(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6860493
(24)【登録日】2021年3月30日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】飲料を煎出および分注するための装置
(51)【国際特許分類】
A47J 31/54 20060101AFI20210405BHJP
A47J 31/34 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
A47J31/54
A47J31/34
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-547063(P2017-547063)
(86)(22)【出願日】2015年11月30日
(65)【公表番号】特表2018-501048(P2018-501048A)
(43)【公表日】2018年1月18日
(86)【国際出願番号】DK2015050367
(87)【国際公開番号】WO2016082841
(87)【国際公開日】20160602
【審査請求日】2018年11月20日
(31)【優先権主張番号】PA201400692
(32)【優先日】2014年11月28日
(33)【優先権主張国】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】517186525
【氏名又は名称】エスターランスク ティーフス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スヴェンドセン、トルベン
【審査官】
沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2004/008019(WO,A2)
【文献】
米国特許第05647269(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/54
A47J 31/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒー等の飲料を煎出および分注するための装置(10)であって、前記装置(10)が、水の供給のために構成される水入口(21)を備える水タンク(20)と、1つ以上の加熱器要素(70)と、を備え、前記装置(10)が、熱水チャネル(31、32、33、34)を介して、水蛇口(40)、煎出チャンバ(50)、および分注ノズル(51)に接続される、水タンク出口(22)を備え、前記熱水チャネル(31、32、33、34)が、熱水のための流路を形成する、少なくとも1つのセクションを有し、前記熱水チャネルの前記少なくとも1つのセクションは、それが、前記熱水チャネルの前記少なくとも1つのセクションの全長に沿って、前記水タンク(20)の周辺と直接熱的接触しているように、かつ前記熱水チャネルの前記少なくとも1つのセクションが、前記水タンク(20)の前記周辺に対して実質的に平行に延在するように、構成されており、前記装置(10)が、マニホールド(30)を備え、前記マニホールド(30)が、前記熱水チャネルの前記少なくとも1つのセクションを備え、前記マニホールド(30)が、ともに結合された2つのプレート等の少なくとも2つの層を備え、前記水タンクが、前記マニホールド(30)によって被覆され、それによって、前記マニホールド(30)が、水タンク蓋を構成することを特徴とする、装置(10)。
【請求項2】
前記熱水チャネルの前記少なくとも1つのセクションが、前記水タンク出口(22)と、弁(42)等の第1の制御機器との間に配設される、第1の熱水チャネルセクション(31)を構成する、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
前記熱水チャネルの前記少なくとも1つのセクションが、前記水タンク出口(22)と、弁(42)等の第1の制御機器および流量計(43)等の第2の制御機器との間に配設される2つの熱水チャネルセクション(31、32)を構成する、請求項1又は2に記載の装置(10)。
【請求項4】
前記マニホールドが、水出口(23)を備え、前記熱水チャネル(31、32、33)の前記少なくとも1つのセクションが、前記水タンク出口(22)および前記水出口(23)を接続する、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項5】
前記熱水チャネルの前記少なくとも1つのセクションを被覆する前記マニホールド(30)の外表面領域が、前記水タンク(20)の表面に隣接して位置付けられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項6】
