【実施例】
【0044】
本発明は以下の実施例によってさらに例示されるが、これらはさらなる限定として解釈されるべきではない。
【0045】
実施例1
2x10
5 MO-5(OVA発現B16メラノーマ細胞株)をC57BL/6マウスに皮内移植し、移植7日後に自由飲水により5 mg/mlメトホルミンの経口投与を開始した。投与開始後7日目(移植後14日目)にリンパ節(LN)及び腫瘍組織(Tumor)を切除し、リンパ節のリンパ球及び腫瘍浸潤リンパ球を回収した。細胞をFCS(-)RPMIで洗浄後、抗マウスCD3抗体BV510、抗マウスCD8抗体APC-Cy7、1 μM Fluo4、1 μM Fura Redで30分、37℃で染色した。染色後、37℃で保温したFCS(-)RPMIで洗浄し、洗浄後フローサイトメーターにより細胞内カルシウムイオンのバックグラウンドを30秒間測定した。バックグラウンド測定後、ただちに100 ng/ml PMAおよび5 μM ionomycinにより刺激し、刺激によるマウスCD8 T細胞内のカルシウムイオンの上昇を測定した(
図1)。腫瘍組織(Tumor)では、メトホルミン非投与群(−)にはPMA/ ionomycin刺激によっても細胞内カルシウム濃度はほとんど上昇しないが、メトホルミン投与群(+)ではPMA/ ionomycin刺激により細胞内カルシウム濃度は大きく上昇することが確認された。
【0046】
リンパ節(TN)では、PMA/ ionomycin刺激前でもある程度高い細胞内カルシウムレベルを有し、メトホルミン投与群(+)と非投与群(−)のいずれもPMA/ ionomycin刺激により細胞内カルシウム濃度は大きく上昇するが、その程度はメトホルミン投与群(+)の方が大きかった。
【0047】
図1の結果から、メトホルミンは、免疫刺激により細胞内カルシウム濃度を高める作用があり、特に腫瘍組織内のCD8T細胞でその作用が顕著であることが明らかになった。
【0048】
実施例2
抗原特異的腫瘍浸潤CD8 T細胞のメモリー形質の検出および各細胞分画におけるグルコース取り込みの評価
2x10
5 MO-5をC57BL/6マウスに皮内に移植し、移植後7日後に自由飲水により5 mg/mlメトホルミンの経口投与を開始した。投与開始後7日目(移植後14日目)に腫瘍組織を切除し、腫瘍浸潤リンパ球を分離した。分離後、0.1%BSA/PBSで洗浄し、抗マウスCD8抗体APC-Cy7、抗マウスCD62L抗体BV421、抗マウスCD44抗体PerCP、抗マウスKLRG1抗体APC、および400 μM 2-NBDG(2-[N-(7-nitrobenz-2-oxa-1,3-diazol-4-yl) amino]-2-deoxy-d-glucose)を30分、4℃で染色した。0.1%BSA/PBSで洗浄し、フローサイトメーターにより抗原特異的腫瘍浸潤CD8 T細胞の頻度、メモリー形質(CD44, CD62L, KLRG1)および各細胞分画におけるデオキシグルコース(2-NBDG)の取り込みを解析した(
図2)。
図2に示すように、メトホルミンは、腫瘍浸潤CD8 T細胞のメモリー形質に関し、エフェクター(eff)とエフェクター・メモリー(EM)の数及び割合を増加して解糖系を活性化させるが、セントラル・メモリーの数を及び割合を減少して解糖系を不活性化させることが明らかになった。
【0049】
実施例3
健常人とがん患者の凍結保存されたヒトPBMC(ヒト末梢血単核球)を解凍し、FCS(-)RPMIで洗浄後、1x10
6 PBMCを抗ヒトCD8抗体APC-Cy7、1 μM Fluo4、1 μM Fura Redで30分、37℃で染色した。染色後、37℃で保温したFCS(-)RPMIで洗浄し、洗浄後フローサイトメーターにより細胞内カルシウムイオンのバックグラウンドを30秒間測定した。バックグラウンド測定後、ただちに100 ng/ml PMAおよび5 μM イオノマイシンにより刺激し、刺激によるヒトCD8 T細胞内のカルシウムイオンの上昇を測定した。結果を
