特許第6860794号(P6860794)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6860794体感ゲームシステム、体感ゲーム装置及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6860794
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】体感ゲームシステム、体感ゲーム装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/213 20140101AFI20210412BHJP
   A63F 13/428 20140101ALI20210412BHJP
   A63F 13/60 20140101ALI20210412BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   A63F13/213
   A63F13/428
   A63F13/60
   G01B11/00 B
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-128613(P2019-128613)
(22)【出願日】2019年7月10日
(65)【公開番号】特開2021-13471(P2021-13471A)
(43)【公開日】2021年2月12日
【審査請求日】2019年7月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】308033283
【氏名又は名称】株式会社スクウェア・エニックス
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】永井 裕也
【審査官】 佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6577609(JP,B2)
【文献】 デジタルホッケー!?、その名も「Hockel(ホッケル)」誕生!,[Online]プレスリリース ゼロ,2019年 4月12日,[2020年7月13日検索],URL,pressrelease-zero.jp/archives/141192
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00−13/98
G01B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤが移動可能なフィールドの床面に対して、画像を提示する提示手段を有する体感ゲームシステムであって、
前記提示手段により前記フィールドに提示される画像は、順次内容が更新されるものであって、前記フィールドにおける障害物の画像要素を含めることが可能に構成され、
前記体感ゲームシステムは、
前記提示手段に提示させる画像を生成する生成手段と、
体感ゲームに係る処理を実行し、前記生成手段に生成させる前記提示させる画像の構成を制御する制御手段と、
前記フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが搭乗した移動体の位置を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが搭乗した移動体の位置の分布に基づいて、該フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが搭乗した移動体の数を推定する推定手段と、
前記フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが搭乗した移動体と前記障害物とについて、前記検出手段により検出された前記フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが搭乗した移動体の位置と、該フィールドに提示されている前記障害物の画像要素の配置とに基づいて、衝突判定を行う判定手段と、
を有し、
前記制御手段は、
前記フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが搭乗した移動体の位置の分布に応じて、前記提示させる画像に含める前記障害物の画像要素の態様を異ならせ
前記推定手段により推定された前記フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが搭乗した移動体の数が多いほど、前記提示させる画像における、前記障害物の画像要素の配置頻度、配置密度、サイズ、配置数、移動速度及び配置間隔の少なくともいずれかを、衝突判定の発生頻度が低減する態様に変更する体感ゲームシステム。
【請求項2】
プレイヤが移動可能なフィールドの床面に対して、画像を提示する提示手段を有する体感ゲームシステムであって、
前記提示手段により前記フィールドに提示される画像は、順次内容が更新されるものであって、前記フィールドにおける障害物の画像要素を含めることが可能に構成され、
前記体感ゲームシステムは、
前記提示手段に提示させる画像を生成する生成手段と、
体感ゲームに係る処理を実行し、前記生成手段に生成させる前記提示させる画像の構成を制御する制御手段と、
