(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明のポリスルホンアミド化合物及び該化合物を含む樹脂組成物の実施形態を詳細に説明する。尚、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0013】
本発明のポリスルホンアミド化合物は、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する。式(1)中、R
1〜R
8は、それぞれ独立に水素原子又は一価の有機基を表す。Xは、結合するベンゼン環と共役しない二価の連結基を表す。Yは、二価の芳香族残基を表す。
【化3】
【0014】
式(1)のR
1〜R
8が表す一価の有機基としては、特に限定されないが、例えば脂肪族炭化水素残基、シアノ基、ハロゲン原子、カルボン酸アミド基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基及びアシル基等が挙げられる。
【0015】
式(1)のR
1〜R
8が表す一価の有機基である脂肪族炭化水素残基とは、炭素原子と水素原子からなる脂肪族炭化水素から水素原子一つを除いた残基である。その例として、飽和又は不飽和の、直鎖、分岐鎖又は環状の脂肪族炭化水素残基が挙げられる。該脂肪族炭化水素残基の炭素数は特に限定されず、また該脂肪族炭化水素基が有する水素原子は、例えば、シアノ基、ハロゲン原子、カルボン酸アミド基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基又はアシル基等で置換されていてもよい。
【0016】
式(1)のR
1〜R
8が表す一価の有機基であるハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0017】
式(1)のR
1〜R
8が表す一価の有機基であるアミノ基としては、特に限定されないが、非置換のアミノ基、モノ又はジメチルアミノ基、モノ又はジエチルアミノ基、モノ又はジ(n−プロピル)アミノ基等のアルキル置換アミノ基、モノ又はジフェニルアミノ基、モノ又はジナフチルアミノ基等の芳香族置換アミノ基、モノアルキルモノフェニルアミノ基等のアルキル基と芳香族残基が一つずつ置換したアミノ基又はベンジルアミノ基、またアセチルアミノ基及びフェニルアセチルアミノ基等が挙げられる。
【0018】
式(1)のR
1〜R
8が表す一価の有機基であるアルコキシ基としては、特に限定されないが、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基及びt−ブトキシ基等が挙げられる。
式(1)のR
1〜R
8が表す一価の有機基であるアリールオキシ基としては、特に限定されないが、フェノキシ基及びナフトキシ基等が挙げられる。
式(1)のR
1〜R
8が表す一価の有機基であるアルコキシカルボニル基としては、特に限定されないが、例えば炭素数1〜10のアルコキシカルボニル基等が挙げられる。その具体例としてはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−ペントキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基及びn−デシルオキシカルボニル基等である。
【0019】
式(1)のR
1〜R
8が表す一価の有機基であるアリールカルボニル基としては、特に限定されないが、例えばベンゾフェノン、ナフトフェノン等のアリール基とカルボニルが連結した基を表す。
式(1)のR
1〜R
8が表すアシル基としては、特に限定されないが、例えば炭素数1〜10のアルキルカルボニル基、アリールカルボニル基等が挙げられる。好ましくは炭素数1〜4のアルキルカルボニル基で、具体的にはアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロメチルカルボニル基、ペンタフルオロエチルカルボニル基、ベンゾイル基、ナフトイル基等が挙げられる。
式(1)におけるR
1〜R
8としては、全てが水素原子であることが好ましい。
【0020】
式(1)のXが表すベンゼン環と共役しない二価の連結基としては、特に限定されないが、例えば酸素原子等のVI族の元素や、スルホニル基並びにアルキレン基等の二価の置換基が挙げられる。直接結合(式(1)中の二つのベンゼン環が何も連結基を介さずに結合している場合を指す。以下同様。)も、この二価の連結基の範疇に含まれる。尚、ポリスルホンアミド化合物がその構造中に複数有する二価の連結基Xは、それぞれが同一でも異なっていてもよい。
式(1)のXが表すベンゼン環と共役しない二価の連結基としては、酸素原子、硫黄原子、スルホニル基、カルボニル基、メチレン基又は直接結合であることが好ましく、酸素原子又は硫黄原子であることがより好ましく、酸素原子であることが更に好ましい。
【0021】
式(1)のYが表す二価の芳香族残基とは、芳香族が有する芳香環から水素原子2つを除いた残基を意味する。二価の芳香族残基となり得る芳香族には、ベンゼン及びナフタレン等の芳香環のみならず、ジフェニルエーテル、ジフェニルメタン及びビフェニル等、複数の芳香環が連結基を介して若しくは直接結合した芳香族も含まれる。尚、ポリスルホンアミド化合物がその構造中に複数有する二価の芳香族残基Yは、それぞれが同一でも異なっていてもよい。
