特許第6860495号(P6860495)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6860495
(24)【登録日】2021年3月30日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】可燃性熱源の把持手段を備えた喫煙物品
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20210405BHJP
【FI】
   A24F40/40
【請求項の数】15
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-548854(P2017-548854)
(86)(22)【出願日】2016年3月30日
(65)【公表番号】特表2018-511310(P2018-511310A)
(43)【公表日】2018年4月26日
(86)【国際出願番号】EP2016056951
(87)【国際公開番号】WO2016156424
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2019年3月7日
(31)【優先権主張番号】15162073.9
(32)【優先日】2015年3月31日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】マルガ アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ
【審査官】 比嘉 貴大
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/118024(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/174442(WO,A1)
【文献】 特開平11−169153(JP,A)
【文献】 国際公開第00/027231(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/096317(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/40
A24F 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙物品であって、
可燃性熱源と;
前記可燃性熱源の下流にあるエアロゾル形成基体と;
前記エアロゾル形成基体と前記可燃性熱源の少なくとも後方部分とを囲むラッパーと;
前記可燃性熱源を把持するための前記ラッパー上の把持手段であって、前記ラッパーの内部表面に固定され、および前記可燃性熱源を把持するように配置された内側に延びる複数の鋭い歯を備えた前記把持手段と、を含み、
前記把持手段が、前記内側に延びる鋭い歯のうちの少なくとも一部が前記エアロゾル形成基体を把持するように、前記エアロゾル形成基体の少なくとも一部を覆う、前記喫煙物品。
【請求項2】
前記内側に延びる複数の鋭い歯が尖っている、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項3】
前記内側に延びる鋭い歯のうちの少なくとも一部が、前記喫煙物品の下流端に向かって延びている、請求項1または2に記載の喫煙物品。
【請求項4】
前記内側に延びる鋭い歯のうちの少なくとも一部の先端部が、実質的に横断方向に延びている、請求項1〜3のいずれかに記載の喫煙物品。
【請求項5】
前記内側に延びる鋭い歯が、1平方センチメートルあたり約3個〜約50個の歯、好ましくは1平方センチメートルあたり約7個〜約50個の歯、より好ましくは1平方センチメートルあたり約13個〜約50個の歯、最も好ましくは1平方センチメートルあたり約20個〜約40個の歯という密度を有するパターンで配置される、請求項1〜4のいずれかに記載の喫煙物品。
【請求項6】
前記内側に延びる複数の鋭い歯が、前記可燃性熱源の長さの約25パーセント以上、好ましくは約30パーセント以上に沿って前記可燃性熱源を把持する、請求項1〜5のいずれかに記載の喫煙物品。
【請求項7】
前記把持手段が、前記可燃性熱源の実質的に周囲全体の周りに延びている、請求項1〜6のいずれかに記載の喫煙物品。
【請求項8】
前記内側に延びる鋭い歯が、約100GPa以上、好ましくは約150GPa以上の弾性率を有する材料から形成される、請求項1〜7のいずれかに記載の喫煙物品。
【請求項9】
前記内側に延びる鋭い歯が、前記ラッパーに固定された少なくとも1つのシートの内部表面に配置される、請求項1〜8のいずれかに記載の喫煙物品。
【請求項10】
前記内側に延びる複数の鋭い歯の各々が、前記シートのうちの部分的に切断され屈曲された部分から形成される、請求項9に記載の喫煙物品。
【請求項11】
前記少なくとも1つのシートが、前記少なくとも1つのシートを前記ラッパーに固定するために、前記シートの外部表面に配置された外側に延びる複数の鋭い歯を含む、請求項9又は10に記載の喫煙物品。
【請求項12】
前記外側に延びる複数の鋭い歯のうちの少なくとも一部が、前記喫煙物品の上流端に向かって延びている、請求項11に記載の喫煙物品。
【請求項13】
前記外側に延びる複数の鋭い歯の各々が、前記シートのうちの部分的に切断され屈曲された部分から形成される、請求項11又は12に記載の喫煙物品。
【請求項14】
前記少なくとも1つのシートの厚さが、約0.1ミリメートル以上、好ましくは約0.1ミリメートル〜約0.15ミリメートルである、請求項9〜13のいずれかに記載の喫煙物品。
【請求項15】
前記少なくとも1つのシートが、前記可燃性熱源の少なくとも後方部分と前記エアロゾル形成基体の少なくとも前方部分とを囲い、それにより、前記シートが前記可燃性熱源と前記エアロゾル形成基体との間の熱伝導性要素を形成する、請求項9〜14のいずれかに記載の喫煙物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル形成基体を加熱するための可燃性熱源と、エアロゾル形成基体と可燃性熱源の少なくとも後方部分とを囲むラッパーと、可燃性熱源を把持するためのラッパー上の把持手段と、を有する喫煙物品に関連する。
【背景技術】
【0002】
たばこが燃焼するよりはむしろ加熱される多くの喫煙物品が、当技術分野において提唱されてきた。このような「加熱式」喫煙物品の1つの目的は、従来的な紙巻たばこにおけるたばこの燃焼および熱分解によって生成されるタイプの公知の有害な煙成分を低減することである。加熱式喫煙物品の1つの公知のタイプにおいて、エアロゾルは可燃性熱源から物理的に分離されたエアロゾル形成基体(たばこなど)への熱伝達によって生成される。エアロゾル形成基体は可燃性熱源の中、周り、または下流に位置してもよい。喫煙中、揮発性化合物は可燃性熱源からの熱伝達によってエアロゾル形成基体から放出され、喫煙物品を通して引き出された空気中に混入される。放出された化合物が冷えるにつれて、これらは、凝縮してユーザーによって吸入されるエアロゾルを形成する。
【0003】
例えば、WO−A2−2009/022232号は、可燃性熱源と、可燃性熱源の下流にあるエアロゾル形成基体と、可燃性熱源の後方部分および隣接するエアロゾル形成基体の前方部分の周りにあり、およびそれらと接触した熱伝導性要素と、を備えた喫煙物品を開示する。可燃性熱源およびエアロゾル形成基体は、同軸配列で隣接し、熱伝導性要素と一緒に、喫煙物品の様々な構成要素を合わせて保持する低通気性の紙巻たばこ用紙の外側ラッパーで包装される。使用時、エアロゾル形成基体の前方部分は、隣接した可燃性熱源の後方部分を通して、および熱伝導性要素を介して主に伝導によって加熱される。
【0004】
たばこが燃焼するよりはむしろ加熱される喫煙物品において、エアロゾル形成基体において達成される温度は、知覚的に許容されるエアロゾルを生成する能力に顕著な影響を及ぼす。ユーザーへのエアロゾル送達を最適化するために、一定の範囲内でエアロゾル形成基体の温度を維持することが典型的には望ましい。場合によっては、可燃性熱源が外れることがあり、その結果、エアロゾル形成基体に対する該熱源の位置がずれるようになる。これにより、エアロゾル形成基体の温度が所望の範囲外に低下し、それによって、喫煙物品の性能に影響を与えるおそれがある。例えば、エアロゾル形成基体の温度が低下し過ぎる場合、それはユーザーに送達されるエアロゾルの一貫性および量に不利に影響を与えうる。
【0005】
