【実施例】
【0019】
最初に、給湯装置1の全体構成について、
図1に基づいて説明する。
給湯装置1は、燃焼部2と、1次熱交換器3と、2次熱交換器4と、中和器5と、制御部6等を備えた潜熱回収型の燃焼式給湯装置である。燃焼部2は燃焼用の空気を送り込む送風機7と、図示しないが燃料ガスを燃焼させるバーナ等を備えている。燃焼部2の上に1次熱交換器3が連結され、1次熱交換器3の上に2次熱交換器4が連結され、送風機7からバーナと1次,2次熱交換器3,4を順に通って排気口8に至る燃焼ガスの通路が形成されている。
【0020】
1次熱交換器3は、バーナで発生した燃焼ガスの顕熱を回収して湯水を加熱する。2次熱交換器4は、1次熱交換器3を通過した燃焼ガスの潜熱を回収して湯水を加熱する。1次熱交換器3と2次熱交換器4は、2次熱交換器4で加熱された上水が1次熱交換器3でさらに加熱されるように湯水の通路が接続されている。2次熱交換器4を通過した燃焼ガスは、給湯装置1の前面側に設けられた排気口8から外部に排気される。
【0021】
2次熱交換器4で燃焼ガスが露点以下になって生成されたドレンは、中和器5に導入され、中和器5の内部に収容された中和剤により中和されて外部に排水される。また、図示を省略するが給湯装置1は、バーナに燃料ガスを供給する燃料通路と、熱交換器に上水を供給する給水通路と、加熱された湯水を給湯する給湯通路と、燃焼ガスと風呂の湯水を熱交換させる風呂の追い焚き用の通路等を備えている。これも図示を省略するが、給湯装置1には各部温度を検知する温度センサ等が設けられ、制御部6は、温度センサ等の検知信号に基づいて送風機7の回転数や燃焼部2の火力を調節して給湯運転等を制御する。
【0022】
次に、中和器5について説明する。
図2,
図3に示すように、中和器5は、合成樹脂により箱状に形成された容器11と、その上部を水密に閉じた合成樹脂の上蓋12により構成される。上蓋12にはドレンを導入する導入口13が設けられ、2次熱交換器4で発生したドレンを中和器5内に導入するドレン管が導入口13に接続される。導入口13から下方に向かってドレンの通路が延びていてもよい。また、中和器5内のドレン水位が上昇した場合に、ドレンを介して流れる電流によりドレン水位の上昇を検知可能な1対の電極14a,14bを中和器5内に挿入するための1対の電極挿入部15a,15bが上蓋12に設けられている。1対の電極14a,14bは、上蓋12の下面から例えば10mm下方に突出するように挿入される。中和器5の底部には、中和したドレンの排水口16と容器11内のドレンを排水可能な水抜き栓17が設けられている。
【0023】
図4,
図5に示すように、中和器5の内部は複数の壁部により仕切られて、中和剤(図示略)を収容する収容室21と、1対の電極14a,14bを収容する1対の電極室22a,22bと、排水口16を有する排水口室23が設けられている。収容室21は複数の壁部により仕切られて第1〜第6区画21a〜21fが設けられている。各区画間を仕切る壁部の上端部分または下端部分に開口を有して連通することにより、ドレンが最上流区画の第1区画21aから第6区画21fまで順に流下可能なドレン通路が形成されている。排水口室23はその側壁上端部分に第6区画21fと連通する開口23aを有し、第6区画21f内のドレンの水位がその開口23aの下端より上昇すると、ドレンが開口23a及び排水口室23を通って排水口16から外部に排出される。
【0024】
第3区画21cと第4区画21dの間は、下端部分に開口を有する水封用壁部20aにより仕切られ、第2区画21bと第3区画21cの間及び第4区画21dと第5区画21eの間は夫々上端部分に開口を有する壁部20b,20cにより仕切られて水封部25を構成している。収容室21に形成された第1〜第6区画21a〜21fに収容された中和剤(図示略)は、上蓋12との間に例えば10mm程度の隙間が空く高さまで入れられている。
【0025】
