(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の導電性要素は、層状相互接続部、Z軸導電性テープ、銀ペースト、銅ペースト、銀めっきをした銅層、炭素層、導電性エポキシ樹脂、導電性ポリマー、電極、パッド、リード線、配線、ビア、ケーブル、または信号層である、請求項1に記載のVSDM構成。
前記基板は、PCB、PCBの単一層または複数の層のセット、半導体デバイスのパッケージ、LED基板、集積回路(IC)基板、インターポーザー、2つ以上の電子部品、デバイスまたは基板を接続するプラットホーム、積層パッケージングフォーマット、インターポーザー、ウェーハ−レベル・パッケージ、パッケージ・イン・パッケージ、システム・イン・パッケージ、または少なくとも2つのパッケージもしくは基板を積み重ねた組み合わせである、請求項1に記載のVSDM構成。
前記電子デバイスは、携帯電話機、電子タブレット、電子リーダー、モバイルコンピュータ、デスクトップコンピュータ、サーバーコンピュータ、テレビジョンセット、ビデオディスプレイ、音楽プレーヤー、パーソナル健康管理デバイス、発光ダイオード(LED)、少なくとも1つのLEDを備えるデバイス、または照明モジュールである、請求項5に記載のVSDM構成。
前記回路素子は、抵抗、インダクタ、キャパシタ、フェロイック回路素子、フェロイックVSDM回路素子、ダイオード、トランジスター、フィルタ、およびインピーダンスを有する層状相互接続部のうち少なくとも1つを備える、請求項1に記載のVSDM構成。
基板と、垂直スイッチング電圧で切替可能な誘電体材料(VSDM)構成と、を備える電子デバイスであって、前記VSDM構成は、前記基板に包含され、前記基板は、3つの異なる水平層を備え、前記VSDM構成は、
a.第1の前記水平層に配置された第1の導電性要素と、第2の前記水平層に配置された第2の導電性要素と、
b.特性電圧と垂直方向の厚さとを有するVSDM構造であって、第3の前記水平層に配置されている前記VSDM構造と、
c.前記VSDM構造と前記第1の導電性要素及び前記第2の導電性要素の少なくとも一方との間に配置された層状相互接続部であり、前記VSDM構造と前記第1の導電性要素及び前記第2の導電性要素の少なくとも一方との間の境界における断面導通領域を増大するように構成された層状相互接続部と、
d.前記基板に少なくとも部分的に埋め込まれ、前記第1の導電性要素に接続されて前記VSDM構造から分離されて、インピーダンスを有する回路素子と、を備え、
e.前記VSDM構造は、前記特性電圧を超えるESDパルスに応答して、垂直方向の厚さにわたり実質的に導電性となり、VSDM構成は、前記電子デバイスにESD保護を提供し、ビアは前記基板に垂直に延伸し、前記第1の前記水平層における前記第1の導電性要素と前記第2の前記水平層における前記第2の導電性要素との間の電気的接点になり、前記VSDM構成から分離されている電子デバイス。
前記電子デバイスは、携帯電話機、電子タブレット、電子リーダー、モバイルコンピュータ、デスクトップコンピュータ、サーバーコンピュータ、テレビジョンセット、ビデオディスプレイ、音楽プレーヤー、パーソナル健康管理デバイス、発光ダイオード(LED)、少なくとも1つのLEDを備えるデバイス、照明モジュール、サテライト、または航空機器である、請求項8に記載の電子デバイス。
前記第1の導電性要素は、層状相互接続部、Z軸導電性テープ、銀ペースト、銅ペースト、銀めっきをした銅層、炭素層、導電性エポキシ樹脂、導電性ポリマー、電極、パッド、リード線、配線、ビア、ケーブル、または信号層である、請求項8に記載の電子デバイス。
前記基板は、PCB、PCBの単一層または複数の層のセット、半導体デバイスのパッケージ、LED基板、集積回路(IC)基板、インターポーザー、2つ以上の電子部品を接続したプラットホーム、デバイスまたは基板、積層パッケージングフォーマット、インターポーザー、ウェーハ−レベル・パッケージ、パッケージ・イン・パッケージ、システム・イン・パッケージ、または少なくとも2つのパッケージもしくは基板を積み重ねた組み合わせである、請求項8に記載の電子デバイス。
前記回路素子は、抵抗、インダクタ、キャパシタ、フェロイック回路素子、フェロイックVSDM回路素子、ダイオード、トランジスター、フィルタ、またはインピーダンスを有する層状相互接続部のうち、少なくとも1つを備える、請求項8に記載の電子デバイス。
前記第1の導電性要素は、層状相互接続部、Z軸導電性テープ、銀ペースト、銅ペースト、銀めっきをした銅層、炭素層、導電性エポキシ樹脂、導電性ポリマー、電極、パッド、リード線、配線、ビア、ケーブル、または信号層である、請求項14に記載のVSD材料構造。
前記基板は、PCB、PCBの単一層または複数の層のセット、半導体デバイスのパッケージ、LED基板、集積回路(IC)基板、インターポーザー、2つ以上の電子部品を接続したプラットホーム、デバイスまたは基板、積層パッケージングフォーマット、インターポーザー、ウェーハ−レベル・パッケージ、パッケージ・イン・パッケージ、システム・イン・パッケージ、または少なくとも2つのパッケージもしくは基板を積み重ねた組み合わせである、請求項17に記載のVSD材料構造。
前記電子デバイスは、携帯電話機、電子タブレット、電子リーダー、モバイルコンピュータ、デスクトップコンピュータ、サーバーコンピュータ、テレビジョンセット、ビデオディスプレイ、音楽プレーヤー、パーソナル健康管理デバイス、発光ダイオード(LED)、少なくとも1つのLEDを備えるデバイス、または照明モジュールである、請求項19に記載のVSD材料構造。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書は、様々な実施形態の特徴を特定する特許請求の範囲を最後に記述しているが
、本発明は、図面および図面に関係する以下の説明を考慮することでよりよく理解するこ
とができ、図面において同じ部品や部材には同一の参照番号が使用されている。
【0011】
ここに開示される様々な実施形態にしたがった、基板デバイス、電子部品及び/または
電子デバイスのESDおよび他の過電圧事象に対する保護には、電圧で切替可能な誘電体
材料(「VSD材料」または「VSDM」という)をそれぞれの基板及び/またはデバイ
スに組込むことが含まれ得る。当業者は、過電圧事象には複数の事象が包含されることを
認識する一方、本願書類では、ESD(静電気放電)は、通常、過電圧事象を説明するの
に使用され得る。
【0012】
ある実施形態では、VSD材料は、ESD信号の少なくとも一部がデバイスを経由して
アースまたは他の所定の位置に流れるように構成される層または他の構造としてデバイス
に埋め込まれる。
【0013】
ある実施形態では、フィルタ等の回路素子は、ESD事象により発生する高周波電圧成
分が電子部品に届くことを防ぐために垂直スイッチングVSDM構成と電子部品との間に
配置される。この回路素子は、層、構造、またはビアとして基板デバイスの中に埋め込む
ことができ、あるいは表面実装部品として基板に取り付けることができる。
【0014】
ここで開示される様々な実施形態にしたがったVSD材料は、電圧の関数として非線形
抵抗を示す材料である。VSD材料は、非線形抵抗を示す一方、非線形抵抗を示す全ての
材料がVSD材料というわけではない。例えば、温度の関数として抵抗値が変化するが電
圧の関数としては抵抗値が実質的に変化しない材料は、ここで開示する実施形態の目的の
ためのVSD材料としては考えない。様々な実施形態においては、VSD材料は、電圧お
よび追加の動作パラメータ(電流、エネルギー場の密度、光または他の電磁放射入力、及
び/または他の類似のパラメータ等)の関数として、非線形抵抗が変化することを示す。
【0015】
VSD材料により示される、電圧の関数としての抵抗値の変化には、高抵抗の状態から
低抵抗の状態への遷移が含まれる。この遷移は特定の電圧値において生じ、この電圧値は
、「特性電圧」、「特性電圧レベル」、「動作過電圧」または「動作過電圧レベル」と様
々に呼ばれ得るものである。「特性電圧」は、VSD材料の様々な構成により異なり得る
が、所与の配合組成に対して比較的安定である。特定の配合組成に対する特性電圧は、電
圧とともに追加のパラメータ(温度及び/または光、赤外線、紫外線、またはマイクロ波
を含む様々な波長での入射する電磁エネルギー等)の関数であり得る。
【0016】
所与のVSD材料組成に対して、特性電圧は、単位長さあたりの電圧(例えば、1ミル
あたりのボルト(V/ミル)、1マイクロメータあたりのボルト(V/um)等)を単位
として表現される対応する「特性電場」または「特性場」の観点で定義することができる
。
【0017】
特に指定がない限り、用語「VSD材料の構造」、「VSD材料構造」または「VSD
M構造」は、電気的スイッチング機能を実行することができる特定の物理的な寸法を有す
るどのような量のVSD材料をも意味するものとする。VSD材料の構造の例には、VS
D材料の層(基板の上に配置されたか、独立層として硬化させたかいずれであっても)、
2つ以上の電極の間でこれらの電極と境を接するある量のVSD材料、2つ以上の絶縁構
造もしくは半導体構造と境を接するある量のVSD材料、または十分に大きな電圧変化に
応答して実質的に非導電状態と実質的に導電状態との間で切り替えることのできる、その
他の要素またはVSD材料の構成が含まれる。
【0018】
ある実施例では、VSD材料構造は、第1の特性電圧を有するある量の第1のVSD材
料が、第1の特性電圧とは異なる特性電圧を有する2つの他の量のVSD材料との間で境
を接することにより製造され得る(この2つの他の量のVSD材料の特性電圧は、互いに
等しくても等しくなくてもよい)。
【0019】
ある実施例では、VSD材料構造は、第1の特性電圧を有するある量のVSD材料が、
(a)異なる特性電圧を有するある量のVSD材料と、(b)1つ以上の電極、絶縁構造
、及び/または半導体構造との間で境を接することにより製造され得る。
【0020】
VSD材料構造のある例は、銅箔の上に配置された(しかし銅箔を除く)VSD材料の
層である。VSD材料の層と銅箔の両方を備える化合物構成は、「VSDM構成」と表わ
される。VSDMのより複雑な構成は以下に説明する。
【0021】
VSD材料構造の他の例は、PCB内の水平層として配置されたVSD材料のコーティ
ング、薄板または他の層であり、PCBの二つの隣接する水平層の間にあって境を接して
いる(すなわち、VSD材料構造の上に水平層、およびVSD材料構造の下に水平層)。
このVSD材料構造およびこれと境を接する2つの水平層の両方を備える化合物構成は、
VSDM構成の1つの例である。
【0022】
VSD材料構造の他の例はPCB内で水平層に配置されたある量のVSD材料であり、
PCBの同じ水平層内に配置された4つの構造の間でこれらと境界を接し(例えば、長方
形のVSD材料構造の輪郭を構成する4つのエッチングされたチャネル)、そして2つの
隣接した水平層内に配置された2つの電極の間でこれらと境界を接する(例えば、上に導
電層、下に絶縁層)。このVSD材料構造と境界を接する4つの構造と2つの電極の両方
を備える化合物構成は、VSDM構成の一例である。
【0023】
電圧が印加された2つのポイントの間の距離が分かっているVSD材料の構造(例えば
、電圧がVSD材料の層の厚さにわたり、またはVSD材料構造の他のギャップにわたり
、印加されたとき、)に対して、特性電圧は、特定の電圧値として規定し得る(例えば、
このVSD材料構造の特性電圧は、ボルトを単位として特定の値として特定し得る)。
【0024】
したがって、VSD材料構造の特性電圧は、単位長さ当たりの電圧値として表現される
特性電場を単位として定義され得る、またはVSD材料がある知られた寸法特性を有する
特定の容積をもつものとしてみなされるときに(例えば、電圧スイッチングが起こり得る
特定の厚さの部分をもつVSD材料構造)、特定の電圧値として表現される特性電圧とし
て定義され得る。様々な文脈において、本特許の発明の詳細な説明で様々な実施形態に関
してVSD材料の特性場または特性電圧に言及することがあり、各ケースにおいて対応す
る特性場(単位長さ当たりのボルトを単位として)または特性電圧(ボルトを単位として
)は、VSD材料の各構造の寸法を考慮に入れることにより適切な変換を行って取得され
得る。例えば、VSD材料構造内に生じる一様な特性電場のために、VSD材料構造の特
性電圧は、このVSD材料の特性場(V/ミル)にスイッチングが生じる範囲の対応する
ギャップ(ミルを単位として)を乗算することにより取得され得る。より一般的な意味で
は、VSD材料構造内で生じる一様でない特性電場については、このVSD材料構造の特
性電圧は、このVSD材料の特性場をスイッチングが起きるギャップにわたり積分するこ
とにより得ることができる。ある実施形態では、VSD材料のある構成およびスイッチン
グが起こり得るギャップの物理特性に対して、このようなギャップにわたるVSD材料の
特性電圧は、各ギャップのサイズと直接的にまたは線形的に関連付けられていないことが
あり得る(例えば、このような実施形態では、各特性電圧は、直接の測定またはより複雑
なシミミュレーションまたは近似により評価され得る)。
【0025】
一般に、VSD材料構造の特性電圧は、電圧が印加される2つのポイントの間に配置さ
れたVSD材料構造の量、断面積、体積、深さ、厚さ、幅及び/または長さの関数であり
得る。そして場合により、相対的な形状、配置、密度変化、VSD材料構造に関連する他
の類似する変数の関数でもあり得る。
【0026】
VSD材料は、特性電圧レベルより低い電圧では実質的に非導電性(すなわち、実質的
に絶縁性)であり、この場合、実質的に絶縁体または誘電体として振舞う。この状態は実
質的に非導電状態または絶縁状態であるといわれ得る。VSD材料の特性電圧レベルより
低い電圧は、低電圧(少なくとも特性電圧レベルより高い電圧に対して)といわれ得る。
このように特性電圧レベルより低い電圧で動作する状態では、1つ以上の実施形態で提供
されるVSD材料は、半導体製造処理における基板として機能するのに適している半導体
材料と同様に、半導体の特性を有すると解釈され得る。様々な実施形態にしたがって、V
SD材料は、電圧の大きさが特性電圧レベル未満であるときは正電圧および負電圧のいず
れに対しても実質的に絶縁体として振る舞い得る。
【0027】
その特性電圧レベルより高い電圧で、ここに開示された様々な実施形態にしたがって、
VSD材料は、実質的に電気抵抗をもたない、または比較的抵抗値が低い導電体として振
る舞う。これは、実質的に導電状態といわれる。特性電圧レベルを超える電圧は、高い電
圧といわれる。VSD材料は、電圧の大きさが特性電圧レベルを超えるとき、正電圧であ
っても負電圧であっても導電性を有する、または実質的に導電性を有する。特性電圧は、
印加される電圧の極性に依存して正にも負にもどちらにもなり得る。その特性電圧を超え
る電圧に応答してVSD材料が実質的に導電性となるとき、VSD材料は「スイッチオン
」になるといわれ得る。その特性電圧を超える電圧が除去された後、VSD材料が実質的
に非導電性となったとき、VSD材料は、「スイッチオフ」になったといわれる。VSD
材料がスイッチオンまたはスイッチオフになるとき、VSD材料は単に「スイッチする」
といい得る。
【0028】
理想的なモデルでは、ここに開示される様々な実施形態で提供されるVSD材料の動作
は、特性電圧未満の電圧で無限の抵抗を有するものとし、特性電圧を超える電圧ではゼロ
の抵抗を有するものとして近似される。しかし、普通の動作状態では、このようなVSD
材料は、特性電圧未満の電圧のときに通常高い抵抗であるが無限大ではなく、有限の抵抗
値をもち、特性電圧を超える電圧のときは低い抵抗ではあるが0ではない抵抗値を有する
。例として、特定のVSD材料に対して、低い電圧における抵抗値の高い電圧における抵
抗値に対する比は、大きな値に近づくことが期待され得る(例えば、10
3、10
6、1
0
9、10
12またはそれ以上の範囲にわたる)。理想的なモデルでは、この比は無限に
大きくなり、または非常に大きい値に近づき得る。
【0029】
ここで開示される様々な実施形態で提供されるVSD材料は、電圧の低い状態と高い電
圧の状態と両方の場合に、動作において高い再現性(すなわち、可逆性)を示す。ある実
施形態においては、VSD材料は、実質的に絶縁体としてまたは誘電体として振る舞う(
すなわち、特性電圧レベル未満の電圧では、実質的に非導電であって非常に高い抵抗また
は実質的に無限大の電気抵抗を示す)。そしてVSD材料は、特性電圧レベルを超える電
圧において動作するときに、スイッチして実質的に導電性となり、特性電圧未満の電圧に
おいて再び実質的に絶縁体または誘電体となる。もし入力電圧レベルが、特性電圧未満の
電圧と特性電圧を超える電圧との間で推移するなら、VSD材料は、これらの2つの動作
状態の間を回数限りなく行ったり来たりし続けることができる。これらの2つの動作状態
の間で推移する間、VSD材料は、一定のレベルのヒステリシスを経験することがあり、
このヒステリシスは、VSD材料の特性電圧レベル、スイッチング応答時間、または他の
動作特性をある程度変化させることがある。
【0030】
ここに開示された実施形態にしたがってVSD材料が実質的に絶縁体であるときの第1
の(より低い)電圧状態と、VSD材料が実質的に導電性であるときの第2の(より高い
)電圧状態との間の推移は、実質的に予測可能であり、信号振幅の限定された包絡線の範
囲内およびスイッチング時間の限定された範囲内にとどめられることが一般に期待される
。理想モデルにおいては、VSD材料が、特性電圧を超えるまで立ち上がる入力ステップ
関数の信号に応答して、実質的に絶縁物状態から実質的に導電体状態へ推移するまでに要
する時間は、ゼロに近似し得る。すなわち、推移は、実質的に瞬間的であると近似し得る
。同様に、理想モデルでは、VSD材料が、特性電圧未満まで落ちる入力ステップ関数信
号に応答して、実質的に導電状態から実質的に非導電状態に推移するまでに要する時間は
およそゼロに近似し得る。この逆の推移も、実質的に瞬間的であると近似し得る。しかし
、通常の動作状態の下では、VSD材料のこれらの推移時間はいずれもゼロではない。一
般に、このような推移時間は小さく、好ましくは可能な限り小さい(例えば、約10
−6
秒、10
−9秒、10
−12秒、またはこれより短い範囲で)。さらなる構造の詳細およ
びVSD材料の特性は、「ステップ電圧応答を有する電圧で切替可能な誘電体材料の構成
およびその製造方法」と題する、2011年1月18日にKosowsky他に特許された米国特
許第7,872,251号に開示されており、その内容は全て参照により本出願書類に組
み込まれるものとする。
【0031】
実質的に導電状態のときに、様々な実施形態にしたがって、VSD材料は、電子部品を
保護するためにそれぞれの回路、基板または電子デバイス内で電気信号をアースまたは他
の所定のポイントに向けることができる。様々な実施形態では、所定のポイントは、アー
ス、仮想アース、シールド、安全用アース端子等である。様々な実施形態にしたがって動
作が行われ及び/またはVSD材料により保護され得るここに開示される電子部品の例に
は、(a)回路素子、回路構造、表面実装された電子部品(例えば、抵抗、キャパシタ、
インダクタ)、PCBまたは他の回路基板、電子デバイス、電子サブシステム、電子シス
テム、(b)任意の他の電気的、磁気的、微小電気機械システム(microelectromechanic
al structure(MEMS))または類似する要素、構造、部品、システム及び/またはデ
バイス、(c)データを処理または送信し、電気信号を用いて動作し、または電気信号に
より損傷を受け得る、任意の他のシステム(d)上記の(a)、(b)及び/または(c
)により特定した既述内容の任意の組み合わせが含まれる。
【0032】
一般に、VSD材料は、損傷を受ける前に、場合により不可逆的に損傷を受ける前に、
高い信号電圧、大電流、およびエネルギーまたは電力レベルが存在する場合に、電流を流
しまたは別の態様で動作する限られた能力を持ち得る。さらに、もし、通常の動作仕様の
範囲内にある電気信号があまりに長い間持続するとVSD材料は損傷を受け得る(例えば
、VSD材料は、このような信号を流す間に温度が上がり最終的に破壊し得る)。例えば
、VSD材料が、10KVの電圧レベルの入力信号に100ナノ秒の間さらすときは、正
常に機能し得るが、もしこの信号が2〜3ミリ秒より長い間印加され続けると損傷し得る