これらの問題を克服するために、可燃性熱源と外側ラッパーまたは熱伝導性要素との間に接着剤を塗布して、エアロゾル形成基体に対する可燃性熱源の適正な位置を維持することが公知である。しかしながら、接着剤を加えることで、製造の複雑性およびコストが増し、例えば、外側ラッパーの変色をもたらすことによって、喫煙物品の外観に好ましくない影響を与えるおそれがある。
【0006】
EP−A1−2 550 879号では、可燃性熱源の適正な位置を維持するための保持部を備えた喫煙物品を開示している。喫煙物品は、多層管部材と、管部材の末端部分に配置された可燃性熱源と、管部材内で熱源に隣接して配置された喫煙香味放出源と、を含む。管を局所的に変形させて、その内径を可燃性熱源の外径よりも小さくなるように減少させることによって、保持部を形成する。しかしながら、管の内径が熱源の外径よりも小さくなるように管を変形させることにより、熱源の外部表面に対して強い横断方向の力がかかる場合があり、これが可燃性熱源の破損を招きうる。
【0007】
統合性が改良された可燃性熱源を含む改良型の喫煙物品を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0008】
本発明によると、可燃性熱源と、可燃性熱源の下流にあるエアロゾル形成基体と、エアロゾル形成基体と可燃性熱源の少なくとも後方部分とを囲むラッパーと、可燃性熱源を把持するためのラッパー上の把持手段であって、ラッパーの内部表面に固定され、および可燃性熱源を把持するように配置された内側に延びる複数の鋭い歯を備えた該把持手段と、を含む喫煙物品が提供される。
【0009】
本明細書で使用される場合、「鋭い歯」という用語は、1つ以上の表面が鋭角の接合部を形成するように合流する縁、先端、角、または他の同様な構造において末端をなす突起部を意味する。
【0010】
有利なことには、内側に延びる複数の鋭い歯は、可燃性熱源に加えられる把持力を増加させて、接着剤を必要とすることなく、または熱源の外部表面に対して強い横断方向の力がかかることなく、ラッパーおよびエアロゾル形成基体に対する熱源の位置を維持する。したがって、本発明は、製造が簡易であり、製造、輸送、または使用中に損傷を受ける可能性が低い、統合性が改良された喫煙物品を提供することができる。
【0011】
本明細書で使用される場合、「把持」および「把持する」という用語は、ラッパーおよび可燃性熱源などの喫煙物品の2つの構成要素間の相対的な動きを阻止するように保持することを意味するのに用いられる。したがって、「把持手段」は、ラッパーおよび可燃性熱源などの喫煙物品の2つの構成要素間の相対的な動きを阻止するものである。
【0012】
本明細書で使用される場合、「ラッパー上」という用語は、把持手段が、ラッパーの一体型の部品として、または一体型ではなくラッパーに直接的に、もしくは1つ以上の中間の構成要素を介して間接的に締結される1つ以上の個別の構成要素として、ラッパーに締結されることを意味するのに用いられる。
【0013】
一部の実施形態では、内側に延びる複数の鋭い歯は、鋭角の接合部を形成するように合流した2つ以上の表面から形成される鋭い縁部で末端をなす。他の実施形態では、内側に延びる複数の鋭い歯は尖っている。すなわち、内側に延びる複数の鋭い歯はそれぞれ、鋭角の接合部を形成するように二次元的に合流した1つ以上の表面から形成される鋭い先端部で末端をなしうる。
【0014】
「上流」および「前方」、ならびに「下流」および「後方」という用語は、本明細書に使用される場合、ユーザーがその使用時に喫煙物品を吸う方向に関連して、喫煙物品の構成要素または構成要素の一部分の相対的位置を説明するために使用される。本発明による喫煙物品は、使用において、ユーザーへの送達のために喫煙物品を出るエアロゾルが通る近位端を含む。喫煙物品の近位端はまた、口側の端と呼ばれることもある。使用において、ユーザーは喫煙物品によって生成されるエアロゾルを吸入するために、喫煙物品の口側の端において吸い込む。
【0015】
可燃性熱源は喫煙物品の遠位端に位置するか、またはそれに近接する。喫煙物品の口側の端は、喫煙物品の遠位端の下流にある。また、喫煙物品の近位端は喫煙物品の下流端と呼ばれてもよく、喫煙物品の遠位端は喫煙物品の上流端と呼ばれてもよい。喫煙物品の構成要素または構成要素の部分は、喫煙物品の近位端と喫煙物品の遠位端との間のそれらの相対的位置に基づいて互いの上流または下流にあると記述されてもよい。口側の端は遠位端の下流である。
【0016】
可燃性熱源の前端面は可燃性熱源の上流端にある。可燃性熱源の上流端は喫煙物品の近位端から最も遠い可燃性熱源の末端である。可燃性熱源の後端面は可燃性熱源の下流端にある。可燃性熱源の下流端は喫煙物品の近位端に最も近い可燃性熱源の末端である。
【0017】
本明細書で使用される場合、「長軸方向」および「軸方向」という用語は、可燃性熱源の向かい合った前端面と後端面との間の方向、および喫煙物品の近位端とそれと向かい合った遠位端との間の方向を記述するために使用される。
【0018】
本明細書で使用される場合、「長さ」という用語は、可燃性熱源などの喫煙物品の構成要素の、または喫煙物品自体の長軸方向での最大寸法を記述するために使用される。すなわち、構成要素の向かい合った前端面と後端面との間の方向、または喫煙物品の近位端とそれと向かい合った遠位端との間の方向での最大寸法である。
【0019】
本明細書に使用される場合、「半径方向」および「横断方向」という用語は、長軸方向に対して垂直な方向を記述するために使用される。すなわち、可燃性熱源の向かい合った前端面と後端面との間の方向、および喫煙物品の近位端とそれと向かい合った遠位端との間の方向に垂直な方向である。
【0020】
本明細書で使用される場合、「内部表面」および「外部表面」という用語は、それぞれ、喫煙物品の構成要素の半径方向に内側の表面、および半径方向に外側の表面を意味する。
【0021】
本明細書で使用される場合、「直径」という用語は、可燃性熱源などの喫煙物品の構成要素の、または喫煙物品自体の横断方向での最大寸法を表す。
【0022】
内側に延びる複数の鋭い歯は、実質的に横断方向内側に延びていてもよい。あるいは、または加えて、内側に延びる複数の鋭い歯のうちの少なくとも一部は、喫煙物品の上流端に向かって延びていてもよい。
【0023】
好ましくは、内側に延びる複数の鋭い歯のうちの少なくとも一部は、喫煙物品の下流端に向かって延びている。有利なことには、内側に延びる複数の鋭い歯が、喫煙物品の下流端に向かって延びることによって、ラッパーに対する可燃性熱源の上流への動きに対して抵抗を強めるかかりとして作用することができる。また、その結果、可燃性熱源の下流への動きに対する抵抗が低減し、ラッパーをエアロゾル形成基体の周りに包んだ後に可燃性熱源を設ける場合、製造の間に可燃性熱源を喫煙物品の上流端内に一層簡易に挿入することが可能になる。
【0024】
特定の好ましい実施形態では、内側に延びる複数の鋭い歯の実質的に全てが、喫煙物品の下流端に向かって延びている。
【0025】
本明細書で使用される場合、「喫煙物品の下流端に向かって延びる」という用語は、歯を、その先端部がその基部の下流になるように配置することを意味するのに用いられる。
【0026】
内側に延びる複数の鋭い歯のうちの1つ以上は、線形形状を有してもよい。すなわち、内側に延びる複数の鋭い歯のうちの1つ以上が、実質的に直線である線に沿って延びていてもよい。あるいは、または加えて、内側に延びる複数の鋭い歯のうちの1つ以上が非線形形状を有してもよい。すなわち、内側に延びる複数の鋭い歯のうちの1つ以上が、実質的に直線ではない線に沿って延びていてもよい。例えば、内側に延びる複数の鋭い歯のうちの1つ以上が、曲線形状を有してもよい。歯が非線形である場合、歯は1つ以上の線形部分または曲線部分から形成されてもよい。
【0027】
内側に延びる複数の鋭い歯は、そのそれぞれの自由端または先端部が任意の適切な方向に延びるように配置されてもよい。例えば、内側に延びる複数の鋭い歯のうちの少なくとも一部の先端部が、喫煙物品の上流端または下流端に向かって延びていてもよい。特定の実施形態では、内側に延びる複数の鋭い歯のうちの少なくとも一部が、喫煙物品の下流端に向かって延び、また同様に喫煙物品の下流端に向かって延びる先端部を有する。こうした歯は線形であっても、非線形であってもよい。特定の実施形態では、内側に延びる複数の鋭い歯のうちの少なくとも一部の先端部が、実質的に横断方向に延びている。こうした配置では、把持手段は、上流および下流の両方向において可燃性熱源およびラッパーの相対的な動きに対する抵抗を増加させることができる。これは、可燃性熱源の下流への動きが喫煙物品の他の構成要素によって妨げられない喫煙物品、例えば可燃性熱源がエアロゾル形成基体から間隙を介している喫煙物品において特に有益でありうる。
