(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6860566
(24)【登録日】2021年3月30日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】規制商品の遠隔販売のための自動販売機及び方法
(51)【国際特許分類】
G07F 9/00 20060101AFI20210405BHJP
G06Q 30/06 20120101ALI20210405BHJP
【FI】
G07F9/00 Z
G06Q30/06 306
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-528932(P2018-528932)
(86)(22)【出願日】2016年8月16日
(65)【公表番号】特表2018-525762(P2018-525762A)
(43)【公表日】2018年9月6日
(86)【国際出願番号】RU2016000552
(87)【国際公開番号】WO2017034441
(87)【国際公開日】20170302
【審査請求日】2019年8月16日
(31)【優先権主張番号】2015135449
(32)【優先日】2015年8月21日
(33)【優先権主張国】RU
(73)【特許権者】
【識別番号】518059440
【氏名又は名称】ピシュチック、キリル エドゥアルドヴィチ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピシュチック、キリル エドゥアルドヴィチ
【審査官】
小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−042214(JP,A)
【文献】
特開2004−078675(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2013−0011345(KR,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0050731(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 7/00− 9/10
G06Q 30/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(3)を有する、規制商品の遠隔販売を行う自動販売機であって、前記本体には、
専門家オペレータの遠隔ステーションとの通信を確立することが可能な通信ユニットであって、前記専門家オペレータのステーションには、規制商品に関する専門家オペレータの少なくとも一つのコンピュータ制御ワークステーションと、データ収集及び規制商品の遠隔販売を行う自動販売機の動作制御を行うソフトウェア・ハードウェアユニットと、データベース・データストレージ管理サーバとが含まれる、前記通信ユニットと、
前記自動販売機の制御コマンドの受信及び解釈を行うソフトウェア・ハードウェアユニットであって、注文の承認、支払い、取り出しを含む自動販売機の機能的な特徴及びモジュールに関する前記ソフトウェア・ハードウェアユニットと、
前記本体のフロントパネルに設けられた購入者インタフェースを有するタッチスクリーン(4)の形をとったデータ表示装置、前記タッチスクリーンの上方に配置されたビデオカメラ(5)、スピーカ(6a、6b)、マイク(7)を含むオーディオ・ビデオユニットと、
前記フロントパネルに配置された点字型の指示グラフィックポインタを有するプレートを備えた専門家オペレータ呼び出しボタン(8)と、
前記専門家オペレータのステーションによって制御される、
ドア(9)の監視カメラ(17)を有する前記フロントパネルにドア(9)を有するコンテナとして構成された商品用セルを備えたモジュールと、
スキャナ(12)の形をとった承認書読み取り装置、前記本体のフロントパネルの支払い受付部(10、11)を有する少なくとも一つの支払い受付モジュールと、
監視カメラを提供するシャッタードア(14b)を備えた取り出しモジュールを有する前記本体のフロントパネルにトレイ(14)を有する商品取り出しモジュールと、
監視カメラを備えた前記本体のフロントパネルにトレイ(15)を有するお釣り・レシート取り出しモジュールと、
前記本体のサイドパネルにトレイ(15)を有する商品返却モジュール、及び、商品返却及び文書取り出しの制御されたシャッタードア(15b、16b)と監視カメラを備えた前記本体のサイドパネルにトレイ(16)を有する文書保管モジュールと、
を具備し、
点字型の指示グラフィックインジケータを有するプレート(10a、11a、13a、14a、15a)は、前記支払い受付部(10、11)、お釣り・レシート取り出しモジュールのトレイ(13)、商品取り出しモジュールのトレイ(14)、及び商品返却モジュールのトレイ(15)の付近に配置されている、
ことを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
前記商品用セルを有するモジュールは、温度・湿度状態を保つ装置を備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項3】
前記承認書読み取り装置は、処方箋薬の販売時に処方箋用紙を受け付けるための監視カメラを有するコンテナを備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項4】
前記支払い受付モジュールは、現金支払いモジュール及び/又はクレジットカード支払いモジュールの形で構成されている、ことを特徴とする請求項2に記載の自動販売機。
【請求項5】
専門家オペレータのステーションのワークステーションは、薬剤師オペレータ又は行商人オペレータのワークステーションである、ことを特徴とする請求項2に記載の自動販売機。
【請求項6】
請求項1に記載の規制商品の遠隔販売を行う自動販売機を用いた規制商品の遠隔販売方法であって、
購入者インタフェースの画面を介してタッチスクリーンが操作されたことに応答して、又は、前記自動販売機のフロントパネルにある呼び出しボタンが押されたことに応答して、前記自動販売機が、スタンバイモードからの初期化を行う工程と、