前記マニホールドの前記外表面領域が、前記水タンク(20)の内表面を構成する、請求項5に記載の装置(10)。
【請求項7】
前記マニホールド(30)が、第1の層、第2の層、および前記第1の層と第2の層との間に位置付けられる中間層という、3つの層を備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項8】
前記熱水チャネルの前記少なくとも1つのセクションが、貫通開口またはトラックによって、前記中間層において形成される、請求項7に記載の装置(10)。
【請求項9】
前記熱水チャネルの前記少なくとも1つのセクションが、レーザ切断によって形成される、請求項8に記載の装置(10)。
【請求項10】
前記装置(10)が、弁および流量計および温度センサ等の、煎出プロセスを制御するために構成される制御機器を備え、前記制御機器が、前記水タンク出口(22)と前記水出口(23)との間に前記熱水チャネルに沿って位置付けられる前記マニホールド(30)と接続して配設される、請求項1〜9に記載の装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー等の飲料を煎出および分注するための装置に関してであって、前記装置が、新鮮な水の供給のために構成される水入口を備える水タンクと、1つ以上の加熱器要素と、を備え、前記装置が、熱水チャネルを介して、水蛇口、煎出チャンバ、および分注ノズルに接続される、水タンク出口を備える、装置に関する。
【0002】
飲料を煎出および分注するための装置
本発明は、コーヒー等の飲料を煎出および分注するための装置に関してであって、前記装置が、新鮮な水の供給のために構成される水入口を備える水タンクと、1つ以上の加熱器要素と、を備え、前記装置が、熱水チャネルを介して、水蛇口、煎出チャンバ、および分注ノズルに接続される、水タンク出口を備える、装置に関する。
【背景技術】
【0003】
コーヒーマシンは、レストラン事業用コーヒーマシン、企業用コーヒーマシン、ならびに家庭用コーヒーマシン等の多くのバリエーションにおいて既知である。
焙煎したての豆が使用される一杯のホットコーヒーを煎出するとき、挽き、およびコーヒーの定量に対する適量の水が、良好な一杯のコーヒーを確実にするための重要な要因であることが公知である。同様に、良好な一杯のホットコーヒーを確実にするために、水の温度が、非常に重要である。水は、抽出と称される、コーヒー粉末からの香りの引き出しを行う。
水が熱すぎる場合、過剰抽出のリスクがあり、コーヒーに苦みを残し、水が冷たすぎる場合、抽出不足のリスクがあり得、ここでは、コーヒーが薄く、酸味がある可能性さえあるため、水温は、抽出プロセスにおいて極めて重要である。
水は、パイプライン、ならびに弁および流量計など等の他の構成要素等の、熱水タンクと煎出チャンバとの間の途中で、冷却するため、典型的に、熱水タンク内に位置する熱水は、より高い温度を有する。さらに、この冷却は、それが、熱水が通り抜けるパイプラインおよび他の構成要素、ならびに煎出チャンバが、低温状態にある間の、コーヒーの最初の分注であるかどうか、またはこれらの領域が、以前に分注されたコーヒーからの熱水の通過によって加温されているかどうか、ということに依存するため、コーヒーの各分注において同じではない。状況に依存して、煎出水は、低すぎるかまたは高すぎるかのいずれである温度を有し得、これは、分注されるコーヒーの質に影響し得る。
したがって、抽出中に好ましい水温を可能にする装置を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
装置の構成要素を通じた熱損失を最小化する、コーヒー等の飲料を煎出および分注するための装置を提供することが、本発明の目的である。
これは、前記熱水チャネルが、熱水のための流路を形成する、少なくとも1つのセクションを有し、前記熱水チャネルの前記少なくとも1つのセクションは、それが、前記熱水チャネルの前記少なくとも1つのセクションの全長に沿って、前記水タンクの周辺と直接熱的接触しているように、かつ前記熱水チャネルの前記少なくとも1つのセクションが、前記水タンクの周辺に対して実質的に平行に延在するように、構成されるときに、達成される。
水タンクからコーヒー煎出チャンバまでの水パイプの使用を最小化することによって、より少ない熱損失が得られ、結果として、より安定した温度が達成される。
【0005】
