特許第6860939号(P6860939)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6860939
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】穿孔補助具
(51)【国際特許分類】
   A61C 13/34 20060101AFI20210412BHJP
【FI】
   A61C13/34 D
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-87048(P2019-87048)
(22)【出願日】2019年4月30日
(65)【公開番号】特開2020-182555(P2020-182555A)
(43)【公開日】2020年11月12日
【審査請求日】2020年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】319003345
【氏名又は名称】岡本 一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100156959
【弁理士】
【氏名又は名称】原 信海
(72)【発明者】
【氏名】岡本 一朗
【審査官】 木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】 実開平6−13811(JP,U)
【文献】 特開2014−117487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 13/34 ― 13/36
B26F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の歯の印象を写した模型部の平坦になした裏面にダウエルピンを植設すべく、穿孔機に着脱可能に固定されたドリルにて前記模型部の裏面に細孔を形成する作業を補助する穿孔補助具において、
前記ドリルを挿通させてこれを案内する筒状の案内部と、
該案内部を前記模型部の裏面に対して傾斜させた傾斜姿勢に保持する保持手段と
を備えることを特徴とする穿孔補助具。
【請求項2】
前記保持手段は、
帯板状の天井部を有する第1筐体と帯板状の底部を有する第2筐体とを互いに距離を隔てて、前記天井部の各辺と前記底部の各辺とが平行に、また底部に対して天井部が、両者の短辺間の距離が両者の一長辺縁から他長辺縁に向かうに従って漸次大きくなるように傾斜させた姿勢になるように配置してなり、
前記天井部には当該天井部の長手方向へ向かう第1長孔が開設してあり、
前記底部には当該底部の長手方向へ向かう第2長孔が前記第1長孔と対向するように開設してあり、
更に、第1長孔の長手方向へ移動可能に配設され、前記案内部を天井部と直交する姿勢で支持する支持部を具備する
請求項1記載の穿孔補助具。
【請求項3】
前記支持部は第1長孔の長手方向と直交する方向へも移動可能になしてある請求項2記載の穿孔補助具。
【請求項4】
前記第1筐体は天井部の両短辺側に側壁部をそれぞれ垂下してなり、また前記第2筐体は底部の両短辺側に側壁部をそれぞれ立設してなり、
両筐体を、互いの側壁部が摺接するように組み合わせ、対をなす側壁部それぞれの、前記第1筐体又は第2筐体の一長辺側近傍の位置に回転軸を貫通させて、第1筐体と第2筐体との前記第1筐体又は第2筐体の他長辺側の間隙が広狭可能にしてある
請求項2又は3記載の穿孔補助具。
【請求項5】
前記第1筐体の両側壁部又は第2筐体の両側壁部には、対応する回転軸回りに湾曲させた湾曲孔が開設してあり、
前記第2筐体の両側壁部又は第1筐体の両側壁部であって対応する湾曲孔に対向する適宜位置には貫通孔が開設してあり、
対をなす湾曲孔及び貫通孔にはそれぞれ、第1筐体及び第2筐体の回動姿勢を固定する固定用螺子部が挿通してある
請求項4記載の穿孔補助具。
【請求項6】
前記底部の裏面には、前記支持部に支持された案内部によって案内されるドリルの位置合わせを補助すべく帯板状の位置合わせ用補助部が固定してあり、
該位置合わせ用補助部には当該位置合わせ用補助部の長手方向へ向かう第3長孔が前記第1長孔及び第2長孔と対向するように開設してあり、また、該第3長孔と位置合わせ用補助部の長辺側の縁との間の領域に、前記第3長孔の中心軸と平行に、互いに距離を隔てて直線分状の複数の目安部が設けてある
請求項から5のいずれかに記載の穿孔補助具。
【請求項7】
前記位置合わせ用補助部は透明な素材で形成してある請求項6記載の穿孔補助具。
【請求項8】