【0028】
上記の実施形態のいずれかにおいて、内側に延びる複数の鋭い歯は、1平方センチメートルあたり少なくとも3個の歯という密度、例えば1平方センチメートルあたり約3個〜約50個の歯、好ましくは1平方センチメートルあたり約7個〜約50個の歯、より好ましくは1平方センチメートルあたり約13個〜約50個の歯、最も好ましくは1平方センチメートルあたり約20個〜約45個の歯という密度を有するパターンで配置されることが好ましい。
【0029】
特定の実施形態では、内側に延びる複数の鋭い歯は規則的なパターンで配置される。本明細書を通して、「規則的なパターン」という用語は、歯の規則的な配列を含むパターンを記述するのに用いられる。例えば、内側に延びる複数の鋭い歯は、規則的な縞模様のパターン、規則的な格子縞もしくは正方形のパターン、規則的な六角形のパターン、または任意の他の規則的な幾何学的パターンで配置されてもよい。特定の他の実施形態では、内側に延びる複数の鋭い歯は不規則的なパターンで配置される。本明細書を通して、「不規則的なパターン」という用語は、歯の非反復またはランダム配列を含むパターンを記述するのに用いられる。
【0030】
内側に延びる複数の鋭い歯の高さ、言い換えると内向きの長さは、約10マイクロメートル〜約2.25ミリメートル、好ましくは約10マイクロメートル〜約1.5ミリメートル、より好ましくは約10マイクロメートル〜約1ミリメートル、最も好ましくは約10マイクロメートル〜約0.5ミリメートルであることが好ましい。
【0031】
内側に延びる複数の鋭い歯は、歯と可燃性熱源の外部表面との間の直接的な接触によって可燃性熱源を把持してもよい。あるいは、または加えて、内側に延びる複数の鋭い歯は、歯と可燃性熱源の外部表面との間の間接的な接触によって、1つ以上の中間の構成要素を介して可燃性熱源を把持してもよい。例えば、内側に延びる複数の鋭い歯は、可燃性熱源の外部表面上の接着剤またはラッパー材料の1つ以上の層などの、可燃性熱源の表面上の1つ以上の構成要素との直接的な接触によって、可燃性熱源を間接的に把持するように配置されうる。
【0032】
把持手段は、内側に延びる複数の鋭い歯のうちの少なくとも一部が可燃性熱源を把持するように、可燃性熱源の少なくとも一部を覆う。把持手段によって覆われる可燃性熱源の範囲、したがって、内側に延びる複数の鋭い歯によって把持される可燃性熱源の範囲は、歯および喫煙物品自体の特定の配置によって異なりうる。
【0033】
好ましい実施形態では、内側に延びる複数の鋭い歯は、可燃性熱源の長さの少なくとも約25パーセントに沿って可燃性熱源を把持する。言い換えると、把持手段は、可燃性熱源の長さの少なくとも25パーセントが内側に延びる複数の鋭い歯によって把持されるように可燃性熱源を覆う。例えば、把持手段は、内側に延びる複数の鋭い歯が、可燃性熱源の後端面から、可燃性熱源の前端面と後端面との間の距離の約25パーセントとなる位置まで可燃性熱源を把持するように、可燃性熱源を覆ってもよい。別の方法として、把持手段は、内側に延びる複数の鋭い歯が、可燃性熱源の軸方向に離間した2つ以上の長さであって、合わせて可燃性熱源の長さの少なくとも25パーセントの長さを有する該軸方向に離間した長さに沿って可燃性熱源を把持するように、可燃性熱源を覆ってもよい。
【0034】
把持手段は、可燃性熱源の周囲の一部のみの周りに延びていてもよい。特定の好ましい実施形態では、把持手段は、可燃性熱源の実質的に周囲全体の周りに延びている。こうした実施形態では、把持手段は可燃性熱源の周囲に1つ以上のリングを形成する。
【0035】
把持手段は、可燃性熱源のみを覆うように配置されてもよい。あるいは、把持手段は、内側に延びる複数の鋭い歯が喫煙物品の他の構成要素も把持するように、これらの他の構成要素を覆ってもよい。特定の実施形態では、把持手段は、内側に延びる複数の鋭い歯のうちの少なくとも一部がエアロゾル形成基体を把持するように、エアロゾル形成基体の少なくとも一部を覆う。有利なことに、このことは喫煙物品の統合性をさらに改善することができ、また使用中に可燃性熱源およびエアロゾル形成基体の、互いに対するおよびラッパーに対する動きに抵抗することによって、可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間の良好な熱的接続を維持するのに役立ちうる。これは、ユーザーへのエアロゾル送達を改善するために、エアロゾル形成基体の温度を望ましい範囲内に維持するのに役立ちうる。
【0036】
内側に延びる複数の鋭い歯は、任意の適切な材料(複数可)、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼フィルム、チタン、ニッケル、またはクロムから形成されうる。内側に延びる複数の鋭い歯は、少なくとも約100GPa、好ましくは少なくとも約150GPaの弾性率を有する材料から形成されるのが好ましい。有利なことには、これにより、内側に延びる複数の鋭い歯をより小さくもしくはより薄く、またはより小さくかつより薄く作製しつつ、可燃性熱源を適正に把持できるようになる。このことは、所定の喫煙物品の直径に対して、より大きいまたはより厚い歯を用いた場合に想定されうる直径よりも大きい直径の可燃性熱源が使用可能であることを意味する。こうしたことは、エアロゾル形成基体が、許容可能なエアロゾルを供給する望ましい温度範囲に到達するよう促しうる。これは、内側に延びる複数の鋭い歯が、可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間の熱伝導性要素の内部表面に配置されている喫煙物品にとって特に有益でありうるが、その理由は、可燃性熱源と熱伝導性要素との間の隙間が減少して、可燃性熱源と熱伝導性要素との間の熱伝達を増加させることができるからである。
【0037】
本明細書で使用される場合、「弾性率」という用語は、材料のヤング率を意味する。
【0038】
内側に延びる複数の鋭い歯は、ラッパーの内部表面に固定される。本明細書で使用される場合、「固定」という用語は、内側に延びる複数の鋭い歯が、ラッパーの一体型の部品として、または一体型ではなくラッパーに直接的に、もしくは1つ以上の中間の構成要素を介して間接的に締結される1つ以上の個別の構成要素として、ラッパーに締結されることを意味するのに用いられる。内側に延びる複数の鋭い歯は、ラッパーの内部表面に直接配置されうる。あるいは、または加えて、内側に延びる複数の鋭い歯は、ラッパーと可燃性熱源との間の熱伝導性要素の内部表面に直接配置されうる。熱伝導性要素の内部表面に配置された内側に延びる複数の鋭い歯は、可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間に延びていてもよい。好ましい実施形態では、内側に延びる複数の鋭い歯は、ラッパーに固定された少なくとも1つのシートの内部表面に配置される。
【0039】
内側に延びる複数の鋭い歯が、ラッパーに固定された少なくとも1つのシートの内部表面に配置される場合、少なくとも1つのシートはラッパーに任意の適切な方法で固定されうる。例えば、接着剤を用いることが挙げられる。少なくとも1つのシートは、ラッパーに直接固定されても、1つ以上の中間の要素を介して間接的に固定されてもよい。特定の実施形態では、少なくとも1つのシートは、ラッパーの一体型の部品を形成してもよい。例えば、ラッパーは、内層が少なくとも1つのシートで形成された多層の複合材であってもよい。
【0040】
内側に延びる複数の鋭い歯が、ラッパーに固定された少なくとも1つのシートの内部表面に配置される場合、内側に延びる複数の鋭い歯は、少なくとも1つのシートの内部表面に塗布された追加の材料から形成されうる。好ましい実施形態では、内側に延びる複数の鋭い歯はシートに一体化されている。こうした実施形態では、内側に延びる複数の鋭い歯のうちの少なくとも一部は、シートのうちの部分的に切断され内側に屈曲された部分から形成されうる。好ましくは、内側に延びる複数の鋭い歯の各々は、シートのうちの部分的に切断され内側に屈曲された部分から形成される。言い換えると、少なくとも1つのシートの内部表面上にある開口形状の切れ目線に沿って切断して、切れ目線により区切られたシートのうちの部分的に切断された部分を画定することによって、および部分的に切断された部分を内側方向に可塑的に変形させて歯を画定することによって、各歯が形成される。切れ目線、したがって、各歯が形成されるシートのうちの部分的に切断された部分は、任意の適切な開口形状、例えばI字型、V字型、U字型、またはC字型を有してもよい。
【0041】