。VSD材料の高いレベルの電圧、電流、電力またはエネルギーに対して損傷しないで耐
える力は、VSD材料の特定の組成物、対応するVSD材料構造の特性(例えば、大きな
物理寸法を有するVSD材料構造は、高い電流密度の電流を流すことができる)、対応す
る回路アーキテクチャ、他のESD保護部品の存在、およびVSD材料が包含されるデバ
イスの特性等の様々な要因に依存し得る。
【0033】
VSD材料は、様々な実施形態にしたがって、高分子複合材料であり、金属、半導体、
セラミックス、および同類のもの等の微粒子の材料を含み得る。様々な実施形態にしたが
って使用され得るVSD材料の組成物の様々な例は、例えば、2010年11月23日に
「ステップ電圧応答を有する電圧で切替可能な誘電体材料の構成、方法、およびその製造
方法」と題して出願された米国特許出願第12/953,309号明細書、2010年7
月7日に「高アスペクト比の粒子を有する電圧で切替可能な誘電体材料のための発光ダイ
オードデバイス」と題して出願された米国特許出願第12/832,040号明細書、2
010年3月3日に「高アスペクト比の粒子を有する電圧で切替可能な誘電体材料」と題
して出願された米国特許出願第12/717、102号明細書、および2011年7月1
9日に「高アスペクト比の粒子を有する電圧で切替可能な誘電体材料のための電子デバイ
ス」と題して特許された米国特許第7,981,325号明細書において説明されている
。
【0034】
様々な実施形態にしたがって、VSD材料は、マトリクス材料およびそのマトリクス
材料内で分散された1種類以上の有機体の粒子及び/または無機の粒子を含み得る。
【0035】
様々な実施形態にしたがってVSD材料に包含されるマトリクス材料の例として、シリ
コンポリマー、フェノール樹脂、エポキシ樹脂(例えば、EPON樹脂828、二官能性
のビスフェノールA/エピクロルヒドリン由来の液状エポキシ樹脂)、ポリウレタン、ポ
リ(メタ)アクリレート、ポリスルホン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリ
ルアミド、ポリミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、酸化ポリフェニレン、ポリスルホ
ン、セラマ(ceramer)(ゾルゲル(solgel)/高分子複合材料)、およびポリフェニレ
ンスルホン等の有機ポリマーが含まれる。マトリクス材料の他の例としては、シロキサン
、およびポリフォスファジン(polyphosphazines)等が含まれる。
【0036】
様々な実施形態にしたがってVSD材料に含まれる粒子の例としては、銅、アルミニウ
ム、ニッケル、銀、金、チタニウム、ステンレス鋼、クロム、他の金属合金、T、Si、
NiO、SiC、ZnO、BN、C(ダイヤモンド、ナノチューブ、及び/またはフラー
レンの形を含む)、ZnS、Bi
20
3、Fe
20
3、Ce0
2、Ti0
2、A1N、お
よび二セレン化インジウムの化合物を含む導電性材料及び/または半導体材料が含まれる
。ある実施形態においては、Ti0
2は、例えばW0
3でドープされてもよいしされなく
てもよく、ドーピングは表面コーティングを含んでもよい。このような粒子は、アスペク
ト比が高い粒子を含めて、またカーボン・ナノチューブ(単層及び/または他層の)、フ
ラーレン、金属ナノロッド、または金属ナノワイヤーを含めて、球形から非常に細長い形
までの形状を有し得る。ナノロッド及び/またはナノワイヤーを形成する材料の例として
は、窒化ホウ素、アンチモン錫酸化物、二酸化チタニウム、銀、銅、錫、および金が含ま
れる。
【0037】
様々な実施形態にしたがってVSD材料に包含されるある粒子は、3:1、10:1、
100:1、および1000:1を上回るアスペクト比を有し得る。より高いアスペクト
比を有する材料は、「高アスペクト比」粒子または「HAR」粒子と呼ばれることがある
。カーボン・ナノチューブは、1000:1かそれ以上のオーダーのアスペクト比を有す
る超HAR粒子の例である。様々な実施形態においてVSD材料に包含され得るより少な
いアスペクト比を有する材料は、カーボンブラック(任意の10:1のオーダーのL/D
)粒子、および炭素繊維(100:1のオーダーのL/D)粒子を含む。
【0038】
様々な実施形態にしたがってVSD材料に包含される粒子は、最も小さい寸法として5
00nmと同じかそれより小さく、またはさらに小さい(例えば、最も小さい寸法は10
0nmまたは50nmである粒子)ことに特徴があるナノスケール粒子を含めて、様々な
大きさを有し得る。
【0039】
様々な実施形態にしたがってVSD材料に包含される粒子は、有機材料を含み得る。V
SD材料内に有機材料を含むことにより、VSD材料において熱膨張係数、熱伝導率の改
良、より良い誘電率の改良、破壊靱性の改良、より良い圧縮強度の改良、および金属への
接着能力の改善が可能となる。様々な実施形態においてVSD材料に包含され得る有機半
導体の例としては、電気的に半導電性のカーボン・ナノチューブおよびフラーレン(例え
ば、C60およびC70)等の炭素の形態を含む。フラーレンおよびナノチューブは、共
有結合した化学基または残基部分を含めるために官能基化されるようにある実施形態にお
いて修飾され得る。様々な実施形態においてVSD材料に包含され得る有機半導体の他の
例として、ポリ-3-ヘキシルチオフェン、ポリチオフェン、ポリアクテレン(polyacteyl
ene)、ポリ(3、4−エチレンジオキシチオフェン(ethylenedioxythiophene)、ポリ
(スチレンスルホン(styrenesulfonate))、ペンタセン、(8−ヒドロキシキノリノラ
ート(hydroxyquinolinolato))アルミニウム(III)、およびN,N'−ジ(di)−[(ナ
フサレニール(naphthalenyl))−N,N'ジフェニル]−l、1'−ビフェニール−4,4'−
ジアミン[NPD]が含まれる。さらに、有機半導体は、チオフェン、アナリン(analine)
、フェニレン、ビニレン、フルオレン、ナフタレン、ピロール、アセチレン、カルバゾー
ル、ピロリドン、シアノ材料、アントラセン、ペンタセン、ルブレン(rubrene)、ペリ
レン、およびオキサディアゾール(oxadizole)のモノマー、オリゴマー、ポリマーから
生じ得る。これらの有機材料の中には、ポリチオフェン等の光活性有機材料があり得る。
【0040】
VSD材料のポリマー組成内での粒子の分布に関して、分布する粒子が「実質的に一様
に」とは、それぞれの粒子が材料内で平均的に一様に分布する及び/またはランダムに分
布することを意味するが、しかしポリマー組成の限られた一部分においてこのような粒子
の組成の不均一な及び/またはランダムでない凝集が確かに起こり得る。実際、広範囲な
混合を行った後でさえも、VSD材料内である限られた容積内でこのような粒子の凝集が
起こる確率が通常ゼロではなく、VSD材料が基板に配置される前に、基板上に配置され
た後(例えばスルーコーティング)に、液体もしくは半液体の状態の時に、及び/または
VSD材料が硬化した後(基板上または他の状態のいずれの状態でも)を含めて、VSD
材料の全ての段階でこの現象が起こり得る。しかし、全体としてみれば、VSD材料の全
量(またはこのようなVSD材料の十分に大きな一部分)を考慮した時に、粒子のそれぞ
れは混合物内で一様に及び/またはランダムに分布しているとみなすことができ、VSD
材料それぞれの挙動をモデル化する際に、粒子は、一様に及び/またはランダムに分布し
ているものとしてモデル化してもよい。
【0041】
様々な実施形態では、VSD材料と接触する2つの電極の間に配置されたVSD材料構
造の特性電圧は、これらの電極間の距離が小さいほど、小さくなる。VSD材料が十分大
きな電圧の変化に応答して実質的に導電性の状態と実質的に非導電性の状態との間でスイ
ッチすることができる電極間の距離は、「厚さ」、「有効な厚さ」、「ギャップ」、「ス
イッチングギャップ」、または「有効ギャップ」と表示され得る。もし2つの電極が1つ
の実質的に水平面に配置されていれば、VSD材料構造に対する有効ギャップは、水平方
向であると考えることができ、もし2つの電極が異なる垂直面に配置されていれば、及び
/または、もし電圧スイッチングが主として垂直方向に生じるならば、VSD材料構造に
対する有効ギャップは、垂直方向であると考えることができる。
【0042】
図1は、電子部品のESD保護に使用することができるVSD材料を備える水平スイッ
チング構造100を示す。
図1の実施形態では、電極120と電極122は、それぞれビ
ア130とビア132に対して電気的に接触する状態にある。
【0043】
一般に、用語「電極」は、任意の導電性構造であってもよくこれを含んでいてもよい。
このような電極または導電性構造の例にはパッド、リード線、配線、ビア(例えば、スル
ーホール、ブラインド・ビア、埋め込み(buried)ビア)、ケーブル、導電膜、信
号層、導電層、導電性PCB層(例えば、導電性プリプレグまたは充填剤層)、または、
導電性があり、任意の基板(例えば、このような基板は任意のPCBまたは半導体パッケ
ージングを含み得る)に電気的相互接続機能を提供するように設計された他のコネクター
が含まれる。
【0044】
様々な実施例においては、ビア130及び/またはビア132に対して電気的接続が確
立され得る限り、電極120と電極122の一方または両方を省略してもよい。電極12
0及び/または電極122は、銅または他の適切な導電性材料から製造されてもよい。電
極120及び/または電極122は、機械的、化学的、または別の方法であれ、堆積、ス
クリーン印刷、接着、または、他の任意のボンディング方法により製造してもよい。
【0045】
様々な実施形態において、電極120および電極122は、絶縁層等の封止材料または
構成により覆われてもよい。
図2では、電極120、122が、絶縁層170内に埋め込
まれていることが示されている。
【0046】
ビア130、132は、VSD材料層140を完全にもしくは部分的に貫通し得る、ま
たは完全に横切る導電性構造である。ビア130及び/またはビア132は、スルーホー
ル、ブラインド・ビア、埋め込み(buried)ビア、配線、または電子デバイス内で
導電性があり信号伝播を促進するように設計されている他の任意の導電性構造であっても
よい。ビア130及び/またはビア132は、銅または任意の他の適切な導電性材料から
製造してもよい。ビア130及び/またはビア132は、堆積、スクリーン印刷、接着、
または機械的、化学的、または別の方法による他の任意のボンディング方法により製造し
てもよい。ビア130及び/またはビア132は、固体(例えば、固体の金属製構造)、
空洞(例えば、導電性円筒形構成)であってもよく、または空洞であり適切な導電性材料
で部分的にまたは完全に満たされていてもよい(例えば、導電性材料で部分的に満たされ
ている中が空洞の導電性円筒形構成)。
【0047】
ある実施形態では、厳密に導電性とする代わりに、ビア130及び/またはビア132
は、部分的にまたは完全にVSD材料で満たされていてもよい。このような実施形態では
、ビア130及び/またはビア132は、それぞれのビアが通常は実質的に絶縁構造とし
て機能するが、それぞれのVSD材料の特性電圧を超える電圧に応答して実質的に導電性
となることができるという意味では垂直スイッチング構成または水平スイッチング構成の
いずれかとして機能し得る。このような実施形態では、スイッチングは、それぞれのビア
に沿って垂直に起こり得て、あるいはそれぞれのビアを超えて水平に起こり得る。
【0048】
図1の実施形態では、VSD材料の層140は、基板160上に配置される。基板16
0は、導電性基板(例えば、銅または他の導電性材料からなる層、薄板または箔)、また
は絶縁基板(例えば、PCBプリプレグ層)であってもよい。ある実施形態では、基板1
60は、VSD材料の層等の可変導電率を有する基板であってもよい。
【0049】
図1の実施形態では、電圧源が電極120と電極122の間で電圧差を生じるように接
続され得る。電圧源110は、
図1においてスタンドアロンの電圧源として示されており
、これは電流源、または他の任意の電気エネルギー源であってもよい。このような配置は
、電圧源110により発生する電圧を意図的に増加させることによりVSD材料が活性化
するように仕組まれた、試験の配置、または特定のアーキテクチャ配置においてよく遭遇
し得る。電圧源110は、
図1においてビア130に接続し、ビア130は電極120と
電気的に接続するように示されており、アースはビア132に接続し、ビア132は電極
122と電気的に接続するように示されている。様々な代替えの応用および実施形態にお
いては、電圧源110は、ビア132に印加してもよく、またアースはビア130に印加
してもよい。
【0050】
しかし、より一般的な意味では、電極120と電極122との間に印加された電圧は、
図1の実施形態で示されるESDパルス112により示されるようにESD事象により生
じる電圧を含み、どのような電圧信号または他の電気信号であってもよい。携帯電話等の
端末ユーザデバイスが通常経験する動作環境においては、ESDパルス112は、高電圧
振幅(例えば、およそ200から300ボルト超、場合によりおよそ2000から300
0ボルト超)を短時間(例えば、数ナノ秒から数マイクロ秒)有することが予期し得る。
この短い時間にもかかわらず、ESDパルス112により発生する電流が大振幅、場合に
より10アンペア超に達することが予期し得る。もし
図1の実施形態の構造がESD保護
のために使用されるなら、電極120又は電極122のいずれかが接地板(または回路ま
たは保護すべきデバイス内の他の所定の位置)に直接的にまたは間接的に接続され得る。
そして、ESDパルス112が他の電極に届いたら、アースまたは所定の位置の接続され
た電極を通過してアースまたは所定の位置に導かれ得る。
【0051】
もし、電圧源110(あるいはESDパルス112により)により印加された電圧がV
SD材料140の特性電圧を越えないならば、VSD材料140は、実質的に非導電を保
ち、電極120と電極122との間をVSD材料140を通過して意味のある電流が流れ
ることはない(場合により、ある量の漏れ電流を除く。100の構造が配置された電子デ
バイスの性能に影響を与えないようにVSD材料140は、通常漏れ電流を最小限とする
よう設計される)。
【0052】
電圧源110およびESDパルス112が別の領域に存在することができ、概要記述の
目的で使用されることを図示するために、これらの間の接続線および電極120と電極1
22が点線とともに示されている。一般に、どのような電圧源、ESD信号、または他の
電源、過電圧信号、または電位差が2つの電極120及び電極122の間で印加されても
よい。2つの電極のいずれかをアース、または他の参照電圧レベルを有する場所と接続し
てもよい。電圧源110の極性は、電極120と電極122との間でどちらの方向であっ
てもよい。
【0053】
もし、電圧源110により印加された(あるいはESDパルス112により印加された
)電圧が、VSD材料140の特性電圧を超えた場合、VSD材料140は、切替わって
実質的に導電性になり、相当な量の電流が電極120と電極122の間をVSD材料14
0を通過して流れる。
【0054】
図1の実施形態において、VSD材料140は、「水平」方向または「横」方向にスイ
ッチするということができる。この水平方向または横方向は、基板160に対して定義さ
れる。なぜなら、VSD材料140を通過する電流の流れは、ビア130とビア132と
の間で主に基板160の主面と実質的に平行な方向に生じる。ある実施形態では、基板1
60は、PCB内の層であり、この場合、水平スイッチングとは、VSD材料140を通
過する電流の流れが、大部分の構成要素および電気部品が取り付けられるPCBの主表面
(または、部品が両面に取り付けられるPCBの場合は複数の表面)と実質的に平行な方
向に主に生じる。
【0055】
様々な実施形態では、VSD材料140は、電極120と電極122の間に印加される
電圧の極性に依存して電極120と電極122との間で両方向の電流の流れを通すように
設計される。
図1の実施形態において、VSD材料140の水平スイッチング方向は、矢
線142により示される。基板160(例えば、PCBまたはPCBコア)は、実際には
より大きな2次元平面(すなわち、その部品が取り付けられたPCBの1つまたは複数の
表面により画定される平面)及びより小さい高さの寸法を有する3次元構造であるから、
電極120と電極122の間の電流の水平の流れは、より大きな2次元面と実質的に平行
な任意の方向に生じ得る。別の言い方をすると、
図1の実施形態は、水平スイッチングは
、左から右へまたは右から左への電流の流れを暗示することを示すように見えるが、実際
には、デバイスパッケージングまたはPCB等の実際の基板の3次元寸法を考慮すると、
電流の流れは、基板160の主表面により形成される2次元平面と実質的に平行な任意の
方向に生じ得る。
【0056】
図3の実施形態を参照すると、水平スイッチングは、
図3で示されるX−Y平面と実質
的に平行な任意の方向に流れることを意味する。媒体を貫通する電流の流れは、一般に3
次元の電荷の流れを伴うことに気づくと、水平スイッチングは、全ての電荷が厳密な水平
および平面の方向にのみ流れなければならないことを意味するものではない。そうではな
く、水平スイッチングまたは水平方向に起こるスイッチングを参照することは、電荷の動
きが主として基板の主たる2次元平面と実質的に平行な平面に沿って起こることを暗示す
るが、しかし、電流の少なくともある部分がある程度垂直の動きを示すことが確かに可能
であり、予期することができる。ミクロレベルでのシミュレーションまたは解析を実行す
るなら、電荷の垂直の動きを検出することはより容易であり得る。それにも関らず、一般
に、水平スイッチングは、ビア130、132等の少なくとも2つの導電性構造が、基板
に対して実質的に垂直方向の範囲で配置されており、電流の流れは、2つのビアの間で主
として基板の主2次元平面と実質的に平行に起こることを意味する。
【0057】
図1の実施形態において、電極120と電極122との距離は、VSD材料140のギ
ャップを定義する。このギャップは、
図1においてギャップ150と表示される。一般に
、水平スイッチングVSDM構成の水平ギャップは、VSD材料の構造を貫く最短の電気
経路により決定される。そして、
図1において、この最短の電気経路は、VSD材料14
0との境界で電極120及び電極122の端部によって決定される。もし、実施形態にお
いて、
図1で示されるギャップ150が、ビア130とビア132との間の距離よりも小
さくなるように、電極120及び電極122が互いに対して延在していなければ、VSD
材料140は、代わりにビア130とビア132との間の水平ギャップにおいてスイッチ
を行い得る。
【0058】
ある実施形態では、VSD材料140の特性場は、ボルト/ミルで定義される。この実
施形態では、ギャップ150に対して特定のギャップサイズを規定することにより、ビア
130とビア132の間に配置されたVSD材料の構造140に対する特性電圧が実際の
ボルト値で決定され得る。
【0059】
ある実施形態では、
図1の実施形態に示される構造には、長方形の構造(例えば、VS
D材料の層140は、長方形の構造として構築されてもよい)が含まれる。ある実施形態
では、
図1の実施形態に示される構造には曲面構造(例えば、VSD材料の層140は、
実質的に円筒形構成として構築されてもよい)が含まれる。
【0060】
図2は、電子部品のESD保護のために使用することができる、導電性面230および
導電性面232と表示された2つの導電性面(例えば、銅面)の間に配置された、VSD
材料240を備える垂直スイッチング円筒構造200を示す。構造200は、
図1の実施
形態の構造と概ね同等であるが、
図1に示される様々な態様が、曲面アーキテクチャにお
いてどのように実施され得るかを示す。導電性平面230および導電性面232は、1つ
の実施形態にしたがってある量のVSD材料により分離された実質的に同心の導電性構造
である。簡単のため、基板および電極は、
図2の実施形態では図示しない。
【0061】
ある実施形態では、
図2で示される構造200は、PCB内で実施される構造の断面図
を表す。
図3の実施形態を参照すると、
図2で導電性面230と導電性面232の間に示
される環帯は、
図3において示されるX−Y平面と実質的に平行に配置される。3次元の
