【実施例】
【0011】
(紙幣取扱装置の構成)
図1は、実施例の紙幣取扱装置を示す模式図である。
図1に示すように、実施例に係る紙幣取扱装置1は、利用者が紙幣3を入金する入金部5と、入金部5から搬送された紙幣3を鑑別する鑑別部6と、利用者へ紙幣3を出金する出金部7と、入金部5、鑑別部6及び出金部7の間で紙幣3を搬送する搬送路8aを有する上流側搬送機構8と、を備える。出金部7には、紙幣3を繰り出す羽根車7aが設けられている。また、紙幣取扱装置1は、鑑別部6から送られた紙幣3を収容する複数の収容ユニット9を備える。
【0012】
なお、本実施例の紙幣取扱装置1は、必要に応じて、入金部5から入金された紙幣3を一時的に収容する一時収容部(図示せず)を備えてもよい。また、入金部5と出金部7は、1つの入出金部(図示せず)として構成されてもよい。複数の収容ユニットのいずれかは、例えば、紙幣3を収容すると共に出金部7へ紙幣3を送る還流ユニットや、異常な紙幣3や劣化(損傷)した紙幣3を回収する回収ユニットとして用いられてもよい。
【0013】
実施例の紙幣取扱装置1は、入金部5、鑑別部6、出金部7及び上流側搬送機構8が配置された構成部分が上部装置11として構成されており、複数の収容ユニット9が配置された構成部分が下部装置12として構成されている。実施例における上部装置11が、本願に係る取扱部に対応している。上部装置11及び下部装置12の各収容ユニット9は、制御部10によってそれぞれ制御されている。上部装置11と下部装置12は、上流側搬送機構8が有する2つの搬送路8aを介して相互に連結されている。
【0014】
説明の便宜上、
図1において紙幣取扱装置1を入金部5側から見たときに、紙幣取扱装置1の幅方向をX方向、紙幣取扱装置1の前後方向をY方向、紙幣取扱装置1の上下方向をZ方向と称する。
図1以降の図面においても、
図1と同様にX、Y、Z方向をそれぞれ示す。また、本実施例では、紙葉類の一例として紙幣3を用いるが、紙幣3に限定するものではない。紙葉類には、例えば、手形、小切手、商品券、各種証券、株券等の有価証券も含まれる。
【0015】
(収納ユニットの構成)
図2は、実施例の紙幣取扱装置1が有する収容ユニット9を示す斜視図である。
図3は、実施例における収容ユニット9の下流側搬送機構を示す斜視図である。収容ユニット9は、
図1、
図2及び
図3に示すように、上部装置11から搬送された紙幣3を搬送する下流側搬送機構14と、下流側搬送機構14によって搬送された紙幣3を収容する収容部15と、を有する。
【0016】
各収容ユニット9は、収容部15に対して下流側搬送機構14が分離可能に設けられている。下流側搬送機構14は、紙幣3を搬送する搬送路14aを有しており、搬送路14aに、紙幣3を搬送する経路を切り替えるゲート部材(図示せず)が設けられている。上述した制御部10は、ゲート部材を切り替えることで、収容部15へ紙幣3を収容する経路(収容部15から紙幣3を送る経路)と、隣り合う収容ユニット9に設けられた下流側搬送機構14の搬送路14aへ紙幣3を送る経路とに変更するように制御を行う。
【0017】
本実施例の紙幣取扱装置1では、一例として、
図1に示すように連結された6つの収容ユニット9(9A〜9F)のうち、各収容ユニット9(9A〜9F)の連結方向(Y方向)における始端側(下流側搬送機構14群の搬送方向における上流側)に配置された3つの収容ユニット9A、9B、9Cが、紙幣取扱装置1の製造時の標準仕様として、あらかじめ備えている収容ユニット9である。また、紙幣取扱装置1では、6つの収容ユニット9(9A〜9F)のうち、各収容ユニット9(9A〜9F)の連結方向における終端(下流側搬送機構14群の搬送方向における最下流側)に配置された1つの収容ユニット9Fが、紙幣取扱装置1の製造時の標準仕様として、あらかじめ備えている収容ユニット9である。
【0018】
一方、紙幣取扱装置1において、6つの収容ユニット9(9A〜9F)のうち、収容ユニット9Cと収容ユニット9Fとの間に連結して配置された2つの収容ユニット9D、9Eが、任意に追加された収容ユニット9(増設された収容ユニット9)である。したがって、収容ユニット9を更に追加する場合には、収容ユニット9Cと収容ユニット9Fとの間、例えば、収容ユニット9Fと収容ユニット9Eとの間に新たな収容ユニット9が配置されて連結される(
図5参照)。また、収容ユニット9を減らす場合には、収容ユニット9Cと収容ユニット9Fとの間に配置された2つの収容ユニット9D、9Eのいずれか一方が取り外され、あるいは、2つの収容ユニット9D、9Eが取り外されて収容ユニット9Cと収容ユニット9Fが連結される。
【0019】
上述の構成は、一例に過ぎず、紙幣取扱装置1が標準仕様としてあらかじめ備える収容ユニット9の個数を限定するものではない。紙幣取扱装置1は、複数の収容ユニット9の連結方向(Y方向)における始端に配置される収容ユニット9と、連結方向における終端に配置される収容ユニット9との2つの収容ユニット9のみを、標準仕様として備えてもよい。
【0020】
