(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
例えば、監督官庁が発行する各種許可証や検査標章、大学或いは企業等が構内への乗り入れを許可した車両の使用者に対して発行する入校許可証、駐車許可証、および入場許可証等に使用されるものとして、壁や車体等の外表面に直接貼着される外貼り用ラベルと、透明なウィンドウガラス等の内側に貼着される内貼り用ラベルとが知られている。
【0003】
上記の内貼り用ラベルは、透明ラベル片の表面に所要情報を裏向きに表示し、当該表面に不透明ラベル片を積層してなるものであり、該透明ラベル片の裏面に設けられた粘着剤層を介して透明なウィンドウガラス等の内側に貼着されることで、該ウィンドウガラスの外側から所要情報を視認し得るようになっている。一方、外貼り用ラベルは、不透明ラベル片の表面に所要情報を表向きに表示し、当該表面に透明ラベル片を積層してなるものである。ここで、透明ラベル片は、不透明ラベル片よりも縦横の寸法が大きいことから、不透明ラベル片の全体を被覆するように積層される。この外貼り用ラベルは、不透明ラベル片の裏面の粘着剤層と、透明ラベル片の、裏面の粘着剤層の外周部とを介して、車体等の外表面に貼付される。このように外貼り用ラベルは、透明ラベル片により、不透明ラベル片を完全に保護するように構成されている。
【0004】
本願出願人は、こうした内貼り用ラベルと外貼り用ラベルとを容易に作成し得るラベル帳票を、先に提案している(特許文献1)。かかるラベル帳票は、第一担持面と第二担持面とが連成された台紙と、該第一担持面に剥離可能に仮着された透明ラベル片と、該第二担持面に剥離可能に仮着された不透明ラベル片とを備えてなり、第一担持面から剥離された透明ラベル片が第二担持面の不透明ラベル片上に積層されることにより形成される外貼り用ラベルと、第二担持面から剥離された不透明ラベル片が第一担持面の透明ラベル片上に積層されることにより形成される内貼り用ラベルとのいずれかを選択的に作成できる。そして、このラベル帳票は、不透明ラベル片の縦横寸法を、透明ラベル片よりも小さくすると共に、第二担持面の、不透明ラベル片の仮着位置の外周部に、透明ラベル片の貼着位置を示す指標を表示している。
【0005】
具体例として、
図12(a)に、かかるラベル帳票101を示す。ラベル帳票101は、台紙102に、谷折り可能な折り線116を介して連成された第一担持面113と第二担持面114とを備え、該第二担持面114の所定位置に該折り線116と平行する山折り可能な折り線118が形成されてなり、第一担持面113に、裏面に粘着剤層を備えた透明ラベル片105が剥離可能に仮着される一方、第二担持面114に、該折り線116を挟んで該透明ラベル片105と対向し且つ該折り線118を跨ぐようにして、裏面に粘着剤層を備えた不透明ラベル片106が剥離可能に仮着される。こうしたラベル帳票101は、台紙102を折り線116で谷折りにし且つ折り線118で山折りにしてZ状に折り畳み、不透明ラベル片106を透明ラベル片105上に積層することで内貼り用ラベルを作成できる。一方、透明ラベル片105を第一担持面113から剥離して、第二担持面114に表示した指標(図示せず)を頼りに不透明ラベル片106上に積層することで、
図12(a)のように外貼り用ラベル121を作成できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来のラベル帳票101では、透明ラベル片105の縦横寸法が不透明ラベル片106よりも大きいことから、作成された外貼り用ラベル121では、該不透明ラベル片106の全体が該透明ラベル片105により完全に被覆される。そして、外貼り用ラベル121は、
図13のように、車体の外表面やナンバープレートなどの被貼着面Xに貼着された状態で、不透明ラベル片106の全体を透明ラベル片105により保護している。これにより、所要情報を表示した不透明ラベル片106の耐候性が向上することから、風雨や太陽光などによる劣化や剥がれ等を抑制できる。
【0008】
