特許第6860880号(P6860880)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6860880
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】物品把持具
(51)【国際特許分類】
   B66C 1/42 20060101AFI20210412BHJP
【FI】
   B66C1/42 D
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-85170(P2017-85170)
(22)【出願日】2017年4月24日
(65)【公開番号】特開2018-184230(P2018-184230A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2020年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】715008492
【氏名又は名称】株式会社ロボテック
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 政数
【審査官】 有賀 信
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭51−119273(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3114875(JP,U)
【文献】 特開平07−277668(JP,A)
【文献】 特開平11−005683(JP,A)
【文献】 特開平03−115089(JP,A)
【文献】 特開昭62−136494(JP,A)
【文献】 実開昭54−109880(JP,U)
【文献】 特開2014−055060(JP,A)
【文献】 特開2007−001671(JP,A)
【文献】 実開昭57−018573(JP,U)
【文献】 米国特許第06331025(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 1/00─ 3/20
B66C 1/42
B66C 1/44
B66D 3/20
B65G 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアームで構成されて伸縮するリンク機構部と、
前記リンク機構部の上端部に設けられ、荷役昇降装置にて吊り下げ可能な吊り下げ部と、
前記リンク機構部の前記上端部の反対側に接続されて、対象とする物品を対面して把持する一対の把持部と、
を有する物品把持具であって、
前記把持部は前記リンク機構部の伸縮により接近若しくは離間して前記物品を把持若しくは解放するように作動し、
前記リンク機構部は、前記把持部が前記物品を解放する前記把持部の位置に対応した前記リンク機構部の伸縮位置を保持する保持手段と、前記保持手段の保持を解除する保持解除手段とを有し、前記保持解除手段による前記保持手段の解除に連動して、前記荷役昇降装置と有線若しくは無線で繋がって前記物品把持具を上昇させる指令を行う上昇指令手段がさらに設けられていることを特徴とする物品把持具。
【請求項2】
前記リンク機構部は、前記物品把持具を握持する握持手段をさらに有し、
前記保持解除手段は、前記握持手段と一体で若しくは前記握持手段の近傍にて設けられていることを特徴とする請求項1に記載の物品把持具。
【請求項3】
前記保持手段が、前記リンク機構部の前記アームを繋げて伸縮方向に平行移動する一対の支軸間に渡って設けられる保持アームを有し、
前記保持アームは、
一方の前記支軸を中心として規制された角度範囲で回転自在な支点部と、
他方の前記支軸に上方から係合する溝と、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の物品把持具。
【請求項4】