観点から、導電性面230および導電性面232は、垂直方向に延在し、PCBに対して
図3の実施形態において示されるZ軸と実質的に平行である。
【0062】
図2の実施形態において、電圧源210、又はESD信号212は、導電性面230と
導電性面232の間に電圧が生じ得る。もし、この電圧がVSD材料240の特性電圧を
超えれば、VSD材料はスイッチオンとなり、VSD材料は、実質的に非導電状態から導
電性状態へ変化する。この場合、相当の電流が導電性面230と導電性面232との間に
流れる。
図2に示されるように同心の構造の場合、電流の流れは、大部分は線242によ
り示される半径方向に生じる。
図3の実施形態を参照すると、
図2に示される構造に対す
る水平スイッチングは、電流は導電性面230と導電性面232の間を主に
図3に示され
るX−Y平面と実質的に平行な面に沿って流れることを意味する。再び、
図1の実施形態
に関して既に述べたように、水平スイッチングは、電流が基板の主な2次元寸法と実質的
に平行な面に沿って流れることに厳密に限られることを意味しない。そうではなく、ビア
の3次元態様、VSD材料構造およびミクロレベルでの効果を考えると、ある量の電流の
流れが垂直方向の範囲にも生じることが予期される。それにもかかわらず、水平スイッチ
ングは、有用な電気的機能がVSD材料240を貫いて水平方向に流れる電流を用いて実
現できるように、電流の流れが、実際に主として基板の2次元主平面と平行な方向に生じ
ることを意味する。
【0063】
ある実施形態では、VSD材料240の特性場は、ミル当たりの電圧値(Volts/
ミル)において定義される。その実施形態では、ギャップ250に対して特定のギャップ
サイズを定義することにより、導電性面230および導電性面232の間に配置された、
VSD材料240の実施形態における構造の特性電圧は、したがって実際の電圧値で決定
され得る。
図2の実施形態からの構造200の曲面のアーキテクチャは、
図1の実施形態
からの構造100の長方形のアーキテクチャよりも複雑であり、したがって、実際の特性
電圧のボルト値を決定することは、構造200ではより難しい。それにもかかわらず、あ
る実施形態では、VSD材料240の特性電圧は、ギャップ250のサイズと相関性があ
り、ボルト値としてある程度の確からしさで決定することができる。
【0064】
図3は、様々な実施形態に関連して使用されるPCB及び関連する方向の基準を示す。
図3に示されるPCB300は、X軸およびY軸とで定義される主水平面と、Z軸で定義
される垂直寸法とを有する。この基準座標システムは、空間においてPCBの回転により
ここで定義される水平面および垂直寸法の表現が変化しないように、物理空間においてP
CBの実際の位置とは独立に定義される。この基準システムは、
図3に示されるPCB3
00等のPCBに関して本明細書においてより詳しく説明することができるが、他の任意
の基板にも類似して当てはまる。
【0065】
一般に、ESDまたは他の過電圧事象からVSDM構成によって保護することができ、
あるいは中にVSDM構成を組み込み得る「基板デバイス」は、任意のPCB、任意の単
一層または複数層のPCB、半導体デバイスのパッケージ、LED基板、集積回路(IC
)基板、インターポーザー、または2つ以上の電子部品、デバイスまたは基板(このよう
な接続が垂直方向及び/または水平方向であり得る)を接続する他の任意のプラットホー
ム、他の積層パッケージング形式(例えば、インターポーザー、ウエハ−レベルのパッケ
ージ、パッケージ・イン・パッケージ(package-in-package)、システム・イン・パッケ
ージ(system-in-package)、または少なくとも2つの他の任意のパッケージまたは基板
を積層した組み合わせ)、またはVSD材料構成を取り付けることができ、またはVSD
材料構成をその中に組み込むことができる他の基板を意味する。簡単のため、基板デバイ
スは、「基板」と表示することがある。
【0066】
この基準座標システムを用いて、
図2の実施形態の線142および
図3の実施形態の線
242により規定される水平スイッチング方向は、PCB300の主2次元平面と実質的
に平行な平面に主に沿っており、PCB300は
図3で示されるX−Y平面で規定される
。
【0067】
図4Aは、実施形態にしたがって、VSD材料を用いて垂直スイッチングを実現するよ
うに構成され、PCB、フレキシブル回路、または半導体チップのパッケージング等の基
板デバイス内に組み込まれ得る、VSDM構成400を示す。少なくとも1つの層がVS
D材料の層である複数の層を有するVSDM構成は、VSDM構成、または単にVSDM
構成といわれる。この構成400は、半導体パッケージの、あるいは他の基板デバイスの
PCB内で様々な層を示す断面図であってよい。一般に、垂直スイッチングを実現するよ
うに構成されたVSDM構成は、「垂直スイッチングVSDM構成」ともいわれることが
ある。
【0068】
ある垂直スイッチングVSDM構成は、ショッキング・テクノロジー社により2009
年4月2日に出願された米国特許出願12/417,589号に開示されており、その内
容はすべて参照により本出願の明細書、特許請求の範囲、図面に組み込まれている。
【0069】
図4Aに示される構成400は、PCBに組み込まれている絶縁層である2つの基板層
460、462と、VSD材料の層440と、導電性構造430と、導電層432とを備
える。
【0070】
導電性構造430は、ビア(例えば、レーザーで穴あけされたビア)、パッド、配線、
または導電性を有し、電気信号の伝播を促進するように設計された他の任意の構造であっ
てもよい。
【0071】
導電層432は、PCBに一体化された信号層またはアース層であってもよい。
ある実施形態では、導電層432は、上にVSD材料440が始めに配置された導電性基
板(例えば、VSD材料440がコーティングされた及び硬化した銅箔)である。
【0072】
図4Aに示されたVSDM構成400は、Z軸により示されるようにPCBの垂直寸法
にしたがって配置される。
図3の実施形態を参照すると、
図4Aで示されるZ軸は、
図3
で示されるZ軸と同じである。
【0073】
図1および
図2の実施形態に関連する水平スイッチングの説明に例えて説明すると、垂
直スイッチングは、電流の流れが実質的に基板の垂直方向と実質的に平行に生じることを
意味する。
【0074】
図3の実施形態を参照すると、
図4Aの実施形態において示される構造における垂直ス
イッチングは、もしVSD材料440が特性電圧を超える電圧に応答して、実質的に導電
性を有するようにスイッチオンになるなら、導電性構造430と導電層432の間で主と
して
図3で示されるZ軸と実質的に平行な方向に電流が流れることを意味する。再び、水
平スイッチングに関し、
図1および
図2の実施形態に関連して説明したように、垂直スイ
ッチングは、電流が基板のZ軸(または垂直軸)と実質的に平行な方向に流れることに厳
密に限定されることを意味しない。そうではなく、導体の3次元物理態様、PCBレイア
ウトの3次元構造、VSD材料構造の3次元物理特性および形状、およびVSD材料自体
のミクロレベルでの効果(例えば、VSD材料内に分散した粒子間および/または粒子内
での電流伝播)を考慮すると、ある量の電流の流れが水平次元で生じ得て、少なくともV
SD材料内の局所的な部分で生じ得ることが予期される。それにも関らず、垂直スイッチ
ングは、有用な電気的機能がVSD材料440を貫いて垂直方向に流れる電流を用いて実
現できるように、電流の流れが主としてPCBボードまたは他の基板のZ軸(または垂直
軸)と実質的に平行な方向に生じることを意味する。
【0075】
ある実施例では、VSDM構成400は、さらに導電性構造430およびVSD材料4
40と接触して配置される層状相互接続部434を備える。層状相互接続部434は、図
4Aに示される導電性構造430とVSD材料440の間の境界等の、導電性構造および
VSD材料構造の間の境界における断面の導通領域を増加するために様々な実施形態にお
いて追加され得る導電性機構である。層状相互接続部をこのような境界に追加することに
より、より大きな電流を流すために導電性構造それぞれの能力を高めることができる。特
にもしこの境界が小さな物理的構造であれば別に電流または電場の集中をもたらし得る。
例えば、もし導電性構造430がVSD材料440と接触する位置においてより小さい断
面領域を有するのであれば、これはより望ましいことであり得る。
【0076】
一般に、導電性構造とVSD材料の構造との間に配置された、層
図4Aに示される層状
相互接続部434等の層状相互接続部は、導電性構造とVSD材料との間の電流の流れを
強化し、導電性構造とVSD材料の境界の機械的特性を改善し(例えば、接着またはボン
ディングを強化し、熱係数の整合が良くなる等)、導電性構造とVSD材料の間の電気的
接続を改善し、および他の類似する利点をもたらし得る。
【0077】
様々な実施形態では、層状相互接続部434は、導電性構造430をVSD材料440
から完全にまたは部分的に分離するように配置され得る、または導電性構造430の他の
境界で導電性構造430とVSD材料440の間に追加の電気経路を設けるように(例え
ば、垂直に)配置され得る。
【0078】
ある実施形態では、層状相互接続部434は、導電性構造430とVSD材料440と
を物理的に分離する。このような実施形態を製造するために、層状相互接続部434はV
SD材料440の上端に形成することができ、そして導電性構造430は、層状相互接続
部434の上に形成することができ、導電性構造430が層状相互接続部434を完全に
貫通することを避けることができる。
【0079】
ある実施形態では、層状相互接続部434は、VSD材料440と物理的に接触してお
り、そして層状相互接続部434は、VSD材料440との境界で導電性構造430の部
分を包み込む。このような実施形態を製造するために、層状相互接続部434は、VSD
材料440の上端に形成され得る。そして、導電性構造430は、層状相互接続部434
の上に形成することができ、層状相互接続部434を貫通して導電性構造430とVSD
材料440との間の直接の物理的接触を確立することができる(例えば、レーザーで穴を
あけ、VSD材料440に達するまで層状相互接続部434を貫通して、その後導電性ビ
アを形成するために導電性材料でその穴を充填することにより等)。
【0080】
図4Bは、実施形態にしたがって、PCBまたは他の基板に組み込むことができ、垂直
スイッチングを実現するように構成されたVSD材料層498を備えるVSDM構成49
0を示す。ある実施形態では、
図4Bに示されるVSDM構成490は、
図4Aで示され
る構造430の構造部品および多数の追加の構造と層とを含む。
【0081】
図4Bに示されるVSDM構成490は、通常、プリプレグ充填剤480、コア482
、プリプレグ充填剤484、コア486、およびプリプレグ充填剤488として示される
絶縁体(または誘電性)である多数の基板層を備える。
【0082】
図4Bに示されるVSDM構成490は、導電層LIから導電層L6で表わされ、導電
層470、472、474、476、478、479と番号付けされた多数の導電性信号
層をも備える。これらの信号層は、PCBボード内で、またはPCBに取り付けられた部
品および回路素子からまたはこれらへ電気信号を伝導し得る、またはアースもしくは他の
電圧基準ポイントとして役割を果たす。
【0083】
図4Bに示されるVSDM構成490は、導電性構造450、452として表わされた
2つの導電性構造をも備える。導電性構造450と導電性構造452のいずれかまたは両
方が導電性を有し電気信号の伝播を促進するように設計されたビア、パッド、配線、また
は他の任意の構造であり得る。
図4Bに示されたVSDM構成490は、Z軸により示さ
れたようにPCBの垂直次元に沿って配置されている。
図3の実施形態を参照すると、図
4Aに示されたZ軸は、
図3に示されたZ軸と同じである。
【0084】
図4Bの実施形態では、層状相互接続部499は、導電性構造452とVSD材料49
8との間の境界に配置される。様々な実施例では、層状相互接続部499は、
図4Aの実
施形態における層状相互接続部434と類似し得る。層状相互接続部499は、導電性構
造452とVSD材料498の間の境界にとって、
図4Aの実施形態における層状相互接
続部434に関連して説明した事項を含み様々な利点をもたらす。
【0085】
もし、VSD材料層498が、その特性電圧を超え、導電性構造452と導電層474
間の電圧にさらされているなら、VSD材料層498に含まれるVSD材料はスイッチオ
ンとなり、実質的に導電性となる。この場合、電流は、主として導電性構造452と導電
層474の間で垂直方向に流れる。もし、これが起きると、VSD材料層498は垂直に
スイッチする。
【0086】
ある実施形態では、
図1および
図2の実施形態に関連して行った説明と似たように、ボ
ルト値で計ったときのVSD材料層498の特性電圧は、VSD材料のギャップの大きさ
と相互に関連している。
図4Bの実施形態に対して、このギャップサイズは、実質的に導
電性構造452と導電層474との間の距離に等しく、これは実質的にVSD材料層49
8の厚さでもある。ギャップサイズをVSD材料に対する特性電圧に関係づける正確な式
は、多数の変数(例えば、正確なVSD材料の配合組成、VSD材料構造または層の全部
そろった量、それによりスイッチングが実現するVSD材料構造の実際の形状、VSD材
料と接続する任意の回路素子のインピーダンス等)に依存して変化し得る一方、様々な実
施形態において使用されるVSD材料構成に対して、VSD材料のギャップがより小さけ
れば、一般に特性電圧は小さい結果となる。ある応用に対しては、より小さい特性電圧が
望ましいことがある(例えば、VSD材料がより小さい電圧に応答してスイッチすること
が期待される応用に対して)。
【0087】
しかし、一般的な設計の検討としては、VSD材料のギャップの大きさを小さくするこ
とにより、VSD材料構造が小さくなりすぎ、その結果、望ましい動作特性の一部または
全部を失う(例えば、薄すぎるVSD材料構造は、立て続けに類似するトリガー電圧にさ
らされるときの再現性の整合性が減少する可能性があり、熱を放散する能力が減少する経
験をするかも知れず、または短絡するまたは消散するという、より高いリスクにさらされ
るかも知れない)というリスクのバランスをとらなければならない。
【0088】
水平スイッチングと比較した場合の垂直スイッチングの利点は、ある製造環境において
、水平スイッチング構成と比較すると垂直スイッチング構成のギャップサイズを制御する
ことはより容易であり得る点にある。例えば、
図1の実施形態におけるギャップ150お
よび
図2の実施形態におけるギャップ250等の水平VSD材料ギャップを製造するため
の製造コストも含む一方、現在の技術で実現できる公差は十分に小さくはなく、大量の商
業的な製造ラインを通過する複数のPCBにわたり正確に維持することは困難であり得る
。その結果、異なるPCBボード、または同じPCBボード上の水平スイッチングVSD
M構成は、それぞれの特性電圧及び/または動作上の頑健性における望ましくない大きな
統計的変動を示す可能性があり、このような変動を現在の製造ラインに設けられた標準的
な製造技術およびプロセスを用いて対処することはより困難である。
【0089】
対照的に、ある実施形態では、
図4Aで示されるVSD材料構成400等のVSDM構
成に関する垂直公差は、正確に維持することがより容易であり得る。例えば、もし、VS
D材料440が導電層432上に配置されるプロセスが、VSD材料440に対して一貫
した正確な厚さを確実にするのであれば、ギャップ442はそれに応じて一貫した正確な
ギャップサイズを有することになる。実際に、このことは、適切な検査、計測および監視
処理と一体となった進んだコーティング技術を使用することにより実現できる。
【0090】
水平スイッチングと比較した場合の垂直スイッチングの他の利点は、垂直スイッチング
を実行するのに使用されるVSD材料構造は、VSD材料が実質的に導電性となったとき
に電流が流れる、より大きな断面領域を有して製造され得る。より大きな断面領域は、通
常、より大きな電流を通過させることができ、したがって、それぞれのVSD材料構造に
対して良い性能特性および耐久性をもたらす。例えば、
図1の実施形態におけるVSD材
料140の断面スイッチング領域は、垂直方向に測定されたVSD材料層の厚さに比例し
、この厚さは通常小さく、より小さな断面領域を生じる傾向がある。対照的に、
図9の実
施形態におけるVSD材料940の断面スイッチング領域は、X−Y平面により決定され
るように電極920の表面領域と比例しており、これはより大きな断面領域を生み出す傾
向がある。
【0091】
図1の実施形態における基板160上のVSD材料140、又は
図4Aの実施形態にお
ける導電層432上のVSD材料440等のVSD材料の層を基板上に配置するため、V
SD材料は、基板上でコーティングされ、硬化する。例として、
図4Aの実施形態を参照
すると、VSD材料440の層を導電層432に配置するために、VSD材料は、導電性
薄板の材料(例えば、銅)上でコーティングおよび硬化され得る。そしてその結果硬化し
たVSDM構成は、PCB内で化合物層として導入され、この導電性薄板の材料は導電層
432となりVSD材料の層はVSD材料440となる。
図4Aで示される構成の残りは
、製造プロセスの間様々な製造ステップを通して形成され得る。
【0092】
別段の明示的な指示がない限り、用語「VSD材料構成」、「VSDM構成」、「VS
D材料の構成」、「VSDM構成」、「VSD材料積層」または「VSDM積層」は、任
意の組み合わせ、配置または他の構造として(a)少なくとも1つのVSD材料構造、(
b)次の中から1つ以上のもの、すなわち(i)絶縁要素(例えば、PCB内におけるプ
リプレグまたは他の絶縁層または構造、半導体パッケージ内における絶縁層または構造等
)、(ii)電極(例えば、PCB内における導電性ビアまたは半導体パッケージにおけ
る導電性コネクタ)、(iii)半導体要素(例えば、半導体材料から作り上げられた構
造、及び/または(iv)異なるVSD材料構造、を含むものに言及することを意図する
ものとする。より簡単な構成のVSD材料構造の一例は、銅箔上に配置されたVSDM構
造(例えば、VSD材料の層)、とその箔それ自体との組み合わせである。
【0093】
より複雑な構成のVSDM構成の他の例は、様々な実施形態に関連して本特許出願に開
示され及び/または特許請求範囲に記載された垂直スイッチングVSDM構成であり、図
4Aの実施形態のVSDM構成400、
図4Bの実施形態のVSDM構成490、
図5の
実施形態のVSDM構成500、
図6の実施形態のVSD材料構成600、
図9の実施形
態のVSD材料構成900、
図10の実施形態のVSD材料構成1000、
図11の実施
形態のVSD材料構成1100、
図12Aの実施形態のVSD材料構成1200、
図13
の実施形態のVSD材料構成1300、
図14の実施形態のVSD材料構成1400、図
15Aの実施形態のVSD材料構成1500、
図16の実施形態のVSD材料構成160
0、および
図17の実施形態の双方向スイッチング構造1700が含まれる。
【0094】
VSD材料の層等のVSD材料構造を基板上でコーティングして硬化させることは、一
連のステップを通して実現することができる。例えば、
図4Aの実施形態を参照すると、
VSD材料440等のVSD材料の層を、最終的には導電層432になる基板上に配置す
るためには、次に述べるステップ等の一連のステップが使用され得る。
【0095】
(1)VSD材料が、液体または半液体の状態(例えば、VSD材料の中に分散してい
る粒子および他の材料のために、VSD材料の粘度は、水等のより純粋な液体の粘度より
も高い傾向にあり、したがって、より遅く流れる傾向にある)にある間に基板上にそのV
SD材料を施す。
【0096】
(2)VSD材料の厚さを基板の表面にわたり所望の範囲および公差内に維持しながら
基板上の層にVSD材料を広げる。
【0097】
(3) VSD材料の厚さが実際に所望の範囲および公差内に確実に維持されるように
、コーティングされた基板のより大きな表面にわたりVSD材料の層の厚さを監視し、検
査し及び/または試験する。
【0098】
(4)VSD材料を熱にさらすことにより硬化させる(例えば、温度が制御され、及び