切れ目線は少なくとも1つのシートの厚さを貫通して延びているのが好ましい。有利なことには、これにより、少なくとも1つのシートの厚さに対して歯の厚さが最大化され、したがって、歯の剛性と所定のシートの厚さに対してかかる把持力とが増加する。別の方法として、切れ目線は、シートの厚さのうちの一部のみを貫通して延びていてもよい。こうした実施形態では、切れ目線により区切られたシートの部分的に切断された部分が、シートの内部表面から抉り出され内側に変形されて、各歯を形成してもよい。
【0042】
特定の好ましい実施形態では、少なくとも1つのシートは、少なくとも1つのシートをラッパーに固定するために、シートの外部表面に配置された外側に延びる複数の鋭い歯を含む。有利なことには、外側に延びる複数の鋭い歯は、ラッパーの内部表面、または少なくとも1つのシートとラッパーとの間の1つ以上の中間の構成要素の内部表面を把持し、その結果、少なくとも1つのシートが接着剤を必要とすることなくラッパーに固定されうる。好ましくは、外側に延びる複数の鋭い歯は、上述した内側に延びる複数の鋭い歯と実質的に同じである。外側に延びる複数の鋭い歯は、シートの外部表面から実質的に横断方向に延びていてもよい。あるいは、または加えて、外側に延びる複数の鋭い歯のうちの少なくとも一部は、喫煙物品の下流端に向かって延びていてもよい。好ましくは、外側に延びる複数の鋭い歯のうちの少なくとも一部が、喫煙物品の上流端に向かって延びている。有利なことには、外側に延びる複数の鋭い歯が、喫煙物品の上流端に向かって延びることによって、ラッパーに対する少なくとも1つのシートの上流への動き、したがってラッパーに対する可燃性熱源の上流への動きに対して抵抗を強めるかかりとして作用することができる。
【0043】
少なくとも1つのシートが、少なくとも1つのシートをラッパーに固定するためにシートの外部表面に配置された外側に延びる複数の鋭い歯を含む場合、外側に延びる複数の鋭い歯は、少なくとも1つのシートの外部表面に塗布された追加の材料から形成されうる。好ましい実施形態では、外側に延びる複数の鋭い歯はそれぞれ、シートのうちの部分的に切断され外側に屈曲された部分から形成される。言い換えると、少なくとも1つのシートの外部表面上にある開口形状の切れ目線に沿って切断して、切れ目線により区切られたシートの部分的に切断された部分を画定することによって、および部分的に切断された部分を外側方向に可塑的に変形させて歯を画定することによって、各歯が形成される。切れ目線、したがって、各歯が形成されるシートのうちの部分的に切断された部分は、任意の適切な開口形状、例えばI字型、V字型、U字型、またはC字型を有してもよい。
【0044】
特定の実施形態では、内側に延びる複数の鋭い歯が、ラッパーに固定された少なくとも1つのシートの内部表面に配置され、そこで、少なくとも1つのシートは、少なくとも1つのシートをラッパーに固定するために、シートの外部表面に配置された外側に延びる複数の鋭い歯をさらに含む。こうした実施形態では、内側に延びる複数の鋭い歯および外側に延びる複数の鋭い歯の両方のうちの少なくとも一部が、シートに一体化されてもよく、例えば、シートのうちの部分的に切断され屈曲された部分から形成されてもよい。好ましくは、内側に延びる複数の鋭い歯および外側に延びる複数の鋭い歯の各々は、シートに一体化され、例えば、シートのうちの部分的に切断され屈曲された部分から形成される。
【0045】
切れ目線は少なくとも1つのシートの厚さを貫通して延びているのが好ましい。有利なことには、これにより、少なくとも1つのシートの厚さに対して歯の厚さが最大化され、したがって、歯の剛性と所定のシートの厚さに対してかかる把持力とが増加する。別の方法として、切れ目線は、シートの厚さのうちの一部のみを貫通して延びていてもよい。こうした実施形態では、切れ目線により区切られたシートの部分的に切断された部分が、シートの外部表面から抉り出され外側に変形されて、各歯を形成してもよい。
【0046】
少なくとも1つのシートは、任意の適切な材料(複数可)、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼フィルム、チタン、ニッケル、またはクロムから形成されうる。少なくとも1つのシートは、少なくとも約100GPa、好ましくは少なくとも約150GPaの弾性率を有する材料から形成されるのが好ましい。比較的高い弾性率を有するシートを使用することによって、外側に延びる複数の鋭い歯をより小さくもしくはより薄く、またはより小さくかつより薄く作製しつつ、ラッパーを適正に把持することができる。
【0047】
好ましい実施形態では、少なくとも1つのシートはステンレス鋼または硬化アルミニウムから形成され、該シートの厚さは、少なくとも約0.05ミリメートル、好ましくは少なくとも約0.1ミリメートル、より好ましくは約0.1ミリメートル〜約0.15ミリメートルである。
【0048】
内側に延びる複数の鋭い歯は全て、ラッパーに固定された単一のシート上に配置されうる。
【0049】
別の方法として、内側に延びる複数の鋭い歯は、ラッパーに固定された複数の個別のシートの内部表面に配置されてもよい。個別のシートは、互いに直接隣接してもよい。あるいは、個別のシートのうちの2つ以上が、軸方向もしくは周方向に、または軸方向および周方向の両方向に間隙を介してもよい。これにより、把持手段が、喫煙物品の長さに沿った、または必要に応じて喫煙物品の周囲の周りで、選択された場所に位置することが可能になる。このことは、必要とされるシート材料の量を減じることで、製造コストを低減することができる。
【0050】
内側に延びる複数の鋭い歯が、ラッパーに固定された複数の個別のシートの内部表面に配置される場合、個別のシートは任意の適切な配置でありうる。例えば、シートのうちの1つ以上が可燃性熱源の実質的に周囲全体の周りに延びていてもよく、可燃性熱源の実質的に周囲全体の周りに延びていても延びていなくてもよい他のシートから軸方向に離間していてもよい。特定の実施形態では、シートは可燃性熱源の周囲の一部のみの周りに延び、周囲方向に離間していてもよい。
【0051】
上記の実施形態のいずれかにおいて、エアロゾル形成基体は、可燃性熱源の後面に接してもよい。有利なことに、把持手段は、使用中に、エアロゾル形成基体と直接接触する可燃性熱源を保持して、2つの構成要素の間の良好な熱的接続を確保し、エアロゾル形成基体の温度を望ましい範囲内に維持することができる。一定の実施形態において、可燃性熱源およびエアロゾル形成基体は、同軸配列で隣接してもよい。
【0052】
本明細書に使用される用語「隣接する」および「隣接」は、可燃性熱源の後面、または可燃性熱源の後面において提供される不燃性の実質的に不通気性の第1のバリアコーティング、もしくは可燃性熱源の後面において提供される通気性のコーティングと直接接触するエアロゾル形成基体を記述するために使用される。
【0053】
その他の実施形態において、エアロゾル形成基体は可燃性熱源の後面から間隙を介していてもよい。すなわち、エアロゾル形成基体と可燃性熱源の後面との間のスペースまたはギャップがあってもよい。こうした実施形態では、エアロゾル形成基体は、可燃性熱源の後面から、キャビティもしくは通気性スペーサー材料などのスペーサー材料により、またはキャビティおよびスペーサー材料により間隙を介していてもよい。
【0054】
内側に延びる複数の鋭い歯が、ラッパーに固定された少なくとも1つのシートの内部表面に配置される場合、少なくとも1つのシートは、可燃性熱源の少なくとも後方部分とエアロゾル形成基体の少なくとも前方部分とを囲ってもよく、それにより、該シートが可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間の熱伝導性要素を形成する。このような実施形態において、シートは、可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間に熱リンクを提供し、有利なことに、許容可能なエアロゾルを提供するために可燃性熱源からエアロゾル形成基体への適切な熱伝達を容易にするのに役立つ。
【0055】
可燃性熱源は、固体の熱源であることが好ましく、また炭素や、アルミニウム、マグネシウム、1つ以上の炭化物、1つ以上の窒化物およびその組み合わせを含む、炭素ベースの材料を含むがこれに限定されない、適切な任意の可燃性燃料を備えうる。加熱式喫煙物品のための固体の可燃性熱源、およびこうした熱源を製造するための方法は、当技術で公知であり、例えば、US−A−5,040,552号およびUS−A−5,595,577号に記載がある。典型的には、加熱式喫煙物品のための公知の固体の可燃性熱源は、炭素ベースであり、すなわち、主要な可燃材料として炭素を備える。