前記保持解除手段が、前記保持アームを上方に持ち上げて前記支軸を係止している状態から解除する解除部材を有することを特徴とする請求項3に記載の物品把持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量物品の側面を把持して持ち上げる物品把持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、荷役物運搬機を用いて重量の大きい物品を運搬及び設置する際、荷役物運搬機に吊るされて使用する物品を把持する物品把持具は、物体の外面を対向して把持してこれを開閉するもの、吸着によるもの、そしてベルトを巻き付けるものが知られている。物体の外側面を対向して把持するタイプのものは、エアーシリンダ等のアクチュエータを用いて物品の側面を把持する方法があり、また吸着によるものは、真空ポンプ・エジェクター等の負圧を用いた吸着盤により物品の上面や側面を吸着するタイプが一般的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−005683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、高圧エアを使用する上記の方法ではコンプレッサが必要であり、使用できる環境が限られる。そこで特許文献1の物品把持具のように、リンク機構を用いて把持部材をこれに接続し、保持・解除機構を設けて物品把持具を上下動することで、把持部材の位置をロックしたり、物品を把持したり、吊り上げ移動後、物品を解放したりすることを可能にする物品の把持具が開示されている。しかしながらこの特許文献1の発明による技術では、作業者は物品把持具を細やかに上下動させねばならず、物品把持具を掴んで荷役対象の物品に当て込む作業をする作業者が、物品把持具を吊っているホイスト等の上下動も同時に行うことは難しいという課題があった。
【0005】
そしてリンク機構をロックして把持部材の位置間隔を保持した後、作業者がリンク機構を伸縮させるとロックが解除されてしまい、把持部は接近することになってしまい、物品把持具の把持部材の位置を保ったままで扱うことが難しいという課題があった。さらに保持・解除機構の係止具や転路具等のメンテナンスが必要という課題もあった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、作業者が簡単に操作をすることができて、メンテナンスが容易で、作業者一人で荷役作業ができる物品把持具を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の物品把持具は、上記の目的を達成するために、
複数のアームで構成されて伸縮するリンク機構部と、
リンク機構部の上端部に設けられ、荷役昇降装置にて吊り下げ可能な吊り下げ部と、
リンク機構部の上端部の反対側に接続されて、対象とする物品を対面して把持する一対の把持部と、
を有する物品把持具であって、
把持部はリンク機構部の伸縮により接近若しくは離間して物品を把持若しくは解放するように作動し、
リンク機構部は、把持部が物品を解放する把持部の位置に対応したリンク機構部の伸縮位置を保持する保持手段と、保持手段の保持を解除する保持解除手段とを有し、保持解除手段による保持手段の解除に連動して、荷役昇降装置と有線若しくは無線で繋がって物品把持具を上昇させる指令を行う上昇指令手段がさらに設けられて構成されている。
【0009】
請求項に記載の物品把持具は、上記の目的を達成するために、
リンク機構部は、物品把持具を握持する握持手段をさらに有し、
保持解除手段は、握持手段と一体で若しくは握持手段の近傍にて設けられて構成されている。
【0010】
請求項に記載の物品把持具は、上記の目的を達成するために、
保持手段が、リンク機構部のアームを繋げて伸縮方向に平行移動する一対の支軸間に渡って設けられる保持アームを有し、
保持アームは、
一方の支軸を中心として規制された角度範囲で回転自在な支点部と、
他方の支軸に上方から係合する溝と、
を備えている。
【0011】
請求項に記載の物品把持具は、上記の目的を達成するために、
保持解除手段が、保持アームを上方に持ち上げて支軸を係止している状態から解除する解除部材を有して構成されている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、リンク機構部が保持手段を有し、把持部が保持手段を解除する保持部材解除手段を有しているため、作業者は把持部を持って物品把持具を物品付近へ誘導した後に把持部から手を離すことなく、容易に物品の把持を行うことができる。そして保持手段を解除する保持部材解除手段に連動して、物品把持具は荷役昇降装置によって吊り上げが行われるので、わざわざ荷役昇降装置の上昇指令釦を押す必要なしに荷役作業が進められることから、荷役作業の効率の向上を図ることができる。
【0014】
請求項に記載の発明によれば、把持部に握持手段を設けていることから、作業者が握持手段を握持して物品付近へ物品把持具を誘導が容易となる。さらに握持手段若しくは握持手段近傍に保持部材解除手段を設けていることから、握持手段を握ったまま物品の把持を行うことができる。
