(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
使用される携帯型のモバイル装置の数及び多様性は、ここ十年の間に爆発的に増加した。
例えば、携帯電話、タブレット、メディア・プレーヤーなどは至る所で使用されるようになった。そのような装置は一般に内部バッテリによって電力を供給され、典型的な使用シナリオは、多くの場合、バッテリの充電または外部電源からの装置の直接的な有線による給電を必要とする。
【0003】
殆どの今日のシステムは、配線および/または明示的な電気接点が外部電源から電力を供給されることを必要とする。しかしながら、これは、非実用的になる傾向があり、ユーザが、物理的にコネクタを挿入し、そうでない場合には、物理的な電気接点を確立することを必要とする。それはまた、ワイヤが長いので、ユーザにとって都合の悪い傾向がある。一般的に、電力要求は著しく異なり、現在、大部分の装置は、それらの自身の専用の電源を備えており、典型的なユーザが、各々が特定の装置専用の多数の異なる電源を有する結果となる。内部バッテリの使用は、使用の間の電源に対する有線接続の必要性を回避することができるが、バッテリは充電(または高価である交換)を必要とするので、これは部分的なソリューションを提供するに過ぎない。バッテリの使用は、本質的に、装置の重さ、そして潜在的にコスト及びサイズを増加させる場合がある。
【0004】
著しく改善されたユーザ経験を提供するために、電力が電力伝送装置中の送信機コイルから個々の装置中の受信機コイルへと誘導的に伝送される、無線電源を用いることが提案された。
【0005】
磁気誘導を介した送電は、周知のコンセプトであり、ほとんどの場合、変圧器において利用され、一次送信機コイルと二次受信機コイルとの間の密接した結合を有する。2つの装置間で一次送信機コイル及び二次受信機コイルを分離することによって、これら間の無線電力伝送が、疎結合変換器の原理に基づいて可能になる。
【0006】
そのような配置は、いかなるワイヤまたは物理的な電気接続の作成を必要とすることなく、装置への無線電力伝送を可能にする。実際、再充電されるまたは外部的に電力を供給されるために、装置は単に、送信機コイルの上にまたは隣接して配置されることができる。例えば、電力伝送装置は、装置が電力を供給されるために単に置かれることができる水平面に配置されることができる。
【0007】
さらに、そのような無線電力伝送配置は、電力伝送装置がさまざまな電力受信装置と共に用いられることができるように、都合よく設計されることができる。特に、Qi規格として知られる無線電力伝送規格が定められており、更に現在開発が進められている。この規格は、Qi規格を満たす電力伝送装置が、Qi規格を満たす電力受信装置によって、これらが同じ製造業者からであることや、互いに対して専用であることを必要とせずに、用いられることを可能にする。Qi規格はさらに、(例えば特定の電力消費に依存して)特定の電力受信装置に動作が適合されることを可能にするためのいくつかの機能を含む。
【0008】
Qi規格はワイヤレス・パワー・コンソーシアムによって開発され、更なる情報は例えばそれらのウェブサイト(http://www.wirelesspowerconsortium.com/index.html)において見つけ出されることができ、ことでは特に、定められた規格文書を見つけることができる。
【0009】
Qi無線電力規格は、電力送信機が電力受信機に保証された電力を提供することが可能である必要があることを記載する。必要な特定の電力レベルは、電力受信機の設計によって決まる。保証される電力を定めるために、各々の条件に対して保証される電力レベルを記述する一セットの評価電力受信機及び付加条件が定められる。
【0010】
Qiは、元々、電力消費が5W未満の装置であると考えられる低電力装置のための無線電力伝送を定めた。この規格の範囲内のシステムは、電力送信機から電力受信機へと電力を転送するために、2つの平面コイル間の誘導結合を用いる。2つのコイル間の距離は、一般的に5 mmである。その範囲を少なくとも40 mmに伸ばすことが可能である。
【0011】
しかしながら、研究は、利用可能な電力を増加させるために進展中であり、特に、規格は、電力消費が5Wを超える装置である中電力(mid-power)装置へと拡張されているところである。
【0012】
Qi規格は、互換性がある装置が満たす必要がある様々な技術上の要件、パラメータ及び動作手順を定める。
【0013】
[通信]
【0014】
Qi規格は、電力受信機から電力送信機への通信をサポートし、それによって、電力送信機が特定の電力受信機に適応することを可能にすることができる情報を電力受信機が提供することを可能にする。現在の規格において、電力受信機から電力送信機への一方向通信リンクが定められており、このアプローチは、電力受信機が制御素子であるとする方針に基づく。電力送信機と電力受信機との間の電力伝送を準備して制御するために、電力受信機は、特に電力送信機に情報を通信する。
【0015】
一方向通信は、電力受信機によって二次受信機コイルに適用される負荷が電力信号の変調を提供するために変化する負荷変調を実行する電力受信機によって達成される。結果として電気特性(例えば電流の振幅)に生じる変化は、電力送信機によって検出されることができ、復号される(復調される)ことができる。
【0016】
したがって、物理層において、電力受信機から電力送信機への通信チャネルは、データキャリアとして電力信号を用いる。電力受信機は、送信機コイル電流または電圧の振幅および/または位相における変化によって検出される負荷を変調する。データは、バイト及びパケットとしてフォーマットされる。
【0017】
より多くの情報が、Qi無線電力規格(バージョン1.0)の第1部第6章において見つけ出すことができる。
【0018】
Qiは一方向通信リンクを用いるが、電力送信機から電力受信機への通信を導入することが提案されている。しかしながら、そのような双方向リンクは、導入が容易ではなく、多くの困難及び課題に直面する。例えば、結果として生じるシステムは依然として後方互換性がある必要があり、例えば、双方向通信が可能でない電力送信機及び受信機も依然としてサポートされる必要がある。さらに、例えば変調オプション、電力変動、送信オプションなどに関する技術上の制限は、それらが既存のパラメータと調和する必要があるので、非常に制限的である。コスト及び複雑度が低く保たれることも重要であり、例えば、更なるハードウェアに対する要件は最小限であり、検出が容易かつ信頼できるものであることなどが望ましい。電力送信機から電力受信機への通信は、電力受信機から電力送信機への通信に影響を与えず、損なわず、または干渉しないことも重要である。さらに、非常に大切な要件は、通信リンクが、システムの電力伝送能力を容認不可能に低下させないことである。
【0019】
したがって、多くの課題及び困難は、双方向通信を含むように電力伝送システム(例えばQi)を改良することと関連している。
【0020】
[システム制御]
【0021】
無線電力伝送システムを制御するために、Qi規格は、動作のそれぞれの時間においてシステムが入る可能性がある複数のフェーズまたはモードを特定する。更なる詳細が、Qi無線電力規格(バージョン1.0)の第1部第5章において見つけ出すことができる。
【0022】
システムは、以下のフェーズにあることができる。
【0023】
[選択フェーズ]
【0024】
このフェーズは、システムが用いられていないとき、すなわち、電力送信機と電力受信機との間に結合がない(すなわち、いかなる電力受信機も電力送信機の近くに配置されていない)ときの典型的なフェーズである。
【0025】
選択フェーズにおいて、電力送信機は、スタンバイ・モードであることができるが、起こりうるオブジェクトの存在を検出するために検知する。
同様に、受信機は、電力信号の存在を待つ。
【0026】
[ピング・フェーズ]
【0027】
送信機が、例えば容量変化により、オブジェクトの起こりうる存在を検出する場合、システムは、電力送信機が(少なくとも断続的に)電力信号を提供するピング・フェーズへ進む。この電力信号は、電力送信機に初期パッケージを送り始める電力受信機によって検出される。特には、電力受信機が電力送信機のインタフェース上に存在する場合、電力受信機は電力送信機に初期信号強度パケットを通信する。信号強度パケットは、電力送信機コイルと電力受信機コイルとの間の結合度の指標を提供する。信号強度パケットは、電力送信機によって検出される。
【0028】
[識別及び設定フェーズ]
【0029】
そして、電力送信機及び電力受信機は、電力受信機が少なくとも識別子及び必要な電力を通知する識別及び設定フェーズへ進む。情報は、負荷変調によって複数のデータパケットで通信される。電力送信機は、負荷変調が検出されることを可能にするために、識別及び設定フェーズの間、一定の電力信号を維持する。特には、電力送信機は、この目的のために(負荷変調によって引き起こされる変化以外は)一定の振幅、周波数及び位相を有する電力信号を提供する。
【0030】
実際の電力伝達の準備において、電力受信機はその電子部品を起動するために受信信号を使用することができるが、その出力負荷を切断されたままにする。電力受信機は、電力送信機へとパケットを通信する。これらのパケットは、必須のメッセージ(例えば識別子及び設定パケット)を含むか、または、いくつかの定められたオプションのメッセージ(例えば拡張された識別子パケットまたは電力ホールドオフ・パケット) を含むことができる。電力送信機は、電力受信機から受信される情報に従って電力信号を設定し始める。
【0031】
[電力伝送フェーズ]
【0032】
そしてシステム、電力送信機が必要な電力信号を提供し、電力受信機が受信電力を供給するために出力負荷を接続する電力伝送フェーズへと進む。
【0033】
このフェーズにおいて、電力受信機は出力負荷状況をモニタリングし、特に、実際の値と特定の動作点の望ましい値との間の制御誤差を測定する。それは、例えば250ミリ秒毎の最小限のレートで電力送信機への制御誤差メッセージでこれらの制御誤差を通知する。これは、電力送信機に電力受信機の継続された存在の指標を提供する。更に、制御誤差メッセージは、電力送信機が報告される誤差を最小化するように電力信号を適応させる閉ループ電力制御を実施するために用いられる。特には、動作点の実際の値が望ましい値に等しい場合、電力受信機はゼロの値を有する制御誤差を通知し、結果として電力信号の変化は生じない。電力受信機がゼロと異なる制御誤差を通知する場合には、電力送信機はしかるべく電力信号を調節する。
【0034】
無線電力伝送に関する潜在的な問題は、電力が、例えば金属オブジェクトへと、意図されずに伝送される可能性があることである。例えば、例えば硬貨、鍵、指輪などの異物が、電力受信機を受け入れるために用意された電力送信機プラットホーム上に置かれる場合、送信機コイルによって生成される磁束は、金属オブジェクト中に渦電流をもたらし、このオブジェクトを加熱する。熱上昇は、非常に重大である可能性があり、実際に、後にオブジェクトを取り上げている人間に痛み及び傷害のリスクを生じる可能性がある。
【0035】
実験は、電力送信機の表面に置かれた金属オブジェクトが、500mW程度の低いオブジェクト中の消費電力に対してさえ、通常の環境温度(20°C)で、(60°Cより高い)望ましくない高い温度に達する場合があることを示した。比較するために、熱いオブジェクトとの接触によって引き起こされる皮膚の熱傷は65°Cくらいの温度から始まる。
【0036】
そのようなシナリオを防止するために、電力送信機が異物の存在を検出することができ、実際の検出が発生したときに、伝送電力を低減することおよび/またはユーザ警報を生成することができる、異物検出を導入することが提案された。例えば、Qiシステムは、異物を検出するため、及び、異物が検出された場合に電力を低減するための機能を含む。
【0037】
異物における消費電力は、送信された電力及び受信された電力との間、差異から推定されることができる。あまりに多くの電力が異物中で浪費されることを防止するために、送信機は、電力損失が閾値を超える場合、電力伝送を終了させることができる。
【0038】
Qiパワー伝達規格において、電力受信機は、例えば、整流化された電圧及び電流を測定し、それらを乗じて、電力受信機中の内部電力損失(例えば整流器、受信コイル、受信機の一部である金属部分などの損失)の推定値を加算することによって、その受信電力を推定する。電力受信機は、決定された受信電力を、例えば4秒ごとの最小限のレートで電力送信機に報告する。
【0039】
電力送信機は、例えば、インバータのDC入力電圧及び電流を測定し、それらに乗じて、例えばインバータ、一次コイル及び電力送信機の一部である金属部分における例えば推定電力損失のような送信機中の内部電力損失の推定を減ずることにより結果を修正することによって、その送信された電力を推定する。
【0040】
電力送信機は、報告された受信電力を送信された電力から減ずることによって、電力損失を推定することができる。差異が閾値を超える場合、送信機は、あまりに多くの電力が異物中で浪費されていると考え、その場合、電力伝送を終了させることができる。
【0041】
特に、推定された電力損失PT - PRが閾値より大きいとき、電力伝送は終了される(PTは推定された送信電力であり、PRは推定された受信電力である)。
