特許第6860615号(P6860615)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6860615医薬品を調合するためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6860615
(24)【登録日】2021年3月30日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】医薬品を調合するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20210405BHJP
【FI】
   A61J3/00 310K
【請求項の数】7
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-109785(P2019-109785)
(22)【出願日】2019年6月12日
(62)【分割の表示】特願2017-513191(P2017-513191)の分割
【原出願日】2015年9月8日
(65)【公開番号】特開2019-166404(P2019-166404A)
(43)【公開日】2019年10月3日
【審査請求日】2019年7月9日
(31)【優先権主張番号】62/047,325
(32)【優先日】2014年9月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/072,160
(32)【優先日】2014年10月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/072,054
(32)【優先日】2014年10月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/078,067
(32)【優先日】2014年11月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/077,968
(32)【優先日】2014年11月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン サンドマン
(72)【発明者】
【氏名】マット トーマス
(72)【発明者】
【氏名】クリス マレー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ハンケ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート ヘレナー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート タネン
(72)【発明者】
【氏名】マシュー チュルポー
(72)【発明者】
【氏名】エリック カート ウィット
【審査官】 段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/065872(WO,A1)
【文献】 特開2013−144101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品の調合を点検するためのシステムであって、
前記医薬品の調合に関する情報を受信するように形成されたプロセッサであって、この情報が前記医薬品の調合ステップの少なくとも1つの画像と、前記医薬品を調合する際に秤量器によって与えられる重量測定情報とを具えているプロセッサと、
このプロセッサに対して操作可能に結合され、当該プロセッサからの指令に基づき、点検ウインドウを表示するように構成されたユーザーインタフェースと
を具え、前記点検ウインドウは、前記医薬品の調合ステップの少なくとも1つでの選択された画像と前記医薬品の濃度が重量測定情報を基準に許容公差の範囲内にあるか否かを示す指示とを表示する第1の部分および、それぞれの前記医薬品の調合ステップの1または複数のサムネイル画像を表示する第2の部分を含むことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記サムネイル画像のそれぞれに描かれた前記医薬品の調合ステップに関する前記医薬品の濃度が前記許容公差の範囲内にあるか否かを確認するため、図形による表示が前記サムネイル画像のそれぞれに重ね合わされることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ユーザーインタフェースは、表示される前記医薬品の調合の少なくとも1つのステップの少なくとも1つの画像に対応した前記医薬品の調合に関する指令を表示する領域を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ユーザーインタフェースはアイコンを含み、当該アイコンがユーザにより選択されたときに、前記ユーザに前記医薬品が正確に調合されたことを示すことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ユーザーインタフェースはアイコンを含み、当該アイコンがユーザにより選択されたときに、前記ユーザに前記医薬品が正確に調合されなかったことを示すアイコンを含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ユーザーインタフェースは、前記医薬品の濃度が公差要求を満たすために何回調合ステップの繰り返しを必要としたかに関する情報を表示する領域を有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ユーザーインタフェースは、1以上の調合ステップを完了するのにどのくらいの時間を必要としたかに関する情報を表示する領域を有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願に対する相互参照〕
