(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6860685
(24)【登録日】2021年3月30日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】ウェアラブルデバイス
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/22 20060101AFI20210412BHJP
H01Q 13/10 20060101ALI20210412BHJP
G04R 60/10 20130101ALI20210412BHJP
G04G 21/04 20130101ALI20210412BHJP
【FI】
H01Q1/22 Z
H01Q13/10
G04R60/10
G04G21/04
【請求項の数】12
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2019-543974(P2019-543974)
(86)(22)【出願日】2017年6月8日
(65)【公表番号】特表2020-509678(P2020-509678A)
(43)【公表日】2020年3月26日
(86)【国際出願番号】CN2017087605
(87)【国際公開番号】WO2018149060
(87)【国際公開日】20180823
【審査請求日】2019年9月25日
(31)【優先権主張番号】201710084524.7
(32)【優先日】2017年2月16日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100140534
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】▲鐘▼ ▲レイ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 彩文
【審査官】
鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−193416(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第104536288(CN,A)
【文献】
国際公開第2012/108433(WO,A1)
【文献】
中国実用新案第204668449(CN,U)
【文献】
特開2003−318622(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/058230(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0245184(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00−25/04
G04G 3/00−99/00
G04R 20/00−60/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製ベゼルと、
非金属製背面カバーと
を含むウェアラブルデバイスであって、
前記非金属製背面カバーは前記金属製ベゼルとスロットを介して結合されていると共に、内面がめっき層を有し、且つ前記めっき層と前記金属製ベゼルとがスロットアンテナを形成し、
前記非金属製背面カバーはセラミック製背面カバーを備えているウェアラブルデバイス。
【請求項2】
前記非金属製背面カバーが、
プラスチック製背面カバーまたはガラス製背面カバーを含む、請求項1に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項3】
前記めっき層の材料が、
金属または非金属の導電材料を含む、請求項1または2に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項4】
前記めっき層の前記材料が、
金属銀を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項5】
前記ウェアラブルデバイスがスマートウォッチである、請求項1から4のいずれか一項に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項6】
ウェアラブルデバイスであって、
金属製ハウジングと、
非金属製ハウジングであって、前記非金属製ハウジングが人体と接触する前記ウェアラブルデバイスの一部である非金属製ハウジングと、
を備え、
前記非金属製ハウジングは前記金属製ハウジングとスロットを介して結合されていると共に、内面がめっき層を有し、且つ前記めっき層と前記ウェアラブルデバイスの前記金属製ハウジングとがスロットアンテナを形成する、非金属製ハウジング
を含み、
前記非金属製ハウジングはセラミック製ハウジングを備えているウェアラブルデバイス。
【請求項7】
前記非金属製ハウジングが、
プラスチック製ハウジングまたはガラス製ハウジングを含む、請求項6に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項8】