【0056】
可燃性熱源は、ブラインド可燃性熱源であることが好ましい。本明細書に使用される場合、「ブラインド」という用語は、可燃性熱源の前端面から後端面まで延びる任意の気流チャネルを含まない熱源を記述する。本明細書に使用される場合、「ブラインド」という用語は、可燃性熱源の前端面から可燃性熱源の後端面まで延びる1つ以上の気流チャネルを含む可燃性熱源を記述するためにも使用され、その場合、可燃性熱源の後端面とエアロゾル形成基体バリアとの間の可燃性の実質的に不通気性のバリアが、空気が可燃性熱源の長さに沿って1つ以上の気流チャネルを通して引き出されるのを阻止する。
【0057】
ブラインド可燃性熱源を含む本発明による喫煙物品は、空気を1つ以上の気流経路の中へと引き出すための可燃性熱源の後端面の下流にある1つ以上の空気吸込み口を備える。非ブラインド可燃性熱源を備える本発明による喫煙物品は、1つ以上の気流経路の中へと空気を引き出すための可燃性熱源の後端面の下流の1つ以上の空気吸込み口も備えてもよい。
【0058】
一定の好ましい実施形態では、本発明による喫煙物品は、エアロゾル形成基体の下流端の近くに位置する1つ以上の空気吸込み口を備えるブラインド可燃性熱源を備える。
【0059】
使用において、ユーザーによる吸入のために、ブラインド可燃性熱源を含む本発明による喫煙物品の1つ以上の気流経路に沿って引き出された空気は、ブラインド可燃性熱源に沿ったいかなる気流チャネルも通過しない。ブラインド可燃性熱源を通しての任意の気流チャネルの欠如は、ユーザーがたばこを吸う間のブラインド可燃性熱源の燃焼の活性化を有利に実質的に阻止または抑制する。これは、ユーザーがたばこを吸う間、エアロゾル形成基体の温度におけるスパイクを実質的に阻止または抑制する。
【0060】
ブラインド可燃性熱源の燃焼の活性化を阻止または抑制すること、およびそのようにしてエアロゾル形成基体における過剰な温度上昇を阻止または抑制することによって、激しくたばこを吸う状況下でエアロゾル形成基体の燃焼または熱分解が有利に回避されうる。加えて、主流エアロゾルの組成物へのユーザーのたばこを吸う状況の影響は、有利に最小にされ、または減少されうる。
【0061】
また、ブラインド可燃性熱源の封入は、ブラインド可燃性熱源の点火および燃焼の間に形成される燃焼および分解生成物並びにその他の材料が、その使用中、本発明による喫煙物品を介して吸い込まれる空気に入るのを有利に実質的に阻止または抑制しうる。これは、ブラインド可燃性熱源がブラインド可燃性熱源の点火または燃焼を補助するために1つ以上の添加剤を含む場合、特に有益である。
【0062】
ブラインド可燃性熱源を含む本発明による喫煙物品において、ブラインド可燃性熱源からエアロゾル形成基体への熱伝達は、伝導によって主に生じ、強制対流によるエアロゾル形成基体の加熱は最小にされる、または減少される。これは、本発明による喫煙物品の主流エアロゾルの組成物へのユーザーのたばこを吸う状況の影響を最小にする、または減少させるのに有利に役立つ。
【0063】
ブラインド可燃性熱源を含む本発明による喫煙物品において、可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間の伝導性熱伝達を最適化することは、特に重要である。以下にさらに記述されるように、強制対流によるエアロゾル形成基体の何らかの加熱があってもわずかである場合、本発明によるブラインド熱源を含む喫煙物品では、可燃性炭素質熱源の少なくとも後方部分およびエアロゾル形成基体の少なくとも前方部分の周りに1つ以上の熱伝導性要素を含むことが特に好ましい。
【0064】
本発明による喫煙物品は、ユーザーによる吸入のために空気を引き出させない1つ以上の閉じた、または遮断された通路を含むブラインド可燃性熱源を含んでもよいことが認識されるであろう。
【0065】
例えば、本発明による喫煙物品は、ブラインド可燃性炭素質熱源の長さに沿って途中までのみブラインド可燃性炭素質熱源の上流端にて前端面から延びる1つ以上の閉じた通路を含む、ブラインド可燃性熱源を備えてもよい。
【0066】
1つ以上の閉じた空気通路の封入は、空気からの酸素に曝露されるブラインド可燃性熱源の表面積を増加させ、ブラインド可燃性熱源の点火および燃焼の持続を有利に容易にしうる。
【0067】
本発明のある一定の実施形態では、可燃性熱源は、熱源を通して1つ以上の気流経路を提供する少なくとも1つの長軸方向の気流チャネルを備える。「気流チャネル」という用語は本明細書において、ユーザーによる吸入のために喫煙物品を通して空気が引き出されうる熱源の長さに沿って延びるチャネルを記述するために使用される。1つ以上の長軸方向の気流チャネルを含むこのような熱源は、本明細書では「非ブラインド」熱源と呼ばれる。
【0068】
少なくとも1つの長軸方向の気流チャネルの直径は、約1.5mm〜約3mmであってもよく、約2mm〜約2.5mmであることがより好ましい。WO−A−2009/022232号により詳細に記述されるように、少なくとも1つの長軸方向の気流チャネルの内部表面は、部分的に被覆されてもよく、または完全に被覆されてもよい。
【0069】
本明細書に使用される場合、「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を加熱に応じて放出することができる基体を記述するために使用される。本発明による喫煙物品のエアロゾル形成基体から生成されるエアロゾルは、見えても、または見えなくてもよく、蒸気(例えば、気状である物質の微粉は室温にて通常、液体または固体である)、ならびに気体および凝縮された蒸気の液体の液滴を含んでもよい。
【0070】
エアロゾル形成基体は固体のエアロゾル形成基体でもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は、固体および液体の両方の構成要素を含みうる。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料を含みうる。別の方法として、エアロゾル形成基体は、非たばこ材料を含みうる。エアロゾル形成基体は、さらに1つ以上のエアロゾル形成体を含みうる。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールを含むが、これに限定されない。
【0071】
一部の実施形態では、エアロゾル形成基体は、たばこ含有材料を含むロッドである。
【0072】
エアロゾル形成基体が固体のエアロゾル形成基体である場合、固体のエアロゾル形成基体は、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の断片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押し出し成形たばこおよび膨化たばこのうち1つ以上を含む、例えば、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ状より糸、細片またはシートのうち1つ以上を含みうる。固体エアロゾル形成基体は、容器に入っていない形態にしてもよく、または適切な容器またはカートリッジを提供してもよい。例えば、固体エアロゾル形成基体のエアロゾル形成材料は、紙またはその他のラッパー内に含まれ、かつプラグの形態を持ちうる。エアロゾル形成基体がプラグの形態である場合、任意のラッパーを含めてプラグ全体がエアロゾル形成基体であると考えられる。
【0073】
随意に、固体エアロゾル形成基体は、その固体エアロゾル形成基体の加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含みうる。固体エアロゾル形成基体はまた、例えば、追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含むカプセルを含みうるが、こうしたカプセルは、固体エアロゾル形成基体の加熱中に溶ける。
【0074】
随意に、固体のエアロゾル形成基体は、熱的に安定な担体上に提供されてもまたはその中に包埋されてもよい。担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ状より糸、細片またはシートの形態をとってもよい。固体のエアロゾル形成基体は、例えば、シート、泡、ゲルまたはスラリーの形態で担体の表面上に沈着してもよい。固体のエアロゾル形成基体は、担体の全表面上に沈着してもよく、または代わりに、使用中、均一でない風味送達を提供するために一定のパターンにおいて沈着してもよい。
【0075】