【0015】
請求項に記載の発明によれば上記効果に加えて、リンク機構部の伸縮を保持するために、リンク機構部の伸縮の際に伸縮方向に平行移動する一対の支軸間に渡って設けられる保持アームを有していることから、保持する強度に優れる。そしてリンク機構部の位置を保持した後、リンク機構部の伸縮を行っても保持が保たれ、ゆえにリンク機構部に接続されている把持部はその間隔を保つことが可能な物品把持具を提供できる。
【0016】
請求項に記載の発明によれば上記効果に加えて、保持アームを上方に持ち上げ、保持アームが支軸間距離を保持している状態から解除する解除部材を保持部材解除手段が有しているので、解除動作が容易であり、部品点数も少なく、メンテナンスも容易である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態の物品把持具によって物品を把持する前の全体外観斜視図
図2】本発明の実施形態の物品把持具によって物品を把持する前の主要部分詳細斜視図
図3】本発明の実施形態の物品把持具によって物品を把持する直前の状態を示した主要部分詳細斜視図
図4】本発明の実施形態の物品把持具によって物品を把持した状態を示した主要部分詳細斜視図
図5】荷役昇降装置と荷役昇降装置に吊り下げられた本発明の実施形態の物品把持具が物品を把持している状態を示した全体外観斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明による実施形態について、図面を基に詳細な説明を行う。図1は本発明の実施形態の物品把持具によって物品を把持する前の全体外観斜視図である。
【0019】
物品把持具は、荷役昇降装置に吊り下げ接続する吊り下げ部1と、アーム2及びL字型アーム4a、L字型アーム4bを含むリンク機構部と、リンク機構部に支持されて物品30を把持する一対の把持部5a、把持部5bと、リンク機構部に設けられた保持アーム11aを含む保持部材と、保持部材の保持を解除する保持解除手段13と、で構成されている。
【0020】
吊り下げ部1は、リンク機構部のアーム2の上端部に設けられ、荷役昇降装置のフックに吊り下げ可能なように円柱軸の形状を成している。
【0021】
リンク機構部は、複数のアームで構成され、アーム2が吊り下げ部1の円柱軸の軸方向に垂直な方向に伸びてその一端側は吊り下げ部1に回転自在に設けられている。そしてアーム2の他端側には支軸3a、支軸3bが設けられ、アーム2は支軸3a、支軸3bを介してL字型アーム4a、L字型アーム4bにそれぞれ接続されて構成されている。またL字型アーム4aとL字型アーム4bは回転軸7にて交差するように接続されている。したがって、吊り下げ部1を上下させることによって、アーム2は吊り下げ部1と支軸3a、支軸3bを支点として規制された角度範囲で回転し、L字型アーム4a、L字型アーム4bも支軸3a、支軸3bと回転軸7を支点として規制された角度範囲で回転するため、リンク機構部は鉛直方向に伸縮できる。
【0022】
一対の把持部5a、把持部5bは、リンク機構部の上端部の反対側、すなわち下側に接続される。詳細には把持部5a、把持部5bは、リンク機構部のL字型アーム4a、L字型アーム4bそれぞれに回転軸6によって規制された角度範囲で回転するように取り付けられている。把持部5a、把持部5bは荷役作業の対象とする物品30を対面して把持する部分であって、把持部5a、把持部5bの物品30と接する部分には把持を確実に安定して行うために滑り止めのゴムなどが設けられている。そして把持部はリンク機構部の伸縮により接近若しくは離間するように作動するので、物品30を把持若しくは解放することができる。
【0023】
また把持部5bには、鉛直下方向へ伸びた把持ロングアーム9と、把持ロングアーム9の端部に設けられた把持アングル10を取り付けることが可能である。把持ロングアーム9を用いることで鉛直方向に長い物品を把持することができ、さらに把持アングル10を用いることで重量の大きい物品を把持することができる。
【0024】
握持手段8a、8bはL字型アーム4a、L字型アーム4bそれぞれに取付け固定されていて、物品把持具を移動させる時に作業者が握る取っ手、ハンドル、ノブ等である。
【0025】
図2は本発明の実施形態の物品把持具によって物品を把持する前の主要部分詳細斜視図であって、図1における握持手段8a近傍を拡大して示している。
【0026】
