(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0028】
5個の炭素原子を有するアルキルオキシムは、2−ペンタノンオキシムおよび3−メチル−2−ブタノンオキシムを含む。以下に示すように、高純度の2−ペンタノンオキシムおよび3−メチル−2−ブタノンオキシムは、効果的な皮張り防止剤として機能することが分かっている。
【0029】
メチルプロピルケトオキシムとしても知られている2−-ペンタノンオキシム(「2−PO」)は、以下の式(I)を有するアルキルオキシムである。
【0031】
以下に示すように、高純度の2−POは、効果的な皮張り防止剤として機能することが分かった。2−POは、MEKOの蒸気圧に類似の蒸気圧を有する。さらに、2−POは、必要量が少なく、広範囲の塗料に利用可能であり、黄変や変色がなく、残渣がなく、光沢性、粘着性、または溶剤耐性などの塗料性能に影響がないことを含むMEKOに類似の利点を提供する。さらに、以下に記載されるようなメチルイソブチルケトオキシム(MIBKO)の比較的少ない量を含む高純度の2−POは、MEKOに類似の乾燥特性、ならびに少ない臭気を提供する。
【0032】
しかしながら、2−POは、MEKOと比較して有益な毒性学的特性を有する。
MEKOの飽和蒸気濃度は1350ppmであり、2−POの飽和蒸気濃度は僅か300ppm、すなわちMEKOの飽和蒸気濃度の25%未満である。飽和蒸気濃度がより低いため、2−POはMEKOに比べて吸入のリスクが低い。
【0033】
皮膚への刺激に関しては、MEKOは僅かな刺激物であるが、2−POは刺激を生じない。眼への刺激に関しては、MEKOは深刻な眼の損傷(コードH138)の原因として分類されるが、2−POは深刻な眼の刺激(コードH139)の原因としてのみ分類される。
【0034】
MEKOは感作物質(R43)に分類されるが、2−POは感作物質ではない。
MEKOの藻類に対する50%の成長生息性の有効濃度(EC
50)は、僅かに7ppmであるが、2−POの藻類に対する対応するEC
50は88ppmである。MEKOの魚に対する50%致死率の致死濃度(LC
50)は僅かに48ppmであるが、2−POの魚に対する対応するLC
50は100ppmを超える。
【0035】
MEKOと比較して、2−POの有益な毒性学的特性は予想外であった。
メチルイソプロピルケトキシムとしても知られている3−メチル−2−ブタノンオキシムは、次の式(II)を有するアルキルオキシムである。
【0037】
3−メチル−2−ブタノンオキシムの20℃での蒸気圧は、2−POの約1.60mmHgおよびMEKOの2.00mmHgに比較して、0.975mmHg未満である。
1.2−ペンタノンオキシムの典型的な製造
2−ペンタノンオキシムは、
図1に示すように、2−ペンタノンをヒドロキシルアミンでオキシム化することにより製造される。2−ペンタノンは、
図2に纏められた反応に示されるように、アルドール縮合、脱水および水素化を通して、アセトアルデヒドおよびアセトンから商業的に製造されている。
【0038】
しかしながら
図2に示す反応において、アセトン反応物の一部が、同反応経路に続いて自己縮合を起こして、4−メチル−2−ペンタノンとしても知られるメチルイソブチルケトン(MIBK)を形成することが知られており、これは不可避でもある。この副反応は
図3に示される。結果として、
図1に示される反応によって生成された2−ペンタノン生成物は、少なくともいくらかのMIBKを含み、この量は、2−ペンタノンおよびMIBKの全混合物に対して8〜10重量%の場合もある。
【0039】
しかしながら、MIBKもまた含む2−ペンタノン供給原料の直接的なオキシム化では、ヒドロキシルアミンはまた、
図4に示すようなオキシム化反応において、MIBK生成物と反応してメチルイソブチルケトオキシム(MIBKO)を形成する。
【0040】
前記の反応を、
図5に示す工程20に要約する。
図5に示すように、アセトアルデヒドおよびアセトンを反応22で反応させて、
図2に示す反応機構によって2−ペンタノンを生成する。しかしながら、
図3に示すように、アセトンの一部は、自己縮合を起こしてMIBKを生成する。従って、反応22の生成物は、
図5に示すように、2−ペンタノンとMIBKの混合物を含む。
図1に示すように、この混合物のヒドロキシルアミンによるオキシム化24は、2−ペンタノンをオキシム化して2−POを生成し、かつ
図4に示すようにMIBKをオキシム化しMIBKOを生成する。オキシム化24の生成物は、2−POとMIBKOの混合物である。このようにして、2−ペンタノン反応物中に少なくともいくらかのMIBKの存在が避けられないために、2−PO生成物を生成する2−ペンタノンの直接的なオキシム化は、かなりの量のMIBKOを含む。
【0041】
塗料組成物中のメチルイソブチルケトオキシム(MIBKO)の存在は、いくつかの理由から望ましくない。
第1に、20℃で約0.13hPaのMIBKOの蒸気圧は、約2.14hPaの2−ペンタノンオキシムの蒸気圧よりも著しく低い。MEKOおよび2−POと同様に、MIBKOもまた遷移金属塩乾燥剤と錯体を形成する。しかしながら、MIBKOの著しく低い蒸気圧により、MIBKOと遷移金属塩乾燥剤との間に形成される錯体は、2−POと遷移金属塩乾燥剤との間に形成される錯体よりもはるかに安定であり、かつ乾燥工程が著しく長くなり、これは塗料組成物に望ましくない長い乾燥時間をもたらす。
【0042】
第2に、MIBKOは非常に強い不快臭を有することが知られており、これはアルキド塗料のような塗料配合物においては望ましくない。好ましくない臭気は、特に屋内用途において、かつ日曜大工(DIY)顧客にとって、MIBKOを含むアルキド塗料および他の塗料組成物を使用する要望に悪影響を与える。
【0043】
