特許第6860650号(P6860650)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6860650
(24)【登録日】2021年3月30日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】半導体スイッチを制御する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/087 20060101AFI20210412BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   H02H3/087
   H03K17/687 A
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-503754(P2019-503754)
(86)(22)【出願日】2017年7月26日
(65)【公表番号】特表2019-528661(P2019-528661A)
(43)【公表日】2019年10月10日
(86)【国際出願番号】EP2017068847
(87)【国際公開番号】WO2018019869
(87)【国際公開日】20180201
【審査請求日】2019年3月29日
(31)【優先権主張番号】102016213944.4
(32)【優先日】2016年7月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509031497
【氏名又は名称】エレンベルガー ウント ペンスケン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110002011
【氏名又は名称】特許業務法人井澤国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100072039
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 洵
(74)【代理人】
【識別番号】100123722
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 幹
(74)【代理人】
【識別番号】100157738
【弁理士】
【氏名又は名称】茂木 康彦
(72)【発明者】
【氏名】ベッシェ,ディルク
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルクナン,エルンスト−ディーター
【審査官】 右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04438356(US,A)
【文献】 独国特許出願公開第102011087434(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0212759(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102013114259(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 3/087
H03K 17/687
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷電流回路(2)に接続された電子半導体スイッチ(14,16)を制御する方法であって、前記半導体スイッチ(14,16)は、前記負荷電流回路(2)の、電源(6)に繋がった入力端子(10)と負荷(4)に繋がった出力端子(12)との間に接続されており、
供給電圧(U)に接続された制御回路(18)であって、一次側において変圧器(20)に接続されると共に前記供給電圧(U)に接続されたブリッジ回路(28)を含む制御回路(18)と、
二次側において前記変圧器(20)に接続された負荷回路(22)であって、前記半導体スイッチ(14,16)用の駆動回路(38)を含む負荷回路(22)と、を備える方法において、
前記ブリッジ回路(28)に、制御側において、閾値信号(S,Sa,Sb)が供給され、
前記ブリッジ回路(28)は、一次信号(A)を生成し、前記一次信号(A)は、二次信号(B)として、前記制御回路(18)から電気的に絶縁された前記負荷回路(22)に伝達され、
前記二次信号(B)は、前記半導体スイッチ(14,16)用の駆動信号(G)を生成する前記駆動回路(38)に供給され、
前記ブリッジ回路(28)は2つのブリッジ部:ブリッジ部(30a)及びブリッジ部(30b)を有し、
前記ブリッジ部(30a)と前記ブリッジ部(30b)との間に変圧器(20)の一次巻線(34)が出力側において接続されており、
前記ブリッジ回路(28)は、自励式フラックスコンバータとして実施されている、
方法。
【請求項2】
前記閾値信号(S)は、前記ブリッジ回路(28)の前段に接続された信号増幅器(26)により増幅されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記半導体スイッチ(14,16)は、オフ状態への切り替えのために、前記駆動回路(38)の駆動信号(G)の負の電圧値により制御されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
負荷電流回路(2)を遮断するための電子遮断器(8)であって、電源(6)に繋がった入力端子(10)と負荷(4)に繋がった出力端子(12)との間に接続された少なくとも1つの電子半導体スイッチ(14,16)と、供給電圧(U)に接続された制御回路(18)であって、一次側において変圧器(20)に接続されると共に前記供給電圧(U)に接続されたブリッジ回路(28)を含む制御回路(18)と、二次側において前記変圧器(20)に接続された負荷回路(22)であって、半導体スイッチ(14,16)用の駆動回路(38)を含む負荷回路(22)と、を備える遮断器(8)において、
前記変圧器(20)は、前記制御回路(18)から、一次信号(A)を二次信号(B)として、電気的に絶縁された前記負荷回路(22)に伝達し、
前記変圧器(20)の二次信号(B)は、前記半導体スイッチ(14,16)用の駆動信号(G)を生成する前記駆動回路(38)に供給され、