【0022】
式(1)のYとしては、下記式(2)で示される二価の芳香族残基であることが好ましい。式(2)中、R
9〜R
16は、それぞれ独立に水素原子又は一価の有機基を表す。Y’は、直接結合、酸素原子、カルボニル基、メチレン基、硫黄原子又はスルホニル基を表す。尚、ポリスルホンアミド化合物がその構造中に複数有するY’は、それぞれが同一でも異なっていてもよい。
【化4】
【0023】
式(2)のR
9〜R
16が表す一価の有機基としては、式(1)のR
1〜R
8が表す一価の有機基と同じものが挙げられる。
式(2)におけるR
9〜R
16としては、全てが水素原子であることが好ましい。
式(2)におけるY’としては、酸素原子又は硫黄原子であることが好ましく、酸素原子であることがより好ましい。
【0024】
本発明のポリスルホンアミド化合物が有する式(1)の繰り返し単位の数は、複数である限り、特に制限されるものではないが、後述する好ましい数平均分子量の範囲を満たすよう
な数であることが好ましい。
【0025】
本発明のポリスルホンアミド化合物の製造方法に特に制限はないが、ハロゲン化剤を用いてジスルホン酸誘導体をジハライド誘導体に変換した後、該ジハライド誘導体にジアミン類を反応させる方法が一般的である。
ジハライド誘導体としてはジクロリド誘導体が好ましい。ジスルホン酸誘導体をジクロリド誘導体に変換する際に用い得るハロゲン化剤としては、通常の酸クロリド化反応に使用される塩化チオニル、塩化ホスホリル及びオキシ塩化リン等が挙げられる。
また、ジクロリド誘導体は、芳香族化合物にクロロスルホン酸を直接反応させて合成することができる。
【0026】
本発明のポリスルホンアミド化合物を製造する際に用い得るジスルホン酸誘導体としては、例えば下記化合物No.1乃至6で表されるジスルホン酸類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらジスルホン酸類は、単独で又は二種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
本発明のポリスルホンアミド化合物を製造する際に用い得るジアミン類としては、例えば下記化合物No.7乃至12で示されるジアミン類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのジアミン類は、単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0030】
ジハライド誘導体とジアミン類との反応は、脱ハロゲン化剤の存在下、有機溶媒中で行うことが望ましい。脱ハロゲン化剤としては、通常、ピリジン、ピコリン及びトリエチルアミン等の有機塩基を用い得る。また、有機溶媒としては、スルホラン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等を用い得る。反応溶液の濃度としては、20〜50質量%が好ましく、30〜40質量%がより好ましい。反応はまず、ジアミン類を有機溶媒に溶解する。この溶液を0℃以下まで冷却したのち、ジハライド誘導体を添加する。ジハライド誘導体を添加する際の温度は−20〜0℃が好ましく、−15〜−5℃がより好ましい。ジハライド誘導体とジアミン類との反応温度は−20〜60℃が好ましく、−10〜30℃がより好ましい。また、反応時間は30分間から24時間が好ましく、1時間から8時間がより好ましい。反応終了後、得られた反応溶液を水に投入することにより、目的とするポリスルホンアミド化合物を析出させることができる。
【0031】
ジクロリド誘導体とジアミン類との反応によって得られる本発明のポリスルホンアミド化合物の両末端は、アミノ基又はスルホニル基のいずれであってもよい。
両末端がアミノ基のポリスルホンアミド化合物は、ジクロリド誘導体とジアミン類とを反応させる際に、ジクロリド誘導体に対して過剰のモル量のジアミン類を用いることにより得ることが出来る。一方、両末端がスルホニル基のポリスルホンアミド化合物は、ジクロリド誘導体とジアミン類とを反応させる際に、ジアミン類に対して過剰のモル量のジクロリド誘導体を用いることにより得ることが出来る。尚、ポリスルホンアミド化合物の末端構造は
1H−NMRによって判別することができる。
【0032】
本発明のポリスルホンアミド化合物の分子量は、反応に用いるジクロリド誘導体とジアミン類とのモル比によって制御することが出来る。具体的には、ジクロリド誘導体とジアミン類のモル量の差が大きいほど得られるポリスルホンアミド化合物の分子量は小さくなり、モル量の差が小さいほど得られるポリスルホンアミド化合物の分子量は大きくなる。
本発明のポリスルホンアミド化合物の数平均分子量は、3,000〜100,000であることが好ましく、8,000〜50,000であることがより好ましい。ここでいう数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定を行い、標準ポリスチレン検量線から換算して得た値である。
【0033】
本発明の樹脂組成物は、式(1)で示される繰り返し単位を有する本発明のポリスルホンアミド化合物及び該ポリスルホンアミド化合物以外の成分(以下、該ポリスルホンアミド化合物以外の成分を単に「その他成分」と記載する)を含有する。