前記フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが搭乗した移動体の位置を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが搭乗した移動体の位置の分布に基づいて、該フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが搭乗した移動体の数を推定する推定手段と、
前記フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが搭乗した移動体と前記障害物とについて、前記検出手段により検出された前記フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが搭乗した移動体の位置と、該フィールドに提示されている前記障害物の画像要素の配置とに基づいて、衝突判定を行う判定手段と、
を有し、
前記体感ゲームは、想定される衝突判定の発生頻度予め定められた難易度が設けられており、
前記制御手段は、
前記フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが搭乗した移動体の位置の分布に応じて、前記提示させる画像に含める前記障害物の画像要素の態様を異ならせ、
前記提示させる画像に含める前記障害物の画像要素の態様の変更を、処理を実行する前記体感ゲームの難易度について想定される衝突判定の発生頻度が、前記推定手段により推定された前記フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが登場した移動体の数に依らず一定の範囲に収まるように行う体感ゲームシステム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが搭乗した移動体の数に応じて、前記提示させる画像における、前記障害物の画像要素の配置頻度、配置密度、サイズ、配置数、移動速度及び配置間隔の少なくともいずれかを異ならせる請求項に記載の体感ゲームシステム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが搭乗した移動体の数が多いほど、前記提示させる画像における、前記障害物の画像要素の配置頻度、配置密度、サイズ、配置数、移動速度及び配置間隔の少なくともいずれかを、衝突判定の発生頻度が低減する態様に変更する請求項に記載の体感ゲームシステム。
【請求項5】
前記検出手段はさらに、前記フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが搭乗した移動体が床面に接地しているか否かを検出する請求項1乃至のいずれか1項に記載の体感ゲームシステム。
【請求項6】
前記判定手段は、前記フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが搭乗した移動体が床面に接地している状態であり、かつ、該接地の位置と、該フィールドに提示されている前記障害物の画像要素の位置との距離が閾値以下である場合に、衝突しているものとして判定する請求項に記載の体感ゲームシステム。
【請求項7】
プレイヤが移動可能なフィールドの床面に対して、提示手段に画像を提示させて進行する体感ゲームに係る処理を実行する体感ゲーム装置であって、
前記提示手段により前記フィールドに提示される画像は、順次内容が更新されるものであって、前記フィールドにおける障害物の画像要素を含めることが可能に構成され、
前記体感ゲーム装置は、
前記提示手段に提示させる画像を生成する生成手段と、
体感ゲームに係る処理を実行し、前記生成手段に生成させる前記提示させる画像の構成を制御する制御手段と、
前記フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが搭乗した移動体の位置の検出結果を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記検出結果により示される、前記フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが搭乗した移動体の位置の分布に基づいて、該フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが搭乗した移動体の数を推定する推定手段と、
前記フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが搭乗した移動体と前記障害物とについて、前記取得手段により取得された前記フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが搭乗した移動体の位置と、該フィールドに提示させる前記障害物の画像要素の配置とに基づいて、衝突判定を行う判定手段と、
を有し、
前記制御手段は、
前記フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが搭乗した移動体の位置の分布に応じて、前記提示させる画像に含める前記障害物の画像要素の態様を異ならせ
前記推定手段により推定された前記フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが搭乗した移動体の数が多いほど、前記提示させる画像における、前記障害物の画像要素の配置頻度、配置密度、サイズ、配置数、移動速度及び配置間隔の少なくともいずれかを、衝突判定の発生頻度が低減する態様に変更する体感ゲーム装置。
