(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について、図面を参照しつつ説明する。
本明細書において、方向を示す用語として、前後、左右、上下を使用する。前側は、ルアーの使用時にライン(ミチ糸)に連結され、ラインによってルアーが引っ張られる側をいい、後側は、その反対側をいう。左側は、ルアーを前側から見て左側をいい、右側は、その反対側をいう。上側は、ルアーを前側から見て上側をいい、下側は、その反対側をいう。
本明細書において、「下限値X〜上限値Y」で表される数値範囲は、下限値X以上上限値Y以下を意味する。前記数値範囲が別個に複数記載されている場合、任意の下限値と任意の上限値を選択し、「任意の下限値〜任意の上限値」を設定できるものとする。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、本発明のルアーを前側から見た正面図であり、
図2は、
図1のルアーを右側から見た側面図であり、
図3は、
前後方向で切断した断面図であり、
図4は、左右方向中央部において
左右方向に切断した断面図であり、
図5は、要部拡大断面図である。
【0013】
図1乃至
図5において、ルアー11は、ボディ21と、前記ボディ21の内部に形成された通路31と、前記通路31内に収容された複数の球状重り41と、前記通路31に設けられた付着部51と、前記複数の球状重り41を一纏めに保持する保持部材61と、を有する。保持部材61に保持された複数の球状重り41は、個々にばらけて動くことなく、一緒に通路31内を移動する。以下、保持部材61とその保持部材61に保持された複数の球状重り41とを併せて「一体化重り」と記す場合がある。
本発明のルアー11は、通路31を有するボディ21、付着部51及び一体化重り71(保持部材61と複数の球状重り41)以外に、他の構成要素を有していてもよい。
以下、各構成要素ごとに分けながら、本発明のルアー11の詳細を説明する。
【0014】
<ボディ及び通路について>
図示したボディ21においては、その外形が小魚を真似た形状とされている。もっとも、ボディ21の外形は、小魚に似た形状に限られず、海老を真似た形状、カエルを真似た形状などとしてもよい。また、ボディ21は、小魚などの自然物を真似た形状に限られず、任意の形状に形成してもよい。
さらに、ボディ21の外面に、無数の小さな窪み(ディンプル)が形成されていてもよい(図示せず)。ボディ21の表面が無数の小さな窪みを有することにより、ルアー11を投げたときに、ルアー11が空気抵抗を受け難くなる。従って、より遠くに投げ飛ばすことができるルアー11を提供できる。
【0015】
ボディ21は、それ自体、水(淡水及び海水を含む)に浮く部材であることが好ましい。
ボディ21の比重は、例えば、1未満であり、好ましくは0.9以下であり、より好ましくは0.8以下であり、特に好ましくは0.6以下である。
【0016】
前記ボディ21は、非磁性材料で形成されている。
ここで、本明細書において、非磁性材料は、それ自身磁性を帯びておらず且つ磁石を近づけても磁性を帯びない材料をいう。換言すると、非磁性材料は、磁石に付かない材料である。磁性材料は、磁石を近づけると磁性を帯びる性質を有する材料(つまり、磁石に付く材料)をいう。磁石は、外部から磁場や電流の供給を受けずに磁界を有する部材(磁性材料を引き付ける性質を有する部材)をいう。なお、前記磁性材料は、磁石を含まない。
前記非磁性材料は、特に限定されないが、例えば、硬質合成樹脂、軟質合成樹脂、発泡合成樹脂、木、実質的に磁性を帯びない金属、このような金属を含む合金、このような金属を含む化合物、及びこれらの素材を2種以上組み合わせた複合材料などが挙げられる。前記実質的に磁性を帯びない金属としては、例えば、鉛、タングステンなどが挙げられる。
また、前記磁性材料は、特に限定されないが、例えば、鉄、ニッケル、コバルトなどの鉄族金属、鉄族金属を含む合金、鉄族金属の酸化物、及び非磁性金属に鉄族金属などの導電性材料を混合した金属又は合金などが挙げられる。前記非磁性金属に鉄族金属などの導電性材料を混合した金属又は合金としては、例えば、タングステンなどの非磁性金属に鉄を混合した合金などが挙げられる。
また、前記磁石は、特に限定されないが、例えば、フェライト磁石、アルニコ磁石、磁石鋼、樹脂磁石、ゴム磁石などが挙げられる。
【0017】
ボディ21の形成材料は、特に限定されず、例えば、ABS樹脂などの硬質合成樹脂、ウレタンなどの軟質合成樹脂、発泡ウレタンなどの発泡合成樹脂、木、及び2以上の素材を組み合わせた複合材料などが挙げられる。これらの形成材料は、上述の通り、非磁性材料である。
なお、ボディ21は、比重が1を超える形成材料で形成されていてもよく、或いは、比重が1未満の形成材料で形成されていてもよい。
ボディ21は、中空状であってもよいし、中実状であってもよい。なお、中実状のボディ21とは、その内部に空洞部を有しないボディ21である。
好ましくは、ボディ21は、
図3乃至
図5に示すように、その内部に空洞部211を有する(つまり、中空状である)。内部に空洞部211を形成することにより、比重が1を超える形成材料(例えば、ABS樹脂など)を用いた場合でも、比重が1未満のボディ21を作製できる。中空状のボディ21は、例えば、ABS樹脂などの硬質合成樹脂で形成される。
【0018】
さらに、前記ボディ21の内部には、通路31が形成されている。前記通路31は、球状重り41が移動する空間である。前記通路31は、ボディ21の前後方向に延びて形成されている。好ましくは、通路31は、ボディ21の前後方向に直線状に延びている。