前記ブリッジ回路(28)は2つのブリッジ部:ブリッジ部(30a)及びブリッジ部(30b)を有し、
前記ブリッジ部(30a)と前記ブリッジ部(30b)との間に変圧器(20)の一次巻線(34)が出力側において接続されており、
前記ブリッジ回路(28)は、自励式フラックスコンバータとして実施されている、
遮断器(8)。
【請求項5】
前記制御回路(18)は、不足電圧引外し装置(24)を介して、前記供給電圧(U)に接続されていることを特徴とする、請求項4に記載の遮断器(8)。
【請求項6】
前記ブリッジ回路(28)の前段に、信号増幅器(26)が接続されていることを特徴とする、請求項4又は5に記載の遮断器(8)。
【請求項7】
前記信号増幅器(26)は、連続して接続された2つの増幅段(62a,62b)を有し、前記増幅段(62a,62b)は、出力側において、それぞれ、前記ブリッジ回路(28)の1つのブリッジ部(30a,30b)に繋がっていることを特徴とする、請求項6に記載の遮断器(8)。
【請求項8】
前記各半導体スイッチ(14,16)は、前記駆動回路(38)及び前記変圧器(20)に結合された、前記負荷回路(22)の半導体保護回路(40)により、過電流が監視されることを特徴とする、請求項4〜7のいずれか1項に記載の遮断器(8)。
【請求項9】
前記負荷電流回路(22)の双方向の過負荷保護のために、直列接続された2つの半導体スイッチ(14,16)が、前記負荷電流回路(2)の入力端子(10)と出力端子(12)との間に接続されていることを特徴とする、請求項4〜8のいずれか1項に記載の遮断器(8)。
【請求項10】
前記半導体スイッチ(14,16)には、バリスタ(156)が、過電圧保護装置として並列接続されていることを特徴とする、請求項9に記載の遮断器(8)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体スイッチを制御する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動モータ駆動装置は、典型的に、コンバータを介して送電網又はエネルギー貯蔵装置に接続された電動機を備えている。エネルギー貯蔵装置を充電するために、又は、送電網に電力を送り返すために、多くの場合、電動機が復旧又は回生動作をする時に、電気エネルギーがエネルギー貯蔵装置又は送電網に供給される。この(負荷)電流回路を保護するために、具体的には、電流を双方向に導くと共に切り替えることが可能な双方向性遮断器が望まれている。
【0003】
このような遮断器は、概して、制御及び/又は調整回路、並びに、これに結合された負荷回路を備えている。負荷回路は、負荷電流回路を切り替えるためのものである。このために、負荷回路は、負荷回路の駆動回路によって駆動される、電子式に動作可能な少なくとも1つの半導体スイッチを含む。この制御回路及び負荷回路は、電気的に互いに絶縁されていることが好ましく、制御回路の制御信号は、光カプラにより、信号技術的に負荷回路に送信される
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、負荷電流回路に接続された電子半導体スイッチのためのより良好な制御方法を提供することにある。本発明の課題はまた、負荷電流回路を保護するために特に適した電子遮断器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明によれば、方法については請求項1の特徴により解決され、遮断器については請求項4の特徴により解決される。有効な構成及び発展形態は、各従属請求項の対象である。
【0006】
本発明に係る方法は、負荷電流回路に接続された電子半導体スイッチを制御することに適していると共にそのように構成されている。このために、半導体スイッチは、負荷電流回路の、電源に繋がった入力端子と負荷に繋がった出力端子との間に接続されている。
【0007】
半導体スイッチの制御のために、供給電圧に接続された制御回路であって、一次側において変圧器に接続されると共に供給電圧に接続されたブリッジ回路を含む制御回路が設けられている。さらに、二次側において変圧器に接続された負荷回路であって、半導体スイッチ用の駆動回路を含む負荷回路が設けられている。ここで、駆動回路又は負荷回路は、半導体スイッチの制御端子に繋がっていることが好ましい。
【0008】
本発明の方法によれば、ブリッジ回路は、閾値信号により制御され、これに応じて、出力側では、一次信号が、変圧器の一次巻線において生成される。ここで、この一次信号は、閾値信号によるブリッジ回路の制御により、供給電圧から生成されることが好ましい。その後一次信号は、変圧器により、二次信号として、制御回路から電気的に絶縁された負荷回路に伝達される。二次信号は、当該信号から半導体スイッチ用の駆動信号を生成する負荷回路の駆動回路に供給される。
【0009】
したがって閾値信号は、実質的に、半導体スイッチ用の制御信号として機能し、ここで、ターンオンプロセス又はターンオフプロセスを開始するための情報は、一次信号にも二次信号にも含まれる。すなわち、二次信号が、閾値による制御信号として、駆動回路に供給され、駆動回路は、これに応じて半導体スイッチ用の駆動信号を生成する。例えば、駆動回路は、二次信号の閾値よりも高い、半導体スイッチ用の駆動信号を生成する。二次信号がこの閾値を下回ると、例えば、駆動回路から動作電圧は生成されない。
【0010】
一方では、変圧器を用いて信号伝達することにより、遮断器の極めて短いスイッチング遅延時間が確保される。これは、制御回路側の閾値信号が変化した場合、負荷回路側の半導体スイッチを素早く切り替えることが可能になることを意味している。
【0011】
他方では、変圧器は、半導体スイッチのスイッチング(切り替え)用の制御信号だけでなく駆動回路を動作させるために必要なエネルギーも、負荷回路に伝達する。負荷回路は、既に電気的に絶縁されているので、電気的に絶縁させるためにさらなる手段は必要ない。換言すると、負荷回路の駆動回路は、二次信号だけで、すなわち変圧器の二次巻線に伝達される電力又は電圧だけで、動作されることが可能である。このため、例えば、負荷回路用のさらなる電源部材が省かれるので、可能な限り少ない部材数の負荷回路の形態が可能になる。
【発明の効果】
【0012】
