(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6860981
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】慣性式電気音響変換器ユニット
(51)【国際特許分類】
H04R 9/06 20060101AFI20210412BHJP
H04R 1/00 20060101ALI20210412BHJP
H04R 9/02 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
H04R9/06 Z
H04R1/00 310F
H04R9/02 102A
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-101724(P2016-101724)
(22)【出願日】2016年5月20日
(65)【公開番号】特開2016-220211(P2016-220211A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2019年4月22日
(31)【優先権主張番号】102015000017141
(32)【優先日】2015年5月22日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516150213
【氏名又は名称】エーエスケー インダストリーズ ソシエタ′ ペル アジオニ
【氏名又は名称原語表記】ASK INDUSTRIES SOCIETA PER AZIONI
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】サンチシ カルロ
(72)【発明者】
【氏名】ファヴァ マルコ
【審査官】
冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0170795(US,A1)
【文献】
特開昭61−018296(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0083958(US,A1)
【文献】
国際公開第2006/054337(WO,A1)
【文献】
特表2002−524946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 9/00−9/10
H04R 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1励振器(100)及び第2励振器(200)を含む慣性式電気音響変換器ユニット(300)であって、
各励振器は、
フランジ(2)に固定された円筒支持体(10)によって支持されるコイル(1)と、
基底部(41)を有するカップ(40)及び空洞を定義する側壁(42)を含む磁気ユニット(4)であって、該空洞の中に、磁石(43)及び極板(44)が、環状空気ギャップ(T)を発生させるような方法で配置される、磁気ユニット(4)と、
前記フランジ(2)に固定された外部円筒(30)を備えた芯出し装置(3)であって、内部円筒(31)は、前記コイル(1)が前記磁気ユニットの前記空気ギャップ(T)に配置されるような方法で、前記カップ(40)に固定され、且つ弾性スポーク(32)は、前記外部円筒(30)を、前記芯出し装置の前記内部円筒(31)に接続し、その結果、前記コイル(1)が電流で動力供給される場合、前記磁気ユニット(4)は、前記コイルの前記円筒支持体(10)の軸に一致する軸(A)に対して軸方向に運動することが可能である、芯出し装置(3)と、
を含み、
前記第2励振器(200)は、前記第1励振器(100)に対して、ひっくり返された状態で配置され、その結果、前記2つのカップ(40)の前記基底部(41)は互いに向き合い、
前記2つの励振器(100,200)は、一緒に固定されるか、又は振動を起こすことが意図された平面(P)に固定されるが、ここで固定は、前記コイルの前記円筒支持体(10)の軸(A)が一致するような方法で行われ、
前記2つの励振器の各コイル(1)は2つの端部を有し、前記2つの励振器のコイルの4つの端部は、前記2つの励振器の磁気ユニット(4)と同じ方向において一貫した運動を得るような方法で、逆位相で接続され、
前記芯出し装置の前記外部円筒(30)は境界部(35)を含み、且つ前記第1及び第2の励振器(100,200)は、前記2つの芯出し装置の前記境界部(35)が相互に接触しており、且つ前記磁気ユニットの前記2つのカップ(40)の前記基底部(41)が互いに向き合うような方法で配置され、
