【実施例】
【0042】
<GATS臨床試験の概要>
題目:日本人非ホジキンリンパ腫患者における、オビヌツズマブ(GA101)SDIの安全性及び忍容性
【0043】
背景:オビヌツズマブ(GA101、G)は、新規の抗CD20モノクローナル抗体である。Gベースの免疫化学療法は、濾胞性リンパ腫(FL)を有する患者(pts)における無増悪生存期間(PFS)において、臨床的に有意義な改善をもたらした(ASH2016、#6)。Gの通常注入(RI)は、約3−4時間かかる。投与時間を短縮することは、患者にとってより利便性があり得る。
【0044】
方法:GATS試験(JapicCTI−152848)は、未治療のCD20陽性非ホジキンリンパ腫を有する患者を含んだ。治療は、Gの8サイクル(C)及びC1−C6におけるCHOP(C1の8日目及び15日目に追加のGを伴う)からなった。SDIはC2から行われ、90分にわたりGが注入された。1次エンドポイントは、SDIの忍容性、薬物動態(PK)、及びサイトカイン放出であった。忍容性は、インフュージョン関連リアクション(IRR)の発生により評価した
【0045】
結果:36人の登録患者中、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を有する19人、FLを有する13人、及び他の組織学所見を有する3人を含む、35人の患者が治療された。全体として、17/35の患者(49%)がIRRを経験した。全てがグレード1/2であり、最も一般的には、C1の1日目(RI)に発生した。2人の患者は、逸脱又はAEのため、C3又はC4からSDIを開始した。SDIにおいて、3件のIRRが観察されたが、全てグレード1であった。C2直後の血清Gレベルは、C8中のそれに類似していた。このことは、PKがC2において定常に達し、投与の短時間化により影響されなかったことを示している。サイトカインの上昇は、初回のG投与注入中に観察されたが、注入終了時に直ちに減少した。
【0046】
結論:90分にわたるGのSDIは、日本人患者において許容された。PKと血清サイトカインプロファイルは、RI下のそれらと同等だった。
【0047】
<GATS臨床試験の詳細な説明>
試験デザインと治療
【0048】
これは、日本で行われた、第II相、多施設、非盲検、単群試験であった。適格な患者は、未治療の組織学的に確認されたCD20陽性B細胞NHL(DLBCL、FL又は辺縁帯リンパ腫);東海岸がん臨床試験グループパフォーマンスステータス0−2;登録日からの余命≧12ヶ月;左心室駆出率≧50%として定義される適正な心血管機能;ヘモグロビン≧9g/dL、絶対好中球数≧1.5×10
9細胞/L、末梢リンパ球<5.0×10
9細胞/L及び血小板数≧75×10
9細胞/Lとして定義される適正な臓器機能;血清ビリルビン、血清クレアチニン及びプロトロンビン時間、又は活性化部分トロンボプラスチン時間が部位特異的上限の≦1.5倍、且つ肝酵素が部位特異的上限の≦2.5倍、を有する、20歳以上であった。患者は、大手術を受けたり、免疫抑制療法、生ワクチン又は他の試験薬を登録前の4週間に受けたりしたことがないことを要求された;直近12週間内のモノクローナル抗体療法は許容されなかった。
【0049】
除外基準には、NHLについての先行治療(結節生検又は局所放射線照射を除く);原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、続発性CNS関連又は軟膜リンパ腫;本試験の結果に影響し得る重篤な感染、他の悪性腫瘍、又は自己免疫疾患の最近(≦4週間)の履歴;リンパ腫以外の症状のためのプレドニゾロン>30mg/日相当の進行中のコルチコステロイド治療;細胞傷害性剤又はリツキシマブ又は任意の他の抗CD20抗体の何らかの先行使用;B型肝炎表面(HBs)抗原、HBs抗体、B型肝炎コア(HBc)抗体、又はC型肝炎ウイルス(HCV)抗体に対する陽性試験;HIV又はヒトT細胞リンパ好性ウイルスI型及び非制御の糖尿病を含めた。明確にワクチン接種に帰するHBs抗体を有し、且つ抗体の状態を問わずB型肝炎ウイルスDNA陽性を検査しなかった患者は、HCV抗体陽性を試験されたがHCV RNA陰性の状態であった患者と同様、登録を許可された。試験は、施設内審査委員会により承認され、且つヘルシンキ宣言及び医薬品の臨床試験の実施に関する基準(Good Clinical Practic)に従って管理された。全ての患者が、書面によるインフォームドコンセントを与えた。