この出願は、2014年9月8日に提出された「最小ユーザー入力での視覚的文書自動化機能」という名称の米国特許仮出願第62/047325号と、2014年10月29日に提出された「医薬品を調合するシステムのための薬剤師点検拡張モジュール」という名称の米国特許仮出願第62/072160号と、2014年10月29日に提出された「薬剤調合システムの入力機器のための空気力学的流線形筺体」という名称の米国特許仮出願第62/072054号と、2014年11月11日に提出された「薬剤調合システムの入力機器のための空気力学的流線形筺体」という名称の米国特許仮出願第62/078067号と、2014年11月11日に提出された「医薬品調合のための拡張プラテン」という名称の米国特許仮出願第62/077968号とに対する優先権を請求する。そのそれぞれの開示全体は参照することによって、ここに組み入れられる。
【0002】
本開示は、化学療法剤の如き処方された流動性医薬品を調合して投与するためのシステムおよび方法、より詳細には、正確性のために後で確認され、コンピューター支援の指令に基づいて調合され、測定した重量に基づいて確認され、ほぼ自動的に視覚的文書を与えられ、そして患者に投与される患者のための処方箋に記入することを医者が可能にするシステムおよび方法に概ね向けられる。
【背景技術】
【0003】
薬剤の調合および分配を伴う多くの技術的職務は、薬局の技術者または認可された看護師により薬局にて行うことができる。非薬剤師がこのような職務を行う場合、薬剤師が彼らの仕事を概ね確認しなければならない。非調剤技師による医薬品の調合の様々なステップの画像を取得して薬剤師がこの調合を後で点検することを可能にする様々なシステムが開発されている。このようなシステムは、薬剤調合ステップの画像を取り込むため、いくつかの種類の能動的ステップを行うことを一般的に技術者に要求する。例えば、画像の取り込みを引き起こさせるため、ユーザーはタッチスクリーンまたは足踏みペダルを使用しなければならない可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなシステムは、適切な画像を取り込むために非調剤技師による能動的ステップを必要とするので、錯誤を起こす可能性があり、監督する薬剤師が処方箋を適切に確認することを妨げる。加えて、このような従来技術のシステムは、処方箋を確認するための如何なる他の手段を含まず、確認のために処方の調合中に得られた画像に対してのみ全面的に頼っている。
【0005】
加えて、システムはまた、適切な薬剤濃度を確かめるため、手順によってチェックされる重量測定情報を利用することも開発されている。しかしながら、薬剤が適切に混合されていることを確実にするため、画像確認システムおよび重量測定確認システムからの情報を組み合わせたシステムが現在のところない。
【0006】
従って、特定の薬剤調合の条件が満たされた場合に画像を取り込むステップを引き起こし、如何なる追加のユーザー入力なしで次の薬剤調合ステップへと移行するシステムに関する要求が存在する。さらなる要求は、明確かつ容易に読み取り可能な方法にて点検する薬剤師に対して薬剤調合ステップ中に得られる画像情報および重量測定値の両方を表示し、この薬剤師が特定の薬剤調合を迅速に承認または拒絶することができるようにしたシステムに関して存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態によると、提供されるものは、医薬品を調合するためのシステムである。このシステムは、医薬品を調合するための指令を作業者に与えるユーザーインタフェースおよびこのユーザーインタフェースに操作可能に結合される少なくとも1つのプロセッサを具えた演算機器と、前記少なくとも1つのプロセッサに操作可能に結合される秤量器と、前記少なくとも1つのプロセッサと前記秤量器とに操作可能に結合されて前記医薬品を調合中に用いられる要素および前記医薬品の少なくとも一方の画像を取り込むように配された画像取込装置とを具えている。一実施形態において、前記秤量器は、前記少なくとも1つの要素をそこに置いた場合、検出される重量がそれによって変化することを示す信号を前記少なくとも1つのプロセッサに伝達する。前記少なくとも1つのプロセッサは、前記信号に基づいて前記少なくとも1つの要素の画像を取り込むことを前記画像取込装置に引き起こさせることができる。代わりに、前記秤量器は、前記医薬品を調合中に用いられる少なくとも1つの要素の正確な量が前記少なくとも1つの要素の重量に基づいて作業者により抜き取られたことを確認する信号を少なくとも1つのプロセッサに伝達するように構成することができ、前記少なくとも1つのプロセッサが前記少なくとも1つの要素の正確な量を確認した場合、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記少なくとも1つの要素の画像を取り込むことを画像取込装置に引き起こさせる。
【0008】
前記画像取込装置は、前記秤量器にある少なくとも1つの要素の重量が安定している場合、前記少なくとも1つの要素の画像を取り込むことを引き起されることができる。前記秤量器からの前記少なくとも1つの要素の撤去は、前記少なくとも1つのプロセッサが前記画像をこの画像に関連するデータレコードと共に受信すると共に前記医薬品を調合するための指令の次のステップへと作業者が移行することを可能にするために前記ユーザーインタフェースに指令を与えることができる。前記データレコードおよび画像が確認のために薬剤師に与えられることができる。前記画像が作業者によって受け入れ難いとみなされる場合、前記ユーザーインタフェースは、画像を再取得する機能を前記作業者に与えるように構成されることができる。
【0009】
前記秤量器の上面が前記画像取込装置により作り出される画像の中央の作業者に対する視覚的指示を与えることができる。この視覚的指示は、前記秤量器の上面に形成された交差凹部であってよい。スキャナーを前記ユーザーインタフェースに対して操作可能に接続することができる。このスキャナーは、前記少なくとも1つの要素に与えられたバーコードを走査すると共に前記少なくとも1つのプロセッサに前記少なくとも1つの要素に関する情報を与えるように構成されることができる。