図3に示す。健常人とがん患者のPBMCのPMA/イオノマイシンによる刺激前のレベルと刺激直後の上昇については、差異はないが、その後の経過は、健常人では持続的に上昇し、がん患者では急速に下降する点で大きく異なる。
【0050】
ヒトPBMCは、末梢血の採血により容易に測定でき、メトホルミン、或いはメトホルミンと他の薬剤との併用効果は、
図3のがん患者のタイプの場合に高く、健常人の場合には高くないので、ヒトPBMCのカルシウム濃度を測定することで患者を選別することができる。末梢血は、がん細胞と接触している単核球の割合は非常に低いと考えられるので、この結果は予想外である。
【0051】
また、ヒトPBMCのカルシウム濃度ががん患者のタイプだと再発の可能性が高いか再発しており、健常人のタイプだと再発の可能性が低いなどの評価をすることが可能である。
【0052】
実施例4
がん患者の凍結保存されたヒトPBMCを解凍し、FCS(-)RPMI 10 μMメトホルミン存在下で6時間培養し、培養後分離し、FCS(-)Glc(-)RPMIで洗浄した。洗浄後、0.1、1、10 mM Glcの含有したRPMIを用いて、1 μM モネンシン存在下で50 ng/ml PMAおよび2 μM イオノマイシンにより6時間刺激培養した。細胞を分離し、抗ヒトCD8抗体APC-Cy7で細胞表面分子を染色し、細胞透過処理を行い、抗ヒトIL-2 抗体APCおよび、抗ヒトTNFα抗体BV510、抗マウスIFNγ抗体FITCにより細胞内サイトカインを染色し、フローサイトメーターにより解析した(
図4)。3つのサイトカイン(IL-2、TNFα、IFNγ)を産生しているCD8T細胞は、グルコース濃度に依存し、グルコース濃度が0.1mMでは最も低く、メトホルミンの有無により差異はないが、グルコース濃度が1mMの場合には、メトホルミンにより3つのサイトカイン(IL-2、TNFα、IFNγ)を産生しているCD8T細胞の数は有意に上昇することが明らかになった。
【0053】
低栄養の腫瘍組織ではグルコース濃度が1mM程度であることが知られているので、メトホルミンは、このような低栄養の腫瘍組織でのCD8T細胞の多機能性の回復が認められた。
【0054】
実施例5
腫瘍移植実験(フェンホルミン,アスピリン処置)
OVA発現B16メラノーマ細胞株MO5 (2.5×10
5) をC57BL/6マウスの背部に皮内接種した。一群5匹のマウスで、未処置の群(C)をはじめ、腫瘍細胞接種10 日後からアスピリン単独、フェンホルミン(Phen)単独、アスピリンとフェンホルミンの併用投与群の4群を作製した。フェンホルミンは、メトホルミンと同様ビグアナイド系の薬物である。フェンホルミンは、腫瘍細胞接種10 日目から0.5%含有食餌として与えた。さらに4 日ごとに餌を通常の餌と交換した。即ち、10日目から14日目、18日目から22日目のみフェンホルミン含有食餌を与えた。 14日目から18日目と22日目から26日目の間はフェンホルミンを含まない通常の食餌を与えた。このような投与法を選択した理由は、フェンホルミンの連日投与では副作用によりマウスの死亡例が出るからである。また、フェンホルミンは自由飲水で与えた場合、マウスは水を飲まなくなるために食餌として与えた。
【0055】
一方、アスピリン(600μg/mL) は、自由飲水によって処置し、飲水は10日目から継続的に行った。フェンホルミン単独でも強い腫瘍増殖抑制効果が認められるが、アスピリンとの併用により効果が増強した(
図5)。
【0056】
実施例6
8週齢のBALB/c に腫瘍(MethA) 2 x 10