前記購入者インタフェースにある「呼び出し」アイコンが操作されたこと、又は、前記自動販売機のフロントパネルにある呼び出しボタンが押されたことに応答して、有線又は無線の前記通信ユニットが、前記自動販売機と専門家オペレータのステーションとの間で通信を確立する工程と、
前記専門家オペレータのステーションが、応対可能な専門家オペレータを決定し、起動された自動販売機のデータを専門家オペレータのコンピュータ制御ワークステーションにアップロードし、前記専門家オペレータのステーションが、自動販売機の機能装置及びモジュールの制御の操作インタフェースを専門家オペレータのワークステーションの画面に表示し、前記専門家オペレータのステーションが自動販売機のオーディオ・ビデオユニットの動作モードを開始する工程と、
自動販売機のスキャナを用いて認証書類の提出をして、特定の種類の商品を取得するために、購入者が要求した商品のリストを、前記自動販売機が、自動販売機のタッチスクリーン上に表示し、更に選択された商品のリスト及び商品の価格を、前記専門家オペレータのステーションが、専門家オペレータのワークステーションの画面に表示する工程と、
前記自動販売機が、自動販売機のタッチスクリーン上、又は、商品の数量と価格に関する専門家オペレータの音声メッセージの形で購入合計を表示する工程と、
前記自動販売機が、購入者インタフェースにある選択商品確認アイコンが操作されたことに応答して、又は、自動販売機のフロントパネルにある呼び出しボタンが押されたことに応答して選択商品を確認する工程と、
前記専門家オペレータのステーションが自動販売機の支払いモジュールをロック解除する工程と、
前記専門家オペレータのステーションが商品取り出しモジュールとお釣り・レシート取り出しモジュールのトレイの監視カメラにより制御する商品取り出しモジュールとお釣り・レシート取り出しモジュールをさらにロック解除して、選択された支払いモジュール受付部によって支払いを行う工程と、
前記専門家オペレータのステーションが、又は、自動販売機が購入者によって使用されていない期間が終わると自動的に前記自動販売機が、前記自動販売機をスタンバイモードにする工程と、
を具備することを特徴とする方法。
【請求項7】
前記商品の選択時には、前記専門家オペレータのステーションは、前記商品の返却を前記専門家オペレータのステーションが前記トレイの監視カメラにより制御して、文書保管モジュールのトレイによって商品の文書へのアクセスを購入者に与える、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記商品の返却は、前記専門家オペレータのステーションが商品返却トレイの監視カメラにより制御した前記商品返却トレイによって行われる、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
請求項1に記載の遠隔販売を行う自動販売機を用いた予約注文の際に規制商品の遠隔販売を行う方法であって、
前記自動販売機が、自動販売機アドレス及び番号、注文商品の自動販売機への引き渡し時間、固有購入コードに関するメッセージを送信する工程と、
前記自動販売機が、購入者インタフェースの画面を介して、タッチスクリーンが操作されたことに応答して、又は、前記自動販売機のフロントパネルにある呼び出しボタンが押されたことに応答して、前記自動販売機が、スタンバイモードからの初期化を行う工程と、
前記購入者インタフェースにある「呼び出し」アイコンが操作されたことに応答して、又は、前記自動販売機のフロントパネルにある呼び出しボタンが押されたことに応答して、有線又は無線の前記通信ユニットが、前記自動販売機と専門家オペレータのステーションとの間で通信を確立する工程と、
前記自動販売機の購入者インタフェースを介して固有コードが入力されたこと、又は、前記自動販売機のオーディオ・ビデオユニットのマイクを介して送られた購入者の音声メッセージに基づいて、前記専門家オペレータのステーションが前記固有コードを入力する工程と、
前記自動販売機が、自動販売機のタッチスクリーン上、又は、商品の数量と価格に関する専門家オペレータの音声メッセージの形で購入合計を表示する工程と、
前記自動販売機が、購入者インタフェースにある選択商品確認アイコンが操作されたことに応答して、又は、自動販売機のフロントパネルにある呼び出しボタンを押されたことに応答して、注文を確認する工程と、
前記専門家オペレータのステーションが前記購入者インタフェースを介して、又は、音声メッセージによって商品モジュールのセルのコンテナ番号を報告する工程と、
前記専門家オペレータのステーションが、商品取り出しモジュールとお釣り・レシート取り出しモジュールのトレイの監視カメラにより制御する商品取り出しモジュールとお釣り・レシート取り出しモジュールをさらにロック解除して、選択された支払いモジュール受付部によって前記注文についての支払いを行う工程と、
前記専門家オペレータのステーションが、前記コンテナのドア9の監視カメラ17により制御した該当するコンテナから医薬品を取得できるようにする工程と、
前記専門家オペレータのステーションが、又は、自動販売機が購入者によって使用されていない期間が終わると自動的に前記自動販売機が、前記自動販売機をスタンバイモードにする工程と、
を具備することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動遠隔販売装置及び方法に関し、特に、販売に許可が必要であったり、年齢制限の対象となる商品の販売を行う自動販売機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、顧客サイズの商品に関連し、アクセスのしやすさ、小さい設置面積、低維持費の観点から販売店や店舗よりも明らかに優れた、さまざまな商品を販売する自動販売機が広く普及している。自動販売機は、その販売が年齢制限の対象となる、医薬品を含む、例えば、タバコやアルコールなどの規制商品の販売にも用いられている。処方箋薬を販売する自動販売機がますます普及し、積極的な販売制御手段やオペレータの介入に対応した自動販売機が必要とされている。