蒸留で2−POからMIBKOを除去するのは比較的困難である。MIBKOおよび2−POの双方とも、それぞれの大気下沸点未満で熱分解する感温材料である。その結果、これらのオキシムの蒸留のためには、真空蒸留を必要とする。底部に実質的に2−POを含まずにMIBKOを生成する装置においては、50mmHg未満の操作圧力が必要とされる。さらに、MIBKOが富化した底部生成物は、経済的な価値が限られており、廃棄には底部生成物の焼却が必要となる。本明細書内に開示された方法は、オキシム化反応の前にMIBKを2−ペンタノンから分離することにより、2−POからMIBKOを除去する必要性を回避する。
【0044】
2.高純度2−POまたは高純度3−メチル−2−ブタノンオキシムを含む塗料組成物
代表的な一実施態様において、塗料組成物が提供される。塗料組成物は、アルキド塗料組成物などの塗料組成物であってもよい。この塗料組成物は、高純度アルキルオキシム、より具体的には高純度2−POまたは高純度3−メチル−2−ブタノンオキシムのような5個の炭素原子を有するアルキルオキシムの形態の皮張り防止剤を含む。
【0045】
用語として「高純度2−PO」は、本明細書では概して、皮張り防止剤組成物の重量に対して、少なくとも92重量%、好ましくは少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、少なくとも 99.5重量%、または少なくとも99.9重量%の2−POを含む皮張り防止組成物を指す。好ましくは「高純度2−PO」は、皮張り防止剤組成物総量のうちに、0.5重量%未満のメチルイソブチルケトオキシム、0.3重量%未満のメチルイソブチルケトオキシム、または0.1重量%未満のメチルイソブチルケトオキシムを含む。
【0046】
用語として「高純度3−メチル−2−ブタノンオキシム」は、本明細書では概して、皮張り防止剤組成物の重量に対して、少なくとも92重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、99.5重量%、または少なくとも99.9重量%の3−メチル−2−ブタノンオキシムを含む皮張り防止組成物を指す。
【0047】
いくつかの実施態様において、塗料組成物は、一種以上の結合剤、一種以上の充填剤、一種以上の顔料、一種以上の溶媒、および一種以上の乾燥剤からなる群から選択される一種以上の成分を含む。例えば、塗料組成物は、一種以上の溶媒および一種以上の乾燥剤を含み、または一種以上の結合剤および一種以上の顔料を含み、または一種以上の溶媒、一種以上の乾燥剤および一種以上の顔料を含むこともある。代表的な溶媒として、キシレン、ミネラルスピリッツ、アルコール、および水が挙げられる。
【0048】
いくつかの実施態様において、塗料組成物は、2−ペンタノンオキシム、3−メチル−2−ブタノンオキシムまたはそれらの混合物が、同等の重量基準でMEKOにより置換された類似の塗料組成物の乾燥時間および乾燥速度に対し、類似の乾燥時間または類似の乾燥速度を有する。いくつかの実施態様において、塗料組成物は、2−ペンタノンオキシム、3−メチル−2−ブタノンオキシムまたはそれらの混合物が、同等の重量基準でMEKOにより置換された類似の塗料組成物の乾燥時間および乾燥速度よりも、速い乾燥時間または大きな乾燥速度を有する。
【0049】
a.皮張り防止剤
代表的な一実施態様において、塗料組成物は、皮張り防止剤として2−POまたは高純度3−メチル−2−ブタノンオキシムのような5個の炭素原子を有する少なくとも一種の高純度アルキルオキシムを含む。本明細書内に開示されるように、皮張り防止剤の純度レベルは、重量百分率で表され、すなわち特定の皮張り防止剤に関連して皮張り防止化合物の重量百分率として、あるいは一種以上の特定の皮張り防止化合物を含む皮張り防止剤組成物に関連して皮張り防止化合物の重量百分率のいずれかで表わされる。 代表的な皮張り防止化合物としては、2−PO、3−メチル−2−ブタノンオキシム、およびMEKOが挙げられる。代表的な不純物としては、MIBKOが挙げられる。
【0050】
代表的な一実施態様において、高純度アルキルオキシムは2−POである。より特定の実施態様において、2−POの純度レベルは、少なくとも92重量%、97重量%超、少なくとも98重量%、98重量%超、少なくとも99重量%、99重量%超、少なくとも99.5重量%、99.5重量%超、または少なくとも99.9重量%、または前記の値のいずれか2つの間に規定される任意の範囲内で、例えば、92重量%〜99.9重量%、97重量%超〜99.9重量%、98重量%超〜99.9重量%、99重量%〜99.9重量%、99重量%超〜99.9重量%、99.5重量%〜99.9重量%、または99.5重量%超〜99.9重量%である。
【0051】
代表的な一実施態様において、高純度2−POは、2重量%以下のMIBKO、1.5重量%以下のMIBKO、1重量%以下のMIBKO、0.5重量%以下のMIBKO、0.3重量%以下のMIBKO、または0.1重量%以下のMIBKOを含む。
【0052】
いくつかの実施形態において、組成物は、組成物の全重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、0.2重量%、0.25重量%、0.3重量%、0.35重量%、0.4重量%、多くとも0.5重量% 、0.99重量%、1.0重量%、1.25重量%、1.5重量%、2重量%、3重量%の高純度2−POを含み、または前記の値のいずれか2つの間に規定される任意の範囲内で、例えば0.1重量%〜3重量%、0.2重量%〜2重量%、0.25重量%〜1.5重量%、0.3重量%〜1.25重量%、0.35重量%〜0.99重量%、または0.4重量%〜0.5重量%を含む。当然のことだが、組成物はまた、組成物の全重量に基づいて、0.2重量%〜0.5重量%、0.2重量%〜0.4重量%、0.25重量%〜1.0重量%、または0.5重量%〜0.99重量%の皮張り防止剤総量を含んでもよい。
【0053】
いくつかの実施態様において、組成物は、同じ乾燥時間および同じ乾燥速度のうちの少なくとも1つを達成するように、類似の組成物中にMEKOの量以下の2−POを皮張り防止剤として含む。
【0054】