保持手段を構成する保持アーム11aは、リンク機構部が伸縮するのを保持(ロック)するものであって、支軸3bから支軸3aに渡って設けられた中空長方体の部材である。支軸3aと支軸3bは、リンク機構部が伸縮する際に対となってリンク機構部の伸縮方向に平行移動するリンク機構部の支軸である。保持アーム11aの一端部には一方の支軸3bによりアーム2及びL字型アーム4aと相対的に規制された角度範囲で回転自在となっている支点部がある。保持アーム11aの中間部には他方の支軸3aに上方から係合する溝11bが形成されている。保持アーム11aにおいて溝11bが設けられる位置は、L字型アーム4a、L字型アーム4bに伴って動く把持部5a、把持部5bが物品30を解放できる位置である。即ちこの支軸3aと支軸3bの距離を一定に保持することでリンク機構はその伸縮位置が保持され、これは把持部5a、把持部5bが物品30を解放できる位置に対応している。図2において保持アーム11aの溝11bは支軸3aに係合していることから、リンク機構はこの状態から伸縮することができず、把持部5aと把持部5bの間隔は一定に保たれている。
【0027】
保持解除手段13は、保持アーム11aの溝11bを支軸3aから外してリンク機構の保持を解除するものである。保持解除手段13は、握持手段8aの近傍のL字型アーム4aに設けられ、解除部材である解除プレート14a及び解除プレート14bとブラケット15と回転軸16とで構成されている。ブラケット15は回転軸16を中心として規制された角度範囲で回転し、解除プレート14a及び解除プレート14bはブラケット15に取り付けられて回転軸16を中心として規制された角度範囲で回転することができる。解除プレート14a及び解除プレート14bは時計方向回りに回るように付勢されている。保持解除手段13は、作業者によって意図的に操作されてリンク機構の保持を解除するものである。
【0028】
そして、保持アーム11aの支軸3bがある側の支点部と反対側の端部には係止板12が保持アーム11aから突出して設けられている。作業者が解除プレート14aを反時計回りに回すと、解除プレート14aが係止板12に当たり始める。解除プレート14aを反時計回りにさらに回すと、解除プレート14aが係止板12を鉛直方向に持ち上げ、係止板12が固定されている保持アーム11aが支軸3bを支点として回って溝11bの部分が支軸3aから外れる方向に動く。
【0029】
センサスイッチ17は解除プレート14aの回転位置を検出するものであって、例えば反射型の光電センサである。センサスイッチ17は解除プレート14aのある方向に感度を有して、図2の状態では解除プレート14aは検出されず、解除プレート14aを反時計回りに回すと、解除プレート14aを検出する。センサスイッチ17は光電センサに限らず、断面が略コの字型の透過型光電センサによって解除プレート14aを挟むように構成しても良いし、レバースイッチを解除プレート14aに接触させて構成するなどの変形であっても良い。またセンサスイッチ17は、有線又は無線で荷役昇降装置20に接続されていて、無線の場合は図示しない送信機等が適宜設けられる。なおセンサスイッチ17の役割については後述する。
【0030】
図3は本発明の実施形態の物品把持具によって物品を把持する直前の状態を示した主要部分詳細斜視図であり、図2において解除プレート14aを反時計回りに回した時、解除プレート14aが係止板12に当たり、保持アーム11aの溝11bが上昇して支軸3aとの係合が解除された状態を示している。この状態ではリンク機構の保持が解除されて伸縮できるので、リンク機構が伸びると、対向している把持部5aと把持部5bは互いに接近する方向に動く。
【0031】
図4は本発明の実施形態の物品把持具が物品を把持した状態を示した主要部分詳細斜視図である。図4は、図3の状態からリンク機構が鉛直上方へ伸びて、把持部5a、把持部5bが物品30の側面に当接して把持した状態を示している。
【0032】
この時、リンク機構が鉛直上方へ伸びたことから、係止板12は解除プレート14aから離間する。そして保持アーム11aの溝11b以外の部分が支軸3aに当接している状態である。そしてリンク機構の伸縮に伴って、保持アーム11aは支軸3aに付勢した状態で当接して当接箇所は変化する。リンク機構が伸びて把持部5a、把持部5bが物品30の側面に当接すると、これ以上把持部5a、把持部5bは互いに接近する方向には動けず物品30は把持される。
【0033】
そしてリンク機構が鉛直上方へ伸びて係止板12が解除プレート14aから離間すると、解除プレート14aは、時計方向回りに付勢されていることから図2と同じ位置まで回って戻る。