有効な一発展形態では、閾値信号は、ブリッジ回路の前段に接続された信号増幅器によって増幅される。これによって、変圧器が、駆動回路を動作させるために十分に高い電力を負荷回路に伝達することが確保される。
【0013】
好適な一形態では、半導体スイッチは、オフ状態(非導電状態、遮断状態)への切り替えのために、駆動回路の駆動信号の負の電圧値により制御される。ここで、駆動信号の電圧値とは、具体的には、駆動信号のパルスの高さ又はレベル、あるいは振幅であると理解される。この負の電圧値を用いて駆動信号を制御することによって、半導体スイッチの可能な限り短いスイッチング(切り替え)時間が実現可能になる。より高い安全要件を適用する時には、例えば、オフ状態にある半導体スイッチが、常に負の電圧値で制御されることが想定可能である。
【0014】
本発明に係る電子遮断器は、少なくとも1つの電子半導体スイッチを有する負荷電流回路の遮断に適していると共に、そのように構成されている。ここで、1つ又は複数の半導体スイッチは、負荷電流回路の、電源に繋がった入力端子と負荷に繋がった出力端子との間に接続されている。
【0015】
遮断器は、供給電圧に接続された制御回路であって、一次側において変圧器に接続されていると共に供給電圧に接続されたブリッジ回路を含む制御回路と、二次側において変圧器に接続された負荷回路であって、少なくとも1つの半導体スイッチ用の駆動回路を含む負荷回路と、を備えている。ここでは、負荷回路又は駆動回路は、半導体スイッチの制御端子に繋がっている。
【0016】
運転中、変圧器は、一次信号を、半導体スイッチ用の駆動回路が接続された負荷回路に、制御回路から電気的に絶縁した状態で伝達する。変圧器の二次信号は、駆動回路に送られ、その後、駆動回路は、半導体スイッチ用の駆動信号を生成する。これによって、特に、小型の構成であり別個の電子部材の数が少ない、極めて好適な電子遮断器が実現される。
【0017】
有効な形態では、制御回路は、不足電圧引外し装置を介して供給電圧に接続されている。したがって、遮断器は、一体化された不足電圧保護装置を備えている。供給電圧の降下時には、制御回路、及び、したがって負荷回路内の1つ又は複数の半導体スイッチは、自動的にオフされる。これによって、半導体スイッチの損傷又は破壊が起こり得る不定のスイッチング状態が、有効かつ容易に回避される。
【0018】
有効な一形態では、ブリッジ回路の前段に、信号増幅器が接続されている。信号増幅器は、ブリッジ回路の制御のために閾値信号を増幅する。信号増幅器は、好ましい発展形態では、具体的には、連続して接続された2つの増幅段を含み、これらはそれぞれ、出力側において、ブリッジ回路の1つのブリッジ部に繋がっている。増幅段は、例えば、反転されたプッシュプル増幅器として実施されており、第1の増幅段の出力信号は、一方ではブリッジ部に送られ、他方では第2の増幅段の入力部に送られる。
【0019】
本発明の他の又はさらなる態様は、駆動回路及び変圧器に結合された負荷回路の半導体保護回路により、1つ又は複数の半導体スイッチについて過電流を監視することを提供する。ここで、半導体保護回路及び駆動回路は、好ましくは、伝達された二次信号の電力によってのみ動作される。半導体保護回路は、負荷電流回路の負荷電流を、好ましくは半導体スイッチ自体の電圧降下により測定する。これは、(測定)シャント抵抗を追加的に設ける必要がないことを意味している。半導体スイッチは、パワートランジスタとして実施されており、負荷電流は、ドレイン−ソース路、又は、コレクタ−エミッタ路を介して測定される。ここで、負荷電流は、使用する半導体スイッチの特性曲線から得られる。事前に設定可能なクリティカルな電流制限を超えると、半導体スイッチはオフ状態にされる。半導体保護回路が駆動回路に結合されていることにより、過電流の場合に、駆動回路から駆動信号が生成されることが阻止される。
【0020】
好ましい形態では、負荷電流回路の双方向性の過負荷保護のために、直列接続された2つの半導体スイッチが、負荷電流回路の入力端子と出力端子との間に接続されている。このため、遮断器によって、電流を両方向に、すなわち、負荷から電源に、及びその反対に、流すこと及び遮断することが可能になる。ここで、半導体スイッチの引外し閾値を、例えば両電流方向において異なるように設定することも想定可能である。これは、例えば、電動自動車の復旧動作時に使用する場合に望ましい。
【0021】
想定可能な形態では、半導体スイッチには、バリスタが、過電圧保護装置として並列接続されている。これによって半導体スイッチは、過電圧時の損傷又は破壊から保護される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照しながらより詳細に説明する。図面は、概略的かつ簡潔なブロック図である。
【0023】
図1】制御回路と、電気的に絶縁された負荷回路とを備える遮断器を示す図。
図2-1】不足電圧引外し装置、信号増幅器、及び、ブリッジ回路を備える制御回路を示す図。
図2-2】不足電圧引外し装置、信号増幅器、及び、ブリッジ回路を備える制御回路を示す図。
図3-1】駆動回路、半導体保護回路、及び、2つの電子半導体スイッチを備える負荷回路を示す図。
図3-2】駆動回路、半導体保護回路、及び、2つの電子半導体スイッチを備える負荷回路を示す図。
図4】不足電圧引外し装置の一部を示す図。
図5】2つの増幅段を含む信号増幅器の一部を示す図。
図6】変圧器に繋がった2つのブリッジ部を備えるブリッジ回路の一部を示す図。
図7】駆動回路の一部を示す図。
【0024】
全ての図において互いに対応する部材及び寸法には、常に、同一の参照番号が付されている。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1には、負荷4と電源6との間の負荷電流回路2が示されている。負荷電流回路2には、遮断器8が接続されている。電子遮断器8は、負荷4又は電源6を、双方向において過電流から保護することに適していると共にそのように構成されている。すなわち、遮断器8は、負荷電流回路2の両方向において電流を導くように、及び、切り替えるように構成されている。このため遮断器8は、電源6と負荷4との間の入力端子10及び出力端子12に接続されている。
【0026】