【0010】
本発明の他の形態によると、提供されるものは、医薬品を調合するためのシステムである。このシステムは、医薬品を調合するための指令を作業者に与えるユーザーインタフェースおよびこのユーザーインタフェースに対して操作可能に結合される少なくとも1つのプロセッサを具えた演算機器と、前記少なくとも1つのプロセッサに対して操作可能に結合される秤量器と、前記医薬品の調合中に前記秤量器に置かれた物品の画像を取り込むように置かれた視界を有する画像取込装置を具えた筺体とを具えている。この画像取込装置は、前記少なくとも1つのプロセッサに対して操作可能に結合されている。前記秤量器は、前記少なくとも1つの要素の重量に基づいて前記医薬品の少なくとも1つの要素の正確な量を確認するために前記少なくとも1つのプロセッサに信号に伝達する。前記画像取込装置は、前記少なくとも1つのプロセッサが前記少なくとも1つの要素の正確な量を確認した場合、前記秤量器に置かれた物品の画像を取り込む。
【0011】
前記筺体は、秤量器の上方に配されることができ、またバーコードスキャナーをさらに具えることができる。このバーコードスキャナーは、前記秤量器に対してオフセットされたセンサーを含むことができる。前記筺体は、フローフード内での流動妨害を最小にするために流線形の形状を有することができる。
【0012】
本開示のシステムの他の目的は、薬剤師が特定の薬剤調合を迅速に承認するか、または拒否することができるように、このシステムが薬剤調合ステップ中に取得される画像情報および重量測定の両方を明確かつ容易に読み取り可能な方法にて薬剤師に対し表示し、処方された流動性医薬品を調合する技術者によって行われるステップを薬剤師が正確に確認することを可能にすることである。2つの異なる種類の情報(すなわち、画像および重量測定情報)を重畳することは、この複合措置と、調合の品質およびこの調合を行う技術者のより良好な判断に対する機会とに関し、貴重な洞察を薬剤師に与える。
【0013】
このようなシステムは、段階的な指令をコンピュータースクリーンに与えると共に秤量器を用いて混合された液体の重量を測定することにより異なる混合ステップを確認することで、この異なる混合ステップを介した薬剤処理指示を薬局にて処理するように薬剤師または技術者を誘導する。そして測定された重量は、必要な混合精度が達成されているか否かを調べる数学的手法にて分析される。物品が秤量器に置かれる度に、この秤量器の上の画像が混合処理の視覚的文書証跡を作成するために取り込まれる。画像は、秤量器からの記録された測定値および結果としてログファイルとなる手順と共に記憶される。測定された薬剤の重量が予想される重量のあらかじめ設定された公差範囲にない場合、ソフトウェアは、これを許容公差範囲内にもたらすために薬剤の量を変更するための指令を作成する。このソフトウェアは、現在のステップにて必要とされる公差が達成されない限り、次の混合ステップへと移行しない。
【0014】
特に、このシステムは薬剤師が特定の調合薬剤の画像を点検し、患者に公表するための調合を承認するか、または承認しないかの何れかをできる薬剤師点検モジュールを含む。取り込まれた画像は、対応する混合指令および薬剤の濃度が数学的手法によって設定されたような許容公差範囲内または外にあるかどうかの表示と共に示される。従って、薬剤師点検モジュールは、秤量器を用いて収集され、あらかじめ規定された承認基準に準拠するための数学的手法により確認される計量測定値と重ね合わされる視覚的情報(すなわち、それぞれの調合ステップの画像)をもたらす。
【0015】
より詳細には、提供されるものは医薬品の確認調合を点検するためのシステムである。このシステムは、前記医薬品の調合に関する情報を受信するように構成されたプロセッサを具えている。前記情報は、少なくとも1つの前記医薬品の調合ステップの少なくとも1つの画像と、前記少なくとも1つの医薬品の調合ステップ中に秤量器によって与えられる重量測定情報とを具えている。このシステムはまた、前記プロセッサに対して操作可能に結合され、前記プロセッサから指令に基づき、 前記少なくとも1つの医薬品の調合ステップの前記少なくとも1つの画像と、前記重量測定情報に基づいて医薬品の濃度が許容公差の範囲内にあるか否かの指示とを表示するように構成されたユーザーインタフェースとを含む。
【0016】
前記少なくとも1つの医薬品の調合ステップの前記少なくとも1つの画像は、それぞれの前記医薬品の調合ステップの画像を含み、前記ユーザーインタフェースは、それぞれのステップのサムネイル画像を表示する領域を含むことができる。前記サムネイル画像のそれぞれに描かれた前記医薬品の調合ステップに関する前記医薬品の濃度が前記許容公差の範囲内にあるか否かを確認するため、図形による指示が前記サムネイル画像のそれぞれに重ね合わされることができる。前記ユーザーインタフェースはまた、表示される前記医薬品の調合の少なくとも1つのステップの少なくとも1つの画像に対応した前記医薬品の調合に関する指令を表示する領域を含むことができる。
【0017】
本発明のこれらおよび他の特徴および特性は、関連する要素の機能および操作方法や、製造部品および経済性の組み合わせのみならず、類似する参照符号が種々の図面にて対応する要素を示し、そのすべてがこの明細書の一部を形成する添付した図面を参照しつつ次の説明および添付した特許請求の範囲の検討によって、より明白となろう。しかしながら、図面は単なる例示および説明の目的のためだけにあって、本発明の範囲を規定するように意図していないことを特に理解すべきである。明細書および特許請求の範囲で用いたように、"a"、"an"および"the"の単数形は、文脈が明確に規定しない限り、複数の指示対象を含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示による処方された流動性医薬品を調合して投与するための順次処理コンピューター実行モジュールのフローチャートである。