/または適当な範囲内で変化するオーブンで基板上にコーティングされたVSD材料を加
熱)。
【0099】
(5)溶媒または他の材料が前の製造ステップで使用され、後続のプロセスを促進する
ためにその時点で除去されるように設計される程度に、溶媒または他の材料を除去する。
そして
【0100】
(6)厚さ、整合性、欠陥密度、動作過電圧、物理的弾力性、接着性、可とう性または
他の物理的特性、熱的耐久性または他の熱的特性、及び/または他の関連のあるパラメー
タの点で、硬化したVSD材料の層が期待される特性および公差を示すことを確実にする
ために、基板の上に配置された硬化したVSD材料の層を備える、結果としてのVSD材
料構成を監視し、検査し及び/または試験する。
【0101】
コーティングに加えて、他の方法が、VSD材料の層等のVSD材料構造を基板上に配
置するのに使用され得る。このような他の方法には、堆積、スクリーン印刷、ダイコーテ
ィング、コンマコーティング(comma coating)、ラミネーション、機械的接着(例えば
、層内のVSD材料を前もって硬化させ、その後基板に取り付けることにより)、または
機械的、化学的、または別の方法であれ他のボンディング方法によることが含まれる。使
用する方法にかかわらず、その結果得られるVSD材料構成は、基板(導電性であろうと
なかろうと)の上に配置されたVSD材料の層を備え、そのVSD材料は硬化した状態で
あり電圧スイッチング機能を実行することができる。
【0102】
ある実施形態では、前もって基板上に硬化させたVSD材料の層を備えるVSD材料構
成を製造してその後にPCB内へVSD材料構成を組み込む代わりに、VSD材料は、P
CBの実際の製造プロセスの間、PCBの層の上へコーティングされてもよい。
図4Bを
参照すると、例えば、導電層L3 474は、VSDM構成490の製造の間にプリプレ
グ充填剤484にくっつけてもよく、その後VSD材料の層498は、導電層L3 47
4に配置され、硬化する。層状相互接続部434は、その後VSD材料498の上面に形
成されてもよい(例えば、スクリーン印刷)。コア482は、その後VSD材料の層49
8に取り付けられてもよく、導電性構造452は順次コア482内で形成され、又はコア
482内で取り付け前にすでに形成されていてもよい。
【0103】
図5は、実施形態にしたがってVSD材料を用いて垂直スイッチングを実現するように
構成されたVSDM構成500を示す。
図5のVSDM構成は、PCB、フレキシブル回
路、または半導体チップのパッケージング等の基板デバイスの中に合体し得る。
【0104】
図5のVSDM構成500は、導電層520と導電層522の組を備え、これらはPC
Bまたは他の電極において導電性信号層であり得る。
図5のVSDM構成500は、さら
にVSD材料の層540を備える。
【0105】
層状相互接続部530は、導電層520とVSD材料540との間に配置される。層状
相互接続部532は、VSD材料540と導電層522との間に配置される。ある代替実
施例では、層状相互接続部530と層状相互接続部532のいずれかまたは両方が存在せ
ず、この場合VSD材料540は、この2つの導電層の一方または両方と直接物理的に接
触している。
【0106】
様々な実施形態では、「層状相互接続部」は、1つ以上のVSDM構造を含む電気経路
に沿って電圧及び/または電流を伝達するために垂直スイッチングVSDM構造の一部と
してまたは接続して使用されてもよい任意の導電性構造である。ある実施形態では、層状
相互接続部は、水平方向(例えば、水平層内で)の伝導を可能とするために配置される。
ある実施形態では、層状相互接続部は、垂直方向(例えば、1つ以上の水平層にわたり、
及び/または2つ以上の水平層の間に)の伝導を可能とするために配置される。ある実施
形態では、層状相互接続部は、水平および垂直両方に、及び/または斜めに伝導を可能と
するために配置される。
【0107】
様々な実施例では、
図5における層状相互接続部530、又は層状相互接続部532等
の層状相互接続部は、適切なプロセスを用いて作成することができ、適切なプロセスには
、スクリーン印刷、型紙捺染、堆積、接着、熱及び/または圧力を使用するラミネーショ
ン、他の任意の物理的取り付け(例えば、接着またはボンディング)により、または層状
相互接続部を基板の中へ前もって構築すること(例えば、PCB内で層、構造、導電性コ
アまたはプリプレグとして、または半導体パッケージの中の層または導電性構造として層
状相互接続部を配置すること)が含まれる。ある実施形態では、VSD材料の層(例えば
VSD材料の層に対する基板として使用される銅箔)に取り付けられた基板は、PCBま
たは他の基板内で水平伝導を可能とするために層状相互接続部として機能する。一般に、
様々な垂直スイッチングVSDM構成の実施形態に関連して使用するのに適切な層状相互
接続部は、機械的、化学的、または他の適切な堆積処理により製造し得る。
【0108】
様々な実施形態では、層状相互接続部は、広範囲のインピーダンスを有し得る。例えば
、ある実施例では、無視し得るインピーダンスを持つ層状相互接続部(例えば、非常に低
い抵抗を有し大きな電圧降下をもたらすことがない高い伝導性を有する導電膜)を有する
ことが望ましい可能性がある。他の例として、層状相互接続部は、高いインピーダンスを
有し、電流がそこを流れるときに特定の電圧降下を生じる(例えば、層状相互接続部が埋
め込み回路素子であるように設計してもよく、あるいは埋め込み回路素子を含んでもよい
)。通常無視し得るとは考えられない抵抗を有する層状相互接続部の例は25〜1000
オームの抵抗を有する導電膜である。ある実施形態では、層状相互接続部は、
図15Aの
実施形態の要素1592であるように構成されてもよく、あるいは
図15Aの実施形態の
要素1592として動作するように具現化されてもよい。
【0109】
無視し得ない電気抵抗を有する層状相互接続部は、カーボン充填エポキシ樹脂を用いた
、または銅に蒸着したニッケル・クロム合金(例えば、銅箔上に熱的に堆積した薄い薄膜
抵抗層)として様々な実施形態に関して製造され得る。
【0110】
様々な実施形態では、層状相互接続部は、高い誘電率を持つ材料またはその組み合わせ
から製造することができ、このことにより層状相互接続部はより高いキャパシタンスを有
することが可能となる。
【0111】
様々な実施形態では、層状相互接続部は、電流を流すことができ、かつ基板の応用に関
連して使用するのに適する任意の材料またはその組み合わせから作ることができる。
【0112】
層状相互接続部530、又は層状相互接続部532等の本実施形態に関連する層状相互
接続部を作るのに使用される材料の例は、3M社により製造され、「3M
TMZ軸電気的導
電性テープ9703」という商標名で販売されているZ軸導電性テープである。実質的に
水平層として配置される場合、電流がZ軸に沿って伝播するときに実質的に導電性がある
が、水平方向には実質的に絶縁性があるように、Z軸導電性テープは、異方性の、Z軸に
沿った垂直導電性を示す。
【0113】
層状相互接続部530、又は層状相互接続部532等の本実施形態に関連する層状相互
接続部を作成するのに使用される材料の他の例は、銀ペースト、銅ペースト、他の金属製
タイプのペースト、銀めっきをした銅層、カーボン層、フェロイック材料(フェロイック
材料)またはフェライトを含む化合物、導電性エポキシ樹脂またはポリマー、または電流
を流すことができる他の任意の材料の層、構造またはコネクタである。一般に、層状相互
接続部が異方性の導電性を有さないかぎり、それぞれの実施形態の特定のアーキテクチャ
に依存して水平に、垂直に及び/または斜めの方向に電流を流すために、層状相互接続部
は、様々な実施形態における垂直スイッチングVSDM構成に使用することができる。
【0114】
図5の実施形態では、電圧源は、導電層520と導電層522との間で接続することが
できる。
図5に示される電圧源510は、独立型の電圧源として示され、電流源、または
他の任意の電気エネルギー源でもあり得る。このような配置は、電圧源510により発生
する電圧を増加させることにより、VSD材料をわざと活性化させるように意図されてい
る、試験の設定の際または特定の構造の配置において遭遇され得る。
【0115】
しかし、より一般的な意味では、導電層520と導電層522の間に印加される電圧は
、任意の電圧信号または他の電気信号であってもよく、
図5の実施形態で示されるESD
パルス512により示されるようにESD放電により発生する電圧が含まれる。携帯電話
等のエンドユーザデバイスにより通常経験される通常の動作環境において、ESDパルス
512は、高電圧振幅(例えば、200〜300ボルト超の、そして場合により2000
〜3000ボルト超)かつ短期間(例えば、数ナノ秒から数マイクロ秒の間の)を有する
と予想され得る。短期間にもかかわらず、ESDパルス512により発生する電気の電流
は大振幅に、場合により10アンペア超に達すると予想され得る。もし、
図5の実施形態
の構造が、ESD保護に使用され、導電層520と導電層522のうち1つが接地板(ま
たは保護すべき回路またはデバイス内の他の所定のポイント)と接続されることが可能で
、ESDパルス512はアースまたは所定の場所に届くように導かれ得る。
【0116】
もし、電圧源510により(あるいはESDパルス512により)印加された電圧がV
SD材料540の特性電圧を超えなければ、VSD材料540は、実質的に非導電状態を
維持するのであって、層状相互接続部530および層状相互接続部532を通り、VSD
材料540を通り(場合により、ある量の漏れ電流は除く、500の構造が配置される電
子デバイスの性能の性能に影響を与えないように、漏れ電流は最小となるようにVSD材
料540が通常設計される)、導電層520および導電層522の間を通る、影響を与え
る程度の電流は流れない。
【0117】
電圧源510とESDパルス512が代わりの例でも存在し得て、一般の説明の目的に
使用されることを図示するため、これらそれぞれと導電層520と導電層522の間の接
続線は点線で示される。一般に、任意の電圧源、ESD信号、または他の電源、過電圧信
号、または電位差は、導電層520と導電層522との間に印加され得る。2つの導電層
のいずれかをアースと接続してもよく、あるいは、他の参照電圧レベルを有する場所と接
続してもよい。
【0118】
もし、電圧源510により(あるいはESDパルス512により)印加された電圧VS
D材料540の特性電圧を超えると、VSD材料540はスイッチして実質的に導電性を
有するようになり、導電層520と導電層522の間でVSD材料540を通って相当な
量の電流が流れる。
【0119】
もし、所与のVSD材料組成に対して、VSD材料の特性場がミル当たりの電圧値(V
/ミル)(または別の方法では単位長さ当たりの電圧値)を単位として定義されるなら、
所与の厚さを有するVSD材料の層の特性電圧が、特定の電圧値としてとして決定され得
る。例えば、もし
図5の実施形態におけるギャップ542にわたるVSD材料の層540
の厚さが、Tと表示され、ミル当たりの電圧値で表現されるVSD材料の特性場がECH
で表示されるなら、電圧値で表現される対応する特性電圧は、VCHで表示され、次のよ
うに表現される。
【0120】
V
CH(V)=E
CH(V/ミル)*T(ミル) (式1)
【0121】
もし、特性場ECHの値が定数であると仮定するなら、またはそれぞれの厚さTに対し
てほぼ一定であると近似できるなら、式1は一般に正しい。
【0122】
しかし、一般に特性場ECHは、VSD材料の各ギャップにわたり一定とは限らず、V
SD材料構造の厚さにわたり変化する値を有するかもしれない。特性場ECHがスイッチ
ングするVSD構成のギャップにわたり一定ではない範囲のおいては、特性電圧VCHは
、対応する厚さTにわたり特性場ECHを積分することにより得られる。
【0123】
式1から、VSD材料の層540の厚さを小さくすることにより、VSD材料構造54
0の特性電圧はそれに応じて小さくなることが分かる。例示的な値携帯電話への産業上の
応用におけるVSD材料540の厚さに使用され得る例示的な値には2ミル以下が含まれ
る。特性電圧をさらに小さくするには、VSD材料の層540の厚さを1ミル以下に小さ
くしてもよい。
【0124】
もし、層状相互接続部530および層状相互接続部532のインピーダンスと導電層5
20および導電層522のインピーダンスが無視し得る量であれば、導電層および層状相
互接続部での電圧降下は大きい影響を与える量ではなく、したがってVSD材料540は
オンにスイッチし、電圧源510、又はESDパルス512により生じる電圧がVSD材
料の層540の特性電圧に到達した後に、VSD材料540は実質的に導電性となる。
【0125】
図6は、実施形態にしたがってVSD材料を使用する垂直スイッチングを実現するよう
に構成されたVSDM構成600を示す。
図6のVSDM構成は、PCB、フレキシブル
回路、または半導体チップのパッケージング等の基板デバイス内に組み込まれ得る。
【0126】
図6のVSDM構成600は、導電層620と導電層622の組を含み、これらがPC
Bまたは他の電極における導電性信号層であり得る。
図6のVSDM構成600は、さら
にVSD材料構造640を備え、VSD材料構造640は、厚さが実質的にギャップ64
2と等しい層として配置され、Tと表わされる。
【0127】
層状相互接続部630は、導電層620とVSD材料構造540との間に配置される。
導電層622は、物理的におよび電気的にVSD材料640と接触する。
【0128】
様々な実施形態によれば、加えて硬質PCBおよび硬質半導体パッケージング等の従来の
硬質基板に加えて、垂直スイッチングVSDM構成は、フレキシブル回路、フレキシブル
基板、フレキシブル半導体パッケージング、およびその他のフレキシブルデバイスにおい
て実装されてもよい。これを実現するために、使用されるVSD材料の配合組成は、高度
の弾性的性質を示すように調整される。例えば、一般的な指針としては、VSD材料にお
ける金属粒子含量を減らすこと(例えば、VSD材料内に分散している金属粒子を減らす
か除去することにより)は、いったん硬化したVSD材料の脆弱性を弱めることになり、
したがってVSD材料はフレキシブルなデバイスへの応用にとってより適切なものとなる
。
【0129】
垂直スイッチングVSD材料構成は、1つ以上の層に適切な機械的特性及び/または耐
環境性を付加することによりフレキシブルなデバイスへの応用の実施にさらに適合し得る
。
図6の実施形態に示されるVSD材料構成600に対して、例えば、2つの追加の層がポ
リミド基板680、682として追加される。
【0130】
ポリミド材料は、一般に軽量でフレキシブルであり、より高い機械的伸長性を有し、熱
と化学的反応からの回復力が改善される傾向を示す。ポリミド材料は、電子産業において
フレキシブルな電気ケーブルを製造するために、ディジタル半導体およびMEMSチップ
の製造において絶縁層または保護層として、絶縁膜として、高温接着剤として、医療用チ
ューブの応用のために、そしてフレキシブルで軽量で環境的な回復力が改善されることが
要求される他の応用のために、それぞれ使用される。
【0131】
図6の実施形態で示されるVSD材料構成600において含まれるポリミド基板680
、682等の耐熱性材料を包含する垂直スイッチングVSD材料構成の他の応用には、よ
り高い環境温度の領域(例えば、高温気候)または通気性が限定的であるデバイス内(例
えば、包囲されたまたは埋め込まれた電子デバイスまたはシステムであって冷却機能が限
定されたまたは存在しないもの)で動作するLEDパネルまたは電子応用製品等の高熱応
用がある。
【0132】
図6で示されるVSDM構成600の動作と電気的挙動は、一般に
図5で示されるVS
DM構成500の動作と電気的挙動と類似している。特に、導電層620および導電層6
22との間に電圧が印加されるときに、導電層620、622内、又は層状相互接続部6
30内ではそれぞれのインピーダンスが無視し得るかぎりにおいて、影響を与えるような
電圧降下が生じないと考えられる。したがって、電圧源610(あるいはESDパルス6
12により)により印加される電圧がVSD材料640の特性電圧を超えるときに、VS
D材料640は、スイッチオンし実質的に導電性を有するようになる。VSD材料640
の特性電圧は、VSD材料640の厚さTに比例するものである。
【0133】
図7は、実施形態にしたがって層状相互接続部または他の電極を含む垂直スイッチング
VSDM構成を形成するための方法を示す。
図7に示されるように、この方法700は、
垂直スイッチングVSDM構成内で1つ以上の層状相互接続部または他の電極等の1つ以
上の導電性構造を製造するために使用され得る様々なステップを備える。結果として得ら
れるVSDM構成をさらに改良するために、追加のオプションのステップが適用されても
よい。
【0134】
VSD材料で電気めっきすることによりLEDデバイス等の様々なデバイスを製造する
方法は、
「電圧で切替可能な誘電体材料を用いる発光デバイス」と題された米国特許7,825,
491号において説明されており、その内容は参照により本明細書に援用される。
【0135】
図7の実施形態のステップ710において、VSD材料が、基板すなわち表面(例えば
、銅箔に)に塗布される。ステップ720において、非導電性材料の層がVSD材料(例
えば、フォトレジスト材料の層)の上に配置される。
【0136】
ステップ730において、非導電層は、層状相互接続部または他の電極等の1つ以上の
導電性構造を規定する特定のパターンとともにパターン形成される。例えば、ステップ7
30におけるパターンは
図4Aの実施形態による層状相互接続部434の位置と形状を規
定することができ、層状相互接続部434は、VSD材料の層440の上面に配置される
。ある実施形態では、非導電層はフォトレジスト層であり、フォトマスクを通してこのフ
ォトレジストをレーザー光にさらし、その後エッチングプロセスを実行することにより、
パターンが形成される。当業者には良く知られているように、ポジ型フォトレジスト処理
とネガ型フォトレジスト処理のいずれを使用してもよい。ステップ730の結果、VSD
材料の1つ以上の領域がパターンの1つ以上の部分に対応する非導電層を通して露光され
るようにする。
【0137】
ステップ740において、VSD材料の特性電圧を超える電圧が印加されると、
このためVSD材料は実質的に導電性に持つようになる。この電圧は、直接的にVSD材
料に印加してもよく、またはVSD材料が配置される導電性基板に(例えば、銅箔に)対
して印加してもよい。印加される電圧は、一定の電圧または変動する電圧、(例えば、パ
ルス)のいずれでもよい。
【0138】
VSD材料が導電性である間、VSD材料パターンの露光された領域において導電性構
造(例えば、
図4Aの実施形態における層状相互接続部434等の層状相互接続部)を形
成するために、ステップ750においてイオンデポジション処理が実行される。様々な公
知のデポジション処理は、露光されたVSD材料のパターンにより画定される露光された
領域の少なくとも一部にイオン媒体を堆積させるように実行され得る。ある実施例では、
電気めっきプロセスが実行され、VSD材料の露光された領域が電解液に浸される。
【0139】
他の実施例によれば、イオンデポジションは、粉体塗装プロセスを用いて実行される。
このプロセスでは、粉体粒子が帯電し実質的に導電状態にあるVSD材料の露光された領
域に堆積する。粉体の付着は、露光された領域に粉体を堆積させるか、または基板を粉体
バス(powder bath)に浸すことにより実現し得る。
【0140】
さらなる他の実施例では、静電噴霧プロセス(electro-spray process)を使用しても
よい。イオン媒体には、溶液中の荷電粒子の形で含まれていてもよい。VSD材料が導電
性である間に基板をこの溶液に浸してもよい。スプレーの噴霧にはインクまたは塗料を使
用してもよい。
【0141】
他の堆積技術は、VSD材料の露光された領域に、実質的に導電状態の間に真空蒸着(
例えば、物理気相成長(PVD)または化学的蒸着(CVD)処理)等の堆積を実行する
のに様々な実施形態において使用され得る。例えば、PVDにおいては、金属イオンが、
気体イオンと結合するためにチャンバー内に導入される。VSD材料の露光された領域は
、チャンバーのイオンを引き付け結合させるように、反対電荷をもたせるため導電的にし
得る。CVDでは、イオン性物質の膜が基板の表面の上のVSD材料に堆積し得る。