端子10及び12の間には、直列接続された2つの半導体スイッチ14及び16が、負荷電流回路2の電流路を双方向において遮断するために設けられている。半導体スイッチ14及び16は、本実施形態では、特にNMOSパワートランジスタとして実施されている。
【0027】
図示した本実施形態では、負荷4は、具体的には電動モータ駆動装置であり、電源6は、電気エネルギー貯蔵装置である。通常運転時には、負荷4には、電源6によって電気エネルギーが供給されるので、電流が負荷4から電源6に負荷電流回路2を通って流れる。負荷4の復旧動作又は回生動作の間は、電流が負荷4から(回生式に)電源6に供給される。
【0028】
遮断器8は、実質的に、半導体スイッチ14及び16を含む負荷回路22から変圧器20によって電気的に絶縁された制御回路18を含む。ここで、制御回路18は、変圧器20の一次側に接続されており、負荷回路22は、変圧器20の二次側に接続されている。制御回路18によって、半導体スイッチ14及び16は、具体的にはフェライトリング変圧器として実施された変圧器20を介して制御される。
【0029】
図2−1、図2−2に単独で示される制御回路18は、不足電圧保護装置としての不足電圧引外し装置24を介して、供給電圧Uに接続されている。制御回路18はさらに、2つのブリッジ部30a及び30bを有するブリッジ回路28を制御する信号増幅器26を備えている。遮断器8には、閾値信号Sが端子32を介して供給される。
【0030】
閾値信号Sは、例えば、負荷電流回路2を監視するコントローラによって、又は、センサユニットによって生成される。供給された閾値信号Sは、信号増幅器26によって増幅され、ブリッジ回路28の制御のために、増幅された閾値信号Saとしてブリッジ部30aに供給されると共に、増幅された閾値信号Sbとしてブリッジ部30bに供給される。
【0031】
変圧器20の一次巻線34は、出力側において、ブリッジ部30aと30bとの間に接続されている。ブリッジ回路28は、不足電圧引外し装置24に、したがって供給電圧Uに接続されている。このためブリッジ回路28、具体的にはブリッジ部30a及び30bは、変圧器20と組み合わされて、自励式フラックスコンバータとして実施されている。ここで、ブリッジ部30a及び30bのスイッチング素子は、増幅された閾値信号Sa又はSbにより、ブリッジ部30a及び30bが、供給電圧Uからの一次信号Aを変圧器20の一次巻線34に供給するように制御される。
【0032】
一次信号(入力電圧)Aの電力は、変圧器20の二次側に伝達され、ここで、この電力は二次信号(出力電圧)Bとして、負荷回路22に接続された二次巻線36においてタップされる。二次信号Bは、一方では、図3−1、図3−2に単独で示される負荷回路22の駆動回路38に送られ、他方では半導体保護回路40に送られる。駆動回路38は、二次信号Bに応じて駆動信号Gを生成し、この信号は、半導体スイッチ14及び16の制御端子(ゲート)に送られる。
【0033】
以下に、制御回路18の構成を、図2−1、図2−2及び図4〜6を参照してより詳細に説明する。
【0034】
供給電圧Uの破壊時には、信号増幅器26及びブリッジ回路28は、不足電圧引外し装置24によって安全に停止される。したがって、その後、半導体スイッチ14及び16も、図4に示される不足電圧引外し装置24によって自動的にオフされる。これによって、半導体スイッチ14及び16の不定のスイッチング状態が回避される。
【0035】
不足電圧引外し装置24は、入力側においてダイオード42を備え、ダイオード42は、グランドに接続されたキャパシタ44に繋がっている。不足電圧引外し装置24は、2つのオーム抵抗器48及び50を有する電圧分配器46をさらに備えている。抵抗器50は、抵抗器48よりもはるかに高い抵抗値を有している。電圧分配器46は、一方では抵抗器48によりダイオード42の前段に接続され、他方では抵抗器50によりグランドに接続されている。電圧分配器46の電圧タップ端子は、トランジスタ52のベース端子に繋がっている。
【0036】
トランジスタ52は、エミッタ側において、ダイオード42とキャパシタ44との間に接続されている。トランジスタ52のコレクタ端子は、オーム抵抗器54を介してトランジスタ56のベース端子に接点接続している。トランジスタ56は、エミッタ側においてグランドに繋がり、コレクタ側において、信号増幅器28のトランジスタ58のベース端子に繋がっている。
【0037】
運転中、キャパシタ44は、ダイオード42を介して充電される。抵抗器50の抵抗値が高いため、具体的にはPNPトランジスタとして実施されているトランジスタ52のベース端子及びエミッタ端子は、ほぼ同じ(電圧)電位にある。これにより、トランジスタ52は、遮断状態、すなわち非導電状態に切り替えられている。
【0038】
供給電圧Uの降下時には、キャパシタ44のダイオード42を介した放電が妨げられる。その結果、トランジスタ52のエミッタ−ベース電圧は上昇し、これによって、トランジスタ52は、導電状態に切り替えられる。結果として得られた電流が、NPNトランジスタとして実施されたトランジスタ56をオンするように制御し、これによって、信号増幅器26の入力部、すなわちトランジスタ58をグランドに接続する。このため、信号増幅器26は、閾値信号Sとは無関係に停止され、これによって結果的に、半導体スイッチ14及び16はオフされる(オフ状態)。抵抗器48は、供給電圧Uの端子における短絡時に、トランジスタ52のエミッタ−ベース電流を制限し、これによって、トランジスタ52は損傷又は破壊から保護される。
【0039】
図5に示される信号増幅器26は、閾値信号(入力信号)S及び不足電圧引外し装置24に応じて、増幅された各閾値信号Sa及びSbを、ブリッジ部30a及び30b用の制御信号(出力信号、制御電圧)として生成する。信号増幅器26は、実質的に、入力段60及び2つの増幅段62a及び62bを有している。
【0040】
入力段60は、グランドに接続されたオーム抵抗器64を有している。このオーム抵抗器64は、トランジスタ56に並列接続されている。抵抗器64とトランジスタ58のベース端子との間において、キャパシタ66とオーム抵抗器68とが並列接続されており、キャパシタ66と抵抗器68との間には、閾値信号Sが、オーム抵抗器70を介して供給される。
【0041】