前記第1及び第2の励振器(100,200)のフランジ(2)にそれぞれ固定された第1及び第2の終端板(5,6)を含み、
前記第1及び第2の終端板(5,6)の少なくとも1つは、側壁(62)を含み、ここで側壁(62)は、芯出し装置の外部円筒(30)と、前記終端板(6)の前記側壁(62)との間に環状空気スペース(I)を定義するような方法で、外側へ延びると共に、前記第1及び第2の励振器の前記芯出し装置の前記外部円筒(30)に平行である、慣性式電気音響変換器ユニット(300)。
【請求項2】
請求項1に記載の慣性式電気音響変換器ユニット(300)であって、
前記芯出し装置の前記外部円筒(30)と前記終端板(6)の前記側壁(62)との間の前記環状空気スペース(I)に配置された音吸収材料(7)を含む、慣性式電気音響変換器ユニット(300)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の慣性式電気音響変換器ユニット(300)であって、
前記2つの励振器の前記2つのカップ(40)の前記基底部(41)の間に、前記基底部(41)を接合するような方法で配置された接続仕切り壁(8)を含み、前記接続仕切り壁(8)は、熱散逸を可能にするための剛体熱伝導性材料、又は前記2つの磁気ユニット(4)の運動の機械的減衰を可能にするための弾性材料でできている、慣性式電気音響変換器ユニット(300)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の慣性式電気音響変換器ユニット(300)であって、
少なくとも1つの励振器の前記コイルの前記円筒支持体(10)の内側で、少なくとも1つの励振器の前記終端板(5,6)と前記極板(44)との間に配置された少なくとも1つの弾性緩衝物(90,91)を含む、慣性式電気音響変換器ユニット(300)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の慣性式電気音響変換器ユニット(300)であって、
各終端板(5,6)は、前記コイルの前記円筒支持体(10)の内側に圧入された中心軸部(50,60)を含み、このことは、各終端板の前記中心軸部(50,60)と各フランジ(2)の中心環部(20)との間に各コイルの前記円筒支持体(10)をしっかりと固定するような方法で行われ、前記第1及び第2の終端板(5,6)は、熱エネルギーを前記コイルの前記円筒支持体(10)から散逸させるために、剛体熱伝導性材料でできている、慣性式電気音響変換器ユニット(300)。
【請求項6】
第1励振器(100)及び第2励振器(200)を含む慣性式電気音響変換器ユニット(400)であって、
各励振器は、
フランジ(2)に固定された円筒支持体(10)によって支持されるコイル(1)と、
基底部(41)を有するカップ(40)及び空洞を定義する側壁(42)を含む磁気ユニット(4)であって、該空洞の中に、磁石(43)及び極板(44)が、環状空気ギャップ(T)を発生させるような方法で配置される、磁気ユニット(4)と、
前記フランジ(2)に固定された外部円筒(30)を備える芯出し装置(3)であって、内部円筒(31)は、前記コイル(1)が前記磁気ユニットの前記空気ギャップ(T)の中に配置されるような方法で、前記カップ(40)に固定され、且つ弾性スポーク(32)は、前記外部円筒(30)を前記芯出し装置の前記内部円筒(32)に接続し、その結果、前記コイル(1)が電流で動力供給される場合、前記磁気ユニット(4)は、前記コイルの円筒支持体(10)の軸と一致する軸(A)に対して、軸方向に運動することが可能である、芯出し装置(3)と、
を含み、
前記第2励振器(200)は、前記第1励振器(100)に対して、ひっくり返された状態で配置され、その結果、前記2つのカップ(40)の空洞は互いに向き合い、
前記2つの励振器(100,200)は、一緒に固定されるか、又は振動を起こすことが意図された平面(P)に固定されるが、ここで固定は、前記コイルの前記円筒支持体(10)の軸(A)が一致するような方法で行われ、
前記2つの励振器の各コイル(1)は2つの端部を有し、前記2つの励振器の前記コイルの4つの端部は、前記2つの励振器の前記磁気ユニット(4)と同じ方向において一貫した運動を得るような方法で、逆位相で接続され、