前記通路31は、ボディ21の内部に形成された下面部31Uを含む複数の面部によって囲われた空洞からなる。これらの面部は、ボディ21と同様な非磁性材料から形成されている。例えば、通路31を構成する面部の数は、特に限定されず、例えば、3つ〜8つであり、好ましくは、4つ〜6つである。
具体的には、通路31は、ボディ21の前後方向に延びる下面部31Uと、前記下面部31Uに対向して形成され且つボディ21の前後方向に延びる上面部31Tと、前記下面部31Uと上面部31Tの間に形成され且つボディ21の前後方向に延びる左面部31Lと、前記左面部31Lに対向して形成され且つボディ21の前後方向に延びる右面部31Rと、から形成されている。この通路31は、4つの面部31U,31T,31L,31Rから構成されている。つまり、図示例の通路31は、前記4つの面部で囲われた空間である。
下面部31U及び上面部31Tは、例えば、全体的に平坦な面からなる。左面部31L及び右面部31Rは、内側に突出した長状突起311の頂面からなる。前記長状突起の頂面は、平坦な面を有する円弧面からなる。このような長状突起は、一般にレールとも呼ばれている。なお、特に図示しないが、下面部31U及び上面部31Tの少なくとも一方が、長状突起の頂面から構成されていてもよく、或いは、左面部31L及び右面部31Rの少なくとも一方が、平坦な面から構成されていてもよい。
通路31内に収容された球状重り41は、主として下面部31Uに接しながら転動し、通路31の前後方向に移動可能である。
これら各面部は、通常、ボディ21と一体的に成形される。つまり、各面部とボディ21は、同一の材料から形成される。もっとも、ボディ21とは別個独立に各面部を成形し、この各面部をボディ21の内部に接合することによって、上記通路31を形成してもよい。
【0019】
前記ボディ21は、通常、複数の成形品を接合することによって作製される。例えば、ボディ21は、
図11に示すように、左右対称の一対の半割成形品219,219を接合することによって形成されている。このような一対の半割成形品219,219を接合して得られるボディ21は、その内部に空洞部211及び通路31を容易に形成できるので好ましい。
【0020】
また、通路31の後方には、クッション部91が設けられている。クッション部91は、球状重り41が通路31の後側に移動した際に、球状重り41の追突衝撃を緩和する部材である。かかるクッション部91が設けられていることにより、球状重り41がボディ21に直接的に衝突せず、衝撃音を緩和でき且つボディ21の破損を防止できる。
クッション部91は、通路31の後方に固定されている。クッション部91としては、例えば、管状のゴム材などを用いることができる。
なお、ボディ21の前側の外部には、ラインを締結するための環状のライン連結部92が突出されている。ボディ21の後側の外部には、釣り針95を係止するための環状の釣り針連結部93が突出されている。ボディ21の下側の外部にも、同様の環状の釣り針連結部94が突出されている。フック状の釣り針95(例えばトレブルフックなど)が、前記釣り針連結部93,94にそれぞれ係止されている。
また、特に図示しないが、ボディ21の前下側などに、公知の水流抵抗板を設けてもよい。また、特に図示しないが、ボディ21の外部に、鰭(ヒレ)のように揺れ動く部材を設けてもよい。
【0021】
<付着部について>
付着部51は、通路31の一部分に設けられ、好ましくは、通路31の前側に設けられている。詳しくは、付着部51は、図示のように、通路31の前端部に設けられている。
前記付着部51は、球状重り41を引き寄せ、通路31の前側に複数の球状重り41を保持する部材である。
球状重り41が磁性材料から形成されている本実施形態においては、付着部51は、磁石(永久磁石)から形成されている。付着部51は、樹脂磁石又はゴム磁石などで形成されていてもよい。前記樹脂磁石は、金属などが混合された樹脂を成形することにより得られる磁石であり、前記ゴム磁石は、金属などが混合されたゴムを成形することにより得られる磁石である。前記付着部51がゴム磁石からなる場合、付着部51に球状重り41が当たったときの衝撃及び衝撃音を緩和できる。
付着部51の形状は、特に限定されず、例えば、その形状としては、図示のような円柱状などの柱状、特に図示しないが、所定厚みの板状などが挙げられる。
図3及び
図5に示すように、ボディ21の内部であって通路31の前方部には、付着部51を収納するためのケース部212が形成されている。このケース部212に付着部51を嵌め入れることにより、付着部51がボディ21に固定されている。
ケース部212には、付着部51の一部分を露出させるために、開口部213が形成されている。ケース部212に嵌め入れられた付着部51の一部分は、前記開口部213を介して、通路31側に露出されている。
【0022】
<保持部材及び球状重りについて>
図6乃至
図10にも示すように、複数の球状重り41は、それぞれ略球状を成している。本明細書において、球状重り41の立体形状は、真球状のほか、前後方向に転動できる樽状などの楕円球状などを含む。図示例の球状重り41は、真球状である。
球状重り41は、磁性材料から形成され、好ましくは比重の大きい磁性材料から形成される。球状重り41の比重は、ボディ21に比して十分に大きければ特に限定されないが、好ましくは6以上であり、より好ましくは7以上である。
球状重り41を形成する磁性材料としては、上述のようなものが挙げられる。特に、鉄族金属、鉄族金属を含む合金、及び、非磁性金属に鉄族金属などの導電性材料を混合した金属又は合金(鉛やタングステンに鉄を混合した合金など)は、通常、比重が6以上であり且つ強磁性を有するので、球状重り41の形成材料として好ましい。例えば、球状重り41は、鋼球からなる。