【0042】
測定は、電力受信機と電力送信機との間で同期されることができる。これを達成するために、電力受信機は、設定の間、電力送信機に時間ウインドウのパラメータを通知することができる。この時間ウインドウは、電力受信機が受信電力の平均を決定する期間を示す。時間ウインドウは、受信電力パケットの第1のビットが電力受信機から電力送信機へと通信される時刻である基準時刻に対して定められる。この時間ウインドウのための設定パラメータは、ウインドウの継続時間及び基準時刻に対する開始時刻を含む。
【0043】
この電力損失検出を実行するときに、異物の存在が検出されることを保証するために十分な精度によって電力損失が決定されることが重要である。まず、磁場から有意な電力を吸収する異物が検出されることが保証される必要がある。これを保証するために、送信された電力及び受信された電力から計算される電力損失を見積もる際のいかなる誤差も、異物中の電力吸収に対して許容できるレベルより小さい必要がある。同様に、誤った検出を回避するために、電力損失計算の精度は、いかなる異物も存在しないときに、あまりに高い推定された電力損失値をもたらさないように十分に正確である必要がある。
【0044】
低い電力レベルに対してよりも高い電力レベルにおいて十分に正確な送信及び受信電力推定値を決定することが実質的にはより難しい。例えば、送信された及び受信された電力の推定値の不確実さが±3%であると考えると、これは以下の誤差につながる:
・5Wの送受信電力において±150mW
・50Wの送受信電力において±1.5W
【0045】
したがって、そのような精度は、低電力伝送動作にとっては許容できるかもしれないが、一方、高電力伝送動作にとっては許容できない。
【0046】
一般的に、電力送信機がわずか350mW以下の異物の電力消費を検出することが可能であることが必要である。これは、受信された電力及び送信された電力の非常に正確な推定を必要とする。これは特に高い電力レベルで難しく、しばしば、電力受信機が十分に正確である推定値を生成することは難しい。しかしながら、電力受信機が受信電力を過大評価する場合、これは、異物による電力消費が検出されないことにつながる可能性がある。逆に、電力受信機が受信電力を過小評価する場合、これは、電力送信機がいかなる異物も存在しないにもかかわらず電力伝送を終了させる、誤った検出につながる場合がある。
【0047】
US2011/0196544は、異物の検出が、電力送信機インダクタに対して測定された一次電流が予想される一次電流と異なるかどうかについて評価することに基づくことができることを開示する。予想される一次電流は、整流後に測定される電力受信機の電圧及び電流に基づいて決定される。厳密な係数は、外部電流及び電圧の指示値を用いて集められたデータを用いて曲線フィッティングによって決定される。しかしながら、このアプローチは、異物の検出を可能にするが、予想される関係を決定するためにわずらわしいプロセスがことを必要とする傾向ある。この決定は例えば製造の間に実行されることができるが、そのようなアプローチは、単に、一般的な受信機に対して予想される関係が決定されることを可能にするに過ぎない。一般的に、異なる電力受信機間には大きなばらつきが存在するので、これは、一般的に、高い電力レベルにおいてこのアプローチを実行不可能または非実用的にする。
【0048】
WO2005/109597は、電力送信機が異なるモードで動作することができ、特に、合計寄生負荷が所定の閾値を超える場合に、シャットダウン・モードに電力送信機を自動的に切り替えることができる電力伝送システムを開示する。しかしながら、合計寄生負荷を検出するために、システムは、電力受信機の負荷が切断されることによって電力伝送が事実上終了される専用の測定モードに入る。したがって、電力伝送は中断されて、測定フェーズの間は実行されることができない。電力送信機の別々の負荷を区別するために、WO2005/109597は、いくつかの負荷が切断されることができる特定の測定モードに入る必要があることを開示する。しかしながら、そのようなアプローチは複雑でわずらわしいだけでなく、時々途切れる電力伝送をもたらす。さらに、このシステムは、本質的に比較的不正確であり、したがって高電力伝送のためには適していない。このシステムは、電力送信機のためだけの較正を含み、例えば電力消費や、正確な電力較正が可能であるかどうかにかかわらず、同じアプローチが適用される。
【0049】
EP2 490 342A2は、電力伝送装置及び電力受信装置が電力伝送の前に電力能力情報を交換する無線電力伝送システムを開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0050】
改善された電力伝送システムは、都合が良い。特に、ユーザに配慮したアプローチを維持しつつ改善された動作を可能にするアプローチが有利である。特に高い電力レベルにおいて安全な動作を保証しつつ、より容易なユーザ操作を可能にするアプローチが特に有利である。増加した柔軟性、容易にされた実施態様、容易にされた動作、より安全な動作、異物加熱の減少したリスク、増加した精度および/または改善された性能を可能にする改善された電力伝送システムが有利である。
【0051】
したがって、本発明は、単独でまたは任意の組み合わせで、好ましくは1つ以上の上述の短所を緩和し、軽減しまたは除去することを試みる。
【課題を解決するための手段】
【0052】
本発明の一態様によれば、無線誘導電力信号を用いて電力を電力受信機に伝送する電力送信機が提供され、当該電力送信機は、電力信号を提供するためのインダクタ、電力信号を提供するためにインダクタを駆動するための電力信号生成器、電力受信機によって提供される受信電力指標と電力送信機の送信電力指標との間の予想される関係を決定する電力損失較正が、電力送信機と電力受信機の対のために実行されたかどうかを決定する較正コントローラ、電力損失較正が電力送信機と電力受信機の対のために実行されない限り、閾値を超えないようにインダクタに提供される電力を制限するように用意される電力制限器、電力受信機から受信電力指標を受信するための受信機、送信電力指標と受信電力指標の間の関係と、送信電力指標と受信電力指標の間の予想される関係との間の、閾値を超えたずれに応じて、寄生電力消費を検出するための検出器を有する。
【0053】
本発明は、電力伝送システムのためのより安全な動作を可能にすることができる。このアプローチは、低い電力レベルにおいて低い複雑度で容易にされた動作を可能にしつつ、高い電力レベルにおける改善された安全性を可能にすることができる。特に、より高い電力レベルは、例えば異物と関連した、例えば何らかの寄生電力損失を見積もるときに改善された精度が達成されることができるように、すでに較正された電力送信機及び電力受信機の組合せに制限されることができる。より高い電力レベルのより安全な動作は、低レベルにおいて、低い複雑度によって、特に較正のない性能において、組み合わせられることができる。したがって、動作の簡潔さと安全性の改善された組み合わせが達成されることができる。
【0054】
本発明は、改善された使途不明の電力検出を可能にすることができる。それは、一般的に、改善された異物検出を可能にすることができ、特に、多くの実施の形態において、異物中で消散される電力が安全なレベルに保たれることを保証する。これは、より高い電力レベルに対しても達成されることができる。
【0055】
予想される関係は、受信電力指標を送信電力指標と関連づける。例えば、予想される関係は、所与の送信電力指標に対して予想される受信電力指標を提供することができ、または、所与の受信電力指標に対して予想される送信電力指標を例えば提供することができる。前者の場合は、ずれは、実際の受信電力指標と予想される受信電力指標との間の差分として決定されることができる。後者の場合は、ずれは、実際の送信電力指標と予想される送信電力指標との間の差分として決定されることができる。
【0056】
予想される関係は、入力として送信電力指標を持ち、出力として受信電力指標を持つ関数であることができる。関数は、したがって、所与の送信電力指標に対して予想される受信電力指標を反映することができる。したがって、関数は、通常の動作の間に受信されるべき受信電力指標を推定するために用いられることができる。実際の受信電力指標が予想される受信電力指標と(適切な一致基準に従って)一致する場合、これは、いかなる異常な動作状況も現在発生しない指標として用いられることができ、特に、(有意な)寄生電力損失が存在しないことが推定されることができる。しかしながら、実際の受信電力指標が予想される受信電力指標と一致しない場合、これは、異常な動作状況が存在する指標として、特に、有意な寄生電力損失が存在する可能性がある指標として、用いられることができる。
【0057】
同様に、予想される関係は、入力としての受信電力指標を有し、出力として送信電力指標を有する関数であることができる。この関数は、したがって、所与の受信電力指標に対して予想される送信電力指標を反映することができる。したがって、この関数は、所与の受信電力指標が通常の動作の間に受信されるときに、測定されるべきである送信電力指標を推定するために用いられることができる。実際の測定された送信電力指標が予想される送信電力指標に(適切な一致基準に従って)一致する場合、これは、いかなる異常な動作状況も現在発生していない指標として用いられることができ、特に、いかなる(有意な)寄生電力損失も存在しないことが推定されることができる。しかしながら、実際の送信電力指標が予想される送信電力指標に一致しない場合、これは、異常な動作状況が存在すること、特に、有意な寄生電力損失が存在する可能性があることの指標として用いられることができる。
【0058】
予想される関係を決定することは、特に予想された関係の適応に対応する場合があり、または、予想された関係の適応を含むことができる。例えば、標準的かつ一般的な予想される関係が提供されることができ、これが、特定の電力送信機及び特定の電力受信機に対して測定される特定の現在の条件に順応されることができる。さらに、適応は、連続的であることができ、例えば、現在の条件への連続的な適応及び順応を含むことができる。したがって、適応は、例えば温度変動、コンポーネント公差および変化、電力送信機および/または電力受信機の特性などに起因する変化を反映するために、予想された関係を調節することができる。
【0059】
ずれは、受信電力指標または送信電力指標のうちの一方の1つの値(例えば指標のうちの一方の電流値)に対して、計算されることができる。
【0060】
電力損失較正は、電力送信機のために計算される送信電力指標と電力受信機によって提供される報告された受信電力指標を比較することができる。
【0061】
いくつかの実施の形態において、送信電力指標は、例えば、インダクタ電流、インダクタ電圧、インダクタ電圧と電流との間の位相差、コイル駆動(例えばインバータ)入力電流またはコイル駆動(例えばインバータ)入力電圧のような、伝送電力を計算するために用いられることができる一つ以上の値であることができる。
【0062】
補償値は、受信電力指標と送信電力指標との間の差異を反映するように決定されることができる。補償値は、複数の値を含む複合値であることができる。例えば、補償値は、異なる電力レベルのための1セットの値であることができる。いくつかの実施の形態において、補償値の各々の要素は、スカラー値(またはスカラー値のセット)であることができる。いくつかの実施の形態において、補償値の各々の要素は、例えば、受信電力指標を予想される送信電力指標と関連付ける、または、予想される送信電力指標を受信電力指標と関連付ける関数のような、関数であることができる。予想される関係は、したがって、補償値または一セットの補償値によって示されることができる。
【0063】
電力制限器によって制限される電力は、例えば現実の(消費される)電力及び無効電力を含むインダクタにおける複素数電力であることができ、例えばそれは、皮相電力であることができる。いくつかの実施の形態において、制限されている電力は、現実の(送信される)電力のみであることができる。
【0064】
電力制限器は、インダクタの皮相電力を低減するように構成されることができる。特には、電力制限器は、インダクタのRMS電圧及びRMS電流の積として与えられる皮相電力を制限することができる。
【0065】
電力制限器は、電力損失較正が電力送信機及び電力受信機の対のために実行されていない限り、閾値を超えないようにインダクタ電流を低減するように、特に構成されることができる。これは特に、インダクタ電圧が実質的に一定に保たれる場合に魅力的だろう。
【0066】
皮相電力を制限することによって(例えばインダクタ電流を制限することによって)電力を制限することは、多くの実施の形態において有利でありえる。特に電流を制限することによって、磁位及び誘導電圧を直接制限することが可能である。低電圧は、高電圧より本質的に安全である。
【0067】
電力制限器は、インバータに供給される電力を制限することができ、その結果として、インダクタへの電力を制限することができる。
【0068】
閾値は、静的な一定の閾値であることができる。例えば、(インダクタへの電力を制限するための)閾値は、1A、2Aなどのインダクタ電流、10VA、20VAなどの皮相電力、または、1W、2W、5W、10Wもしくは20Wの送信電力レベルに対応することができる。いくつかの実施の形態において、電力送信機は、電力受信機の特性に応じて閾値を設定するように構成されることができる。