【0142】
ステップ760では、形成された導電性構造(例えば、垂直スイッチングVSDM構成
内で使用される層状相互接続部または他の電極)を残すように非導電性材料をオプション
で基板から除去してもよい。ある実施例では、フォトレジスト材料が非導電性材料として
使用されるとき、基礎液(例えばKOH)、または水がフォトレジスト材料を除去するた
めに基板に加えられる。
【0143】
ある実施形態では、フォトレジスト層を除去することに続き、研磨ステップが、結果と
して生じるVSDM構成に適用され得る。ある実施形態では、化学的機械的研磨が結果と
して生じるVSDM構成の基板を研磨するのに使用される。
【0144】
図8は、実施形態にしたがって
図5に示されるVSDM構成500又は
図6に示される
VSDM構成600等の垂直スイッチングVSDM構成のサンプル応答電圧のエンベロー
プのグラフ8000を示す。
図8に示される電圧応答曲線820は、TLP(transmissi
on line pulse)法の形で入力電圧を繰り返し印加する間に、2ミルの垂直ギャップを有
するVSD材料の層の両面間の電圧を測定することにより得られた。例えば、
図5の実施
形態において、この測定は電圧源510をTLPに印加したときに導電層522に対する
導電層520における電圧を測定することにより実現できる。
【0145】
ある実施形態では、TLPに応答するVSDM構成の応答電圧の測定は、TLP発生器
とオッシロスコープを用いて次のように処理することができる。
【0146】
(1)TLP発生器は、対応する特性電圧を持つギャップを有するVSDM構成の電極
に向けて同軸ケーブル伝送線にパルスを送り、
【0147】
(2)オッシロスコープは、VSDM構成のターゲット電極に向かって動くようなTL
Pをとらえる。
【0148】
(3)TLPは、VSDM構成のターゲット電極に到着する。TLPからのエネルギー
のある部分は、エコーとして反射される。
【0149】
(4)オッシロスコープは、反射エコーをとらえ、そして、
【0150】
(5)それぞれのギャップにわたり存在するVSDM構成の特性電圧を評価するため、
TLPと反射信号を処理するのにコンピュータを使用してもよい。
【0151】
このグラフの部分802に示される応答曲線820は、より長い時間尺度で表示されて
いる。このグラフの部分804で示されるこの応答曲線822は、16ナノ秒というより
短い時間尺度で表示される応答曲線820である。TLP電圧入力は、それぞれ信号81
0、信号812として示される。
【0152】
グラフ800から示されるように、入力信号810が増加するにしたがって、電圧VS
D材料層の両面間の電圧は、当初入力電圧に追従するが、しかしVSD材料が次第により
多くの電流を流し始めるにつれ入力電圧から離れ始める。あるところで、VSD材料は、
実質的に導電性となるようスイッチし、応答信号は、入力信号810が増加し続けるとい
う事実にもかかわらず、200V未満の値で安定する。VSD材料層の特性電圧は、グラ
フ800から150Vと220Vの間であると推定することができる。
【0153】
図9は、実施形態にしたがってVSD材料を用いて垂直スイッチングを実現するように
構成されるVSD材料構成900を示す。
図9の垂直スイッチングVSD材料構成900
は、ESDおよび他の過電圧事象からの保護を可能とするためにPCB、フレキシブル回
路、または半導体チップのパッケージング等の基板デバイスを含む任意の電子デバイスに
組み込まれてもよい。
図9は、PCB等の基板の垂直方向におけるVSD材料構成の断面
図を示す。
【0154】
図9のVSD材料構成900は、電極920と電極922の組を備える。電極920お
よび電極922は、VSD材料構造940と接触して配置され、VSD材料構造940は
、
図9の実施形態において層として示されている。VSD材料の層940は、ギャップ9
42の厚さと実質的に等しい厚さを有し、Tと表わす。商業的な実施例としては、VSD
材料940の配合組成、特性電圧およびVSD材料940にとり望ましい他の物理的また
は動作上の特性の設計に依存して、Tは広範囲の値をとることができる。Tの特定の例示
的な値には2ミル、1.5ミル、1ミル、および0.5ミルが含まれる。一般に、VSD
材料構造940に対しては、より低い特性電圧とするためにより小さい値Tが期待される
。
【0155】
ビア930は、VSD材料940の層と交差して、電極922と接触する。ビア930
は、実質的に導電性である。層状相互接続部970は、電極920、922とは反対側の
水平平面に沿ってVSD材料940の層と接触して配置されている。層状相互接続部97
0を実施するのに使用され得る様々な層状相互接続部は、水平方向の効率的な電流の流れ
を妨げるZ軸層状相互接続部が、この特定の実施には適当ではないということを除き、図
5の実施形態に関連して説明されている。
【0156】
層状相互接続部970は、プリプレグ層980内に配置されている。プリプレグ980
は、PCB等の基板デバイスの構成要素であり、その基板の他の層、コア982と物理的
に接触している。プリプレグ980は、実質的に絶縁物である。
【0157】
ビア930および層状相互接続部970は実質的に導電性であり、一般に無視し得るイ
ンピーダンスを有すると仮定し得る。したがって、電圧が、電極922と層状相互接続部
970の間で実質的な損失を生じないで伝わる。
【0158】
もしVSD材料構造940の特性電圧を超える電圧が、電圧源910、又はESDパル
ス912により電極920と電極922の間に印加された場合、VSD材料940は実質
的に導電性となる。電極922と層状相互接続部970とは、実質的に同じ電圧レベルと
なるため、VSD材料940を横切る電流の流れは、主として垂直方向に電極920と層
状相互接続部970の間に生じるであろう。これの1つの理由は、電流が伝播のために最
小のインピーダンスを有する経路を選択する傾向があるからであり、層状相互接続部97
0と電極920の間で垂直方向にVSD材料の層940を横切ることは、最小インピーダ
ンス経路をもたらすことになる。
【0159】
VSD材料構造940が、
図9の実施形態において垂直方向にスイッチするという事実
は、ギャップ942を超えて厳密にZ軸に沿ってだけ電流が流れるということを必ずしも
意味しない。そうではなく、
図3の実施形態に関連してより詳細に説明したような様々な
効果により、一定レベルの電流の流れが、VSD材料構造940内で水平方向に生じ得る
。しかし一般に
図9の実施形態においてVSD材料940がスイッチして実質的に導電性
となったとき、電流の流れは、主としてそれぞれの基板のZ軸(または垂直軸)と実質的
に平行な方向に生じるであろう。
【0160】
図9の実施形態のVSD材料構造940内の電流の流れは、ギャップ942を横切り実
質的に垂直方向に生じるので、VSD材料構造940の特性電圧は、ギャップ942の厚
さTにより決定することができる。VSD材料のある構成に対しては、この特性電圧は、
式1により決定され得る。
【0161】
図9の実施形態に示される垂直スイッチングVSDM構成900の利点は、電極920、
922を限られた正確さで水平方向に配置することができることである。電極920と層
状相互接続部970との間に十分な重なりが存在する限り、そしてビア930と良好に電
気的接触をしている限り、これら電極の水平方向の特定の配置は重大な問題ではないから
である。
【0162】
図9の実施形態で示される垂直スイッチングVSDM構成900の他の利点は、電極9
20、922等の金属製電極(例えば銅製の)が、外側の層内に配置され得るので、した
がって、LEDデバイスまたは熱冷却の改善の利益を享受できる他のデバイスの熱の放散
及び/または熱の伝導を促進することができることである。
【0163】
様々な実施形態では、いったんVSD材料が実質的に導電性を持つと、電流が実質的に
無損失でVSD材料構造を通って流れ(例えば、互いに電気的接触した状態である一組の
導電性の機構のセットを通して)、VSD材料構造の垂直方向の厚さを横切り電流が流れ
るという一般的な動作原理に従いつつ、
図9に示される垂直スイッチングVSDM構成は
、導電性、絶縁性および半導性を有する様々な他の層および機構の両方を追加して実装し
得る。この一般的な設計アプローチにおいて、VSD材料の特性電圧は、VSD材料構成
の垂直方向の厚さにより決定される。
【0164】
図10は、実施形態にしたがってVSD材料を使用して垂直スイッチングを実現するよ
うに構成されたVSD材料構成1000を示す。
図10の垂直スイッチングVSD材料構
成1000は、ESDおよび他の過電圧事象に対して保護するためにPCB、フレキシブ
ル回路、または半導体チップのパッケージング等の基板デバイスを含む任意の電子デバイ
スに組み込まれ得る。
図10は、PCB等の基板の垂直方向におけるVSD材料構成の断
面図を示す。
【0165】
図9の実施形態における単一のVSD材料構造940に替えて、
図10の実施形態にお
いて2つのVSD材料構造、すなわちギャップ1042にわたる垂直方向の厚さTlを有
するVSD材料の層1040、およびギャップ1046にわたる垂直方向の厚さT2を有
するVSD材料の層1044が存在することを除いて、
図10の垂直スイッチングVSD
材料構成1000は、
図9のVSD材料構成900に概ね類似している。商業的な実施例
には、VSD材料1040、1044の構成に依存して、およびVSD材料構造1040
、1044にとって望ましい特性電圧および他の物理的または動作的特性に依存して、T
1およびT2は広範囲の値を取り得る。様々な実施形態において、VSD材料1040、
1044の構成は、同じであってもよく同じでなくてもよい。これに類似して、様々な実
施形態では、VSD材料1040とVSD材料1044のそれぞれの垂直方向の厚さT1
とT2は等しくてもよく等しくなくてもよい。T1とT2の合計の特定の例示的な値には
2ミル、1.5ミル、1ミル、および0.5ミルが含まれる。一般に、VSD材料構造1
040及び/またはVSD材料構造1042に対してより低い特性電圧を提供するために
、T1及び/またはT2に対しては小さな値が望まれる。
【0166】
一般に、VSDM構成1000を作るのに使用されるVSD材料1040、1044等
の垂直スイッチングVSDM構成の構成要素としてVSD材料構造の化合物一式を製造す
るのに使用される2つ以上のVSD材料構造は、誘電率、接着特性、剛性、柔軟性、組成
、および厚さを含む特性に関し、互いに対して同一の、または実質同一の、または異なる
特性を有してもよい。
【0167】
図10のVSD材料構成1000は、電極1020と電極1022の組みを備える。電
極1020、1022は、第1のVSD材料構造と接触するように配置され、第1のVS
D材料構造は、
図10においてVSD材料の層1040として示される。ビア1030は
、VSD材料1040、1044の層を横断し、電極1022と接触する。ビア1030
は、実質的に導電性である。導電層1070は、電極1020、1022と反対側の水平
平面に沿ってVSD材料の層1044に接触して配置されている。導電層は、導電性材料
(例えば、銅)からできており、または層状相互接続部であってもよい。導電層1070
を実装するのに使用することができる様々な層状相互接続部は、水平方向の効率の良い電
流の流れを防ぐ、Z軸方向の層状相互接続部が特定の実装にとって適当ではないことを除
き、
図5の実施形態に関して説明がされている。
【0168】
導電層1070は、プリプレグ層1080に隣接して配置されている。プリプレグ10
80は、PCBまたはフレキシブル回路等の基板デバイスの構成要素であり、基板の他の
層、コア1082と物理的に接触している。プリプレグ1080は実質的に絶縁体である
。
【0169】
ビア1030と導電層1070は実質的に導電性であり、概して無視し得るインピーダ
ンスを有していると仮定し得る。したがって、電圧は、電極1022と導電層1070と
の間で実質的な損失を生じることなく伝播する。
【0170】
もし、VSD材料構造1040の特性電圧とVSD材料構造1044の特性電圧の合計
を超える電圧が、電圧源1010又はESDパルス1012により電極1020と電極1
022の間に印加されるならば、VSD材料1040、1044は実質的に導電性となる
。電極1022と導電層1070は、電圧レベルが実質的に同一となるので、VSD材料
1040、1044を横切る電流の流れが、主として垂直方向に電極1020と導電層1
070との間で生じる。この現象の理由の1つは、電流は伝播のために最小のインピーダ
ンスを有する経路を選ぶ傾向があることであり、そして導電層1070と電極1020と
の間でVSD材料1040、1044の層を垂直に横切れば一般に最小のインピーダンス
を有する経路が提供されることである。
【0171】
その結果、
図10の実施形態で示されるVSDM構成1000は、垂直方向にスイッチ
ングされ、電流がVSD材料構造1040、1044を通り主として各基板のZ軸(また
は垂直軸)と実質的に平行な方向に流れる。
【0172】
図10の実施形態のVSD材料構造1040、1044内の電流の流れがギャップ10
42、1046を横切り実質的に垂直方向に流れるので、2つの異なるVSD材料構造1
040、1044により形成される複合物VSD材料構造の特性電圧は、2つのVSD材
料の構成により、およびギャップ1042の厚さTlとギャップ1046の厚さT2それ
ぞれにより決定されるであろう。VSD材料のある構成に対しては、この複合物の特性電
圧がギャップ1042とギャップ1046それぞれにわたるVSD材料構造1040、1
044の個々の特性電圧を加算することにより決定され得る。
【0173】
一般に、垂直スイッチングが起こっている2つ以上のVSD材料の構造の複合物構成に
おいて、互いに物理的に接触するか否かを問わず、VSDM構造の複合物一式の有効な特
性電圧は、複合物の合計の厚さが増加するにつれ、結果としての複合特性電圧も増加する
傾向であるようにVSD材料構造の個々の厚さの合計と相関性がある。
【0174】
様々な実施形態では、
図10に示される垂直スイッチングVSDM構成は、個々のVS
D材料構造が実質的に導電性となるときに、2つ以上のVSD材料構造の1つの垂直方向
にわたり(例えば、互いに電気的接触をしている複数の導電性機構の一式を通して)実質
的に無損失で電流が流れ、向かい合う(opposite)2つ以上のVSD材料構造の厚さを貫い
て垂直方向に流れるという概略の動作原理に従いながら、導電性、絶縁および半導性の様
々な他の層と機構の両方を追加して実装することができる。この一般的な設計アプローチ
において、VSD材料構造の複合物の特性電圧は、個々のVSD材料構造の全体の垂直方
向厚さおよびVSD材料それぞれの特性電圧によって決定される。
【0175】
図11は、実施形態にしたがってVSD材料を用いて垂直スイッチングを実現するよう
に構成されたVSD材料構成1100を示す。
図11の垂直スイッチングVSD材料構成
1100は、ESDおよび他の過電圧事象からの保護を可能とする基板デバイスを含む任
意の電子デバイスに組み入れることができる。様々な実施形態においてVSD材料構成1
100を組み入れることができる基板デバイスの例には、PCBおよび半導体チップのパ
ッケージングが含まれる。
図11は、基板デバイスの垂直方向におけるVSD材料構造の
断面図を示す。
【0176】
図10の実施形態による2つのVSD材料構造の代わりに、
図11の実施形態は、ギャ
ップ1142にわたり垂直方向の厚さTを有する単一のVSD材料の層1140を包含し
ていることを除き、
図11の垂直スイッチングVSD材料構成1100は、
図10のVS
D材料構成1000と概ね類似する。それにも関らず、様々な実施形態において、VSD
材料の複数の層は、
図10の実施形態に関して概して説明されるように利用され得る。商
業用の実施例では、VSD材料1140の構成に依存して、また特性電圧およびVSD材
料1140とって望ましい他の物理的および動作上の特性に依存して、Tは広範囲の値を
とり得る。製造工程における実施を考慮することができた厚さTの特定の例示的な値は、
2ミル、1.5ミル、1ミル、0.5ミル、0.2ミル、それよりも小さい値を含む。一
般に、Tの値が小さいほど、VSD材料構造1140の特性電圧がより低い値となること
が期待される。
【0177】
図11のVSD材料構成1100は、電極1120と電極1122の組みを備える。電
極1120、1122は、VSD材料構造1140と接触して配置される。導電性プリプ
レグ層1170は、電極1120、1122とは反対側の水平面に沿ってVSD材料の層
1140と接触して配置される。導電性プリプレグ層は、PCB、フレキシブル回路、ま
たは半導体デバイスのパッケージング等の基板デバイスの中の層であり得る。導電性プリ
プレグ層1170は、最小限の損失または無損失で電流を流すように構成された層及び/
または導電性構造の組みであるかまたはこれらを含む。導電性プリプレグ層1170は、
基板の他の層、コア1182と物理的に接触している。コア1180は実質的に絶縁体で
ある。
【0178】
もし、VSD材料構造1140の特性電圧を超える電圧が電圧源1110又はESDパ
ルス1112により電極1120と電極1122の間に印加されると、VSD材料114
0は、実質的に導電性となる。VSD材料1140を横切る電流の流れは、電極1120
と導電性プリプレグ層1170の間に、および電極1122と導電性プリプレグ層117
0の間に主として垂直方向に生じる。いったん電流が電極1120又は電極1122のい
ずれかからVSD材料構造1140を横切って特定の垂直方向(sense)に流れると、電
流は導電性プリプレグ層1170に沿って最小の損失または無損失で伝播し、そして電流
は、2つの電極1122、又は1120のうち他の方に向かって反対の垂直方向にVSD
材料構造1140を横切って流れる。VSD材料の層1140を横切って主として垂直方
向に電流が流れる理由は、伝播には最小のインピーダンスを有する経路を選択する傾向が
あるからであり、電極1120又は電極1122のいずれかと導電性プリプレグ1170
との間でVSD材料の層1140を垂直方向に横切ることは、一般に最小インピーダンス
を有する経路を提供することになる。2つの電極1120、1122との間の距離がギャ
ップ1142と同程度の大きさになるまで小さくなると、VSD材料1140は、水平方
向により大きい電流を流し得る。いくつかの実施形態では、Z軸に沿って電流が伝播する
ときは実質的に導電性を示すが、しかし水平方向には実質的に絶縁状態となるように異方
性の水平導電性を示すVSD材料1140の組成物を製造することにより、これを小さく
し得る。
【0179】
その結果、
図11の実施形態に示されたVSDM構成1100は、垂直方向にスイッチ
し、電流の流れは、VSD材料構造1140を横切り主として各基板のZ軸(または垂直
軸)に実質的に平行な方向に生じる。
【0180】
様々な実施形態では、
図11に示される垂直スイッチングVSDM構成は、電流は、個
々のVSD材料構造が実質的に導電性となるときにまず1つの垂直方向に1つ以上のVS
D材料構造を横切って流れ、その後、最小の損失または無損失で水平方向に流れ、その後
個別のVSD材料構造が実質的に導電性を維持する間に1つ以上のVSD材料構造の厚さ
を横切って反対の垂直方向に流れるという概略の動作原理に従いながら、導電性、絶縁お
よび半導性の様々な他の層と機構の両方を追加して実装することができる。この概略の設
計アプローチにおいて、VSD材料の1つ以上の層の特性電圧は、個々のVSD材料構造
の垂直方向の厚さの合計により、および各VSD材料の特性電圧により決定される。
【0181】
図12Aは、実施形態にしたがってVSD材料を用いて垂直スイッチングを実現するよ
うに構成されたVSD材料構成1200を示す。
図12Aの実施形態における垂直スイッ
チングVSD材料構成1200は、ESDおよび他の過電圧事象から保護するために基板
デバイスを含む任意の電子デバイスに組み込むことができる。VSD材料構成1200を
様々な実施形態において組み込むことができる基板デバイスの例として、PCBおよび半
導体チップのパッケージングが含まれる。
図12Aは、基板デバイスの垂直方向における
VSD材料構成の断面図を示す。
【0182】
図12Aの垂直スイッチングVSD材料構成1200は、ギャップ1242にわたり垂
直方向の厚さTを有するVSD材料1240の層を備える。
図10の実施形態に関して大