球状重り41の直径は、特に限定されず、ボディ21の大きさに応じて適宜設定される。球状重り41の直径は、例えば、2mm〜15mm程度であり、好ましくは、3mm〜10mm程度である。
【0023】
通路31内に収容される球状重り41の数は、複数(2つ以上)であれば特に限定されないが、例えば、2つ〜6つであり、好ましくは、2つ〜5つであり、より好ましくは、2つ〜4つである。
図示例では、3つの球状重り41を収容した場合を例示している。複数の球状重り41は、同じ材料で形成されていてもよく、或いは、それぞれ独立して、異なる材料で形成されていてもよい。複数の球状重り41は、同形同大でもよく、或いは、それぞれ独立して直径が異なる球体であってもよい。好ましくは、最も前側の球状重り411と最も後側の球状重り413は、同形同大であり、より好ましくは、図示例のように、全ての球状重り41は、同形同大である。
【0024】
各球状重り41は、保持部材61に保持された状態で、通路31内に収容されている。各球状重り41は、通路31の前後方向に1列に並んで通路31内に収容されている。複数の球状重り41は、保持部材61に保持された状態で通路31内を前後方向に移動可能である。つまり、一体化重り71は、通路31内に収容され、その通路31内を前後方向に移動可能である。
保持部材61は、独立した複数の球状重り41を一纏めに保持する。
保持部材61は、磁性材料で形成されていてもよく、或いは、非磁性材料で形成されていてもよい。保持部材61を形成する磁性材料としては、上記球状重りで例示したようなものが挙げられる。好ましくは、保持部材61は、非磁性材料で形成される。保持部材61を形成する非磁性材料としては、上記説明したようなもの、例えば、合成樹脂、発泡樹脂、実質的に磁性を帯びない金属、複合材料などが挙げられる。例えば、保持部材61を実質的に磁性を帯びない金属(例えば、鉛、タングステンなど)で形成することにより、一体化重り(球状重り41と保持部材61)の重量が大きくなるので好ましい。
一方、合成樹脂は成形容易なので、非磁性材料として硬質合成樹脂を用いることにより、保持部材61を容易に作製できる。硬質合成樹脂としては、上述したABS樹脂のほか、ポリプロピレンなどのオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。
【0025】
保持部材61は、最も前側に位置する球状重り411と最も後側に位置する球状重り413がそれぞれ独立して前記通路31の下面部31Uに点接触して回転するように、複数の球状重り41を保持している。
図示例では、全ての球状重り41がそれぞれ独立して前記通路31の下面部31Uに点接触して回転するように、保持部材61が複数の球状重り41を保持している。
【0026】
ここで、最も前側に位置する球状重り411は、複数の球状重り41が通路31内に収容された状態において、最も前側に位置する球状重り41をいい、最も後側に位置する球状重り413は、複数の球状重り41が通路31内に収容された状態において、最も後側に位置する球状重り41をいう。
図3に示すように、3つの球状重り41が通路31に収容される場合には、紙面左側の球状重り41が最も前側に位置する球状重り411であり、紙面右側の球状重り41が最も後側に位置する球状重り413であり、真ん中の球状重り41が中間に位置する球状重り412である。
なお、特に図示しないが、4つ以上の球状重り41が通路31に収容される場合には、中間に位置する球状重りは、2つ以上存在するようになる。また、2つの球状重り41が通路31に収容される場合には、中間に位置する球状重りは存在せず、最も前側に位置する球状重りと最も後側に位置する球状重りのみからなる。
以下、最も前側に位置する球状重り411を「最前の球状重り」、最も後側に位置する球状重り413を「最後の球状重り」、中間に位置する球状重り412を「中間の球状重り」と記す場合がある。
【0027】
具体的には、保持部材61は、最前の球状重り411の前端部411F、下端部411U、上端部411T、左端部411L及び右端部411Rを露出させた状態で、最前の球状重り411を保持している。また、保持部材61は、最後の球状重り413の後端部413B、下端部413U、上端部413T、左端部413L及び右端部413Rを露出させた状態で、最後の球状重り413を保持している。さらに、保持部材61は、中間の球状重り412の下端部412U、上端部412T、左端部412L及び右端部412Rを露出させた状態で、中間の球状重り412を保持している。
換言すると、最前の球状重り411の前端部411F、下端部411U、上端部411T、左端部411L及び右端部411Rは、保持部材61の前外面61F、下外面61U、上外面61T、左外面61L及び右外面61Rよりも外側に位置している。また、最後の球状重り413の後端部413B、下端部413U、上端部413T、左端部413L及び右端部413Rは、保持部材61の後外面61B、下外面61U、上外面61T、左外面61L及び右外面61Rよりも外側に位置している。中間の球状重り412の下端部412U、上端部412T、左端部412L及び右端部412Rは、保持部材61の下外面61U、上外面61T、左外面61L及び右外面61Rよりも外側に位置している。従って、全ての球状重り41の下端部、上端部、左端部及び右端部は、保持部材61の下外面61U、上外面61T、左外面61L及び右外面61Rよりも外側に位置している。
なお、球状重り41の前端部、後端部、下端部、上端部、左端部及び右端部は、球状重り41の表面と直交する3つの直線(X軸、Y軸、Z軸)との交点である。前記3つの直線(X軸、Y軸、Z軸)は、観念上、球体の中心を通り且つその中心で互いに直交する3つの直線をいう。