6個を皮内注射し、day7からメトホルミン(5 mg/mL) を自由飲水によって継続摂取させ,治療後3日(day10)および6 日後(day13)に腫瘍浸潤 T 細胞(TIL)を分離し, 抗CD8抗体、抗グルコーストランスポーター(Glut1) 抗体で染色した。また、PMA/Ionomycin/Monencin存在下で6 時間刺激培養後に抗CD8抗体、抗グルコーストランスポーター(Glut1) 抗体で染色し、フローサイトメーターにより解析した。結果を
図6に示す。PMA刺激によりGlut1の発現は増加する傾向にあるものの、PMA刺激(-)を含め、あらかじめメトホルミンを投与しておいた群ではGlut1陽性集団の明らかな増加が認められた。
【0057】
実施例7
図6におけるGlut1陽性集団の多機能性について解析を行った。多機能性のあるCD8T細胞は、最も強力なエフェクターT細胞である。
【0058】
8週齢のBALB/c に腫瘍(MethA) 2 x 10
6個を皮内注射し,day 7からメトホルミン(5 mg/mL) を自由飲水によって継続摂取させ, 治療後3日(day10)および6 日後(day13)に腫瘍浸潤 T 細胞(TIL)を分離し, PMA/Ionomycin/Monencin存在下で6 時間刺激培養後に抗CD8抗体、抗グルコーストランスポーター(Glut1) 抗体、および細胞内サイトカイン(IL-2/TNFα/IFNγ) の各種抗体で染色しフローサイトメーターにより解析した。その結果、Glut1陽性集団では多機能性を有するものが多く認められた(
図7)。この比率はメトホルミン服用により増加する。これらの事実から、腫瘍浸潤CD8T細胞のGlut1発現をフローサイトメーターでみることにより、多機能性検査を行わなくてもその免疫状態を推測することができる。また、メトホルミン投与などのある免疫治療を行い、その結果CD8T細胞のGlut1発現が増加すれば、「免疫効果がある」という判定を下すことも可能である。
【0059】
実施例8
8週齢のBALB/cマウスに同系腫瘍 MethA(2 x 10
6個)を皮内注射し,day7からメトホルミン(5 mg/mL), N-アセチルシステイン(NAC,10 mg/mL) の投与を開始した。治療3日後に腫瘍浸潤 T 細胞(TIL)を分離し、37 ℃で0,1,3,6 時間培養を行い, その後, CD3,CD8,グルコーストランスポーター(Glut1)の各種抗体で染色し,フローサイトメーターにより解析した(
図8)。
【0060】
結果)腫瘍から分離直後のCD8TILはGLUT-1の発現はこれまでの方法によれば、分離後即座に抗体で染色しフローサイトメーターで解析する手法が用いられたが、その方法ではGlut-1の検出は難しい。しかしながら、
図8の矢印で示すように3時間ないし6時間in vitroで培養することにより検出が可能になることが判明した。即ち、メトホルミン投与しておいたマウスのCD8TILでは、6時間培養により非常に高いレベルのGLUT-1発現が見られるようになった。一方、メトホルミン非投与群ではGLUT-1発現上昇は見られない。
【0061】
以上より、CD8TIL のin vitro 3〜6時間培養によるGLUT-1発現上昇の有無はメトホルミン効果の有無を予測できるモニタリング法になりうることが判明した。GLUT-1はグルコース取込みの受容体であり、GLUT-1の細胞膜における発現上昇は解糖系亢進を意味する。T細胞活性化に伴う細胞質カルシウムイオン濃度の上昇は、解糖系亢進により維持されるため、この場合のGLUT-1発現上昇は細胞質カルシウムイオン濃度上昇と同義と考えることができる。
【0062】
また、GLUT-1発現上昇はメトホルミン投与と同時に抗酸化剤であるNアセチルシステイン(NAC)を投与することにより、有意に抑制された。従って、CD8TILの解糖系亢進(即ちGLUT-1の発現上昇)という現象は、活性酸素(reactive oxygen species; ROS)に依存すると考えられる。
【0063】
実施例9
8週齢のBALB/cマウスに同系腫瘍 MethA(2 x 10