前記芯出し装置の前記外部円筒(30)は境界部(35)を含み、且つ前記第1及び第2の励振器(100,200)は、前記2つの励振器の前記2つのフランジ(2)が、相互に接触しているか、又は振動を起こすことが意図された前記平面(P)に、前記平面(P)に対して一方の側及び他方の側で固定されるような方法で配置され、且つ前記2つのカップの前記空洞が互いに向き合い、
前記芯出し装置の前記外部円筒の前記境界部(35)にそれぞれ固定された、第1及び第2の終端板(5,6)を含み、
前記第1及び第2の終端板(5,6)の少なくとも1つは、側壁(62)を含み、ここで側壁(62)は、前記芯出し装置の前記外部円筒(30)と、前記終端板(6)の前記側壁(62)との間に環状空気スペース(I)を定義するような方法で、外側へ延びると共に、前記第1及び第2の励振器の前記芯出し装置の前記外部円筒(30)に平行である、慣性式電気音響変換器ユニット(300)。
【請求項7】
請求項6に記載の慣性式電気音響変換器ユニット(400)であって、
前記芯出し装置の前記外部円筒(30)と前記終端板(6)の前記側壁(62)との間の前記環状空気スペースに配置された音吸収材料(7)を含む、慣性式電気音響変換器ユニット(400)。
【請求項8】
請求項6または7に記載の慣性式電気音響変換器ユニット(400)であって、
前記2つの励振器の極板(44)間に、前記極板(44)を接合するような方法で配置された接続仕切り壁(8)を含み、前記接続仕切り壁(8)は、熱散逸を可能にするための剛体熱伝導性材料、又は前記2つの磁気ユニット(4)の運動の機械的減衰を可能にするための弾性材料でできている、慣性式電気音響変換器ユニット(400)。
【請求項9】
請求項6に記載の慣性式電気音響変換器ユニット(400)であって、
少なくとも1つの励振器のコイルの円筒支持体(10)の内側で、少なくとも1つの励振器の前記カップ(40)の終端板(5,6)と基底部(41)との間に配置された、少なくとも1つの弾性緩衝物(90,91)を含む、慣性式電気音響変換器ユニット(400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
産業発明のための本特許出願は、慣性式電気音響変換器ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
既知のことであるが、従来の拡声器は皮膜を含み、この皮膜は、固定された磁気ユニットによって生じる空気ギャップ中で運動する音声コイルに接続される。
皮膜の振動は、音を発生させる。
【0003】
特許文献1は、単一の円筒支持体に接続された皮膜を含む従来の拡声器を開示している。第1コイル及び第2コイルは、単一の円筒支持体の端部に取り付けられる。2つの磁気ユニットは、2つのコイルに対して、対応する空気ギャップを発生させる。
【0004】
各磁気ユニットは在来タイプのものであり、且つ極コア、環状磁石、及び極板を含む。磁性流体は、コイルの円筒支持体を中心位置決めするような方法で、各磁気ユニットの空気ギャップに配置される。それ故に、そのような拡声器は、磁気ユニットに対してコイルの円筒支持体を中心位置決めする、任意の弾性支持体を提供しない。
【0005】
磁気ユニットは所定位置に固着され、且つコイルの円筒支持体は、円筒支持体に固定された皮膜の振動を引き起こすような方法で、振動することが可能である。
【0006】
最近、慣性式電気音響変換器(それらは、励振器又は加振機として一般に知られる)が、従来の皮膜拡声器の代替として普及してきた。
【0007】
励振器は、フランジに固定されたコイルを含むが、ここでフランジは、剛体要素に固定されることが意図される。芯出し装置は、磁気ユニットが空気ギャップを発生させるような方法で、磁気ユニットを支持するが、空気ギャップの中で、コイルは位置決めされ、且つ磁気ユニットは、コイルに対して運動することが可能である。従って、振動は、音を発生させる励振器のフランジに固定された剛体要素の中を伝搬する。
【0008】
それ故に、慣性式電気音響変換器は、従来の拡声器に対して、完全に異なる動作原理に基づいている。励振器は、磁気ユニットが運動するような方法で構成され、その一方で、コイルの円筒支持体は静止したままである。代わりに、従来の拡声器は、コイルの円筒支持体が運動するような方法で構成され、その一方で、磁気ユニットは静止したままである。それ故に、慣性式電気音響変換器の製作を意図する当分野の専門家は、従来の拡声器を考慮に入れないであろう。