【0003】
周知のように、購入者の個人識別を必要とする商品を販売する機械が存在する。この機械は、2008年5月10日公開の特許文献1を参照すると、本体、商品サンプル(注文セル)を有するショーケース、商品の保管及び取り出しを行う装置(注文取り出しモジュール)、アクティブスクリーン(タッチスクリーン)を有するモニター型のデータ表示装置、現金受け取り装置(現金受け取りモジュール)の形をとった支払いツール、具体的には、お釣り発生及びレシートプリンタの機能を備えた現金受付装置から構成されている。この自動販売機は、必要に応じて、身分証明書類をスキャンするスキャン装置やオペレータとテレビ電話通信を行う手段を備えていてもよい。
【0004】
このような自動販売機を用いた販売方法では、その自動販売機自体ですべての販売作業を実行して、一つ又は複数の商品の販売が行われる。この方法には、ウェブカメラで購入者の顔画像が送信されるコールセンターのオペレータに連絡を取ったり、年齢制限に従って購入者の年齢を視覚的にチェックした結果に基づいて、自動販売機がさらなる処理を行うかどうかについてスキャン装置が判断することで検証を行ったりするために、販売処理を中断したり、購入者の身分証明書を必要とする商品を販売するオプションがさらに含まれる。
【0005】
2009年11月5日公開の特許文献2にも、同様の解決法が提案されている。この解決法は、その販売が年齢制限の対象となる規制商品の販売を行う自動販売機及びその方法に関し、オペレータが購入者の書類を目視チェックした後に自動販売機の機能へのアクセスをロック解除することが含まれる。
【0006】
上記規制商品の販売を行う自動販売機[1、2]及び方法によれば、基本的に、購入者の年齢確認と、コールセンターのオペレータが介入せずに行われた購入者のさらなるアクションの結果に基づいてしか、自動販売機へのアクセスの制御されたロック解除が行われない。しかしながら、意図された通りに制御された商品の販売を保証するためには、購入開始の時点からその完了までの販売処理全体の制御を、オペレータの介入は必須でありつつも、自動販売機を介して承認書、例えば、処方箋を提示する必要がある商品の販売については、自動販売機自体によっては行わない。
【0007】
購入者が処方箋を読み取り装置に挿入した後、現金挿入スロット(現金受付部又は硬貨受付部)から、又は、カード挿入スロットからクレジットカードにより購入代金を支払う、自動販売機を介した処方箋薬を含む医薬品の販売方法がある。例として、URL:http://www.1000ideas.ru/article/biznes/moda−krasota−zdorove/biznes−ideya−1886−avtomat−dlya−prodazhi−tabletok/[3]のインターネット電子資料を参照。購入者は、支払い後、レシートと投薬レジメンのプリントアウトを入手する。医薬品の購入時は、購入者は、処方箋をチェックして、投薬レジメンに関する相談に応じる行商人とコンタクトを取ってもよい。この方法は、本体、処方箋受付部、支払いモジュール受付部、商品取り出しトレイ、レシート・投薬レジメン印刷モジュール、並びに、行商人とオーディオ・ビデオ通信を行う手段を備えた自動販売機で実施される。購入処理の開始からその完了までのすべての処理がオペレータの介入なしに自動販売機によって行われる。
【0008】
規制商品販売の問題を解決する上で、上記自動販売機では、商品の選択時からその取り出しまで、商品購入のチェックと制御を順次行う手段がないことを考慮して、処方箋薬を意図された通りに販売することを保証する観点から、十分な安全性が確保されていない。このような自動販売機は、購入者が間違った動作を行ったり、その結果として返金が行われる場合に、商品の返却についての設備がなく、その機能が商品の販売だけに制限されている。
【0009】
さらに、従来技術の自動販売機は、障害者の特定のカテゴリー、具体的には、視力の弱い人に対する利用性が制限され、購入者の身元確認が保証されていない。これにより、意図から外れた処方箋薬の販売を行う危険性が高まる。また、従来技術の医薬品自動販売機では、画面からの証明書の読み取りが面倒で、視力の弱い人にはほぼ不可能なので、購入者が、必要に応じて、医薬品の証明書を手軽に入手することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】ロシア連邦実用新案第RU73106,U1号
【特許文献2】米国特許第2009/0276088号
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、規制商品への専門家オペレータの介入により、規制商品の遠隔販売を行うコンプレックス、並びに、その販売が関連する法的措置の対象となる規制商品の販売、具体的には、薬剤師オペレータや行商人オペレータによって制御された販売処理による医薬品販売に関する基本的な法規に従って処方箋薬の販売を行う自動販売機及び方法を開発することにある。
【0012】
提案された規制商品の遠隔販売を行う遠隔操作自動販売機及び方法によれば、技術的な結果として、許可された人に対して規制商品の販売処理を安全かつ便利に行い、かつ、医薬品証明書を直接把握することを含め、薬剤師オペレータや行商人オペレータによる販売処理の制御を連続的に行うことにより、障害者、具体的には、視力の弱い人でも利用できる自動販売機を提供することが可能となる。
【0013】
このような医薬品販売を行う自動販売機を使用することにより、店舗賃貸コストや賃料コストを減少させて、一般に対して医薬品の価格を低下させることが可能となり、医薬品を販売する医薬品自動販売機の広範囲にわたるネットワークにより、地理的観点からも医薬品を一般に入手可能にする。医薬品自動販売機は、その可動性と設置面積の小ささから、ツアーサーキットや燃料充填ステーションに設置されてもよく、それにより、自動車を利用する人に対する医薬品の入手可能性も向上する。
【0014】
上記特定した技術的な結果は、
本体を有する、規制商品の遠隔販売を行う自動販売機であって、本体には、