エアロゾル形成基体は、紙またはその他のラッパーによって取り囲まれる加熱に反応して揮発性化合物を発することができる材料を含むプラグまたはセグメントの形態としうる。前述のように、エアロゾル形成基体がこのようなプラグまたはセグメントの形態である場合、任意のラッパーを含むプラグまたはセグメントの全体はエアロゾル形成基体であると見なされる。
【0076】
エアロゾル形成基体の長さは約5ミリメートル〜約20ミリメートルであることが好ましい。一定の実施形態では、エアロゾル形成基体の長さは、約6ミリメートル〜約15ミリメートル、または約7ミリメートル〜約12ミリメートルであってもよい。
【0077】
好ましい実施形態では、エアロゾル形成基体はプラグラップに包まれるたばこ由来材料のプラグを備える。特に好ましい実施形態では、エアロゾル形成基体はプラグラップに包まれる均質化したたばこ由来材料のプラグを備える。
【0078】
本発明による喫煙物品は、可燃性熱源の少なくとも後方部分とエアロゾル形成基体の少なくとも前方部分との両方の周りにある、およびそれらと直に接触した熱伝導性要素を備えてもよい。このような実施形態において、熱伝導性要素は、本発明による喫煙物品の可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間に熱リンクを提供し、有利なことに容認可能なエアロゾルを提供するために可燃性熱源からエアロゾル形成基体への適切な熱伝達を容易にするのに役立つ。
【0079】
別の方法としてまたは追加的に、本発明による喫煙物品は、熱伝導性要素と、可燃性熱源およびエアロゾル形成基体の一方または両方との間に直接接触がないように、可燃性熱源およびエアロゾル形成基体の一方または両方から間隙を介した熱伝導性要素を備えうる。
【0080】
喫煙物品が可燃性熱源の少なくとも後方部分およびエアロゾル形成基体の少なくとも前方部分の周りに熱伝導性要素を含む場合、熱伝導性要素は、把持手段の少なくとも1つのシートで形成されうる。あるいは、または加えて、把持手段の少なくとも1つのシートは、少なくとも1つのシートが熱伝導性要素を介してラッパーに固定されるように、熱伝導性要素の内部表面に設けられてもよい。
【0081】
1つ以上の熱伝導性要素は、不燃性であることが好ましい。一定の実施形態では、1つ以上の熱伝導性要素は酸素制限性であってもよい。言い換えれば、1つ以上の熱伝導性要素は、熱伝導性要素を通る酸素の通過を抑制または抵抗しうる。
【0082】
本発明による喫煙物品における使用のための適切な熱伝導性要素は、金属箔ラッパー、例えばアルミ箔ラッパー、鋼鉄ラッパー、鉄箔ラッパーおよび銅箔ラッパーなど、および金属合金箔ラッパーを含むが、これらに限定されない。
【0083】
本発明による喫煙物品は、可燃性熱源の前端面を少なくとも部分的にカバーするように構成されたキャップをさらに備えてもよく、キャップは、喫煙物品の使用の前に可燃性熱源の前端面を露出するように取り外し可能である。
【0084】
本明細書に使用される場合、「キャップ」という用語は、前端面を含む、喫煙物品の遠位端を実質的に囲む保護カバーを意味する。喫煙物品の点火の前に取り外されるキャップを提供することで、使用前に可燃性熱源が有利に保護される。
【0085】
例えば、本発明による喫煙物品は、喫煙物品の遠位端に虚弱線において取り付けられた取り外し可能キャップを含んでもよく、WO−A1−2014/086998号に記述されるように、キャップはラッパーによって囲まれる材料の円柱状プラグを備える。
【0086】
本発明による喫煙物品は、その近位端に位置するマウスピースを備えることが好ましい。
【0087】
マウスピースは低濾過効率のマウスピースであることが好ましく、非常に低い濾過効率のマウスピースであることがより好ましい。マウスピースは単一のセグメントであっても、または構成要素マウスピースであってもよい。あるいは、マウスピースはマルチセグメントマウスピースであっても、または複数構成要素マウスピースであってもよい。
【0088】
マウスピースは、適切な公知の濾過材料を含む1つ以上のセグメントを含むフィルターを含んでもよい。適切な濾過材料は当技術分野で公知であり、酢酸セルロースおよび紙を含むが、これらに限定されない。別の方法としてまたは追加的に、マウスピースは吸収剤、吸着剤、風味剤、およびその他のエアロゾル変性剤および添加剤またはその組み合わせを含む1つ以上のセグメントを含みうる。
【0089】
喫煙物品は、エアロゾル形成基体とマウスピースとの間に移動要素、またはスペーサー要素を備えうる。こうした要素は、エアロゾル形成基体の下流に位置する中空管の形態をとりうる。
【0090】
移動要素はエアロゾル形成基体およびマウスピースの一方または両方に隣接してもよい。あるいは、移動要素はエアロゾル形成基体およびマウスピースの一方または両方から間隙を介していてもよい。
【0091】
移動要素の包含は、可燃性炭素質熱源からエアロゾル形成基体への熱伝達によって生成されるエアロゾルの冷却を有利に可能にする。移動要素の包含は、喫煙物品の全長を、移動要素の長さの適切な選択により所望の値、例えば従来の紙巻たばこの長さに類似した長さに調整することも有利に可能にする。
【0092】
移動要素の長さは、約7ミリメートル〜約50ミリメートル、例えば約10ミリメートル〜約45ミリメートル、または約15ミリメートル〜約30ミリメートルであってもよい。移動要素の長さは、喫煙物品の所望の全長および喫煙物品内のその他の成分の存在および長さに依存して、その他の長さであってもよい。
【0093】
移動要素は少なくとも1つの端の開いた管状中空体を備えることが好ましい。このような実施形態では、使用において、喫煙物品の中へと引き出される空気は、それがエアロゾル形成基体からマウスピースまで喫煙物品を通って下流に通過する時に、少なくとも1つの端の開いた管状中空体を通って通過する。
【0094】
移動要素は、可燃性炭素質熱源からエアロゾル形成基体への熱の伝達によって生成されたエアロゾルの温度で実質的に熱的に安定している1つ以上の適切な材料から形成される少なくとも1つの端の開いた管状中空体を含んでもよい。適切な材料は当技術分野で公知であり、紙、ボール紙、プラスチック、このような酢酸セルロース、セラミックおよびこれらの組み合わせを含むが限定されない。
【0095】
別の方法としてまたは追加的に、本発明による喫煙物品は、エアロゾル形成基体とマウスピースとの間にエアロゾル冷却要素または熱交換器を含んでもよい。エアロゾル冷却要素は複数の長軸方向に延びる流路を含んでもよい。
【0096】
エアロゾル冷却要素は、金属箔、重合体材料および実質的に非多孔性の紙またはボール紙から成る群より選択される材料シートの集合体を含んでもよい。一定の実施形態では、エアロゾル冷却要素は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、酢酸セルロース(CA)およびアルミ箔から成る群より選択される材料シートの集合体を含んでもよい。
【0097】
一定の好ましい実施形態では、エアロゾル冷却要素は、ポリ乳酸(PLA)またはMater−Bi(登録商標)の等級(デンプンベースのコポリエステルの市販のファミリー)などの生物分解性高分子材料のシートの集合体を含んでもよい。
【0098】
本発明による喫煙物品は、エアロゾル形成基体と可燃性熱源の少なくとも後方部分とを囲むラッパーを含む。好ましい実施形態において、本発明による喫煙物品は、エアロゾル形成基体と、可燃性炭素質熱源の少なくとも後方部分と、エアロゾル形成基体の下流にある喫煙物品の任意の他の構成要素と、を囲む外側ラッパーを含む。
【0099】
本発明による喫煙物品は、任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成される外側ラッパーを含んでもよい。適切な材料は当技術分野で公知であり、紙巻たばこ用紙を含むが、これに限定されない。別の方法としてまたは追加的に、マウスピースはチッピングペーパーによって囲まれてもよい。
【0100】
本発明による喫煙物品は、マウスピースを備えた再利用可能なホルダーに挿入するように配置されてもよい。こうした実施例では、エアロゾル形成基体は、喫煙物品の下流端に位置しうる。このような喫煙物品は、可燃性熱源と、エアロゾル形成基体と、ラッパーとを含みうる。他の構成要素が、例えば、再利用可能なホルダーの一部として設けられうる。他の実施例では、喫煙物品は、移動要素、エアロゾル冷却要素、またはフィルターセグメントなどの1つ以上の追加的な構成要素をエアロゾル形成基体の下流に含んでもよい。例えば、こうした追加的な構成要素は、再利用可能なホルダーに挿入可能であってもよい。喫煙物品が、マウスピースを備えた再利用可能なホルダーへの挿入用に配置された実施例では、喫煙物品の全長は、約10ミリメートル〜約100ミリメートルとしうる。