6個)を皮内注射し, day7からメトホルミン(5 mg/mL)の投与を開始した. 治療3日後に腫瘍浸潤 T 細胞(TIL)を分離し、グルコース濃度 0, 0.1, 1.2, 6.1, 12.5, 25 mM の培養液下で 37 ℃,0,1,3,6 時間培養を行い, その後, CD3,CD8,グルコーストランスポーター(Glut1)の各種抗体で染色し,フローサイトメーターにより解析した(
図9)。
【0064】
結果)腫瘍から分離後のCD8TILはin vitroで6時間培養することによりGLUT-1の発現上昇を認めるが、これは培養液中のグルコース濃度に比例することがわかった。とりわけ、グルコース6.1mM、理想的には25mM において最も高いレベルのGlut-1 が観察された。グルコース25mM とは通常の培養液中のグルコール濃度に匹敵する。
【0065】
また、腫瘍内におけるグルコース濃度に匹敵するグルコース濃度0.1mM でも14.3%のCD8TIL がGlut-1 を発現した。グルコース濃度0.1mM は、腫瘍内におけるグルコース濃度に匹敵する。従って、メトホルミン投与により、腫瘍内でもCD8TIL は解糖系が亢進し、腫瘍を攻撃できることが推測される。
【0066】
一方で全くグルコースが存在しない場合(グルコース濃度0mM)は、CD8TIL のGlut-1は発現しない。メトホルミン投与しておいたマウスから分離したCD8TILは、6時間in vitro培養することにより有意にGlut-1の発現が上昇してくるが、これは培養液中のグルコース濃度に比例することがわかった。培養液中グルコース濃度は、6.1mM以上、25mMにおいて最も高いGlut-1の発現上昇が見られることがわかった。
【0067】
腫瘍浸潤CD8T 細胞(CD8TIL)のエフェクター機能は、その解糖系亢進の有無に依存することがこれまでの研究から明らかにされている。しかしながら、CD8TIL の代謝状況を解析することは非常に困難であった。 本手法、即ちCD8TIL を25mM グルコース存在下で6 時間培養した後にGlut-1 の発現レベルをフローサイトメーターで観察する手法は、CD8TIL の解糖系上昇の有無を極めて簡便かつ鋭敏に検出できる優れた検査法であると結論できる。この手法はメトホルミンに限らず、例えばがんワクチンや免疫チェックポイント阻害薬など、あらゆるがん免疫療法の効果をモニタリングできる普遍的な手法であると考えられる。
【0068】
実施例10
腫瘍浸潤リンパ球(TIL) 回収と培養プロトコル
バイオプシー等によりがん患者から腫瘍塊(3〜4mm径)を摘出し, Medimachine(アズワン株式会社製)にて機械的に2分間破砕後, 細胞液を回収し, 1200rpm, 5〜10 分間遠心する。その後, 上清を捨てて, RPMI培養液にて(牛胎児血清は凝集を生じる場合があるのでここでは入れない), 5×10
5 /mL となるように細胞液を調製し, 24 well plateに5×10
5 /mL/well の細胞数を入れて6時間培養する。6時間後に細胞を回収し、抗体で染色する過程に移行する。
【0069】
実施例11
ステージ Iのがん患者、ステージIIaのがん患者及びステージIVのがん患者において、メトホルミンの投与前後におけるPMA刺激によるカルシウム濃度亢進の変化を測定した。メトホルミンの投与前及び図示した投与スケジュールによるメトホルミン投与後にヒトPBMC(ヒト末梢血単核球)を採取し、実施例3と同様にして100 ng/ml PMAおよび5 μM イオノマイシンにより刺激し、刺激によるヒトCD8 T細胞内のカルシウムイオンの上昇を測定した。具体的には、末梢血から比重分離法により末梢血単核球(PBMC)を分離し、1x10