図2】本開示の一実施形態によるフローフード内の秤量器のおよび筺体ハウジングの立体投影図である。
図3】本開示の一実施形態による図2の秤量器および筺体ハウジングの立体投影図である。
図4】医薬品が本開示の一実施形態により調合される方法を記述したフローチャートである。
図5A】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図5B】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図5C】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図5D】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図6A】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図6B】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図6C】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図6D】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図7A】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図7B】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図8A】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図8B】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図8C】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図8D】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図9A】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図9B】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図9C】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図9D】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図10A】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図10B】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図10C】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図11A】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図11B】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図11C】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図11D】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図12A】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図12B】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図12C】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図13A】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図13B】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図13C】医薬品の調合中に与えられる図3のシステムのユーザーインタフェースにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図14A】医薬品が本開示の他の実施形態により調合される方法を記述したフローチャートである。
図14B】医薬品が本開示の他の実施形態により調合される方法を記述した図14Aから続くフローチャートである。
図15】本開示の一実施形態による薬局最終確認モジュールの概念図である。
図16】本開示による医薬品の調合を薬剤師が点検することを可能にする薬局最終確認モジュールにもたらされる代表的なスクリーンショットである。
図17】本開示による薬局最終確認モジュールにもたらされる他の代表的なスクリーンショットである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、説明の目的のため、「上」,「下」,「右」,「左」,「垂直」,「水平」,「先端」,「基端」,「横方向」,「長手方向」という用語およびこれらの派生語は、これが図面で方向付けられるように本発明と関連付けるべきである。しかしながら、特に明記される場合を除き、それと反対に本発明は種々の選択し得る変更を採用することができることを理解すべきである。添付図面に例示されると共に以下の明細書に記述した特定の機器もまた、本発明の単なる典型的な実施形態であることを理解すべきである。それ故、ここに開示された実施形態に関連付けた特定の寸法形状および他の物理的特性が限定するものとして考慮されるべきではない。
【0020】