更に、位置合わせ用補助部には、前記目安部と平行をなす定規部が前記底部から突出する様態で設けてある請求項6又は7記載の穿孔補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、義歯を作製するに当たって、ダウエルピンを植設すべく穿孔機による穿孔作業を補助する穿孔補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
義歯を製作するには、所要サイズのトレーに充填された印象材を患者の歯に圧接して、当該患者の歯の印象を採取し、印象を採取した印象材内に石膏を流入して固化させることによって当該歯の模型部を得る。この模型部の裏面であって義歯を作製する各部分に対応する位置にそれぞれ目印を付けておき、歯科用の穿孔機によって当該各目印の位置を穿削して細孔を形成し、当該各細孔内にダウエルピンの基端側をそれぞれ嵌入して固定することによって、模型部の裏面にダウエルピンをそれぞれ植設する。
【0003】
このとき、患者の歯の状態に応じた義歯を高精度に作製するには、模型部の所定位置にダウエルピンを正確に植設することが重要である。そのため、後述する特許文献1には次のような穿孔補助具が開示されている。
【0004】
図10は特許文献1に開示された穿孔補助具の使用様態を示す斜視図であり、図中、190は穿孔機の本体、200は穿孔補助具である。穿孔機はモータといった駆動部を内蔵する円筒状の本体190を有しており、該本体190は、基端に電源コードが接続され、作業者が把持する把持部191と、把持部191の先端側から縮径状に延設され、その先端にドリル195が着脱可能に固定された脚部192とから構成されている。
【0005】
一方、穿孔補助具200は、横倒L字帯板状の基部210を具備してなり、該基部210の直角に起立した側壁部215の上縁近傍には平面視がコ字状の支持部240が螺子止してある。この支持部240内には、前述した穿孔機のドリル195を案内する円筒状の案内部230が嵌合してあり、案内部230は支持部240によって側壁部215と平行な姿勢で固定支持されている。また、基部210の前記側壁部215と直交する底壁部214であって、前記案内部230に対向する部分には、案内部230によって案内されるドリル195を挿通させるための挿通窓211が開設してある。案内部230は底壁部214に対して直交する姿勢で支持されており、従ってドリル195も底壁部214に対して直交する姿勢で挿通窓211を通過するようになっている。
【0006】
かかる底壁部214上には横倒J字帯板状の保護部220が、その湾曲部225が前記側壁部215と互いに所定距離を隔てて対向するように固定してあり、保護部220の湾曲部225と基部210の側壁部215との間に前記挿通窓211が位置するようになっている。
【0007】
このような穿孔補助具200にあっては、患者の歯の印象を写した模型部Gを構成する平坦な裏面上に穿孔補助具200の基部210の底壁部214を載置するとともに、親指を保護部220の湾曲部225内に挿入した作業者は、この状態で他の指を模型部Gに掛け回して模型部G及び穿孔補助具を挟持することによって、模型部Gの裏面に穿孔補助具を固定する。一方、穿孔機の本体190にはその基端側を案内部230に貫通させたドリル195が連結固定してあり、この穿孔機の把持部191を把持した作業者は、案内部230によって鉛直方向に案内されるドリル195を降下させることによって、模型部Gの所要位置に鉛直方向の細孔を穿削する。
【0008】
これによって、作業者の親指にドリル195が接触することを防止しつつ、模型部Gの裏面の所要位置に鉛直方向の細孔を簡易高精度に形成することができる。
【0009】
このようにして模型部に形成した複数の細孔にダウエルピンをそれぞれ植設すると、模型部の裏面であってダウエルピンを植設した部分を含む所要領域に剥離剤を塗布した後、該模型部の裏面側に別の石膏を用いて土台部を延設した後、模型部の義歯を作製する各部分の両側に前記土台部に達する切り込みをそれぞれ形成することによって、模型部の義歯を作製する各部分がダウエルピンを植設された状態で土台部から分離し得るようになす。そして、模型部の義歯を作製する各部分の全周面をワックス材で被覆し、被覆した当該各部分を土台部から抜出した後、更に模型部の各部分をワックス材から抜出してワックスパターンを得る。このワックスパターンを円筒状のリングの底部を塞止する塞止部の中央に設置し、前記リングで囲繞した後、リング内に埋没用石膏を充填・硬化させた後、加熱して埋没用石膏内のワックスパターンを燃焼除去させて鋳型を形成し、この鋳型内に適宜の金属を鋳込むことによって義歯を得ていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2014−117487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、人間の歯は鉛直姿勢ではなく、鉛直方向から傾斜した傾斜姿勢であるため、患者の歯の印象が写された模型部にあっても、歯の部分は当該模型部の平坦な裏面に対して傾斜姿勢になっている。