しかしながら、従来の外貼り用ラベル121は、不透明ラベル片106の全体を透明ラベル片105により完全に保護するものであることから、該不透明ラベル片106自体が耐候性を有する必要がなく、該透明ラベル片105の有する耐候性によって、劣化や剥がれ等を抑制する保護効果が得られていた。そのため、もし仮に、透明ラベル片105の一部で剥がれを生じた場合には、雨水等が侵入し、不透明ラベル片106の劣化や剥がれ等が生じ易くなってしまい、該不透明ラベル片106を保護する効果が著しく低下する虞があった。こうしたことから、外貼り用ラベルとして、被貼着面からの剥がれ発生を抑制する効果がさらに向上し得るものが求められている。
【0009】
本発明は、車体の外表面等に貼着した状態で剥がれ発生を抑制する効果を向上し得る外貼り用ラベルを作成可能なラベル帳票を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、剥離剤層を夫々備えた第一担持面と第二担持面とが連成された台紙と、該第一担持面に剥離可能に仮着された、裏面に粘着剤層を備えた透明ラベル片と、該第二担持面に剥離可能に仮着された、裏面に粘着剤層を備えた不透明ラベル片とを備え、第一担持面から剥離された透明ラベル片が第二担持面の不透明ラベル片上に積層されることにより形成される外貼り用ラベルと、第二担持面から剥離された不透明ラベル片が第一担持面の透明ラベル片上に積層されることにより形成される内貼り用ラベルとのいずれかを選択的に作成するためのラベル帳票において、透明ラベル片は、耐水性を有し且つ不透明ラベル片よりも縦横の寸法が小さいものであり、不透明ラベル片は、耐水性を有する合成紙により構成されてなり、該不透明ラベル片の外周端に沿って、前記外貼り用ラベルを作成した際に透明ラベル片により被覆されない非干渉環部を備えていることを特徴とするラベル帳票である。
【0011】
ここで、本発明の発明者らは、外貼り用ラベルを車体等の外表面(以下、被貼着面という)に貼付した状態で剥がれ発生の抑制効果を向上させることを目的として鋭意研鑽したところ、上述した従来構成では、縦横寸法の大きい透明ラベル片により不透明ラベル片の全体を完全に被覆して、該不透明ラベル片の裏面と該透明ラベル片の外周部の裏面とが被貼着面に貼着される点に着目した。かかる従来の外貼り用ラベルでは、不透明ラベル片の厚みにより該不透明ラベル片の外周端で段差が生じることから、透明ラベル片に、被貼着面と接着されない非接着部位が不透明ラベル片の外周端に沿って周回するように存在し、該非接着部位により空隙が周成されていた。そして、この空隙は、透明ラベル片の外周部と被貼着面とを接着した部分と、不透明ラベル片と該被貼着面とを接着した部分とを、周方向に亘って分断していた。こうした空隙が形成された従来の外貼り用ラベルでは、風雨や太陽光に曝されることにより、該空隙内の空気が膨張や収縮を繰り返すことで透明ラベル片が繰り返し伸縮されると、該透明ラベル片の外周部が剥がれ易くなる虞がある。そして、透明ラベル片の外周部の一部分でも剥がれが生じてしまうと、上述したように、雨水等が侵入し、不透明ラベル片を保護する効果が著しく低下してしまう。こうしたことから、発明者らは、この空隙を原因とする剥がれを生じないようにする構造について研鑽した結果、本発明を完成するに至った。
【0012】
かかる本発明の構成により作成された外貼り用ラベルでは、透明ラベル片が、不透明ラベル片の非干渉環部を保護せず且つ該非干渉環部の内側部分を保護するのみであり、該非干渉環部が露出するように形成されることから、該透明ラベル片が該不透明ラベル片の外周端からはみ出さないように積層される。そして、この外貼り用ラベルは、不透明ラベルの裏面の粘着剤層を介して被貼着面(車体等の外表面)に貼り付けられ、かつ透明ラベル片が該被貼着面と接着されないことから、上述した従来構成のように空隙が生じず、該空隙を原因とする透明ラベルの剥がれが生じない。これにより、本構成により作成された外貼り用ラベルは、被貼着面に貼着された状態で長期に亘って風雨や太陽光に曝されても、透明ラベル片が剥がれ難く、該透明ラベル片により不透明ラベル片の非干渉環部の内側領域を確実に保護でき、所望の保護効果を長期に亘って安定して発揮できる。
一方、不透明ラベル片の非干渉環部は、外貼り用ラベルの状態で透明ラベル片により保護されないが、該不透明ラベル片が耐水性を有することから、風雨等に曝されることにより劣化や剥がれ等が生じてしまうことを可及的に抑制できる。そのため、外貼り用ラベルでは、露出する不透明ラベル片の非干渉環部が、被貼着面に貼着された状態で比較的長期に亘って安定して保持され得る。