【請求項8】
プレイヤが移動可能なフィールドの床面に対して、提示手段に画像を提示させて進行する体感ゲームに係る処理を実行する体感ゲーム装置であって、
前記提示手段により前記フィールドに提示される画像は、順次内容が更新されるものであって、前記フィールドにおける障害物の画像要素を含めることが可能に構成され、
前記体感ゲーム装置は、
前記提示手段に提示させる画像を生成する生成手段と、
体感ゲームに係る処理を実行し、前記生成手段に生成させる前記提示させる画像の構成を制御する制御手段と、
前記フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが搭乗した移動体の位置の検出結果を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記検出結果により示される、前記フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが搭乗した移動体の位置の分布に基づいて、該フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが搭乗した移動体の数を推定する推定手段と、
前記フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが搭乗した移動体と前記障害物とについて、前記取得手段により取得された前記フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが搭乗した移動体の位置と、該フィールドに提示させる前記障害物の画像要素の配置とに基づいて、衝突判定を行う判定手段と、
を有し、
前記体感ゲームは、想定される衝突判定の発生頻度に予め定められた難易度が設けられており、
前記制御手段は、
前記フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが搭乗した移動体の位置の分布に応じて、前記提示させる画像に含める前記障害物の画像要素の態様を異ならせ、
前記提示させる画像に含める前記障害物の画像要素の態様の変更を、処理を実行する前記体感ゲームの難易度について想定される衝突判定の発生頻度が、前記推定手段により推定された前記フィールドに存在するプレイヤまたはプレイヤが登場した移動体の数に依らず一定の範囲に収まるように行う体感ゲーム装置。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1乃至のいずれか1項に記載の体感ゲームシステムの制御手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体感ゲームシステム、体感ゲーム装置及びプログラムに関し、特に所定の領域中を人物が移動しながらゲームプレイを行う体感ゲームを提供するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
興趣性を高めるべく、インタラクティブ要素を取り入れた種々のゲームシステムが存在する。特許文献1には、プロジェクタ等の投影装置によって机上や床上に投影されたプレイフィールド内に、人形やミニカー等の実物体を複数配置し、該実物体の移動を検出してゲーム進行やプレイフィールドの提示内容に反映させる技術が開示されている。
【0003】
近年では、投影装置も高性能化しており、設置態様によっては高輝度の画像を広範囲に提示することも可能となっている。このため、特許文献1のような小規模な実物体を検出対象とするのではなく、人物がプレイフィールド内に進入して行う、所謂体感ゲームのような遊戯も提供可能である。例えば、プレイフィールドに、障害物が移動する様を提示する画像を床面に連続的に投影し、人物が移動や跳躍を行うことで該障害物を回避するといった体感ゲームの提供も可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−091423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、体感ゲームの興趣性は、同時プレイ可能人数によっても変化する。例えば、上述したように床面に投影がなされたプレイフィールドを使用する体感ゲームでは、その投影面積に応じて同時プレイ可能人数が定まる。
【0006】
一方で、同時プレイ人数が増えるほど、体感ゲームのプレイ中において、プレイヤ間の衝突や、これに起因する転倒等のトラブルが発生し得る。即ち、複数人が同時にプレイするような体感ゲームでは、プレイヤの身の安全に配慮する必要があり、特に上述したような、床面の障害物にプレイヤの意識が集中しやすいゲームコンテンツでは、プレイヤが周囲の状況を把握しづらくなり、危険性が増す可能性があった。
【0007】