【0050】
治療は、サイクル1の1日目、8日目、及び15日目に1000mgIVとして投与されるオビヌツズマブ、並びにサイクル1−6の1日目に投与される標準的CHOPの、21日サイクルの8回で構成された(
図4)。オビヌツズマブは、サイクル1にRIで(3−4時間)で投与され、次いでサイクル2からSDI基準を満たす患者において、90分のSDIで投与された(
図5)。SDI基準は、RIの速度において患者の安全性を確認するためのものであり、サイクル1における3回のRIの何れにおいてもオビヌツズマブ治療との因果関係を有するグレード≧3のIRRを含めず、且つSDI開始前の末梢血リンパ球数<5.0×10
9細胞/Lを含めた。サイクル2の前にこれらの基準を満たさなかった患者は、続く任意のサイクルで基準を満たす場合にはRIからSDIに移行することもあり得た。
【0051】
標準的CHOPは、1日目のIVによるシクロホスファミド750mg/m
2、ドキソルビシン50mg/m
2、ビンクリスチン1.4mg/m
2、及び1−5日目の経口又はIVによるプレドニゾロン100mg/日で構成された。オビヌツズマブ及びCHOPが同日に投与されるようにスケジュールされた場合、プレドニゾロンがオビヌツズマブ注入に先立って投与された。患者の状態に合わせた用量の減量が許容された。
試験のエンドポイント
【0052】
検査の1次エンドポイントは、サイクル2でSDIを開始した患者におけるサイクル2におけるグレード≧3のIRRの発生、SDI後サイクル2の12日目までのオビヌツズマブの血清濃度及びPKパラメーター、並びに腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、インターフェロンガンマ(IFNγ)、及びインターロイキン6、8、及び10(IL6、IL8、及びIL10)についてのサイトカイン放出の時間経過であった。IRRは、オビヌツズマブに関連すると研究者により判定され、且つ注入の24時間又は24時間内にレポートされた有害事象(AE)として定義された。
【0053】
2次エンドポイントは、全ての他のAE(オビヌツズマブ療法との関係を問わない)、SDIの間にレポートされたIRR、治療終了時の腫瘍反応及び最良反応(フォローアップ中の任意の時点)を含めた。
【0054】
PK分析集団は、サイクル2でSDIによりオビヌツズマブを投与された全ての患者を含めた。各患者のついてのオビヌツズマブのPKパラメーターは、非コンパートメント解析(NCA;Phoenix WinNonlin(登録商標) version 6.4;Certara(登録商標) USA,Inc.)を用いて推定した。次のPKパラメーターが計算された:最大観察血清濃度(Cmax)、0日目から7日目までの血清濃度−時間曲線下面積(AUC
0‐7)、排出半減期(t
1/2)、及び0から最終測定時点までのAUC(AUC
last)。
統計及び分析の方法
【0055】
サンプルサイズは、サイクル2におけるグレード≧3のIRRの発生が5%を超えるであろう真の確率の推定値に基づいた。用いた推定値に従い、1人の患者においてグレード≧3のIRRが存在したと仮定すると、30人の患者が募集された場合、IRRの確率が5%を超える可能性は2.2%となる。この数字は、20%の患者がSDIへの移行をすることができないと仮定すると36に上昇した。従ってサンプルサイズは、36人の患者に設定された。
【0056】
サイクル2におけるグレード≧3のIRRの発生率は、このような反応が発症した患者の数をSDI移行患者の数で割ることより取得された。グレード≧3の発生の確率は、ベイズ法に従い、GATHER試験のサイクル2におけるグレード≧3のIRRの発生を事前分布として用いて決定された。日本人及び非日本人患者の間で、注入速度を問わず、グレード≧3のIRRの発症の確率に差異は推定されなかった。我々は、グレード≧3のIRR発症の真の確率が≦5%であれば、SDIが適切に忍容されると推定した。