図2及び
図3に示すように、複数の収容ユニット9の各々は、各収容ユニット9同士の連結方向(Y方向)に沿って、下流側搬送機構14を介して連結可能に構成されている。実施例の紙幣取扱装置1は、標準仕様として備える各収容ユニット9A〜9Cの各下流側搬送機構14を連結する連結フレーム20aと、連結方向の終端に配置された収容ユニット9Fの下流側搬送機構14に固定された連結フレーム20bと、を有する。また、収容ユニット9D、9Eは、隣り合う収容ユニット9の下流側搬送機構14同士と連結される連結フレーム20cを有する。
【0021】
また、複数の収容ユニット9の連結方向(Y方向)における両端に配置された各収容ユニット9A、9Fは、互いに連結された下流側搬送機構14群を、収容部15群に対して回動可能に支持する回転支持機構17を有する。回転支持機構17は、下流側搬送機構14に固定された支持フレーム18と、支持フレーム18に回動可能に支持された回転軸19と、を有する。回転支持機構17は、連結フレーム20a、20bに固定されている。各下流側搬送機構14群は、収容部15群に対して回転軸19まわりに回動される。
【0022】
言い換えると、連結方向(Y方向)における両端に配置された各収容ユニット9A、9F以外の収容ユニット9B〜9Eは、収容部15に対して下流側搬送機構14を回動させる回転支持機構17を有しておらず、回転支持機構17を省くことで構成が簡素化されている。
【0023】
回転支持機構17が有する回転軸19の軸方向は、下流側搬送機構14群の連結方向(Y方向)に沿って配置されている。これにより、連結された収容ユニット9の個数に応じて、収容部15群に対して下流側搬送機構14が回動されたときの展開状態が大きくなることが抑えられる。
【0024】
図2及び
図3に示すように、各連結フレーム20a、20b、20cが、連結部材22、ネジ等の締結部材23を介して連結されることにより、各収容ユニット9の各下流側搬送機構14は、互いに位置決めされて、連結方向(Y方向)に沿って連結される。したがって、相互に連結された下流側搬送機構14群は、連結方向における両端の各収容ユニット9A、9Fの回転支持機構17を介して、収容部15群に対して一体的に回動可能に連結されている。
【0025】
また、複数の収容ユニット9の各々の下流側搬送機構14は、搬送路14aに沿って分割させる開閉機構24を有する(
図7参照)。開閉機構24は、下流側搬送機構14群の連結方向(Y方向)に直交する方向(X方向)に沿う回転軸24aを有する。下流側搬送機構14群は、回転軸24aまわりに搬送路14aの下部を回動させることで、搬送路14aが分割されて開かれる。
【0026】
図4は、実施例における収容ユニット9の筐体を示す斜視図である。各収容ユニット9(9A〜9F)は、
図1及び
図4に示すように、収容部15の外側に設けられた筐体25a、25b、25cを有する。紙幣取扱装置1が標準仕様として備える各収容ユニット9A〜9Cは、一体に形成された筐体25aを有する。複数の収容ユニット9の連結方向(Y方向)における終端に配置される収容ユニット9Fは、搬送路14aの終端側を覆うように形成された筐体25bを有する。収容ユニット9D、9Eは、隣り合う収容ユニット9と連結される筐体25cを有する。
【0027】
各収容ユニット9(9A〜9F)の筐体25a、25b、25cは、連結部材26、ネジ等の締結部材27を介して連結されることで、全体が箱状をなしており、下部装置12の外筐の一部として構成されている。このように複数の収容ユニット9同士は、筐体25a、25b、25cを介して連結されることで、下流側搬送機構14群の連結状態の安定性が高められる。
【0028】
(収容ユニットの下流側搬送機構の連結)
図5は、実施例における収容ユニット9の下流側搬送機構14同士の連結状態を説明するための斜視図である。
図5に示すように、複数の収容ユニット9(9A〜9F)を連結方向(Y方向)に沿って相互に接続する際、各下流側搬送機構14群が連結される。
【0029】
まず、収容ユニット9A〜9Cの下流側搬送機構14の連結フレーム20aに対して、収容ユニット9Dの下流側搬送機構14の連結フレーム20cが位置決めされて、連結部材22及び締結部材23によって固定される。同様の手順で、収容ユニット9D、9Eの下流側搬送機構14の連結フレーム20c同士が位置決めされて、連結部材22及び締結部材23によって固定される。最後に、収容ユニット9Eの下流側搬送機構14の連結フレーム20cに対して、終端に配置される収容ユニット9Fの下流側搬送機構14の連結フレーム20bが位置決めされて、連結部材22及び締結部材23によって固定される。収容ユニット9Fの下流側搬送機構14には、支持フレーム18を介して回転支持機構17が固定される。このように、各収容ユニット9の下流側搬送機構14同士が位置決めされた状態で連結されることにより、回転支持機構17の回転軸19まわりに一体的に回転可能となる。
【0030】
(収容ユニットの収容部の連結)
図6は、実施例における収容ユニット9の収容部15同士の連結状態を説明するための斜視図である。