いくつかの実施態様において、組成物は、組成物の全重量に基づいて、0.06重量%以下のMIBKO、好ましくは0.05重量%以下のMIBKO、0.02重量%以下のMIBKO、0.01重量%以下のMIBKO、0.005重量%以下のMIBKO、0.002重量%以下のMIBKO、0.001重量%以下のMIBKO、0.0005重量%以下のMIBKO、0.0002重量%以下のMIBKO、または0.0001重量%以下のMIBKOを含む。
【0055】
代表的な別の実施態様において、皮張り防止剤は、2−POとMEKOの混合物を含む。いくつかの代表的な実施態様において、皮張り防止剤は、少なくとも0重量%、5重量%、10重量%、多くとも20重量%、30重量%、または50重量%のMEKOを含み、残りは2−POを含む組成物(例えば、少なくとも98重量%が2−POのような高純度2−POを含む組成物、または本質的に2−POからなる組成物)であり、または前記の値のいずれか2つの間に規定される任意の範囲内で、例えば、0重量%〜50重量%のMEKO、または5重量%〜30重量%のMEKOを含み、残りは2−POを含む組成物(例えば、少なくとも98重量%が2−POのような高純度2−POを含む組成物、または本質的に2−POからなる組成物)である。皮張り防止剤は、約60:40〜80:20、約65:35〜75:25、または約70:30の比率で2−POとMEKOとを含み得る。代表的な一実施態様において、皮張り防止剤は、本質的に2−ペンタノンオキシムおよびメチルエチルケトオキシムからなる。いくつかの実施態様において、組成物は、組成物の全重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.35重量%、0.4重量%、0.5重量%、多くとも1.0重量%、1.25重量%、1.5重量%、2重量%、3重量%の皮張り防止剤総量を含み、または前記の値のいずれか2つの間に規定される任意の範囲内で、例えば0.1重量%〜3重量%、0.2重量%〜2重量%、0.25重量%〜1.5重量%、0.3重量%〜1.35重量%、0.3重量%〜0.99重量%、または0.4重量%〜0.5重量%を含む。当然のことだが、組成物はまた、組成物の全重量に基づいて、0.25重量%〜1.0重量%、または0.2重量%〜約1.5重量%の皮張り防止剤総量を含んでもよい。
【0056】
代表的な一実施態様において、高純度アルキルオキシムは、3−メチル−2−ブタノンオキシムである。より特定の一実施態様において、3−メチル−2−ブタノンオキシムの純度レベルは、少なくとも92重量%、97重量%超、少なくとも98重量%、98重量%超、少なくとも99重量%、99重量%超、少なくとも99.5重量%、99.5重量%超、または少なくとも99.9重量%であり、または前記の値のいずれか2つの間に規定される任意の範囲内で、例えば92重量%〜99.9重量%、97重量%超〜99.9重量%、98重量%超〜99.9重量%、99重量%〜99.9重量%、99重量%超〜99.9重量%、99.5重量%〜99.9重量%、または99.5重量%超〜99.9重量%である。
【0057】
いくつかの実施態様において、組成物は、組成物の全重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、0.2重量%、0.25重量%、0.3重量%、0.35重量%、0.4重量%、多くとも0.5重量%、0.99重量%、1.0重量%、1.25重量%、1.5重量%、2重量%、3重量%の高純度3−メチル−2−ブタノンオキシムを含み、または前記の値のいずれか2つの間に規定される任意の範囲内で、例えば0.1重量%〜3重量%、0.2重量%〜2重量%、0.25重量%〜1.5重量%、0.3重量%〜1.25重量%、0.35重量%〜0.99重量%、または0.4重量%〜0.5重量%を含む。当然のことだが、組成物はまた、組成物の全重量に基づいて、0.2重量%〜0.5重量%、0.2重量%〜0.4重量%、0.25重量%〜約1.0重量%、または約0.5重量%〜約0.99重量%の皮張り防止剤総量を含んでもよい。
【0058】
いくつかの実施態様において、組成物は、同等の乾燥時間および同等の乾燥速度のうちの少なくとも1つを達成するように、皮張り防止剤として、類似の組成物中のMEKOの量と同じかそれ未満の3−メチル−2−ブタノンオキシムを含む。
【0059】
代表的な別の実施態様において、皮張り防止剤は、3−メチル−2−ブタノンオキシムとMEKOとの混合物を含む。いくつかの代表的な実施態様において、皮張り防止剤は、少なくとも0重量%、5重量%、10重量%、多くとも20重量%、30重量%、または50重量%のMEKOを含み、残りは3−メチル−2−ブタノンオキシムを含む組成物(例えば、少なくとも98重量%の3−メチル−2−ブタノンオキシムのような高純度3−メチル−2−ブタノンオキシムを含む組成物、または3−メチル−2−ブタノンオキシムから本質的になる組成物)であり、または前記の値のいずれか2つの間に規定される任意の範囲内で、例えば0重量%〜50重量%のMEKO、または5重量%〜30重量%のMEKOを含み、残りは3−メチル−2−ブタノンオキシムを含む組成物(例えば、少なくとも98重量%の3−メチル−2−ブタノンオキシムのような高純度3−メチル−2−ブタノンオキシムを含む組成物、または3−メチル−2−ブタノンオキシムから本質的になる組成物)である。皮張り防止剤は、約60:40〜80:20、約65:35〜75:25、または約70:30の比率で3−メチル−2−ブタノンオキシムとMEKOとを含み得る。いくつかの実施態様において、組成物は、組成物の全重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.35重量%、0.4重量%、0.5重量%、多くとも1.0重量%、1.25重量%、1.5重量%、2重量%、3重量%の皮張り防止剤総量を含み、または前記の値のいずれか2つの間に規定される任意の範囲内で、例えば0.1重量%〜3重量%、0.2重量%〜2重量%、0.25重量%〜1.5重量%、0.3重量%〜1.35重量%、0.3重量%〜0.99重量%、または0.4重量%〜0.5重量%を含む。当然のことだが、組成物はまた、組成物の全重量に基づいて、0.25重量%〜約1.0重量%、または約0.2重量%〜約1.5重量%の皮張り防止剤総量を含んでもよい。
