特許第6860839号(P6860839)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6860839
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】折り畳みバインダー
(51)【国際特許分類】
   B42F 9/00 20060101AFI20210412BHJP
【FI】
   B42F9/00 J
   B42F9/00 B
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-208315(P2016-208315)
(22)【出願日】2016年10月25日
(65)【公開番号】特開2018-69470(P2018-69470A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107467
【弁理士】
【氏名又は名称】員見 正文
(72)【発明者】
【氏名】綿谷 守
(72)【発明者】
【氏名】金正 利政
(72)【発明者】
【氏名】森岡 康仁
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀和
【審査官】 渡邉 勇
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3005939(JP,U)
【文献】 国際公開第2015/159802(WO,A1)
【文献】 実開昭62−022879(JP,U)
【文献】 特開2011−131567(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3027947(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3066714(JP,U)
【文献】 実開昭63−172676(JP,U)
【文献】 特開2004−338323(JP,A)
【文献】 実開昭61−172829(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 1/00 − 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録用紙(1)を取り付けたまま持ち歩くための折り畳みバインダー(10)であって、
表面が内側となるように四つ折り可能な矩形平板状の支持部材(11)と、
該支持部材の表面の少なくとも対角の二隅に取り付けられた、かつ、前記記録用紙を保持するための記録用紙保持手段(12)とを具備し、
前記折り畳みバインダーを表面が内側になるように折って1/2サイズに折り畳むための第1の溝(11a)が、前記支持部材の裏面に形成されており、
1/2サイズに折り畳まれた前記折り畳みバインダーを折って1/4サイズに折り畳むための第2の溝(11b)が、前記支持部材の表面の前記第1の溝を境にした半分に形成されており、
前記支持部材の前記第1の溝を境にした残りの半分が、前記第2の溝と同一直線状に切断されている、
ことを特徴とする、折り畳みバインダー。
【請求項2】
前記支持部材の裏面の縦方向中央部に、谷折溝(11a)が水平に形成されており、
前記支持部材の表面の横方向中央部に、山折溝(11b)が該支持部材の上端から前記谷折溝まで垂直に形成されており、
前記支持部材の下半分の横方向中央部が、前記谷折溝から該支持部材の下端まで垂直に切断されている、
ことを特徴とする、請求項1記載の折り畳みバインダー。
【請求項3】
前記記録用紙保持手段が、少なくとも2個の直角三角形状の蓋片(12)を備え、
該蓋片の対辺部および隣片部が、前記支持部材の表面に固定されており、
前記記録用紙が、少なくとも対角の二隅部分が前記少なくとも2個の蓋片にそれぞれ差し込まれて前記支持部材に保持される、
ことを特徴とする、請求項1または2記載の折り畳みバインダー。
【請求項4】
前記記録用紙保持手段が、両端部が前記支持部材の表面に固定された、かつ、前記記録用紙の少なくとも対角の二隅部分を前記支持部材とで挟んで該記録用紙を前記支持部材に保持するための帯状部材を備えることを特徴とする、請求項1または2記載の折り畳みバインダー。
【請求項5】
前記折り畳みバインダーを開いたときに前記支持部材の下端部の横方向中央部を挟んで該支持部材の下半分を固定するための支持部材固定手段(20,30)をさらに具備することを特徴とする、請求項1乃至4いずれかに記載の折り畳みバインダー。
【請求項6】
前記支持部材固定手段が、ダブルクリップ(20)、または、前記支持部材の下端部の横方向中央部近傍に取り付けられた回転軸および該回転軸を中心として回動可能なU字状板を有する固定金具(30)を備えることを特徴とする、請求項5記載の折り畳みバインダー。