【0069】
受信電力指標は、例えば電力受信機によって生成される受信電力推定値であることができ、あるいは、例えば電流および/または電圧の値として提供されることができる。受信電力指標は、電力受信機中の損失に起因する電力消費及び負荷の電力消費を含むことができる。送信電力指標は、電力送信機のためのおよび/または電力信号生成器に対する入力電力を示すことができる。特に、電力信号生成器は、インダクタを駆動するインバータを有することができ、送信電力信号はインバータへの入力電力を示すことができる。いくつかの実施の形態において、送信電力指標は、インダクタに供給される電力を反映することができる。いくつかの実施の形態において、送信電力指標は、電流および/または電圧の指標であることができる。
【0070】
いくつかの実施の形態において、検出器は、予想される送信電力指標を現在の送信電力指標と比較することによって、送信電力指標と受信電力指標間の関係と予想された関係との間のずれを決定するように構成されることができる。現在の送信電力指標は、例えば、インダクタ電流、インダクタ電圧などの測定から計算される、測定された送信電力であることができる。予想される送信電力指標は、予想された関係(または関数)を受信電力指標に適用することによって生成されることができる。予想される送信電力と現在の送信電力との間の差異が閾値を超える場合に、ずれが閾値を超えると考えられることができる。
【0071】
いくつかの実施の形態において、検出器は、予想される受信電力指標を現在の受信電力指標と比較することによって、送信電力指標と受信電力指標間の関係と予想される関係との間のずれを決定するように構成されることができる。現在の送信電力指標は、例えばインダクタ電流、インダクタ電圧などの測定から計算される、測定された送信電力として生成されることができる。予想される受信電力指標は、予想される関係(または関数)を現在の送信電力指標に適用することによって生成されることができる。予想される受信電力指標間の差異場合、逸脱は閾値を超えるために考慮されることができる及び、受信電力指標は閾値を超える。
【0072】
異物は、電力送信機から無線電力伝送によって電力を受信するように構成されている電力受信機ではないオブジェクトであることができる。
【0073】
本発明のオプションの特徴によれば、電力送信機は、較正フェーズの間に、予想される関係を決定するために電力損失較正を実行するための較正装置を更に備え、予想される関係は、較正フェーズ間の少なくとも1つの送信電力指標と少なくとも1つの受信電力指標との比較によって決定される。
【0074】
本発明は、改善された使途不明の電力検出を可能にすることができる。それは、一般的に改善された異物検出を可能にすることができ、あるいは、特に、多くの実施の形態において、異物中で放散する電力が安全量に保たれることを保証する。これは、より高い電力レベルに対しても達成されることができる。
【0075】
改善された動作は、較正プロセスによって提供されることができる。受信電力指標及び送信電力指標に基づく較正は、電力送信機と電力受信機との間の特定のペアの較正を提供する。したがって、この較正は、包括的な受信機のための包括的な較正を用いるよりはむしろ、電力伝送の一部である個々の電力受信機を直接対象とする。このように、増加した精度が達成されることができ、それによって、例えば、高い電力レベルにおけるより安全な動作を可能にする。
【0076】
本発明のオプションの特徴によれば、較正装置は、ユーザ入力を要求して、ユーザ入力が受信される場合にのみ電力損失較正を実行するように構成される。
【0077】
これは、較正の改善された精度を提供することができる。特に、それは、いかなる異物も存在しないとみなして較正が実行されることができることを保証することができ、それによって、異物の結果として生じる差異の改善された検出を可能にする。
【0078】
本発明のオプションの特徴によれば、較正装置は、第1の電力レベルにおける第1の予想される関係を最初に決定し、続いて、第1の予想される関係を用いて、第1の電力レベルより高い第2の電力レベルにおける第2の予想される関係を決定することによって、低損失較正を実行するように構成される。
【0079】
そのようなアプローチは、較正プロセスの間にも安全な動作を保証することができる。特に、それは、較正プロセス全体を通して、特に、高い電力レベルにおいて、改善された異物検出を可能にすることができる。
【0080】
本発明のオプションの特徴によれば、較正装置は、第2の電力レベルを決定するときに、送信電力指標と受信電力指標との間の関係が送信電力指標と受信電力指標との間の予想される関係と異なることの検出に応じて、インダクタに提供される電力を制限するように構成される。
【0081】
そのようなアプローチは、較正プロセスの間でも安全な動作を保証することができ、較正プロセス全体の間の異物の容認できない加熱に対して、特に保護することができる。多くの実施の形態において、インダクタに提供される電力は、電力伝送フェーズの間と同じレベルに制限される。
【0082】
本発明のオプションの特徴によれば、電力送信機は、電力伝送フェーズの間、予想された関係を適応させるように構成された予想関係アダプタを更に備え、予想された関係は、電力伝送フェーズの間、少なくとも1つの送信電力指標と少なくとも1つの受信電力指標との比較に応じて適応される。
【0083】
これは、改善された精度を可能にすることができる。特に、電力伝送フェーズは、一般的に、いかなる較正フェーズよりもかなり長く、したがって、より正確な予想される関係を提供するために、より多くの測定/サンプルポイントが利用可能である。
【0084】
本発明のオプションの特徴によれば、電力伝送フェーズの間の予想される関係を適応させるための適応レートは、較正フェーズの間の予想される関係を決定するための適応レートより低い。
【0085】
これは、比較的短い較正手順を可能にしつつ、改善された精度を提供することができる。電力伝送フェーズのための時定数は、較正フェーズのための時定数よりも、一般的に、2倍、5倍又は10倍大きいだろう。
【0086】
本発明のオプションの特徴によれば、予想関係アダプタは、送信電力指標と受信電力指標間の関係と送信電力指標と受信電力指標間の予想される関係との間のずれが閾値を超えることを検出したに応じて、送信電力指標及び受信電力指標に応じて予想された関係を適応させないように構成される。
【0087】
これは、より信頼性が高い動作を保証することができ、予想された関係の適応をもたらす異物の存在のリスクを特に低減することができる。
【0088】
本発明のオプションの特徴によれば、電力送信機は、さらに、電力受信機のための識別子及び予想関係データを記憶するためのメモリ、電力受信機から第1識別子を受信するための受信機を有し、較正コントローラは、第1識別子及びメモリに記憶される識別子に応じて電力送信機及び電力受信機の対のために電力損失較正が実行されたかどうかを決定するように構成される。
【0089】
これは、促進された、および/または、改善された動作を提供することができる。多くのシナリオにおいて、それは、実行される必要がある較正の回数を低減することができる。例えば、それは、多くの実施の形態において、専用のユーザ入力を必要とすることなく多くの電力伝送セッションを可能にすることができる。それは、多くの実施の形態において、電力送信機と共に以前に用いられた電力受信機に対する、より高速な電力伝送を可能にすることができる。
【0090】
較正コントローラは、電力受信機の識別子に対して補償値がメモリに記憶される場合、電力損失較正が実行されていることを決定することができる。
【0091】
本発明のオプションの特徴によれば、較正コントローラは、有効な予想される関係データが第1識別子に対して記憶されていないことの検出に応じて、電力損失較正を開始するように構成される。
【0092】
これによって、改善されたユーザ経験を提供することができ、必要とされるときに、典型的には、電力受信機が初めて電力送信機と共に用いられるときに、較正が実行されることを可能にすることができる。
【0093】
較正プロセスによって決定される補償値は、電力受信機の識別子と共にメモリに記憶されることができる。
【0094】
本発明のオプションの特徴によれば、較正コントローラは、電力損失較正をスキップし、電力受信機の識別子がメモリ中に記憶される識別子のうちの1つと一致する場合、メモリから電力受信機の識別子に対する予想される関係データを抽出するように構成される。
【0095】
これは、改善されたユーザ経験を提供することができて及び必要な較正の回数を低減することができる。
【0096】
本発明の一態様によれば、電力送信機及び電力受信機を含む電力伝送システムが提供されて、電力送信機は、無線誘導電力信号を用いて電力受信機へと電力を伝送するように構成され、電力送信機は、電力信号を提供するためのインダクタ、電力信号を提供するためにインダクタを駆動するための電力信号生成器を有し、当該電力伝送システムはさらに、電力受信機によって提供される受信電力指標と電力送信機のための送信電力指標との間の予想される関係を決定する電力損失較正が電力送信機と電力受信機の対のために実行されたかどうかを決定するための較正コントローラ、電力損失較正が電力送信機と電力受信機の対のために実行されない限り、インダクタに提供される電力を、閾値を超えないように制限するように構成される電力制限器、電力受信機から受信電力指標を受信するための受信機、送信電力指標と受信電力指標間の関係と送信電力指標と受信電力指標間の予想される関係との間の閾値を超えるずれに応じて寄生電力消費を検出するための検出器を有する。
【0097】
本発明の一態様によれば、無線誘導電力信号を用いて電力受信機へ電力を伝送するように構成された電力送信機の動作方法が提供され、当該方法は、電力信号を提供するためにインダクタを駆動し、電力受信機によって提供される受信電力指標と電力送信機のための送信電力指標との間の予想される関係を決定する電力損失較正が電力送信機と電力受信機の対のために実行されたかどうかを決定し、電力損失較正が電力送信機と電力受信機の対のために実行されない限り、閾値を超えないようにインダクタに提供される電力を制限し、電力受信機から受信電力指標をし、送信電力指標と受信電力指標間の関係と送信電力指標と受信電力指標間の予想される関係との間の閾値を超えるずれに応じて寄生電力消費を検出する。
【0098】
本発明の一態様によれば、無線誘導電力信号を介して電力送信機から電力を受信するための電力受信機が提供され、当該電力受信機は、電力信号を受信するためのインダクタ、電力受信機によって提供される受信電力指標と電力送信機のための送信電力指標との間の予想される関係を決定する電力損失較正が電力送信機と電力受信機の対のために実行されたかどうかを決定するための較正コントローラ、電力損失較正が電力送信機と電力受信機の対のために実行されない限り、電力送信機から要求される電力を、閾値を超えないように制限するように構成される電力制限器、電力送信機から受信される送信電力指標と電力受信機の受信電力指標間の関係と送信電力指標と受信電力指標間の予想される関係との間の閾値を超えるずれに応じて寄生電力消費を検出する検出器を有する。
【0099】
本発明のこれらの及び他の態様、特徴及び利点は、以下に記述される実施の形態から明らかであり、それらを参照して説明される。
【0100】
本発明の実施の形態は、単に例として、図面を参照して説明される。
【発明を実施するための形態】
【0102】
図1は、本発明のいくつかの実施の形態による、電力伝送システムの実施例を説明する。電力伝送システムは、送信機コイル/インダクタ103を含む(またはそれに接続される)電力送信機101を含む。システムはさらに、受信機コイル/インダクタ107を含む(またはそれに接続される)電力受信機105を含む。
【0103】
システムは、電力送信機101から電力受信機105への無線誘導電力伝送を提供する。特には、電力送信機101は、送信機コイル103による磁束として伝播される電力信号を生成する。電力信号は、一般的に約100kHz〜200kHzの周波数を有することができる。送信機コイル103と受信機コイル105は疎に結合され、したがって、受信機コイルは電力送信機101からの電力信号(の少なくとも一部)を拾う。したがって、電力は、送信機コイル103から受信機コイル107への無線誘導結合を介して電力送信機101から電力受信機105へと伝送される。「電力信号」という用語は、主に送信機コイル103と受信機コイル107との間の誘導信号(磁束信号)を指すために用いられるが、いうまでもなく、同様に、それは、送信機コイル103に供給される電気信号に対する、または実際には受信機コイル107の電気信号に対する参照として考えられて用いられることができる。
【0104】
以下において、電力送信機101及び電力受信機105の動作は、(本願明細書において説明される(または結果として生じる)変更及び改良を除いて)Qi規格による実施の形態を特に参照して説明される。特に、電力送信機101及び電力受信機103は、(本願明細書において説明された(または結果として生じる)変更及び改良を除いて)Qi規格バージョン1.0または1.1と実質的に互換性があることができる。