【0101】
喫煙物品は、実質的に円筒形の形状としうる。喫煙物品は、実質的に細長くてもよい。喫煙物品は、長さと、この長さと実質的に直交する円周と、を持つ。
【0102】
エアロゾル形成基体は、実質的に円筒形の形状としうる。エアロゾル形成基体は、実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成基体はまた、長さと、この長さと実質的に直交する円周と、も持つ。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成基体の長さが喫煙物品内の気流の方向と実質的に平行であるように、喫煙物品内に位置しうる。
【0103】
移動するセクションまたは要素は実質的に細長くてもよい。
【0104】
本発明による喫煙物品は、望ましい任意の長さを持ちうる。例えば、本発明による喫煙物品の全長は、およそ65ミリメートル〜およそ100ミリメートルとしうる。
【0105】
本発明による喫煙物品は、望ましい任意の外径を持ちうる。例えば、本発明による喫煙物品の外径は、およそ5ミリメートル〜およそ12ミリメートルとしうる。
【0106】
本発明による喫煙物品は公知の方法および機械を使用して組み立てられてもよい。
【0107】
すべての学術的および技術的な用語は本明細書で使用される場合、別途指定のない限り、当技術分野で一般に使用される意味を持つ。本明細書で提供した定義は、本明細書で頻繁に使用される一定の用語の理解を容易にするために提供されている。
【0108】
「好ましい」および「好ましくは」という用語は、ある一定の状況下である一定の利益をもたらす場合がある本発明の実施形態を意味する。特に好ましいのは、好ましい特徴の組み合わせを含む、喫煙物品、可燃性炭素質熱源組立品、および本発明による可燃性炭素質熱源組立品を製造する方法である。しかしながら、当然のことながら、同一またはその他の状況下で、他の実施形態もまた好ましい場合がある。さらに、1つ以上の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用ではないことを暗に意味するものではなく、特許請求の範囲から他の実施形態を除外することを意図しない。
【0109】
本発明は以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0110】
図1】本発明による喫煙物品の第1の実施形態の概略的な長軸方向の断面図を示す。
図2】外側ラッパーを部分的にほどいて内部の構成要素を示した、図1の喫煙物品の概略斜視図を示す。
図3】ほどかれて平坦な状態の外側ラッパーを示す、図1の喫煙物品の外側ラッパーの概略平面図を示す。
図4図3の外側ラッパーの把持手段の拡大概略平面図を示す。
図5図5の把持手段の内側に延びる複数の鋭い歯の部分拡大概略斜視図を示す。
図6図4の6−6線を通る、図4の把持手段の概略的な長軸方向の断面図を示す。
図7】内側に延びる鋭い歯の2つの代替的な実施形態の部分概略平面図である。
図8】ほどかれて平坦な状態の外側ラッパーを示す、喫煙物品の第2の実施形態の外側ラッパーの概略平面図を示す。
図9図8の外側ラッパーの把持手段の拡大概略平面図を示す。
【0111】
図1に示した本発明の第1の実施形態による喫煙物品100は、同軸配列で隣接する、可燃性炭素質熱源102、エアロゾル形成基体104、移動要素106、エアロゾル冷却要素108、スペーサー要素110、およびマウスピース112を備える。可燃性炭素質熱源102は、前端面114と、対向する後端面116とを有する。図1に示したように、エアロゾル形成基体104、移動要素106、エアロゾル冷却要素108、スペーサー要素110、およびマウスピース112、ならびにブラインド可燃性熱源102の後方部分118は、例えば、紙巻たばこ用紙などのシート材料の外側ラッパー120に包まれる。
【0112】
可燃性炭素質熱源102は、ブラインド炭素質可燃性熱源であり、喫煙物品100の遠位端に位置する。図1に示したように、アルミ箔のディスクの形態の不燃性の実質的に不通気性のバリア122は、可燃性炭素質熱源102の後端面116とエアロゾル形成基体104との間に提供される。バリア122は、可燃性炭素質熱源102の後端面116上へアルミ箔のディスクをプレスすることによって可燃性炭素質熱源102の後端面116に適用され、可燃性炭素質熱源102の後端面116およびエアロゾル形成基体104に隣接する。
【0113】
エアロゾル形成基体104は、可燃性炭素質熱源102の後端面116に適用されるバリア122のすぐ下流に位置する。エアロゾル形成基体104は、プラグラップ126に包まれた、例えば、グリセリンなどのエアロゾル形成体を含む均質化したたばこ由来材料の円柱状プラグ124を備える。
【0114】
移動要素106はエアロゾル形成基体104のすぐ下流に位置し、円柱状の端の開いた中空のセルロースアセテートチューブ128を含む。
【0115】
エアロゾル冷却要素108は移動要素106のすぐ下流に位置し、例えば、ポリ乳酸などの生物分解性高分子材料のシートの集合体を備える。
【0116】
スペーサー要素110はエアロゾル冷却要素108のすぐ下流に位置し、円柱状の端の開いた中空の紙またはボール紙管を含む。
【0117】
マウスピース112はスペーサー要素110のすぐ下流に位置する。図1に示したように、マウスピース112は喫煙物品100の近位端に位置し、フィルタープラグラップ132に包まれた、例えば、濾過効率が非常に低い酢酸セルローストウなどの適切な濾過材料の円柱状プラグ130を備える。
【0118】
喫煙物品は、外側ラッパー120の下流端部分を取り囲むチッピングペーパー(図示せず)のバンドをさらに含んでいてもよい。
【0119】
喫煙物品は、その遠位端にある、および熱源102に直接隣接した取り外し可能キャップ140をさらに備えてもよい。例えば、取り外し可能キャップは、熱源に比して水分を吸収するために、グリセリンなどの乾燥剤を備えた中央部分を含んでもよく、外側ラッパー120の一部に包まれ、喫煙物品を囲む外側ラッパーにおいて複数の穿孔を含む虚弱線142に沿って外側ラッパー120の残りの部分に接続している。喫煙物品を使用するために、ユーザーは、取り外し可能キャップを親指と他の指の間に挟んで横断方向に圧迫することで、キャップを取り外す。キャップを圧迫することで、外側ラッパーを局所的に破断するのに十分な力が虚弱線に供給される。次に、ユーザーは、キャップをねじって虚弱線の残りの部分を破断させることで、キャップを取り外す。キャップが取り外されたときに熱源は部分的に露出され、これによりユーザーは喫煙物品に点火することができる。
【0120】
図1に示すように、喫煙物品は、以下にさらに詳細に説明するように、可燃性熱源102の把持部分136を覆う、およびそれと直接接触した、ならびに外側ラッパー120の内部表面に固定された把持手段134をさらに含む。図1に示す実施形態では、把持手段は、エアロゾル形成基体104の前方部分とも接触している。しかし、当然のことながら、本発明のその他の実施形態では(図示せず)、把持手段134が、可燃性熱源102およびエアロゾル形成基体104のうちのより大きい部分またはより小さい部分を覆い、またそれと接触してもよい。例えば、把持手段は、外側ラッパー120の上流端まで、または該上流端を超えて延び、可燃性熱源102の長さのうちのより多くの部分と接触してもよい。
【0121】
喫煙物品は、また、可燃性熱源の後方部分およびエアロゾル形成基体の前方部分の周りにある、ならびにそれらと直に接触する、例えば、アルミ箔などの適切な材料の熱伝導性要素(図示せず)を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、熱伝導性要素を越えて下流に延びてもよい。すなわち、熱伝導性要素は、エアロゾル形成基体の後方部分の周りになく、それと直に接触しないように配置されてもよい。別の方法として、熱伝導性要素は、エアロゾル形成基体の全長の周りにあり、それと接触していてもよい。当然のことながら、本発明のその他の実施形態(図示せず)では、熱伝導性要素を覆う1つ以上の追加的な熱伝導性要素が提供されてもよい。喫煙物品が熱伝導性要素を含む場合、把持手段は、熱伝導性要素の内部表面に設けられ、熱伝導性要素を介して外側ラッパーに固定されてもよい。あるいは、熱伝導性要素は把持手段で形成されてもよい。
【0122】