一実施形態において、前記熱水チャネルの少なくとも1つのセクションは、前記水タンク出口と、弁等の第1の制御機器との間に配設される、第1の熱水チャネルセクションから構成される。
【0006】
一実施形態において、前記熱水チャネルの少なくとも1つのセクションは、前記水タンク出口と、弁等の第1の制御機器および流量計等の第2の制御機器との間に配設される2つの熱水チャネルセクションを構成する。
【0007】
一実施形態において、該装置は、マニホールドを備え、前記マニホールドは、前記熱水チャネルの前記少なくとも1つのセクションを備える。マニホールドを使用することによって、より少ない構成要素が必要とされ、さらに、以前に使用された銅パイプおよび取付具が回避される。
【0008】
一実施形態において、マニホールドは、水出口を備え、前記熱水チャネルの前記少なくとも1つのセクションは、前記水タンク出口および前記水出口を接続する。
【0009】
一実施形態において、前記熱水チャネルの前記少なくとも1つのセクションを被覆する前記マニホールドの外表面領域は、前記水タンクの表面に隣接して位置付けられる。
【0010】
一実施形態において、前記マニホールドの外表面領域は、前記水タンクの内表面を構成する。
【0011】
一実施形態において、水タンクは、前記マニホールドによって被覆され、それによって、前記マニホールドは、水タンク蓋を構成する。
【0012】
一実施形態において、マニホールドは、ともに結合された2つのプレート等の少なくとも2つの層を備える。
【0013】
一実施形態において、前記マニホールドは、第1の層、第2の層、および前記第1の層と第2の層との間に位置付けられる中間層という、3つの層を備える
【0014】
一実施形態において、前記熱水チャネルの少なくとも1つのセクションは、貫通開口またはトラックによって、中間層において形成される。
【0015】
一実施形態において、前記熱水チャネルの少なくとも1つのセクションは、レーザ切断によって形成される。
【0016】
一実施形態において、該装置は、弁および流量計および温度センサ等の、煎出プロセスを制御するために構成される制御機器を備え、前記制御機器は、水タンク出口と前記水出口との間に前記熱水チャネルに沿って位置付けられるマニホールドと接続して配設される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の一実施形態を、図面を参照して以下で説明する。
【0018】
【
図3】本発明に従う装置の断面図および側面図である。
【
図4】
図3に示される装置の側面図、2つの端面図、および上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、コーヒー等の飲料を煎出するための装置に関する。
【0020】
図1は、水タンク20と、熱水チャネル31、32、33、34と、水蛇口40と、煎出チャンバ50と、を備える、装置10を例解する。
装置10は、水の貯蔵のために構成される水タンク20を備える。水タンクは、新鮮な水の供給ラインのために構成される水タンク入口21と、水タンク出口22と、を備える。該装置は、マニホールド30を備え、これは、水タンク20の周辺に対して平行なマニホールド30の範囲に沿ってマニホールドを通ってつながる、熱水チャネルセクション31、32、33を備える。水タンク出口22は、マニホールド30への水入口を構成する。
【0021】
水タンクは、底面および側面および上表面を備える。マニホールド30は、カバーを構成し、そのため、マニホールドは、水タンクを被覆し、そのため、水タンクの底面および側面、ならびにマニホールドは、水タンク20の水チャンバを包囲する。
煎出中、水タンク20内の水は、水タンク出口22を通って、フィルタ41、セルロイド弁42、および流量計43を通り過ぎる、マニホールドの熱水チャネルセクション31、32、33の中へ導かれる。
【0022】
フィルタ41、セルロイド弁42、および流量計43は、煎出プロセスを制御および監視するための公知の機器であり、該装置は、温度センサおよび他の技術的手段も備え得る。
【0023】
マニホールド30が水タンク20と直接熱接触している際、マニホールド30は、水タンク20とほぼ同じ温度を有し得る。同様に、熱水チャネルセクション31、32、33は、水タンク20のチャンバと同様の熱環境を有し、したがって、水は、マニホールド、およびマニホールドに接続された制御機器を通って流れるとき、温度が変化しない。
【0024】
水は、水入口21において水タンクに進入し、煎出プロセス中、水は、水タンク出口22を通ってマニホールド30の中へと水タンクを出る。
【0025】