【0105】
無線電力伝送システムにおける電力送信機101と電力受信機105との間の電力伝送を準備して制御するために、電力受信機105は、電力送信機101に情報を通信する。そのような通信は、Qi規格バージョン1.0及び1.1において規格化されている。
【0106】
物理レベルにおいて、電力受信機105から電力送信機101への通信チャネルは、キャリアとして電力信号を用いることにより実施される。電力受信機105は、受信機コイル105の負荷を変調する。これは、電力送信機側での電力信号における対応する変動をもたらす。負荷変調は、送信機コイル105電流の振幅および/または位相における変化によって、あるいは代替的にまたは追加的に、送信機コイル105の電圧の変化によって、検出されることができる。この原理に基づいて、電力受信機105はデータを変調することができ、そのデータを電力送信機101が復調する。このデータは、バイト及びパケットにフォーマットされる。より多くの情報は、http://www.wirelesspowerconsortium.com/downloads/wireless-power-specification-part-1.htmlを通して利用可能な、Qi無線電力規格とも呼ばれる"System description, Wireless Power Transfer, Volume I: Low Power, Part 1: Interface Definition, Version 1.0 July 2010, published by the Wireless Power Consortium"において、特にチャプタ6"Communications Interface"において、見つけることができる。
【0107】
電力伝送を制御するために、システムは、それぞれのフェーズ、特に、選択フェーズ、ピング・フェーズ、識別及び設定フェーズ、並びに、電力伝送フェーズを通して進行することができる。より多くの情報は、Qi無線電力規格のパート1のチャプタ5において見つけることができる。
【0108】
最初に、電力送信機101は選択フェーズにあり、単に電力受信機の潜在的な存在をモニタリングする。電力送信機101は、この目的のために、例えばQi無線電力規格に記載されているような、様々な方法を用いることができる。そのような潜在的な存在が検出される場合、電力送信機101は、電力信号が一時的に生成されるピング・フェーズに入る。電力受信機105は、その電子装置を起動するために、受信された信号を利用することができる。電力信号を受信した後に、電力受信機105は、電力送信機101に初期パケットを通信する。特に、電力送信機と電力受信機との間の結合度を示す信号強度パケットが送信される。より多くの情報は、Qi無線電力規格のパート1のチャプタ6.3.1において見つけることができる。したがって、ピング・フェーズにおいて、電力受信機105が電力送信機101のインタフェースに存在するかどうかが決定される。
【0109】
信号強度メッセージを受信すると、電力送信機101は、識別及び設定フェーズに移行する。このフェーズにおいて、電力受信機105は、その出力負荷を切断されたままにして、負荷変調を用いて電力送信機101と通信する。電力送信機は、この目的のために、(負荷変調によって引き起こされる変化を除いて)一定の振幅、周波数及び位相の電力信号を提供する。メッセージは、電力送信機101によってそれ自体を、電力受信機105によって要求されるように設定するために、用いられる。
【0110】
識別及び設定フェーズの後、システムは、実際の電力伝送が行われる電力伝送フェーズに移行する。特に、その電力要件を通信した後に、電力受信機105は、出力負荷を接続して、受信された電力をそれに供給する。電力受信機105は、出力負荷をモニタリングして、実際の値と特定の動作点の望ましい値との間の制御誤差を測定する。それは、電力信号の変更または変更不要の要求とともにこれらの誤差を電力送信機101に示すために、例えば250ms毎の最小限のレートで、電力送信機101にそのような制御誤差を通信する。
【0111】
図2は、さらに詳細に電力送信機101を説明する。
【0112】
送信機コイル103は、電力信号を提供するためにインダクタを駆動する電力信号生成器201に接続される。電力信号生成器201は、したがって、送信機コイル103に供給される電流及び電圧を生成する。電力信号生成器201は、一般的に、DC電圧から交流信号を生成するインバータの形の駆動回路である。
図3は、ハーフ・ブリッジ・インバータを示す。スイッチS1及びS2は、それらが決して同時に閉じられないように制御される。交互に、S2が開いている間にS1が閉じられ、S1が開いている間にS2が閉じられる。スイッチは所望の周波数で開閉されて、それによって、出力における交流信号を生成する。一般的に、インバータの出力は、共振キャパシタを介して送信機コイルに接続される。
図4は、フル・ブリッジ・インバータを示す。スイッチS1及びS2は、それらが決して同時に閉じられないように制御される。スイッチS3及びS4は、それらが決して同時に閉じられないように制御される。交互に、S2及びS3が開いている間にスイッチS1及びS4が閉じられ、そして、S1及びS4が開いている間にS2及びS3が閉じられ、それによって、出力においてブロック波信号を生成する。スイッチは、所望の周波数で開閉される。
【0113】
電力信号生成器201はさらに、電力伝送機能を動作させるための制御機能を含み、Qi規格に従って電力送信機101を動作させるように構成されるコントローラを特に有することができる。例えば、コントローラは、Qi規格の電力伝送フェーズと同様に識別及び設定を実行するように構成されることができる。
【0114】
さらに、電力送信機101は、電力送信機と電力受信機との対のために電力損失較正が実行されたかどうかを決定するように構成される較正コントローラ203を含む。
【0115】
電力損失較正は、受信機によって提供される受信電力の指標と電力送信機101によって送信される電力の指標との間の予想された関係に対する1つ以上の補償値または関数を提供することができる。
【0116】
特には、Qi規格のような電力伝送システムにおいて、電力受信機105は、電力送信機101に受信電力値を通信することを要求される。受信電力値は、電力受信機105によって受信される電力を示す。
【0117】
いくつかの実施の形態において、電力受信機105は、電力受信機105の負荷に供給される電力に直接対応する受信電力値を報告することができる。しかしながら、多くの実施の形態において、電力受信機105は、電力受信機105自体における電力損失/散逸も含む受信電力値を生成する。したがって、報告される受信電力指標は、電力受信機105自体における電力損失と負荷に供給される電力の両方を含むことができる。例えば、それは、整流回路および/または受信機コイルにおける測定されたまたは推定された電力損失を含むことができる。
【0118】
多くの実施の形態において、受信電力指標は、電力値として直接提供されることができる。しかしながら、他の実施の形態ではいうまでもなく、他の指標(例えば電流および/または電圧)が提供されることができる。例えば、いくつかの実施の形態において、受信電力指標は、受信コイル107において誘導される電流または電圧として提供されることができる。
【0119】
電力送信機101はさらに、送信された電力の推定値を計算することができる。単純な実施例として、送信電力指標は、送信機コイル103に供給される電力として決定されることができるかまたは電力信号生成器201のインバータ段に対する入力電力として例えば決定されることができる。例えば、電力送信機101は、送信機コイルを通る電流、送信機コイル103の電圧及び電圧と電流との間の位相差を測定することができる。そしてそれは、これらの値に基づいて対応する(時間平均された)電力を決定することができる。他の例として、インバータの供給電圧は一般的に一定であり、電力送信機101は、インバータによって取り出される電流を判断することができ、インバータへの入力電力を決定するために一定の電圧をこれに乗じることができる。この電力は、送信機電力指標として用いられることができる。いくつかの実施の形態において、送信された電力を計算するために用いられることができる一つ以上の値は、送信機電力指標として直接用いられることができる。例えば、測定されたインバータ入力電流は、所与の受信電力指標に対する(おそらく他のパラメータに依存して)予想されたインバータ入力電流と比較されることができる。ずれが閾値を超える場合、寄生電力消費が高すぎると考えられることができる。
【0120】
多くの実施の形態において、僅かにより複雑な送信電力指標が生成される。特に、このアプローチは、電力送信機101自体における損失に対して計算された電力を補正することができる。特に、送信機コイル103自体における損失が計算されることができ、入力電力は、送信機コイル103から送信される電力の改善された指標を提供するために、この値によって補償されることができる。
【0121】
送信機コイル103における電力損失は、
P
losscoil = R・ I
coil2
として計算されることができる。ここで、I
coilは送信機コイル103を通した平方二乗平均電流であり、Rは送信機コイル103の等価抵抗である。抵抗が既知の場合、送信された電力は、
P
tx = V
coil・I
coil・cos(φ) - R・I
coil2
によって推定されることができる。ここで、V
coilは送信機コイル103の電圧であり、φはV
coilとI
coilとの間の位相である。
【0122】
Rは、例えばR = R
b + R
f・fのような関数に従って、送信機コイル電流の周波数に依存することができる。ここで、R
bは等価抵抗の周波数に依存しない部分であり、R
fは等価抵抗の周波数に依存する部分であり、fは周波数である。
【0123】
一般的に、時間平均化された値が用いられ、例えば、電力値は、適切な時間間隔における平均値として決定され、この時間間隔は、電力送信機101と電力受信機105との間で好ましくは同期している。
【0124】
受信及び送信電力指標は、比較されることができる。指標が電力レベルとして直接提供される場合には、電力レベルは互いに比較されることができる。理想的なシステムでは、何処かで生じる如何なる損失も存在せず、送信電力は受信電力と同一である。しかしながら、実際的なシステムでは、電力送信機101、電力受信機105における、そして実際には電力受信機105(及び電力送信機101)の外で吸収される相当な電力による、損失を含むさまざまな損失が発生する。これらの損失のいくつかは一般的に推定されることができる(例えば送信機コイル103におけるまたは電力受信機105の整流器における損失)。しかしながら、全ての電力損失が有効に推定されることができるというわけではなく、いかなる異物も存在しない場合であっても、依然として複数の未知の電力損失は残る。これらの寄生電力損失は、補償される電力レベル間の差異を導入する。推定される損失についての推定不確実性は、実際の受信された電力レベルと送信された電力レベルのとの間の差異を導入する。最後に、送信された電力レベル及び受信された電力レベルを決定する際の測定不確実さは、送信された電力と受信された電力との間の差異を導入する不確実さを導入する可能性がある。
【0125】
したがって、送信された電力と受信された電力との間の、ひいては、送信電力指標と対応する受信電力指標との間の関係が存在する。しかしながら、実際的な実施態様において、送信された電力と受信された電力との間の厳密な関係は、複数の未知の要因によって決まるので、分からない。しかしながら、一般的に、おおよその予想される関係は推定されることができる。例えば、送信電力レベルが、受信電力レベル+送信機コイル103における損失+付加値に等しいという推定が適用されることができる。付加値は、合計電力損失の推定に基づくことができる。
【0126】
電力送信機101は、所与の送信電力指標が測定される通常の動作の間に受信されるべきである受信電力指標を示す、および/または、所与の受信電力指標が電力受信機105から受信されるときに測定されるべきである送信電力指標を示す、予想される関係を生成するように構成される。このように、受信される受信電力指標の入力に対して予想される(すなわち通常の動作の間に予想される)送信電力指標を提供する、および/または、測定された送信電力指標の入力に対して、予想される(すなわち通常の動作の間に電力受信機105から受信されることが予想される)受信電力指標を提供する、予想される関係(関数)が生成される。
【0127】
そのような予想される関数によって、ずれが決定されることができることができる。例えば、関数は、異物が存在しない状況を反映すると考えられ、すなわち、予想される関係は、異常な損失が存在しないときに、所与の送信電力指標に対して受信されるべきである受信電力指標、または、所与の受信電力指標に対して測定されるべきである送信電力指標を提供する。特定の受信電力レベルを示す新たな受信電力指標が電力受信機105から受信されると、電力送信機101は、この電力レベルが、予想される関数によれば、計算された送信電力レベルに対応するかどうかを決定するために、関数を評価することができる。
【0128】