トランジスタ58は、エミッタ側において、グランドに接続されている。コレクタ側では、トランジスタ58は、ダイオード42を有する導線74に、オーム抵抗器72を介して接点接続している。抵抗器72に並列に、トランジスタ76が、コレクタ側において導線74に接続されており、そのベース端子は、トランジスタ58のコレクタ端子と抵抗器72との間に接続されている。トランジスタ76のエミッタ端子とベース端子との間には、ダイオード78が接続されている。トランジスタ76のエミッタ端子とダイオード78との間には、増幅段62aのオーム抵抗器80が接続されている。
【0042】
増幅段62a及び62bは、反転されたプッシュプル増幅器として、ほぼ同一に構成されており、したがって、例えば増幅段62bの構成だけを以下により詳細に説明する。また図面では、例えば増幅段62bの部品だけに参照番号を付した。
【0043】
抵抗器80には、2つのオーム抵抗器82及び84が接続されており、これらは各ダイオード86又は88により、グランド又は導線74に接続されている。抵抗器82及び84に並列に、キャパシタ90、92が、それぞれ、抵抗器80及び82とダイオード86との間、及び、抵抗器80及び84とダイオード88との間において接続されている。
【0044】
抵抗器82とダイオード86とキャパシタ90との間のノードには、エミッタ側において導線74に接続されたトランジスタ94のベース端子が接点接続されている。これに対応して、抵抗器84とダイオード88とキャパシタ92との間のノードは、エミッタ側においてグランドに接続されたトランジスタ96のベース端子に接点接続されている。ここで、トランジスタ94は、コレクタ側においてトランジスタ96のコレクタ端子に接続されており、トランジスタ94と96との間に、増幅段62aの出力端子が設けられている。ここで、増幅段62bの出力は、一方では増幅段62aの抵抗器80に送られ、他方ではブリッジ部30bに送られる。増幅段62aの出力は、ブリッジ部30aに送られる。
【0045】
閾値信号Sが、入力段60に供給される。抵抗器64及び68の抵抗値については、トランジスタ58をオンするために導かれる閾値信号Sの電圧振幅(電圧値、電圧レベル)を予め設定可能である。キャパシタ66は、オンされる瞬間に、一時的に高いベース電流を生じさせるので、トランジスタ58は、比較的素早くオンされる。ここで、抵抗器70は、流れるベース電流を制限する。
【0046】
トランジスタ58がオンされると、そのコレクタ端子における電圧は、ほぼ0Vに低減する。このため、電流が、ダイオード78並びに抵抗80及び82を通って流れる。この電流はさらに、一時的に、キャパシタ90とトランジスタ94のベース端子とを通って流れる。これによってトランジスタ94がオンされ、その結果、そのコレクタ端子は導線74の動作電圧に引っ張られる。同時に、トランジスタ96は、そのベース端子が、抵抗器80及び84、ダイオード78、並びに、オンされたトランジスタ58を介して実質的にグランド電位にあるため、非導電状態に切り替えられる。
【0047】
トランジスタ58がオフされると、すなわち、非導電状態又は遮断状態に切り替えられると、そのコレクタ端子における電位は、導線74の動作電圧まで上昇する。ここで、トランジスタ76は、電圧フォロワとして動作し、そのスイッチングプロセス中の電流増幅により、インピーダンス変換器として作用する。これによって、一時的に高いスイッチング電流が、後段に接続された増幅段62bのために生成される。トランジスタ76がオンされると、電流が、抵抗器80及び84を通って流れると共に、一時的にキャパシタ92とトランジスタ96のベース端子を通って流れる。これによって、トランジスタ96がオンされ、その結果、そのコレクタ端子はグランドに引っ張られる。同時に、トランジスタ94は、そのベース端子が、抵抗器80及び82、並びに、オンされたトランジスタ76を介して実質的に導線74の動作電圧にあるため、遮断される。
【0048】
キャパシタ90及び92は、素早いスイッチングプロセスを可能にし、ここで、各(スイッチング)電流は、抵抗器80によって制限される。増幅段62bは、反転されたプッシュプル増幅器として動作し、ブリッジ部30b用の閾値信号Sbを生成する。この信号はさらに、入力信号として、増幅段62aに供給される。増幅段62aは、続いて、ブリッジ部30a用の閾値信号Saを生成する。
【0049】
次に、図2−1、図2−2及び図6を参照して、ブリッジ回路28の構成をより詳細に説明する。ブリッジ回路28は、変圧器20を制御するために、ほぼ同一の2つのブリッジ部30a及び30bを有するHフルブリッジ(Hブリッジ、H回路)として実施されている。以下に、特にブリッジ部30aの構成を説明する。ブリッジ部30a及び30bの互いに対応する部品及び寸法は、それぞれ、参照番号に「a」又は「b」を付加している。ブリッジ部30aは、ブリッジ部30bと比べて、さらなるユニット98を有している。このユニット98は、図2−1、図2−2では破線で包囲されている。
【0050】
ブリッジ部30aは、2つのトランジスタ100a及び102aと1つのフリーホイールダイオード104aを含む。これに対応して、ブリッジ部30bは、2つのトランジスタ100b及び102bと1つのフリーホイールダイオード104bを含む。ブリッジ回路28が自励式フラックスコンバータとして構成されていることにより、異なる振幅の正及び負の出力電圧パルスを、一次信号Aとして、負荷回路22に伝達することが可能である。
【0051】
増幅段62aの出力は、ブリッジ部30aのオーム抵抗器106aとZダイオード(ツェナーダイオード)108aとの間に接続されている。Zダイオード108aは、オーム抵抗器110aによって導線74に連結されており、Zダイオード108aと抵抗器110aとの間には、PMOSトランジスタとして実施されたトランジスタ100aのゲート端子が接続されている。トランジスタ100aは、ソース側において導線74に接続されており、ドレイン側において変圧器20の一次巻線34の端子に繋がっている。一次巻線34とトランジスタ100aとの間には、グランドに接続されたフリーホイールダイオード104aが配置されている。
【0052】