本発明の第1の実施形態による喫煙物品100は、エアロゾル形成基体104の周辺の周りに1つ以上の空気吸込み口138を備える。図1に示すように、周方向に配置された空気吸込み口138が、エアロゾル形成基体104のプラグラップ126およびその上にある外側ラッパー120に提供されて、冷気(図1で点線矢印によって示す)をエアロゾル形成基体104へと入れる。
【0123】
使用時、ユーザーは、エアロゾル形成基体104を加熱する可燃性熱源102に点火してエアロゾルを生成する。ユーザーがマウスピース110で吸う時、空気(図1に点線矢印によって示す)は、空気吸込み口138を通ってエアロゾル形成基体104の中へと引き出される。
【0124】
エアロゾル形成基体104の前方部分は、可燃性炭素質熱源104の後端面116と、バリア122と、適用される場合、把持手段および熱伝導性要素(図示せず)とを通して伝導によって加熱される。
【0125】
伝導によるエアロゾル形成基体104の加熱は、均質化したたばこ由来材料のプラグ124からグリセリンならびにその他の揮発性および半揮発性化合物を放出する。エアロゾル形成基体104から放出される化合物は、エアロゾルを形成し、それがエアロゾル形成基体104を通って流れるにつれて、空気吸込み口138を介して喫煙物品100のエアロゾル形成基体104に引き出された空気に混入される。引き出された空気および混入されたエアロゾル(図1に点線矢印によって示す)は、移動要素106の円柱状の端の開いた中空のセルロースアセテートチューブ128、エアロゾル冷却要素108、およびスペーサー要素110の内部を通って下流に通過し、ここで冷却し凝縮する。冷却された引き出された空気および混入されたエアロゾルは、マウスピース112を通って下流に通過し、喫煙物品100の近位端を通ってユーザーに送達される。可燃性炭素質熱源102の後端面116上の不燃性の実質的に不通気性のバリア122は、使用において、喫煙物品100を通って引き出される空気が可燃性炭素質熱源102と直接接触しないように、喫煙物品100を通って引き出された空気から可燃性炭素質熱源102を分離する。
【0126】
図2および図3を参照すると、把持手段134は、外側ラッパー120の内部表面に固定された、例えば、ステンレス鋼などの適切な材料の3つの個別のシート200を含む。各シート200は、その内部表面から延びる、可燃性熱源102を把持するための内側に延びる複数の鋭い歯210を有する。各シート200は、その外部表面から延びる、外側に延びる複数の鋭い歯(図示せず)も有し、それによってシートが外側ラッパー120の内部表面に固定される。外側に延びる複数の鋭い歯は、以下に説明する内側に延びる複数の鋭い延びる歯と実質的に同様であってもよい。図2および図3に示す実施形態では、個別のシート200は、把持手段134が喫煙物品100の周囲の一部のみの周りに延びるように、喫煙物品の軸方向に実質的に整列され、また喫煙物品の周方向に間隙を介している。しかし、当然のことながら、本発明のその他の実施形態では(図示せず)、把持手段が、3つの間隙を介したシートより少ないまたはより多いシートを含んでもよく、これらのシートは、直接隣接していても、または周方向、軸方向、もしくは周方向かつ軸方向に間隙を介していてもよい。図3に示すように、外側ラッパー120が、可燃性熱源102を覆う第1のセクション202と、エアロゾル形成基体104を覆う第2のセクション204とを画定する。シート200は、ラッパー120の第1のセクション202および第2のセクション204に固定され、それにより、シート200は第1のセクション202の長さの約3分の1を覆って延び、内側に延びる複数の鋭い歯210は可燃性熱源102の長さの約3分の1を把持する。
【0127】
図4を参照すると、内側に延びる複数の鋭い歯210は、各シート200上に1平方センチメートルあたり約20個の歯を有する規則的な格子縞パターンで配置される。シート200は、丸みのある角を有し、外側ラッパー120の損傷のリスクを最小化する。
【0128】
図5および図6を参照すると、各歯210は、シート200の厚さを貫通して延びる切れ目線230により区切られた、シート200の部分的に切断された部分220から形成される。部分的に切断された部分220は、歯210がシート200の内部表面から延びるように内側に屈曲されている。内側に延びる複数の鋭い歯210は、各歯の先端部212が喫煙物品100の下流端に向かって延びるようにシート200に配置される。つまり、各歯210の先端部212はその基部214の下流にある。図6に示す実施形態では、内側に延びる複数の鋭い歯210が浅いフックの形をした曲線形状を有し、そこで、先端部212はシート200の内部表面から実質的に横断方向に延びている。しかし、当然のことながら、本発明のその他の実施形態では(図示せず)、内側に延びる複数の鋭い歯の1つ以上が、他の非線形形状または線形形状を有してもよい。
【0129】
図7に示すように、歯210は、シート200の厚さを貫通して延びるC字型の切れ目線230に沿って切断された、シートの部分的に切断された部分220から形成される。切れ目線230は、歯210の基部214から曲線状で、合流し、または先細りになって、切れ目線230の尖端部236で鋭角の接合部を形成する、第1の切れ目線232と第2の切れ目線234とを含む。歯210が形成されるシートの該部分220の形状は、切れ目線230の形状に対応する。したがって、歯210は、合流する曲線状の切れ目線232、234によって形成される鋭い先端部212を有する。しかし、当然のことながら、本発明のその他の実施形態では、切れ目線および得られた歯210は異なる形状を有しうる。例えば、図7における歯210’は、シート200’の厚さを貫通して延びるV字型の切れ目線230’に沿って切断された、シートの部分的に切断された部分220’から形成される。切れ目線230’は、歯210’の基部214’から切れ目線230’の尖端部236’まで直線状で、合流し、または先細りになる、第1の切れ目線232’と第2の切れ目線234’とを含む。代替的な実施形態(図示せず)では、丸みのある、平坦な、または任意の他の適切な形状をした切れ目線に沿ってシートを貫いて切断し、シート面内では鋭角の接合部を形成しないが、ナイフブレードの刃先と同様な方法で、その断面により鋭角の接合部を形成する末端縁部を形成することによって、歯が形作られうる。さらなる代替的な実施形態(図示せず)では、歯は、尖った先端部を形成するように二次元的に合流したシートの複数の表面のうちの1つから形成されうる。
【0130】
図8および図9は、把持手段834の第2の実施形態を示す。第2の実施形態による把持手段834は、図2図7に示した第1の実施形態による把持手段134と類似した構造を有する。しかしながら、図8に示すように、第2の実施形態における把持手段834は、外側ラッパー820の全幅を横切って延びるように外側ラッパー820の内部表面に固定された、例えばステンレス鋼などの適切な材料の単一のシート900を含む。この配置では、把持手段834が喫煙物品の周囲全体の周りに延びている。第1の実施形態による把持手段134と同様に、シート900は、可燃性熱源を把持するための、シートの内部表面から延びた内側に延びる複数の鋭い歯910を有し、またシートを外側ラッパー820の内部表面に固定する、シートの外部表面から延びた外側に延びる複数の鋭い歯(図示せず)を有する。内側に延びる複数の尖った歯910は、把持手段の第1の実施形態に関連して上述したものと実質的に同じである。図8に示すように、外側ラッパー820が、可燃性熱源を覆う第1のセクション802と、エアロゾル形成基体を覆う第2のセクション804とを画定する。シート900は、ラッパー820の第1のセクション802および第2のセクション804に固定され、それにより、シートは第1のセクション802の長さの約3分の1を覆って延び、内側に延びる複数の鋭い歯910は可燃性熱源の長さの約3分の1を把持する。
【0131】
図9を参照すると、内側に延びる複数の鋭い歯910は、シート900上に1平方センチメートルあたり約20個の歯を有する規則的な格子縞パターンで配置される。シート900は丸みのある角を有し、外側ラッパーの損傷のリスクを最小化する。第1の実施形態の歯210と同様に、内側に延びる複数の鋭い歯910が、各歯の先端部912が喫煙物品100の下流端に向かって延びるようにシート900上に配置される。つまり、各歯910の先端部912はその基部914の下流にある。
【0132】
上記の特定の実施形態および実施例を図示するが、これは本発明を限定するものではない。当然のことながら、他の本発明の実施形態を作成してもよく、また本書に記載した具体的な実施形態および実施例は網羅的なものでない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9