【0060】
代表的な別の実施態様において、皮張り防止剤は、2−POおよび3−メチル−2−ブタノンオキシムの混合物を含む。
代表的な別の実施態様において、皮張り防止剤は、2−PO、3−メチル−2−ブタノンオキシムおよびMEKOの混合物を含む。
【0061】
b.結合剤
代表的な一実施態様において、塗料組成物は、一種以上の結合剤を含む。代表的な結合剤は、種々のタイプのアルキド樹脂を含む。代表的なアルキド樹脂としては、短油長、中油長、長油長、および極長油長を有するアルキド樹脂が挙げられる。用語として「アルキド樹脂」はまた、アクリル、エポキシ、フェノール、ウレタン、ポリスチレン、シリコーン、ロジンおよびロジンエステルの各アルキドのような他の樹脂で変性されたアルキドを含み、またポリエステル部分が再生可能な酸およびエステル由来のSetal 900 SM-90のようなバイオアルキドを含む。
【0062】
いくつかの実施態様において、組成物は、組成物の全重量に基づいて、少なくとも1重量%、5重量%、10重量%、15重量%、25重量%、30重量%、多くとも35重量%、40重量%、50重量%、60重量%の一種以上の結合剤を含み、または前記の値のいずれか2つの間に規定される任意の範囲内で、例えば1重量%〜60重量%、5重量%〜50重量%、10重量%〜40重量%、15重量%〜35重量%または25重量%〜30重量%を含む。当然のことだが、組成物はまた、組成物の全重量に基づいて、5重量%〜60重量%、5重量%〜10重量%、20重量%〜30重量%、または35重量%〜60重量%の一種以上の結合剤を含んでもよい。
【0063】
c.溶媒
代表的な一実施態様において、塗料組成物は、ミネラルスピリッツおよびアルコールのような一種以上の水性溶媒または有機性溶媒を含む。代表的な溶媒としては、炭化水素溶媒、またはそれらの混合物が挙げられる。炭化水素溶媒は、脂肪族溶媒または芳香族溶媒であってもよい。有機溶媒の例は、ペンタン、ヘキサン、石油ナフサ、ヘプタンおよび90溶媒(140°Fの引火点を有する脂肪族溶媒)などの石油留分である。芳香族溶媒として、キシレン、トルエン、芳香族100および他の適切な芳香族溶媒が挙げられる。用語として「ホワイトスピリッツ」としても知られている「ミネラルスピリッツ」は、C
7〜C
12の脂肪族および脂環式炭化水素の混合物を有する組成物を包含し、より特定の一実施態様において、組成物の全重量に基づいて、15重量%〜20重量%またはそれ未満のC
7〜C
12の芳香族炭化水素を含む。ミネラルスピリッツは、パラフィン、シクロパラフィン、および芳香族炭化水素の混合物またはブレンドが含まれる。典型的なミネラルスピリッツは、約150℃〜220℃の沸点範囲を有し、一般的には澄んだ無色透明の液体であり、化学的に安定で非腐食性であり、かつ軽度の臭気を有する。代表的なミネラルスピリッツとして、ShellSol 15 (CAS 64742-88-7)およびShellSol H (CAS 64742-82-1)のような低芳香族ホワイトスピリッツ(LAWS)が挙げられる。用語として「アルコール」は、C
1〜C
12の直鎖および分枝アルコールを含むC
1〜C
12アルコールを包含することを意図している。代表的なアルコールとして、トリエチレングリコール(CAS 112-27-6)およびジエチレングリコールエチルエーテル(CAS 111-90-0)が挙げられる。より特定の一実施態様において、塗料組成物は、キシレン、ミネラルスピリッツ、アルコール、水、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される溶媒を含む。
【0064】
いくつかの実施態様において、組成物は、組成物の全重量に基づいて、少なくも5重量%、10重量%、15重量%、17重量%、20重量%、25重量%、多くとも30重量%、40重量%、60重量%の一種以上の溶媒を含み、または前記の値のいずれか2つの間に規定される任意の範囲内で、例えば5重量%〜60重量%、10重量%〜40重量%、または25重量%〜30重量%を含む。当然のことだが、組成物はまた、組成物の全重量に基づいて、10重量%〜20重量%、25重量%〜35重量%、または40重量%〜60重量%の一種以上の溶媒を含んでもよい。
【0065】
d.乾燥剤
代表的な一実施態様において、塗料組成物は、一種以上の乾燥剤を含む。乾燥剤は、乾燥プロセスを加速するために使用される触媒である。代表的な乾燥剤は、コバルト塩またはマンガン塩のような酸化触媒、ジルコニウム塩のような重合触媒、および/または皮膜形成を制御するカルシウム塩のような補助触媒を含む。乾燥剤は、塗料が表面に塗布された後に、3時間以内、2時間以内、またより少ない時間以内など、数時間以内に完全に乾燥することを可能にする。コバルトエステルまたはマンガンエステルは、酸化プロセスを開始する際に役割を果たす酸化触媒であり、C
6〜C
19分枝脂肪酸のエステルを含む。例としては、2−エチルヘキサン酸コバルト、プロピオン酸塩、ネオデカン酸塩、ナフテン酸塩、ユミコアから入手可能なECOS ND15と呼ばれるコバルト埋め込みポリマー製品、オクタン酸マンガン、ハンツマンから入手可能なNuodex Drycoatと呼ばれるマンガンアミン錯体が挙げられる。
【0066】
いくつかの実施態様において、乾燥剤組成物は、組成物の全重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、0.3重量%、0.6重量%、多くとも1.0重量%、1.2重量%、1.5重量%、3.5重量%、6.0重量%の一種以上の乾燥剤を含み、または前記の値のいずれか2つの間に規定される任意の範囲内で、例えば0.1重量%〜6重量%、0.3重量%〜3.5重量%または0.6重量%〜1.5重量%を含む。当然のことだが、組成物はまた、組成物の全重量に基づいて、0.1重量%〜1.0重量%、1.0重量%〜3.0重量%、または3.0重量%〜6重量%の一種以上の乾燥剤を含んでもよい。