具体的にはNPNトランジスタとして実施されたトランジスタ102aが、コレクタ側においてトランジスタ100aのドレイン端子に接点接続されており、エミッタ側においてグランドに接続されている。トランジスタ102aのコレクタ端子とベース端子との間に、電流路112aが並列接続されている。電流路112aは、キャパシタ114aと、これに直列接続されたオーム抵抗器116aとを含む。抵抗器116aの後段には、グランドに接点接続されたダイオード118aが接続されており、ここで、抵抗器116aとダイオード118aとの間に、トランジスタ120aのベース端子が接続されている。トランジスタ120aは、エミッタ側においてグランドに繋がっており、コレクタ側において、電流路112aによりトランジスタ102aのベース端子に繋がっている。トランジスタ102aのベース端子はさらに、オーム抵抗器122aによって、増幅段62aの出力部及びZダイオード108aに接続されている。
【0053】
ブリッジ部30aは、増幅器端子と抵抗器122aとの間に、ユニット98を有している。ユニット98は、Zダイオード108aと抵抗器122aとの間に接続されたキャパシタ124を有している。キャパシタ124と抵抗器122aとの間において、オーム抵抗器126が、ダイオード128によってグランドに接続されている。
【0054】
制御信号Sa及びSbは、互いにほぼ反転している。すなわち、ターンオンプロセスでは、ブリッジ部30bの制御信号Sbは、ほぼ参照電位を有し、ブリッジ部30a用の制御信号Saはグランド電位に相当する。このため、トランジスタ102aのベース端子はグランドにあり、トランジスタ100aのゲート端子は、グランドにあると共にZダイオード108aの降伏電圧に接続されている。これによって、トランジスタ102aは非導電状態に、トランジスタ100aは導電状態に切り替えられる。これに対応して、ブリッジ部30bでは、トランジスタ102bは導電状態に、トランジスタ100bは非導電状態に切り替えられる。これによって、電流が、トランジスタ100a及び一次巻線34を通って、トランジスタ102aまで流れることが可能になる。
【0055】
電流は、トランジスタ102aがその飽和領域を超えるまで上昇する。この場合、トランジスタ102aのコレクタ端子における電圧は上昇するので、電流は、キャパシタ114b及び抵抗器116bを通って、トランジスタ120bのベース端子まで流れる。これによって、トランジスタ120bは導電状態になるので、トランジスタ102bのベース端子はグランドに接続され、トランジスタ102bは遮断される。一次巻線34の誘導子に貯蔵されたエネルギーにより、この電流はさらに、オンに制御されたトランジスタ100aを通って、及び、トランジスタ100bの内部のフリーホイールダイオードを通って流れる。その結果、電流は、ほぼ完全に低減される。これによって、トランジスタ120bは遮断されるので、新たな電流がトランジスタ102bを流れることが可能になり、トランジスタ102bは新たにオンに制御される(スイングプロセス)。
【0056】
トランジスタ102bがオンに制御されると、変圧器20の出力電圧又は二次信号Bが、実質的にその変圧比と動作電圧又は一次信号Aとの積によって、印加される。フラックスコンバータがフリーホイール位相にある場合、一次巻線34において、電圧だけがフリーホイールダイオード104a又は104bを介して低下するので、実質的には変圧比とこの電圧との積による二次信号Bが、一次信号Aとして印加される。シリコンから成るフリーホイールダイオード104a、104bの場合、この電圧は、典型的には約0、7Vである。
【0057】
ターンオフプロセスの間、ブリッジ部30aの制御信号Saは、実質的に参照電位を有し、ブリッジ部30b用の制御信号Sbは、グランド電位の電圧レベルにある。これによって、トランジスタ102bのベース端子はグランドに接続され、トランジスタ100bのゲート端子は、オン制御された状態に切り替えられる。これに対応して、ブリッジ部30aでは、トランジスタ100aが遮断状態に、トランジスタ102aが導電状態に切り替えられる。
【0058】
ブリッジ部30a及び30bの構成が類似しているため、スイングプロセスは、上述のターンオンプロセスとほぼ同一である。しかしながら、ユニット98のキャパシタ124により、トランジスタ102a用のベース電流は一時的に制限される。このため結果的に、オフ状態におけるトランジスタ102aの電流引き込みは比較的少なくなるので、スイングプロセスは自動的に終了する。新たにターンオンされる場合は、キャパシタ124が、ダイオード128及び抵抗器126を介して放電される。
【0059】
ターンオフプロセス中には、変圧器20の二次信号Bは、ターンオンプロセスに対して実質的に反転された符号を有する。
【0060】
変圧器20の二次信号Bの異なる電圧値に応じて、駆動回路38は、動作電圧を、半導体スイッチ14及び16用の制御信号(駆動信号)Gとして生成する。以下に、駆動回路38の構成を、図3−1、図3−2及び図7を参照しながら説明する。
【0061】
駆動回路38は、変圧器20の二次巻線36に接続されており、半導体保護回路40によって半導体スイッチ14及び16に接点接続されている。ここで、負荷回路22は、二次巻線36に接続された導線130を有している。導線130には、駆動回路38の抵抗器132が接続されており、その後段には、トランジスタ134のベース端子が接続されている。トランジスタ134は、エミッタ側において、ダイオード136によってグランドに接続されており、コレクタ側において、Zダイオード138及び抵抗器140を介して導線130に繋がっている。
【0062】
Zダイオード138と抵抗器140との間には、トランジスタ142のベース側が接続されている。トランジスタ142のエミッタ端子は、導線130に接続されており、トランジスタ142のコレクタ端子は、ダイオード144を介して、半導体スイッチ14及び16のゲート端子に繋がっている。トランジスタ142に平行に、トランジスタ146が、エミッタ側において導線130に接点接続されている。トランジスタ146のコレクタ端子は、ダイオード148によって、ダイオード144と、半導体スイッチ14及び16のゲート端子との間に接点接続されている。トランジスタ146に平行に、抵抗器148とダイオード150とZダイオード152とによる直列回路がグランドに接続されると共に導線130に接続されている。ここで、トランジスタ146のベース端子は、抵抗器148とダイオード150との間に接点接続されている。駆動回路38は、グランドに接続されたキャパシタ154をさらに含む。キャパシタ154は、ダイオード148と半導体スイッチ14及び16のゲート端子との間に接点接続されている。