このように、本発明の構成により作成された外貼り用ラベルによれば、上述した従来構成に比して、剥がれの発生を抑制する効果が向上し、被貼着面に貼着された状態で比較的長期に亘って安定して保持され得る。そして、本構成のラベル帳票によれば、こうした外貼り用ラベルを作成できる。
【0013】
上述したラベル帳票にあって、第一担持面から剥離された透明ラベル片を、不透明ラベル片の表面に所要情報を印字可能に設けられた情報印字領域を少なくとも覆い且つ非干渉環部を被覆しないように該不透明ラベル片上に定められた所定位置に、位置決め可能な外貼位置決め手段を備えている構成が提案される。
【0014】
ここで、外貼位置決め手段としては、不透明ラベル片に印刷された、外貼用積層位置を示す指標を備えたものである構成が適用できる。又は、外貼位置決め手段は、台紙に設けられ、第一担持面と第二担持面とを区画する谷折り可能な第一折り線と、台紙の第一担持面に設けられ、前記第一折り線と平行する山折り可能な第二折り線とを備え、透明ラベル片が、第一担持面の、前記第一折り線を挟んで第二担持面の不透明ラベル片と対向する位置に、前記第二折り線を跨ぐようにして仮着されてなり、台紙が該第一折り線で谷折りにされ且つ第二折り線で山折りにされてZ状に折り畳まれることによって、透明ラベル片を不透明ラベル片上の所定位置に位置決め可能とするように構成されてなるものを適用することもできる。
【0015】
かかる構成にあっては、外貼り用ラベルを作成する際に、外貼位置決め手段により、透明ラベル片を、不透明ラベル片の所定位置に安定かつ容易に位置決めして積層できる。そして、所定位置に積層した透明ラベル片は、不透明ラベル片の非干渉環部を被覆しないことから、外貼位置決め手段により透明ラベル片を積層することで、上述した本発明の作用効果を生ずる外貼り用ラベルを安定して作成できる。また、所定位置に積層した透明ラベル片が、所要情報を印字した情報印字領域を被覆することから、外貼り用ラベルでは、情報印字領域の所要情報が該透明ラベル片により保護される。ここで、外貼り用ラベルは、上述したように、透明ラベル片による保護効果が安定かつ確実に発揮されるものであることから、情報印字領域の所要情報を保護する効果が向上する。
【0016】
上述したラベル帳票にあって、不透明ラベル片を構成する合成紙は、合成樹脂をフィルム状に成形してなるものである構成が提案される。
【0017】
かかる構成の合成紙は、優れた耐水性を有するものであることから、外貼り用ラベルにあって、透明ラベル片により被覆されない不透明ラベル片の非干渉環部で風雨等により劣化や剥がれ等が生じてしまうことを一層抑制できる。そのため、車体等の外表面に貼付された状態で、比較的長期に亘って、劣化や剥がれ等の発生を抑制する効果に大きく寄与できる。また、本構成の合成紙は、優れた印字適性を有することから、不透明ラベル片に所要の情報を安定かつ確実に印字できる。
【0018】
上述したラベル帳票にあって、不透明ラベル片は、合成紙の表面に、紫外線吸収剤または紫外線散乱剤を含有したニスが塗工されてなるものである構成が提案される。
【0019】
かかる構成によれば、不透明ラベル片が紫外線吸収効果または紫外線散乱効果を発揮できることから、紫外線による劣化を可及的に抑制でき、耐光性が向上する。これにより、外貼り用ラベルで、透明ラベル片により被覆されない不透明ラベル片の非干渉環部にあっても、前記紫外線による劣化が抑制され得る。
【0020】
尚ここで、紫外線吸収剤や紫外線散乱剤としては、例えば、酸化チタンや酸化亜鉛が適用でき、酸化チタンが好適に用い得る。そして、紫外線吸収剤または紫外線散乱剤を含有するニスは、酸化チタン等の紫外線吸収剤または紫外線散乱剤の含有量が10重量%以上かつ50重量%以下とした構成が好適である。かかる含有量とすることにより、所望の紫外線吸収効果が安定して発揮できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のラベル帳票は、耐水性を有する合成紙により構成された不透明ラベル片と、該不透明ラベル片よりも縦横寸法の小さい透明ラベル片とを備え、該不透明ラベル片が、外貼り用ラベルを作成した際に該透明ラベル片により被覆されない非干渉環部を備えたものであるから、作成された外貼り用ラベルでは、非干渉環部を被覆しない透明ラベル片が不透明ラベル片からはみ出さず、上述した従来構成で形成され得る空隙を生じないことから、該空隙を原因とする剥がれを生じない。さらに、透明ラベルにより被覆されずに露出する非干渉環部は、耐水性の不透明ラベル片の一部分であることから、風雨等に曝されることにより生ずる劣化や剥がれ等を可及的に抑制できる。したがって、本構成によれば、被貼着面で貼着された状態で比較的長期に亘って安定して保持され得る外貼り用ラベルを作成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明にかかる実施形態を、以下の実施例に従って説明する。