専門家オペレータの遠隔ステーションとの通信を確立することが可能な通信ユニットであって、専門家オペレータのステーションには、規制商品に関する専門家オペレータの少なくとも一つのコンピュータ制御ワークステーションと、データ収集及び規制商品の遠隔販売を行う自動販売機の動作制御を行うソフトウェア・ハードウェアユニットと、データベース・データストレージ管理サーバとが含まれる、通信ユニットと、
本体のフロントパネルに設けられた購入者インタフェースを有するタッチスクリーンの形をとったデータ表示装置、タッチスクリーン上方に配置されたビデオカメラ、スピーカ、マイクを含むオーディオ・ビデオユニットと、
フロントパネルに配置された点字型の指示グラフィックポインタを有するプレートを備えた専門家オペレータ呼び出しボタンと、
専門家オペレータによって制御される、
ドアの監視カメラを有する前記フロントパネルにドアを有するコンテナとして構成された商品用セルを備えたモジュールと、
スキャナの形をとった承認書読み取り装置、本体のフロントパネルの支払い受付部を有する少なくとも一つの支払い受付モジュールと、
監視カメラを提供するシャッタードアを備えた取り出しモジュールを有する本体のフロントパネルにトレイを有する商品取り出しモジュールと、
監視カメラを備えた前記本体のフロントパネルにトレイを有するお釣り・レシート取り出しモジュールと、
本体のサイドパネルにトレイを有する商品返却モジュール、及び、商品返却及び文書取り出しの制御されたシャッタードアと監視カメラを備えた本体のサイドパネルにトレイを有する文書保管モジュールと、
を具備し、
点字型の指示グラフィックインジケータを有するプレートは、支払い受付部、お釣り・レシート取り出しモジュールのトレイ、商品取り出しモジュールのトレイ、商品返却モジュールのトレイの位置点付近に配置されている、自動販売機を含む遠隔操作自動販売機によって達成される。
【0015】
専門家オペレータのステーションのワークステーションは、薬剤師オペレータ又は行商人オペレータのワークステーションである。
【0016】
前記商品用セルを有するモジュールは、温度・湿度状態を保つ装置を備えていることが好ましい。
【0017】
商品に対する支払い手段は、現金支払いモジュール及び/又はクレジットカード支払いモジュールの形で構成されている。
【0018】
承認書読み取り装置は、必要に応じて、承認書を必要とする商品の販売において、承認書、例えば、処方箋用紙を受け付ける監視カメラを有するコンテナを備えていてもよい。
【0019】
規制商品の遠隔販売方法は、請求項1に記載の規制商品の遠隔販売を行う自動販売機を用いて実施されてもよく、この方法は、
規制商品の遠隔販売を行う1つ以上の自動販売機を、有線又は無線のリンクにより専門家オペレータのステーションに接続する工程であって、専門家オペレータのステーションは、規制商品に関する専門家オペレータの少なくとも一つのコンピュータ制御ワークステーションと、データ収集及び規制商品の遠隔販売を行う自動販売機の動作制御を行うソフトウェア・ハードウェアユニットと、データベース・データストレージ管理サーバと、データベース・データストレージ管理サーバとを含む、接続する工程と、
購入者が購入者インタフェースを画面に表示して、タッチスクリーンを操作することにより、又は、前記自動販売機のフロントパネルにある呼び出しボタンを押すことにより、前記自動販売機をスタンバイモードから初期化する工程と、
購入者が前記購入者インタフェースにある「呼び出し」アイコンを操作する、又は、前記自動販売機のフロントパネルにある呼び出しボタンを押すことにより、有線又は無線通信ユニットを介して、前記自動販売機と専門家オペレータのステーションとの間で通信を確立する工程と、
応対可能な専門家オペレータを決定し、起動された自動販売機のデータを専門家オペレータのコンピュータ制御ワークステーションにアップロードし、自動販売機の機能装置及びモジュールの制御の操作インタフェースを専門家オペレータのワークステーションの画面に表示し、専門家オペレータが自動販売機のオーディオ・ビデオユニットの動作モードを開始する工程と、
自動販売機のスキャナを用いて認証書類の提出をして、特定の種類の商品を取得するために、購入者が要求した商品のリストを自動販売機のタッチスクリーン上に表示し、更に選択された商品のリスト及び商品の価格を専門家オペレータのワークステーションの画面に表示する工程と、
自動販売機のタッチスクリーン上、又は、商品の数量と価格に関する専門家オペレータの音声メッセージの形で購入合計を表示する工程と、
購入者が購入者インタフェースにある選択商品確認アイコンを操作することにより、又は、自動販売機のフロントパネルにある呼び出しボタンを押すことにより選択商品を確認する工程と、
専門家オペレータが自動販売機の支払いモジュールをロック解除する工程と、
専門家オペレータが商品取り出しモジュールとお釣り・レシート取り出しモジュールのトレイの監視カメラにより制御する商品取り出しモジュールとお釣り・レシート取り出しモジュールをさらにロック解除して、選択された支払いモジュール受付部によって支払いを行う工程と、
専門家オペレータによって、又は、自動販売機が購入者によって使用されていない期間が終わると自動的に自動販売機をスタンバイモードにする工程と、
を具備する。
【0020】
商品の選択時には、オペレータは、そのさらなる返却を専門家オペレータがトレイの監視カメラにより制御して、文書保管モジュールのトレイによって商品の文書へのアクセスを購入者に与えてもよい。
【0021】
また、上記方法によれば、商品の返却は、前記専門家オペレータが前記商品返却トレイの監視カメラにより制御した商品返却トレイによって行うことができる。
【0022】
また、提案された遠隔販売を行う自動販売機によれば、予約注文の際に規制商品の遠隔販売を行う方法が提供され、この方法は、
購入者によって、自動販売機アドレス及び番号、注文商品の自動販売機への引き渡し時間、固有購入コードに関するメッセージを受信する工程と、
購入者が購入者インタフェースを画面に表示して、タッチスクリーンを操作することにより、又は、自動販売機のフロントパネルにある呼び出しボタンを押すことにより、自動販売機をスタンバイモードから初期化する工程と、