【0028】
保持部材61は、略立方体の内部に球状重り41を回転自在に収容する空洞が形成された立方格子部を有し、球状重り41の数と同数の前記立方格子部が連なって構成されている。前記空洞は、立方格子部の内面611で囲われた空間である。球状重り41は、その内面611に僅かな隙間を有した状態で前記空洞内に収容されている。なお、保持部材61は、図示例のように、2つ(複数)の部品から構成されていてもよく、或いは、1つの部品から構成されていてもよい。
各立方格子部の左右方向の長さ及び上下方向の長さは、それぞれ球状重り41の直径よりも小さい。また、中間の球状重り412を収容する立方格子部の前後方向の長さは、その球状重り41の直径よりも若干大きい。最前の球状重り411、中間の球状重り412及び最後の球状重り413は、互いに僅かな隙間を有した状態で保持部材61の各立方格子部内に収容されている。つまり、保持部材61は、隣接する球状重り41が互いに離れる程度に隙間を有した状態で、各球状重り41を保持している。
従って、保持部材61に保持された各球状重り41は、保持部材61内でそれぞれ独立して回転可能である。
【0029】
上記一体化重り71を通路31に収容することにより、ルアー11が構成される。
各球状重り41の下端部は保持部材61から露出されているので、通路31に入れられた一体化重り71は、その下端部が通路31の下面部31Uに点接触する。一体化重り71は、各球状重り41の下端部が通路31の下面部31Uに接しながら回転し、通路31の前後方向に移動可能である。本実施形態では、最前の球状重り411の下端部411U、中間の球状重り412の下端部412U及び最後の球状重り413の下端部413Uが、通路31の下面部31Uに点接触し、それらの球状重り411,412,413がそれぞれ下面部31Uに沿って回転しながら転動する。
【0030】
また、各球状重り41の上端部は保持部材61から露出されているので、通路31に入れられた一体化重り71は、その上端部が通路31の上面部31Tに点接触する。従って、一体化重り71は、各球状重り41の上端部が通路31の上面部31Tに接しながら回転し、通路31の前後方向に移動可能である。本実施形態では、最前の球状重り411の上端部411T、中間の球状重り412の上端部412T及び最後の球状重り413の上端部413Tが、通路31の上面部31Tに点接触し、それらの球状重り411,412,413がそれぞれ上面部31Tに沿って回転しながら転動可能である。
【0031】
さらに、各球状重り41の左端部及び右端部は保持部材61から露出されているので、通路31に入れられた一体化重り71は、その左端部及び右端部が通路31の左面部31L及び右面部31Rに点接触する。従って、一体化重り71は、各球状重り41の左端部及び/又は右端部が通路31の左面部31L及び/又は右面部31Rに接しながら回転し、通路31の前後方向に移動可能である。本実施形態では、最前の球状重り411の左端部411L、中間の球状重り412の左端部412L及び最後の球状重り413の左端部413Lが、通路31の左面部31Lに点接触し、それらの球状重り411,412,413がそれぞれ左面部31Lに沿って回転しながら転動可能である。また、最前の球状重り411の右端部411R、中間の球状重り412の右端部412R及び最後の球状重り413の右端部413Rが、通路31の右面部31Rに点接触し、それらの球状重り411,412,413がそれぞれ右面部31Rに沿って回転しながら転動可能である。
【0032】
最前の球状重り411の前端部411Fは保持部材61から露出されているので、通路31に入れられた一体化重り71は、その前端部411Fが付着部51に付着する。さらに、最後の球状重り413の後端部413Bは保持部材61から露出されているので、通路31に入れられた一体化重り71は、その後端部413Bがクッション部91に接触する。
【0033】
図11は、本発明のルアー11を分解した斜視図である。
図11において、符号219は、ボディ21を構成する一対の半割成形品を示し、符号619は、保持部材61を構成する部品である一対の半割成形品を示す。
複数の球状重り41を挟むようにして、一対の半割成形品619を、接着剤などを用いて接合することにより、
図6乃至
図10に示すような一体化重り71を得ることができる。
また、一体化重り71、クッション部91、ライン連結部92及び釣り針連結部93を挟むようにして、一対の半割成形品219を接合することにより、
図1乃至
図5に示すようなルアー11を得ることができる。
【0034】
<ルアーの使用例について>
上記ルアー11は、ライン連結部92にライン96を結んで使用される。ルアー11を投げたときには、慣性によって球状重り41が通路31の後側に移動する。本発明のルアー11は、複数の球状重り41が保持部材61に一纏めに保持されているので、全ての球状重り41(一体化重り71)が付着部51から離れて後側へと確実に移動する(
図12参照)。後側に移動した一体化重り71は、最後の球状重り413の後端部413Bがクッション部91に接する。
全ての球状重り41が一纏めになって通路31の後側に移動するので、ルアー11が安定的に飛行し、ルアー11の後方部を先頭にしてルアー11を遠くに飛ばすことができる。さらに、このように球状重り41が一纏めになって通路31の後側に保たれたルアーは、好ましい姿勢で着水するようになる。
【0035】
一方、ルアー11が水中に入った後には、各球状重り41がボディ21の前側に移動する。複数の球状重り41が保持部材61に一纏めに保持されているので、全ての球状重り41(一体化重り71)がクッション部91から離れて前側へと確実に移動する。移動した一体化重り71は、磁力によって、最前の球状重り411が付着部51に付着して保持される(