例えば、関数は、所与の受信電力レベルに対して予想される送信電力を提供することができ、受信電力レベルは入力として用いられることができる。予想される送信電力は、この受信電力レベルに対して較正フェーズの間に測定された/計算された送信電力に、例えば直接対応することができる。そして、結果として生じる予想された送信電力は、計算された送信電力と比較される。同等に、関数は、所与の送信電力レベルに対して予想される受信電力を提供することができ、計算された送信電力レベルが入力として用いられることができる。そして、結果として生じる予想された受信電力レベルは、電力受信機105から提供される実際の受信電力レベルと比較される。
【0129】
比較があまりに大きいずれを示す場合、これは予想外の電力損失の存在を示す。これは、電力送信機101のあまりに近くにまたはその上に配置される異物によって、特に引き起こされる場合がある。そのような電力損失は、損傷または負傷につながる可能性がある異物の重大な加熱をもたらす可能性がある。したがって、電力送信機101は、そのようなシナリオでは、電力伝送を終了させることができる。
【0130】
予想された関係は、したがって、予想される送信電力指標または予想される受信電力指標を提供する。実際の値が予想される値に一致する場合、これは、予想された関係が電力伝送の正確なモデルを提供するからである。予想される関係は、寄生電力損失がないことが保証されることができる較正の間に決定されるので、予想される関係は、寄生電力損失が存在しないシナリオをモデル化する。したがって、実際の値が予想された値に一致する場合、現在の状況は予想された関係によってモデル化された状況に対応し、したがって、それは、寄生電力損失のない状況に対応する。言い換えると、実際の送信電力指標と対応する実際の受信電力指標との間の実際の関係が同じものである(または所与の閾値より小さくずれている)場合、現在は寄生損失が存在しない。
【0131】
一例として、予想される関係は、送信電力指標の関数として予想される受信電力指標を提供する関数であることができる。予想される関係は、例えば異物が近くに存在しなかったことが保証されていた較正フェーズの間に決定された関数を用いて、例えば決定されることができる。較正の間、電力受信機は異なるレベルに出力電力を設定することができ、各々のレベルに対して、送信電力指標が計算されることができる。各々のレベルに対して、電力受信機105からの受信電力指標が記録されることができ、平均値が決定される。そして、電力レベルごとに、送信電力指標及び(平均)受信電力指標が、予想される関係として記憶されることができる。このように、送信電力指標の入力に対して寄生電力損失が存在しないときに予想される受信電力指標を提供する予想される関係が決定される。予想される関係は、送信電力指標及び受信電力指標の全ての可能性がある値のために、またはサブセットに対してのみ、決定されることができる。いくつかの実施の形態において、予想された関係は、送信電力指標の値に対して受信電力指標の値を提供する関数によって、または、受信電力指標の値に対して送信電力指標の値を提供する関数によって、例えば表されることができる。
【0132】
通常の電力伝送の間、電力送信機101は、例えば測定された値に基づいて送信電力指標を計算することができる。少なくともいくつかのこれらの計算された送信電力指標に対して、検出器209は、予想される受信電力指標が何であるかを決定し、例えば、それは、較正フェーズの間にその送信電力指標に対して求められた平均受信電力指標を提供するルックアップテーブルにアクセスすることができる。予想される受信電力指標は、したがって、送信電力指標のこの値に対する送信電力指標と受信電力指標との間の予想される関係を表す。
【0133】
そして、検出器209は、電力受信機105から受信された実際の受信電力指標を分析する。実際の送信電力指標と実際の受信電力指標との間の関係が実際の送信電力指標と予想された受信電力指標との間の関係(すなわち予想された関係)と同じ場合、これは、予想された関係が、現在経験される実際のシナリオの良好なモデルを提供することを反映する。予想される関係は寄生損失のないシナリオに対して決定されるので、予想された関係に一致する実際の関係は、現在寄生損失が存在しないことを示す。逆に、2つの関係が一致しない場合、それは、現在寄生損失が存在することを示す。
【0134】
予想された関係と実際の関係との間の一致は、単に、決定された予想される受信電力指標を実際の受信電力指標と比較することによって、決定されることができる。これらが所与の閾値より小さく異なる場合、これは、寄生損失が存在せずに実際の関係と予想された関係が十分に近いことを示す。そうでない場合、検出器209は、寄生損失が現在存在していると決定する。
【0135】
他の実施の形態において、実際の関係と予想された関係の比較は、実際の受信電力指標を考慮して、そしてこの値に対応する予想される送信電力指標を決定することによって、評価されることができる。そして比較は、この予想された送信電力指標を実際の計算された送信電力指標と比較することによって行われることができる。それらが十分に近い(閾値より差異が小さい)場合、予想された関係と実際の関数関係との間の差異は、寄生電力損失が存在しないことを検出器209が決定するために十分に近い。そうでない場合、検出器209は、寄生損失が現在存在することを決定する。
【0136】
したがって、いくつかの実施の形態において、検出器209は、予想された送信電力指標が閾値よりも実際の送信電力指標から逸脱する場合に、寄生損失が存在することを決定することができる。いくつかの実施の形態において、検出器209は、予想された受信電力指標が閾値よりもによって実際の受信電力指標から逸脱する場合に、寄生損失が存在することを決定することができる。
【0137】
いうまでもなく、所与の送信電力指標に対して予想された及び実際の受信電力指標を比較するアプローチ、並びに、所与の受信電力指標に対して予想された及び実際の送信電力指標を比較するアプローチの両方は、本質的に、送信電力指標と受信電力指標の間の予想された関係とこれらの間の実際の関係の比較に対応する。
【0138】
しかしながら、十分に小さいずれを検出することが可能であるために、予想される関数は十分に正確である必要がある。使途不明である(したがって、おそらくは異物の中で放散する)ことが許容できる最大の電力が(一般的には250mW - 500mW程度の)一定の値であるので、予想される関数の精度は、低電力レベルよりも高電力レベルにおいて相当に重大になる。例えば、1Wの送信電力に対して、不確実さはおそらく最大で25%であることができ、一方50Wの送信電力に対して、必要な精度は、同じ検出性能に対して0.5%である。
【0139】
送信された電力と受信された電力との間の関係の未知の要素は、異なるカテゴリに分類される。いくつかの要素は一定であり、電力送信機101及び電力受信機105の特性に依存する。そのような要素は、装置のキャビネット中での消費電力、測定動作中の何らかの一定のバイアスなどを含む。他の要素は、測定ノイズのように、ランダムで、変動する場合がある。
【0140】
図1のシステムにおいて、電力損失較正は、電力送信機101と電力受信機105の対のために実行されることができる。この電力損失較正は、予想される関係を決定することができ、送信された電力と受信された電力との間のより正確に関係を反映するように、既存のまたは予め定められた予想された関数に対する補償または適応を特に導入することができる。特に、そのような較正は、第1のカテゴリの未知の要素を較正することができる。例えば、較正は、測定におけるバイアス、電力送信機101及び電力受信機105のさまざまな回路における電力損失などを反映することができる。したがって、電力損失較正が実行され、予想される関係がしかるべく適応された場合、有意に、より正確な結果が成し遂げられることができる。実際、一般的に、電力損失較正は、例えば±5%から約±0.5%まで、不確実さを低減することができる。そのような改善は、何らかの使途不明の電力損失の検出の同じ精度を可能にしつつ、システムが大幅に高い電力レベルで用いられることを可能にすることができる。
【0141】
したがって、電力損失較正を実行して、予想された関係をより正確に適応させることが、多くの場合有利である。しかしながら、電力損失較正は、多くのユーザによって不便でわずらわしいと考えられる可能性がある追加的な動作である。それゆえ、必要な電力損失較正の数を低減することは、非常に望ましい。
【0142】
したがって、依然として高電力動作を可能にしつつ、電力損失較正の数が最小化されることができるように、
図1及び2のシステムはシステムの動作を適応させるように構成される。
【0143】
システムにおいて、較正コントローラ203は、電力送信機と電力受信機の特定の対のために電力損失較正が実行されたかどうかを決定する。較正が単に電力送信機103だけのための較正または電力受信機105だけのための較正ではないことが留意されるべきである。むしろ、それは、電力送信機と電力受信機の特定の対のための較正であり、特に、電力送信機と電力受信機のこの特定の対/組み合わせに対する予想される関係を提供する。
【0144】
較正コントローラ203は、電力損失較正が実行されたかどうかの指標を供給される制限器205に接続される。制限器205は、電力信号生成器201にさらに接続され、供給されることができる電力を制限する制御入力を提供することができ、それは特に、最大のコイル電流を制限することができる。
【0145】
制限器205は、電力損失較正が電力送信機と電力受信機との対のために実行されていない限り、送信機コイル103への電力を制限するように構成される。したがって、電力損失較正が実行されていない場合、電力(多くの実施の形態において特に皮相電力またはインダクタ/コイル電流)は、(おそらく適応可能な)閾値以下であるように制限される。閾値は一般的に、デフォルトの適応されていない予想された関係を用いて検出されることができる使途不明の電力損失が、安全な動作を保証するように十分に低いことを確実にするように選択される。しかしながら、電力損失較正がその対のために実行された場合、予想された関係は相当に正確であるように適応されている。したがって、使途不明の電力損失に対する検出性能は著しく改善され、したがって、制限器205は閾値を超える電力を可能にする。
【0146】
システムはしたがって、低電力レベル(例えば最高5W)に対する較正フリーの動作を可能にしつつ、高い電力レベル(例えば最高50Wまたは100W)での安全な動作を可能にすることができる。したがって、同時に安全な高電力レベルの電力伝達を可能にしつつ、より便利なユーザ経験が提供される。
【0147】
制限器205は、最大のコイル電流を示す電力信号生成器201への制御信号を提供することによって、電流を例えば制限することができる。他の例として、制限器205は、電力信号生成器201から送信機コイル103への接続中に電流制限器を含むことができる。他の実施例として、制限器205は、電力信号生成器の入力電流に対する電流制限器を含むことができる。
【0148】
電力を制限することは、特に、インダクタ/コイル電流を制限することによることができる。そのようなアプローチは、特に、インダクタ電圧が実質的に一定に保たれる実施の形態またはシナリオのために適している。これは、動作の間に駆動回路(特にインバータ)へのレール電圧(供給電圧)を一定に保つことによる多くの実施の形態の場合であることができる。しかしながら、インダクタ電流がインダクタ電圧に依存するので、インダクタ電圧が変化するときにさえ、インダクタ電流は有用なセーフティ制御パラメータであることができる。
【0149】
制限されることができる電力の他の例は、インダクタのRMS電圧とRMS電流の積として、または同等に、二乗された実際の電力と無効電力の合計の平方根として与えられることができる皮相電力である。
【0150】
図2の電力送信機101は、寄生電力消費(例えば一般的には異物による寄生電力消費)を検出するための機能を更に備える。寄生電力消費は、電力受信機105と関連していない電力消費であり、一般的に、送信機コイル103の近くに配置される場合がある異物(例えば電力送信機101上に配置される鍵、指輪または硬貨)と関連する場合がある。
【0151】
電力送信機101は、電力受信機105からメッセージを受信するように構成される受信機207を含む。メッセージは、当業者に知られる負荷変調によって提供される。
【0152】
受信機207は、電力受信機105から受信電力指標を特に受信することができる。受信電力指標は、電力受信機105によって消費される電力の指標を提供する。いくつかの実施の形態において、受信電力指標は、電力受信機105における電力損失の何らかの考慮事項を含むことができる。
【0153】
受信機207は、寄生電力消費を検出するように構成される検出器209に接続される。特に検出器209は、寄生電力消費が所与の閾値を超えるかどうかを検出するように構成される。検出器209は、送信電力指標と受信電力指標の間の実際の関係とこれらの値の間の予想された関係との間のずれを決定することによって、これを実行する。したがって、寄生電力消費がない場合、受信電力指標と送信電力指標との間の実際の関係は、予想された関係とほぼ同一である可能性が高く、すなわち、予想された関係は、寄生電力損失がない電力伝送状況を反映/モデル化するので、実際の関係は、実際寄生電力損失が存在しないときのこの予想された関係に一致する。しかしながら、相当な寄生電力消費がある場合、これは、(寄生電力損失が存在しないことが保証されることができる較正フェーズの間にこれが決定されるので)予想された関係に反映されないが、実際の関係に反映される。したがって、これらの間のずれは比較的大きく、それによって、このずれから寄生電力消費が検出されることを可能にする。言い換えると、いかなる寄生電力損失も存在しないときの較正状況に似ていない状況において、予想された関係は、実際の動作に対する不十分なモデルであり、したがって、実際の値から大幅に外れた予想値を与える。