【請求項7】
前記支持部材の裏面の中央部に取り付けられた、かつ、手を挿入して前記折り畳みバインダーを片手で支持するためのベルト(40)をさらに具備することを特徴とする、請求項1乃至6いずれかに記載の折り畳みバインダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電線の巡視業務等に使用する記録用紙を持ち歩くのに好適な折り畳みバインダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力会社では、送電線の巡視業務を行う際には、巡視員は、点検した項目にチェックを入れるためのチェック表および過去の異常の経過観察状況を記録したり新規に発見した異常を図化したりするための異常記録表等の記録用紙を用いている。
このとき、巡視員は、例えば図4に示すように矩形平板状の支持部材111と支持部材111の上中央部に取り付けられた固定部材112とを備えたバインダー110(下記の特許文献1参照)を用いて記録用紙1を支持部材111と固定部材112との間に挟んで持ち歩いたり、記録用紙1を小さく折り畳んでポケットに入れて持ち歩いたりしている。
【0003】
なお、本出願人は、下記の特許文献1において、発電業務におけるユニットの保守・管理作業に際して、作業員の負担軽減および点検作業の時間短縮を図るために、矩形平板状をなす支持部材と、支持部材に取り付けられた固定部材と、支持部材に取り付けられて電源を収容する筐体と、電源から供給される電力により筐体の外側に向けて発光する光源と、光源の点灯・消灯を切り替える切換部材としてのスイッチと、筐体に設けられるとともに可搬性を有する小型電灯を保持する保持部とを備えた点検作業支援装置(バインダー)を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−220083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、巡視員が記録用紙1をバインダー110に挟んで持ち歩いたり記録用紙1を小さく折り畳んでポケットに入れて持ち歩いたりすることは、以下に示すような問題があった。
(1)送電線の巡視業務では巡視員は山中を移動するため、バインダー110を持って歩くと、転倒したときに手が使えず危険である。
(2)手が自由に使えるようにバインダー110をリュックサックに入れて運ぶ場合には、その出し入れに手間がかかる。
(3)記録用紙1をポケットに折り畳んで持ち歩くと、記録用紙1が汗で濡れてしまい破れてしまったり、記録用紙1を誤って紛失したりする。
(4)バインダー110を用いないと、バインダー110を下敷き代わりにできないために書きづらかったり、風で記録用紙1が飛ばされたりする。
【0006】
本発明の目的は、記録用紙を取り付けたままポケットに入れて持ち歩くことができる折り畳みバインダーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の折り畳みバインダーは、記録用紙(1)を取り付けたまま持ち歩くための折り畳みバインダー(10)であって、表面が内側となるように四つ折り可能な矩形平板状の支持部材(11)と、該支持部材の表面の少なくとも対角の二隅に取り付けられた、かつ、前記記録用紙を保持するための記録用紙保持手段(12)とを具備し、前記折り畳みバインダーを表面が内側になるように折って1/2サイズに折り畳むための第1の溝(11a)が、前記支持部材の裏面に形成されており、1/2サイズに折り畳まれた前記折り畳みバインダーを折って1/4サイズに折り畳むための第2の溝(11b)が、前記支持部材の表面の前記第1の溝を境にした半分に形成されており、前記支持部材の前記第1の溝を境にした残りの半分が、前記第2の溝と同一直線状に切断されていることを特徴とする。
ここで、前記支持部材の裏面の縦方向中央部に、谷折溝(11a)が水平に形成されており、前記支持部材の表面の横方向中央部に、山折溝(11b)が該支持部材の上端から前記谷折溝まで垂直に形成されており、前記支持部材の下半分の横方向中央部が、前記谷折溝から該支持部材の下端まで垂直に切断されていてもよい。
前記記録用紙保持手段が、少なくとも2個の直角三角形状の蓋片(12)を備え、該蓋片の対辺部および隣片部が、前記支持部材の表面に固定されており、前記記録用紙が、少なくとも対角の二隅部分が前記少なくとも2個の蓋片にそれぞれ差し込まれて前記支持部材に保持されてもよい。
前記記録用紙保持手段が、両端部が前記支持部材の表面に固定された、かつ、前記記録用紙の少なくとも対角の二隅部分を前記支持部材とで挟んで該記録用紙を前記支持部材に保持するための帯状部材を備えてもよい。