図1を参照すると、本開示のシステムは、化学療法剤の如き処方された流動性医薬品を調合して投与するためのいくつかの順次処理コンピューター実行モジュールを使用している。これらのモジュールは、ユーザーからの入力と、出力を生成することと、医薬品の調合および投与のための指令を計算して決定することとを可能にするコードをそれぞれ含み、1つ以上の適当な演算機器の1つ以上のプロセッサ101にて実行することができる。より詳細には、このシステムは医者が患者のための処方箋に記入することを可能にし、これは、コンピューター支援指令に基づいて間違いなく調合され、測定された重量に基づいて間違いなく確認され、そして患者に間違いなく投与されるように、その後、確認される。このようなシステムは、以下に詳細に記述した特定のモジュールを含む。これらのモジュールは、(A)コンピューター化医者オーダーエントリー(CPOE)モジュール100と、(B)薬剤師確認モジュール200と、(C)薬局調合モジュール300と、(D)薬局最終確認モジュール400と、(E)臨床(例えば投与)モジュール500とを含む。これらのモジュールは、単一の演算機器に設けられたシングルプロセッサまたはマルチプロセッサにてそれぞれ実行されることができるか、あるいはそれ自身がプロセッサを有する独立した演算機器にてそれぞれ実行されることができ、データと指令とが、限定されないけれどもイーサネット(登録商標)か、Wi-Fiか、セルラーか、Bluetooth(登録商標)などの如き、何らかの適当な有線または無線通信プロトコルを用いて演算機器の間で通信される。
【0021】
A.CPOEモジュール
CPOEモジュール100は、医者が患者のための処方治療薬の種類を入力することができ、これは特定の患者と関連付けられる処方された医薬品を含んでいる。特に、医者は、患者のための処方箋情報をコンピューターへと入力し、このデータが病院内ネットワークのすみずみにまで伝達され、検索のために記憶され、ここに記述された次のモジュールにて用いられる。処方箋情報は、1つ以上の調合薬と、これら調合薬のための対応する投与量/数量を含むことができる。このCPOEモジュール100は随意的な要素であり、システム全体が実行される何らかの場合で用いられない可能性がある。
【0022】
B.薬剤師確認モジュール
このシステムの薬剤師確認モジュール200は、CPOEモジュール100か、このCPOEモジュール100が利用されない場合に他のいくつかの供給源から医者により入力された処方指令データを薬剤師が見ることを可能にし、特定の患者のために処方治療薬を手作業で確認する。上述したように、この薬剤師確認モジュール200をCPOEモジュール100と同じ演算機器にて実行することができる。代わりに、CPOEモジュール100を実行する演算機器からリモートな演算機器にて薬剤師確認モジュール200を実行することができる。
【0023】
C.薬局調合モジュール
図2および図3を参照すると、薬局調合モジュール300は、薬局調合システム1の如きソフトウェアと、関連するハードウェアとを含み、化学療法剤の如き処方される流動性医薬品を調合するステップによって薬剤師または非調剤技師を誘導する。この薬局調合システム1は、注射器または静脈(IV)バッグに1つ以上の処方された医薬品を調合する薬剤師または非調剤技師を支援する。この薬局調合システム1は、ディスプレイ5とキーボードやマウスの如きユーザー入力機器7とを有するユーザーインタフェース3を含む演算機器4に対して操作可能に結合される。必要に応じ、表示される指示をラミナーフローフード25の背面の壁に投影するため、ユーザーインタフェース3のディスプレイ5を薬局調合システム1の一部に設けられた小さなLEDプロジェクターとして使用し、それによって図2に示すようなディスプレイ5のためのモニターの必要性を排除することができる。秤量器出力インタフェース11を有する秤量器9をユーザーインタフェース3に対して操作可能に結合することができる。秤量器9は、物品がそこに置かれた場合、質量、すなわち重量の変化を検出するための何らかの適当な器具として用いられることができる。従って、物品の質量または重量があらかじめ設定された閾値か、あるいはそこに置かれた物品の重量の正確な読み取り値を与える高精度秤量器よりも大きいまたは小さい場合に信号を送る器具として、秤量器9を単に構成することができる。
【0024】
一実施形態において、バーコードスキャナー13をユーザーインタフェース3および秤量器9の少なくとも一方に対して操作可能に結合することができ、このバーコードスキャナー13は、秤量器9の一部に配されてバーコードを有する薬剤処理バイアルを走査することができるようになっている。他の実施形態において、画像取込装置15をユーザーインタフェース3および秤量器9の少なくとも一方に対して操作可能に結合することができ、この画像取込装置15は、秤量器9の一部に置かれる薬剤処理バイアルやIVバッグまたは注射器の如き物品の画像を取得することができるようになっている。一実施形態において、この画像取込装置15は、薬剤混合工程の操作および/または次の点検のため、この薬剤混合工程を通して秤量器9の一部に置かれる物品の複数の静止画像または動画を取り込むことができる。
【0025】
また他の実施形態において、バーコードスキャナー13および画像取込装置15の少なくとも一方を少なくとも部分的に筺体ハウジング17内に収容することができる。ある特定の構成において、ハウジング17はバーコードスキャナー13および画像取込装置15を完全に収容することができる。必要に応じて、ハウジング17はバーコードスキャナー13および画像取込装置15の一方のみを含むことができる。
【0026】
ハウジング17は、支持アーム19によって支持されるかの如く、秤量器9の一部の上方に配されることができる。図2示すように、薬局調合システム1をラミナーフローフード25内に配することができ、このラミナーフローフード25は、その内側29内に空気の層流を作り出すための流入空気供給源23と流出空気ポート27とを有する。ハウジング17の外面21は、ラミナーフローフード25内の空気流の擾乱を低減するように最適化された流線形状および/または外形を有することができる。