本発明の樹脂組成物が含有するその他成分としては、例えば有機溶剤、架橋剤、酸発生剤及びカップリング剤等の密着増強剤等が挙げられる。樹脂組成物の用途や用法に合せて、前記以外の各種成分も特に制限なく用いることができる。ハンドリングが容易であることから、有機溶剤を含有する樹脂組成物が好ましい。
【0034】
本発明の樹脂組成物が含有し得る有機溶剤としては、特に限定されないが、例えばγ−ブチロラクトン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ベンジル、n−ブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネート、3−メチルメトキシプロピオネート、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N ,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリルアミド、テトラメチレンスルホン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン及びメチルアミルケトン等が挙げられる。これらの有機溶剤は単独で又は2種以上併用して用いることができる。
本発明の樹脂組成物における有機溶剤の含有量に特に制限はないが、通常は、樹脂組成物中の溶剤の含有量が0質量%超かつ95質量%以下、好ましくは20〜90質量%である。
【0035】
本発明の樹脂組成物が含有し得る架橋剤とは、その構造中に本発明のポリスルホンアミド化合物と架橋又は重合し得る置換基を2つ以上有する化合物である。架橋剤は、加熱により架橋又は重合し得る置換基を有する架橋剤であることが好ましい。また、架橋剤としては、本発明のポリスルホンアミド化合物との架橋又は重合反応に関与しなかった架橋剤の置換基同士が重合反応し得る化合物、即ち自己重合し得る化合物が好ましい。尚、架橋剤は、低分子量の化合物、又は樹脂類等の高分子量の化合物の何れであっても構わない。
【0036】
架橋剤が有する置換基は、ポリスルホンアミド化合物と架橋又は重合し得る置換基であれば特に限定されないが、メチロール基、アルコキシメチル基、エポキシ基、オキセタン基又はビニルエーテル基であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物が含有し得る架橋剤としては、前記の置換基がベンゼン環に結合している化合物、N位がメチロール基及び/ 又はアルコキシメチル基で置換されたメラミン樹脂、及び尿素樹脂等が好ましい。
好ましい架橋剤の具体例としては、下記式(3)〜(5)で表される化合物が挙げられる。
【0037】
【化7】
式(3)中、Gは一価〜四価の有機基を表す。R
17及びR
18はそれぞれ独立に水素原子又は一価の有機基を表す。oは1〜4の整数を表し、p及びqはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。
式(3)のG、R
17及びR
18が表す一価の有機基としては、式(1)のR
1〜R
8が表す一価の有機基と同じものが挙げられる。
式(3)のGが表す二価〜四価の有機基としては、例えば酸素原子、硫黄原子、炭素原子、メチル基、メチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、ベンザル基等が挙げられる。
【0038】
【化8】
式(4)中、Jは、それぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基若しくはアルコキシアルコキシアルキル基を表し、これらの置換基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。R
19〜R
22は、各々独立に水素原子又は一価の有機基を表す。r及びsはそれぞれ独立に1〜3の整数を表し、p及びqはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。
式(4)のR
19〜R
22が表す一価の有機基としては、式(1)のR
1〜R
8が表す一価の有機基と同じものが挙げられる。
【0039】
【化9】
式(5)中、R
23及びR
24はそれぞれ独立に水素原子又は一価の有機基を表し、R
24同士で結合して環構造を形成してもよい。
式(5)のR
23及びR
24が表す一価の有機基としては、式(1)のR
1〜R
8が表す一価の有機基と同じものが挙げられる。
【0040】
式(3)〜(5)で表される架橋剤として、例えば下記化合物No.13乃至22で表される化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、架橋剤として、下記化合物No.23及び24で表される化合物も、好ましく用いられる。
これらの架橋剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0042】
本発明の樹脂組成物における架橋剤の含有量は、現像時間や、未露光部残膜率の許容幅、及び硬化膜物性の点から、ポリスルホンアミド化合物100質量部に対して通常0質量部超かつ70質量部以下、好ましくは1〜50質量部である。
【0043】