【0067】
e.添加剤
代表的な一実施形態において、塗料組成物は、充填剤、顔料、界面活性剤、安定剤、増粘剤、乳化剤、テクスチャー添加剤、接着促進剤、殺生物剤、流動促進剤、分散剤、粘度または仕上がり外観を改質する添加剤などの一種以上の添加剤を含む。
【0068】
いくつかの実施態様において、組成物は、組成物の全重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、0.5重量%、1.0重量%、1.5重量%、多くとも2.0重量%、5.0重量%、10.0重量%、20重量%、25重量%、30重量%の1つ以上の添加剤を含み、または前記の値のいずれか2つの間に規定される任意の範囲内で、例えば0.1重量%〜10重量%、1.0重量%〜5.0重量%、または1.5重量%〜2.0重量%を含む。当然のことだが、組成物はまた、組成物の全重量に基づいて、0.1重量%〜1.5重量%、1.5重量%〜5.0重量%、または5.0重量%〜10.0重量%の一つ以上の添加剤を含んでもよい。
【0069】
代表的な一実施態様において、塗料組成物は、組成物の嵩を厚くして増大させるための一種以上の充填剤を含む。代表的な充填剤としては、酸化チタン、炭酸カルシウム、クレーおよびタルクが挙げられる。
【0070】
代表的な一実施態様において、塗料組成物は、組成物を着色し、および/または組成物に不透明性を提供する一種以上の顔料を含む。本明細書中で使用される際には、顔料は、無機金属酸化物および有機着色顔料の両方を含む。代表的な顔料として、酸化チタンおよび酸化鉄などの金属酸化物、クロム酸亜鉛、酸化クロム、硫化カドミウム、アズライト(カオリン、炭酸ナトリウム、硫黄および炭素からなる)、リトポン(硫化亜鉛および硫酸バリウムの混合物)が挙げられる。有機着色顔料の例として、フタロシアニンブルー(αとβ)、ジニトラニリンオレンジ(PO−5)、ペリレンレッド、トルイジンレッド(PR−3)、ジアリライドイエロー(PY−12、13)、キナクリドンレッド(PV−19)が挙げられる。
【0071】
いくつかの実施態様では、組成物は、組成物の全重量に基づいて、少なくとも0重量%、1重量%、5重量%、10重量%、多くとも15重量%、20重量%、25重量%、30重量%の二酸化チタンのような充填剤および/または顔料を含み、または前記の値のいずれか2つの間に規定される任意の範囲内で、例えば0重量%〜30重量%、5重量%〜25重量%、または15重量%〜30重量%を含む。
【0072】
代表的な一実施態様において、塗料組成物は、界面活性剤、安定剤、増粘剤、乳化剤、テクスチャー添加剤、接着促進剤、殺生物剤、および粘度または仕上がり外観を改質する添加剤からなる群から選択される一種以上の添加剤を含む。
【0073】
3.塗料組成物の製造工程
次に
図6を参照すると、塗料組成物を製造する工程30が提供される。該工程は、反応工程32の後で、かつオキシム化反応36の前に、2−ペンタノンからのMIBKOの蒸留34を含む。ヒドロキシルアミンの添加の前にこのステップを実施することにより、MIBKを2−ペンタノン反応物流から除去し、またMIBKは、
図5に示されるオキシム化反応を受けない。これは次に、オキシム化反応36中に、2−PO生成物の一部としての望ましくないMIBKO生成物成分の生成を防止する。次いで得られた高純度2−PO生成物を、樹脂、充填剤、顔料、溶媒、乾燥剤、および前述の他の添加剤などの他の成分との結合38によって、塗料組成物が形成される。
【0074】
図7は、
図6の工程30を模式化する代表的な蒸留34およびオキシム化36の概略図である。
図7に示すように、蒸留34は、実例として、第1の蒸留塔42と、2−ペンタノンをMIBKから分離する第2の蒸留塔44と、MIBKを他の不純物から精製する第3の蒸留塔46とを含む。
図7に示す代表的な実施態様において、第1の蒸留塔42と第2の蒸留塔44は、並んで協働して2−ペンタノンからMIBKを分離する。
図7の蒸留システムは、2−ペンタノンをMIBKから分離するために2つの蒸留塔を含んでいるが、少なくとも1つ、または3つ、4つ、またはそれ以上の適切な蒸留塔を使用し得ることは理解される。さらに、
図7の蒸留システムは、MIBKを精製するために1つの蒸留塔を含んでいるが、同じく2つ、または3つ、4つまたはそれ以上の適切な蒸留塔を使用し得ることは理解される。
【0075】
図7に示すように、各蒸留塔は、実例として、各蒸留塔の頂部から取り出されたガスを凝縮する塔頂凝縮器52を含む。各蒸留塔はまた、実例として、各蒸留塔の底部から取り出された液体を気化する循環ポンプ54およびリボイラー56を含む。
図8および
図9を参照すると、該システムは、複数の制御弁58を含んでもよい。
【0076】
図7に示す代表的な実施態様において、MIBKを含有する2−ペンタノン生成物は、第1の蒸留塔42への入口流60として提供される。代表的な一実施態様において、入口流60は、少なくとも1重量%、2重量%、5重量%、7重量%、多くとも10重量%、15重量%、20重量%またはそれ以上のMIBKを含み、または前記の値のいずれか2つの間に規定される任意の範囲内で、例えば1重量%〜20重量%、2重量%〜15重量%、5重量%〜10重量%または7重量%〜10重量%を含む。
【0077】
図8は代表的な第1の蒸留塔42を示す。入口流60の流れは、実例として、流れ制御弁58によって制御される。2−ペンタノンが富化された塔頂流62を、第1の蒸留塔42の頂部から取り出し、凝縮器52内で凝縮する。塔頂流62は、富化された2−ペンタノンの一部を第1の蒸留塔42の頂部に戻す還流68と、高純度生成物流66とに分割される。代表的な一実施態様において、塔頂流62は、5000ppm未満、2000ppm未満、1000ppm未満、500ppm未満、または100ppm未満のMIBKを含む。