図1,2に、本実施例のラベル帳票1を示す。ラベル帳票1は、矩形状の台紙2上に、透明ラベル片5と不透明ラベル片6とが仮着されたものである。台紙2は、その表面にシリコンを塗布してなる剥離剤層12を備えている。ここで、剥離剤層12は、台紙2の全面に設けられていても良いし、透明ラベル片5および不透明ラベル片6の仮着部位に限定して設けられていても良い。また、台紙2の素材には、適宜の耐屈撓性を有する上質紙や合成紙等が用いられる。
【0024】
台紙2には、長手方向を略二等分する位置に、谷折り可能な第一折り線16が該台紙2を短手方向に横断するように形成されており、該第一折り線16を介して第一担持面13と第二担持面14とが連成されている。また、第一担持面13の所定位置には、第一折り線16と平行する山折り可能な第二折り線17が形成されており、該第一折り線16と第二折り線17との間に位置する部分を第一折込片部21としている。同様に、第二担持面14の所定位置に、第一折り線16と平行する山折り可能な第三折り線18が形成されており、該第一折り線16と第三折り線18との間に位置する部位を第二折込片部22としている。これら第一折り線16、第二折り線17、および第三折り線18は、ミシン目、加圧加工による線状の凹溝、または紙厚を切断しないハーフカット線などから構成されてなり、後述するように各折り線16,17,18で台紙2をZ状に折り畳むときに、その折り畳み作業を容易に行い得るようになっている。
【0025】
第一担持面13の略中央位置には、裏面に粘着剤層10を備えた矩形状の透明ラベル片5が、第二折り線17を跨ぐ状態で剥離可能に仮着されている。この透明ラベル片5は、平滑度の高い合成樹脂フィルムからなり、その基材にはPET樹脂が好適に用いられ得る。こうした合成樹脂フィルムからなる透明ラベル片5は、高い耐水性を有している。さらに、透明ラベル片5は、平滑度の高い合成樹脂フィルムからなることから、後述するように、レジンタイプのインクリボンを使用する熱転写プリンタでの印字が可能となり、印字品質に優れたものとなる。また、この透明ラベル片5には、紫外線吸収加工が施されている。この紫外線吸収加工は、透明ラベル片5の基材や裏面の粘着剤層10に紫外線吸収剤を混入することにより施される。
【0026】
第二担持面14の略中央位置には、裏面に粘着剤層11を備えた矩形状の不透明ラベル片6が剥離可能に仮着されている。不透明ラベル片6は、第二担持面14の、第一折り線16を挟んで透明ラベル片5と対向する位置に、配置されて、第三折り線18を跨ぐ状態で仮着されている。この不透明ラベル片6は、合成紙からなるものであり、該合成紙の表面には地紋が事前に印刷されている。地紋は、不透明ラベル片6や上記の透明ラベル片5に印字される所要情報の視認性を阻害しない程度の濃度とすることが好ましく、具体的な印刷態様として網点印刷が適用できる。こうした地紋が印刷されることによって、偽造を防止する効果を高めると共に、美観を向上させることもできる。また、本実施例の不透明ラベル片6は、その表面に、所定のニスが塗工されてなるものであり、該ニスの塗工により、紫外線吸収効果または紫外線散乱効果を高めている。尚、こうした不透明ラベル片6の合成紙および塗工するニスについては、本発明の要部にかかることから、その詳細は後述する。
【0027】
また、上記した第一担持面13の第二折り線17と第二担持面14の第三折り線18とが、第一折り線16を対称軸線として略対称位置に形成され、且つ、透明ラベル片5と不透明ラベル片6とが、夫々の、台紙2の長手方向に沿った中心が第二折り線17又は第三折り線18と重なるように、第一担持面13又は第二担持面14に仮着されている構成とすることにより、後述するように、台紙2をZ状に折り畳んだときに(
図4,9参照)、透明ラベル片5と不透明ラベル片6との中心位置を容易に重ね合わせることができ、外貼り用ラベル51(