【0027】
図3に示すようなこの空気力学的流線形のハウジング17は、層流の空気流中に器具を有することによって作り出される空気流の擾乱を最小にするようにデザインされている。この構成は、この器具が秤量器の上流近傍に配されることを可能にし、許容重量測定精度(すなわち+/−0.05g)と、目標とする薬剤調合を確認するための安定化時間(すなわち2秒を越える追加時間がない)とをさらに有している。
【0028】
より小さくおよび/またはより流線形のハウジング17は、流動のより小さな擾乱と、従って精度および安定度の要求に関してより高く合致する可能性とを結果として生ずる。この流線形のハウジング17は、流動の擾乱および抵抗を最小にする形状を有し、目標とする薬剤調合のために必要とされる安定かつ正確な重量測定の読み取りを可能にする。加えて、ハウジング17は、必要とされる重量測定の秤量器の精度および安定度と、秤量器9に対して上流側空気流の近傍に入力器具(すなわち画像取込装置15およびバーコードスキャナー13)を配することとを可能にする。秤量器9内にこれらの物品が配される近傍は、多くの理由のため、一般的に理想的な領域である。流線形のハウジング17に対する第2の長所は、薬剤処理の滅菌調合のための清浄な作業環境を提供すると共に維持することである。使用中におけるフローフードでの空気流の目的は、衛生上の理由のために清浄な領域を作り出すことである。物品の近傍または上流側空気流によって作り出される乱流領域は、薬剤調合中に潜在的汚染危険を結果として生ずる可能性がある。結果として、入力器具のために空気力学的形状のハウジングを有することは、層流空気流の擾乱の量を最小にすると共に何らかの種類の汚染の可能性を減少させる。
【0029】
続けて図3を参照すると、秤量器9は、この秤量器9の秤量面の一部のように、プラテン31を含むことができ、これは画像取込装置15により取り込まれる画像の中央の交差凹部35の如き視覚的情報を技術者に与えることができる。これは、薬剤混合に関連する薬剤処理37と共に秤量器9のプラテン31の上方に配されたハウジング17内に収容される画像取込装置の如き画像取込装置15の視界内に技術者が関連する供給物を適切に配置することを可能にする。プラテン31の上面41は、薬剤混合に関連する薬剤処理37と共にこのプラテン31の上面41での関連する供給物を摩擦により制止するため、プラテン31の表面から延在する複数の凹溝39および/または突起を画成することができる。他の構成において、プラテン31の上面41は、薬剤混合に関連する薬剤処理37と共にプラテン31の上面41に関連する供給物を同様に制止するため、粘着剤または他の摩擦増大面を含むことができる。溝39および/または突起の構成は、画像取込装置15の視界の中央と一致するように構成されたプラテン31の中央をユーザーに対して容易に示すことができる。
【0030】
薬剤混合処理中にプラテン31の上面41に偶然こぼれる何らかの液体材料を引き止めるため、プラテン31の表面から延在する複数の凹溝39および/または突起を構成することができる。複数の凹溝39は、適切な撤去手段を用いることができるまで、プラテン31内の限られた領域にて偶然こぼれる材料を集めて引き止めるのに役立つ収容窪み47を画成することができる。漂白剤やイソプロピルアルコールなどの洗浄剤と同様に、化学療法剤および薬剤の如き腐食剤にさらすことによって引き起こされる劣化を阻止する耐久性のある組成物でプラテン31の表面をコーティングすることができる。特定の構成において、耐久性のある組成物がエポキシか、エポキシベースの塗料か、またはコーティングであってよい。
【0031】
図4図14Aおよび図14Bを参照すると、薬剤師/技術者は、作業中に図5A図5D図6A図6D図7A図7B図8A図8D図9A図9D図10A図10C図11A図11D図12A図12Cおよび図13A図13Cの1つ以上に示すようなユーザーインタフェース3のディスプレイ5に与えられる一連の表示画面を介して医薬品を調合するための以下のステップを実行することを促される。図4は有効成分が還元される調合の第1段階のフローチャートを提供する。最初に、作業者は、図5Cに示すように、処方される医薬品を調合するために還元すべき薬剤を含む薬剤処理コンテナーの第1のバーコードをバーコードスキャナー13で走査する(ブロック301)。そして薬剤処理コンテナーが秤量器9に置かれる(ブロック302)。図6Aに示すように、このステップの図がユーザーインタフェース3のディスプレイ5に表示される。重量が安定したならば、このシステムは、測定された重量が目標重量プラス/マイナスあらかじめ設定した公差を満たしていることを確認する。加えて、画像取込装置15は、図6Bに示すように薬剤処理コンテナーの画像を取得し、これをユーザーに対してユーザーインタフェース3のディスプレイ5に表示する(ブロック304)。そしてユーザーは薬剤処理コンテナーを撤去し、この画像が薬剤調合のデータレコードに保存される(ブロック306)。
【0032】
次に、技術者は、図6Cに示すように、還元される薬剤に対して混合されるべき流体の流体コンテナーの第2のバーコードを走査する(ブロック308)。そして流体コンテナーが秤量器9に置かれ(ブロック310)、重量が安定したならば、画像取込装置15が図6Dに示すように流体コンテナーの画像を取得してこれをユーザーに対しユーザーインタフェース3のディスプレイ5に表示する(ブロック312)。そしてユーザーは流体コンテナーを撤去し、その画像が薬剤調合のデータレコードに保存される(ブロック314)。
【0033】