そこで、本発明者が鋭意検討した結果、かかる傾斜姿勢の歯の部分にあっては、模型部の裏面に植設するダウエルピンを当該歯の部分と同程度に傾斜させることによって、模型部の義歯を作製する各部分をダウエルピンが植設された状態で土台部から分離し易くすることができるという知見を得て本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、前述した穿孔補助具にあっては、模型部Gの裏面にダウエルピンを鉛直方向に開設するように構成してあるため、模型部の義歯を作製する各部分をダウエルピンを植設された状態で土台部から分離し難く、例えば、ブリッジの義歯を作製する場合、少なくとも相隣る3本分の部分を一度に土台部から抜出する必要があるが、それらに被覆させたワックスパターンにあって、相隣る3本の部分を互いに連結する連結部に破断が生じることがあった。
【0013】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであって、模型部の義歯を作製する各部分をダウエルピンが植設された状態で土台部から分離し易く、ブリッジの義歯を作製する場合であっても、ワックスパターンの連結部に破断が生じ難くすることができる穿孔補助具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(1)本発明に係る穿孔補助具は、患者の歯の印象を写した模型部の平坦になした裏面にダウエルピンを植設すべく、穿孔機に着脱可能に固定されたドリルにて前記模型部の裏面に細孔を形成する作業を補助する穿孔補助具において、前記ドリルを挿通させてこれを案内する筒状の案内部と、該案内部を前記模型部の裏面に対して傾斜させた傾斜姿勢に保持する保持手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の穿孔補助具にあっては、患者の歯の印象を写した模型部の平坦になした裏面にダウエルピンを植設すべく、穿孔機に着脱可能に固定されたドリルにて前記模型部の裏面に細孔を形成する作業を補助する際に、前述したドリルを挿通させてこれを案内する筒状の案内部を備えており、保持手段によって、前記案内部を模型部の裏面に対して傾斜させた傾斜姿勢に保持するように構成してある。
【0016】
これによって、模型部の裏面に細孔を、当該模型の患者の歯の部分の傾斜に応じた傾斜姿勢に穿削することができる。かかる細孔に植設したダウエルピンも同様に傾斜姿勢になすことができるため、模型部の義歯を作製する各部分をダウエルピンが植設された状態で土台部から分離し易く、ブリッジの義歯を作製する場合であっても、ワックスパターンの連結部に破断が生じ難い。
【0017】
(2)本発明に係る穿孔補助具は、前記保持手段は、帯板状の天井部を有する第1筐体と帯板状の底部を有する第2筐体とを互いに距離を隔てて、前記天井部の各辺と前記底部の各辺とが平行に、また底部に対して天井部が、両者の短辺間の距離が両者の一長辺縁から他長辺縁に向かうに従って漸次大きくなるように傾斜させた姿勢になるように配置してなり、前記天井部には当該天井部の長手方向へ向かう第1長孔が開設してあり、前記底部には当該底部の長手方向へ向かう第2長孔が前記第1長孔と対向するように開設してあり、更に、第1長孔の長手方向へ移動可能に配設され、前記案内部を天井部と直交する姿勢で支持する支持部を具備することを特徴とする。
【0018】
本発明の穿孔補助具にあっては、前述した保持手段は、帯板状の天井部を有する第1筐体と、帯板状の底部を有する第2筐体とを互いに距離を隔てて構成してある。このとき、第1筐体と第2筐体とは、第1筐体の天井部を構成する短辺及び長辺の各辺と、前記模型の裏面に当接させる第2筐体の底部を構成する短辺及び長辺の各辺とが平行になるように配置してある。そして、第1筐体と第2筐体とは、第2筐体の底部に対して第1筐体の天井部が、両者の短辺間の距離が両者の一長辺縁から他長辺縁に向かうに従って漸次大きくなるように傾斜させた姿勢になしてある。
【0019】
一方、第1筐体の天井部には当該天井部の長手方向へ向かう第1長孔が開設してあり、また、第2筐体の底部には当該底部の長手方向へ向かう第2長孔が、前記第1長孔と対向するように開設してある。前述した第1長孔内には、ドリルを案内する案内部が配してあり、この案内部は、第1長孔の長手方向へ移動可能に配設された支持部によって、天井部と直交する姿勢で支持されている。
【0020】