図13参照)。
全ての球状重り41が付着部51に保持されることによって、ルアー11の重心が前方寄りとなる。この状態のルアー11を引っ張ると、後方部を左右に揺れながらルアー11が遊泳する。
【0036】
ルアーの着水後、通常、釣り人は釣り竿を操ってルアーに不規則な動きを付与する。特許文献1に記載のような、球状重りが別個独立して通路に収容されているルアーにあっては、前記のようにルアーが不規則に動いた際に、後側の球状重りが離れるおそれがある。
この点、本発明のルアー11は、各球状重り41が保持部材61に保持されており、球状重り41がばらばらに移動することなく、全ての球状重り41が一体的に移動する。このため、一部の球状重りが単独で後側又は前側に移動することがなく、遠投時には全ての球状重りが通路31の後側に保持され、遊泳時には全ての球状重りが通路31の前側に保持される。
さらに、保持部材61に保持された各球状重り41の下端部411U,412U,413Uが通路31の下面部31Uに接触しながら、各球状重り41が回転するので、一体化重り71が通路31内をスムースに移動する。また、各球状重り41と通路31の下面部31Uとの接触面積が極めて小さいので(各球状重り41の下端部411U,412U,413Uが下面部31Uに点接触して球状重り41が回転するので)、一体化重り71の移動時に大きな音を生じることもない。
特許文献2に記載のような、保持板の長辺部を通路の下溝に挿入して保持板を移動させる構造のルアーでは、保持板と下溝を構成する両壁部との抵抗が大きく、スムースに動かず且つ大きな音が生じ得る。
本発明によれば、球状重り41が通路31の下面部31Uに点接触して回転するので、一体化重り71の移動時の抵抗が小さい。
さらに、本発明のルアー11は、特許文献2のルアーのように、通路内に下溝や上溝を形成する必要性がない。このため、比較的小さなボディ21でも上記効果を奏するルアー11を提供できる。
加えて、本発明のルアー11は、各球状重り41が移動時に左右方向にぶれ難く、安定的に移動する。
【0037】
また、本実施形態のように、少なくとも最前の球状重り411及び最後の球状重り413の上端部411T,413Tが保持部材61から露出されている場合には、これらの球状重り41が通路31の上面部31Tに接触しながら回転し得る。このため、
図14に示すように、ルアー11を投げたとき又はルアー11が着水したとき、ルアー11の上側が地球側に向いている状態でも、少なくとも最前の球状重り411及び最後の球状重り413の上端部411T,413Tが通路31に上面部31Tに接触して回転する。従って、ルアー11の上側が地球側に向いている状態でも、一体化重り71が通路31内をスムースに移動する。
さらに、本実施形態のように、少なくとも最前の球状重り411及び最後の球状重り413の左端部411L,413L及び右端部411R,413Rが保持部材61から露出されている場合には、これらの球状重り41が通路31の左面部31L及び右面部31Rに接触しながら回転し得る。このため、
図15に示すように、ルアー11を投げたとき又はルアー11が着水したとき、ルアー11の左側が地球側に向いている状態でも、少なくとも最前の球状重り411及び最後の球状重り413の左端部411L,413Lが通路31に左面部31Lに接触して回転する。従って、ルアー11の左側が地球側に向いている状態でも、一体化重り71が通路31内をスムースに移動する。同様に、ルアー11の右側が地球側に向いている状態でも(図示せず)、一体化重り71が通路31内をスムースに移動する。
【0038】
本発明のルアーは、上記第1実施形態に示したような構造に限られず、様々な構造に変更できる。以下、上記第1実施形態と異なる構成を主として説明し、上記第1実施形態と同様の構成については、その説明を省略し、用語を援用する場合がある。
【0039】
[第2実施形態]
図16及び
図17に示すように、保持部材62が、前後方向に複数に分割可能な分割式であってもよい。
具体的には、
図16に示すように、保持部材62は、前後方向に連結可能な複数(図示例では3つ)の分割体621,622,623から構成されている。この分割体621,622,623は、それぞれ、その内部に1つの球状重り42を回転可能に保持している。また、球状重り42の前端部42F、上端部42T及び下端部42Uを露出させた状態で、球状重り42は、それぞれ分割体621,622,623に保持されている。各分割体621,622,623の後方部には、差し込み用の凸部624が形成され、且つ、各分割体621,622,623の前方部には、凹部625が形成されている。
球状重り42を保持した複数の分割体621,622,623について、凸部624を凹部625に差し込み、接着剤などで固定することにより、複数の球状重り42を一纏めに保持する保持部材62が構成される(
図17参照)。
第2実施形態の保持部材62は、球状重り42を保持した分割体621,622,623を連結することによって構成される。このため、球状重り42の保持数を容易に設定できる。例えば、2つの球状重り42を保持した保持部材62を形成したい場合には、分割体621,622,623を2つ連結すればよく、或いは、4つの球状重り42を保持した保持部材62を形成したい場合には、分割体621,622,623を4つ連結すればよい。よって、一体化重り72の球状重り42の数を容易に設定できる。
なお、球状重り42の後端部が露出するように分割体621,622,623が形成されていてもよい(図示せず)。
第2実施形態の一体化重り72(保持部材62とそれに保持された複数の球状重り42)も、第1実施形態と同様に、複数の球状重り42が前後方向に並ぶようにして、通路内に収容される。