本発明の樹脂組成物が含有し得る酸発生剤には、光又は熱により酸を発生する化合物のいずれをも用いることができる。光により酸を発生する化合物であることが望ましい。
【0044】
酸発生剤の具体例としては、特に限定されないが、ジアリールスルホニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、ジアルキルフェナシルスルホニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、アリールジアゾニウム塩、芳香族テトラカルボン酸エステル、芳香族スルホン酸エステル、ニトロベンジルエステル、オキシムスルホン酸エステル(例えば芳香族オキシムスルホン酸エステル)、芳香族N―オキシイミドスルフォネート、芳香族スルファミド、ハロアルキル基含有炭化水素系化合物、ハロアルキル基含有ヘテロ環状化合物及びナフトキノジアジド―4−スルホン酸エステル等が挙げられる。これらの酸発生剤は、必要に応じて2種類以上併用したり、他の増感剤と組み合わせて使用することができる。なかでも芳香族オキシムスルホン酸エステル及び芳香族N―オキ
シイミドスルフォネート等を用いることは、感光性樹脂組成物の感度の向上効果が期待できるので好ましい。
本発明の樹脂組成物における酸発生剤の含有量は、ポリスルホンアミド化合物100質量部に対して通常10質量部以下、好ましくは1〜5質量部である。
【0045】
本発明の樹脂組成物が含有し得る密着増強剤とは、基板に対する組成物の密着性を向上させ得る化合物である。密着増強剤としては、特に限定されないが、シランカップリング剤又はチタンカップリング剤などのカップリング剤が挙げられる。好ましくはシランカップリング剤である。
【0046】
上記シランカップリング剤としては、特に限定されないが、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニル・トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ユレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これら密着増強剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
密着増強剤は、主成分とは未反応性のものであるため、基材界面で作用する成分以外は硬化後に残存成分として存在することになり得る。従って、密着増強剤は、多量に使用すると物性低下などの悪影響を及ぼす恐れがある。基材の種類によっては、少量でも効果を発揮する点から、悪影響を及ぼさない範囲内での使用が適当である。その使用割合は、樹脂組成物に対して典型的には0質量%超かつ15質量%以下が好ましく、より好ましくは0質量%超かつ5質量%以下である。この使用割合の好ましい上限は、基材の種類によって変動し得る。
【0047】
本発明の樹脂組成物が含有し得るその他成分としては、更に、熱可塑性樹脂、着色剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤等の各種添加剤が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えばポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリカーボネート等が挙げられる。着色剤としては、例えばフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオジン・グリーン、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等が挙げられる。増粘剤としては、例えばオルベン、ベントン、モンモリロナイト等が挙げられる。消泡剤としては、例えばシリコーン系、フッ素系および高分子系等の消泡剤が挙げられる。これらの添加剤の使用量は、本発明の樹脂組成物中、例えば、それぞれ好ましくは0質量
%以上かつ30質量%以下が一応の目安であるが、使用目的に応じ適宜増減し得る。
【0048】
また、本発明の樹脂組成物が含有し得るその他成分としては、例えば硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素、無定形シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母粉等の無機充填剤が挙げられる。無機充填剤の配合割合は、本発明の樹脂組成物中に好ましくは0質量
%以上かつ60質量%以下である。
【実施例】
【0049】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、実施例におけるポリスルホンアミド化合物の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー HLC−8220 GPC カラム:TOSOH TSK−GEL Super AWM−H)の測定結果に基づいて、標準ポリスチレン換算により求めた値である。
下記の量を示す「部」は、特に断らない限り、「質量部」を意味する。
【0050】
(実施例1)本発明のポリスルホンアミド化合物の合成