前述したように保持手段の第1筐体と第2筐体とは、第2筐体の底部に対して第1筐体の天井部が、両者の短辺間の距離が両者の一長辺縁から他長辺縁に向かうに従って漸次大きくなるように傾斜させた姿勢になしてあり、かかる第1筐体の第1長孔内に案内部が支持部によって、第1筐体の天井部と直交する姿勢で支持されているため、案内部も第2筐体の底部に対して傾斜姿勢に保持される。かかる状態で第2筐体の底部を模型の平坦な裏面に当接させるので、模型部の裏面に傾斜した細孔を容易・正確に穿削することができる。
【0021】
一方、本穿孔補助具を模型の裏面に、第2筐体の底部が当該裏面と対向するように配設した場合、作業者は、第1筐体の第1長孔及びこれに対抗第2筐体の第2長孔から模型の裏面表面を視認することができる。一方、案内部にて案内されるドリルは第2筐体に開設された第2長孔を通過して模型の裏面に到達する。このとき、ドリルを案内する案内部は、第1長孔の長手方向へ移動可能に配設された支持部によって支持されているため、模型の裏面の所要位置へのドリルの先端の位置合わせを容易・正確に実施することができる。
【0022】
(3)本発明に係る穿孔補助具は、前記支持部は第1長孔の長手方向と直交する方向へも移動可能になしてあることを特徴とする。
【0023】
本発明の穿孔補助具にあっては、前述した支持部は第1長孔の長手方向と直交する方向へも移動可能になしてある。例えば、天井部の第1長孔の両長辺縁に、支持部を案内する溝状部分を設けておき、該溝状部分の底部間の寸法を支持部材の寸法より大きくすることで、支持部は第1長孔の長手方向と直交する方向へも移動可能になすことができる。これによって、ドリルの先端の位置合わせを更に容易・正確に実施することができる。
【0024】
(4)本発明に係る穿孔補助具は、前記第1筐体は天井部の両短辺側に側壁部をそれぞれ垂下してなり、また前記第2筐体は底部の両短辺側に側壁部をそれぞれ立設してなり、両筐体を、互いの側壁部が摺接するように組み合わせ、対をなす側壁部それぞれの、前記第1筐体又は第2筐体の一長辺側近傍の位置に回転軸を貫通させて、第1筐体と第2筐体との前記第1筐体又は第2筐体の他長辺側の間隙が広狭可能にしてあることを特徴とする。
【0025】
本発明の穿孔補助具にあっては、前述した第1筐体は天井部の両短辺側に側壁部をそれぞれ垂下してなり、また前記第2筐体は底部の両短辺側に側壁部をそれぞれ立設してなる。即ち、第1筐体及び第2筐体は横倒コ字状をなしている。これら第1筐体及び第2筐体を、互いの側壁部が摺接するように組み合わせ、対をなす側壁部それぞれの、前記第1筐体又は第2筐体の一長辺側近傍の位置に回転軸を貫通させて、第1筐体と第2筐体との前記第1筐体又は第2筐体の他長辺側の間隙が広狭可能にしてある。これによって、第2筐体の底部に対する第1筐体の天井部及び案内部の傾斜角度を調整することができるため、当該傾斜角度を患者の歯の傾斜に略応じた角度に調整することができる。
【0026】
(5)本発明に係る穿孔補助具は、前記第1筐体の両側壁部又は第2筐体の両側壁部には、対応する回転軸回りに湾曲させた湾曲孔が開設してあり、前記第2筐体の両側壁部又は第1筐体の両側壁部であって対応する湾曲孔に対向する適宜位置には貫通孔が開設してあり、対をなす湾曲孔及び貫通孔にはそれぞれ、第1筐体及び第2筐体の回動姿勢を固定する固定用螺子部が挿通してあることを特徴とする。
【0027】
本発明の穿孔補助具にあっては、前記第1筐体の両側壁部又は第2筐体の両側壁部には、対応する回転軸回りに湾曲させた湾曲孔が開設してある。そして、第2筐体の両側壁部又は第1筐体の両側壁部であって対応する湾曲孔に対向する適宜位置には貫通孔が開設してあり、対をなす湾曲孔及び貫通孔にはそれぞれ、第1筐体及び第2筐体の回動姿勢を固定する固定用螺子部が挿通してある。かかる穿孔補助具は、固定用螺子部を緩めて、第2筐体の底部に対する第1筐体の天井部及び案内部の傾斜角度を調整した後、固定用螺子部を締め付けることによって、天井部及び案内部を当該傾斜角度に固定することができる。これによって、ドリルによる細孔の穿削作業中、案内部の傾斜にずれが発生することが防止され、細孔を正確に穿削することができる。
【0028】
(6)本発明に係る穿孔補助具は、前記底部の裏面には、前記支持部に支持された案内部によって案内されるドリルの位置合わせを補助すべく帯板状の位置合わせ用補助部が固定してあり、該位置合わせ用補助部には当該位置合わせ用補助部の長手方向へ向かう第3長孔が前記第1長孔及び第2長孔と対向するように開設してあり、また、該第3長孔と位置合わせ用補助部の長辺側の縁との間の領域に、前記第3長孔の中心軸と平行に、互いに距離を隔てて直線分状の複数の目安部が設けてあることを特徴とする。
【0029】