その後、図7Aに示すように、ユーザーが流体コンテナーからの流体を薬剤処理コンテナーへと注入することにより、還元されるべき薬剤を流体コンテナー内の流体と混合させる(ブロック316)。そして図7Bに示すように薬剤処理コンテナーが秤量器9に戻され、薬剤処理コンテナーの重量が確認される(ブロック318)。重量が安定して確認されたならば(ブロック320)、画像取込装置15は秤量器から受信した信号に基づいて薬剤処理コンテナーの画像を自動的に取得し、この画像をユーザーインタフェース3のディスプレイ5に表示する(ブロック322)。この画像が所定の要求を満たしていないと技術者が判断した場合、新規または追加の画像を要求するための選択肢がある(ブロック324)。他の画像を要求することは、画像取込装置15をユーザーインタフェース3に表示される「ライブビデオモード」へと自動的に切り替えよう(ブロック326)。ここで技術者は、秤量器9の好ましい位置へと薬剤処理コンテナーを動かし、ユーザーインタフェース3を介して画像の取り込みを引き起こさせることができる(ブロック328)。秤量器9から物品を取り去ることによって、前述したのと同様に取り込まれた画像がユーザーインタフェース3にて示され、技術者が画像を受け入れてシステムは次の混合ステップへと自動的に移動しよう(ブロック330)。
【0034】
薬剤調合が完了すると、このシステムは還元された薬剤調合に装着するためのバーコードラベルを印刷する。
【0035】
図14Aおよび図14Bを参照すると、薬局調合モジュール300を用いた医薬品の調合の第2段階が記述されよう。最初に、作業者は図8Aに示すように還元された薬剤調合のバーコードをバーコードスキャナー13で走査する(ブロック332)。そして図8Cに示すように、還元された薬剤調合が秤量器9に置かれ(ブロック334)、空の注射器が秤量器9に追加される(ブロック336)。重量が安定した時点で、システムは測定された重量が重量目標値プラス/マイナスあらかじめ設定された公差を満たしていることを確認する。加えて、画像取込装置15は図8Dに示すように薬剤処理コンテナーの画像を取得し、これをユーザーに対してユーザーインタフェース3のディスプレイ5に表示する(ブロック338)。そしてユーザーは還元された薬剤調合および空の注射器を撤去し、この画像が薬剤調合のデータレコードに保存される(ブロック340)。
【0036】
次に、技術者は、図9Aに示すように注射器を用いて還元された薬剤調合からあらかじめ設定された量を抜き取るように指示され(ブロック342)、そして秤量器9に注射器を戻す(ブロック344)。そして図9Bに示すように重量が確認される(ブロック346)と共に画像が取り込まれる(ブロック348)。図14Aおよび14Bのフローチャートに示すように重量が少なすぎると判断した場合、技術者は注射器を撤去する(ブロック350および図9C)と共に還元された薬剤調合の追加の量を抜き取るように指示される(ブロック352および図9D)。
【0037】
還元された薬剤調合の追加の量が注射器に抜き取られると、図10Aに示すように注射器は秤量器9に戻される(ブロック354)。そして重量が確認される(ブロック356)と共に図10Bに示すように画像が取り込まれる(ブロック358)。そして、注射器が秤量器(ブロック360)から撤去される。
【0038】
そして技術者は、IVバッグの如き食塩水をそこに有する流体コンテナーのバーコードを走査する(ブロック362)。そして流体コンテナーが秤量器9に置かれ(ブロック364)、その重量が安定すると、画像取込装置15が流体コンテナーの画像を取得し、これをユーザーに対してユーザーインタフェース3のディスプレイ5に表示する(ブロック366)。この画像が所定の要求を満たしていないと技術者が判断した場合、新規または追加の画像を要求するための選択肢がある(ブロック368)。別の画像を要求することは、ユーザーインタフェース3に表示される「ライブビデオモード」へと自動的にカメラを切り替えよう(ブロック370)。ここで技術者は秤量器9にある薬剤処理コンテナーを好ましい位置へと動かし、ユーザーインタフェース3を介して画像の取り込みを引き起こさせることができる(ブロック372)。秤量器9から物品を取り去ることによって、前述したのと同様に取り込まれた画像がユーザーインタフェース3に示され、技術者は画像を受け入れ(ブロック374)、システムは先行するために薬剤師からの認証を自動的に待ち受けよう(ブロック376)。図11A図11Cのスクリーンショットは、この処置を例示している。
【0039】
薬剤師の認証が与えられると(ブロック378)、図12Aに示すようにユーザーは注射器の内容物を流体コンテナーへと注入する(ブロック380)。そして薬剤処理コンテナーが秤量器9に戻され、この薬剤処理コンテナーの重量が確認される(ブロック382)。重量が安定して図12Bに示すように確認され(ブロック384)、図12Cに示すように画像取込装置15は秤量器から受信した信号に基づいて薬剤処理コンテナーの画像を自動的に取得し、この画像をユーザーインタフェース3のディスプレイ5に表示する(ブロック386)。秤量器9から物品を取り去ることによって、前述したのと同様に取り込まれた画像がユーザーインタフェース3に示され、技術者は画像を受け入れる(ブロック388)。薬剤調合が完了すると、このシステムは、医薬品および患者情報の名称を表す符号化情報を含むバーコードラベルを完了した薬剤調合への装着のために印刷する。
【0040】
薬局調合モジュール300はまた、演算機器4のプロセッサが薬剤調合中に以下の動作、すなわち(i)医者によって病院内ネットワークからCPOEモジュール100に入力された処方箋指示データを引き出し、(ii)走査されたバーコードが処方箋情報と対応することを確認し、(iii)投与される医薬品の量に関して注射器および/またはIVバッグの重量があらかじめ設定した閾精度レベル内にあるか否かを判定し、(iv)この重量が正確ではない場合には調整を行わなければならないことを決定し、(v)注射器および/またはIVバッグの重量に関連するデータを病院内ネットワークへと戻して送信することを行うようにさせるソフトウェア指令を含む。
【0041】
D.薬局最終確認モジュール