【0057】
算術平均、幾何平均、標準偏差、変動係数、中央値、最小及び最大を含む要約統計は、各研究訪問時のサイトカイン濃度について、サイクル2までのSDI移行患者からの血清サイトカイン濃度を用いて計算された。サイトカイン濃度の時間経過も評価された。同様の要約データが、サイクル2の12日目までのSDI移行患者における血清オビヌツズマブ濃度に基づくPKパラメーターについて生成された。NCAが用いられた。サイクル2の血清濃度は、サイクル8での投薬前後に得られた追加のサンプルと比較された。
患者集団
【0058】
全体として、36人の日本人患者が登録され、その内35人が治療された(安全性集団;
図6);28人(80%)が治療の全8サイクルを完了した。3分の1の患者がサイクル2でSDIを開始し(SDI移行患者)、さらに2人の患者が続くサイクルでSDIを開始して(サイクル3で1人とサイクル4で1人)、全33人のSDI移行患者となった。2人の患者がSDI開始前に中止した。十分な治療強度が達成された;オビヌツズマブの中央値用量強度は100%だった。
【0059】
患者の中央値年齢は、66歳であり、試験集団の過半数は、60歳と70歳の間であった(
図7)。約3分の2は男性であり、患者の大部分はDLBCL(54%)又はFL(37%)を有していた。5分の1(20%)の患者は、骨髄障害を有していた。
インフュージョン関連リアクション
【0060】
全体として、17/35の患者(安全性集団の49%)が計21件のIRRを経験した;全てグレード1又は2であり、且つ大半(18/21のIRR(86%))がサイクル1(RI使用)で発生した。SDIに関わるIRRは、サイクル2でのSDI移行患者に発生せず、従って事前分布としてのGATHER試験のデータを用いて推定される、サイクル2でのSDI移行患者におけるグレード≧3のIRRの真の確率が5%のレベルを超えるであろう確率を推定することは不可能だった。さらに無情報事前分布を用いて推定された、サイクル2でのSDI移行患者におけるグレード≧3のIRRの真の可能性が5%のレベルを超えるであろう可能性は、0.05%だった。サイクル6、7、及び8でのSDIの間にIRRを発症した2人の患者のレポートがあり、全てグレード1の重篤度だった(1人の患者がサイクル6で鼻咽頭炎を経験し、もう1人がサイクル7及び8で頭痛を、サイクル7で動悸を経験した)。
他の安全性及び忍容性エンドポイント
【0061】
AEは、35人の患者全てで観察された(
図8)。全ての患者は、治療関連であると研究者に判定される、少なくとも1つのAEを有した。グレード≧3のAEは、30人(80%)の患者で観察され、29人(83%)の患者で治療関連と判定された。血液及びリンパ系障害(好中球減少症、白血球減少症及び血小板減少症)が、治療関連のグレード≧3のAEの中で最も頻繁にレポートされた。重篤なAEは、9人(26%)の患者でレポートされた。全てが治療関連と判定された。
【0062】
試験の間、死に至るAE(グレード5)はなかった。オビヌツズマブ治療は、AEのため、3人の患者で中断された:感染性類皮嚢胞、細気管支炎及び誤嚥性肺炎が各1例。誤嚥性肺炎は、治療関連ではなかった。オビヌツズマブ療法の用量減少や中断に至るAEは、3人の患者で発生し、一方何らかの試験薬の用量減少や中断に至るAEは、9人の患者で発生した。何らかの試験薬物治療の中断に至るAE(n=4)は、好中球減少症、蜂窩織炎、IRR、脳梗塞又は肺炎であった(各1)。何らかの試験薬物治療の用量減少(n=7)は、好中球減少症/好中球数の減少(n=4)、白血球減少症/白血球数減少(n=3)、血小板減少症/血小板の減少(n=3)、アラニンアミノトランスフェラーゼの上昇、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの上昇、末梢性ニューロパチー、末梢性感覚ニューロパチー、又はステロイド離脱症候群(各1)によるものであった。