本発明の穿孔補助具にあっては、第2筐体の底部の裏面には、支持部に支持された案内部によって案内されるドリルの位置合わせを補助すべく帯板状の位置合わせ用補助部が固定してある。この位置合わせ用補助部には、当該位置合わせ用補助部の長手方向へ向かう第3長孔が前記第1長孔及び第2長孔と対向するように開設してあり、案内部にて案内されるドリルは第2筐体に開設された第2長孔及び位置合わせ用補助部に開設された第3長孔を通過して模型の裏面に到達する。
【0030】
この第3長孔と位置合わせ用補助部の長辺側の縁との間の領域に、第3長孔の中心軸と平行に、互いに距離を隔てて直線分状の複数の目安部が設けてある。かかる目安部としては、位置合わせ用補助部の表裏いずれかの面に線分状の溝、又は印字を設けることができる。そして、前述した模型の裏面の適宜位置に予め直線分を表記しておき、いずれかの目安部をこの直線分に併せることによって、穿孔補助具を平行移動させることができる。
【0031】
このように穿孔補助具が平行移動されるため、平行移動後に穿削した細孔の傾斜と、一つ前に穿削した細孔の傾斜とは平行になっており、模型部の義歯を作製する各部分をダウエルピンを植設された状態で土台部から分離し易く、ブリッジの義歯を作製する場合であっても、ワックスパターンの連結部に破断が生じ難い。
【0032】
(7)本発明に係る穿孔補助具は、前記位置合わせ用補助部は透明な素材で形成してあることを特徴とする。
【0033】
本発明の穿孔補助具にあっては、前記位置合わせ用補助部は、透明樹脂といった透明な素材で形成してあり、これによって、作業者の視認性が向上する。
【0034】
(8)本発明に係る穿孔補助具は、更に、位置合わせ用補助部には、前記目安部と平行をなす定規部が前記底部から突出する様態で設けてあることを特徴とする。
【0035】
本発明の穿孔補助具にあっては、位置合わせ用補助部には、前述した目安部と平行をなす定規部が第2筐体の底部から突出する様態で設けてあるため、前述した如く模型の裏面に直線分を引く際に、この定規部を使用することができる。これによって、穿孔補助具だけで、模型の複数の箇所にそれぞれ所要の細孔を容易・正確に穿削することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明に係る穿孔補助具の一例を示す斜視図である。
図2図1に示した穿孔補助具の平面図である。
図3図1に示した穿孔補助具の底面図である。
図4図2のIV−IV線による断面図である。
図5】本発明に係る穿孔補助具を用いて、患者の歯の印象を写した模型に細孔を穿削する方法を説明する説明図である。
図6】本発明に係る穿孔補助具を用いて、患者の歯の印象を写した模型に細孔を穿削する方法を説明する説明図である。
図7】本発明に係る穿孔補助具を用いて、患者の歯の印象を写した模型に細孔を穿削する方法を説明する説明図である。
図8】本発明に係る穿孔補助具を用いて、患者の歯の印象を写した模型に細孔を穿削する方法を説明する説明図である。
図9】本発明に係る穿孔補助具を用いて、患者の歯の印象を写した模型に細孔を穿削する方法を説明する説明図である。
図10】特許文献1に開示された穿孔補助具の使用様態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明に係る穿孔補助具を図面に基づいて詳述する。
なお、本実施の形態で説明する穿孔補助具は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含むことはいうまでもない。
【0038】
図1は本発明に係る穿孔補助具の一例を示す斜視図であり、図中、1及び2は、平面視が長方形の開閉式オペラグラスケース状の一対の第1筐体及び第2筐体である。また、図2及び図3は、図1に示した穿孔補助具の平面図及び底面図であり、図4図2のIV−IV線による断面図である。これらの図中、それぞれ対応する部分には同じ番号が付してある。
【0039】
本穿孔補助具を使用する場合、第1筐体1を上側に、また第2筐体2を下側に配置するようになっており、後述するように第1筐体1及び第2筐体2は、一長辺近傍に配設した回転軸6,6回りに他長辺側の間隙が広狭可能になしてある。
【0040】
第1筐体1は、長方形板状の天井部10の短辺側の両側縁に第1側壁部15,15をそれぞれ垂下してなり、天井部10の中央領域には帯状の第1長孔11が第1筐体1の長辺と平行に開設してある。両第1側壁部15,15の一側縁近傍の位置には当該第1側壁部15,15を貫通する貫通孔がそれぞれ開設してあり、両貫通孔には前述した回転軸6,6が嵌入してある。また、両第1側壁部15,15の他側縁近傍の位置にも当該第1側壁部15,15を貫通する他の貫通孔がそれぞれ開設してあり、両貫通孔には蝶螺子といった固定用螺子8,8の脚部がそれぞれ挿通してある。
【0041】