図6では、便宜上、収容部15の図示を省略する。
図6に示すように、複数の収容ユニット9(9A〜9F)の各収容部15は、筐体25a、25b、25cを介して連結される。
【0031】
まず、収容ユニット9A〜9Cの筐体25aに対して、収容ユニット9Dの筐体25cが位置決めされて、連結部材26及び締結部27によって固定される。同様の手順で、収容ユニット9D、9Eの筐体25c同士が位置決めされて、連結部材26及び締結部27によって固定される。最後に、収容ユニット9Eの筐体25cに対して、終端に配置される収容ユニット9Fの筐体25bが位置決めされて、連結部材26及び締結部27によって固定される。このように、各収容部15が、筐体25a、25b、25cを介して連結されることにより、各収容ユニット9の連結状態の安定性が高められる。
【0032】
(収容ユニットの下流側搬送機構の展開動作)
図7は、実施例における収容ユニット9の下流側搬送機構14の展開動作を説明するための斜視図である。
図7に示すように、下流側搬送機構14の搬送路14aを保守する際に、各下流側搬送機構14が連結された状態のままで、回転支持機構17の回転軸19まわりに下流側搬送機構14群を一体的に回転させることにより、収容部15群から下流側搬送機構14群が一括して分離される。
【0033】
次に、収容部15群に対して分離された下流側搬送機構14群のそれぞれの下流側搬送機構14毎に、各搬送路14aを、開閉機構24を介して個々に開くことで、各搬送路14aの保守をスムーズに行うことができる。このとき、下流側搬送機構14の連結方向(Y方向)に直交する回転軸24aまわりに搬送路14aが開閉されることにより、搬送路14aの展開状態が大きくなることが抑えられる。
【0034】
上述したように実施例の紙幣取扱装置1は、下流側搬送機構14及び収容部15を有する複数の収容ユニット9の各々が、下流側搬送機構14を介して連結可能であり、連結された下流側搬送機構14群が、収容部15群に対して一体的に回動可能に連結されている。紙幣取扱装置1によれば、各収容ユニット9を下流側搬送機構14を介して連結することで、収容ユニット9の個数の変更を容易に行うことができる。また、各収容ユニット9を保守する際、下流側搬送機構14を収容部15から分離する作業を収容ユニット9毎に行うことなく、下流側搬送機構14群を一括して、収容部15群から分離することが可能になり、連結された下流側搬送機構14群の搬送路14aを効率良く保守することができる。したがって、紙幣取扱装置1によれば、収容ユニット9の個数の変更を容易に行うことができると共に、各収容ユニット9の下流側搬送機構14の保守性を高めることができる。
【0035】
また、実施例の紙幣取扱装置1において、複数の収容ユニット9(9A〜9F)のうち、下流側搬送機構14群の連結方向(Y方向)における両端に配置される各収容ユニット9A、9Fは、収容部15に対して下流側搬送機構14を回動可能に支持する回転支持機構17を有しており、複数の収容ユニット9の各々の下流側搬送機構14群が、回転支持機構17を介して一体的に回動可能に連結されている。このように、複数の収容ユニット9(9A〜9F)の連結方向における両端の収容ユニット9A、9Fのみが、回転支持機構17を有することにより、両端の収容ユニット9A、9Fの間に配置される収容ユニット9B〜9Eが、回転支持機構17を個別に備えることを省くことが可能になり、任意に追加される収容ユニット9E、9Fの構成の簡素化を図ることができる。
【0036】
また、実施例の紙幣取扱装置1が備える収容ユニット9A、9Fの回転支持機構17は、下流側搬送機構14群の連結方向(Y方向)に沿って配置された回転軸19を有する。これにより、連結された収容ユニット9の個数に応じて下流側搬送機構14群の展開状態が大きくなることを抑えることができる。
【0037】
また、実施例の紙幣取扱装置1における複数の収容ユニット9(9A〜9F)の各々の下流側搬送機構14は、搬送路14aに沿って分割させる開閉機構24を有しており、開閉機構24が、下流側搬送機構14群の連結方向(Y方向)に直交する方向(X方向)に沿う回転軸24aを有する。これにより、下流側搬送機構14群を一体的に回動させる回転軸19と、開閉機構24の回転軸24aとが直交して配置されるので、回転支持機構17によって下流側搬送機構14群を展開した状態から、下流側搬送機構14群の各搬送路14aをコンパクトに開閉することが可能になり、各搬送路14aの展開状態が大きくなることを抑えることができる。その結果、収容ユニット9の下流側搬送機構14の保守性を高めることができる。
【0038】
また、実施例の紙幣取扱装置1が備える複数の収容ユニット9(9A〜9F)の各々は、下流側搬送機構14及び収容部15の外側に設けられた筐体25a、25b、25cを有しており、筐体25a、25b、25c同士が連結されている。これにより、収容ユニット9同士の連結状態が補強され、複数の収容ユニット9の連結状態の安定性を高めることができる。