薬物動態
【0063】
GATS試験におけるSDI移行患者の血清オビヌツズマブ濃度は、GOYA試験における通常注入の患者のそれと同様の時間経過に従った(
図10)。
【0064】
サイクル8における平均血清オビヌツズマブ濃度は、17人の評価可能なSDI移行患者のサイクル2におけるそれと類似していた。このことは、定常状態のPKがサイクル2で達せられ、且つ注入の短時間化により影響されなかったことを示している。AUC
last(AUC
7day)の平均±標準偏差は、サイクル2で4770±898μg日/mL(対してGATHERのサイクル8では3590±1060μg日/mL)だった(
図11)。t
1/2の平均は、15.4±7.55日だった(17人の評価可能なSDI患者に基づく;対してGATHERでは23.0±15日目)。サイクル2の1日目のAUC
last(AUC
11day)値は、6790±1450μg日/mLであり、Cmaxは925±221μg/mLだった。
サイトカイン
【0065】
35人の患者(31人のSDI移行患者含む)全てについて、初回オビヌツズマブ注入の間サイトカイン上昇が観察されたが、続いて注入終了後2−5時間に直ちに減少した(
図12はIL−6のケースを示す)。SDI開始後に、関連性のある変化は観察されなかった。初回のオビヌツズマブ注入後に、CD19陽性B細胞の急速な枯渇もまたみられた。数が<0.07×10
9細胞/Lに減少し、検査期間中このレベルに留まった。
有効性
【0066】
治療終了時のコンピュータートモグラフィーに基づく評価における全奏功率は、FL患者で77%(10/13)及びDLBCL患者で68%(13/19)であった(完全奏功及び部分奏功を含む、
図13)。最良の全奏功は、それぞれ92%(12/13)及び79%(15/19)であった。完全奏効、CR、(陽電子放出トモグラフィースキャンなし)は、治療終了時にFLを有する患者13人中8人(62%)及びDLBCLを有する患者19人中11人(58%)で、最良完全奏功評価ではFLを有する患者13人中8人(62%)及びDLBCLを有する患者19人中12人(63%)で、得られた。
【0067】
本試験は、オビヌツズマブ+CHOP化学療法のSDIの、未治療CD20陽性B細胞NHLを有する患者における忍容性(特にIRRのレート)、PK、及びサイトカイン放出プロファイルを調査することを目的とした。オビヌツズマブ+CHOPに伴うIRRの大多数は、RIが用いられる、治療のサイクル1で観察された。どのグレードのIRRも、サイクル2中には観察されず、2人の患者のみが、続くサイクルで、SDIによるオビヌツズマブ療法の間にIRRを経験したが、全てグレード1であった。
【0068】
IRRの観測率(49%)は、他のRIにより投与されるオビヌツズマブのレポートと一致した。これは直接的な比較ではないが、SDIオビヌツズマブで治療された患者におおいて、IRRのリスクが上昇しないことを示唆する。1202人のFLを有する未治療患者における、オビヌツズマブベース対リツキシマブベースの免疫化学療法の第III相GALLIUM試験では、IRRは、最も一般的な、任意のグレードのAE(オビヌツズマブ化学療法治療患者の68%)及びグレード≧3のAE(オビヌツズマブ化学療法治療患者)であり、通常初回注入時に発生した。同様に、未治療のDLBCLを有する1418人の患者の第III相GOYA試験では、CHOPを伴うオビヌツズマブを投与された患者の45%(任意のグレード)及び10%(グレード≧3)にIRRが発生した。第Ib相GAUDI試験では、IRRは、オビヌツズマブ+CHOPを投与された患者28人中18人(64%)で発生した;この発生は本発明におけるより一般的であるが、IRRは、初回注入に主に限定され、且つ3−4のIRRは稀で、2人の患者(7%)にしか発生しなかった。IRRは、オビヌツズマブが単剤療法として試験されているB細胞悪性腫瘍を有する患者における試験でも顕著であり、反応の大半はグレード1又は2であった。注目すべきことに、オビヌツズマブ+CHOPを受けたDLBCLを有する、主に非アジア人である患者100人のGATHER試験では、120又は90分を超えてSDIを受けた患者において、グレード≧3のIRRは認められなかった。GATHERでみられたIRRのパターンは、GATSに類似し、ほとんど(77%)の反応がサイクル1中(RIが施された)に発生した(