1対の電極室22a,22bは、電極14aを収容すると共に水抜き栓17が底部に設けられた第1電極室22aと、電極14bを収容する第2電極室22bが隣接して設けられている。第3区画21cとの間の第1電極室22aの側壁部には、少なくともその上端部分と下端部分においてドレン通路の第3区画21cと連通する第1スリット26が設けられている。第1区画21aとの間の第2電極室22bの側壁部には、少なくともその上端部分と下端部分において第1区画21aと連通する第2スリット27が設けられている。本実施例では第1,第2スリット26,27は夫々第3区画21c,第1区画21aとの間の側壁部の全高にわたって設けられ、箱状の容器11とこの容器11内を仕切る複数の壁部の一括形成を容易にしている。
【0026】
第2電極室22bには、ドレンが第2スリット27を通って進入可能であるが、中和剤は主として炭酸カルシウムの結晶からなる粒状体であり、その大きさは第2スリット27の幅より大きいので、中和剤は第2電極室22bに入り込まない。
【0027】
一方、第1電極室22aは、第2電極室22bと同様に、ドレンが第1スリット26を通って進入可能であるが、第1スリット26の幅より大きい中和剤は第1電極室22a内に入り込まない。水封部25を構成する第3区画21cと第4区画21dは、その間を仕切る水封用壁部20aの下側で連通しているので、第1電極室22aの底部に設けられた水抜き栓17の開栓により水封部25の水抜きが可能である。
【0028】
また、第1区画21aと第1電極室22aの間の側壁上端部分には、第1区画21aと連通する切欠き部28が設けられている。従って、第1区画21aと第3区画21cの間には、この切欠き部28と第1電極室22aと第1スリット26を介してドレンが流下可能な予備通路が形成されている。この予備通路は、第1区画21aと第2区画21bの間または第2区画21bと第3区画21cの間において、例えばバイオフィルムの発生によってドレンが流下できなくなった場合に、第1区画21aのドレンを第3区画21cへ流下させて排水口16から排水可能である。
【0029】
本発明の中和器5の作用、効果について説明する。
中和器5は中和剤の収容室21と第1,第2電極室22a,22bを備えている。第1電極室22aの側壁部には少なくとも上端部分と下端部分に収容室21と連通する第1スリット26が設けられ、第2電極室22bの側壁部には少なくとも上端部分と下端部分に収容室21と連通する第2スリット27が設けられている。第1,第2スリット26,27により第1,第2電極室22a,22b内にドレンが進入可能且つスリット幅より大きい中和剤が進入不能に構成されている。この第1電極室22aに水抜き栓17を設けて、第1電極室22aと水抜き栓17とが第1スリット26を共用するように構成したので、水抜き栓17と中和剤による水抜き栓17の詰まりを防止する構造の設置スペースを節減して、中和器5の小型化が可能である。
【0030】
また、収容室21に第1〜第6区画21a〜21fからなるドレン通路が形成され、第1電極室22aは第1スリット26によりドレン通路に設けられた水封部25と連通し、水封部25の凍結の虞がある場合に水抜き栓17からドレンを排水して凍結を未然に防ぐことができる。さらに、水封部25の上流側のドレン通路に詰まりが発生した場合、第1電極室22aを通る予備通路にドレンを流下させることにより詰まったドレン通路を迂回して排水口16から排水可能である。第1電極室22aを予備通路として使用できるように構成して予備通路の設置スペースを省いたので、中和器5の小型化が可能である。尚、中和剤は次第に消費されて小さくなり第1,第2スリット26,27を通過可能な大きさになるが、このとき収容されている中和剤の高さも低くなるので1対の電極14a,14bに接触する虞はない。また、水抜き栓17を開けても、小さくなった中和剤はドレンと一緒に排出されるので、水抜き栓17を詰まらせることはない。
【0031】
その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。