図6参照)や内貼り用ラベル52(
図10参照)を作成する際に、位置ズレや皺などを生じることなく、該透明ラベル片5と不透明ラベル片6とを貼り合わせることが可能である。
【0028】
尚、本実施例にあって、透明ラベル片5と不透明ラベル片6とは、夫々の厚みが約100μmのものを用いている。
【0029】
次に、本発明の要部について説明する。
上記した透明ラベル片5は、
図1,2のように、不透明ラベル片6に比して、縦横の寸法が夫々に小さいものである。そのため、上述したように、透明ラベル片5と不透明ラベル片6とを、各中心位置を重ねるようにして貼り合わせると、
図5,6のように、不透明ラベル片6には、その外周端に沿って、透明ラベル片5が重ならない四角枠状の外周部が存在する。そして、不透明ラベル片6の、透明ラベル片5が重ならない前記外周部が、本発明にかかる非干渉環部29である。こうした非干渉環部29があることにより、透明ラベル片5と不透明ラベル片6とを貼り合わせた場合に、該透明ラベル片5が該不透明ラベル片6からはみ出すことなく、積層される。
【0030】
不透明ラベル片6には、
図3のように、その表面に所要情報31を印字可能な情報印字領域32が設けられている。この情報印字領域32は、非干渉環部29の内側に設けられており、上述したように透明ラベル片5を、不透明ラベル片6上に夫々の中心位置を重ねるように積層した場合に、該透明ラベル片5により被覆される。すなわち、透明ラベル片5は、不透明ラベル片6上に積層された状態で、
図6(b)のように、情報印字領域32を被覆し且つ非干渉環部29を被覆しないように、その縦横の寸法が規定されたものとなっている。そして、透明ラベル片5が不透明ラベル片6上に積層された状態で、該透明ラベル片5によって、情報印字領域32に印字された所要情報31が保護される。
【0031】
不透明ラベル片6は、上述したように合成紙からなるものである。ここで、合成紙には、所謂フィルム法により製造される合成紙を用いており、具体的には、所定の合成樹脂をフィルム状に延成し、その表面に所定の表面処理や所定顔料の塗工によって不透明性、筆記性、および印字適正等を付与したものである。こうした合成紙は、高い耐水性を有すると共に、平滑度が高いことから、後述するように、レジンタイプのインクリボンを使用する熱転写プリンタでの印字が可能となり、印字品質に優れたものとなる。尚ここで、合成紙を成形する合成樹脂としては、オレフィン系、ポリエステル系、またはビニル系等の樹脂を適用できる。
【0032】
さらに、不透明ラベル片6は、上述したように、合成紙の表面に所定のニスが塗工されてなるものであり、本実施例にあって、該ニスに、紫外線吸収剤または紫外線散乱剤を含有したUV硬化タイプのニスを用いている。このニスを塗工することにより、紫外線吸収効果または紫外線散乱効果が得られることから、紫外線による劣化を可及的に抑制でき、耐光性が向上する。ここで、本実施例にあっては、紫外線吸収剤や紫外線散乱剤として、酸化チタンを適用している。そして、本実施例のニスは、酸化チタンの含有量を約25重量%としたものを用いている。このように酸化チタンの含有量を設定することにより、所望の紫外線吸収効果や紫外線散乱効果が得られると共に、熱転写プリンタによる所望の印字適正が得られる。尚、酸化チタンの含有量としては、10重量%〜50重量%とすることが好適である。これは、酸化チタンの含有量が10重量%より少ないと、紫外線吸収効果や紫外線散乱効果が小さく、一方、含有量が50重量%より多いと、該紫外線吸収効果や紫外線散乱効果により印刷が視え難くなってしまったり、さらに、インキ硬化皮膜の軟性度が下がって、熱転写プリンタでの印字適正が低減してしまうことに因る。
【0033】
こうした不透明ラベル片6には、
図1のように、その表面に透明ラベル片5を貼着する位置を示す指標35が事前印刷されている。この指標35は、少なくとも透明ラベル片5の四隅を夫々示すL字形指標から構成されており、後述するように、外貼り用ラベル51を作成する際に、該L字形指標で囲繞される領域に一致させて透明ラベル片5を不透明ラベル片6に積層することにより、該透明ラベル片5が情報印字領域32を被覆し且つ非干渉環部29を被覆しない所定位置に正確に位置合わせできるようになっている(
図6(b)参照)。
【0034】