一方、前述した第1長孔11の長辺側の両縁部にはそれぞれ、例えば二重板で構成した深溝状の第2案内部(溝状部分)12,12が設けてあり、両第2案内部12,12内には、これら第2案内部12,12に亘って配された平板状の支持部3の縁部が、第1長孔11の長手方向へ摺動自在に挿入してある。また、両第2案内部12,12の最深部間の寸法は、支持部3の第2案内部12,12内に挿入させた両縁部間の寸法より大きくしてあり、これによって支持部3は、第1長孔11の長手方向と直交する方向へも移動可能になしてある。
【0042】
また、支持部3の略中央位置には後述するドリルを案内する円筒状の第1案内部5が、支持部3と直角にこれを貫通する様態で取り付けてある。第1案内部5の外寸は前述した第1長孔11の幅寸法より小さくしてあり、これによって第1案内部5は、これを支持する支持部3と共に、第1長孔11の長手方向及び第1長孔11の長手方向と直交する方向のいずれの方向へも移動し得るようになっている。ここで、第1案内部5は交換可能に構成するとよい。これによって経時的な使用によって発生するガタを回避することができる。
【0043】
前述した第2筐体2は、長方形板状の底部20の短辺側の両側縁に、前述した第1側壁部15の高さ寸法と略同じ高さ寸法になした第2側壁部25,25をそれぞれ立設してなり、該第2筐体2と第1筐体1とは、両第2側壁部25,25が第1筐体1の第1側壁部15,15の内側に摺接するように嵌合させてある。また、両第2側壁部25,25の一側縁近傍の位置にも当該第2側壁部25,25を貫通する貫通孔がそれぞれ開設してあり、両貫通孔には前述した回転軸6,6が嵌入してある。
【0044】
更に、両第2側壁部25,25の他側縁近傍の位置には当該第2側壁部25,25を貫通する湾曲孔26,26が、前記回転軸6,6を中心とする円弧上にそれぞれ開設してあり、両湾曲孔26,26に前記固定用螺子8,8の脚部が挿通させてある。
【0045】
なお、本形態では、第2筐体2と第1筐体1とは、第2筐体2の両第2側壁部25,25が第1筐体1の第1側壁部15,15の内側に摺接するように嵌合させた場合を示したが本発明はこれに限らず、第1筐体1の両第1側壁部15,15が第2筐体2の第2側壁部25,25の内側に摺接するように嵌合させてもよいことは言うまでも無い。また、第2側壁部25,25に湾曲孔26,26を設け、第1側壁部15,15の対応する位置に貫通孔を設けてあるが、第1側壁部15,15に湾曲孔をそれぞれ設け、第2側壁部25,25の対応する位置に貫通孔を設けてもよい。
【0046】
このように第1筐体1及び第2筐体2は、第1側壁部15,15及び第2側壁部25,25であって穿孔補助具の一長辺側の位置を貫通する回転軸6,6によって、回転軸6,6回りに回動可能に軸支されており、第1筐体1及び第2筐体2であって穿孔補助具の他長辺側の間隙を、第1筐体1の天井部10と第2筐体2の底部20とが平行な姿勢の状態から、湾曲孔26,26の長手方向の寸法内の任意の位置まで広くさせて、第1筐体1の天井部10が第2筐体2の底部20に対して傾斜した傾斜姿勢の状態にすることができ、適宜の傾斜姿勢の状態で固定用螺子8,8を締め付けることによって、当該傾斜姿勢を保持することができる。
【0047】
このとき、前述したように穿孔機のドリルを案内する第1案内部5は支持部3によって当該支持部3及び第1筐体1の天井部10に直交する姿勢で支持されているので、第1案内部5も第2筐体2の底部20に対して傾斜した傾斜姿勢になっている。この状態で、後述するように患者の歯の印象を写した模型の平坦になした裏面に第2筐体2を対向配置することによって、当該模型の裏面に対して第1案内部5を傾斜姿勢に保持することができる。
【0048】
ここで、第2筐体2の底部20に対する第1筐体1の天井部10及び第1案内部5の傾斜角度は、第1筐体1及び第2筐体2の他長辺側の間隙を広狭させることによって調整し得、後述する如く、患者の歯の印象を写した模型における義歯を作製する部分の傾斜姿勢と第1案内部5の傾斜姿勢とがほぼ一致するように、第1筐体1及び第2筐体2の他長辺側の間隙を調整する。なお、第1筐体1の天井部10と第2筐体2の底部20とがなす角の角度は特に限定されないが、例えば0°以上13°前後以下に開閉可能になしておくとよい。これによって、第1筐体1の天井部10と第2筐体2の底部20とがなす角が最大になるように開させることによって、第2筐体2の底部20に対する第1筐体1の天井部10及び第1案内部5の傾斜角度を最適にすることができ、当該傾斜角度の調整を容易にすることができる。
【0049】