購入者が購入者インタフェースにある「呼び出し」アイコンを操作する、又は、自動販売機のフロントパネルにある呼び出しボタンを押すことにより、有線又は無線通信ユニットを介して、自動販売機と専門家オペレータのステーションとの間で通信を確立する工程と、
自動販売機の購入者インタフェースを介して固有コードを入力する、又は、自動販売機のオーディオ・ビデオユニットのマイクを介して送られた購入者の音声メッセージに基づいて、専門家オペレータが前記固有コードを入力する工程と、
自動販売機のタッチスクリーン上、又は、商品の数量と価格に関する専門家オペレータの音声メッセージの形で購入合計を表示する工程と、
購入者が購入者インタフェースにある選択商品確認アイコンを操作することにより、又は、自動販売機のフロントパネルにある呼び出しボタンを押すことにより注文を確認する工程と、
専門家オペレータが前記購入者インタフェースを介して、又は、音声メッセージによって商品モジュールのセルのコンテナ番号を報告する工程と、
専門家オペレータが商品取り出しモジュールとお釣り・レシート取り出しモジュールのトレイの監視カメラにより制御する商品取り出しモジュールとお釣り・レシート取り出しモジュールをさらにロック解除して、選択された支払いモジュール受付部によって支払いを行う工程と、
専門家オペレータが前記コンテナのドア9の監視カメラ17により制御した該当するコンテナから医薬品を取得する工程と、
専門家オペレータによって、又は、自動販売機が購入者によって使用されていない期間が終わると自動的に自動販売機をスタンバイモードにする工程と、
を具備する。
【0023】
以下の図面において、上記提案された発明について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係る規制商品の遠隔販売を行う遠隔操作自動販売機を示す概要図である。
【
図2】遠隔販売用の自動販売機を用いた規制商品の遠隔販売方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、規制商品の遠隔販売を行う遠隔操作自動販売機を概略的に示す概要図である。
【0026】
この自動販売機は、商品の配置、保管、販売を行う装置及び機能モジュールが位置する本体3を有する。この本体は、一般に、自動販売機の装置及び機能モジュールへのアクセスを与えるドアの形として構成されたフロントパネル、サイドパネル、バックパネルで囲まれた支持フレームとして機能する。また、この本体には、専門家オペレータの遠隔ステーションと通信を行うための通信ユニットと、例えば、規制商品販売の専門家オペレータによって生成された制御コマンドの受信及び解釈を行うハードウェア・ソフトウェアユニットとが備えられている。
【0027】
この自動販売機は、タッチスクリーン4の形をとった表示装置、ビデオカメラ5、ダイナミックスピーカ6a、6bの形をとったスピーカ装置、マイク7から構成されたオーディオ・ビデオシステムを備えている。購入者領域の画像と、視力の弱い人が提出する文書や他のテキスト形式の資料の画像を撮ることが可能なビデオカメラ5が設置されている。
【0028】
ダイナミックスピーカは、例えば、データ表示装置の上方に、音声メッセージをノイズフリーに聞くことができるように配置されている。ビデオカメラ5は、購入者領域のできる限り広い範囲での撮像を行えるように配置され、例えば、
図2に図示するように、スピーカ間におけるタッチスクリーン4上方の真ん中に配置されていてもよい。マイク7と、専門家オペレータ呼び出しボタン8とがタッチスクリーン4の下に配置されている。この専門家オペレータ呼び出しボタン8の表面には、視力の弱い人にボタンの指示を知らせるため、点字型の指示グラフィックインジケータを有するプレートが取り付けられている。タッチスクリーンは、人の平均身長のデータに基づいて定められた目の高さに位置している。
【0029】
オーディオ・ビデオシステムは、購入者と専門家オペレータの間でのテレビ会議や、商品購入過程並びに購入者による商品リクエスト過程での相談を行うのに用いられる。また、表示装置及びスピーカ装置は、この自動販売機で販売されている商品について把握するのに用いられる。例えば、購入者は、ガイドブックモードでさまざまな商品についてのリーフレットを閲覧してもよい。具体的には、医薬品の販売では、購入者は、商品説明や使用上の注意について把握し、例えば、医薬品に関して、自動販売機がスタンバイモード時に流れるさまざまな商品の広告を閲覧し聞いてもよい。
【0030】
この自動販売機には、商品の注文、支払い、取り出しを行う処理を実行するために、消費者サイズ商品、例えば、医薬品用のコンテナとして商品の販売が行われたモジュール、承認書読み取り装置、少なくとも一つの支払い受付モジュール、具体的には、現金受付モジュール及び/又はクレジットカード受付モジュール、お釣り・レシート取り出しモジュール、支払済み商品取り出しモジュールが備えられている。
【0031】
上記本体の中(見えない)には、販売される消費者サイズ商品用セルを有するモジュールが配置されている。このモジュールセルは、標準範囲の商品と、標準範囲外の商品との両方で充填し得るコンテナの形で構成されている。標準範囲外の商品が提供される場合、この商品へのアクセスは、自動販売機のフロントパネルにおいて、タッチスクリーン4の左側に位置するコンテナのドア9を介して行われる。ドア9には番号が割り振られ、視力の弱い人に向けて点字型の指示グラフィックインジケータを有するコンテナ番号が付されたプレート9aを有している。
【0032】
販売可能商品のモジュールのコンテナには、保管された商品の温度・湿度状態を保つ手段が備えられている。例えば、医薬品自動販売機の予約注文商品モジュールのコンテナには、購入者が、例えば、企業のウェブサイトを介して、又は、同様の医薬品自動販売機を介した予約注文により前に注文した医薬品自動販売機の標準範囲外の医薬品、もしくは、同様に予約注文により遠隔の中央調剤室で製造された医薬品が充填されている。
【0033】
上記支払いモジュールについての動作は、現金(硬貨又は紙幣)受付モジュールの受付部10や、クレジットカードモジュールの受付部11によって行われ、これらは、タッチスクリーン4の右側に上下に位置している。