【0009】
同じ出願人の名における特許文献2は、1つの励振器を開示している。
図1は、特許文献2による励振器を示し、この励振器は、一般に参照符号(100)で指し示される。
【0010】
励振器(100)は、円筒支持体(10)上に取り付けられたコイル(1)を含む。円筒支持体(10)は、フランジ(2)に固定される。フランジ(2)は中心環部(20)を含み、この中心環部(20)にコイルの円筒支持体(10)が固定される。フランジ(2)は、例えば剛体材料のパネルのような、剛体要素(
図1に示されない)に固定されることが意図されており、この剛体要素は、振動を起こして、音を発生させるであろう。
【0011】
フランジ(2)は芯出し装置(3)に接続され、芯出し装置(3)は、磁気ユニット(4)を支持する弾性支持体を含む。磁気ユニット(4)は、基底部(41)を有するカップ(40)と、境界部(46)を有する側壁(42)とを含み、カップ(40)及び側壁(42)は円筒ハウジングを定義し、この円筒ハウジングの中に、磁石(43)及び極板(44)が配置される。
【0012】
磁石(43)は円筒形状を有し、且つカップ(40)の台座内側の中心に配置され、且つカップ(40)の基底部(41)に固定される。極板(44)は円筒形状を有し、且つ磁石(43)に固定される。極板(44)は、カップの側壁の境界部(46)と同一平面にある自由表面(45)を有する。
【0013】
磁石(43)及び極板(44)は、カップ(40)の台座よりも小さな直径を有する。従って、環形状を有する空気ギャップ(T)が、磁石(43)及び極板(44)の外部側面と、カップの側壁(42)の内部側面との間で発生する。
【0014】
磁気ユニット(4)は、コイル(1)が空気ギャップ(T)の中に配置されるような方法で、芯出し装置(3)によって保持される。
【0015】
芯出し装置(3)は、フランジ(2)に固定された外部円筒(30)と、カップ(40)に固定された内部円筒(31)とを含む。外部円筒(30)は、内部円筒(31)よりも高い。芯出し装置の外部円筒(30)は、内部円筒(31)が外部円筒(30)内側の同心位置に配置されるような方法で、弾性的に曲げやすいスポーク(32)によって、内部円筒(31)に接続される。上記のことを考慮すると、磁気ユニット(4)は、コイルの円筒支持体(10)に対して軸方向に、コイルの円筒支持体の軸と一致する軸(A)に沿って、運動することが可能である。
【0016】
このタイプの励振器は、高調波ひずみの観点におけるいくつかの欠点によって、価値が損なわれる。
【0017】
既知のことであるが、前述の磁気回路(これは、慣性式電気音響変換器で一般的に使用される)は、空気ギャップ及び空気ギャップ外側領域の近傍において、一定の誘導磁場を提供しない。
【0018】
この状況を説明するために、仮想的な円筒表面を考えてみよう。その仮想的な円筒表面は、例えば円筒支持体(10)の領域であり、この領域は、極板(44)の高さの2倍に等しい高さを有し、前記円筒表面が、極板(44)の平面状の上面及び下面(45)から同じ長さだけ突出するような方法で、極板(44)の高さに対して軸方向に対称的に位置決めされる。
【0019】
放射状の磁力線(これは、前記円筒表面と垂直に交差し、且つコイルに対して磁気ユニットが運動するための有用な構成要素である)は、極板(44)の高さを超える2つの円筒表面領域において、一般に、均一且つ一定ではない。このことは、磁気システムの幾何学的配置によって引き起こされ、且つ計器及びソフトウェア・シミュレーション・システムの両方によって、評価することが可能である。
【0020】
磁気ユニット(4)が、矢印(F1)の方向において上方に動かされると、磁気ユニットはコイル(1)から遠ざかる。反対に、磁気ユニット(4)が、矢印(F2)の方向において下方に動かされると、磁気ユニットはコイル(1)に近づく。これらの運動は、極板(44)の境界部(46)から突出する、前述の円筒表面領域に影響を与え、そこでは磁力線は一定ではなく、このことは、機械的振動の生成及び音の再生において、ひずみを発生させる。従って、高調波ひずみが生じる。
【0021】
合計高調波ひずみ(THO)は、合計高調波ひずみを測定する測定ユニットであり、高い忠実性を有する音声プログラムの再生を必要とする音声装置の品質を評価する場合、この測定ユニットは、大いに考慮されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開昭60−25910号公報