処方された薬を調合することに続き、薬局最終確認モジュール400は、薬局調合モジュール300により作成されて画像取込装置15により取得された画像を含むデータおよび/または文書と、患者に公開するための調合を承認するか、または承認しないかの何れかとを薬剤師が点検することを可能にする。上述したように、薬剤師最終確認モジュール400を薬局調合モジュール300と同じ演算機器に対して実行することができる。代わりに、薬剤師最終確認モジュール400を薬局調合モジュール300の演算機器からリモートな演算機器にて実行することができる。このようなリモートな構成が図15に概略的に例示されている。図15を参照すると、薬剤師最終確認モジュール400は、薬局調合モジュール300からの医薬品の調合に関する情報を受信するように構成されたプロセッサ402を有するシステム401を含む。この情報は、医薬品の調合と、この医薬品の調合の少なくとも1つのステップ中に秤量器9によってもたらされる重量測定情報との少なくとも1つのステップの少なくとも1つの画像を具えている。このシステム401はまた、プロセッサ402に操作可能に結合され、このプロセッサ402からの指令に基づき、医薬品の調合と、重量測定情報に基づいて医薬品の濃度が許容公差範囲内にあるかどうかの指示との少なくとも1つのステップの少なくとも1つの画像を表示するように構成されたユーザーインタフェース403を含む。
【0042】
薬局最終確認モジュール400にてもたらされる代表的なスクリーンショットが図16に与えられている。この代表的な映像に関し、取り込まれた画像が対応する混合指令および薬剤の濃度が数学的手法により設定されたような許容公差範囲の内側または外側にあるか否かの指示と共に示されている。従って、薬局最終確認モジュール400は、秤量器で集められると共にあらかじめ規定された承認基準に従うように数学的手法により確認される計量測定値と重ね合わされる視覚情報(すなわち調合のそれぞれのステップの画像)を提供する。
【0043】
図16および図17に例示されるように、薬局最終確認モジュール400は、特定の薬剤調合ステップの選択された画像424を表示する第1の部分422と、薬剤調合ステップのそれぞれのサムネイル画像を表示する第2の部分426と、秤量器によって与えられる計量測定値と一緒に特定の薬剤調合ステップのための混合指令と、薬剤の濃度が許容公差の内側または外側の何れかにあるかを数学的手法によって与えられる指示とを表示する第3の部分428とを有する点検ウィンドウ420を含む。加えて、アイコン430を特定の薬剤調合ステップのサムネイルと関連付け、この特定の薬剤調合ステップの公差要求が満たされていなかったことを薬剤師に対し指示を与えることができる。例えば、緑のチェックマークは公差要求が満たされているか否かを提供することができ、あるいは赤い感嘆符は公差要求が満たされていないか否かを提供することができる。点検ウィンドウ420はまた、薬剤師が薬剤調合を承認するか、または拒絶することを可能にするアイコン434を表示した第4の部分432を含むことができる。
【0044】
図16および図17を続いて参照すると、マウスポインターは、点検ウィンドウ420の第2の部分426の左から5番目のサムネイルに重ね合わされている。この特定のサムネイルに関し、拡大画像が点検ウィンドウ420の第1の部分422でのサムネイル列の上およびこのサムネイルの下に示されており、対応する混合指令435が計量測定値436の結果および手順チェック438(図2に与えられた代表的なスクリーンショットも参照)と一緒に点検ウィンドウ420の第3部分428に示されている。第3の部分428はまた、限定されないけれども、公差目標を満たすために混合ステップをどのくらいしばしば繰り返されなければならなかったか、あるいは特定の混合ステップが他の場合と比較して通常よりも多くの時間を費やしていたか否かの如き薬剤調合に関する他の統計的情報を含むことができる。
【0045】
さらに、サムネイルのアイコン430は、特定の混合ステップの公差要求を満たしていたか否かを示し、調合処理に問題が発生したという迅速な案内を薬剤師に与える。多数のサムネイルを取り囲む灰色のボックス(図示せず)は、この混合ステップを表す画像が再取得されたという指示を薬剤師に与える。
【0046】
取り込まれた画像と、重量測定データから数学的手法によって作成される確認情報とのオーバーレイは、著しく異なる種類の情報を薬剤師が迅速に点検することを可能にする。画像の視覚的情報量は、限定しないけれども、薬剤の色や注射器の種類またはこのシステムが不適切に用いられたか否か(例えば公差要求の手順に合格する必要な重量を作り出すためにユーザーが追加の物品を使った)の如き極めて明確な情報を薬剤師がチェックすることを可能にする。手順チェックの結果を表すサムネイルのアイコン430は、薬剤の量が特定の混合ステップに関する公差要求の内側または外側の何れかであったことを薬剤師に伝える2進情報である。赤い感嘆符の形状でのサムネイルにあるアイコン430の蓄積は、公差要求を満たすために技術者が何回かの繰り返しを必要としたという迅速な指示を薬剤師に与え、このような薬剤調合を点検する場合に追加の精査を引き起こさせることができる。
【0047】
E.臨床モジュール
患者に処方された医薬品を投与する前に、臨床モジュール500は最終確認を可能にする。患者に近接して配されたバーコードスキャナーが注射器および/またはIVバッグのバーコードラベルを走査するために看護師または他の技術者によって用いられる。このバーコードスキャナーはコンピューターと連通し、第2のバーコードの符号化情報を病院内ネットワークから取得される患者情報および/または処方箋情報と確認する。
【0048】
本発明の特定の実施形態を詳細に記述したけれども、この開示の教示全体を踏まえてこれらの細目に対する種々の変更および代案を策定できることが当業者らによって認識されよう。従って、開示された特定の構成は、添付した特許請求の範囲の最大限の広がりおよびそのありとあらゆる均等物に与えられるべき本発明の範囲に関し、単なる例示であって限定ではないことを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図15
図16
図17