【0034】
クレジットカード受付部の下には、購入者の承認書や身分証明書の入力及び読み取りを行うスキャナの窓12が配置されている。スキャナ付近のボックスには、コンテナに投入される承認書、例えば、処方箋の監視カメラ(図示せず)を備えた、返却しない承認書、例えば、処方箋用紙の受付を行うコンテナが設けられている。スキャナの下方には、専門家オペレータがお釣りレシートや返金の制御を行うのに用いるビデオカメラ(図示せず)を備えた、お釣り・レシート取り出しモジュールのトレイ13が配置されている。窓13は、商品、例えば、医薬品が誤って取り出された場合に、返金を行うためのものである。
【0035】
フロントパネルの中央部には、順序に従って商品の取り出しが行われる、商品取り出しモジュールのトレイ14が配置されている。商品取り出しモジュールは、購入時に使用される。このモジュールのトレイ14には、専門家オペレータと監視ビデオカメラ(図示せず)によって制御されるシャッタードア14bが備えられ、商品取り出し時には、そこからの画像が専門家オペレータの画面に送信される。従って、専門家オペレータは、それらの顧客が注文と支払いを行った特定の商品、例えば、医薬品の取り出しを制御する。
【0036】
窓12とトレイ13、14は、文書のスキャン、商品、レシート、お釣りの回収を行う際、手動での動作が行いやすい高さに配置されている。また、トレイ13は、商品、例えば、医薬品が誤って取り出された場合に、返金を行うためにも用いられる。
【0037】
点字型の指示グラフィックインジケータを有するプレート10a、11a、13a、14aは、視力の弱い人が自動販売機を使って、商品の支払いや受取り、お釣りやレシートの回収をそれぞれ行いやすくなるよう、現金/クレジットカード受付部、商品取り出しトレイ、レシート・お釣り取り出し窓の近くに配置されている。
【0038】
この自動販売機の右側パネルには、ロック可能なシャッタードア15bを有する商品返却モジュールのトレイ15が配置され、その近くに、点字型の指示グラフィックインジケータを有するプレート15aと、ロック可能なシャッタードア16bを有する文書保管モジュールのトレイ16が配置されている。商品返却モジュールのトレイ15と、文書保管モジュールのトレイ16は、専門家によって制御が行われている。シャッタードア15b、16bは、専門家オペレータによって遠隔制御されている。商品返却モジュールのトレイは、専門家オペレータや物流サービスの従業員が商品を保管モジュールの間違ったセルに商品を補充してしまったために、商品、例えば、医薬品が誤って取り出された場合に、返金を行うためのものである。文書保管モジュールは、自動販売機に配置された商品、例えば、医薬品の証明書のコピーを保管するためのものである。トレイ16のシャッタードア16bは、購入者からの要請に応じて専門家オペレータによって遠隔制御され、ビデオカメラで制御が行われる。
【0039】
自動販売機本体には、夜間に文字を照らすのに必要な照明ランプや、自動販売機モジュールのトレイやボタンバーが設置されていてもよい。
【0040】
自動販売機の装置及び機能モジュールへのアクセスドアを開ける際に回路を切断するロックアウトスイッチが、サービススタッフを感電から保護するために設けられている。
【0041】
各自動販売機は、窃盗が企てられた場合に、それについて最寄りの警察署の受付に報告を行う警報器がさらに備え、自動販売機の全てのビデオカメラを接続して、同時に警報音(サイレン)を起動させながら、その自動販売機の内外で起こるイベントの画像の記録を開始する。また、自動販売機は、事態をリアルタイムで観察しながら、その事態の収拾についてさらなる決断を下す応対可能な専門家オペレータに接続されている。その後、その自動販売機へ勤務中の修理作業員を送ってその自動販売機に対して直接作業を行う必要があるかどうかを判断する。
【0042】
また、さらなるアクセスを有する専門家オペレータは、任意の自動販売機との接続を行って、その特徴や商品在庫をチェックし、その適切な機能性テストを行ってもよい。
【0043】
セルの温度及び湿度を調節するユニットの故障時に備えて、温度に反応し、専門家オペレータのステーションを通して故障の報告を行う別の警報器が設けられている。
【0044】
上記本発明に係る遠隔操作自動販売機を用いた、提案された遠隔販売方法は、医薬品の遠隔販売に適用可能であることが示され、この自動販売機は、以下、医薬品自動販売機と称する。
【0045】
規制商品の遠隔販売を行うための自動販売機を用いた、規制商品の遠隔販売方法によれば、一つ以上の自動販売機の制御が行われる。
図2のフローチャートで説明するように、規制商品の遠隔販売を行うための一つ以上の自動販売機は、有線又は無線通信ユニットによって、専門家オペレータのステーション(2)に接続されている。
【0046】
有線通信回線としては、ツイストした銅導体対(ツイストペア)に基づくケーブル、銅導体を有する同軸ケーブル、光ファイバーケーブルを使ったケーブル線を用いてもよい。無線通信ネットワークとしては、無線周波数でのデータ伝送を行うマルチポイント無線通信チャネルに基づく固定無線通信が用いられてもよい。各自動販売機及び専門家オペレータのステーションには、送受信アンテナや、データの準備及び送信に必要な機器が備えられている。
【0047】
自動販売機には、この自動販売機の機能的特徴及びモジュールの制御コマンドの受信及び解釈、自動販売機から専門家オペレータのステーションに送信するためのデータ準備、専門家オペレータのステーションからの制御信号の解釈を行うハードウェア・ソフトウェアユニットが備えられている。
【0048】
専門家オペレータのステーションには、コンピュータ制御ワークステーション、データベースを有するハードウェア・ソフトウェアユニット、データストレージ制御サーバが設けられている。この専門家オペレータのステーションのハードウェア・ソフトウェアユニットでは、データの収集及び準備を行い、規制商品の遠隔販売を行うための自動販売機の動作制御信号を送信する処理が行われる。自動販売機が医薬品自動販売機として用いられる場合、専門家オペレータは、薬剤師や行商人である。