6 個のリンパ球を 1 μg/ml 抗ヒトCD8抗体および1 μM Fluo4/FuraRed存在下で37℃30分間インキュベートした。その後、AIM-V培地により洗浄する。洗浄後AIM-Vを加え、未刺激(刺激前)のリンパ球を20秒間FACSCantoIIにより取り込みベースライン・データを取り込んだ。その後、100 ng/ml PMA/ 2 μM ionomycinを加えて刺激を入れ、直ちにFACSCantoIIにより取り込み、刺激後のデータとして取り込んだ。これにより細胞質カルシウム濃度に応じた波形を検出した。
【0070】
結果を
図10に示す。ステージ I, IIa, IVのいずれにおいてもメトホルミンとの培養によりPMA刺激によるカルシウム濃度亢進が認められる。同時に行ったサイトカイン多機能性の上昇と同様の結果となった。
【0071】
実施例12
腫瘍移植実験(Met,アスピリン,アバシミブ及び2剤併用)
OVA発現B16メラノーマ細胞株MO5 (2.5×10
5) をC57BL/6マウスの背部に皮内接種した。腫瘍細胞接種7 日後にメトホルミン(0.5%)は飼料によって、アスピリン(600μg/mL)は自由飲水によって、アバシミブ(15 mg/kg)は隔日腹腔内投与によってマウスに与えた。
結果を
図11に示す。これらの処置開始後、6日目の腫瘍の長径、短径を計測し、腫瘍の体積(mm
3)を算出した。メトホルミンとアスピリンの併用、あるいはメトホルミンとアバシミブの併用は、単剤よりも腫瘍抑制効果が高いことが分かる。
【0072】
実施例13
腫瘍移植実験(3剤併用,抗PD-1抗体, Met, アスピリン)
3LL 細胞(2.0×10
5) をC57BL/6マウスの背部に皮内接種した。腫瘍細胞接種5 日後に抗PD-1抗体 (10 mg/kg) を腹腔内投与によって1 回目投与後も6 日ごとに投与し合計4 回となるよう処置をした。メトホルミン(0.5%)は飼料によって、アスピリン(600μg/mL)は自由飲水によって処置をした。処置開始後、腫瘍の長径、短径を計測し、腫瘍の体積(mm
3)を算出した。
結果を
図12に示す。アスピリンの併用は、抗PD-1抗体+メトホルミンの腫瘍抑制効果を高めることが分かった。
【0073】
実施例14
腫瘍移植実験(3剤併用,抗PD-1抗体, Met, NDGA)
3LL 細胞(2.0×10
5) をC57BL/6マウスの背部に皮内接種した。腫瘍細胞接種5 日後に抗PD-1抗体 (10 mg/kg) を腹腔内投与によって1 回目投与後も6 日ごとに投与し合計4 回となるよう処置をした。また、メトホルミンとNDGA (Nordihydroguaiaretic acid)はメトホルミン(0.5%)飼料あるいはメトホルミン(0.5%)とNDGA(0.1%) 混合飼料によって処置をした。処置開始後、腫瘍の長径、短径を計測し、腫瘍の体積(mm
3)を算出した。また、生存期間を観察した。
結果を
図13に示す。NDGAの併用は、抗PD-1抗体+メトホルミンの腫瘍抑制効果を高め、生存期間を延長することが分かった。
【0074】
実施例15
腫瘍移植実験(4,5剤併用)
OVA発現B16メラノーマ細胞株MO5 (2.5×10
5) をC57BL/6マウスの背部に皮内接種した。腫瘍細胞接種7 日後にメトホルミン(0.5%)とNDGA(0.1%) は混合飼料によってそしてアスピリン(600μg/mL)は自由飲水によって処置をした。さらに抗PD-1抗体 (10 mg/kg) は腹腔内投与によって1 回目投与後も6 日ごとに投与し合計4 回となるよう処置をした。またアバシミブ(15 mg/kg)は腹腔内投与によって1 回目投与後も2 日ごとに計測終了日まで処置を行った。処置開始後、腫瘍の長径、短径を計測し、腫瘍の体積(mm
3)を算出した。また、生存期間を観察した。
結果を
図14に示す。メトホルミン+NDGA+アスピリン+アバシミブは、腫瘍増大を強く抑制し、生存期間を延長することが分かった。また、メトホルミン+NDGA+アスピリン+アバシミブ+抗PD-1抗体は、さらに強く腫瘍増大を強く抑制し、生存期間を延長(5匹中2匹は腫瘍の完全退縮をみた)することが分かった。