【特許文献2】国際公開2011/029768号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の目的は、低い高調波ひずみを備えた慣性式電気音響変換器を開示することによって、先行技術の欠点を除去することである。
【0024】
本発明の別の目的は、半径方向寸法を低減すると共に、高パワーの音声信号を管理することが可能である、そのような慣性式電気音響変換器ユニットを開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
これらの目的は、独立請求項1の特徴を有する本発明に従って達成される。
【0026】
有利な実施形態は、従属請求項から見えてくる。
【0027】
本発明の慣性式電気音響変換器ユニットは、第1励振器及び第2励振器を含む。各励振器は:
・フランジに固定された円筒支持体によって支持されたコイルと、
・基底部を有するカップ及び空洞を定義する側壁を含む磁気ユニットであって、そこでは磁石及び極板が、環状空気ギャップを発生させるような方法で配置される、磁気ユニットと、
・前記フランジに固定された外部円筒を備えた芯出し装置であって、コイルが磁気ユニットの空気ギャップに配置され、且つ弾性スポークが前記外部円筒を芯出し装置の前記内部円筒に接続するような方法で、内部円筒が前記カップに固定され、その結果、前記磁気ユニットは、コイルが電流で動力供給される場合、コイルを支持する軸に一致する軸に対して、軸方向に運動することが可能である、芯出し装置と、
を含む。
【0028】
第2励振器は、第1励振器に対して、ひっくり返された状態にある。第1構成によれば、2つのカップの基底部は互いに向き合って配置される、又は第2構成によれば、2つのカップの空洞は互いに向き合って配置される。
【0029】
2つの励振器は一緒に固定されるか、又は振動を起こすことが意図された平面に固定されるが、ここで固定は、コイルの円筒支持体の軸が一致するような方法で行われる。2つの励振器のコイルの端部は、電気的に逆位相で接続される。
【0030】
本発明の慣性式電気音響変換器ユニットは、高調波ひずみを最小化し、且つ2つの励振器間で高調波ひずみを分離することによって、音声信号のパワーを管理することを可能にする。
【0031】
本発明の追加的な特徴は、以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。ここで以下の詳細な説明は、単に例証的であり、実施形態を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、先行技術による励振器の軸方向の図である。
【
図2】
図2は、先行技術による2つの励振器の、軸方向の拡大された図であり、これらの励振器は、本発明による慣性式電気音響変換器ユニットを得るような第1構成において、配置されることが意図される。
【
図3】
図3は、組み立てられた状態における、
図2の慣性式電気音響変換器ユニットの改良品の軸方向の図である。
【
図4】
図4は、
図3の慣性式電気音響変換器ユニットの、追加的改良品の軸方向の図である。
【
図5】
図5は、
図2の慣性式電気音響変換器ユニットの第2実施形態の軸方向の図であり、この図で2つの励振器は、第2構成で配置されている。
【
図6】
図6は、
図5の慣性式電気音響変換器ユニットの改良品の軸方向の図である。
【
図7】
図7は、振動を起こすことが意図された平面に固定された、
図2の慣性式電気音響変換器ユニットの可能な応用を示す図式的側面図である。
【
図8】
図8は、振動を起こすことが意図された平面に固定された、
図2の慣性式電気音響変換器ユニットの可能な応用を示す図式的側面図である。
【
図9】
図9は、振動を起こすことが意図された平面に固定された、
図5の慣性式電気音響変換器ユニットの可能な応用を示す図式的側面図である。
【
図10】
図10は、振動を起こすことが意図された平面に固定された、
図5の慣性式電気音響変換器ユニットの可能な応用を示す図式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
さて、
図2を参照すると、本発明による慣性式電気音響変換器ユニットの第1実施形態が開示され、この慣性式電気音響変換器ユニットは、一般に参照符号(300)で指し示される。
【0034】