水タンク出口22は、熱水チャネルセクション31と接続される。熱水チャネルセクション31および熱水チャネルセクション32は、セルロイド弁42と接続される。熱水チャネルセクション32は、流量計43を通って熱水チャネルセクション33と接続され、熱水チャネルセクション33は、マニホールド水出口23と接続され、かつそれによって終端される。
【0026】
図面は、水が、マニホールド水出口23から、接続パイプ34を通って、水蛇口40および煎出チャンバ50に流れ、煎出された飲料が、ノズル51を通って装置を出るということを例解する。煎出チャンバ50は、ハンドル60に接続される。
【0027】
一般的に、ハンドル60をひねって、煎出チャンバ50上部の水蛇口40をロックおよびロック解除することができる。
【0028】
図1に例解される装置10は、水タンク20と、新鮮な水の供給のために構成される水入口21と、1つ以上の加熱器要素70を備える。装置10は、熱水チャネル31、32、33、34を介して水蛇口40に接続される水タンク出口22と、煎出チャンバ50と、分注ノズル51と、をさらに備え、熱水チャネル31、32、33、34は、熱水のための流路を形成する少なくとも1つのセクションを有し、熱水チャネルの少なくとも1つのセクションは、それが、熱水チャネルの少なくとも1つのセクションの全長に沿って、水タンク20の周辺と直接熱的接触しているように、かつ熱水チャネルの少なくとも1つのセクションが、水タンク20の周辺に対して実質的に平行に延在するように、構成される。
【0029】
図2は、
図1に示される実施形態の断面図を例解する。
【0030】
水タンク出口22は、熱水チャネルセクション31と接続される。熱水チャネルセクション31および熱水チャネルセクション32は、
図1に示される、セルロイド弁42と接続される。
熱水チャネルセクション32は、流量計43を通って、熱水チャネルセクション33と接続される。熱水チャネルセクション33は、マニホールド水出口23と接続され、かつそれによって終端される。
図2に示される断面図においては、水蛇口40およびハンドル60もまた示される。
【0031】
熱水チャネルは、
図1および2において、マニホールド30の外表面に対して垂直に延在する、マニホールドを通る熱水チャネルセクション31、32、33を備える、直線として例解される。
図3は、該装置のより複雑な実施形態を例解し、ここでは、熱水チャネルセクションが、回路基板のように、ひねられ、湾曲され、かつ絡み合っている。
【0032】
一般的に、熱水チャネルは、
図3に例解されるように、ひねられ、かつ湾曲され、かつ絡み合っている熱水チャネルセクションを備える。
図3は、装置の側面図、ならびにマニホールド30の中間層35を示す線Aに沿った断面図を示し、
図3に示される装置は、いくつかのフィルタ41と、セルロイド弁42と、流量計43と、を備える。
【0033】
一般的に、マニホールド30は、ともに結合された2つのプレート等の少なくとも2つの層を備える。
【0034】
一般的に、一部の実施形態において、マニホールド30は、
図3に例解されるように、第1の層、第2の層、および第1の層と第2の層との間に位置付けられる中間層という、少なくとも3つの層を備える。側面図において、それぞれ、水タンク20の内表面を構成する内層34、中間層35、および外層36という、3つの層が示されている。
熱水チャネルは、貫通開口またはトラックのセクションによって、中間層において形成される。
一般的に、装置10は、弁および流量計および温度センサ等の、煎出プロセスを制御するために構成されるより多くの制御機器を備え、制御機器は、水タンク出口22と水出口23との間に熱水チャネルに沿って位置付けられるマニホールド30と接続して配設される。
【0035】
図3において、内層34は、いくつかの水タンク出口22を備え、同様に、熱水チャネルセクション31および熱水チャネルセクション32を接続する、いくつかのセルロイド弁42が存在する。
装置10は、水タンク20の3つのレベルに位置付けられる加熱器要素70を備える。
【0036】
図4は、
図3に示される装置10の側面図、2つの端面図、および上面図において見られる装置10を例解する。
【0037】
図4は、装置の構成要素の一部を例解する。それぞれ、水タンク20、マニホールド30、流量計43、セルロイド弁42、および加熱器要素70。
【0038】
加熱器要素70は、水チャンバの中へと水タンク20の内側に延在する、3つのレベルに位置付けられる。
【0039】
好ましくは、マニホールド30は、積層または成形プラスチックから作製され、マニホールド30内の熱水チャネルセクションは、レーザ切断または3D印刷によって作製され得る。