本発明の少なくとも1つの実施形態は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、興趣性を担保しつつ、プレイヤの身の安全に配慮した体感ゲームシステム、体感ゲーム装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の目的を達成するために、本発明の少なくとも1つの実施形態に係る体感ゲームシステムは、プレイヤが移動可能なフィールドの床面に対して、画像を提示する提示手段を有する体感ゲームシステムであって、提示手段によりフィールドに提示される画像は、順次内容が更新されるものであって、フィールドにおける障害物の画像要素を含めることが可能に構成され、体感ゲームシステムは、提示手段に提示させる画像を生成する生成手段と、体感ゲームに係る処理を実行し、生成手段に生成させる提示させる画像の構成を制御する制御手段と、フィールドに存在する物体の位置を検出する検出手段と、フィールドに存在する物体と障害物とについて、検出手段により検出されたフィールドに存在する物体の位置と、該フィールドに提示されている障害物の画像要素の配置とに基づいて、衝突判定を行う判定手段と、を有し、制御手段は、フィールドに存在する物体の位置の分布に応じて、提示させる画像に含める障害物の画像要素の態様を異ならせる。
【発明の効果】
【0009】
このような構成により本発明の少なくとも1つの実施形態によれば、興趣性を担保しつつ、プレイヤの身の安全に配慮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る体感ゲームシステムの構成例を示した図
図2】本発明の実施形態に係る体感ゲームシステムのフィールド400に提示されるゲーム画面を例示した図
図3】本発明の実施形態に係る体感ゲームシステムにおける、センサ200とフィールド400の配置を説明するための図
図4】本発明の実施形態に係るPC100の機能構成を例示したブロック図
図5】本発明の実施形態に係るPC100で実行されるプレイ提供処理を例示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態]
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
以下に説明する一実施形態は、体感ゲームシステムの一例としての、体感ゲームに係る処理を実行し、フィールドに投影する画像を生成可能なPC、該PCに接続されたフィールド投影用のプロジェクタ、及びフィールドに存在するプレイヤを検出するセンサで構成されるシステムに、本発明を適用した例を説明する。しかし、本発明は、所定の広さのフィールドの床面に障害物の画像要素を含めた画像を提示させ、該フィールド内に存在する複数のプレイヤと障害物の画像要素との衝突(プレイヤの位置と、投影されている画像中の障害物の画像要素の位置とが重複する状態)の判定を含む体感ゲームを提供可能な任意の機器に適用可能である。
【0013】
《体感ゲームシステムの構成》
図1は、本実施形態の体感ゲームシステムの構成を示したシステム図である。
【0014】
図1に示されるように、本実施形態の体感ゲームシステムは、体感ゲームに係る処理を実行するPC100と、プレイヤがゲームプレイを行うフィールド(プレイフィールド)400と、PC100で生成された体感ゲームに係る画像(ゲーム画面)をフィールド400の床面に対して投影するプロジェクタ300と、フィールド400に存在するプレイヤを含む物体の位置を検出するセンサ200とで構成される。
【0015】
本実施形態の体感ゲームシステムにおいてゲームプレイが提供される体感ゲームは、図2に示されるように、障害物として矩形状の画像要素を配置したゲーム画面をフィールド400に投影することで進行する。プレイヤは、フィールド400に投影された障害物を回避するように移動することで、ゲームプレイを継続することが可能になる。反対に、障害物の回避に失敗する、即ち、フィールド400においてプレイヤの位置が障害物の位置と重なることが規定の回数発生した場合に、ゲームプレイの提供は終了となる。
【0016】
またゲーム画面は、ゲームプレイの進行を反映して、所定のフレームレートで更新されるよう構成されている。本実施形態の体感ゲームの興趣要素は、障害物が時間経過とともにその態様が変化することで形成され、プレイヤは時々刻々と変化するゲーム画面に応じて、障害物を回避するようにフィールド400内を移動することでゲームプレイを楽しむことができる。図2に示される例では、矩形状の画像要素群が線分を形成するように配置されており、時間経過によって、該要素群がゲーム画面中央に移動する(図2(a))、もしくはゲーム画面内の特定の方向に移動する(スクロールする:図2(b))等、ゲーム画面外から随時現れるよう表示制御がなされている。線分には、プレイヤが移動によって回避しやすいよう、開区間が設けられており、プレイヤはゲーム画面内に該開区間が現れたことを目視してから移動すればよい。
【0017】
また、障害物の回避方法は、これに限られるものではない。例えばセンサ200は、高さ方向にもセンシング可能な範囲を有して構成されていてよく、跳躍する、跨ぐといった、所定の高さを越えたフィールド400でのプレイヤの移動をもって、障害物の回避を可能としてもよい。即ち、フィールド400の2次元平面上では障害物とプレイヤとが重複するような位置関係にあったとしても、プレイヤが所定の高さを越えた位置に存在する(接地していない)のであれば、回避したと判定するものとしてよい。
【0018】