【0049】
購入者は、その時点ではタッチスクリーン4で広告再生モード又はスタンバイモードである医薬品自動販売機に達すると、そのタッチスクリーンを操作して、広告再生モード又はスタンバイモードから自動販売機の初期化を行う。その後、「呼び出し」アイコンを有する購入者インタフェースが現れる。視力の弱い人は、点字型の「呼び出し」ボタンを指示するグラフィックインジケータを有する医薬品自動販売機のフロントパネルにある呼び出しボタン8を押して、自動販売機を準備完了モードに入れる。
【0050】
タッチスクリーン4上の「呼び出し」アイコン又は「呼び出し」ボタン8を押すと、医薬品自動販売機1は、専門家オペレータのステーション2に接続される。着信があると、専門家オペレータのステーションのハードウェア・ソフトウェアユニットは、一番目に応対可能な専門家オペレータのコンピュータ制御ワークステーションに医薬品自動販売機を接続する。これにより、まずは、医薬品自動販売機のタッチスクリーン4に、この専門家オペレータへの接続までの時間が表示される。もしくは、専門家オペレータが応対可能な場合、すぐにその専門家オペレータのビデオ映像が現れ、専門家オペレータのワークステーションの画面には、ビデオカメラ5から得られた購入者の画像が現れる。これにより、音声通信も接続されて、専門家オペレータと購入者間の対話が開始する。この専門家オペレータと購入者との会話は、専門家オペレータのステーションのデータストレージサーバに録音され、購入者との非標準的な状態や対立状態が生じた場合に行われる可能性のある調査に備えて、そこにしばらくの間保存される。それと同時に、購入者の映像記録も行われる。
【0051】
専門家オペレータのコンピュータが医薬品自動販売機に接続されると、専門家オペレータのワークステーションの画面上には、医薬品自動販売機のさまざまな機能モジュールや装置(スキャナ、支払いモジュール、ビデオカメラ、文書保管トレイ16のシャッタードアと商品返却モジュールトレイ15のシャッタードアのロック装置)のすべての制御機能との操作インタフェースが現れる。また、ソフトウェアは、接続された医薬品自動販売機に、データ、すなわち、その地理的位置、自動販売機に含まれる医薬品の量及び名称(在庫ソフトウェア)、並びに、物理的パラメータ(自動販売機のさまざまな部分における温度及び湿度)をロードする。その後、専門家オペレータは、自動販売機のオーディオ・ビデオユニットを動作モードに入れて、タッチスクリーンに医薬品のリストをその価格明細と共に表示する。
【0052】
専門家オペレータとの会話では、購入者は、所望の商品(例えば、医薬品)を指定し、専門家オペレータは、購入者より依頼された医薬品を倉庫データベースから選択し、その選択結果が自動販売機のタッチスクリーン4に、医薬品の名称、数量、価格並びに「合計」総額の明細と共に、リスト形式で表示される。必要であれば、購入者からの要請に応じて、専門家オペレータは、医薬品自動販売機のオーディオ・ビデオユニットを使って、医薬品や注文処理に関する相談を行う。承認書、例えば、処方箋の提示が求められる場合、専門家オペレータはスキャナをロック解除し、購入者はその処方箋をスキャンする。注文が完了すると、医薬品自動販売機の購入者インタフェースでは、「注文確認」アイコンが起動する。購入者は、この「注文確認」アイコンを押す、又は、自動販売機の「呼び出し」ボタン8を押すことにより注文の確認を行い、専門家オペレータのコンピュータ画面には注文確認に関するメッセージが現れる。そして、専門家オペレータは、現金及びクレジットカード受付モジュールを起動させ、購入者はそのいずれかを受付部10又は受付部11により使用してもよい。
【0053】
この医薬品自動販売機が視力の弱い人によって使用される場合、医薬品選択処理は、購入者と専門家オペレータ間の会話の音声会話モードにより行われる。専門家オペレータは、入手可能な医薬品について購入者に知らせ、選択された医薬品のリストを生成し、全選択と総額を音声で購入者に伝える。注文確認は、購入者が「呼び出し」ボタン8を押すことで行われる。クレジットカードで支払いが行われる場合、点字型の指示グラフィックインジケータを有するプレート11aをクレジットカードスロットの近くに配置して、スロットを見つけやすくする。一方、購入者は、現金で支払う場合、現金受付部(10)を使用し、その近くには、点字型の指示グラフィックインジケータを有するプレート(10a)も見つけられる。いずれの場合も、視力の弱い購入者がビデオ通信により行うすべての動作を制御する専門家オペレータは、その購入者がモジュールを見つけられるよう手助けする。
【0054】
必要な金額が挿入される、又は、専門家オペレータの画面に表示されたクレジットカード口座での取引が完了次第、専門家オペレータのコマンドにより、購入者による決済が行われ、商品、例えば、医薬品が取り出されて、必要に応じてお釣りが発生する。この商品の取り出しとお釣り発生処理については、専門家オペレータによって、商品取り出しトレイ14とお釣り・レシート取り出しトレイ13のビデオカメラを用いて起動と制御が行われる。視力の弱い人は、必要に応じて、専門家オペレータも介入して、点字型のトレイ指示グラフィックインジケータ14a、13aを有するプレートによりトレイを見つける。
【0055】
複数の医薬品の注文が行われた場合、医薬品自動販売機は、数量の大きいものから小さいものへと順番に次から次へと医薬品を取り出す。これにより、上位からそれより小さい程度までトレイに入る医薬品のパッケージが底部のパッケージをカバーするので、専門家オペレータによる医薬品取り出しの視覚的な制御が簡素化される。その後、お釣り取り出しトレイに、お釣りとレシートが排出される。
【0056】
購入者が処方薬を必要としている場合、専門家オペレータは、購入者に処方箋の提示を求める。処方薬の取り出しは、以下のように行われる。すなわち、専門家は、購入者に処方箋用紙をスキャナに挿入するよう求め、スキャンされた画像が専門家の画面に現れ、専門家によってその処方箋が正しいものであることが確認された後、かつ、医薬品の在庫がある場合、非処方箋薬の購入としての処理が行われ、処方箋が処方箋用紙と共にコンテナに投入される。これは、専門家によって、コンテナに配置されたビデオカメラを用いて制御される。一方、医薬品自動販売機ではその医薬品の在庫がなく、類似品もない又はその類似品が購入者に適したものではない場合、その処方箋用紙はスキャナから購入者へと返却される。
