した抹茶飲料は高級感が弱く、甘い香味も普通の抹茶と同程度にしか感じられなかった。