【0078】
図7に示すように、高純度生成物流66は、2−POを形成するオキシム化反応36のための反応物として提供される。
図8を再度参照すると、還流68と高純度生成物流66との間の塔頂流62の相対的な流量は、実例として、複数の流れ制御弁によって制御される。還流68の流量:高純度生成物流66の流量の比を、第1の塔還流比と定義する。代表的な一実施態様において、第1の蒸留塔は、低くとも1:2、1:1、2:1、高くとも3:1、4:1、5:1のような比較的中程度の第1の塔還流比で稼働し、または前記の値のいずれか2つの間に規定される任意の範囲内で、例えば1:2〜5:1、1:1〜4:1、または2:1〜4:1で稼働する。代表的な一実施態様において、第1の塔還流比は約3:1である。
【0079】
MIBKが富化された塔底流64は、第1の蒸留塔42の底部から取り出される。塔底流64は、リボイラー56中で気化され、かつ富化されたMIBKの一部を第1の蒸留塔42の底部に戻すリボイラー流70と、中間流72とに分割される。
図7および
図9に示すように、中間流72は、実例として、第2の蒸留塔44に対する入口流として提供される。リボイラー流70と中間流72との間の塔底流64の相対的な流量は、実例として、複数の流れ制御弁によって制御される。
【0080】
図8を再度参照すると、第1の蒸留塔42は、実例として、分配器80および再分配器82によって分離された頂部床74、中間部床76および下部床78を含む。代表的な一実施態様において、第1の蒸留塔は、油圧効率のための構造化充填物である。代表的な一実施態様において、頂部床74は、小さくとも約10フィート、12フィート、15フィート、大きくとも20フィート、25フィート、または30フィートであり、かつ構造化充填材料を含む。代表的な一実施態様において、中間部床76は、小さくとも約10フィート、15フィート、20フィートであり、大きくとも約25フィート、30フィート、または40フィートであり、かつ構造化充填材料を含む。代表的な一実施態様において、下部床78は、小さくとも約10フィート、15フィート、20フィート、大きくとも約25フィート、30フィート、または40フィートであり、かつ構造化充填材料を含む。
【0081】
入口流に加えて、第1の蒸留塔42は、実例として、第2の投入流である再循環流84を含む。
図7に示すように、一実施態様において、再循環流84は、第2の蒸留塔44の塔頂流86の一部である。
【0082】
図9は、代表的な第2の蒸留塔44を示す。2−ペンタノンに富む塔頂流86を第2の蒸留塔44の頂部から取り出し、凝縮器52中で凝縮する。塔頂流86は、富化された2−ペンタノンの一部を第2の蒸留塔44の頂部に戻す還流88と、富化された2−ペンタノンの一部を第1の蒸留塔42に逆に戻す再循環流84とに分割される。代表的な一実施態様において、塔頂流86は、5重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、または0.5重量%未満のMIBKを含む。
【0083】
還流88と再循環流84との間の塔頂流86の相対流量は、実例として、複数の流れ制御弁によって制御される。還流88の流量:再循環流84の流量との比を、第2の塔還流比と定義する。代表的な一実施態様において、第2の蒸留塔は、低くとも2:1、3:1、5:1、高くとも10:1、15:1、20:1の比較的高い第2の塔還流比で稼働し、または前記の値のいずれか2つの間に規定される任意の範囲内で、例えば2:1〜20:1、3:1〜15:1、5:1〜15:1、または5:1〜10:1で稼働する。代表的な一実施態様において、第1の塔還流比は約10:1である。
【0084】
代表的な一実施態様において、第1の還流比および第2の還流比は、著しく異なる。いくつかの代表的な実施態様において、第2の還流比は、第1の還流比の小さくとも2倍、2.5倍、3倍、大きくとも3.5倍、4倍、または5倍である。代表的な一実施態様において、第2の還流比は、第1の還流比の約3.33倍である。
【0085】
MIBKが富化された塔底流90は、第2の蒸留塔44の底部から取り出される。塔底流90は、リボイラー56で気化され、かつ富化されたMIBKの一部を第2の蒸留塔の底部に戻すリボイラー流92と、出口流94に分割される。
図7に示すように、出口流90は、実例として、第3の蒸留塔46の入口流として提供される。リボイラー流92と出口流94との間の塔底流90の相対流量は、実例として、複数の流れ制御弁によって制御される。
【0086】
第2の蒸留塔44は、実例として、分配器102および再分配器104によって分離された頂部床96、中間部床98および下部床100を含む.代表的な一実施態様において、第2の蒸留塔は、相対的に熱的に非効率であり、かつ分離効率を増大するように高い分離効率の充填材料を含む。代表的な一実施態様において、頂部床96は、小さくとも約15フィート、20フィート、25フィート、大きくとも約30フィート、40フィート、または50フィートであり、かつ高効率の充填材料を含む。代表的な一実施態様において、中間部床98は、小さくとも約10フィート、15フィート、20フィート、大きくとも約25フィート、30フィート、または40フィートであり、かつ高効率の充填材料を含む。代表的な一実施態様において、下部床100は、小さくとも約10フィート、12フィート、15フィート、大きくとも約20フィート、25フィート、または30フィートであり、かつ高効率の充填材料を含む。
【0087】
図7に示すように、MIBKが富化された出口流94は、第3の蒸留塔46に供給されてもよい。第3の蒸留塔46は、実例として、出口流94中のMIBKから不純物を除去する。MIBKが富化された塔頂流106は、第3の蒸留塔46の頂部から取り出され、凝縮器52で凝縮される。塔頂流106は、富化されたMIBKの一部を第3の蒸留塔46の頂部に戻す還流108と、精製したMIBK流110とに分割される。不純物が富化された塔底流112は、第3の蒸留塔46の底部から取り出される。塔底流112は、リボイラー56中で気化され、かつ一部を第3の蒸留塔46の底部に戻すリボイラー流114と、底部出口流116とに分割される。