慣性式電気音響変換器ユニット(300)は、第1励振器(100)及び第2励振器(200)を含む。2つの励振器(100,200)は同一である。以下の説明では、同一であるか、又は前に説明した部分に対応する部分は、同じ参照符号で識別され、これによって、それらの詳細な説明を省略する。以下の説明では、「上部の」及び「下部の」という用語は、図の配列を指し、即ち垂直位置における軸(A)に関して、電気音響変換器ユニット(300)は、任意のタイプの配列で配置することが可能である。
【0035】
図2を参照すると、第1構成によれば、第1励振器(100)は、フランジ(2)が下を向き、且つ磁気ユニットのカップ(40)の基底部(41)が上を向いた状態で配置される。第2励振器(200)は、第1励振器に対して、ひっくり返された状態にある。換言すれば、第2励振器(200)では、フランジ(2)が上を向き、磁気ユニットのカップ(40)の基底部(41)が下を向いた状態である。2つの励振器のカップの基底部(41)は、互いに向き合う。
【0036】
各励振器の芯出し装置(3)の外部円筒(30)は、フランジ(2)の反対側に境界部(35)を有する。2つの励振器は、一方を他方の最上部の上に積み重ねることが可能であるが、この積み重ねは、芯出し装置の外部円筒の境界部(35)を互いが止め合い、且つ2つの芯出し装置の磁気ユニットのカップ(40)が、互いに向き合って近接した位置にあるような方法で行われる。
【0037】
第2励振器(200)は、2つの励振器の軸(A)が一致するような方法で、第1励振器(100)の上に固定される。そのような固定は、2つの励振器の芯出し装置の外部円筒の境界部(35)を、接着材で付ける又は熱溶接することによって得るか、又はコネクタ、クランプ、クリップ、スナップ嵌めなどのような固定手段を、芯出し装置の外部円筒(30)に適用することによって、得ることが可能である。
【0038】
各コイル(1)の端部は、2つのピンを備える。2つのコイル(1)の4つのピンは、励振器の磁気ユニット(4)が希望通りに運動できるような方法で、逆位相で接続される。軸方向の位置で取り付けられた2つの励振器(100,200)についてそのような結果を得るために、対応するピン(底部上のピンと共に、頂部上のピン)を、接合する/溶接することが単に必要である。
【0039】
このように、2つの励振器の磁気ユニット(4)と同じ方向における、一貫した運動が得られる。換言すれば、第1励振器(100)の磁気ユニット(4)が、矢印(F1)の方向において軸方向上方に運動する場合、第2励振器(200)の磁気ユニット(4)もまた、矢印(F2)の方向において軸方向上方に運動する。同様に、第2励振器(200)の磁気ユニット(4)が、矢印(F3)の方向において軸方向下方に運動する場合、第1励振器(100)の磁気ユニット(4)もまた、矢印(F4)の方向において軸方向下方に運動する。
【0040】
2つの励振器が反対の位置に配置されることを考慮すれば、第1励振器(100)の磁気ユニット(4)が、コイル(1)から遠ざかる場合、第2励振器(200)の磁気ユニット(4)は、コイル(1)に近づく。逆もまた同様であり、第1励振器(100)の磁気ユニット(4)が、コイル(1)に近づく場合、第2励振器(200)の磁気ユニット(4)は、コイル(1)から遠ざかる。その結果、2つの励振器を備えた慣性式電気音響変換器ユニットについて、より高い対称性の、しかも一定強度の磁場が得られるが、このことは、2つのコイルにおける電流と相互作用する磁場の合計を考慮することによって理解される。これらの特性は、磁気ユニットで構成される慣性質量の軸方向運動によって影響を受ける、2つの励振器の空気ギャップの内部領域及び外部領域において見出され、且つ本発明による慣性式電気音響変換器ユニット(300)の高調波ひずみを低減することに寄与する。
【0041】
その上、考慮しなければならないことであるが、本発明の慣性式電気音響変換器ユニット(300)は、単一の励振器(100,200)によって管理される電力の、2倍の電力を管理することが可能である。実際に、電力信号は、2つの励振器(100,200)の間で分割される。そのような場合、慣性式電気音響変換器ユニット(300)の外部直径は、単一の励振器の外部直径と同一であり、従って、このことによって、半径寸法における増加を低減する。ここで半径寸法における増加は、より大きな直径を有する電気コイルを使用する場合の通常の結果であり、より大きな直径のコイルでは、電力の増加を管理することが必要である。その上、より大きな電気コイルは、より大きな磁気回路の使用を必要とし(慣性質量として作用し、且つより重くなる)、ここでより大きな磁気回路は、音声再生によって影響を受ける周波数の領域における振動的振舞いを必然的に変更する。