図9)。他の安全性及び忍容性の知見は、GATHER及びGATS集団の間で類似した。新規の安全性シグナルは、本試験で同定されなかった。
【0069】
PK及び血清サイトカインデータは、GATHER試験の結果と同等だった。SDI後のオビヌツズマブへの曝露は、本試験において、GATHERにおけるものと同程度であり、同様のAUC
0−7及びt
1/2値を示した。本試験においてサイクル2の1日目からレポートされたAUC
last値(4770±885μg日/mL)も、Oguraらによりレポートされた、再発性又は難治性B細胞NHLを有する12人の日本人患者における用量決定第I相試験で、サイクル1の8日目にレポートされた、オビヌツズマブ800mgを投与された患者におけるAUC
last値(4190±1190μg日/mL)又は1200mgを投与された患者におけるAUC
last値(6540±1070μg日/mL)と同程度だった。
【0070】
初回注入の際に急速にピークに達し、その後ベースラインレベルに急速に減少し且つ安定化する、炎症性サイトカイン放出のパターンも、以前のレポートと同様であった。再発性低悪性度B細胞NHLを有する175人の患者の第II相GAUSS試験は、オビヌツズマブの初回注入の際に著しく上昇したが続く注入の際に何ら増加することなくベースラインに復帰する、IL−6、IL−8、IL−10、TNFα及びIFNγのピークサイトカインレベルを示した。同様のパターンは、再発性又は難治性CLLを有する33人の患者のコホートにおける第I/II相GAUGUIN試験でレポートされた。我々が注目することは、GAUGUINの著者が注目したように、炎症性サイトカインレベルのこれらの初期の上昇が、GATS及び言及された他の試験における初回治療サイクルの際のIRRのレポート率の増加と一致して生じることである。CD19陽性B細胞応答のパターンも、以前のレポートに類似していた。Oguraらは、注入後のほとんどの患者において1日目に最低点に達する、オビヌツズマブの初回注入後の急速な減少を示した。同様のB細胞の急速な枯渇は、CLLコホート及び低悪性度B細胞NHLコホートにおけるGAUGUINのサイクル1でレポートされた。
【0071】
DLBCLを有する患者における治療終了時の全奏効率及び完全奏功率(それぞれ68及び58%)は、SDIがDLBCLを有する患者にも用いられたGATHERで得られたそれら(それぞれ82及び55%)と同程度だった。比較のための、SDIを用いてオビヌツズマブで治療したFL患者における奏功率についての入手可能なデータは、まだない。
【0072】
本試験の限界は、患者集団が小規模なことにある;今回得られた結果は、日本人患者及びSDIによる治療進行中の日本人患者双方において、以前の知見と一致するようにみえるが、オビヌツズマブSDIの安全性を厳密に評価するためには、より大規模の試料が必要とされるであろう。我々は、GATS試験が、例えば患者がCHOPに加えてRIによりオビヌツズマブのサイクルの通常のフルセットを投与されるような対照群を欠くことにも、言及する。
【0073】
結論として、SDIにより投与されるオビヌツズマブは、今回の日本人患者コホートにおいて良好に忍容された(
図14)。SDIに関連するIRRは、治療の第2サイクル(すなわち初回SDIサイクル)で観察されなかった;少数のIRRが後のサイクルでSDIに観察されたが、忍容され且つ制御され得るものだった。IRRのレートは、RIにより投与されるオビヌツズマブの他の試験からの知見と一致しており、オビヌツズマブがSDIで投与される際に、IRRのリスクが上昇しないことを示している。全体として、これらの知見は、オビヌツズマブがSDIにより安全に投与され得ることを示唆する。