【0088】
4.実施例
以下の試験方法に従って、以下の塗料配合物を評価した。
塗料の皮膜形成を目視により判定した。皮膜が観察される場合には、膜を取り出し膜厚を測定した。皮膜形成は、室温で2ヶ月後に観察するか、または50℃で4週間の加速経時変化後に観察する場合がある。
【0089】
乾燥時間は、ASTM D5895:機械的記録装置を用いる有機塗料の皮膜形成中の乾燥または硬化を評価する標準試験方法に従って、乾燥時間記録装置を用いて測定した。
塗料調製の1日後に、初期段階の乾燥時間を測定した。塗料試料を一定の湿潤厚さでレネータ(Leneta)シートに塗布した。乾燥時間記録器を直ちに湿潤皮膜上に載置し、スタイラスを湿った塗料に降下させた。スタイラスを一定の速度でシートを横切って移動させた後に、シートを調べることによって乾燥時間の各段階を決定する。段階Iは、指触乾燥(set-to-touch)時間であり、段階IIは半硬化乾燥(tack-free)時間であり、段階IIIは硬化乾燥(dry-hard)時間であり、段階IVは乾燥硬化(dry-through)時間である。
【0090】
試料の加速経時変化をモデル化するために、50℃の高温で4週間試料を保存した後に、経時変化後の乾燥時間を測定した。経時変化過程をさらに促進するように、試料は、塗料配合物の容量と比較して大きな空気容量を有する密閉容器に入れた。4週間後にサンプルの皮膜形成について肉眼で検査した。初期段階の乾燥時間と同じ方法を用いて、経時変化後の乾燥時間を測定した。
【0091】
a)実施例1:種々の純度の皮張り防止剤を用いた光沢のある白色一塗り仕上げ
光沢のある白色一塗り仕上げ=EU SF 3.11//コバルト乾燥剤配合物を、表1に示す重量百分率に従って調製した。
【0093】
部材Aの成分を、冷却する前に3500rpmで45分間ボールミルにかけた。次いで部材Bの成分を、5分間緩やかに攪拌/均質化して取り込んだ。
各配合物に対して部材Cの皮張り防止剤を、表2に示す配合に従って変化させた。部材Cの皮張り防止添加物を、部材Aおよび部材Bの調製に続いて、例1〜3と例9については1日後に、例4〜7については2日後に、例8については7日後に、部材Aおよび部材B内に組み込んだ。
【0095】
さらに、例10の配合物も同様に調製したが、いかなる皮張り防止剤も含まなかった。
各配合物を付加的な初期乾燥試験に供して、ここで段階Iの「指触乾燥」、段階IIの「半硬化乾燥」、および段階IVの「乾燥硬化」に対する時間を測定した。結果を表4に示す。
【0097】
各配合物はまた、付加的な初期乾燥試験に供し、ならびに皮膜形成の判断とともに、50℃で4週間の加速経時変化後の乾燥試験に供した。さらに、室温で2ヶ月後に皮膜形成を判断した。結果を表4に示す。
【0099】
皮張り防止を有さない例10の配合物は、室温で2ヶ月後に完全に固体であった。
表3および表4に示すように、例1〜8の配合物は、例9のMEKOの配合物に対して、初期乾燥時間が比較的類似していた。少なくとも98重量%の2−POの2−PO純度を有する例5〜8の配合物は、加速経時変化試験後に皮膜形成は見られなかった。
【0100】
実施例1は、少なくとも92重量%の2−PO純度を有する組成物が有効な皮張り防止剤であり、かつMEKOの代用の皮張り防止剤として機能できることを示している。
b)
実施例2A:コバルト系乾燥剤を用いた光沢のある白色一塗り仕上げ
0.25重量%の皮張り防止剤、0.35重量%の皮張り防止剤、および0.5重量%の皮張り防止剤により、光沢のある白色一塗り仕上げ=EU SF 3.11//コバルト乾燥剤配合物を、表5に示す重量百分率に従って調製した。各配合物について、部材Bに添加した溶剤ホワイトスピリッツD60および部材Cに添加した皮張り防止剤の量を表6に示す。
【0103】
MEKOは、100%のMEKO組成物として提供された。2−POは、99.9重量%超の2−PO組成物として提供された。3−メチル−2−ブタノンオキシムは、100%の3−メチル−2−ブタノンオキシム組成物として提供された。
【0104】
部材Aの成分を、冷却する前に3500rpmで45分間ボールミルにかけた。次いで部材Bの成分を、5分間緩やかに攪拌/均質化して取り込んだ。
各配合物に対する部材Cの皮張り防止剤を、表6に示す配合に従って変化させた。部材Cの皮張り防止添加物を、例11〜15については部材Aおよび部材Bの調製の7日後に、および例16〜19については調整の8日後に、部材Aおよび部材B内に組み込んだ。
【0105】
各配合物を付加的な初期乾燥試験に供し、ここで段階Iの「指触乾燥」、段階IIの「半硬化乾燥」、および段階IVの「乾燥硬化」に対する時間を測定した。結果を表7に示す
【0107】
各配合物はまた、付加的な初期乾燥試験に供し、ならびに皮膜形成の判断とともに、50℃で4週間の加速経時変化後の乾燥試験に供した。さらに、室温で2ヶ月後の皮膜形成を判断した。結果を表8に示す。
【0109】
表7および表8に示すように、MEKOを含有する配合物(例11〜13)は、同等濃度の2−PO(例14〜16)および3−メチル−2−ブタノンオキシム(例17〜19)を含有する配合物に対して、乾燥時間が類似していた。
【0110】
実施例2Aは、2−POおよび3−メチル−2−ブタノンオキシムが、コバルト系乾燥剤を有する光沢のある白色一塗り仕上げにおいて、MEKOと同等濃度で代用の皮張り防止剤として機能できることを示している。
【0111】
c)実施例2B:コバルトフリー乾燥剤を用いた光沢のある白色一塗り仕上げ
0.25重量%の皮張り防止剤、0.35重量%の皮張り防止剤、および0.5重量%の皮張り防止剤により、光沢のある白色一塗り仕上げ=EU SF 3.11//コバルトフリー配合物を、表9に示す重量百分率に従って調製した。各配合物について、部材Bに添加した溶剤ホワイトスピリッツD60および部材Cに添加した皮張り防止剤の量を表10に示す。
【0114】
