(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、添付の図面を参照しながら、発明の実施形態について説明する。なお、本明細書において、前後、左右、上下は、シートに座った乗員を基準とする。また、左右方向の内側および外側は、車両ではなくシートを基準とする。
図1に示すように、本実施形態の乗物用シートは、自動車の運転席や助手席などで使用される車両用シートSとして構成されており、主に、シートクッションS1と、シートバックS2とを備えている。
【0019】
シートクッションS1の内部には、シートクッションS1のフレームを構成する、
図2に示すようなクッションフレームF1が内蔵されている。シートクッションS1は、クッションフレームF1に、ウレタンフォームなどからなるパッドと、布地や皮革などからなる表皮材を被せることで構成されている。また、図示は省略するが、シートバックS2は、シートバックS2のフレームを構成するバックフレームに、パッドと、表皮材を被せることで構成されている。
【0020】
クッションフレームF1は、一対のサイドフレーム10と、一対の連結フレームの一例としてのフロントフレーム21およびリアフレーム22と、パンフレーム23と、カバー部材100とを備えている。
サイドフレーム10は、左右に離間して一対配置されている。
フロントフレーム21とリアフレーム22は、互いに前後に離間して配置されている。
フロントフレーム21は、円形断面の金属パイプからなり、一対のサイドフレーム10の前部同士を連結している。
リアフレーム22は、円形断面の金属パイプからなり、一対のサイドフレーム10の後部同士を連結している。
パンフレーム23は、金属板からなるフレームであり、フロントフレーム21よりも前の位置で一対のサイドフレーム10の前部同士を連結している。
【0021】
クッションフレームF1は、スライドレール機構30に、ハイト調整機構を介して支持されている。
スライドレール機構30は、前後方向に長く延び、左右に離間して配置された一対のロアレール31と、各ロアレール31に対して前後にスライド可能に係合して設けられた一対のアッパーレール32とからなる。ロアレール31は、図示しない車両のフロアに固定される。
【0022】
ハイト調整機構は、一対のフロントリンク35と、一対のリアリンク36とを含んでなる。
フロントリンク35は、上端部がピン35Aによってサイドフレーム10の前部に回動可能に連結され、下端部がピン35Bによってアッパーレール32の前部に回動可能に連結されている。
リアリンク36は、上端部がサイドフレーム10に回動可能に連結されている。また、リアリンク36は、下端部が、アッパーレール32の後部に図示しないピンにより回動可能に連結されている。
【0023】
フロントリンク35およびリアリンク36は、アッパーレール32およびサイドフレーム10とともに4節リンクを構成している。そして、図示しない電動または手動のアクチュエータによりフロントリンク35またはリアリンク36をサイドフレーム10に対して回動させることにより、サイドフレーム10の高さを変えることができるようになっている。
【0024】
リアフレーム22は、円筒状のブラケット81を介してサイドフレーム10に連結されている。ブラケット81は、左右内側の端部が、リアフレーム22の外側に嵌まり、溶接部によりリアフレーム22に溶接されている。また、ブラケット81は、左右外側の端部が、サイドフレーム10から外れないように、サイドフレーム10に回動可能に支持されている。これにより、リアフレーム22は、サイドフレーム10から外れないようにサイドフレーム10に組み付けられ、サイドフレーム10によって回動可能に支持されている。
【0025】
前記したリアリンク36は、ブラケット81に挿通されており、ブラケット81に溶接されている。これにより、リアリンク36は、ブラケット81およびリアフレーム22と一体に回動可能となっている。
【0026】
カバー部材100は、樹脂からなり、サイドフレーム10の後部を覆っている。なお、カバー部材100は、左右のサイドフレーム10それぞれに設けられているが、
図2においては、右側のカバー部材100のみを図示し、左側のカバー部材100は省略している。
【0027】