まかに説明したように、様々な実施形態においてVSD材料の複数の層は、利用される。
商業的な実施例においては、VSD材料の配合組成1240に依存して、および特性電圧
およびVSD材料1240にとり望ましい他の物理的または動作上の特性に依存して、T
は広範囲の値をとり得る。製造プロセスにおける実施のために考慮され得る厚さTの特定
の例示的な値には、2ミル、1.5ミル、1ミル、0.5ミル、0.2ミル、およびそれ
より小さい値が含まれる。一般に、Tが小さい値になればなるほど、VSD材料構造1240
の特性電圧がより低くなることが期待される。
【0183】
図12AのVSD材料構成1200は、電極1120と電極1122と電極1124の
組みを備え、これらはVSD材料構造1240に接触して配置される。導電層1270は
、プリプレグ層1230に隣接して配置される。プリプレグ層1230は導電層1270
とVSD材料の層1240の間に配置される。層状相互接続部1280は、VSD材料の
層1240に接触して配置される。ある実施形態では、層状相互接続部1280は、
図1
2Aに示されるようにプリプレグ層1230内で形成される。ある実施形態では、層状相
互接続部1280は、VSD材料1240からプリプレグ層1230を分離する区別層(
すなわち、プリプレグ層1230内で形成されない)として配置されてもよい。プリプレ
グ層1230は、PCB、フレキシブル回路、または半導体デバイスのパッケージング等
の基板デバイス内の層であり得る。
【0184】
ビア1250は、プリプレグ層1230を横切り、層状相互接続部1280と電気的接
触し、導電層1270と層状相互接続部1280との間の電気的接触を確立する。
【0185】
図12Aの実施形態では、電極1220と電極1224は、アースに接続される。ある
実施形態では、一方または両方の電極は、電気回路における異なる場所に接続することが
でき、この場所には、場合により電圧源、回路素子または部品、または他の基準電位差を
有する場所であってESDパルスもしくは他の電圧がそこに向けられ得る場所が含まれる
。
【0186】
もし、VSD材料構造1240の特性電圧を超える電圧がESDパルス1212(また
は電圧源)により導電層1270に印加されるなら、VSD材料1240は実質的に導電
性を有するようになる。VSD材料1240を横切る電流は、層状相互接続部1280と
電極1220及び/または電極1224との間で主として垂直方向に生じるであろう。
【0187】
その結果、
図12Aの実施形態で示されるVSDM構成1200は、垂直方向にスイッ
チし、電流がVSD材料構造1240を横切り主として各基板のZ軸(または垂直軸)と
実質的に平行な方向に流れる。ESD信号1212に応答してVSDM構成1200を横
切って流れる電流がたどる概略の電気経路は、ESD放電経路1290として
図12Aに
示される。
【0188】
図12Aの実施形態は、さらに埋め込まれたインピーダンス1296として表示される
回路素子を示す。様々な実施形態において、この回路素子は、部分的にまたは完全にVS
DM構成1200内に包含され、またはVSDM構成1200と通じてもよい(例えば、
回路素子はVSDM構成1200と同じPCBに埋め込まれてもよく、またはVSDM構
成1200が包含されるPCBに表面実装することができる)。
【0189】
図12Aの実施形態では、埋め込まれたインピーダンス1296は、少なくとも部分的
にVSDM構成1200内に埋め込まれる回路素子として示される。特に、
図12Aは、
プリプレグ層1230内で少なくとも部分的に埋め込まれた、埋め込みインピーダンス1
296を示す。別のまたは補足の実施形態では、埋め込まれたインピーダンス1296は
、基板の中またはVSDM構成1200の中で他の場所に配置され得る。例えば、埋め込
まれたインピーダンス1296は、VSD材料構造1240内に、他のPCB層内に、ま
たは半導体パッケージ等の他の基板内に配置され得る。
【0190】
様々な実施形態では、埋め込まれたインピーダンス1296は、1つ以上の回路素子か
ら成り、または1つ以上の回路素子を備える。様々な実施形態では、埋め込み回路素子イ
ンピーダンス1296は、1つ以上の抵抗、1つ以上のインダクタ、1つ以上のキャパシ
タ、1つ以上のフェロイック回路素子(例えば、VSD材料を含んでもよく含まなくても
よい埋め込まれたフェロイック(フェロイック)回路素子)、1つ以上のダイオード、1
つ以上のトランジスター、1つ以上のフィルター(例えば、1つ以上の低域フィルター、
バンドパスフィルターおよび高域フィルターまたはフィルター段の様々な組み合わせ)、
任意の他の受動回路素子または能動回路素子または受動電子部品または能動電子部品、無
視し得るインピーダンスを有する任意の層状相互接続部、無視できないインピーダンスを
有する任意の層状相互接続部(例えば、高誘電体材料の層)、無視できないインピーダン
スを有する任意の電極または他の導電性構造、及び/または前述の任意の組み合わせを含
み得る。
【0191】
埋め込まれたインピーダンス1296は、
図12Aで示される電子部品1298等の電
子要素をESDからの部分的にまたは完全に保護するためにVSD材料構造1240に関
して使用され得る。
図12Aでは、電子部品1298は、電極1228を通して埋め込ま
れたインピーダンスと接続されることが示される。埋め込まれたインピーダンス1296
は、導電層1270とも電気的接触をしている。VSD材料1240が存在しない場合、
導電層1270に印加されるESDパルスまたは他の高い電圧により高い電圧及び/また
は電流の伝播が埋め込まれたインピーダンス1296を通って電子部品1298に至る結
果となる。しかし、VSD材料1240が存在する場合は、垂直方向のスイッチングVS
DM構成1200がVSD材料構造1240の特性電圧を超える高い電圧に応答してスイ
ッチし、その後にもしVSD材料1240がなければ電子部品1298に到達したであろ
う少なくともESDパルスの一部が、電極1220を通りアースに迂回する。したがって
、垂直スイッチング構成1200は、導電層1270に存在するESDパルスまたは他の
過電圧事象の潜在的な損傷から電子部品1298を保護するために埋め込まれたインピー
ダンス1296を用いる。
【0192】
図12Aに示される電子部品1298等の電子部品のための部分的または全部のESD
の保護を提供するために、垂直スイッチング構成1200の構成要素としてVSD材料構
造1240に関連して使用され得る電気回路のアーキテクチャと動作は、米国特許出願第
13/096,860号明細書に詳細に開示されており、「スプリアスな電気的事象から
の組み込まれた保護」と題して、2011年4月28日に出願され、参照によりその全部
が本出願書類に組み込まれる。この特許出願に開示された及び/または請求された垂直ス
イッチングVSDM構造は、電子部品のためのESDおよび他の過電圧事象からの進んだ
保護を提供するために米国特許出願第13/096,860号明細書において開示され及
び/または請求された実施形態に関して使用され得る。
【0193】
1つの実施形態では、電子部品1298がVSDM構成1200内に埋め込まれ得る。
ある実施形態では、電子部品1298は、VSDM構成1200が包含される同じ基板(
例えば、同じPCB)において埋め込まれ得る。1つの実施形態では、電子部品1298
は、VSDM構成1200が包含される同じ基板に表面実装され得る。1つの実施形態、
電子部品1298は、VSDM構成1200が包含される基板と電気的に接触する異なる
電子デバイスに包含され得る(例えば、VSDM構成1200は、電子部品1298を備
える電子デバイスに取り付けられたコネクタに包含され得る)。1つの実施形態では、V
SDM構成1200は、電子部品1298のパッケージングに含まれ、または電子部品1
298と物理的に接触したまたは電気的に通じた基板に別に取り付けられまたは包含され
ている。
【0194】
様々な実施形態では、電子部品1298は、次の中の任意の1つ以上のものであってよ
い。すなわち、半導体チップまたは他の集積回路(IC)(例えば、マイクロプロセサ、
制御部、メモリチップ、RF回路、ベースバンドプロセサー等)、発光ダイオード(LE
D)、MEMSチップまたは構造、または電子デバイスの内部に配置された他の任意の構
成要素または回路素子が該当する。
【0195】
1つの実施形態では、埋め込まれたインピーダンス1296は、フェロイック材料内に
少なくとも部分的に埋め込まれた導電性構造を含むフェロイック回路素子を用いて実装さ
れ得る。フェロイックVSD材料を備えこのような埋め込まれた実施例に適したフェロイ
ック回路素子は、2011年5月24日に出願された米国特許出願13/115,068
号明細書に開示され、この内容は全て参照により本出願書類に組み込まれている。様々な
実施形態において、埋め込まれたインピーダンス1296は、埋め込まれたフェロイック
インダクタとして、埋め込まれたフェロイックVSD材料インダクタとして、埋め込まれ
たフェロイックキャパシタとして、埋め込まれたフェロイックVSD材料キャパシタとし
て、または任意の他の埋め込まれたフェロイック回路素子もしくは埋め込まれたフェロイ
ックVSD材料回路素子として実施することができる。
【0196】
図12Bは、実施形態にしたがってVSD材料を用いて垂直スイッチングを実現するよ
うに構成されたVSD材料構成1202を示す。
図12Aおよび
図12Bに示された実施
形態は
図12Bの実施形態において埋め込まれたインピーダンス1296が
埋め込まれたインピーダンス1297により置換され、電極1228が電極1229によ
り置換され、そして電子部品1298が電子部品1299に置換されることを除き、概ね
同じである。
図12Bに示されるように、埋め込まれたインピーダンス1297はプリプ
レグ層1230には埋め込まれておらず、むしろ導電層1270によりプリプレグ層12
30から分離されている。オプションの電極1229は、埋め込まれたインピーダンス1
297を電子部品1299に接続している。
【0197】
様々な実施形態では、埋め込まれたインピーダンス1297および電子部品1299の
アーキテクチャ、実施例および機能は、埋め込まれたインピーダンス1297および電子
部品1299が
図12Bに関して説明したように配置されていることを除き、埋め込まれ
たインピーダンス1296および電子部品1298それぞれについて
図12Aの実施形態
に関して説明されたものと実質的に同じである。
【0198】
1つの実施形態では、
図12Bで示される埋め込まれたインピーダンス1297は、V
SDM構成1200内に埋め込まれるのではなく、VSDM構成1200が包含される同
じ基板(例えば、同じPCB)に埋め込まれる。ある実施形態では、埋め込まれたインピ
ーダンス1297及び/または電子部品1299は、VSDM構成1200が包含されて
いる同じ基板に表面実装されてもよい。1つの実施形態では、埋め込まれたインピーダン
ス1297及び/または電子部品1299は、VSDM構成1200が包含されている基
板と電気的接触する異なる電子デバイスに包含されてもよい(例えば、VSDM構成12
00は、取り付けられた埋め込まれたインピーダンス1297及び/または電子部品12
99を備える電子デバイスに取り付けられたコネクタの中に含まれていてもよい)。1つ
の実施形態では、VSDM構成1200と埋め込まれたインピーダンス1297は、電子
部品1298のパッケージングに包含されるか、または電子部品1298に物理的に接触
するかもしくは通電する基板に別の態様で取り付けられるかもしくはその中に包含される
。
【0199】
図13は、実施形態にしたがって、PCBまたは他の基板の中に組み込まれ得るVSD
材料層1340を備え、垂直スイッチングを実現するように構成されたVSDM構成13
00を示す。
【0200】
図13に示されたVSDM構成1300は、導電層L1乃至L6と表示され、導電層1
370、1372、1374、1376、1378、および1379と番号付けされた多
数の導電性信号層を備える。これらの信号層は、PCBボード内で、またはPCBに取り
付けられた部品ならびに回路素子へ、またはこれらから電気信号を流すことができ、また
はアースまたは他の電圧基準ポイントとして機能してもよい。これらの信号層は、各基板
デバイス(
図13には具体的には表示されていない)に組み込まれた多数の実質的に絶縁
層または誘電体層により分離されている。PCBのためには、絶縁層は、プリプレグ充填
剤、コア、ラミネート層、または他の任意の類似の膜または構造を含んでもよい。
図13
に示されるVSDM構成1300は、PCBまたは他の基板の垂直寸法に沿って配置され
ている。
【0201】
図13に示されるVSDM構成1300は、さらにビア1350を備える。様々な実施
例においては、ビア1350は、ビア、パッド、配線、または導電性を有し、電気信号の
伝播を促進するように設計された他の任意の構造であってもよい。ビア1350は層L1
1370および層L2 1372との間で電気伝導性を持つ。
【0202】
図13の実施形態のVSDM構成1300は、さらにVSD材料構造1340として示
されるVSD材料構造を備える。VSD材料構造1340は、垂直方向に配置され、VS
DM構成1300の複数の導電層を横切る。
図13に示されるように、VSD材料構造1
340は、導電層L2 1374および導電層L3 1376を横切る。様々な実施例で
は、VSD材料構造1340は、2つ以上の導電層またはPCB、フレキシブル回路、ま
たは半導体パッケージ等の基板内の他の導電性構造を横切ってもよい。1つの実施形態で
は、VSD材料構造1340を、PCB、フレキシブル回路、または半導体パッケージ等
の基板内で利用できる、VSD材料ビア(例えば、埋め込み(buried)ビア)また
は他の任意の容積をなすもので充填することにより製造し得る。1つの実施形態では、V
SD材料構造1340は、(例えば、機械的にまたはレーザーにより)基板内に穴を作り
次にその穴にVSD材料を充填することにより製造し得る。1つの実施形態では、VSD
材料構造1340は、基板の製造の間に基板内で作られた空の空間内にVSD材料を堆積
することにより製造し得る(例えば、前から存在するギャップまたはそのPCBの異なる
隣接する層で以前に作った穴を調節することでPCB内に垂直の空洞を作り、そしてVS
D材料を注入し空洞の内側のVSD材料を硬化させることにより)。
【0203】
もし、ESDパルス1312が層L1 1370に到着すると(または他の電圧源が層
L1 1370に印加される)、各電圧、最小の損失または無損失で層L2 1372に
伝播する。層L2 1372では、ESDパルス1312に応答して生じた電圧がVSD
材料構造1340に到達する。もし、VSD材料構造1340に到達する電圧が、特定の
垂直ギャップにわたるVSD材料構造1340の特性電圧を超えるならば、VSD材料が
スイッチし、ギャップ内が実質的に導電性となる。
【0204】
図13の実施形態では、導電層L3 1374は、アースに接続される。他の実施例で
は、導電層L3 1374(または各VSD材料構造と電気的接触する導電性構造もしく
は層)は、任意の電圧基準ポイントまたは回路素子または部品等の、ESD信号が流れて
行くことができる他の場所に接続され得る。
【0205】
図13の実施形態において導電層L3 1374は、アースに接続され、ESDパルス
1312は、導電層L2 1372に伝播するから、VSD材料構造1340内で垂直ス
イッチングをトリガーする有効ギャップは、実質的にギャップ1342であり、実質的に
有効な厚さTは、導電層L2 1372と接地層L3 1374との間の垂直方向の間隔
によりおおよそ決まる。厚さTは、VSD材料構造1340の特性電圧を(例えば、式1
にしたがって)少なくとも部分的に決定する。ある実施例では、他の実施形態に関して本
願の出願書類で説明したように、2つ以上のVSD材料構造が、垂直方向に積み重ねられ
(隣接するかまたは物理的に分離された層の状態で)または水平方向に接続されてもよい
(例えば、層状相互接続部を介して)。
【0206】
いったん
図13の実施形態で示されたVSD材料構造1340がスイッチオンしてギャ
ップ1342にわたり実質的に導電性になると、電流は、導電層L2 1372と接地層
L3 1374の間でギャップ1342を横切り、主として垂直方向に流れる。もしこの
現象が起きると、VSDM構成1300は垂直方向にスイッチする。
【0207】
図14は、実施形態にしたがって、PCBまたは他の基板に埋め込むことができ、垂直
スイッチングを実現するよう構成されたVSD材料構造1440を備えるVSDM構成1
400を示す。1つの実施形態では、
図14で示された描写は、
図13のVSDM構成1
300の拡大図である。
【0208】
図14で示されたVSDM構成1400は、導電層L1からL3で表示され、導電層1
470、1472、1474で番号付けされた3つの導電性信号層を備える。
導電層1474は、アースに接続される。あるいは、導電層1474は、回路素子もしく
は部品、または他の電圧基準ポイントに接続され得る。これらの3つの信号層は、各基板
デバイス(
図14には具体的には表示されていない)に組み込まれた多数の実質的な絶縁
層または誘電体層によって分離される。PCBについては、このような絶縁層は、プリプ
レグ充填剤、コア、ラミネート層、または他の任意の類似する膜もしくは構造を含んでも
よい。
図14のVSDM構成1400は、PCBまたは他の基板の垂直寸法に沿って配置
される。
【0209】
図14に示されるVSDM構成1400は、ビア1450をも備える。様々な実施例に
おいては、ビア1450は、ビア、パッド、配線、または導電性を有し、電気信号の伝播
を促進するように設計された他の任意の構造であってもよい。ビア1450は、層L1
1470および層L2 1472と電気的に通じている。
【0210】
図14の実施形態のVSDM構成1400は、VSD材料構造1440として示される
VSD材料構造をさらに備える。VSD材料構造1440は、垂直方向に配置され、導電
層L2 1474およびL3 1476と電気的に接触している。様々な実施例では、V
SD材料構造1440は、PCB、フレキシブル回路、または半導体パッケージ等の基板
内の2つ以上の導電層または他の導電性構造を横切り得る。1つの実施形態、VSD材料
構造1440は、ビア(例えば、埋め込み(buried)ビア)または他の任意の容積
であってPCB、フレキシブル回路、または半導体パッケージ等の基板内で利用可能な容
積にVSD材料を充填することにより製造し得る。
【0211】
もし、ESDパルス1412が層L1 1470に到達したら(または他の電圧源が層
L1 1470に印加されたら)、各電圧は、最小の損失または無損失でビア1450を
通過し層L2 1472に伝播する。層L2 1472で、ESDパルス1412に応答
して生じる電圧は、VSD材料構造1440に到達する。もし、VSD材料構造1440
に届く電圧が特定の垂直ギャップにわたるVSD材料構造1440の特性電圧を超えるな
ら、VSD材料はスイッチオンとなりそのギャップにわたり実質的に導電性となるであろ
う。
【0212】
図14の実施形態において導電層L3 1474がアースに接続されておりESDパル
ス1412が導電層L2 1472に伝播するから、VSD材料構造1440内で垂直ス
イッチングをトリガーするその有効ギャップは、実質的にギャップ1442であり、有効
な厚さはおよそTであり、導電層L2 1472と接地層L3 1474との間の垂直方
向の間隔により実質的に決定される。厚さTは、少なくとも部分的にVSD材料構造14
40の特性電圧を(例えば式1にしたがって)決定するであろう。ある実施例では、他の
実施形態に関して本願出願書類で説明したようにVSD材料の1つ以上の構成が垂直方向
に積み重ねられてもよく(隣接していようと物理的に分離した層であろうと)また水平方
向に接続されてもよい(例えば、ビア層状相互接続部)。
【0213】
図14の実施形態で示されるVSD材料構造1440は、スイッチオンしてギャップ1
442にわたり実質的に導電性となり、電流が流れ導電層L2 1472と層L3 14
74との間で主として垂直方向にギャップ1442を横切って流れる。もしこれが起きる
とき、VSDM構成1400は垂直方向にスイッチしている。層L1 1470に印加し
、ギャップ1442にわたりVSD材料構造の特性電圧を超える電圧を有するESDパル
ス1412(または他の電圧源)に応答して、電流は、実質的に電気経路1490のよう