【0042】
慣性式電気音響変換器ユニット(300)は、任意のタイプの電源に接続することが可能であり、ここで任意のタイプの電源は、再生されるべき電気信号を増幅するのに適した信号増幅器で構成される。
【0043】
図3は、慣性式電気音響変換器ユニット(300)の改良品を示し、この改良品は、第1励振器(100)のフランジ(2)に固定された第1終端板(5)と、第2励振器(200)のフランジ(2)に固定された第2終端板(6)とを含む。終端板(5,6)は、慣性式電気音響変換器ユニット(300)のコイルの円筒支持体(10)の熱エネルギーを散逸させるために、好ましくは、例えば金属材料のような、剛体熱伝導性材料でできている。
【0044】
第1終端板(5)は、コイルの円筒支持体(10)の内側に圧入された中心軸部(50)を含むが、これは、第1終端板の中心軸部(50)とフランジ(2)の環部(20)との間に、コイルの円筒支持体(10)をしっかりと固定するような方法で行われる。第1終端板(5)は、音を発生させるために振動する必要がある剛体要素に、固定されることが意図される。
【0045】
第2終端板(6)は、コイルの円筒支持体(10)の内側に圧入された中心軸部(60)を含むが、これは、第2終端板の中心軸部(60)とフランジ(2)の中心環部(20)との間に、コイルの円筒支持体(10)をしっかりと固定するような方法で行われる。第2終端板の中心軸部(60)は開いており、且つ熱散逸を改善するために、貫通穴(61)を備えている。
【0046】
図3では、第1終端板の軸部(50)は閉じており、且つ第2終端板の軸部(60)は開いているが、第1終端板及び第2終端板の軸部(50,60)は、共に閉じていることも可能であり、又は共に開いていることも可能である。これらのことは、2つの励振器(100,200)の接続表面を通過する平面に対して、完全に対称な装置を得るような方法で行われる。そのような解決法は、同位相又は逆位相にある複数の装置を利用することを可能にするが、このことは、振動させるべき剛体要素に接触する必要がある終端板(5,6)を単に逆にすることによって行われ、従って、ユーザのための装置の調整を簡略化する。
【0047】
図4は、
図3の慣性式電気音響変換器ユニット(300)の追加的な改良品を示す。そのような場合、第2終端板(6)は、2つの励振器の芯出し装置の外部円筒(30)の外側に延びる側壁(62)を備え、側壁(62)の延びは、側壁(62)が、第1終端板(5)に接触することなく、第1励振器(100)のフランジ(2)の高さに到達するまで続く。
【0048】
環状空気ギャップ(I)は、2つの励振器の芯出し装置の外部円筒(30)と第2終端板(6)の側壁(62)との間で定義され、前記環状空気ギャップ(I)は、望まれない任意の振動を制限するために、発泡プラスチック材料のような音吸収材料(7)で充填される。
【0049】
図4では、側壁(62)は、第2終端板(6)に設けられているが、前記側壁は、第1終端板(5)に設けることが可能であり、且つ第2終端板(6)まで延びることが可能であることは、明らかと思われる。
【0050】
接続仕切り壁(8)が、2つの励振器の2つのカップ(40)の基底部(41)の間に配置されるが、その配置は、基底部(41)を一緒に接合するような方法において行われる。上記のことを考慮すると、磁気ユニット(4)は、一貫して同じ方向に運動する。有利なことに、接続仕切り壁(8)は、熱散逸を可能にし、且つ磁気ユニットの2つのカップ(40)における熱的均一性を得るために、剛体熱伝導性材料、好ましくは金属材料でできている。
【0051】
反対に、もし2つの磁気ユニット(4)の運動における機械的減衰が要求される場合、有利なことに、接続仕切り壁(8)は、2つの磁気ユニット(4)の運動を機械的に減衰させることを可能にするための、例えばシリコーンゲル又はスポンジ材料のような弾性材料でできている。
【0052】
有利なことに、慣性式電気音響変換器ユニット(300)は、
・第1励振器のコイルの円筒支持体(10)の内側に配置され、且つ第1終端板の中心軸部(50)と第1励振器の磁気ユニットの極板(44)との間に配置される第1弾性緩衝物(90)、及び/又は、