また、第一担持面13には、透明ラベル片5の周囲に不透明ラベル片6の貼着位置を示す指標36が事前印刷されている。この指標36は、少なくとも不透明ラベル片6の四隅を夫々示すL字形指標から構成されており、後述すように、内貼り用ラベル52を作成する際に、該L字形指標で囲繞される領域に一致させて不透明ラベル片6を透明ラベル片5に積層することにより、正確に位置合わせできるようになっている(
図10参照)。
【0035】
上述した本発明のラベル帳票1を用いた外貼り用ラベル51と内貼り用ラベル52の作成方法について説明する。
ラベル帳票1は、上述した形態でラベル発行元(官公庁、大学、又は企業等)に納品される。ラベル発行元では、ラベル帳票1を用いて、内貼り用と外貼り用との二種類を選択的に作成できる。
【0036】
外貼り用ラベル51を作成する場合には、
図3のように、台紙2の第二担持面14に仮着された不透明ラベル片6の情報印字領域32に、パソコン等のコンピュータで出力制御されるプリンタを用いて、営業許可証,入校許可証,駐車許可証,入場許可証等としての所要情報31を表向きに印字する。この所要情報31の印字には、レジンタイプのインクリボンを使用する熱転写プリンタが用いられる。レジンタイプのインクリボンは、ワックスタイプに比して、耐擦過性,耐溶剤性,耐薬品性,耐候性,耐熱性に優れており、該インクリボンに使用されている樹脂に、不透明ラベル片6を構成する合成紙のSP値(溶解度パラメータ)に近いものを選定することにより、該基材の平滑度と相俟って極めて綺麗な印字を施すことができる。
【0037】
このように所要情報31が印字されたラベル帳票1は、
図4のように、台紙2の第一折込片部21から透明ラベル片5の前端部分を剥離すると共に、該台紙3を第一折り線16で谷折りにし、第二折り線17で山折りにしてZ状に折り畳むことによって、第一折込片部21から剥離した透明ラベル片5の前端部分を前方に延出させる。そして、この状態で、透明ラベル片5の前端部分を、その裏面の粘着剤層10の接着力を介して、第二担持面14に仮着されている不透明ラベル片6上に剥離不能に積層し、次いで透明ラベル片5の残りの部分を第一担持面13から剥離して、その粘着剤層10を介して該不透明ラベル片6上に剥離不能に積層する。ここで、不透明ラベル片6には、上述したように、透明ラベル片5の貼着位置を示す指標35が表示されていることから、該不透明ラベル片6と透明ラベル片5との中央位置を略一致させる位置合わせを一層容易に行うことができる。こうして透明ラベル片5を不透明ラベル片6上に積層すると、
図5,6のように、該透明ラベル片5により該不透明ラベル片6上の情報印字領域32が被覆され、かつ該不透明ラベル片6の非干渉環部29が該透明ラベル片5により被覆されずに露出された状態となる。こうした手順により、外貼り用ラベル51が作成される。
【0038】
このように作成された外貼り用ラベル51は、第二担持面14の剥離剤層12上に粘着剤層11を介して剥離可能に仮着された状態であることから、
図6のように、該第二担持面14から簡単に剥離することができる。そして、外貼り用ラベル51が、第二担持面14から剥離されて、
図7のように、粘着剤層11を介して車体やナンバープレート等の外表面(被貼着面)Xに貼着される。こうして貼着された状態で、外貼り用ラベル51は、外部から、透明ラベル片5を通して所要情報31が表向きに視認され得るものとなっている(
図6(b)参照)。
【0039】
ここで、外貼り用ラベル51は、
図7のように、その不透明ラベル片6の裏面の粘着剤層11により車体やナンバープレート等の外表面(被貼着面)Xに貼着されており、透明ラベル片5は該被貼着面Xと接していない。そして、滑らかな被貼着面Xに貼着される場合には、外貼り用ラベル51が、不透明ラベル片6の粘着剤層11の全域で該被貼着面に略均等に貼り付けられる。
こうした本実施例の外貼り用ラベル51を、上述した従来構成の外貼り用ラベル121と比較する。従来構成の外貼り用ラベル121は、
図12のように、透明ラベル片105が不透明ラベル片106に比して、縦横の寸法が夫々に大きいことから、該透明ラベル片105が不透明ラベル片106の全体を被覆して積層される。ここで、従来構成では、不透明ラベル片106が透明ラベル片105により完全に被覆されて保護されることから、該不透明ラベル片106自体には耐水性が求められず、耐水性を有しない基材が適用されていた。さらに、従来の外貼り用ラベル片121は、