前記めっき層の材料が、
金属または非金属の導電材料を含む、請求項6または7に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項9】
前記めっき層の前記材料が、
金属銀を含む、請求項6から8のいずれか一項に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項10】
前記ウェアラブルデバイスがスマートウォッチである、請求項6から9のいずれか一項に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項11】
タッチスクリーンと、金属製ベゼルと、非金属製背面カバーと、1つまたは複数のプロセッサと
を含むウェアラブルデバイスであって、
前記タッチスクリーンと前記金属製ベゼルと前記非金属製背面カバーとが空間を形成し、前記プロセッサと前記1つまたは複数のメモリとが前記空間に配置されており、
前記非金属製背面カバーは前記金属製ベゼルとスロットを介して結合されていると共に、内面がめっき層を有し、且つ前記めっき層と前記金属製ベゼルとがスロットアンテナを形成し、
前記非金属製背面カバーはセラミック製背面カバーを備えているウェアラブルデバイス。
【請求項12】
前記非金属製背面カバーが、プラスチック製背面カバーまたはガラス製背面カバーを含む、請求項11に記載のウェアラブルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、2017年2月16日付で中国特許庁に出願された、「SMARTWATCH」という名称の中国特許出願第201710084524.7号の優先権を主張するものである。
【0002】
本出願は、通信分野、特にウェアラブルデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
現在、スマートウォッチやスマートバンドなど、多くの種類のウェアラブルデバイスがある。例としてスマートウォッチを用いる。スマートウォッチはアンテナを備え、スマートウォッチの様々な機能を果たすためにアンテナを介して外部信号が受信される。
図1に一般的なスマートウォッチのアンテナレイアウトを示す。スマートウォッチのアンテナは通常スロットアンテナである。スロットアンテナは、金属製ベゼルと金属製背面カバーとの間のスロットを使用して実装される。
図2に示されるように、アンテナ給電点はウォッチラグの近くに位置する。言い換えると、既存のスマートウォッチの場合、スロットアンテナの設計は、金属製ベゼルと金属製背面カバーとを使用してハウジングに実装される。
【発明の概要】
【0004】
研究中、ウェアラブルデバイスが金属製背面カバーを使用している場合、金属は肌に優しくないため、ウェアラブルデバイスの快適さが低いことが判明した。快適さを目的として金属製背面カバーの代わりに非金属製背面カバーを使用する場合、金属製ベゼルと非金属製背面カバーとの間にスロットアンテナを形成することができない。これによりウェアラブルデバイスの無線伝送性能が大幅に低下する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願では、ウェアラブルデバイスにおいて快適さと無線伝送性能とがどのように統合されるかを解決するために、ウェアラブルデバイスを提供する。
【0006】
前述の目的を達成するために、本出願では以下の技術的解決策を提供する。
【0007】
本出願の第1の態様は、金属製ベゼルと非金属製背面カバーとを含むウェアラブルデバイスであって、非金属製背面カバーの内面がめっき層を有し、めっき層と金属製ベゼルとがスロットアンテナを形成する、ウェアラブルデバイスを提供する。金属製背面カバーと比較して、非金属製背面カバーはより肌に優しく、したがってより快適に装着できる。加えて、非金属製背面カバーは金属製ベゼルとスロットアンテナを形成するめっき層を有するので、ウェアラブルデバイスは正常な無線伝送性能を有する。このようにして、ユーザの快適さと無線伝送性能とがスマートウォッチにおいて統合される。
【0008】
一実施態様では、非金属製背面カバーはセラミック製背面カバーを含む。金属製背面カバーと比較して、セラミック製背面カバーはより肌に優しく、より快適である。
【0009】
一実施態様では、非金属製背面カバーはプラスチック製背面カバーまたはガラス製背面カバーを含む。
【0010】
本出願の第1の態様は、非金属製ハウジングであって、非金属製ハウジングが、人体と接触するウェアラブルデバイスの一部であり、非金属製背面カバーの内面がめっき層を有し、めっき層とウェアラブルデバイスの金属製ハウジングとがスロットアンテナを形成する、非金属製ハウジングを含む、ウェアラブルデバイスを提供する。
【0011】
一実施態様では、非金属製ハウジングはセラミック製ハウジングを含む。
【0012】
一実施態様では、非金属製ハウジングはプラスチック製ハウジングまたはガラス製ハウジングを含む。
【0013】
一実施態様では、めっき層の材料が金属または非金属の導電材料を含む。