第2実施形態のルアーも、一体化重り72がスムースに通路内を移動するなどの第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0040】
[第3実施形態]
図18乃至
図21に示すように、保持部材63は、内部に球状重り43を回転自在に収容する空洞が形成された枠体部を有する。保持部材63は、複数の球状重り43(図示例では、2つの球状重り43)を収容可能である。保持部材63の下方には、
図19に示すように、球状重り43の直径よりも僅かに大きい開口631が形成されている。この開口631から保持部材63内に球状重り43を出し入れできる。保持部材63は、最前の球状重り431の前端部431F、下端部431U、上端部431T、左端部431L及び右端部431Rを露出させた状態で、最前の球状重り431を保持している。保持部材63は、最後の球状重り433の後端部433B、下端部433U、上端部433T、左端部433L及び右端部433Rを露出させた状態で、最後の球状重り433を保持している。換言すると、最前の球状重り431の前端部431F、下端部431U、上端部431T、左端部431L及び右端部431Rは、保持部材63の前外面63F、下外面63U、上外面63T、左外面63L及び右外面63Rよりも外側に位置している。また、最後の球状重り433の後端部433B、下端部433U、上端部433T、左端部433L及び右端部433Rは、保持部材63の後外面63B、下外面63U、上外面63T、左外面63L及び右外面63Rよりも外側に位置している。
ただし、保持部材63の下方に球状重り43の直径よりも大きい開口631を形成するため、保持部材63の下前枠632、下後枠633、下左枠634及び下右枠635は、前後左右にそれぞれ外側へ少し膨らんでいる。
【0041】
第3実施形態の一体化重り73(保持部材63とそれに保持された複数の球状重り43)も、第1実施形態と同様に、複数の球状重り43が前後方向に並ぶようにして、通路31内に収容される。ただし、一体化重り73が付着部51に付着する際に保持部材63の下枠が邪魔をしないように、ケース部212には、保持部材63の下前枠632が収まる開口215が形成されている(
図22参照)。
第3実施形態のルアー13も、一体化重り73がスムースに通路31内を移動するなどの第1実施形態と同様の効果を奏する。
第3実施形態の保持部材63は、球状重り43の出し入れを容易に行える。
【0042】
[第4実施形態]
上記各実施形態の一体化重りは、各球状重りの左端部及び右端部が保持部材から露出されているが、例えば、
図24及び
図25に示すように、一体化重り74は、各球状重り44の左端部442L及び右端部442Rが保持部材64の左外面64L及び右外面64Rで覆われていてもよい。この図示例では、最前の球状重り441の前端部441F、下端部441U及び上端部441Tは、保持部材64の前外面64F、下外面64U及び上外面64Tから露出され、最後の球状重り443の後端部443B、下端部443U及び上端部443Tは、保持部材64の後外面64B、下外面64U及び上外面64Tから露出され、中間の球状重り442の下端部442U及び上端部442Tは、保持部材64の下外面64U及び上外面64Tから露出されている。
【0043】
さらに、
図26及び
図27に示すように、一体化重り74は、各球状重り44の上端部441T,442T,443Tが保持部材64の上外面64Tで覆われていてもよい。この図示例では、最前の球状重り441の前端部441F、下端部441U、左端部及び右端部は、保持部材64から露出され、最後の球状重り443の後端部443B、下端部443U、左端部及び右端部は、保持部材64から露出され、中間の球状重り442の下端部442U、左端部442L及び右端部442Rは、保持部材64から露出されている。
【0044】
また、
図28及び
図29に示すように、一体化重り74は、中間の球状重り442の周囲全体が保持部材64で覆われていてもよい。この図示例では、最前の球状重り441の前端部441F、下端部441U、上端部441T、左端部441L及び右端部441Rは、保持部材64の前外面64F、下外面64U、上外面64T、左外面64L及び右外面64Rよりも外側に位置している。また、最後の球状重り443の後端部443B、下端部443U、上端部443T、左端部443L及び右端部443Rは、保持部材64の後外面64B、下外面64U、上外面64T、左外面64L及び右外面64Rよりも外側に位置している。中間の球状重り442の下端部442U、上端部442T、左端部442L及び右端部442Rは、保持部材64の下外面64U、上外面64T、左外面64L及び右外面64Rよりも内側に位置している。従って、中間の球状重り442は、保持部材64で覆われており、外部に露出していない。この場合、中間の球状重り442の直径は、最前の球状重り441及び最後の球状重り443の直径よりも少し小さい。
このように最前の球状重り441及び最後の球状重り443の下端部441U,443Uが露出されて通路31の下面部31Uに接触していることにより、一体化重り74は、前後方向に良好に移動する。つまり、このような最前の球状重り441及び最後の球状重り443を有していれば、中間の球状重り442は、一体化重り74の走行に寄与しないので、中間の球状重り442の全体を保持部材64で覆ってもよい。さらに、中間の球状重り442に代えて、例えば、転動しない形状の重り(略立方体状の重りや歪んだ形状の重りなど)を最前の球状重り441と最後の球状重り443の間に設けてもよい。このような転動しない形状の重りは、その形状の精度が要求されないので、簡易に製造できる。