【0154】
いくつかの実施の形態において、ずれは、受信電力指標の値を比較する(すなわち予想される値と実際の値との間)ことによって検出されることができる。いくつかの実施の形態において、ずれは、送信電力指標の値を比較する(すなわち予想される値と実際の値との間)ことによって検出されることができる。
【0155】
例えば、ずれは、電力受信機105によって提供される受信電力指標から予想される送信電力指標を導き出して、これを実際の計算された送信電力指標と比較することによって検出されることができる。その代わりに、又は付加的に、予想される受信電力指標が実際の計算された送信電力指標から導き出されることができ、その結果が電力受信機105によって提供される実際の受信電力指標と比較されることができる。
【0156】
したがって、検出器209は、予想された関係中に反映されていない寄生電力消費が、実際の関係に対するずれが閾値を超えることを引き起こす程の大きさであるかどうかを検出する。
【0157】
対になっている電力送信機101及び電力受信機105が較正されると、予想される関係は、較正されたまたは適応された予想される関係であり、すなわち、それは、電力送信機101と電力受信機105の特定の対の固有の特性を反映する。したがって、それは、単に一般的な(受信電力指標または送信電力指標の)予想される値を提供するだけではなく、その特定の電力送信機101及び電力受信機105に対して予想される値を提供する。したがって、予想される関係は、例えばコンポーネント変動に依存する特性のような、個々の装置に固有の特性を反映することができる。したがって、検出は高い電力レベルにおいて正確であり、それによって、比較的小さい寄生電力消費の検出をも可能にする。
【0158】
閾値を超える寄生電力消費の検出は、異物の存在によって引き起こされる可能性がある。したがって、検出器209は、電力伝送動作を終了させる電力信号生成器201への制御信号を供給するように構成される。このアプローチは、したがって、異物の容認できない加熱を妨げることができ、安全な動作を提供することができる。
【0159】
図2の電力送信機101は、電力送信機101と電力受信機102の対のための電力損失較正を実行することが可能である較正装置115を含む。較正装置211は、したがって、受信電力指標と送信電力指標との間の予想される関係を決定するために、電力損失較正を実行することができる。較正は、デフォルトのまたは名目上の予想される関係を変更することによって改善された予想された関係を生成することができ、あるいは、対に固有の新たな予想される関係を直接生成することができる。較正(すなわち予想される関係の決定(または適応))は、それが寄生電力損失のない状況を反映することが十分に高い確実性によって仮定されることができるように、実行されることができる。これは例えば、近くに異物が存在しないことを保証することをユーザが要求される専用の較正動作を用いることにより、実行されることができる。その代わりに、又は付加的に、それは、大部分の時間の間、寄生電力損失が存在しないことが仮定されることができる長い時間間隔にわたる較正を実行することによって達成されることができる。これは例えば、計算された送信電力と報告された受信電力との間の差異が所与のレベルを超えるときの値を無視することができるより複雑な較正手順と組み合わせられることができる。
【0160】
したがって、較正装置211は、関係を適応させるために用いられる固有の値を決定することができるか、あるいは、予想される関係を同等に直接決定することができる。例えば、いくつかの実施の形態において、較正装置211は、デフォルトのまたは名目上の予想された関係に追加されるべきである加算値を決定することができる。そのような加算値は、名目上の予想された関係において使途不明である電力消費を例えば表すことができる。
【0161】
他の例として、較正装置は、予想される関係を表す関数の係数または他のパラメータを決定することができる。係数が完全に決定されることができ、あるいは、名目上の係数に対して修正値が適用されることができる。例えば、報告される受信電力指標と計算される送信電力指標との間の典型的な予想された関係を表すと考えられる名目上の関数が記憶されることができる。複数の関連する測定が較正プロセスの間に行われることができ、予想される関係と得られたデータ・セットとの間のカーブフィッティングが実行されることができる。したがって、測定値に十分な近いフィッティングを有する関数が提供されるまで、名目上のパラメータは変更されることができる。そして、これらのパラメータは、適応された予想される関係を定めるために用いられることができる。
【0162】
同等に、較正装置211は、用いるための固有の予想される関係を提供することができる。例えば、複数の測定は、受信電力指標/送信電力指標の複数の異なる値に対して、受信電力指標を送信電力指標と関連付けるサンプル点を提供するために実行されることができる。ルックアップテーブルが、これらの測定に基づいて直接生成されることができ、所与の、例えば受信電力指標に対して、このルックアップテーブルは、測定から得られる対応する送信電力指標を記憶する。いくつかの実施の形態において、測定ポイントは直接用いられることができ、すなわち、受信電力指標及び送信電力指標の得られた対が、ルックアップテーブル中に直接記憶されることができる。しかしながら、一般的に、いくつかの平均算出、フィルタリングまたはスムージングが適用される。いうまでもなく、記憶された値に直接対応しない受信電力指標/送信電力指標のために、補間が用いられることができる。
【0163】
較正装置211は、
図2の実施例において、報告される受信電力指標値に基づいて電力損失較正を実行するように構成され、すなわち、それは、通常の動作の間に生成されることができる測定及びデータに基づく。他の実施の形態において、較正装置211は、その代わりに、又は付加的に、例えば、電力伝達動作の通常の動作ではない測定、メッセージまたは動作に基づく専用の較正を実行するように構成されることができる。
【0164】
図2の実施例において、較正装置211は、電力受信機105から複数の受信電力指標を受信する。それは、電力送信機101のための複数の送信電力指標を決定する。そして、値は、より信頼性が高い推定値を提供するために、時間ウインドウにわたって平均されることができる。対応する値が生成されるように、時間ウインドウは電力送信機101と電力受信機105との間で同期される。平均された受信電力指標と平均された送信電力指標の結果として生じる組は、予想される関係のデータ点を提供する。予想される関係は、それが、できるだけデータ点に近い近似を与える関係を提供するように、しかるべく適応される。
【0165】
一般的に、較正装置211は、異なる電力レベルに対応する複数のデータ点を生成する。したがって、データ点を生成した後に、電力受信機105は負荷を変えることができ、電力送信機101はしかるべく送信される電力を変えることができる。電力レベルのこの変更は、通常電力伝送動作のために定められるメッセージ及び制御動作を用いて成し遂げられることができる。新たな電力レベルが設定されると、較正装置211は、測定された送信電力指標及び対応する受信電力指標により新たなデータ点を生成する測定プロセスを繰り返し続ける。
【0166】
そして、較正装置211は、例えば受信電力指標を対応する送信電力指標と関連付ける名目上の関数のパラメータを変更することによって、適応されたまたは較正された予想される関係を生成し続けることができる。特には、曲線フィッティング・アルゴリズムが用いられることができる。他の例として、データ点はルックアップテーブル中に記憶されることができ、他の電力レベルのための値は補間によって生成される。
【0167】
較正装置211は、予想される関係を生成するために、より高い電力レベルにおけるデータ点に較正を制限することができる。送信電力と受信電力との間のずれは高い電力レベルにおいて最も大きいことが予想されることができるので、較正装置211は、したがって、最も重要な電力レベルのための正確な関係を確立することが可能である。低電力レベルにおけるずれは、すでに十分に小さく、特定の(対の)較正を必要としない。あるいは、較正装置211は、例えば、測定されたパラメータから送信された電力を計算する関数の比例適応によって、高電力レベルの関係を低電力レベルに外挿することができる。
【0168】
較正の後、予想される関係は、しかるべく、この特定の電力送信機101及び電力受信機105のための、すなわち、この電力送信機101及び電力受信機105の固有の対のための、受信電力指標と送信電力指標との間の関係を密接に反映する。予想される関係はさらに、寄生電力損失が存在しないときのこの関係を反映する。したがって、正確な寄生電力損失評価が実行されることができ、それによって、高い電力レベルにおける安全な動作を可能にする。
【0169】
先だって言及されたように、電力損失較正は、異物と関連した寄生損失が存在しないとの仮定の下で実行されることができる。これを保証するために、較正装置211は、ユーザ入力を要求するように構成される。ユーザ入力は、必要とされる較正状況の準備が整ったこと、特に、電力送信機101の近くに異物がないことの確認とみなされる。較正装置211は、そのようなユーザ確認入力が受信されたときにのみ電力損失較正を実行し始めるように構成される。したがって、電力が較正フェーズの間に、特に金属オブジェクトによって吸収されず、したがって、送信された電力と受信された電力との間の差異は、電力送信機101及び電力受信機105のみに起因し、したがって較正に含まれるはずであることが保証される。
【0170】
より具体的な実施例として、電力損失較正が実行される較正フェーズを開始する前に、電力送信機101は、受信電力値が較正にとって適切であることを保証するために、1つ以上の条件を評価することができる。例えば以下の条件が適用されることができる。
【0172】
電力送信機のインタフェース面の近くに異物(特に金属)が存在することを防止することをユーザが指示されていることが要求されることができる。指示は、例えば、電力送信機101のユーザインタフェース(例えばディスプレイ) に提供されることができる。指示は、電力送信機101のためのユーザ・マニュアル中に提示されることもできる。そのような実施例では、例えば、電力送信機が、マニュアル中の指示を読むことをユーザに要求する表示を提供することができる。
【0174】
ユーザ応答が、電力送信機101による表示に応答して必要とされることができる。電力送信機101は、較正が実行されるべきであることを、例えば、視覚的表示がオンにされることによって、または、較正を実行することの要求がディスプレイに示されることによって、ユーザに示すことができる。応答して、ユーザが、例えば適切なボタンを押すことによって、アクティブなユーザ入力を提供することを要求されることができる。したがって、較正の実行を要求する表示は、異物/金属物体が電力送信機101の表面の近くに配置されていないことをユーザが保証することの要求とみなされることができる。ユーザによって提供される確認入力は、異物/金属物体が電力送信機101の表面の近くに存在しないことのユーザによる確認とみなされることができる。
【0176】
ユーザが電力送信機101を較正モードに設定したことが必要とされることができる。いくつかの実施の形態において、電力送信機101のユーザインタフェースは、電力送信機を較正モードに入れるための(または、電力送信機101をそのようなモードから出すための)手段を提供することができる。ユーザが電力送信機101を較正モードに設定する場合、ユーザが、必要な安全手順を実行して、電力送信機の表面の近くに異物/金属物体を配置していないことが保証される。
【0177】
いくつかの実施の形態において、電力受信機105は、例えば、それが異なる電力受信機負荷に対する較正を実行することを可能にするために、電力損失較正モードに入ることが可能である。そのような場合において、電力送信機101は、電力損失較正が開始される前に、電力受信機105が較正モードにあることの確認を待つことができる。この確認は、ユーザ入力によって例えば提供されることができ、あるいは、電力信号の負荷変調によってメッセージを通信する電力受信機105によって、例えば提供されることができ、メッセージは、電力受信機105が較正モードに入ったことを示す。
【0178】