【0063】
半導体スイッチ14及び16を過電圧による損傷又は破壊から保護するために、バリスタ156が、端子10と12との間に結合されている。
【0064】
半導体スイッチ14及び16のターンオンプロセスのために、正の電圧パルスが二次信号Bとして、負荷回路22に送信される。この正の電圧によって、トランジスタ134はオンされる。二次信号Bの(電圧)振幅が十分に高い場合、電流が、抵抗器140及びZダイオード138を通って、並びに、トランジスタ134及びダイオード136を通って流れる。抵抗器140において十分に高い電圧が降下すると、具体的にはPNPトランジスタとして実施されたトランジスタ142がオンされるので、キャパシタ154及び半導体スイッチ14及び16のゲートは、充電される。これによって、これらの半導体スイッチ14、16は、導電状態に切り替えられ、電流が端子10及び12を通って流れることが可能になる。
【0065】
通常、駆動回路38は、二次信号Bの振幅が所定の閾値以上になって初めてオンされるので、キャパシタ154は、変圧器20がフリーホイール位相にある間は放電されない。動作中に定期的に伝達される電圧パルスにより、キャパシタ154は定期的に再充電され、その結果、半導体スイッチ14及び16は、常に確実に導電状態にされる。ここでダイオード144は、変圧器20がフリーホイール位相にある間にキャパシタ154が放電されることを阻止する。
【0066】
半導体スイッチ14及び16のターンオフプロセスでは、負の電圧パルスが二次信号Bとして負荷回路22に送信される。二次信号Bが十分に高い負の(電圧)振幅を有するならば、電流が、抵抗器148とダイオード150とZダイオード152とを通って流れる。抵抗器148において十分に高い電圧が降下すると、具体的にはNPNトランジスタとして実施されたトランジスタ146がオンされるので、キャパシタ154、並びに、半導体スイッチ14及び16のゲートは、負の電圧に再充電される。これによって、半導体スイッチ14及び16は、非導電に切り替えられ、端子10及び12を通る電流は遮断される。この負の電圧を用いた制御により、半導体スイッチ14及び16が特に素早くかつ信頼性を有してオフされることが確保される。
【0067】
好適な寸法を有するキャパシタ154では、その容量は、一方では、二次信号Bが比較的短い電圧パルスを有する場合でも完全な充電が確実に行われるように、可能な限り小さくなっている。これによって、半導体スイッチ14及び16のオン制御が不完全であることによりこれらに損傷又は破壊が生じることが阻止される。
【0068】
他方、キャパシタ154の容量は、半導体スイッチ14及び16を制御する駆動信号Gが平滑化されるように、可能な限り大きくなっている。これは、変圧器20がフリーホイール位相にある間、キャパシタ154、並びに、半導体スイッチ14及び16のゲートが寄生抵抗を介して放電可能になるため、都合がよい。
【0069】
さらにキャパシタ154は、過渡電圧が半導体スイッチ14及び16の寄生容量を介して各ゲートに結合された時に、半導体スイッチ14及び16の寄生駆動を妨げる。より高い安全性を実現するために、例えば、半導体スイッチ14及び16のゲートに、常に負の電圧振幅(電圧レベル、電圧値)を有する駆動信号Gが供給されることが想定可能である。
【0070】
遮断器8の運転中は、半導体スイッチ14及び16を流れる電流は、半導体保護回路40によって監視される。電流が所定の閾値を超えると、半導体スイッチ14及び16はオフされる、すなわち遮断状態に切り替えられる。半導体スイッチ14及び16は、半導体保護回路40がオフ信号によりリセットされるまで、オフされた状態で維持される。以下に、半導体保護回路40の構成を、図3−1、図3−2を参照しながらより詳細に説明する。
【0071】
半導体保護回路40は、Zダイオード158と、オーム抵抗器160と、グランドに接続されたキャパシタ162とにより、導線130に接続されている。さらに、半導体保護回路40は、ダイオード164を介して、駆動回路38のトランジスタ134のベース端子に連結されている。ダイオード164は、順方向において、ソース側がグランドに接続されたトランジスタ166のドレイン端子に接点接続されている。トランジスタ166のゲート端子は、トランジスタ168のゲート端子に繋がっている。トランジスタ168は、ソース側においてグランドに接続されており、ドレイン側において、ダイオード148とキャパシタ154の間のダイオード170によって、駆動回路38に接点接続されている。
【0072】
トランジスタ166及び168のゲート端子間において、それぞれ1つのキャパシタ172及び1つのオーム抵抗器174が、グランドに接続されている。トランジスタ166及び168のゲート端子は、さらに、Zダイオード176によって、2つの電流監視回路178a及び178bに繋がっている。電流監視回路178a及び178bは、導線130に結合されている。ここで、電流監視回路178aは、端子10と半導体スイッチ14との間に接点接続されている。これに対応して、電流監視回路178bは、端子12の端子クランプと半導体スイッチ16との間に接点接続されている。
【0073】
電流監視回路178a及び178bは、ほぼ同一に構成されており、以下において、特に、電流監視回路178aの構成について説明する。電流監視回路178a及び178bの互いに対応する部品及び寸法は、それぞれ、参照番号に「a」又は「b」を付加している。
【0074】
電流監視回路178aは、1つのトランジスタ180a、1つのオーム抵抗器182a、3つのダイオード184a、186a、188a、及び、1つのZダイオード190aを含む。トランジスタ180aは、コレクタ側において導線130に接続され、エミッタ側においてZダイオード176の後段に接続されている。トランジスタ180aのエミッタ端子とZダイオード176との間には、ダイオード184aが接続されている。ダイオード186aは、ダイオード184aと、トランジスタ180aのエミッタ端子との間に接続されており、トランジスタ180aのエミッタ端子をそのベース端子に接続している。トランジスタ180aに平行に、抵抗器182aが導線130に接続されている。Zダイオード190a及びダイオード188aによって、抵抗器182a及びトランジスタ180aのベース端子は、端子10と半導体スイッチ14との間の接続箇所に繋がっている。