カバー部材100は、サイドフレーム10の上面を覆う上壁部110と、上壁部110から左右方向内側へ延びる傾斜部120と、傾斜部120から下方へ延びる第1内壁部130と、傾斜部120の後側で上壁部110から下方へ延びる第2内壁部140とを有している。
【0028】
傾斜部120は、リアフレーム22より前側に設けられている。傾斜部120は、
図3に示すように、左右方向内側に向かうにつれて下方に位置するように延びている。
第1内壁部130は、内壁部の一例であり、サイドフレーム10およびリアリンク36の左右方向内側に配置されている。
【0029】
図2に戻り、第2内壁部140は、サイドフレーム10のリアフレーム22が連結された部分の周囲を覆っている。第2内壁部140は、リアフレーム22に沿って左右方向内側へ延びる延出部150を有している。具体的に、延出部150は、第2内壁部140から左右方向内側へ突出する壁であり、リアリンク36の後端に沿った円弧形状を有している。
【0030】
一対のサイドフレーム10の間には、乗員を支持する支持部材50が配置されている。支持部材50は、図示しないシートクッションS1のパッドの下に位置し、シートクッションS1のパッドを下から、つまり、乗員とは反対側から支持する。
支持部材50は、一対の連結フレームの間に配置された乗員を支持する部分である本体部51と、本体部51から延びて一対の連結フレームに掛止される掛止部として、フロントフレーム21に掛止される掛止部52とリアフレーム22に掛止される掛止部53とを有している。各掛止部52,53は、フロントフレーム21およびリアフレーム22の外形に倣った半円断面のフック形状を有している。
掛止部52がフロントフレーム21に掛止され、掛止部53がリアフレーム22に掛止されることで、支持部材50は、フロントフレーム21およびリアフレーム22に架設されている。
【0031】
支持部材50は、複数の金属線材61と、金属線材61の少なくとも一部を被覆した樹脂部材62とを含んでなる。本実施形態においては、樹脂部材62は、金属線材61の全体を被覆している。このため、金属線材61に高い防錆処理をしなくても、樹脂部材62により金属線材61の腐食を抑制することができる。
【0032】
リアフレーム22に掛止された掛止部53は、左右に分かれて3つ設けられている。左右の掛止部53は、延出部150等のカバー部材100の各部分から離れた位置に配置されている。
【0033】
本体部51は、後部の左右に、左右方向外側に向かうにつれて上方へ延びる羽部51Aと、羽部51Aの下で左右方向外側へ延びる延長部51Bと、延長部51Bから上方へ延びる規制部51Cとを有している。
【0034】
羽部51Aは、カバー部材100の傾斜部120とともに、乗員の臀部の側部を支持する。
図3に示すように、羽部51Aは、上端部が、第1内壁部130の上端に対し、左右方向内側に離れた位置に設けられている。また、羽部51Aは、傾斜部120から離れており、傾斜部120が羽部51Aの動きを規制しないようになっている。
羽部51Aと延長部51Bの間には、羽部51Aと延長部51Bを繋ぐ補強部51Dが形成されている。このように、補強部51Dが設けられていることで、羽部51Aが補強されている。
【0035】
規制部51Cは、カバー部材100の第1内壁部130の左右方向外側に配置され、第1内壁部130に隣接している。そして、右側の規制部51Cは、支持部材50が左の方に移動しようとした場合に第1内壁部130に右側、つまり、左右方向外側から当接することで、支持部材50の左右方向の位置を規制する。規制部51Cは、樹脂部材62により構成されている。図示は省略するが、左側の規制部51Cも左のカバー部材100の第1内壁部130の左右方向外側に配置され、支持部材50が右の方に移動しようとした場合に第1内壁部130に左側、つまり、左右方向外側から当接する。
【0036】
なお、
図3においては、規制部51Cが第1内壁部130に当接した状態を示しているが、支持部材50のクッションフレームF1への組付を容易にするために、通常時は規制部51Cと第1内壁部130の間に多少の遊びがあるのがよい。もっとも、規制部51Cにより支持部材50の左右方向の位置規制が可能となるように、左右の規制部51Cと第1内壁部130との遊びは小さく、例えば10mm以下に設定されている。また、規制部51Cと第1内壁部130との遊びは、カバー部材100の延出部150と支持部材50の掛止部53の距離よりも小さく、支持部材50が左右に移動しても、掛止部53が延出部150に接触しないようになっている。