いくつかの実施の形態において、新たな電力受信機105が、電力伝送を開始するために、電力送信機101の近くに配置されることができる。電力受信機105によって要求された電力が十分に低い場合、すなわち、制限器205によって使用される閾値より低い場合、電力送信機101は、較正が必要とされることなく、電力受信機105が直接電力を提供し始めることができる。しかしながら、較正が実行されていないので、制限器205は、送信機コイル103へのコイル電流を制限し、この最大電流に対応するレベルを超える電力レベルは、電力送信機101によってサポートされない。しかしながら、電力受信機105がそのような高い電力を要求する場合、電力送信機101は、電力損失較正が実行される較正フェーズを開始する。このフェーズは、異物が存在せず、較正が進められるべきであることを確認するユーザ入力を要求することによって開始されることができる。確認が受信されると、較正装置211は、較正を実行し始めて、特定の電力送信機101及び電力受信機105の対のための対応する受信電力指標及び送信電力指標の複数のデータ点を生成する。そして、それは、これらのデータ点に適合させるように予想される関係を適応させ始める。較正の後、電力送信機101は、容認できない寄生電力損失を継続的にモニタリングしつつ、より高い電力レベルをサポートし始める。そのような電力損失が検出される場合、電力伝送フェーズは終了する。
【0179】
したがって、このアプローチでは、より高い電力レベルをサポートするために必要とされるときにのみ実行されるように較正が減少し、安全かつユーザに配慮した動作を提供することができる。
【0180】
多くの実施の形態において、電力送信機101は、実行される較正の回数をさらに低減することができ、高電力が必要とされ、電力受信機105が以前に電力送信機101とともに用いられていない場合にのみ、較正が実行されるように実際に制限することができる。
【0181】
そのような電力送信機101の実施例が
図3に説明される。電力送信機101は、それがさらに較正装置コントローラ203に接続される較正メモリ501を含むことを除いては、
図2のそれに対応する。
【0182】
図3の実施例において、較正装置コントローラ203は、較正が実行された後で、較正メモリ501中に較正データを記憶するように構成される。したがって、一旦電力損失較正が較正装置211によって実行されたならば、結果として生じる較正値は較正装置コントローラ203に供給され、較正装置コントローラ203はそれらを較正メモリ501に記憶する。さらに、較正が実行された電力受信機105の識別子が記憶される。
【0183】
電力受信機105の識別子は、負荷変調によって電力受信機105から送信されるメッセージに応じて決定される。電力伝送システム(例えばQi ) は、電力送信機101への識別子(例えば固有の識別番号)を通信する電力受信機105のための用意を含む。特に、Qiにおいて、電力受信機105の識別子は、識別及び較正フェーズの一部として、電力送信機101に提供される。したがって、較正装置コントローラ203は、この識別子を抽出することができ、較正の間に決定された補償値と共にそれを記憶することができる。
【0184】
いうまでもなく、記憶された較正値は、例えば、予想される関係を記述する関数のオフセット値、係数または他のパラメータであることができる。同等に、補償値は、まさに適応された予想される関係であることができる。例えば、較正装置コントローラ203は、受信電力指標及び送信電力指標のための対応する値を直接記憶することができる。特には、較正装置コントローラ203は、ルックアップテーブルを定める補償値を記憶することができる。
【0185】
図3の実施の形態において、新たな電力受信機105が検出されると、較正装置コントローラ203は、電力受信機105の識別子及び較正メモリ501中に記憶される識別子に基づいて、この電力送信機と電力受信機の対のために電力損失較正が実行されたかどうかについて決定し始める。
【0186】
特に、識別及び較正フェーズの間に電力受信機105によって提供される識別子と較正メモリ501中に記憶される識別子のうちの1つとの間に一致が存在する場合、特定の電力送信機と電力受信機の対は以前に較正されている。したがって、較正装置コントローラ203は補償値を抽出することができ、この電力送信機101と電力受信機105の対に特に適応されている適応された予想される関係を提供するために、このデータを用いる。
【0187】
その結果、(新たな)電力損失較正を実行することを要せずに、より正確な予想される関係が提供される。そして電力伝送は通常通り進行し、制限器205は、制限コイル電流閾値に対応するレベルを超える電力レベルを可能にする。
【0188】
較正メモリ501中に一致が見つけ出されない場合、較正装置コントローラ203は、電力損失較正が実行されていないと考える。したがって、それは電力伝送を続行するが、最大のコイル電流を制限閾値以下に制限する。
【0189】
この制限の下で電力送信機101によって提供されることができるより高い電力が電力受信機105によって必要とされる場合、較正装置コントローラ203は、すでに説明された電力損失較正を開始し始める。そして、そのような較正の結果は、より高い電力レベルで用いられることができるより正確な予想される関係を生成するために用いられる。さらに、較正結果は、電力受信機105の識別子と共に、較正メモリ501中に記憶される。次に電力受信機105が電力送信機101とともに用いられるときに、それは、新たな較正が実行されることを必要とすることなく、より高い電力レベルにおいて、直接サポートされることができる。
【0190】
いうまでもなく、いくつかの実施の形態において、記憶された補償値が有効であると考えられるための基準が課されることができる。特には、最後の較正からの時間は所与の閾値より短いことが要求されることができる。したがって、較正結果が記憶されるときに、較正装置コントローラ203は、タイムスタンプまたは終了時間も記憶することができる。記憶された補償データが電力受信機105にとって有効でない場合、新たな電力損失較正が実行されることを必要とすることができる。
【0191】
いくつかの実施の形態において、較正装置211は、複数のサブフェーズまたはサブモードにおいて較正を実行するように較正されることができ、前のフェーズ/モードの結果が現在用いられる。
【0192】
特に、較正装置211は、補償値が電力レベルの第1のセットまたはインターバルのために実行される電力損失較正を最初に実行することができる。例えば、電力レベルを例えば5W未満に保ちつつ、較正は実行されることができる。この低電力レベルにおいて、デフォルトのまたは名目上の予想される関係は、容認できない使途不明の電力損失が経験されるかどうかを検出するために使用されることができる。特に、比較的不正確な予想される関係でも、異物における電力損失が例えば250mWを越えて増加したかをシステムが検出することを可能にする。この最初の較正動作に基づいて、較正装置211は、送信電力指標と受信電力指標との間の関係のより正確な指標を提供するために、予想された関係を適応させ始めることができる。
【0193】
そして較正装置は、電力レベルの第2セットまたはインターバルのための第2の電力損失較正動作を実行し始めることができ、第2セット/インターバルは、最初の較正動作より高い電力レベルを含む。例えば、較正は、20Wまでの電力レベルに対して実行されることができる。この第2の較正動作の間、検出器209は、容認できないほど高い寄生電力損失をモニタし続ける。しかしながら、それは、最初の較正動作から生じた予想される関係を用いてこれを実行する。したがって、適応は5Wを下回る電力レベルのためのデータ点に基づくが、それは、送信電力指標と受信電力指標との間の関係のより正確な推定を、高い電力レベルに対しても提供する。したがって、例えば異物の信頼性が高い検出が、最高20Wの範囲のようなより高い電力レベルで実行されることができる。したがって、電力レベルは増加されることができ、より高い電力レベルのための補償値が決定されることができる。したがって、予想される関係は、より高い電力レベルにおける、より正確な推定を提供するために、より正確でありえる。
【0194】
較正装置は、例えば最大50Wまでの電力レベルのために、例えば第3の較正動作を実行し続けることができる。この第3の較正動作は、第2の較正の結果として予想された関係を利用することができる。
【0195】
図3の電力送信機101の動作の特定の実施例として、較正装置203は、電力受信機と電力送信機の対が以前に較正されたかどうかを最初に確認することができる。較正されていない場合には、電力送信機101は、出力電力レベルが制限される第1の較正サブモードに入る。それが較正されている場合、電力送信機101はその代わりに、より高い電力レベルが利用されることができる第2の較正サブモードに入る。他の実施の形態において、それは、そのような場合には、完全に較正をスキップすることができる。
【0196】
第1の較正サブモードにおいて、電力送信機101は、名目上の予想される関係を用いて異物の検出を可能にする控えめな最大レベルに電力伝達レベルを制限し、すなわち、たとえ電力送信機101が特定の電力受信機103のための較正情報を持っていないとしても、それは安全であると考えられる。
【0197】
報告される受信電力の精度は、現実の受信電力に対して事前に決められた許容範囲内であることが期待される。
【0198】
そして電力送信機101は、電力伝送モードに入るために、標準的な手順に従う。電力受信機103にパワーを提供するが、電力送信機101は送信された電力を決定するために必要なパラメータを測定し、同時に、報告された受信電力値を集める。電力送信機101は、送信された電力と受信された電力との間の差異が安全閾値を超えないことを確認し、すなわち、検出器が、予想された関係からのずれが所与の閾値を超えないことを検出する。
【0199】
十分な受信電力値を集めた後に、電力送信機101は、較正された予想される関係を生成し始める。特には、予想される関係は、電力送信機101から送信される電力と関連があるさまざまな送信機パラメータから、予想される受信電力指標が計算されることを可能にする関係であることができる。
【0200】
特には、電力送信機101は、電力送信機101の測定されたパラメータの関数として受信電力が計算されることを可能にする関数を決定することができる。関数は、この特定の電力受信機101のための、予想された報告される受信電力としてまたは較正された送信された電力としてみなされることができる。別の態様では、電力送信機は、測定されたパラメータの関数として、送信された電力と受信された電力との間の差異が決定されることを可能にする関数を決定することができる。
【0201】
電力送信機の測定されたパラメータは、例えば以下を含むことができる。
コイル電流
コイル電圧
電力信号の周波数
インバータ電流
直流電圧
【0202】
第1の較正サブモードが完了されると、較正装置211は第2の較正サブモードへ進むことができる。
【0203】
第2の較正サブモードにおいて、電力送信機101は、最大の電力伝送レベルまたはコイル電流を制限せず、電力受信機101によって指示される最大の電力レベルまでの電力レベルを可能にする。電力送信機101は、より高い電力レベルへと較正を拡張するために、より高い電力レベルのための受信電力値を用いることができる。
【0204】
いくつかの実施の形態において、電力送信機101は、電力伝送フェーズの間、予想される関係を適応させるように構成されることができる。
【0205】
電力伝送フェーズ適応は、送信電力指標と通常の電力伝送フェーズの間に決定されて受信される受信電力指標との比較に基づくことができる。特には、較正装置211による電力損失較正のための記述と同じアプローチが用いられることができる。
【0206】
しかしながら、通常の電力伝送フェーズの間の適応レートは、一般的に、較正の間より大幅に低い。したがって、特に、電力伝送フェーズの間に補償値を適応させるための時定数は、較正フェーズの間に補償値を決定するための時定数より大きくなるだろう。一般的に、適応レート/時定数における差異は、少なくとも2倍、5倍または10倍である。
【0207】
電力伝送フェーズの間の遅い適応レートは、適応が一般的により多くの測定ポイントを用いて非常に長い継続時間にわたって実行される場合があり、予想された関係はすでにかなり正確であって、測定シナリオが較正フェーズの間より確実でない(例えば、異物が存在しないことを保証するための固有のユーザ関与が含まれない)ことを反映する。したがって、電力伝送フェーズの間の適応は、多くの場合、予想された関係を微調整または改良するために、用いられる。
【0208】
したがって、電力伝送フェーズの間、電力送信機101は、電力損失較正の間と同じアプローチを用いて、予想された関係の精度を改善することができる。さらに、(電力送信機101がこのフェーズ中にいる時間が長いことに起因して)電力送信機101が較正モード中よりこのモードにおいてより多くの報告された受信電力値を集めることが予想され、電力送信機が較正フェーズの間ほどは報告される受信電力値を信用することができないので、電力送信機101は、較正モード中より保守的に予想された関係を適応させる。例えば、電力送信機101は、最低限度の変化によって、より長い期間にわたってデータを受信した後にのみ、予想された関係を適応させる。
【0209】
さらに、予想される関係が例えば異物の存在を反映するために適応されることを回避するために、送信電力指標と受信電力指標との間の実際の関係とこれら間の予想される関係との間のずれが閾値を超えることが検出されるときには、予想される関係は適応されない。
【0210】