なお、本形態では、第1側壁部15の高さ寸法と第2側壁部25の高さ寸法とを略同じになし、また湾曲孔26,26を適宜に開設することによって、第1筐体1及び第2筐体2であって穿孔補助具の他長辺側の間隙を最小にしたときに、第1筐体1の天井部10と第2筐体2の底部20とが平行な姿勢になるように構成してあるが、本発明はこれに限らず、第1側壁部15の高さ寸法及び/又は第2側壁部25の高さ寸法並びに湾曲孔26,26の長さ寸法及び開設領域を適宜調整して、第1筐体1及び第2筐体2であって穿孔補助具の他長辺側の間隙を最小にしたときに、第2筐体2の底部20に対して第1筐体1の天井部10が傾斜した姿勢になるように構成してもよい。
【0050】
ところで、第2筐体2の底部20の中央領域には、前述した第1長孔11より大きい幅寸法及び長さ寸法になした帯状の第2長孔22が第2筐体2の長辺と平行に開設してある。
【0051】
一方、第2筐体2の裏面には、底部20と略同じ寸法の透明な帯板材を用いてなり、穿孔のための位置合わせを補助する位置合わせ用補助部7が、長辺側の一縁部を第2筐体2の底部20から少し突出させた様態で固定してあり、この突出部分をして後述するように作業者が直線を引くことを可能になした定規部75にしてある。
【0052】
また、位置合わせ用補助部7の前記第1長孔11に対向する領域には、第1長孔11と略同じ寸法の第3長孔73が開設してある。また、位置合わせ用補助部7の前述した定規部75と第3長孔73との間の領域には、定規部75と平行な1又は複数(図1及び図3に示した場合には2本)の平行線が、底部20の短辺方向へ適宜の距離を隔てて設けてあり、後述するように各平行線及び第3長孔73の長辺側縁は、穿孔補助具を平行移動させる際の目安部71,71,71を構成している。
【0053】
なお、本形態では、第2筐体2の第2側壁部25,25に設けた湾曲孔26,26、並びに当該湾曲孔26,26及び第1筐体1の第1側壁部15,15を貫通する貫通孔に挿通させた固定用螺子8,8によって、第1筐体1及び第2筐体2であって穿孔補助具の他長辺側の間隙を広狭し得るようになしてあるが、本発明はこれに限らず、第1筐体1及び第2筐体2であって穿孔補助具の他長辺側の間隙を調整し得、調整した状態を保持できるものであれば他の構成であってもよいことはいうまでもない。
【0054】
なお、本形態では、第1筐体1及び第2筐体2であって穿孔補助具の他長辺側の間隙を調整可能に構成してあるが、本発明はこれに限らず、第1筐体1及び第2筐体2であって穿孔補助具の他長辺側の間隙を予め固定しておいてもよい。この場合、第2筐体2の底部20に対する第1案内部5及び第1案内部5の傾斜角度が異なる複数の穿孔補助具を予め用意しておくとよい。これによって、種々の患者の歯に適用することができる。
【0055】
次に、このような穿孔補助具を用いて、患者の歯の印象を写した模型に細孔を穿削する方法について説明する。
【0056】
図5から図9は、本発明に係る穿孔補助具を用いて、患者の歯の印象を写した模型に細孔を穿削する方法を説明する説明図であり、各図中、図1図4に示した部分に対応する部分には同じ番号を付してその説明を省略する。
【0057】
本穿孔補助具を用いるのに先立って、所要サイズのトレーに充填された印象材を患者の歯に圧接して、当該患者の歯の印象を採取し、印象を採取した印象材内に石膏を流入して固化させることによって患者の歯の模型部Gを得ておく。また、図5(a)に示したように、模型部Gの裏面であって義歯を作製する各部分に対応する位置にそれぞれ、小さな窪みといった目印P,P,…を既法に従って設けておく。なお、模型部Gは必要箇所についてトリミングといった所要の処理を施してあり、また模型部Gの裏面は平坦である。
【0058】
図5(a)に示したように、模型部Gをその裏面が表になるように配置しておき、本穿孔補助具の位置合わせ用補助部7を模型部Gの裏面に当接させた後、該位置合わせ用補助部7の定規部75及び筆記具を用いて、例えば所謂ブリッジを作製する場合にはクラウンとなる位置にある目印P,P、というように義歯を作製する部分の基礎となる目印P,Pを通る線分Lを模型部Gの裏面に記入する。
【0059】
なお、このとき、穿孔補助具はその他長辺側の第1筐体1の天井部10と第2筐体2の底部20との間隙を狭くしておいてもよいし、当該間隙を広くしておいてもよい。
【0060】
次に、図6(b)に示したように、固定用螺子8,8を調整して、穿孔補助具の他長辺側の第1筐体1の天井部10と第2筐体2の底部20との間隙を広くすることによって、第1筐体1の天井部10を第2筐体2の底部に対して傾斜姿勢になしておく。このとき、患者の歯の印象を写した模型Gにおける義歯を作製する部分の傾斜姿勢と第1案内部5の傾斜姿勢とがほぼ一致するように、第1筐体1の天井部10及び第2筐体2の底部20の他長辺側の間隙を調整する。
【0061】
また、第3長孔73を挿通させたドリル95の基端部を、第1長孔11内の支持部3に支持された第1案内部5内を貫通させ、このドリル95の基端部を穿孔補助具上に配した穿孔機9の先端部に取り付ける。