【0014】
一実施態様では、めっき層の材料は金属銀を含む。銀のインピーダンスが低いので、非金属製背面カバーの内面に金属銀が付加される。金属銀のめっき層は、スマートウォッチがより良い無線性能を有することを保証し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】スマートウォッチのアンテナ位置の概略図である。
【
図2】スマートウォッチのアンテナ給電点の概略図である。
【
図3】本出願の一実施形態によるスマートウォッチの概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本出願の実施形態はウェアラブルデバイスを提供する。本ウェアラブルデバイスはスマートウォッチ、バンドなどであり得る。以下の説明ではスマートウォッチを例として用いる。
【0017】
図3は、本出願の一実施形態によるスマートウォッチの概略構造図である。本スマートウォッチは、金属製ベゼルと非金属製背面カバーとを含む。非金属製背面カバーの内面がめっき層を有する。非金属製背面カバーの内面のめっき層と金属製ベゼルとはスロットアンテナを形成する。
【0018】
図4に、金属めっき層と金属製ベゼルとを使用してスロットアンテナを形成する原理を示す。アンテナ等価原理によれば、非金属媒質の表面に金属層が配置され、配置された金属層は金属体のアンテナ効果と本質的に等価のアンテナ効果を有する。したがって、本出願の本実施形態では、非金属製背面カバーの内面に金属めっき層が付加される。金属めっき層と金属製ベゼルとはスロットアンテナを形成するので、金属めっき層を備えた非金属製背面カバーは金属製背面カバーのアンテナ効果と本質的に等価のアンテナ効果を有する。さらに、金属めっき層を備えた非金属製背面カバーと金属製ベゼルとによって形成されたスロットアンテナは、金属製背面カバーと金属製ベゼルとによって形成されたスロットアンテナと等価である。
【0019】
本出願の本実施形態では、スマートウォッチは非金属製背面カバーを使用する。金属製背面カバーと比較して、非金属製背面カバーはより肌に優しく、したがってより快適に装着できる。加えて、非金属製背面カバーは金属製ベゼルとスロットアンテナを形成するめっき層を有するので、ウェアラブルデバイスは正常な無線伝送性能を有する。本実施形態ではユーザの快適さと無線伝送性能とがスマートウォッチにおいて統合されることが分かる。
【0020】
任意選択で、めっき層の材料は金属銀である。銀のインピーダンスが低いので、非金属製背面カバーの内面に金属銀が付加される。金属銀のめっき層は、スマートウォッチがより良い無線性能を有することを保証し得る。当然ながら、めっき層の材料は、代替として、銅、金、もしくは別の金属高導電性材料であってもよく、または非金属導電材料であってもよい。
【0021】
任意選択で、
図3に示されるスマートウォッチの背面カバーはセラミックであり得る。金属製背面カバーと比較して、セラミック製背面カバーはより肌に優しく、より快適である。工業設計効果の観点では、背面カバーに全プラスチック材料を選択するとスマートウォッチが安っぽくなる。人間の感覚の面から見ると、金属製背面カバーは肌に優しくなく快適でもない。セラミック製背面カバーは全プラスチック製背面カバーと金属製背面カバーの両方の欠点を克服する。当然ながら、非金属製背面カバーの材料は、代替として、プラスチック、ガラス、または別の非金属材料であってもよい。
【0022】
実験により、その内面が金属銀めっき層を有するセラミック製背面カバーを備えたスマートウォッチの信号送受信性能は、金属製ベゼルと金属製背面カバーとを備えたスマートウォッチの信号送受信性能と本質的に等価であることが判明している。
【0023】
明らかに、スマートウォッチのセラミック製背面カバーの内面に金属銀めっき層を配置することにより、非金属製背面カバーと金属製ベゼルとの組み合わせの結果として生じるウェアラブルデバイスの無線性能低下の問題が解決される。加えて、人間の感覚の面で、ウェアラブルデバイスにおいて肌への優しさと快適さが統合される。
【0024】
非金属製背面カバーの内面に付加された金属シートと比較して、非金属製背面カバーの内面に付加された金属めっき層は、均一かつ確実に付着させることができる。加えて、金属めっき層は、背面カバーの内壁全体を覆うことができる。非金属製背面カバーが曲面である場合、めっき層の背後の内壁上によりよい三次元構造を形成し、スマートウォッチの工業設計の完全性を維持することができる。任意選択で、めっき層の形状は様々な工業要件に応じて設計され得る。
【0025】
他のスマートウォッチ以外のウェアラブルデバイスでも、同様に、ウェアラブルデバイスの快適さを改善するために、非金属材料のハウジングが人体と接触するためのハウジングとして使用される。例えば、人体と接触するスマートバンドのハウジングはセラミック製ハウジングである。さらに、ハウジング材料の代用に起因するデバイスの信号受信性能低下を回避するために、アンテナ性能を高めるために使用されるめっき層が、非金属製ハウジングの内面に配置され得る。