図13のように、不透明ラベル片106の裏面の粘着剤層と、透明ラベル片105の外周部裏面の粘着剤層とを介して、被貼着面Xに貼着される。被貼着面Xに貼着された状態では、該不透明ラベル片106の外周端に沿って、透明ラベル片105と被貼着面Xとの非接着の部分が周回して生ずる。これは、不透明ラベル片106の厚みにより該不透明ラベル片106の外周端に沿って段差が生じることに因る。こうした非接着の部分は、空隙sとなると共に、被貼着面Xに貼着する透明ラベル片105の外周端部と不透明ラベル片106との間を分断する。こうした外貼り用ラベル121では、被貼着面Xに貼着された状態で風雨や太陽光に曝されることにより、前記空隙s内の空気が暖められたり冷やされたりして膨張と収縮とを繰り返すことから、これに伴って透明ラベル片105が繰り返し伸縮すると、該透明ラベル片105が剥がれてしまう虞がある。そして、仮に透明ラベル片105の一部分で剥がれを生ずると、雨水が浸入して、不透明ラベル片106の劣化や剥がれ等を生じ易い。
一方、このような従来構成に比して、本実施例の外貼り用ラベル51は、上述したように、不透明ラベル片6の非干渉環部29が透明ラベル片5により被覆されずに露出するものであることから、該透明ラベル片5が不透明ラベル片6からはみ出ず、
図7のように該不透明ラベル片6の粘着剤層11のみを介して被貼着面Xに貼着される。そのため、前記従来構成のような空隙sが形成されず、該空隙sを原因とする剥がれを生じないことから、透明ラベル片5の剥がれが一層生じ難く、該透明ラベル片5により不透明ラベル片6の情報印字領域32を長期に亘って安定して保護できる。さらに、本実施例では、不透明ラベル片6が耐水性を有していることから、透明ラベル片5により被覆されない非干渉環部29にあっても、劣化や剥がれ等の発生を可及的に抑制できる。したがって、本実施例の外貼り用ラベル51によれば、前記従来構成に比して、長期に亘って風雨や太陽光に曝されても、被貼着面Xに貼着された状態で安定して保持され得る。
【0040】
さらに、本実施例の外貼り用ラベル51は、所要情報31を表示した不透明ラベル片6の情報印字領域32が透明ラベル片5により保護されていることから、該透明ラベル片5の紫外線吸収作用によって、該所要情報31の変色・褪色を防止できる。さらに、情報印字領域32が透明ラベル片5により被覆されていることから、所要情報31の改ざんを防止することもできる。また、外貼り用ラベル51で、不透明ラベル片6の非干渉環部29は、透明ラベル片5により保護されておらず、露出している。この不透明ラベル片6は、上述したように、酸化チタンを含有したニスを塗工してなるものであり、紫外線吸収作用または紫外線散乱作用を発揮することから、該非干渉環部29にあっても、変色・褪色を防止できる。
【0041】
一方、内貼り用ラベル52を作成する場合には、
図8のように、台紙2の第一担持面13に仮着された透明ラベル片5の表面に、パソコン等のコンピュータで出力制御されるプリンタを用いて、上記した所要情報31を裏向きに印字する。また、必要に応じて、不透明ラベル片6の表面の情報印字領域32にも、使用上の注意事項等の諸情報を表向きで印字しても良い。ここで、所要情報31や諸情報の印字には、上述したようにレジンタイプのインクリボンを使用する熱転写プリンタが用いられる。これにより、透明ラベル片5及び不透明ラベル片6の各基材の平滑度と相俟って極めて綺麗に印字することができる。
【0042】
このように透明ラベル片5に所要情報31が印字されたラベル帳票1は、
図9のように、上述した外貼り用ラベル51の作成時とは逆向きに折り畳む。すなわち、第二折込片部22から不透明ラベル片6の前端部分を剥離すると共に、台紙2を第一折り線16で谷折りにし、第三折り線18で山折りにしてZ状に折り畳むことによって、第二折込片部22から剥離した不透明ラベル片6の前端部分を前方に延出させる。そして、この状態で、不透明ラベル片6の前端部分を、その裏面の粘着剤層11の接着力を介して、第一担持面13に仮着されている透明ラベル片5に剥離不能に積層し、次いで不透明ラベル片6の残りの部分を第二担持面14から剥離して、その粘着剤層11を介して透明ラベル片5に剥離不能に積層する。ここで、第一担持面13には、上述したように、不透明ラベル片6の貼着位置を示す指標36が表示されていることから、該不透明ラベル片6と透明ラベル片5との中央位置を略一致させる位置合わせを容易に行うことができる。そして、不透明ラベル片6は、透明ラベル片5に比して、縦横の寸法が大きいことから、