【0037】
以上のように構成された車両用シートSによれば、乗員がシートクッションS1に繰り返し座ったことや、着座中に横方向への力が繰り返し掛かったことにより支持部材50が左右方向にずれた場合、右または左の規制部51Cがカバー部材100の第1内壁部130に当接することで支持部材50がそれ以上動くことが規制される。カバー部材100は、乗物用シートに通常設けられている部材であるので、本実施形態によれば、製造コストの上昇を抑えつつ、簡易な構造で支持部材50のずれを抑制することができる。
【0038】
そして、規制部51Cが第1内壁部130に当接しているときに、支持部材50に乗員からの荷重が掛かると、第1内壁部130と規制部51Cが擦れてきしみ音が発生する可能性があるが、規制部51Cが樹脂部材62により構成され、また、第1内壁部130が樹脂からなることで、この音の発生を抑制することができる。
【0039】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る乗物用シートは、第1実施形態に対して支持部材50の構成が一部異なるだけであるので、この異なる部分のみについて説明する。
【0040】
図4に示すように、第2実施形態においては、支持部材50の規制部51Cは、カバー部材100の第1内壁部130に、左右方向外側から当接するのではなく、左右方向内側から当接するように構成されている。具体的に、規制部51Cは、第1内壁部130の左右方向内側に配置され、第1内壁部130に隣接している。右側の規制部51Cは、支持部材50が右の方に移動しようとした場合に、第1内壁部130に左側から当接することで支持部材50の左右方向の位置を規制する。左側の規制部51Cは、支持部材50が左の方に移動しようとした場合に、第1内壁部130に右側から当接することで支持部材50の左右方向の位置を規制する。
【0041】
このように構成された構成された車両用シートSによっても、第1実施形態と同様に支持部材50の位置を規制することができる。
【0042】
以上に本発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、下記のように発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0043】
第2実施形態において、羽部51Aとは別に設けられた規制部51Cが第1内壁部130に左右方向内側から当接するように構成されていたが、羽部51Aを第1内壁部130に左右方向内側から当接するように構成してもよい。すなわち、羽部51Aが、カバー部材100に当接することで支持部材50の左右方向の位置を規制する規制部であってもよい。
【0044】
第1実施形態において、本体部51の左右に規制部51Cが設けられ、この規制部51Cがそれぞれカバー部材100の第1内壁部130に左右方向外側から当接する場合を説明したが、本体部51の左右の一方に、第1内壁部130を挟むように設けられた一対の規制部を設け、この一対の規制部が、第1内壁部130に左右方向内側と外側から当接する構成であってもよい。また、左右の一方のみに本発明の規制部を設け、この規制部がカバー部材100に当接する構成とし、左右の他方は、本発明とは異なる他の位置規制の構造を採用してもよい。
【0045】
前記実施形態において、支持部材50がクッションフレームF1に配置される構成を説明したが、支持部材は、シートバックフレームに配置することもできる。この場合においても、シートバックフレームに対して支持部材を上下方向に架設して、支持部材の本体部を、サイドフレームを覆うカバー部材に当接させることで支持部材を位置規制することが可能である。
【0046】
また、前記実施形態では、乗物用シートとして自動車に搭載される車両用シートSを例示したが、乗物用シートは、これに限定されず、自動車以外の乗物、例えば、鉄道車両や船舶、航空機などに搭載されるシートであってもよい。
【0047】
また、前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施することも可能である。