【0045】
従って、本発明のルアーは、少なくとも最前の球状重りの下端部及び最後の球状重りの下端部が保持部材から露出され且つ通路の下面部に点接触していることにより、一体化重りは、スムースに前後方向に移動する。
好ましくは、最前の球状重りの下端部が保持部材から露出され且つ最前の球状重りの上端部、左端部及び右端部から選ばれる少なくとも1つの端部が保持部材から露出され、さらに、最後の球状重りの下端部が保持部材から露出され且つ最後の球状重りの上端部、左端部及び右端部から選ばれる少なくとも1つの端部が保持部材から露出される。
より好ましくは、最前の球状重りの下端部及び上端部並びに最後の球状重りの下端部及び上端部が保持部材から露出され、さらに好ましくは、上記第1実施形態のように、最前の球状重りの下端部、上端部、左端部及び右端部並びに最後の球状重りの下端部、上端部、左端部及び右端部が保持部材からされる。なお、中間の球状重りについては、その下端部、上端部、左端部及び右端部から選ばれる少なくとも1つが保持部材から露出される、又は、全ての端部が保持部材に覆われる。
【0046】
[第5実施形態]
上記各実施形態では、ボディ21のケース部212に開口部213が形成され、この開口部213から付着部51の後面部が露出されているが、これに限定されない。例えば、
図30に示すように、付着部51を覆う仕切り壁216がケース部212に設けられていてもよい。このような仕切り壁216が設けられている場合でも、磁力が仕切り壁216を通過するので、最前の球状重り451が磁力を介して付着部51に付着し、一体化重り75が付着部51に保持される。なお、仕切り壁216は、付着部51と最前の球状重り451との間に磁力が作用する程度の厚みに形成される。
また、上記各実施形態では、最前の球状重りの前端部が保持部材から露出されているが、例えば、
図31に示すように、一体化重り751は、最前の球状重り451の前端部451Fが保持部材65で覆われていてもよい。磁力は保持部材65を通過するので、最前の球状重り451の前端部451Fが保持部材65で覆われていても、最前の球状重り451が磁力を介して付着部51に付着し、一体化重り75が付着部51に保持される。
さらに、
図31に示すように、一体化重り751は、最後の球状重り453の後端部453Bが保持部材65で覆われていてもよい。この場合、一体化重り751が後側に移動した際に、保持部材65の後外面65Bがクッション部91に当接することになる。もっとも、保持部材65が破損し難くなることから、上記各実施形態のように、最後の球状重りの後端部が露出されていることが好ましい。
【0047】
[第6実施形態]
また、
図32に示すように、保持部材66の内面661に小突起662が形成されていてもよい。小突起662は、各球状重り46を支えるように、内側に突設されている。かかる一体化重り76においては、各球状重り46と保持部材66との接触面積が可及的に小さくなり、各球状重り46が極めて円滑に回転するようになるので好ましい。
【0048】
[第7実施形態]
上記各実施形態において、保持部材が部分的に揺動可能に構成されていてもよい。
図33は、揺動可能な保持部材671に球状重り47が保持されている第1例の一体化重り771を示し、
図34は、保持部材671を分割した状態を示している。
図33に示すように、保持部材671は、前後方向に並べられ且つ互いに揺動するように連結された複数(図示例では、2つ)の分割体6711,6712から構成されている。この分割体6711,6712は、それぞれ、その内部に1つの球状重り47を回転可能に保持している。また、最前の球状重り471は、その前端部、左端部、右端部、上端部及び下端部を露出させた状態で、最後の球状重り473は、その後端部、左端部、右端部、上端部及び下端部を露出させた状態で、それぞれ分割体6711,6712に保持されている。分割体6711,6712は、ヒンジ部6713を介して連結されている。分割体6711,6712は、例えば、合成樹脂成形品によって形成され、前記ヒンジ部6713は、その樹脂成形品の薄肉部からなる。このような分割体6711,6712は、例えば、
図34に示すように、上下分割式の樹脂成形部品a,bを接合することによって得られる。
この保持部材671は、ヒンジ部6713において揺動する。つまり、分割体6711に対して分割体6712が上下方向に揺動し、分割体6712に対して分割体6711が上下方向に揺動する(揺動を
図33の矢印で示している)。
【0049】
また、
図33では、ヒンジ部が樹脂成形品の薄肉部で構成されているが、例えば、
図35に示すように、ヒンジ部が凹凸嵌合部で構成されていてもよい。
図35は、第2例の一体化重り772を示し、
図36は、保持部材672を分割した状態を示している。
図35に示すように、保持部材672は、前後方向に並べられ且つ互いに揺動するように連結された複数(図示例では、2つ)の分割体6721,6722から構成されている。この分割体6721,6722の内部には、上記と同様に、それぞれ球状重り47が回転可能に保持されている。前側の分割体6721には、左右方向に延びる長状突起6725が形成され、後側の分割体6722には、左右方向に延びる長状凹部6726が形成されている。この長状突起6725と長状凹部6726を嵌合することにより、ヒンジ部6723が構成されている。この保持部材672も、ヒンジ部6723において揺動する。つまり、
図33と同様に、分割体6721に対して分割体6722が上下方向に揺動し、分割体6722に対して分割体6721が上下方向に揺動する。
【0050】
また、
図33及び