【0057】
購入者が医薬品自動販売機内にある医薬品に関する文書の閲覧を望む場合、専門家によって文書保管モジュールのトレイ16のシャッタードア16bがロック解除され、購入者はシャッタードアを開けて、検索がしやすいようにアルファベット順に並べられた医薬品の証明書のコピーを含むフォルダを取り出せるようになる。フォルダの返却は、トレイ内に配置されたビデオカメラによって制御される。その後、専門家オペレータによって、トレイのドアがロックされる、又は、自動ロックの場合、シャッタードアの閉鎖及びロックが制御される。
【0058】
技術的なミスに起因して、購入者に間違った医薬品が取り出され、それが専門家オペレータによって商品取り出しトレイ14のビデオカメラを用いて制御される場合、専門家オペレータは、購入者にその間違って取り出された医薬品を商品返却トレイ15に入れるよう求める。この手順は以下の通りである。すなわち、専門家オペレータは、商品返却トレイのシャッタードア15bをロック解除し、購入者は、そのシャッタードアを開けて、そこに商品、例えば、医薬品パッケージを入れる。トレイのシャッタードアが開けられると、トレイ15内に配置されたビデオカメラが自動で起動し、専門家によって医薬品パッケージの返却とその品質が制御される。専門家オペレータは、商品が返却されたことを確認すると、その商品が、トレイのシャッタードア15bを閉じた後、商品返却トレイ15にあることをチェックする。そして、購入者には、必要な医薬品が与えられるか、医薬品自動販売機のフロントパネルに配置されたレシート・お釣り取り出しトレイ13によって代金が返却される。
【0059】
上記購入処理の完了後、自動販売機は、専門家オペレータによって、又は、自動販売機が購入者によって使用されていない期間が終わると自動的にスタンバイモードとなる。
【0060】
また、提案された発明によれば、本発明に係る遠隔販売を行う自動販売機を介して予約注文が行われた規制商品の販売が行われる。このような販売は、自動販売機を介して販売された商品の標準リスト外の商品の遠隔販売に関連して行われる。例えば、予約注文の際に中央調剤室で製造された医薬品の販売に関連していてもよい。
【0061】
予約注文した商品が位置する商品用セルを有するモジュールのコンテナは、上記販売を実施するのに用いられる。そのようなコンテナ内の商品へのアクセスは、コンテナでの発注後、その番号が購入者に伝えられる該当するコンテナのドア9を開けることにより行われる。このドアには、支払済み商品の取り出し時に専門家オペレータによって制御される電子ロック装置が備えられている。コンテナ内は、温度及び湿度状態を保つ装置によって、保管に必要な温度及び湿度が保たれている。
【0062】
商品モジュールのコンテナにより取り出された商品の販売は、以下のように行われる。
【0063】
購入者は、標準リスト外の医薬品を必要としている場合、その企業のウェブサイトを訪問した後、回収ポイント(医薬品自動販売機のアドレス)を選択することによって注文を実行してもよいし、専門家オペレータと通信を行う自動販売機を介して商品の注文を行ってもよい。後者の場合、購入者は、専門家オペレータを呼び出して、注文する商品を伝える。購入者は、必要に応じて、承認書を、例えば、文書のスキャン画像の形で提示する。
【0064】
注文の準備ができると、購入者には、固有購入コードと自動販売機のアドレスが電子メール又はSMSメッセージで伝えられる。
【0065】
その後、自動販売機に到達した購入者は、タッチスクリーン
4を操作する又は呼び出しボタン8を押すことによってその初期化を行う。これにより、購入者インタフェースがタッチスクリーンに表示される。購入者は、この購入者インタフェース上の「呼び出し」アイコンをタッチすることにより、自動販売機通信部を介して専門家オペレータのステーションとの通信を確立し、購入者インタフェースを介して固有購入コードを入力する。視力の弱い人の場合、専門家オペレータのステーションとの通信は、呼び出しボタン8を繰り返し押すことにより確立され、専門家オペレータは、自動販売機のオーディオ・ビデオユニットのマイク7を介して送られた購入者の音声メッセージにより固有購入コードを入力する。専門家オペレータは、購入数量と価格並びに商品用セルを有するコンテナ番号に関するデータを自動販売機のタッチスクリーン4に表示して、音声メッセージにより購入者に通知を行う。購入者インタフェース上の該当する確認アイコン又は購入者の音声メッセージにより購入の確認が行われると、専門家オペレータは、支払いモジュールをロック解除して、支払いモジュールの現金又はクレジットカード受付部を使用できるようにする。
【0066】
購入者の支払い受付部が利用可能な手段による支払いが行われた後、専門家オペレータは、該当する番号を有するコンテナのドア9とレシート・お釣り取り出しモジュールをロック解除する。購入者は、ドア9を開け、商品用セルを有するモジュールのコンテナのドア9に配置された監視カメラ1
7による専門家オペレータの制御下で商品を取り出す。また、お釣りとレシートの取り出しも、標準範囲の商品の購入時に行われた処理と同様に、トレイ13の監視カメラによる専門家オペレータの制御下で行われる。
【0067】
例えば、自動販売機の商品モジュールの医薬品のセルを用いて、予約注文した商品の販売を行う際、購入者には、セル内での限られた商品保管時間が伝えられる。特定の期間中に購入者がセルから商品(例えば、医薬品)を回収できなかった場合、その商品は、選択された通信手段(メール/電話)で購入者に伝えられた本社へ保管のため送られる。その後、購入者は、特定の場所から商品の回収を行わなければならない。
【0068】
なお、本説明で述べた自動販売機や、商品、具体的には、医薬品の販売方法は、添付の特許請求の範囲の枠組み内で、本発明の範囲及び本質から逸脱することなく、従来技術の解決法により可能な変更や修正を制限するものではない。