このため、本実施形態ではセンサ200は、レーザレンジファインダのような放射状の測距を可能なセンサであるものとし、複数人のプレイヤの同時プレイを可能ならしめるべく、例えば図3に示されるようにフィールド400の周囲に複数配置するものであってよい。詳細は後述するが、本実施形態では2つのセンサ200からの測距結果を統合することで、フィールド400中のいずれの位置に物体が存在するかだけではなく、存在する物体がプレイヤであるか否かを判断する。センサ200が、レーザレンジファインダのようにフィールド400の側方から測距を行う態様では、図3からも明らかなように、センサ200に近接する位置に存在する物体により遮蔽された後方の物体は検出されない(図では、各センサ200の検出位置に、□・△を示している)。故に、このような態様のセンサ200を使用する態様で複数のプレイヤの挙動を精度よく検出するためには、フィールド400周囲に配置するセンサ200の数を多くすることが好ましい。しかしながら、センサ200のセンサ種類はこれに限られるものではなく、フィールドのいずれの位置に物体が存在するかを少なくとも2次元の座標として検出可能なものであれば、いずれであってもよい。
【0019】
なお、図2に示した態様では、障害物の画像要素が矩形状であり、これを集合させることで障害物を構成するものとして説明したが、本発明の実施がこれに限られるものではないことは容易に理解されよう。即ち、画像要素の形状は矩形状に限られる必要はなく、例えばその他の多角形の形状や円状であってもよいし、線分そのものであってもよい。
【0020】
また本実施形態では説明を簡単にするため、体感ゲームのプレイ中、障害物の画像要素は一定のサイズを有してゲーム画面(フィールド)中を移動するものとして説明するが本発明の実施はこれに限られるものではない。即ち、ゲーム画面の遷移において、障害物の画像要素は、サイズや移動速度が変化するよう提示制御がなされるものであってもよい。
【0021】
また、本実施形態ではフィールドへのゲーム画面の提示を、フィールド上空に設けられた1台のプロジェクタ300を用いて行うものとして説明するが、本発明の実施がこれに限られるものではないことは容易に理解されよう。例えば、1つのフィールド400へのゲーム画面の提示は、複数台のプロジェクタ300を用いて提示を行うものであってもよいし、フィールド400そのものを表示装置で構成することにより提示を行うものであってもよい。
【0022】
また、本実施形態ではPC100、センサ200、プロジェクタ300及びフィールド400により体感ゲームシステムが構成されるものとして説明するが、本発明の実施に係るこれらの分離態様は如何様であってもよい。例えば、上述したようにフィールド400へのゲーム画面の提示がプロジェクタ300に依るものである必要はないし、フィールド400中のプレイヤの検出方式もフィールド外にセンサ200を設ける方式である必要はない。また本発明の実施に係りPC100が全て行うとしている処理や工程は、複数の機器が分散して実行し、共働するよう体感ゲームシステムは構成されるものであってもよい。
【0023】
〈PC100の機能構成〉
ここで、PC100の機能構成について、図4のブロック図を用いて詳細を説明する。
【0024】
制御部101は、例えばCPUであり、PC100が有する各ブロックの動作を制御する。制御部101は、記録媒体102に記憶されている各ブロックの動作プログラムを読み出し、メモリ103に展開して実行することにより各ブロックの動作を制御する。
【0025】
記録媒体102は、例えばPC100が有する書き換え可能な内蔵ROMや、HDDや光学ドライブを介して読み取り可能になる光学ディスクを含む、不揮発性の記録装置である。記録媒体102は、各ブロックの動作プログラムだけでなく、各ブロックの動作において必要となる各種パラメータ等の情報を記録する。本実施形態の体感ゲームシステムにおいて、体感ゲームに係る各種データも、記録媒体102に格納されているものとする。メモリ103は、例えば揮発性メモリであり、各ブロックの動作プログラムの展開領域としてだけでなく、各ブロックの動作において出力された中間データ等を一時的に記憶する格納領域としても用いられる。
【0026】
取得部104は、センサ200により入力されたフィールド400に存在する物体の検出結果の情報を取得するインタフェースである。取得部104は、物体の検出結果の情報を取得すると、必要であれば適切な形式への変換を行い、メモリ103に格納する。本実施形態のセンサ200は、図3を用いて説明したように、矩形領域であるフィールド400の1つの辺側に2台設けられており、各センサ200から放射状に延びるセンシング方向の各々について、(光線を遮断する)物体が存在するか否か、存在するのであればセンサ200から該物体までの距離を検出結果として出力する。
【0027】
推定部105は、取得部104により取得された検出結果に基づいて、フィールド400に存在するプレイヤの位置を推定する。本実施形態の体感ゲームシステムにおけるセンサ200の配置態様では図3で示した通り、センサ200から各センシング方向に進んだ光線を最初に反射する物体が検出される。即ち、プレイヤでなくとも、例えばフィールド400内に配置されたオブジェクト等の任意の物体が、センサ200によって検出され得る。故に、フィールド400においていずれの位置にプレイヤが存在するか否かを特定すべく、推定部105は、物体の検出位置の分布に基づいて、存在が検出された物体がプレイヤであるかを推定する。該推定は、種々の方向について得られた物体の検出位置が、例えば人体もしくは足形状に基づいて定まる所定の大きさの領域中に所定数存在するかによって行われるものであってよい。
【0028】