MEKOは、100%MEKO組成物として提供された。2−POは、99.9重量%超の2−PO組成物として提供された。3−メチル−2−ブタノンオキシムは、100%3−メチル−2−ブタノンオキシム組成物として提供された。
【0115】
部材Aの成分を、冷却する前に3500rpmで45分間ボールミルにかけた。次いで部材Bの成分を、5分間緩やかに攪拌/均質化して取り込んだ。
各配合物に対する部材Cの皮張り防止剤を、表6に示す配合に従って変化させた。部材Cの皮張り防止添加物を、例20〜23については部材Aおよび部材Bの調製の8日後に、および例24〜28については調整の9日後に、部材Aおよび部材B内に組み込んだ。
【0116】
各配合物を付加的な初期乾燥試験に供し、ここで段階Iの「指触乾燥」、段階IIの「半硬化乾燥」、および段階IVの「乾燥硬化」に対する時間を測定した。結果を表11に示す。
【0118】
各配合物をまた、付加的な初期乾燥試験に供し、ならびに皮膜形成の判断とともに、50℃で4週間の加速経時変化後の乾燥試験に供した。さらに、室温で2ヶ月後の皮膜形成を判断した。結果を表12に示す。
【0120】
表11および表12に示すように、MEKOを含有する配合物(例20〜22)は、同等濃度の2−PO(例23〜25)および3−メチル−2−ブタノンオキシム(例26〜28)を含有する配合物に対して、乾燥時間が類似していた。
【0121】
実施例2Bは、2−POおよび3−メチル−2−ブタノンオキシムが、コバルトフリー乾燥剤を有する光沢のある白色一塗り仕上げにおいて、MEKOと同等濃度で代用の皮張り防止剤として機能できることを示している。
【0122】
d)実施例3:透明光沢基剤
表13に示すように、皮張り防止剤を透明光沢基剤に添加した。
【0124】
各配合物を付加的な初期乾燥試験に供し、ここで段階Iの「指触乾燥」、段階IIの「半硬化乾燥」、および段階IVの「乾燥硬化」に対する時間を測定した。結果を表14に示す。
【0126】
各配合物をまた、付加的な初期乾燥試験に供し、ならびに皮膜形成の判断とともに、50℃で4週間の加速経時変化後の乾燥試験に供した。さらに、室温で2ヶ月後の皮膜形成を測定した。結果を表12に示す。
【0128】
表14および表15に示すように、MEKOを含有する配合物(例29〜31)は、同等濃度の2−PO(例32〜34)を含有する配合物に対して、乾燥時間が類似していた。
【0129】
実施例3は、2−POが、透明光沢基剤において、MEKOと同等濃度で代用の皮張り防止剤として機能できることを示している。
e)実施例4:サテン透明基剤
表16に示すように、皮張り防止剤をサテン透明基剤に添加した。
【0131】
各配合物を付加的な初期乾燥試験に供し、ここで段階Iの「指触乾燥」、段階IIの「半硬化乾燥」、および段階IVの「乾燥硬化」に対する時間を測定した。結果を表17に示す。
【0133】
各配合物をまた、付加的な初期乾燥試験に供し、ならびに皮膜形成の判断とともに、50℃で4週間の加速経時変化後の乾燥試験に供した。さらに、室温で2ヶ月後の皮膜形成を判断した。結果を表12に示す。
【0135】
例40に関して、50℃での経時変化は、液体塗料に激しい変化をもたらし、乾燥時間の測定は意味がないものとなった。
表17および表18に示すように、MEKOを含有する配合物(例35〜37)は、同等濃度の2−PO(例38〜40)を有する配合物に対して、乾燥時間が類似していた。
【0136】
実施例4は、2−POが、サテン透明基剤において、MEKOと同等濃度で代用の皮張り防止剤として機能できることを示している。
本発明を代表的な設計との関連で説明してきたが、本発明は、本開示の主旨および範囲内でさらに改変することもできる。さらにこの出願は、本発明が属する技術分野における既知または通例の業務内に含まれるような本開示からの新しい発展も包含することを意図している。
[1]少なくとも一種の溶媒、少なくとも一種の樹脂、少なくとも一種の乾燥剤、および、皮膜を形成する該樹脂の酸化的架橋を防止することができる皮張り防止組成物を含み、該皮張り防止組成物は、該皮張り防止組成物の全重量に基づいて、少なくとも92重量%のアルキルオキシムを含み、該アルキルオキシムは2−ペンタノンオキシムおよび3−メチル−2−ブタノンオキシムから選択される、塗料組成物。
[2]該アルキルオキシムは2−ペンタノンオキシムを含む、[1]に記載の塗料組成物。
[3]該皮張り防止組成物は、該皮張り防止組成物の全重量に基づいて、少なくとも98重量%の2−ペンタノンオキシムを含む、[2]に記載の塗料組成物。
[4]該皮張り防止組成物は、該皮張り防止組成物の全重量に基づいて、0.5重量%未満のメチルイソブチルケトオキシムを含む、[2]に記載の塗料組成物。
[5]該皮張り防止組成物は、該塗料組成物の全重量に基づいて、0.06重量%未満のメチルイソブチルケトオキシムを含む、[2]に記載の塗料組成物。
[6]該少なくとも一種の樹脂は一種以上のアルキド樹脂を含む、[2]に記載の塗料組成物。
[7]該少なくとも一種の乾燥剤は少なくとも一種の遷移金属塩を含む、[2]に記載の塗料組成物。
[8]少なくとも一種の溶媒、少なくとも一種の樹脂、少なくとも一種の乾燥剤、および、皮膜を形成する該樹脂の酸化的架橋を防止することができる皮張り防止組成物を含み、該皮張り防止組成物は2−ペンタノンオキシムを含み、該皮張り防止組成物は、該皮張り防止組成物の全重量に基づいて、0.5重量%未満のメチルイソブチルケトオキシムを含む、塗料組成物。
[9]該皮張り防止組成物は、該皮張り防止組成物の全重量に基づいて、少なくとも98重量%の2−ペンタノンオキシムを含む、[8]に記載の塗料組成物。
[10]精製された2−ペンタノン生成物の製造方法であって、2−ペンタノンを含有し、さらにメチルイソブチルケトンを含有する投入流を蒸留装置に移送すること、及び、該蒸留装置中の投入流を蒸留して、該投入流より少ないメチルイソブチルケトンを含有する塔頂流と、該投入流より多いメチルイソブチルケトンを含有する塔底流とを生成すること、を含む、製造方法。