特には、データ点が特定の境界の外側にある場合、予想される関係を適応させるときに、電力送信機101はそのデータ点を無視する。さらに、実際の関係と予想された関係との間の差異が所与の閾値を超える場合、電力送信機101は、電力伝送を終了させる。言い換えると、検出器209は、前述したように動作する。
【0211】
いくつかの実施の形態において、電力送信機101は、電力伝送フェーズを直接終了し始めることができないが、電力損失超過モードに入り始めることができる。このモードでは、電力送信機101は、予想された関係を適応させない。しかしながらそれは、異物が磁場から電力を吸収する可能性がある疑いがあるので、電力伝送の電力レベルを低減することができる。
【0212】
電力送信機101は、例えば警告を示すためのユーザ警報を提供することによって、ユーザを関与させることができる。それは例えば、異物が電力送信機101のインタフェース面の近くにないことの確認を求め、通常のモードに戻るためにそのような確認を用いることができる。
【0213】
電力送信機101は、更なる受信電力値がもはや閾値を超えない電力損失につながる場合、通常のモードに戻ることができる。
【0214】
電力損失が閾値を超え続ける場合、電力送信機101は、電力損失超過モードからエラー・モードに変更して、電力伝送を終了させる。
【0215】
図3の電力送信機101は、電力受信機105によって提供される受信電力値から送信された電力の推定を可能にする予想される関係を特に適応させることができる。
【0216】
十分なデータ/受信電力値を集めた後に、電力送信機101は、この特定の電力受信機103のための送信された電力を計算するために必要であるパラメータを記憶することができる。パラメータは、電力受信機105の識別子を用いてアクセスされることができる較正メモリ501中の或る位置に記憶される。
【0217】
このアプローチは、較正モードに適用されることができるが、通常の電力伝送モードにも適用されることができる。これらの2つのモード間の差異は、較正モードにおいては比較的大きい適応係数を適用し、限られた数の受信電力値を用いて、それによって較正時間を低減することによって、もたらされることができる。比較的小さい適応係数及び多くの受信電力値は、送信された電力を計算するパラメータを適応させるときに、通常の電力伝送モードにおいて用いられることができる。
【0218】
以下の適応プロセスが、各々の受信電力値のために例えば実行されることができる。
【0219】
電力送信機101は、最初に、伝送コイル103のコイル電流及び入力電力を測定することができ、それに応じて、デフォルトの関数に従って伝送コイル103における電力損失を見積もることができる。
【0220】
この電力損失関数は、例えば以下であることができる。
P
loss = R・ I
coil2
ここで、
I
coilは、伝送コイル103におけるコイル電流であり、
P
lossは、電力送信機101における見積もられた電力損失である、
Rは、I
coilの関数として電力損失を計算するための等価抵抗を表し、
Rは、例えば、
R = R
b + R
f ・ f
のような関数によって、送信機コイル電流の周波数によって決まることができる。ここで、
R
bは、等価抵抗の周波数から独立した成分であり、
R
fは、等価抵抗の周波数に依存した成分であり、
fは、周波数である。
【0221】
そしてこれらの(3つの)パラメータのサンプルは、例えばミリ秒ごとにメモリに記憶される。
【0222】
電力受信機105から受信電力メッセージを受信した際、電力送信機101は、
I
coilavgを生成するために、プライマリ・コイル電流のサンプルを平均し、
P
inavgを生成するために、一次コイルへの入力電力のサンプルを平均し、
P
lossavgを生成するために、伝送コイルにおける電力損失のサンプルを平均する、
ことができる。
【0223】
平均算出は、報告された受信電力を電力受信機105が決定するときに用いられたことが電力受信機105によって示される時間ウインドウにわたって適用される。
【0224】
電力送信機がこの時間ウインドウ中に周波数を変更しなかったことが仮定される。
【0225】
そして、計算された平均送信電力(P
PT)と報告された受信電力(P
PR)との間の差異(P
Diff)が、
P
Diff = P
PT - P
PR
のように決定される。ここで、
P
PTは、P
inavg - P
lossavgとして決定され、
P
inavgは、一次コイルへの平均入力であり、
P
lossavgは、送信機コイルにおける平均電力損失であり、
P
lossavgは、R・I
coilavg2として決定され、
ここで、I
coilavgは、平均送信機コイル電流である。
【0226】
値P
Diffは、したがって、伝送電力と電力受信機105から提供される受信電力との間の差異を表す。それは、この場合には、予想される関係は、P
PT - P
PRはゼロであるべきである、すなわち、上記の計算されるP
PTは、報告される受信電力P
PRに等しいべきであるので、送信された電力と受信された電力との間の実際の関係の予想された関係からのずれも表す。
【0227】
値P
Diffは、したがって、予想された関係において説明されていない寄生電力損失の指標として、直接用いられることができる。したがって、PDiffは、異物が存在するかどうかを推定するために、検出器209によって直接用いられることができる。
【0228】
さらに、電力送信機101は、予想される関係を適応させ始めることができる。特には、予想される関係は、(とりわけ)等価抵抗の周波数から独立した成分のパラメータによって表される。
【0229】
電力送信機は、上記の説明に従って送信された電力を再計算した後に、送信された電力と受信された電力との間の差異がゼロに近い値へシフトするように、このパラメータを適応させることができ、等価抵抗の新たな周波数から独立した成分(Rbnew)を計算することができる。
【0230】
多くの場合、ずれに対するバイアスを有することが望ましく、したがって、送信された電力と受信された電力との間の差異は、2つの値、P
DiffMin及びP
DiffMaxの間の中間の値の方へシフトされることができる。
【0231】
これらの範囲は、例えば、
P
DiffMin =-300mW
P
DiffMax = 50mW
である。
【0232】
電力送信機は、結果としてP
Diff=-125mWにより近い計算になるように、しかるべくパラメータR
bnewを適応させる。
【0233】
例えば、電力送信機は、以下のように等価抵抗の新たな周波数から独立した成分(R
bnew)を導き出すことができる。
P
PTnew = P
PTold + 適応係数・ (P
PR - 125mW - P
PTold)
ここで、
P
PTnewは、新たに推定された送信された電力であり、
P
PToldは、以前の推定された送信された電力であり、
適応係数は、適応の速度を制御するスカラー値である。
【0234】
さらに、
P
PTnew = P
inavg - P
lossnew
であり、ここで
P
lossnew = R
new - I
coilavg2
であり、
R
new = R
bnew + R
f
である。
【0235】
これは、以下の式によるパラメータR
bnewの適応をもたらす。
R
bnew= (P
inavg - (P
PTold + 適応係数・(P
PR - 125mW - P
PTold))) / I
coilavg2 - R
f
【0236】
前の記述は、電力送信機101における機能の実施態様に焦点を合わせた。しかしながら、いうまでもなく、いくつかの実施の形態において、寄生電力消費の検出は、電力受信機105において実行されることができる。例えば、電力受信機105は、それぞれの電力送信機のための較正値を記憶するメモリを有することができる。電力受信機105が較正データを有する電力送信機101によって実行される電力伝送構成が検出される場合、それは、比較的高くてよい電力レベルを要求し始めることができる。しかしながら、いかなる較正データもメモリ中に含まれない場合、電力受信機105は、例えば潜在的な異物に関して安全な動作を可能にする電力レベルに電力要求を制限し始める。
【0237】
例えば、電力受信機105は、2つの異なる負荷に電力を供給することができるか、または、2つの異なるモードで動作することが可能である。例えばそれは、低速充電モードで動作することができ、それによって、バッテリへの充電電流を例えば1Aまでに制限し、あるいは、それは、高速充電モードで動作することができ、それによって、例えば2A以上のバッテリへの充電電流を可能にする。他の例として、それは、装置のためのバッテリを充電する充電モードで、または、バッテリから電流を引き出さずに動作するために装置に十分な動力を提供する完全動作モードで、動作することが可能である。電力受信機105は、電力送信機101がメモリ中に記憶される較正の対に対応することを検出する場合、両方の負荷のための十分な電力を要求するか、または両方の動作モードをサポートし始めることができる。しかしながら、電力送信機101のための較正データがない場合、それは、単に、1つの負荷のためのまたはより少ない電力を必要としているモードのための十分な電力を要求し始めることができる。例えば、それは、バッテリの低速充電のみを可能にすることができ、高速充電または装置の完全動作を可能にすることはできない。
【0238】
さらに、いくつかの実施の形態では、送信電力指標と受信電力指標との間の現在の関係が予想された関係に一致するかどうかの検出が、電力受信機105において実行されることができる。特には、電力送信機101は、電力受信機105に現在の計算された伝送電力を伝えることができ、電力受信機105は、決定された受信電力指標及び較正データに基づいて、現在の計算された伝送電力が予想される伝送電力に対応するかどうかについて決定し始めることができる。先の記述の大部分の原理及びアプローチが電力受信機105において等しく用いられることができることはいうまでもない。
【0239】
明確性のための前記説明が異なる機能回路、ユニット及びプロセッサを参照して本発明の実施の形態を記載したことはいうまでもない。しかしながら、異なる機能回路、ユニットまたはプロセッサ間での機能の任意の適切な分配が、本発明を損なわずに用いられることができることは明らかである。例えば、別々のプロセッサ又はコントローラによって実行されると説明された機能は、同じプロセッサ又はコントローラによって実行されることができる。したがって、特定の機能ユニットまたは回路に対する参照は、単に説明される機能を提供するための適切な手段に対する参照として見なされるべきであり、厳密な論理的又は物理的構造又は機構を示すわけではない。
【0240】
本発明は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたは任意のこれらの組み合わせを含む任意の適切な形態で実施されることができる。本発明は、オプションとして、一つ以上のデータプロセッサおよび/またはデジタルシグナルプロセッサ上で動作しているコンピュータソフトウェアとして、少なくとも部分的に、実施されることができる。本発明の実施の形態の素子及びコンポーネントは、任意の適切な態様で、物理的に、機能的に及び論理的に実施されることができる。実際、機能は、1つのユニットとして、複数のユニットとして、又は、他の機能ユニットの一部として、実施されることができる。このように、本発明は、単一のユニットにおいて実施されることができ、または異なるユニット、回路及びプロセッサ間で物理的に及び機能的に分配されることができる。
【0241】
本発明がいくつかの実施の形態に関して説明されたが、それは、本願明細書において述べられる特定の形態に限定されることを意図しない。むしろ、本発明の範囲は、添付の請求の範囲によってのみ制限される。さらに、ある特徴が特定の実施の形態に関連して記述されるように見えるかもしれないが、当業者は、記述された実施の形態のさまざまな特徴は、本発明に従って組み合わせられることができることを認識する。請求の範囲において、「有する」「含む」などの用語は、他の要素又はステップの存在を除外しない。
【0242】
さらに、個別に挙げられた複数の手段、要素、回路又は方法ステップは、例えば1つの回路、ユニット又はプロセッサによって実施されることができる。さらに、個々の特徴が異なる請求項中に含まれる場合があるが、これらはおそらく都合よく組み合わせられることができ、異なる請求項中に包まれることは、特徴の組み合わせが可能でなく及び/又は有利ではないことを意味しない。さらに、ある特徴が請求項の1つのカテゴリに含まれることは、このカテゴリに限定されることを意味せず、その特徴が、適切に他の請求項カテゴリに同様に適用可能であることを示す。さらに、請求項中の特徴の順序は、何らかの特定の順序が動作する必要があることを意味せず、特に、方法の請求項中の個々のステップの順序は、ステップがこの順序で実行される必要があることを意味しない。むしろ、ステップは、任意の適切な順序で実行されることができる。更に、単数の参照は複数を除外しない。"a", "an", "第1", "第2" などへの言及は複数を除外しない。請求項中の参照符号は、単に明確な例として提供されており、いかなる態様によっても、請求の範囲を制限するものとして解釈されてはならない。