判定部106は、体感ゲームに係るゲーム画面中の障害物とプレイヤとの衝突判定を行う。より詳しくは判定部106は、物体の検出位置のうちの、推定部105によって推定されたプレイヤに係る検出位置と障害物の画像要素とが、例えばゲーム画面において所定の距離以下に近接したか否かを判定することにより、衝突したか否かを判定する。
【0029】
描画部107は、例えばGPU等の描画装置であり、体感ゲームの進行や衝突判定の結果に基づいて、フィールド400に提示させるゲーム画面を描画して生成する。描画部107は、ゲーム画面を生成すると、提示制御部108に伝送する。
【0030】
提示制御部108は、描画部107により生成されたゲーム画面をプロジェクタ300に出力するインタフェースである。提示制御部108がゲーム画面をプロジェクタ300に出力することで、フィールド400にはゲーム画面が提示される。
【0031】
操作入力部109は、例えばコントローラやグローブ型デバイス等のPC100が有するユーザインタフェースである。操作入力部109は、PC100のユーザにより操作入力がなされたことや、プレイヤによるゲームプレイ開始に係る操作入力がなされたことを検出すると、該操作入力に対応する制御信号を制御部101に出力する。
【0032】
通信部110は、PC100が有する、他の装置との通信を行うための通信インタフェースである。通信部110は、有線無線を問わず、所定の通信方式により例えばセンサ200のそれぞれと通信接続し、データの送受信を行う。
【0033】
《プレイ提供処理》
このような構成をもつ本実施形態の体感ゲームシステムにおいて、1回のゲームプレイを提供する際に実行されるプレイ提供処理について、図5のフローチャートを用いて具体的な処理を説明する。該フローチャートに対応する処理は、制御部101が、例えば記録媒体102に記憶されている対応する処理プログラムを読み出し、メモリ103に展開して実行することにより実現することができる。なお、本プレイ提供処理は、例えば体感ゲームのゲームプレイ開始要求に係る操作入力がなされた際に開始され、ゲームプレイ中、繰り返し行われるものとして説明する。
【0034】
S501で、制御部101は、体感ゲームに係る処理を実行し、フィールド400において体感ゲームのゲームプレイの提供が可能な状態に遷移させる。体感ゲームに係る処理を開始すると、所定の準備シーケンスを経た後に、制御部101は体感ゲームのゲームプレイを提供するプレイシーケンスに移行する。以下、特に言及をしない限り、プレイシーケンスでは、フレームごとに障害物の配置に係る処理が行われ、描画部107がゲーム画面の生成を行い、提示制御部108が該生成されたゲーム画面をプロジェクタ300に伝送して提示させるよう制御されるものとする。このようにすることで、フィールド400における体感ゲームのゲームプレイが可能な状態となる。
【0035】
S502で、取得部104は制御部101の制御の下、現在のフィールド400についてセンサ200によって行われたセンシングの結果(検出結果)を取得する。
【0036】
S503で、推定部105は制御部101の制御の下、S502において取得された検出結果に基づいて、フィールド400上のいずれの位置に現在プレイヤが存在するかを推定する。上述したように、推定部105は、検出結果として得られた物体が存在する位置の分布に基づいて、物体の検出がプレイヤに起因するものであるか否かを推定する。さらに推定部105は、該推定結果に基づいて、現在フィールド400に存在するプレイヤの数(プレイ人数)を導出する。
【0037】
S504で、判定部106は制御部101の制御の下、現在フィールド400に提示されているゲーム画面上の障害物の画像要素とプレイヤとの衝突判定を行う。該衝突判定は、例えばプレイヤとして推定されたセンサ200の検出結果により示されるゲーム画面上の座標と、提示されているゲーム画面中の障害物の画像要素が占有している領域とが所定の距離範囲内に近接したか否かに基づいてなされるものであってよい。
【0038】
なお、本実施形態のプレイ提供処理では説明は省略するが、本ステップで行われた衝突判定の結果は、例えば獲得スコアの上昇(成功時)や進行速度の低下(失敗時)、あるいはエフェクト表示等、体感ゲームの進行制御に使用されるものとする。即ち、判定結果の情報は、体感ゲームの進行制御に用いられ、結果的に描画部107が生成するゲーム画面に状態が反映され、プレイヤに提示されることになる。
【0039】
S505で、制御部101は、S503において導出されたプレイ人数に基づいて、ゲーム画面中に配置する障害物の画像要素についての条件を設定する。該条件は、例えば単位時間あたりにゲーム画面に登場する障害物の画像要素の数を示す配置頻度、ゲーム画面中に同時に配置される障害物の画像要素の数を示す配置数、及び障害物の画像要素の集合で形成される線分の間隔を示す配置間隔を含むものであってよい。ここで、プレイ人数がNである場合、これらの条件は例えば
配置頻度=N×頻度係数
配置数=基準配置量×(最大同時プレイ可能人数−N)×配置係数
(N≧最大同時プレイ可能人数の場合は固定)
配置間隔=基準間隔×N×間隔係数
で導出されるものであってよい。
【0040】