メカニカルスターラー、温度計及び窒素導入管を備えた0.5リットルのフラスコに、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル8.010部(40mmol)、2−ピコリン11.176部(120mmol)及びN―メチル−2−ピロリドン18.9部を仕込み、撹拌溶解させた後−10℃まで冷却した。得られた溶液の温度を−10〜−5℃に保ちながら、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルクロライド14.688部(40mmol)及びN―メチル−2−ピロリドン16.0部を添加した後、溶液の温度を0〜5℃に保ちながら1時間撹拌を続けた。得られた溶液を4リットルの水に投入し、析出物を回収して純水で3回洗浄した後、60℃の恒温槽で乾燥させることにより本発明のポリスルホンアミド化合物(以下、「ポリマーI」と記載する)を得た。ポリマーIの数平均分子量は24,000、分子量分布は2.13であった。
得られたポリマーIは、TMAH 2.38%水溶液に対する良好な溶解性を示した。
【0051】
(比較例1)比較用のポリアミド化合物の合成
メカニカルスターラー、温度計及び窒素導入管を備えた0.5リットルのフラスコに、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル4.013部(20mmol)、2−ピコリン5.588部(60mmol)及びN―メチル−2−ピロリドン22.14部を仕込み、撹拌溶解させた後−10℃まで冷却した。得られた溶液の温度を−10〜−5℃に保ちながら、4,4’−オキシビスベンゾイルクロライド5.902部(20mmol)及びN―メチル−2−ピロリドン8部を添加した後、溶液の温度を0〜5℃に保ちながら0.5時間撹拌を続けた。得られた溶液を4リットルの水に投入し、析出物を回収して純水で3回洗浄した後、60℃の恒温槽で乾燥させることにより比較用のポリアミド化合物(以下、「ポリマーII」と記載する)を得た。ポリマーIIの数平均分子量は13,000、分子量分布は4.82であった。
得られたポリマーIIは、TMAH 2.38%水溶液に対して不溶であった。
【0052】
(実施例2)本発明の樹脂組成物の作製
実施例1で得られたポリマーI 100部、架橋剤としてDML−PC−MF(本州化学工業社製、2,6−ビス(ヒドロキシ
メチル)−p−クレゾール)20部、架橋剤としてDM−BIPC−F(旭有機材社製、ビス(2−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−5−メチルフェニル)メタン)20部及び光酸発生剤としてPAG−103(BASF社製、2−[2−(プロピルスルホニルオキシイミノ)チオフェン−3−(2H)−イリデン]−2−(2−メチルフェニル)アセトニトリル)4部をγ―ブチロラクトン207部に溶解して本発明の樹脂組成物を得た。
【0053】
(比較例2)比較用の樹脂組成物の作製
比較例1で得られたポリマーII 100部、架橋剤としてDML−PC−MF(本州化学工業社製、2,6−ビス(ヒドロキシ
メチル)−p−クレゾール)20部、架橋剤としてDM−BIPC−F(旭有機材社製、ビス(2−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−5−メチルフェニル)メタン)20部及び光酸発生剤としてPAG−103(BASF社製、2−[2−(プロピルスルホニルオキシイミノ)チオフェン−3−(2H)−イリデン]−2−(2−メチルフェニル)アセトニトリル)4部をγ―ブチロラクトン207部に溶解して比較用の樹脂組成物を得た。
【0054】
(実施例3)パターニング評価
実施例2で得られた樹脂組成物をシリコンウエハー上にスピンナーで塗布し、75℃のホットプレート上で15分間乾燥し、厚さ10μmのフィルムを得た。このフィルム上に解像度評価用のフォトマスクを載置し、250mJ/cm
2の紫外線を照射した後60℃のホットプレート上で3分間、及び100℃のホットプレート上で2分間加熱した。得られたシリコンウエハー上のフィルムを2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で現像し、更に蒸留水でリンスを施すことにより、解像度L&Sで6μm、アスペクト比が1.58のパターンが得られた。得られたパターンに現像時の剥がれ等は観察されず、シリコンウエハーに対する密着性は良好であった。
【0055】
(比較例3)パターニング評価
比較例2で得られた樹脂組成物を実施例3と同様の方法で評価を行ったところ、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で現像することができず、パターンを得ることができなかった。
【0056】
硬化膜の物性評価
解像度評価用のフォトマスクを載置しなかったこと以外は上記したパターニング評価と同様の手順で、カプトンフィルム上に本発明の樹脂組成物の硬化膜を作製した。得られた硬化膜をカプトンフィルム上から剥離し、200℃のオーブンで1時間加熱処理した。テンシロン万能試験機(エー・アンド・デイ社製 RTG−1210)を用いて機械物性を評価したところ、破断点伸度8.8%、破断強度100MPaと機械物性に優れていることが分かった。
また、動的粘弾性測定装置(DMA)(ティー・エイ・インスツルメント社製 RSA−G2)を用いて評価したガラス転移温度(Tg)は248℃であり、耐熱性に優れていることが分かった。