【0075】
二次信号Bが正の値である場合、キャパシタ162は、Zダイオード158及び抵抗器160を介して充電される。ここで、充電プロセスの時定数により、半導体スイッチ14及び16のターンオンと半導体保護回路40の起動との間の遅延を短くすることが確保される。ここでは、ターンオンして短絡した時にも、半導体スイッチ14及び16が信頼性を有してかつ確実に保護されるように、比較的短い時定数が選択される。Zダイオード158により、二次信号Bが負の電圧振幅を有する場合にキャパシタ162の素早い放電が行われることが確保されるので、半導体保護回路40は、新たなターンオンの場合に起動しない。
【0076】
キャパシタ162は、抵抗器182a、182b、ダイオード184a、184b、及び、Zダイオード190a、190bを介して、半導体スイッチ14又は16のドレイン−ソース路に電流を供給する。Zダイオード190a、190bと、抵抗器182a、182bとの間の電位は、半導体スイッチ14及び16の順方向電圧に相当し、加えて、ダイオード150の飽和電圧及びZダイオード190a、190bの降伏電圧にも相当する。半導体スイッチ14及び16の特性曲線を得ることによって、電流の監視が実現される。具体的には、半導体スイッチ14及び16は、所定の電流値(引外し電流)を超えると、オフされる。
【0077】
抵抗器182a、182bは比較的高抵抗であるので、キャパシタ162は、二次信号Bの再充電インパルスの間に少しだけ放電される。故障時に素早い停止が可能になるように、トランジスタ180a、180bは、引外し時に、インピーダンス変換器として機能する。
【0078】
ダイオード186a、186bは、各トランジスタ180a、180bを保護するためのものである。ダイオード184a及び184bは、ここで、電流監視回路178a及び178bの並列接続を可能にする。
【0079】
Zダイオード176の電圧がその降伏電圧の値まで上昇すると、キャパシタ172や、したがって具体的にはNMOSトランジスタとして実施されたトランジスタ166及び168のゲートは、充電される。この充電電圧が、トランジスタ166及び168の閾値電圧領域の値に達すると、トランジスタ166及び168のドレイン−ソース路は電気的に導通する。その結果、半導体スイッチ14及び16のゲート端子における電位は低減し、これによって、その導電性も低減される。このため、ドレイン−ソース電圧がさらに上昇し、したがって、トランジスタ166及び168のオン制御を高めるように作用する。この正帰還によって、半導体スイッチ14及び16は、信頼性を有して、かつ、確実にオフされる。
【0080】
引外し電流の値は、Zダイオード176を調節することによって上昇させることが可能であり、又は、Zダイオード190a及び190bによって低減させることが可能である。
【0081】
トランジスタ166をオンに制御する時には、トランジスタ134のベース電流は遮断される。このため、トランジスタ142はオンに制御されないので、キャパシタ154の再充電は阻止される。
【0082】
キャパシタ172及び抵抗器174は、(RC)フィルタとして機能し、引外し電流を短時間だけ超えた場合に半導体保護回路40の過電流保護が開始されることを阻止する。
【0083】
本発明は、上述の実施形態に限定されない。同業者はむしろ、本発明の他の変形例にも、本発明の対象から逸脱することなく想到可能であろう。また具体的には、実施形態に関連して記載した全ての各特徴は、別の方法で、本発明の対象から逸脱することなく互いに組み合わせ可能である。
【符号の説明】
【0084】
2 負荷電流回路
4 負荷
6 電源
8 遮断器
10 入力端子
12 出力端子
14,16 半導体スイッチ
18 制御回路
20 変圧器
22 負荷回路
24 不足電圧引外し装置
26 信号増幅器
28 ブリッジ回路
30a,30b ブリッジ部
32 端子
34 一次巻線
36 二次巻線
38 駆動回路
40 半導体保護回路
42 ダイオード
44 キャパシタ
46 電圧分配器
48,50 抵抗器
52 トランジスタ
54 抵抗器
56,58 トランジスタ
60 入力段
62a,62b 増幅段
64 抵抗器
66 キャパシタ
68,70,72 抵抗器
74 導線
76 トランジスタ
78 ダイオード
80,82,84 抵抗器
86,88 ダイオード
90,92 キャパシタ
94,96 トランジスタ
98 ユニット
100a,100b トランジスタ
102a,102b トランジスタ
104a,104b フリーホイールダイオード
106a,106b 抵抗器
108a,108b Zダイオード
110a,110b 抵抗器
112a,112b 電流路
114a,114b キャパシタ
116a,116b 抵抗器
118a,118b ダイオード
120a,120b トランジスタ
122a,122b 抵抗器
124 キャパシタ
126 抵抗器
128 ダイオード
130 導線
132 抵抗器
134 トランジスタ
136 ダイオード
138 Zダイオード
140 抵抗器
142 トランジスタ
144 ダイオード
146 トランジスタ
148 抵抗器
150 ダイオード
152 Zダイオード
154 キャパシタ
156 バリスタ
158 Zダイオード
160 抵抗器
162 キャパシタ
164 ダイオード
166,168 トランジスタ
170 ダイオード
172 キャパシタ
174 抵抗器
176 Zダイオード
178a,178b 電流監視回路
180a,180b トランジスタ
182a,182b 抵抗器
184a,184b ダイオード
186a,186b ダイオード
188a,188b ダイオード
190a,190b Zダイオード
供給電圧
S,Sa,Sb 閾値信号
A 一次信号
B 二次信号/出力電圧
G 駆動信号/動作電圧
図1
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
図4
図5
図6
図7