図35では、分割体が上下方向に揺動する場合を例示したが、分割体が左右方向に揺動するようにヒンジ部を形成してもよい(図示せず)。
さらに、
図37に示すように、保持部材673の分割体6731,6732が全方向(全方位)に揺動するように構成されていてもよい。
図37は、第3例の一体化重り773を示し、
図38は、保持部材673を分割した状態を示している。
図37に示すように、保持部材673は、前後方向に並べられ且つ互いに揺動するように連結された複数(図示例では、2つ)の分割体6731,6732から構成されている。この分割体6731,6732の内部には、上記と同様に、それぞれ球状重り47が回転可能に保持されている。前側の分割6731には、端部に肥大部を有し且つ後方に突出された棒状突起6735が形成され、後側の分割体6732には、内部に前記肥大部を抜け出し不能に保持する凹部6736が形成されている。この棒状突起6735の肥大部を凹部6736に嵌合することにより、全方向に揺動するヒンジ部6733が構成されている。この保持部材673は、ヒンジ部6733において揺動する。つまり、分割体6731に対して分割体6732が上下方向及び左右方向を含む全方向に揺動し、分割体6732に対して分割体6731が上下方向及び左右方向を含む全方向に揺動する。
【0051】
本実施形態のように、揺動する保持部材671を有する一体化重り771は、直線状に真っ直ぐ延びる通路だけでなく、
図39に示すように、上下に湾曲した通路39に収容しても、良好に前後方向に移動する。つまり、
図39に示すように、通路39の湾曲部分で保持部材671がヒンジ部6713にて適宜曲がるので、一体化重り771が支障なく転動する。なお、
図39では、第1例の一体化重り771を収容したルアー17を示しているが、第2例の一体化重り772又は第3例の一体化重り773を収容した場合についても同様に良好に移動する。特に、全方向に揺動する第3例の一体化重り773においては、左右に湾曲した通路に収容しても(図示せず)、良好に前後方向に移動する。
【0052】
[第8実施形態]
上記第1実施形態などの保持部材61は、一対の半割成形品などの複数の部品を接着剤などで接合することによって構成されているが、接着剤などで接合する方式に限られない。
例えば、複数の部品を互いに嵌合させる、或いは、係止させるなどのように、複数の部品の構造的な結合によって、保持部材が構成されていてもよい。
例えば、
図40及び
図41は、互いに係止可能な複数の部品からなる保持部材68を示す。図示例の保持部材68は、上下一対の成形品681,682(2つの部品)からなる。1つの成形品681(図示例では、下方の成形品)には、爪部681aを有する係止部681bが設けられており、もう1つの成形品682(図示例では、上方の成形品)には、前記爪部681aが嵌合する穴部682aを有する被係止部682bが設けられている。
図40に示すように、成形品681,682の間に複数の球状重り48(例えば、2つの球状重り481,483)を介在させ、成形品681の爪部681aを成形品682の穴部682aに嵌め入れて係止させる。このようにして、上記各実施形態と同様に、保持部材68とその保持部材68に保持された複数の球状重り48とを有する一体化重り78が得られる。かかる保持部材68は、接着剤などを用いることなく、複数の部品(例えば、成形品681,682)の構造的な結合によって得られるので、作製容易である。
【0053】
[第9実施形態]
上記各実施形態では、付着部51は通路31の前側に設けられているが、付着部51の設置箇所はこれに限られず適宜変更できる。
例えば、
図42に示すように、付着部51が通路31の前側であって下面部31Uに設けられていてもよい。この場合、図示例のように、付着部51の表面が下面部31Uと面一であってもよく、特に図示しないが、付着部51の表面が下面部31Uよりも突出又は凹んでいてもよい。付着部51が下面部31Uに設けられている場合、最前の球状重り411の下端部411Uが付着部51に付着する。
その他、図示しないが、付着部は、通路31の上面部、左面部、又は右面部に設けられていてもよい。
【0054】
[第10実施形態]
上記各実施形態では、全ての球状重りが、磁性材料から形成されているが、少なくとも最前の球状重りが磁性材料から形成されていれば、最前の球状重り以外の球状重りは、その一部又は全部が非磁性材料で形成されていてもよい。
さらに、上記各実施形態では、付着部が磁石から形成され且つ最前の球状重りが磁性材料から形成されているが、付着部が磁性材料から形成され且つ最前の球状重りが磁石から形成されていてもよい(ただし、この場合、保持部材は、非磁性材料で形成される)。この場合でも、磁力を介して、最前の球状重りが付着部に付着する。なお、最前の球状重りが磁石で形成される場合には、最前の球状重り以外の球状重りは、全部が非磁性材料で形成される。
【0055】
また、上記第1実施形態などで図示したように、保持部材が球状重りを3個以上保持できる場合において、例えば、中間の球状重りを保持部材に入れなくてもよい(つまり、中間の球状重りを省略してよい)。
図43に示すように、一体化重り71は、保持部材61と、保持部材61に保持された最前の球状重り411及び最後の球状重り413と、からなり、保持部材61には、最前の球状重り411と最後の球状重り413の間に空洞部618を有する。このように、最前の球状重り411と最後の球状重り413の間に空洞部618を形成することにより、重心を前後に分散させた一体化重り71を構成できる。
【0056】
その他、本発明は、上記様々な実施形態から選ばれる2以上の実施形態を適宜組み合わせてもよく、或いは、上記様々な実施形態から選ばれる1つ又は2つ以上の構成を、それ以外の実施形態に置換してもよい。