・第2励振器のコイルの円筒支持体(10)の内側に配置され、且つ第2終端板の中心軸部(60)と第2励振器の磁気ユニットの極板(44)との間に配置される第2弾性緩衝物(91)、
を含む。
【0053】
弾性緩衝物(90,91)は、例えばシリコーンゲル又はスポンジ材料のような、変形可能な弾性材料でできている。弾性緩衝物(90,91)は、熱散逸のため、及び運動の間に磁気ユニットの振動を減衰させるため、の両方の理由から使用される。
【0054】
図5は、本発明の慣性式電気音響変換器ユニットの第2実施形態を示し、この慣性式電気音響変換器ユニットは、一般に参照符号(400)で指し示されるが、そこでは、2つの励振器(100,200)は、第2構成で配置される。芯出し装置の外部円筒(30)に固定されたフランジ(2)は、一方が他方の最上部の上にある状態で、反対位置に配置され、且つコイルの支持体の軸(A)が一致するような方法で、一緒に固定される。
【0055】
そのような場合、コイルの支持体(10)は近位の位置にあり、且つ磁気ユニットのカップ(40)の台座は、互いに向き合っており、その一方で、カップの基底部(41)は遠位の位置にある。また、この場合、コイル(1)は、磁気ユニット(4)が一貫して同じ方向に運動するような方法で、動力供給される。そのような場合、終端板(5,6)は芯出し装置の外部円筒(30)の境界部(35)に固定され、且つ終端板は、コイルの支持体に固定された中心軸部を備えていない。
【0056】
接続仕切り壁(8)は、極板を一緒に固定するような方法で、コイルの円筒支持体(10)の内側にある2つの極板(44)の間に配置される。そのような場合、接続仕切り壁(8)(もしあれば)は、非磁性材料でできていなければならず、その理由は、そうでなければ、磁石(43)の磁気的引力によって、取り付けることが不可能であろうということである。その上、接続仕切り壁に磁性金属材料が存在すれば、磁石(43)によって発生される磁力線が干渉を受け、空気ギャップ(T)及びその周囲に閉じ込められた「有用な」磁場から磁力線が取り除かれるであろう。
【0057】
弾性緩衝物(90,91)は、カップの基底部(40)と、芯出し装置の外部円筒の境界部(35)に固定された、対応する終端板(5,6)との間に配置される。
【0058】
図7は、
図2の第1実施形態による慣性式電気音響変換器ユニット(300)を示し、ここで第1励振器(100)のフランジ(2)は、例えばパネル又は剛体プレートのような平面(P)に固定されるが、ここで平面(P)は、音を発生させるべく振動を起こすことが意図される。第2励振器(200)は、第1励振器(100)上で、ひっくり返された状態にある。2つの芯出し装置の2つの外部円筒の終端境界部(35)は、コイルの円筒支持体(10)の軸(A)が一致するような方法で、一緒に固定される。
【0059】
図8は、
図2の第1実施形態による慣性式電気音響変換器ユニット(300)を示し、ここで第1励振器(100)及び第2励振器(200)の芯出し装置の外部円筒の境界部(35)は、コイルの円筒支持体(10)の軸(A)が一致するような方法で、平面(P)の両側で平面(P)に固定される。換言すれば、振動を起こすべき平面(P)は、2つの励振器(100,200)の芯出し装置の外部円筒の境界部(35)の間に配置される。
【0060】
図9は、
図5の第2実施形態による慣性式電気音響変換器ユニット(400)を示し、ここで第1励振器(100)及び第2励振器(200)のフランジ(2)は、コイルの円筒支持体(10)の軸(A)が一致するような方法で、平面(P)の両側で平面(P)に固定される。換言すれば、振動を起こすべき平面(P)は、2つの励振器(100,200)の2つのフランジ(2)の間に配置される。
【0061】
図10は、
図5の第2実施形態による慣性式電気音響変換器ユニット(400)を示し、ここで第1励振器(100)の芯出し装置の外部円筒の終端境界部(35)は、音を発生させるべく振動を起こすことが意図された平面(P)に固定される。第2励振器(200)は、第1励振器(100)上で、ひっくり返された状態で固定される。換言すれば、2つの励振器のフランジ(2)は、コイルの円筒支持体(10)の軸(A)が一致するような方法で、一緒に固定される。
【0062】
本発明の現在の実施形態に対して、数多くの変形例及び変更例を作成することが可能であるが、これらは、当分野の専門家が到達する範囲の中にあり、本発明の範囲内にある任意の場合に落とし込まれる。