図10のように該透明ラベル片5の全体を覆うようにして積層される。こうした手順により、内貼り用ラベル52が作成される。
【0043】
このように作成された内貼り用ラベル52は、
図10のように、不透明ラベル片6の非干渉環部29が透明ラベル片5と重ならないことから、第一担持面13の剥離剤層12上に、透明ラベル片5の粘着剤層10および不透明ラベル片6の非干渉環部29の粘着剤層11を介して剥離可能に仮着された状態であり、該第一担持面13から簡単に剥離することができる。そして、内貼り用ラベル52が、第一担持面13から剥離されて、
図11のように、前記粘着剤層10,11を介して透明なウインドウガラス等の内側面(被貼着面)Yに貼着される。こうして貼着されることにより、内貼り用ラベル52は、ウインドウガラス等の外側から所要情報31を表向きで視認され得るものとなっている(
図10(c)参照)。
【0044】
ここで、縦横寸法の小さい透明ラベル片5は、不透明ラベル片6により覆われてウインドウガラス等の被貼着面Yに貼着されていることから、ウインドウガラス等を介して透明ラベル片5に照射された光が、不透明ラベル片6によって背方へ透過されないため、該透明ラベル片5の所要情報31の視認性が高められる。また、このような貼着状態にあって、透明ラベル片5の紫外線吸収作用によって、該透明ラベル片5の背側(表面)に印字された所要情報31の変色・褪色を防止できる。さらに、所要情報31を表示する透明ラベル片5が不透明ラベル片6により被覆されていることから、該所要情報31の改ざんを防止することもできる。
【0045】
尚、この内貼り用ラベル52の貼付状態では、上述したように、透明ラベル片5の裏面の粘着剤層10と不透明ラベル片6の非干渉環部29の粘着剤層11とを介して被貼着面(ウインドウガラス等)Yに貼着される。そのため、上述した従来構成を外貼りした場合と同様に、透明ラベル片5の外周端に沿って空隙sが周回して形成され、該空隙sを原因として不透明ラベル片6の剥がれを生ずる虞がある。しかしながら、内貼り用ラベル52は、車両の内部に貼着されるため、風雨に直接曝されることが無く、もし仮に不透明ラベル片6が部分的に剥がれたとしても、透明ラベル片5や不透明ラベル片6に印字した所要情報31の劣化を生じ難く、さらに、前記空隙sを原因として内貼り用ラベル52の大部分が剥がれてしまうようなことも生じ難い。すなわち、内貼りの場合は、外貼りの場合のような剥がれ発生による問題が生じ難く、実用上の問題とならない。
【0046】
本実施例にあって、不透明ラベル片6に印刷された指標35により、本発明にかかる外貼り位置決め手段が構成されている。さらに、本発明の外貼り位置決め手段は、第一折り線16および第二折り線17とを備え、透明ラベル片5と不透明ラベル片6とを該第一折り線16を挟んで対向するように配置して、該第一折り線16と第二折り線17とによりZ状に折り畳むことによって透明ラベル片5を位置決めするものとして構成されている。
【0047】
上述したように、本実施例のラベル帳票1によれば、外貼り用ラベル51と内貼り用ラベル52とを選択的に作成することができ、作成された外貼り用ラベル51は、車体等の外表面(被貼着面)Xに貼着した状態で劣化や剥がれの発生を抑制する効果が、上述した従来構成に比して著しく向上する。さらに、ラベル帳票1は、こうした効果を奏する外貼り用ラベル51を比較的容易かつ安定して作成することができる。
【0048】
本実施例にあっては、透明ラベル片5を不透明ラベル片6上に積層する際に用いる指標35を備えたものであるが、該指標35を備えない構成としても良い。この場合には、第一折り線16と第二折り線17とによりZ状に折り畳むことによって、透明ラベル片5を不透明ラベル片6上の所定位置に積層できる。一方、第二折り線17を備えない構成としても良く、この場合には、透明ラベル片5を第一担持面13から剥離させて、第二担持面14の不透明ラベル片6上に、指標35に従って積層する。
【0049】
本発明にあっては、上述した実施例に限定されるものではなく、上述の実施例以外の構成についても本発明の趣旨の範囲内で適宜変更して実施可能である。