なお、本実施形態では障害物の画像要素の配置条件として、上記3つの項目を設定するものとして説明するが、本発明の実施はこれに限られるものではない。即ち、障害物の画像要素の配置条件は、プレイ人数の増加に伴う、ゲームプレイ中の不慮の事故を回避するために定められるものであれば、他の条件を定めるものであってもよい。例えば、配置条件として、ゲーム画面の単位領域あたりの障害物の画像要素の数を示す配置密度、配置する障害物の画像要素のサイズ、配置した障害物の画像要素の単位時間あたりの移動量を示す移動速度等が含められるものであってもよい。換言すれば、プレイ人数に応じた障害物の画像要素の配置条件は、障害物の画像要素の配置頻度、配置密度、サイズ、配置数、移動速度及び配置間隔の少なくともいずれかを異ならせるよう定義するものであってよい。このとき、ゲームプレイの安全性を担保すべく、配置条件は、プレイ人数が多いほど、単位時間あたりに1人のプレイヤに発生する衝突判定の回数を低減させるように定められるものであってもよい。あるいは、障害物の画像要素の回避容易性が、プレイ人数が多いほど高くなるよう、配置条件は定められるものであってもよい。
【0041】
S506で、制御部101は、S505において設定された障害物の画像要素の配置条件に基づいて、次にフィールド400に提示されるゲーム画面における障害物の画像要素の配置を決定する。より詳しくは、制御部101はまず、体感ゲームに係る処理の進行に基づいて、現在既にフィールド400に提示されているゲーム画面における障害物の画像要素の配置態様と、次に提示されるゲーム画面から消失する配置済みの障害物の画像要素の有無とを把握する。そして制御部101は、次に提示されるゲーム画面にも残存する障害物の画像要素を特定した上で、新たに配置する障害物の画像要素の位置及び数を、配置条件に基づいて決定する。
【0042】
S507で、描画部107は制御部101の制御の下、S506において決定された障害物の画像要素の配置の情報に基づいて、次に提示されるゲーム画面を生成する。
【0043】
S508で、提示制御部108は制御部101の制御の下、S507で生成されたゲーム画面をプロジェクタ300に伝送し、フィールド400に提示させる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態の体感ゲームシステムによれば、興趣性を担保しつつ、プレイヤの身の安全に配慮した体感ゲームを提供することができる。より詳しくは、プレイ人数に応じて、フィールドにおけるゲームプレイの難易度や危険性が高まることを回避すべく、障害物の画像要素の配置態様をプレイ人数に応じて異ならせるよう制御する。
【0045】
なお、本実施形態ではフィールド400上に存在する物体のうちの、プレイヤとして推定される物体についてのみ衝突判定を行うものとして説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。体感ゲームは、プレイヤがフィールド400を歩行しながらゲームプレイする形式である必要はなく、予め定められた形状の移動体等に搭乗して行うものであってもよい。あるいは、検出された物体が、プレイヤやプレイヤの搭乗した移動体等であるかを判別することは、本発明の実施において必須ではなく、フィールド400に存在する任意の物体について衝突判定を行う態様であってもよい。
【0046】
また、1回のゲームプレイについて難易度を選択可能に構成された体感ゲームでは、ゲームプレイによってプレイヤが得られる興趣体験を担保すべく、プレイ人数に応じた障害物の画像要素の配置条件の設定は例えば次のようにすればよい。本実施形態で説明したような体感ゲームの難易度は、障害物の画像要素との間で生じるものとして想定される衝突判定の発生頻度に応じて定まるものであるため、プレイヤがゲームプレイを所望した難易度について、これが担保されることが好ましい。一方で、プレイ人数が多くなる場合、同様の発生頻度をもたらすような障害物の画像要素の配置がなされることで、プレイヤの安全が担保されない可能性がある。従って、ゲーム画面に配置する障害物の画像要素の配置条件は、フィールド400(ゲーム画面)の全体で単位時間あたりに発生するであろう衝突判定の数(発生頻度)が、選択された難易度について、1人のプレイヤがゲームプレイを行う際に想定される衝突判定の発生頻度と同等となるよう定められるものとしてよい。即ち、ゲーム画面の全体での衝突判定の発生頻度は、選択された難易度について予め想定される発生頻度との差が一定の範囲に収まるように制御されるものであってよい。
【0047】
[その他の実施形態]
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形・変更が可能である。また本発明に係る体感ゲームシステムは、1以上のコンピュータを該体感ゲームシステムとして機能させるプログラムによっても実現可能である。該プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されることにより、あるいは電気通信回線を通じて、提供/配布することができる。
【符号の説明】
【0048】
100:PC、101:制御部、102:記録媒体、103:メモリ、104:取得部、105:推定部、106:判定部、107:描画部、108:提示制御部、109:操作入力部、110:通信部、200:センサ、300:プロジェクタ、400:フィールド
図1
図2
図3
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図5