前記折り畳みバインダーを開いたときに前記支持部材の下端部の横方向中央部を挟んで該支持部材の下半分を固定するための支持部材固定手段(20,30)をさらに具備してもよい。
前記支持部材固定手段が、ダブルクリップ(20)、または、前記支持部材の下端部の横方向中央部近傍に取り付けられた回転軸および該回転軸を中心として回動可能なU字状板を有する固定金具(30)を備えてもよい。
前記支持部材の裏面の中央部に取り付けられた、かつ、手を挿入して前記折り畳みバインダーを片手で支持するためのベルト(40)をさらに具備してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の折り畳みバインダーは、以下の効果を奏する。
(1)記録用紙が取り付けられた表面が内側となるようにして折り畳んでポケットに入るサイズ(例えば、A6サイズ)にできるため、記録用紙を折り畳みバインダーに取り付けたままポケットに入れて持ち歩くことができるとともに、持ち歩く際に記録用紙が汗に濡れ難くしたり記録用紙を紛失し難くしたりすることができる。
(2)ポケットに入れて持ち歩くことができるため、巡視員は持ち歩く際に手が塞がらないとともにリュックに入れる必要もなくなる。
(3)開くと折り畳みバインダーを下敷代わりにできるため、記録用紙に記録し易くすることができる。
(4)折り畳みバインダーで記録用紙を保持できるため、記録用紙が風に飛ばされ難くすることができる。
(5)記録用紙を持って鉄塔に登る送電鉄塔上での点検作業や、手が塞がるとリスクが生じ易い土木工事現場(ビル建設現場等)での作業にも活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施例による折り畳みバインダー10の構成を示す図であり、(a)はその正面図であり、(b)はその背面図であり、(c),(d)はその折り畳み手順について説明するための正面図である。
図2図1に示した折り畳みバインダー10の使用方法について説明するための図であり、(a)は記録用紙1が取り付けられた状態の折り畳みバインダー10の正面図であり、(b)は1回折り畳んだ状態の折り畳みバインダー10の正面図であり、(c)は2回折り畳んだ状態の折り畳みバインダー10の正面図である。
図3図1に示した折り畳みバインダー10の変形例について説明するための図であり、(a),(b)は変形例1,2による折り畳みバインダー10の構成を示す正面図であり、(c)は変形例3による折り畳みバインダー10の構成を示す正面図である。
図4】従来使用しているバインダー110の構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記の目的を、支持部材を表面が内側となるように四つ折り可能に構成するとともに、記録用紙を保持するための記録用紙保持手段を支持部材の表面の少なくとも対角の二隅に取り付けることによりに実現した。
【実施例1】
【0011】
以下、本発明の折り畳みバインダーの実施例について図面を参照して説明する。
本発明の一実施例による折り畳みバインダー10は、図1(a),(b)に示すように、矩形平板状の支持部材11と、支持部材11の表面の四隅にそれぞれ取り付けられた4個の蓋片12とを具備する。
【0012】
ここで、支持部材11は、図4に示した支持部材111と同様に、巡視員による筆記圧が加えられても形状を保持できる程度の硬度を有するプラスチック等の材料から構成されている。
支持部材11の縦および横の長さは、A4サイズ(縦297mmおよび横210mm)よりも上下左右が2mmずつほど大きく(すなわち、縦301mmおよび横214mm)されている。
支持部材11の厚さは、1mm程度とされている。
【0013】
支持部材11の裏面には、図1(a)に破線で示すとともに図1(b)に実線で示すように、谷折溝11aが縦方向中央部に左端から右端まで水平に形成されている。
これにより、支持部材11の図1(c)に一点鎖線で示す下半分を同図紙面側に向かって谷折溝11aを境として折り返すことにより、折り畳みバインダー10を表面が内側になるように谷折りして1/2サイズに折り畳むことができるようにされている。
【0014】
支持部材11の表面の横方向中央部には、図1(a)に実線で示すとともに図1(b)に破線で示すように、山折溝11bが上端から谷折溝11aまで垂直に形成されている。
また、支持部材11の下半分の横方向中央部は、谷折溝11aから下端まで垂直に切断されている。
これにより、谷折りした折り畳みバインダー10の図1(d)に一点鎖線で示す右半分を同図紙面と反対側に向かって山折溝11bを境として折り返すことにより、折り畳みバインダー10を山折りして1/4サイズに折り畳むことができる。