に
図14に示される電気経路に沿って流れることができる。
【0214】
図15Aは、実施形態にしたがって1つ以上の回路素子に接続するVSD材料を用いて
垂直スイッチングを実現するように構成されたVSD材料構成1500を示す。
図15A
の垂直スイッチングVSD材料構成1500は、ESDおよび他の過電圧事象から保護す
るために、基板デバイスを含む任意の電子デバイスに組み込まれてもよい。様々な実施形
態においてVSD材料構成1500が組み込まれ得る基板デバイスの例には、PCB、フ
レキシブル回路、および半導体チップのパッケージングが含まれる。
図15Aは、基板デ
バイスの垂直方向におけるVSD材料構成の断面図を示す。
【0215】
図11の実施形態の導電性プリプレグ1170の代わりに、
図15Aの実施形態は、回
路素子1592を介して接続される2つの層状相互接続部1570、1572を包含する
ことを除き、
図15Aの垂直スイッチングVSD材料構成1500は、
図11のVSD材
料構成1100に概ね類似している。回路素子1592は、
図15AにおいてHと表示さ
れる無視できないインピーダンスを有する。様々な実施形態において、層状相互接続部1
570、1572は、電極、層状相互接続部または層状相互接続部の部分、導電層または
導電層の部分、または他の任意の導電性構造であってもよく、またはこれらを含んでいて
もよい。
【0216】
図15Aの垂直スイッチングVSD材料構成1500は、VSD材料構造1540を備
え、VSD材料構造1540は、電極1520と層状相互接続部1572との間、および
電極1522と層状相互接続部1570との間にそれぞれ配置される。
図5の実施形態の
VSD材料構造1540は、水平寸法にわたり実質的に一様で、Tと表示されるギャップ
1542におよそ等しい垂直方向の厚さを有する。
【0217】
層状相互接続部1570、1572は、基板層、コア1582に隣接して配置され、コ
ア1582は実質的に絶縁体かまたは実質的に誘電体である。追加の層は、VSDM構成
1500が包含される基板デバイス内に存在してもよい(例えば、1つ以上のプリプレグ
層)。
【0218】
ESDパルス1512(または電圧源1510)により電極1520と電極1522の
間に生じる電圧に応答して、VSD材料構造1540は、スイッチオンし実質的に導電性
になり得る。VSD材料構造1540内で垂直スイッチングをトリガーする有効ギャップ
は、実質的にギャップ1542の2倍の大きさであり、Tの値のおよそ2倍の有効な厚さ
を有する(これは、VSDM構成1500が垂直方向にスイッチするときにギャップ15
42を反対方向も含め2回にわたり電流が伝播するからである)。厚さTは、(例えば、
式1にしたがって)VSD材料構造1540の特性電圧を少なくとも部分的に決定する。
もし、要素1592のインピーダンスが0または無視し得る程度であれば、または要素1
592が存在しなければ、VSD材料構造1540がスイッチオンとなる前にESDパル
ス1512によって生じなければならない最小電圧は、VSD材料構造1540の特性電
圧のおよそ2倍に等しい(なぜなら、2つの電極1520、1522の間に電気回路が成
り立つためには、電流は、2つの異なる垂直方向にギャップ1542を2回横切って流れ
なけれならないからである)。
【0219】
しかし、要素1592が無視できないインピーダンスを有する場合、VSD材料構造1
540がスイッチオンする前にESDパルス1512が発生しなければならない最小電圧
は、およそ要素1592の両端の電圧降下に等しい電圧より高くなる。例えば、もし要素
1592が抵抗であれば、ESDパルス1512の電圧がVSD材料構造1540の特性
電圧の2倍に要素1592間の電圧降下を加算した値におよそ等しいときに、VSD材料構
造1540はスイッチオンし実質的に導電性となり得る。
【0220】
様々な実施形態では、回路素子1592は、1つ以上の抵抗、1つ以上のインダクタ、
1つ以上のキャパシタ、1つ以上のフェロイック回路素子(例えば、VSD材料を備えて
もよく備えなくてもよい埋め込まれたフェロイック回路素子)、1つ以上のダイオード、
1つ以上のトランジスタ、1つ以上のフィルタ(例えば、1つ以上の低域通過フィルタ、
帯域通過フィルタ、高域通過フィルタまたはフィルタ段の様々な組み合わせ)、任意の他
の受動回路素子または能動回路素子または受動電子部品または能動電子部品、任意の層状
相互接続部、電極または無視できないインピーダンスを有する他の導電性構造、および前
述の任意の組み合わせを含んでもよく含まなくてもよい。回路素子1592は、単一の電
子部品または電子部品の組み合わせを備えてもよく、VSDM構成1500が組み込まれ
る電子デバイスまたは基板デバイスのためのESD保護を部分的にまたは全面的に提供す
るために、VSD材料構造1540に関して使用されてもよい。
【0221】
1つの実施形態では、回路素子1592は、PCB、フレキシブル回路、または半導体
デバイスのパッケージング等の基板に埋め込まれている。
図15Aを参照すると、例えば
要素1592は、VSDM構成1500が組み込まれ得るPCBの層に埋め込まれてもよ
い(例えば、回路素子1592は、コア層内、プリプレグ層内、ラミネート層内、または
PCBの任意の他の層内に包含されてもよい)。1つの実施形態では、要素1592は、
VSDM構成1500が中に組み込まれ得るPCBに取り付けられる電子部品または回路
素子であり得る。1つの実施形態では、要素1592は、VSDM構成が中に組み込まれ
得るパッケージング基板により保護される半導体チップ内に包含される回路素子であり得
る。
【0222】
図15Aの実施形態では、要素1592は、層状相互接続部1570と層状相互接続部
1572の間に接続されるように示されている。他のまたは補足的な実施形態では、要素
1592、又は他の回路素子は、基板内またはVSDM構成1500内の他の場所に配置
され得る。例えば、要素1592、又は、他の回路素子は、電極1520とVSD材料構
造1540の間に、電極1522とVSD材料構造1540の間に、ESDパルス151
2により生じる電圧が電極1520又は電極1522に届く前にこの電圧の電気的経路に
おいて、またはESD事象から保護されるべき1つ以上の電子部品およびVSDM構成1
500と電気的に接触する状態で、配置され得る。
【0223】
1つの実施形態において、要素1592は、フェロイック(ferroic)材料内で
導電性構造を少なくとも部分的に埋め込むことにより製造された埋め込み回路素子を使用
して実装することができ、このフェロイック材料は少なくとも部分的に基板内に埋め込ま
れる。フェロイックVSD材料を備え、このように埋め込まれる実施例に適しているフェ
ロイック回路素子は、米国特許出願13/115,068に開示されている。
【0224】
図15Aの実施形態のVSD材料構造1540がスイッチオンしてギャップ1542に
わたり実質的に導電性となると、電流は、電極1520と層状相互接続部1572の間を
1回、電極1522と層状相互接続部1570の間を反対方向に1回、主として垂直方向
にギャップ1542を横切って流れる。
【0225】
1つの実施形態では、単一のVSD材料構造1540の代わりに、VSDM構成150
0は、異なる垂直方向の厚さを有する2つのVSD材料構造を備えており、このため電極
1522と層状相互接続部1570の間のギャップが電極1520と層状相互接続部15
72との間のギャップと異なる。
【0226】
ある実施例では、1つ以上のVSD材料構造が垂直方向に積み上げられていてもよい(
隣接していても物理的に分離した層であってもよい)。
【0227】
商業的な実施例では、ギャップ1542の厚さTは、VSD材料1540の構造に依存
して、また特性電圧およびVSD材料1540に望ましい他の物理的または動作上の特性
に依存して、広範囲の値を取り得る。VSDM構成1500の有効厚さが、Tの2倍の値
により決定されることを考慮すると、製造プロセスにおける実施のために考慮され得る厚
さTの特定の例示的な値には、1ミル、0.75ミル、0.5ミル、0.25ミル、0.
1ミル、およびこれより小さい値が含まれる。一般に、VSD材料構造1540に対して
より小さい特性電圧を可能とするためTにはより小さい値が求められるが、商業的な量産
製造環境において一貫して実現することはより難易度が高いことであり得る。
【0228】
図15Bは、実施形態にしたがって、第1のインピーダンス値を有する回路素子と第2
のインピーダンス値を有する埋め込まれたインピーダンス要素とを用いたVSD材料を用
いて垂直スイッチングを実現するように構成されたVSD材料構成1502を示す。
図1
5Aおよび
図15Bで示される実施形態は、
図15Bの実施形態において要素1592が
要素1593により置き換えられ、埋め込まれたインピーダンス1597として示された
回路素子が、VSD材料構造1540内に埋め込まれていること以外は概ね同じである。
電子部品1599は、埋め込まれたインピーダンス1597と電気的に接触している。こ
の電気的接触は、オプションの電極1529により実現され得る。
【0229】
様々な実施形態では、要素1593のアーキテクチャ、実施例および機能は、要素15
93がH1と表示されるインピーダンスを有することを除き、要素1592に対して
図1
5Aの実施形態に関して説明したことと実質的に同じである。埋め込まれたインピーダン
ス1597は、H2と表示されるインピーダンスを有する。様々な実施形態では、要素1
593および埋め込まれたインピーダンス1597は、回路素子(例えば、これらは両方
ともインダクタであってもよく、または一方が抵抗で他の一方がキャパシタであってもよ
い)と同じタイプであってもよく異なるタイプであってもよい。様々な実施形態では、イ
ンピーダンスH1とインピーダンスH2は同じであっても同じでなくてもよい。
【0230】
様々な実施形態では、埋め込まれたインピーダンス1597および電子部品1599の
アーキテクチャ、実施例、および機能は、埋め込まれたインピーダンス1597および電
子部品1599が
図12Bに関して説明したように配置され、垂直スイッチングVSDM
構成1502に関して使用されることを除き、埋め込まれたインピーダンス1296と対
応する電子部品1298に対し
図12Aの実施形態に関して説明したものと実質的に同じ
であり得る。
【0231】
図15Bに示されるように、埋め込まれたインピーダンス1597は、VSD材料構造
1540内に少なくとも部分的に包含されており、電極1522と電気的に接触している
。VSD材料構造1540が存在しない場合は、電極1522に印加される高い電圧は、
埋め込まれたインピーダンス1597を通り電子部品1599に伝播し、潜在的に電子部
品1599を損傷する可能性がある。
【0232】
しかし、もしVSD材料構造1540が、存在して電極1522に印加された十分に高
い電圧のESDパルス1512に応答してスイッチオンするなら、電子部品1599にま
で流れた電流の少なくとも一部分は、代わりにVSD材料1540を横切って層状相互接
続部1570に達する。その結果、電子部品1599と場合により埋め込まれたインピー
ダンス1597とは、過電圧の損傷から保護される。
【0233】
埋め込まれたインピーダンス1297に関して
図12Bの実施形態で説明したように、
VSD材料の層1540内に埋め込まれるのではなく、代わりに埋め込まれたインピーダ
ンス1597は、VSDM構成1502が包含される同じ基板(例えば、同じPCB)に
包含されてもよい。1つの実施形態では、埋め込まれたインピーダンス1597及び/ま
たは電子部品1599は、VSDM構成1502が包含される同じ基板に表面実装されて
もよい。ある実施形態では、埋め込まれたインピーダンス1597及び/または電子部品
1599は、VSDM構成1502が包含される基板に電気的接触をする異なる電子デバ
イスに包含されてもよい(例えば、VSDM構成1502は、埋め込まれたインピーダン
ス1597及び/または電子部品1599を備える電子デバイスに取り付けられたコネク
タに包含され得る)。ある実施形態では、VSDM構成1502および埋め込まれたインピー
ダンス1597は、電子部品1599のパッケージングに含まれるか、または電子部品1
599と物理的に接触し、または電気的に通じている基板に別の態様で取り付けられるか
または包含される。
【0234】
図16は、実施形態にしたがって垂直スイッチングVSD材料構成1600および水平
スイッチングVSD材料構成1601の組み合わせを示す。
図10の実施形態では、VS
DM構成1000は、垂直方向にスイッチする垂直層に配置されたVSD材料の2つの構
造を備える。
図16の実施形態では、VSD材料構成1600、1601は、ギャップ1
648にわたり垂直方向にスイッチするように配置されたVSD材料構造1646と、ギ
ャップ1642にわたり水平方向にスイッチするように配置されたVSD材料構造164
0とを組み合わせている。
【0235】
1つの実施形態では、垂直スイッチングVSD材料構成1600と水平スイッチングV
SD材料構成1601とは、異なる基板内に包含されており、これらはコネクタ1628
により接続されている。1つの実施形態では、垂直スイッチングVSD材料構成1600
と垂直スイッチングVSD材料構成1601の両方またはいずれか一方が、フレキシブル
基板に包含されており、コネクタ1628はフレキシブルコネクタである。
【0236】
図16の実施形態では、垂直スイッチングVSD材料構成1600は、2つの電極16
20、1622とVSD材料構造1646との組を備えている。電極1620、1622
は、VSD材料構造1646と接触しており、VSD材料構造1646は厚さT1の垂直
ギャップ1648の範囲に及んでいる。層状相互接続部1670は、電極1620と向か
い合うVSD材料構造1646と接触して配置される。
図16に示される電極1622は
、VSD材料の層1646を横切り、層状相互接続部1670と直接電気的に接触する。
他の実施形態では、電極1622は、VSD材料の層1622を完全には横切らなくても
よく、その場合には第2の垂直ギャップがVSD材料1646(T1と等しいかそれより
小さい厚さを有する)の範囲で存在してもよく、その範囲で垂直スイッチングが生じ得る
。
【0237】
図16の実施形態では、水平スイッチングVSD材料構成1601は、2つの電極16
24、1626とVSD材料構造1640を備える。電極1624、1626は、VSD
材料構造1640と接触し、VSD材料構造1640は厚さT2の垂直ギャップ1642
に及ぶ。層状相互接続部1672は、電極1624、1626と向かい合うVSD材料構
造1640を接触するように配置される。
【0238】
図16の実施形態において、コネクタ1628と表示された導電性構造は、垂直スイッチ
ングVSD材料構成1600の電極1622と、水平スイッチングVSD材料構成1601
の電極1624とに接続する。コネクタ1628は、ビア、パッド、配線、層状相互接続
部、または導電性があり、電気信号の伝播を促進するように構成された他の任意の構造で
あってもよい。1つの実施形態においては、コネクタ1628は、フレキシブル電気のコ
ネクタである。
【0239】
図16の垂直スイッチングVSD材料構成1600および水平スイッチングVSD材料
構成1601は、ESDおよび他の過電圧事象からの保護を可能とする基板デバイスを含
む電子デバイスに包含され得る。垂直スイッチングVSD材料構成1600および水平ス
イッチングVSD材料構成1601が、様々な実施形態において組み込まれる基板デバイ
スの例には、フレキシブルコネクタにより相互接続される2つのPCBの組み合わせ、フ
レキシブルコネクタにより相互接続されるPCBおよび半導体パッケージの組み合わせ、
またはフレキシブルコネクタにより相互接続される2つの半導体パッケージの組み合わせ
が含まれる。このようなフレキシブルコネクタの応用は、フレキシブル電子デバイスで実
現される可能性があり、これらの電子デバイスには、枢動自在なまたは可動の面を有する
電子デバイス(例えば、キーボードまたは調節可能な画面を有する携帯電話機またはタブ
レット)または柔軟性を持つように設計された電子デバイス(例えば、フレキシブルLE
Dディスプレイ)が含まれる。
【0240】
図16は、垂直スイッチングVSD材料構成1600および水平スイッチングVSD材
料構成1601の各断面図を示す。垂直スイッチングVSD材料構成1600および水平
スイッチングVSD材料構成1601のそれぞれは、PCB、フレキシブル回路または半
導体パッケージ等の分離した基板デバイスに埋め込まれ得る。
図16は、追加の説明のた
めのコア1682およびコア1683等の基板層を示している。
【0241】
1つの実施形態では、垂直スイッチングVSD材料構成1600と水平スイッチングV
SD材料構成1601のそれぞれは、ESDパルス1612等のESDパルスに応答して
独立に動作する。もしESDパルス1612が電極1620に印加され、かつ電極162
2が接地されていたら(または別の態様で特定の電位差が設定されていたら)、または、
もしESDパルス1612が電極1622に印加され、かつ電極1620が接地されてい
たら(または別の態様で特定の電位差が設定されていたら)、垂直スイッチングVSD材
料構成1600に対して、この動作が起きる。もしESDパルス1612が電極1624
に印加され、かつ電極1626が接地されていたら(または別の態様で特定の電位差が設
定されたなら)、またはもしESDパルス1612が電極1626に印加され、かつ電極
1624が接地されていたら(または別の態様で特定の電位差が設定されていたら)、水
平スイッチングVSD材料構成1601に対して、この動作が起きる。
【0242】
図16に示される実施形態において、もしこの2つの構成が共にスイッチ動作すれば、
ESDパルス1612等のESDパルスに応答して垂直スイッチングVSD材料構成16
00と水平スイッチングVSD材料構成1601は、協調的に動作し得る。もし電極16
26が接地されており(または別の態様で特定の電位差が設定されており)かつESDパ
ルス1612が電極1620に印加されるなら、またはもし電極1620が接地され(ま
たは別の態様で特定の電位差が設定されており)かつESDパルス1612が電極162
6が印加されるなら、この動作が実現し得る。この場合は、VSD材料構造1646は、
ギャップ1648にわたり垂直スイッチングが起こり得るし、VSD材料構造1640は
ギャップ1642にわたり水平スイッチングが起こり得る。
【0243】
垂直スイッチングVSD材料構成1600および水平スイッチングVSD材料構成16
01が、電極1620と電極1626の間で共にスイッチングするためには、VSD材料
構造1640とVSD材料構造1648がスイッチオンしなければならない。これが起き
るためには、ESDパルス1612に応答して電極1620と電極1626の間に生じる
差動電圧が、VSD材料構造1640の特性電圧とVSD材料構造1648の特性電圧と
の合計を超えるか等しくなければならない。
【0244】
VSD材料構造1640とVSD材料構造1646の両方がスイッチオンしてこの2つ
のVSD材料構造が実質的に導電性となるとき、電流は、ギャップ1648を垂直方向に
横切って伝播し、ギャップ1642を水平方向に横切って伝播する。
【0245】
1つの実施形態では、VSD材料構造1640とVSD材料構造1646とは、異なる
組成および特性電圧(ボルトで表現される)を有している。1つの実施形態では、2つの
VSD材料構造1640とVSD材料構造1646とは同じ組成を有している。VSD材
料構造1640とVSD材料構造1646とは、その実施例に依存して同一の特性電圧を
有していてもよく有していなくてもよい。
【0246】
商業的な実施例に対しては、VSD材料構造1646とVSD材料構造1640の構成
に依存して、および特性電圧ならびにVSDM構成1600ならびにVSDM構成160
1に所望される他の物理的もしくは動作上の特性に依存して、ギャップ1648の厚さT
1とギャップ1642の厚さT2は、それぞれ広範囲の値をとり得る。T1およびT2の
特定の例示的な値は、2ミル、1.5ミル、1ミル、0.5ミル、またはこれより小さい
値である。一般に、Tの値が小さいほど、VSD材料構造1646およびVSD材料構造
1640の特性電圧が低くなることが期待される。
【0247】
様々な実施形態では、本特許出願書類に説明され、及び/または特許請求の範囲に記載
されているように、垂直スイッチングVSDM構成は、