【0034】
図5は本発明の実施形態の物品把持具が物品を把持した状態を示した全体斜視図であって、物品の昇降を行う荷役昇降装置を含めて示している。
【0035】
荷役昇降装置20は構造物の梁などに吊り下げられ、荷役昇降装置20のフックを吊り下げ部1に取り付けることで、物品把持具の昇降を行うことができる。
【0036】
次いで本発明の実施形態の物品把持具及び荷役昇降装置による物品30の把持・昇降・解放の手順と動作について説明する。
【0037】
A)図1に示している保持アーム11aの溝11bが支軸3aに当接して、リンク機構の伸縮が保持された状態で、作業者は床31に置かれた物品30の鉛直上方に物品把持具を握持手段8a、8bを持って移動する。
【0038】
B)作業者は物品30を把持する把持部5a、把持部5bの位置を適宜調整し確認した後、握持手段8aを握っている手の一部の指によって、解除プレート14bを反時計回りに回す。この行為により、リンク機構の伸縮が解除されると同時に、センサスイッチ17が解除プレート14aを検出する。センサスイッチ17は荷役昇降装置20に対して上昇指令を行う上昇指令手段となっていて、センサスイッチ17が解除プレート14aを検出している時、荷役昇降装置20は上昇動作を行う。この時リンク機構の伸縮は既に可能な状態にあるため、リンク機構は伸び始める。ゆえに保持解除手段13による把持部の保持解除に連動して、荷役昇降装置へ物品把持具を上昇させる指令を行う上昇指令手段が設けられている。
【0039】
C)リンク機構が伸び始めて係止板12が解除プレート14aから離間した以降は、解除プレート14aは時計回りの付勢された位置へ戻すことができる状態となる。したがって作業者が解除プレート14bから指を離すと、その位置で荷役昇降装置20は上昇を停止する。そして再度解除プレート14bを反時計回りに回してセンサスイッチ17が解除プレート14aを検出するようにすれば、再度荷役昇降装置20は上昇を開始する。作業者はこの上昇及び停止の操作を繰り返すことで、物品30を安定して把持する状態に至るまで目視等によって確認することができる。
【0040】
D)物品30が安定して把持する状態に至ったならば、作業者は物品把持具の握持手段8a、8bを持って目的の場所へ移動する。
【0041】
E)目的の場所へ移動が完了したら、物品30の解放に移る。作業者は荷役昇降装置20を操作して、物品把持具及び物品30を下降させる。物品30が目的地床32に接した後も引き続き下降させると、リンク機構の縮みが始まる。そして把持部5a、把持部5bは互いに離間する方向に動き、物品30は解放される。
【0042】
F)そしてさらに保持アーム11aの溝11bが支軸3aに当接して、リンク機構の伸縮が保持された状態に戻る。この状態で作業者がリンク機構の伸縮を行おうとしても、保持解除手段13によって保持アーム11aの溝11bを支軸3aから外さない限り保持の解除はできないので、把持部材の位置を保ったままで扱うことができて作業性は向上する。
【0043】
本実施形態では、保持解除手段13が握持手段8aの近傍に設けられているがこれに限らず、握持手段に取り付けられて一体とした構造であっても良く、また保持解除手段13がモータやソレノイド等の電動によって動くものであっても良い。そして荷役昇降装置20は荷役物の重量をキャンセルして扱うことができる電動式、スプリング式を含むバランサが好適である。
【0044】
以上、本発明に関する実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されることではなく、握持部形状、保持部構造及び保持部材解除手段等を始めとして種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の活用例として、遊技機やコンクリートブロックなどを移動する把持具としての適用が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 :吊り下げ部
2 :アーム
3a、3b :支軸
4a、4b :L字型アーム
5a、5b :把持部
6 :回転軸
7 :回転軸
8a、8b :握持手段
9 :把持ロングアーム
10 :把持アングル
11a :保持アーム
11b :溝
12 :係止板
13 :保持解除手段
14a、14b :解除プレート
15 :ブラケット
16 :回転軸
17 :センサスイッチ(上昇指令手段)
20 :荷役昇降装置
30 :物品
31 :床
32 :目的地床
図1
図2
図3
図4
図5