【0015】
蓋片12は、記録用紙1の隅部分(角部分)を差し込んで支持部材11で記録用紙1を保持するための保持ポケットを支持部材11と共に形成するものである。
蓋片12は、プラスチック等の材料から構成されているとともに、対辺および隣辺の長さが2〜3cmの直角三角形状のものである。
4個の蓋片12は、対辺部および隣片部が支持部材11の表面に固定されて、支持部材11の表面の四隅にそれぞれ取り付けられている。
【0016】
蓋片12は、直角三角形の直角側の部分が斜辺と平行な線に沿って切り落とされた帯状のもの(帯状部材)であってもよい。
この場合には、蓋片12の両端部を支持部材11の表面に固定して、記録用紙1の隅部分を蓋片12と支持部材11とで挟んで支持部材11で記録用紙1を保持する。
【0017】
また、蓋片12の代わりにゴムバンド(帯状部材)を使用してもよい。
この場合には、ゴムバンドの両端部を支持部材11の表面に固定して、記録用紙1の隅部分をゴムバンドと支持部材11とで挟んで支持部材11で記録用紙1を保持する。
【0018】
次に、折り畳みバインダー10の使用方法について、図2(a)〜(c)を参照して説明する。
巡視員は、送電線の巡視業務を行く前に、図2(a)に示すように、支持部材11と4個の蓋片12とでそれぞれ形成された4個の保持ポケットに記録用紙1の四隅部分をそれぞれ挿入して、記録用紙1を折り畳みバインダー10の表面に取り付ける。
【0019】
続いて、巡視員は、図2(b)に示すように、谷折溝11aを境として支持部材11の下半分を折り返して、支持部材11の表面が内側になるように折り畳みバインダー10を1/2サイズに折り畳む(図1(c)参照)。
【0020】
続いて、巡視員は、図2(c)に示すように、山折溝11bを境として折り畳みバインダー10の右半分を折り返して、折り畳みバインダー10を1/4サイズに折り畳む(図1(d)参照)。
【0021】
続いて、巡視員は、1/4サイズに折り畳んだ折り畳みバインダー10をポケットに入れたのち、巡視業務に出掛ける。
【0022】
これにより、記録用紙1は折り畳みバインダー10と共に折り畳まれてポケットに入れられるため、記録用紙1を小さく折り畳んでポケットに入れて持ち歩くことに比べて、巡視員は手が自由に使えるようになるとともに、記録用紙1を誤って紛失することを防止することができる。
また、折り畳みバインダー10は表面が内側になるように折り畳まれるため、記録用紙1も折り畳みバインダー10の内側に位置して露出することがないので、記録用紙1を小さく折り畳んでポケットに入れて持ち歩くことに比べて、巡視員が持ち歩いても記録用紙1が汗で濡れてしまい破れてしまうことを防止することができる。
【0023】
巡視対象である送電線に到着すると、巡視員は、1/4サイズに折り畳まれた折り畳みバインダー10をポケットから取り出したのち、上述した折り畳みバインダー10を折り畳む手順と逆の手順で折り畳みバインダー10を開いていく。
【0024】
続いて、巡視員は、開いた折り畳みバインダー10を下敷代わりとして、記録用紙1に巡視結果を記録していく。
【0025】
このとき、折り畳みバインダー10の支持部材11の下半分の横方向中央部は谷折溝11aから下端まで切断されているため、ダブルクリップ20を別に用意しておいて、図3(a)に示すようにダブルクリップ20を用いて支持部材11の下端部の横方向中央部を挟んで支持部材11の下半分を固定するようにしてもよい(変形例1)。
【0026】
また、図3(b)に示すように、支持部材11の下端部の横方向中央部近傍に取り付けられた回転軸(支持部材11の表面から裏面まで貫通している。)およびこの回転軸を中心として回動可能なU字状板を有する固定金具30を用いて、U字状板で支持部材11の下端部の横方向中央部を挟んで支持部材11の下半分を固定するようにしてもよい(変形例2)。
【0027】
さらに、巡視員が記録用紙1に記録し易いように折り畳みバインダー10を片手で支持するために、図3(c)に示すように、手を挿入するためのベルト40を支持部材11の裏面の中央部に取り付けてもよい(変形例3)。
【0028】
以上の説明では、4個の蓋片12を支持部材11の表面の四隅にそれぞれ取り付けたが、2個の蓋片12を支持部材11の表面の対角の二隅にそれぞれ取り付けてもよく、また、3個の蓋片12を支持部材11の表面の対角の二隅と他の一隅にそれぞれ取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 記録用紙
10 折り畳みバインダー
11 支持部材
11a 谷折溝
11b 山折溝
12 蓋片
20 ダブルクリップ
30 固定金具
40 ベルト
図1
図2
図3
図4