図16に示されるものを含み水平
スイッチング構成と接続して基板に実装され得る。例えば、垂直スイッチングVSDM構
成(
図15Aに示される構造等)と水平スイッチングVSDM構成(
図2に示される構造
等)の両方を基板に埋め込むことができ、特定の電子部品を保護するために2つのVSDM構
成は、共に使用され得る(例えば、電極122を電極1620に接続することにより)。
または、単一の電子部品または異なる電子部品を保護するために独立に使用され得る(例
えば、2つの構造を直接接続しないで使用)。
【0248】
図16の実施形態は埋め込まれたインピーダンス1696と表示される回路素子をさら
に示す。様々な実施形態では、この回路素子は、部分的にまたは完全に垂直スイッチング
VSDM構成1600内に包含され得る、または垂直スイッチングVSDM構成1600
と通じることができる(例えば、この回路素子は、垂直スイッチングVSDM構成160
0が包含されるPCBと同じPCBに埋め込まれ、またはそのPCBに表面実装され得る
)。代替のまたは補完的な実施形態では、埋め込まれたインピーダンス1696、又は他
の類似する回路素子が、部分的にまたは完全に水平スイッチングVSDM構成1601内
に包含され得るか、または水平スイッチングVSDM構成1601と通じることが可能で
ある(例えば、VSDM構成1601と同じPCBに埋め込まれ得るか、またはVSDM
構成1601が包含されるPCBに表面実装され得る)。
【0249】
図16の実施形態では、埋め込まれたインピーダンス1696は、VSDM構成160
0内に少なくとも部分的に埋め込まれた回路素子として示される。特に、
図16は、VS
D材料構造1646内に少なくとも部分的に埋め込まれているように埋め込まれたインピ
ーダンス1696を示す。代替えのまたは補完的な実施形態では、埋め込まれたインピー
ダンス1696は、基板内のまたはVSDM構成1600内の他の場所に配置され得る。
【0250】
様々な実施形態では、
図16の埋め込まれたインピーダンス1696等の少なくとも部
分的に基板に埋め込まれた回路素子は、1つ以上の回路素子から成るか、または1つ以上
の回路素子を備える。様々な実施形態では、埋め込まれたインピーダンス1696は、1
つ以上の抵抗、1つ以上のインダクタ、1つ以上のキャパシタ、1つ以上のフェロイック
回路素子(例えば、VSD材料を含んでもよく含まなくてもよい埋め込まれたフェロイッ
ク回路素子)、1つ以上のダイオード、1つ以上のトランジスター、1つ以上のフィルタ
ー(例えば、1つ以上の低域通過フィルター、帯域通過フィルター、および高域通過フィ
ルターの様々な組み合わせまたはフィルター段)、他の任意の受動回路素子または能動回
路素子または能動電子部品または受動電子部品、任意の層状相互接続部、電極または無視
できないインピーダンスを有する他の導電性構造、および既述の構成の任意の組み合わせ
を含んでもよい。
【0251】
埋め込まれたインピーダンス1696は、
図16に示される電子部品1698等の電子
部品に対し部分的にまたは全面的にESD保護を提供するために、VSD材料構造164
0とVSD材料構造1646とを接続して使用され得る。
図16において、電子部品16
98は、埋め込まれたインピーダンス1696と電極1629を通して接続されることが
示される。埋め込まれたインピーダンス1696は、電極1620とも電気的接触をして
いる。VSD材料1640が存在しなければ、電極1620に印加されたESDパルスま
たは他の高い電圧により、高い電圧及び/または電流を埋め込まれたインピーダンス16
96を介して電子部品1698に伝播させる結果となる。しかし、VSD材料1640が存
在する場合は、垂直スイッチングVSDM構成1600は、上述のようにスイッチオンし、そ
の後層状相互接続部1670を通って、VSD材料が存在しなければ電子部品1698に届
いたであろうESDパルスの少なくとも一部を迂回させる。したがって、垂直スイッチング
構成1600は、埋め込まれたインピーダンス1696を用いて、電極1620に存在す
るESDパルスまたは他の過電圧事象による潜在的損傷から電子部品1698を保護する。
【0252】
図16に示される電子部品1698等の電子部品を部分的にまたは全面的にESDから
保護するために、スイッチングVSDM構成1600、1601に関して使用され得る電
気回路のアーキテクチャおよび動作は、米国特許出願第13/096,860号明細書に
詳細に開示される。
【0253】
1つの実施形態では、電子部品1698は、VSDM構成1600内に埋め込まれ得る
。1つの実施形態では、電子部品1698は、VSDM構成1600が中に包含される同
じ基板(例えば、同じPCB)に埋め込まれ得る。1つの実施形態では、電子部品169
8は、同じVSDM構成1600が中に包含される基板と同じ基板に表面実装され得る。
1つの実施形態では、電子部品1698は、VSDM構成1600が包含される基板と電
気的接触をする異なる電子デバイスに包含され得る(例えば、VSDM構成1600は、
電子部品1698を備える電子デバイスに取り付けられたコネクタに包含され得る)。1
つの実施形態では、VSDM構成1600は、電子部品1698のパッケージングに含ま
れているか、または電子部品1698と物理的に接触するか、もしくは電気的に通じてい
る基板に別の態様で取り付けられているか、もしくは包含されている。1つの実施形態で
は、電極1629は、フレキシブルコネクタであり、電子部品1698は、フレキシブル
電子デバイスの一部として異なる基板に配置される。
【0254】
様々な実施形態では、埋め込まれたインピーダンス1696および電子部品1698の
アーキテクチャ、実装および機能は、埋め込まれたインピーダンス1696および電子部
品1698が
図16に関して説明したように配置されていることを除き、インピーダンス
1296および電子部品1298に関して、
図12Aの実施形態において説明したことと
実質的に同じである。
【0255】
1つの実施形態では、埋め込まれたインピーダンス1696は、フェロイック材料内で
少なくとも部分的に埋め込まれた導電性構造を含むフェロイック回路素子を使用して実装
され得る。様々な実施形態では、埋め込まれたインピーダンス1696は、埋め込まれた
フェロイックインダクタ、埋め込まれたフェロイックVSD材料インダクタ、埋め込まれ
たフェロイックキャパシタ、埋め込まれたフェロイックVSD材料キャパシタとして、ま
たは任意の他の埋め込まれたフェロイック回路素子もしくは埋め込まれたフェロイックV
SD材料回路素子として実装されている。
【0256】
図17は、実施形態にしたがってVSD材料を用いて、垂直スイッチングと水平スイッ
チングを両方実現するように構成されたVSD材料構成1700を示す。
【0257】
VSD材料を用いて垂直スイッチングと水平スイッチングを両方実行するように構成さ
れたVSD材料構成は、「双方向スイッチングVSDM構成」または「双スイッチングV
SDM構成」という。様々な実施形態では、
図17の双方向スイッチングVSDM構成1
700等の双方向スイッチングVSDM構成は、このような双方向スイッチングVSDM
構成が、追加の水平スイッチング機能を実行できることを除いて本特許明細書及び/また
は特許請求の範囲に開示した様々な垂直スイッチングVSDM構成として類似する応用や
実施例で使用され得る。
【0258】
様々な実施形態では、双方向スイッチングVSDM構成は、本特許出願書類において開
示され及び/または特許請求の範囲に記載された様々な垂直スイッチングVSDM構成に
関して大まかに説明したように垂直スイッチングを促進させるような態様で配置されたV
SD材料構成を備える。さらに、この実施形態では、それぞれのVSD材料構造は、
図1
及び/または
図2に関して大まかに説明したように水平スイッチングを促進するような態
様で配置される少なくとも1つの電極と電気的に接触することもできる。
【0259】
図17の実施形態で示されるVSD材料構成1700は、VSD材料構造1740(例
えば、VSD材料の層)と電気的に接触する電極1720(例えば、パッドまたは層状相
互接続部)を備える。VSD材料構成1700は、VSD材料構造1740とも電気的に
接触する電極1726と電極1728とをさらに備える。1つの実施形態では、電極17
26は、層状相互接続部1770と電気的に接触してもよい(例えば、電極1726は、
VSD材料の層1740を横切ってもよく、又はビアは、電極1726を層状相互接続部
1770に接続してもよい)。様々な実施形態では、2つの電極1726、1728のい
ずれか1つが省略されてもよく、その場合は、省略された電極により提供される対応する
水平スイッチング機能はもちろん存在しない。
【0260】
1つの実施形態では、電極1726は、電極1728と電気的に接触している(例えば
、これらは、同じ導電性面の一部であってもよく、またはPCB上の配線または他のコネ
クタにより直接的に接続されてもよい)。
【0261】
VSD材料構造1740は、垂直方向の厚さT1(例えば、ミル単位で測定される)の
垂直方向のギャップ1742を有する。層状相互接続部1770(例えば、電極または層
状相互接続部)は、VSD材料構造1740と電極1726とに電気的に接触している。
コア層1782は、層状相互接続部1770に隣接して配置され、双方向スイッチング構
造1700が包含される基板(例えば、PCBまたは半導体パッケージ)の層であっても
よい。
【0262】
オプションのビア1772、又は任意の他の導電性構造は、基板の1つ以上の層を横切
ってもよく、層状相互接続部1782との電気的接触を確立する。このようなビアは、レ
ーザー穴あけまたは任意の他の適切な製造プロセスにより製造することができる。
【0263】
1つの実施形態では、電極1726、電極1728およびビア1772は、全てアース
に接続される。他の実施形態では、層状相互接続部1770は、アースに接続されず(例
えば、ビア1772は、存在しないかアースに接続されない)、この場合には層状相互接
続部1770と電極1720との間で垂直スイッチングが生じない。他の実施形態では、
電極1726、又は電極1728は、アースに接続されず、この場合には接続されない電
極と電極1720との間で水平スイッチングは生じない。
【0264】
図17の実施形態の双スイッチングVSDM構成1700は、もし電極1726、電極
1728および層状相互接続部1770が全てアースまたは他の参照電位ポイントに接続
されるなら、水平スイッチングおよび垂直スイッチングの両方を実行することができる。
この実施形態においては、次の3通りの可能なスイッチングの方向が存在する。すなわち
、(1)電極1726と電極1720との間のギャップ1744(水平方向の厚さGlを
有する)にわたる水平スイッチング、(2)電極1728と電極1720との間のギャッ
プ1746(水平方向の厚さG2を有する)にわたる水平スイッチング、および(3)電
極1720と層状相互接続部1770との間のギャップ1742(垂直方向の厚さT1を
有する)にわたる垂直スイッチングである。VSD材料1740の構成の特性電圧が最も
低いギャップがスイッチングの起きる場所を決定する。もしVSD材料の構成が3つのギ
ャップ1742、1744および1746と同じであり、その特性電圧がそのギャップの
サイズと関連付けられるなら、スイッチングは最も小さいギャップに生じることができる
。
【0265】
1つの実施形態では、ギャップ1744とギャップ1746は、実質的に同じであり、
VSDM構成1700は、ギャップ1744とギャップ1746の両方にわたり水平方向
にスイッチする。1つの実施形態では、ギャップ1742、1744およびギャップ17
46は、実質的に同じであり、VSDM構成1700は、ギャップ1742にわたり垂直
方向にスイッチし、ギャップ1744およびギャップ1746にわたり水平方向にスイッ
チする。1つの実施形態では、ギャップ1742およびギャップ1744は実質的に同じ
であり、VSDM構成1700は、ギャップ1742にわたり垂直方向に、ギャップ17
44にわたり水平方向にスイッチする。1つの実施形態では、ギャップ1742およびギ
ャップ1746は、実質的に同じであり、VSDM構成1700は、ギャップ1742に
わたり垂直方向に、ギャップ1746にわたり水平方向にスイッチする。
【0266】
ある実施形態では、VSD材料の構成および水平ギャップならびに/もしくは垂直ギャ
ップについてのある物理特性に対しては、このようなギャップにわたる特性電圧が、ギャ
ップのサイズと直接的に関係づけられないこともある。したがって、このような実施形態
では、異なる厚さの2つのギャップの特性電圧はそれでも実質的に同じであり得る。1つ
の実施形態では、ギャップ1744およびギャップ1746にわたる特性電圧は実質的に
同じであり、VSDM構成1700は、ギャップ1744およびギャップ1746の両方
にわたり水平方向にスイッチする。1つの実施形態では、ギャップ1742、ギャップ1
744およびギャップ1746にわたる特性電圧は実質的に同じであり、VSDM構成1
700は、ギャップ1742にわたり垂直方向にスイッチし、ギャップ1744およびギ
ャップ1746にわたり水平方向にスイッチする。1つの実施形態では、ギャップ174
2およびギャップ1744にわたる特性電圧は、実質的に同じであり、VSDM構成17
00は、ギャップ1742にわたり垂直方向にスイッチし、ギャップ1744にわたり水
平方向にスイッチする。1つの実施形態では、ギャップ1742およびギャップ1746
にわたる特性電圧は実質的に同じであり、VSDM構成1700は、ギャップ1742に
わたり垂直方向にスイッチし、ギャップ1746にわたり水平方向にスイッチする。
【0267】
図4Aの実施形態の構成400、
図4Bの実施形態のVSDM構成490、
図5の実施
形態のVSDM構成500、
図6の実施形態のVSD材料構成600、
図9の実施形態の
VSD材料構成900、
図10の実施形態のVSD材料構成1000、
図11の実施形態
のVSD材料構成1100、
図12Aの実施形態のVSD材料構成1200、
図13の実
施形態のVSD材料構成1300、
図14の実施形態のVSD材料構成1400、
図15
Aの実施形態のVSD材料構成1500、
図16の実施形態のVSD材料構成1600、
そして
図17の実施形態の双方向スイッチング構造1700等の、本特許出願書類で説明
された及び/または特許請求の範囲に記載された垂直方向または双方向スイッチングVS
DM構成は、回路素子および部品のESD保護のために使用され得る。垂直スイッチング
VSDM構成により保護され得る電子部品の例は、次のもののうち1つ以上の物を含む。
すなわち、半導体チップまたは他の集積回路(IC)(例えば、マイクロプロセサ、制御
部、メモリチップ、高周波回路、ベースバンドプロセサー、等)、発光ダイオード(LE
D)、MEMSチップまたは構造、または電子デバイスの内側に配置された他の任意の部
品または回路素子が含まれ得る。
【0268】
ESD保護のためのこの特許出願の書類で説明されたように、及び/またはその特許請
求の範囲に記載されたように、垂直スイッチングVSDM構成を使用し得る例示的な回路
のアーキテクチャおよび動作は、米国特許出願第13/096,860号および米国特許
出願第13/115,068に開示されている。これらの出願で開示された例示的な回路
には、水平スイッチングVSDM構成が考慮されていたかもしれないが、これらの水平ス
イッチング構成は、その概略のESD保護の機能を保ちつつ、本特許出願書類で説明され
た及び/または特許請求の範囲に記載された垂直スイッチングVSDM構成に置き換えら
れ得る。
【0269】
本特許出願書類で説明された及び/または特許請求の範囲に記載された垂直スイッチン
グVSDM構成および双スイッチングVSDM構成は、層またはPCBの層のセット、半
導体デバイスのパッケージング、または垂直スイッチングVSD材料構成が取り付けられ
得るもしくは垂直スイッチングVSD材料構成が中に包含され得る任意の他の基板等の基
板デバイスのESD保護のために使用され得る。
【0270】
本特許出願書類で説明された及び/または特許請求の範囲に記載された垂直スイッチン
グVSDM構成および双スイッチングVSDM構成は、このようなVSDM構成が包含さ
れる(例えば、このような電子デバイスに含まれる基板に包含されることにより)、また
はこのようなVSDM構成が接続される(例えば、このようなVSDM構成がこのような
電子デバイスに取り付けられたコネクタまたはケーブルに組み込まれるときに、またはこ
のようなVSDM構成がこのような電子デバイスに接続されるデバイスに含まれるときに
)電子デバイスのESD保護のために使用され得る。
【0271】
このような垂直スイッチングVSDM構成もしくは双スイッチングVSDM構成により
保護され得る、またはこのような垂直スイッチングVSDM構成もしくは双スイッチング
VSDM構成により保護され得る基板デバイス、電子部品または回路素子を含み得る電子
デバイスの例には、携帯電話、電子タブレット、電子リーダー、モバイルコンピュータ(
例えば、ラップトップ)、デスクトップコンピュータ、サーバーコンピュータ(例えば、
サーバー、ブレード、マルチプロセサー、スーパーコンピュータ)、テレビジョンセット
、ビデオディスプレイ、音楽プレーヤー(例えば、ポータブルMP3音楽プレーヤー)、
パーソナル健康管理デバイス(例えば、脈拍計、心臓モニター、歩数計、温度モニター、
または他の任意の健康管理の応用のためのセンサーデバイス)、発光ダイオード(LED
)およびLEDを含むデバイス、照明モジュール、および電気信号または電気機械信号を
用いてデータを処理または格納する任意の他の消費者向けデバイス及び/または産業用デ
バイスが含まれる。他の例には、衛星、軍装備品、航空機器、および舶用機器が含まれる
。
【0272】
様々な実施形態では、本特許出願書類において開示され及び/または特許請求の範囲に
記載された垂直スイッチングVSDM構成および双スイッチングVSDM構成は、コネク
タに包含され得る。このようなコネクタは、ESDまたは他の過電圧事象から保護すべき
電子デバイスに取り付けられ得る。このようなコネクタの例には、電源コネクタ、USB
コネクタ、イーサネット(Ethernet)(登録商標)ケーブルコネクタ、HDMI
(登録商標)コネクタ、またはシリアルデータ、パラレルデータまたは他の種類のデータ
、信号または送電の使用を容易にする、他の任意のコネクタが含まれる。
【0273】
この明細書は、詳細にここに開示された様々な実施形態および実施例を詳細に説明して
おり、本発明は追加の実施形態および実施例、さらなる修正、および代替的な構成に対し
て適用可能である。この特許においては、本発明を開示された特定の実施形態および実施
例に限定することを意図するものではなく、それどころか、本特許は、特許請求の範囲内
に該当する、あらゆる修正及び代替的な実施形態および実施例にも範囲を及ぼすことを意
図するものである。
【0274】
本明細書で使用されるように、セット(組)は、1個以上の事項からなる任意の群を意
味する。同様に、サブセットはN個の事項からなる1つの群に関して、その事項のうちN
−l個以下のそれぞれの事項からなる任意のセットを意味する。
【0275】
本明細書で使用されるように、用語「含む」、「例えば」、「例示的な」およびこれら
の変形は、限定する用語であることを意味するものではなく、むしろ「限定せずに」また
は文言「類似する意味を含む」なる文言を伴う場合と同じ意味である。本明細書における
定義、全てのヘッダー、タイトルとサブタイトルは、理解を助ける目標を示すことで説明
が充分となり具体的になることを目指しているが、本発明の特許請求の範囲で述べた範囲
に関して限定することを意味するものではない。それぞれのこのような定義は、それぞれ
の事項、技術もしくは定義された事項と均等なもしくは置き換え可能なものとして平均的
な当業者に知られているかもしくは知られるようになる追加的な均等物、技術または事項
をも捉えることを意味するものである。文脈により異なるように理解するよう求められな
い限り、「得る」、「ことができる」の表現等は、それぞれの動作、ステップまたは実装
が達成される可能性を意味しており、これらの動作、ステップまたは実装が必ず達成され
なければならないという要件を確立することを意図するものではなく、これらの動作、ス
テップまたは実装のそれぞれが全く述べられた通りに達成されなければならないという要
件を確立することを意図するものでもない。