【0062】
続いて、図7(c)に示したように、この状態で、本穿孔補助具の位置合わせ用補助部7を模型部Gの裏面に、位置合わせ用補助部7に設けた適宜の目安部71と前記線分Lと平行になるように穿孔補助具の回転姿勢を調整する。次に、第1長孔11及び透明な位置合わせ用補助部7又は第3長孔73を通して視認しつつ、位置合わせ用補助部7に設けた目安部71,71,…及び前記線分Lを用いて、穿孔補助具の第3長孔73を該当する目印P上に平行移動させた後、前記穿孔補助具及び支持部3を第1長孔11の長手方向及び/又は第1長孔11の長手方向と直交する方向へ移動させて、前記線分Lが通る目印P上にドリル95の先端が位置するように調整する。そして、穿孔機9を駆動させてドリル95を回転させ、この状態で穿孔機9を降下させる。このとき、ドリル95は穿孔補助具の第1案内部5によって案内されるが、第1案内部5は第1筐体1の天井部10の傾斜姿勢に直交する傾斜姿勢に保持されているので、模型部Gには傾斜した細孔が穿削される。
【0063】
このようにして模型部Gの所要位置への細孔の穿削が終了すると、ドリル95を引き上げて穿孔機9の動力を停止した後、図8(d)(e)に示したように、位置合わせ用補助部7に設けた目安部71,71,…及び前記線分Lを用いて、穿孔補助具を次の目印P上に平行移動させる。そして、前同様、ドリル95によって傾斜した細孔を当該目印Pの位置に穿削する。このとき、穿孔補助具が前述した如く平行移動されているため、当該細孔の傾斜と一つ前の前記細孔の傾斜とは平行になっている。
【0064】
このような作業を繰り返して、模型部Gの全ての目印P,P,…にそれぞれ細孔を穿削した後、図9(f)に示したように、各細孔内にダウエルピンDP,DP,…の基端部を嵌入固定する。
【0065】
このようにして全てのダウエルピンDP,DP,…を模型部Gに植設すると、従来と同様、模型部Gの裏面であってダウエルピンDP,DP,…を植設した部分を含む所要領域に剥離剤を塗布した後、該模型部Gの裏面側に別の石膏を用いて土台部を延設した後、模型部Gの義歯を作製する各部分の両側に前記土台部に達する切り込みをそれぞれ形成することによって、模型部の義歯を作製する各部分がダウエルピンDP,DP,…を植設された状態で土台部から分離し得るようになす。そして、模型部Gの義歯を作製する各部分の全周面をワックス材で被覆し、被覆した当該各部分を土台部から抜出した後、更に模型部Gの各部分をワックス材から抜出してワックスパターンを得る。このワックスパターンを円筒状のリングの底部を塞止する塞止部の中央に設置し、前記リングで囲繞した後、リング内に埋没用石膏を充填・硬化させた後、加熱して埋没用石膏内のワックスパターンを燃焼除去させて鋳型を形成し、この鋳型内に適宜の金属を鋳込むことによって義歯を得る。
【0066】
このとき、各ダウエルピンDP,DP,…は、模型部Gの平坦な裏面に対して適当な傾斜姿勢で植設されるのに加え、各ダウエルピンDP,DP,…の姿勢は相互に平行である。そのため、模型部Gの義歯を作製する各部分をダウエルピンDP,DP,…を植設された状態で土台部から分離し易く、ブリッジの義歯を作製する場合であっても、ワックスパターンの連結部に破断が生じ難い。
【0067】
なお、本形態では、模型部Gの裏面に、義歯を作製する部分の基礎となる目印P,Pを通る線分Lを記入する場合について説明したが、本発明はこれに限らず例えば、義歯を作製する部分の中央の目印Pと模型部Gの舌根中央とを通る基線分に、当該目印Pで直交する線分Lを記入してもよい。前者の場合にあっては、模型部Gの各目印P,P,…の間、及び模型部Gの義歯を作製する各部分の両側に前記土台部に達する切り込みをそれぞれ形成する場合、前述した線分Lに直交するように切り込みを形成するとよい。一方、後者の場合にあっては、模型部Gの舌根中央を中心とする放射線状に切り込みを形成する。土台部に達する切り込みをそれぞれ形成するとよい。
【0068】
ところで、本形態では、第2筐体2の裏面に帯板状の位置合わせ用補助部7を固定した場合について示したが、本発明はこれに限らず、例えば樹脂材を用いることによって、第2筐体2と置合わせ用補助部7とを一体的に形成してもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0069】
1 第1筐体
2 第2筐体
3 支持部
5 第1案内部
6 回転軸
7 位置合わせ用補助部
8 固定用螺子
10 天井部
11 第1長孔
20 底部
22 第2長孔
71 目安部
73 第3長孔
75 定規部
G 模型部
DP ダウエルピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10