(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記収容部は、前記金属層の露出した端部を前記収容部の内面から離間させるように前記外縁に接触して、前記外縁の位置を規制する規制部を備えた、請求項4に記載の単電池とスペーサとの組立体。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。図面において、同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面において、各部材の大きさや比率は、実施形態の理解を容易にするために誇張し、実際の大きさや比率とは異なる場合がある。
【0011】
各図において、X、Y、およびZで表す矢印を用いて、組電池100の方位を示している。Xによって表す矢印の方向は、組電池100の長手方向を示している。Yによって表す矢印の方向は、組電池100の短手方向を示している。Zによって表す矢印の方向は、組電池100の積層方向を示している。
【0012】
図1は、実施形態に係る組電池100を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す組電池100から、加圧ユニット120(上部加圧板121と下部加圧板122と左右の側板123)を取り外し、かつ、バスバユニット130の一部(保護カバー135とアノード側ターミナル133とカソード側ターミナル134)を取り外した状態を示す斜視図である。
図3Aは、積層した単電池110の電極タブ112にバスバ132を接合した状態の要部を断面によって示す斜視図である。
図3Bは、
図3Aを側方から示す端面図である。
図4は、
図2に示す積層体110Sから、バスバホルダ131とバスバ132を取り外した状態を示す斜視図である。
図5は、
図4に示す第1セルサブアッシ110Mと第2セルサブアッシ110Nをバスバ132によって電気的に接続する状態を示す斜視図である。
図6は、
図4に示す第1セルサブアッシ110M(並列接続する3組の単電池110)を単電池110毎に分解し、かつ、そのうちの1つ(最上部)の単電池110から第1スペーサ114と第2スペーサ115を取り外した状態を示す斜視図である。
図7は、組立体100A(単電池110と第1スペーサ114)の一部を示す斜視図である。
図8は、
図7の組立体100Aの要部を示す斜視図である。
【0013】
図3Aおよび
図8を参照して、実施形態に係る単電池110は、概説すれば、電池本体110Hと、電極タブ112(アノード側電極タブ112Aおよびカソード側電極タブ112Kに相当する)と、一対の封止部材(ラミネートフィルム113に相当する)と、を有している。電池本体110Hは、発電要素111を含み扁平に形成している。アノード側電極タブ112Aおよびカソード側電極タブ112Kは、電池本体110Hから導出している。一対のラミネートフィルム113は、シート状の金属層113Mと、金属層113Mを両面から被覆して絶縁するシート状の絶縁層113Nと、を含み、電池本体110Hを挟み込んで封止している。ここで、一対のラミネートフィルム113は、電池本体110Hから延長した外縁113dの少なくとも一部を折り曲げつつ、金属層113Mの露出した端部113eを絶縁層113Nの表面113fから離間させている。
【0014】
図3Aおよび
図8を参照して、実施形態に係る単電池110は、概説すれば、上記の単電池110と、単電池110を支持するスペーサ(第1スペーサ114および第2スペーサ115に相当する)と、を有している。ここで、第1スペーサ114および第2スペーサ115は、金属層113Mの露出した端部113eの少なくとも一部を収容する収容部114jを備えている。
【0015】
単電池110とスペーサ(第1スペーサ114および第2スペーサ115)との組立体100Aを含む組電池100は、電気自動車のような車両に複数搭載され、車両用モータを駆動させる電源として使用される。組電池100は、複数の単電池110を積層してなる積層体110Sを、加圧ユニット120によって加圧した状態において、バスバユニット130によって電気的に接続して構成している。以下、単電池110とスペーサ(第1スペーサ114および第2スペーサ115)との組立体100Aを含む組電池100の各構成を説明する。
【0017】
積層体110Sは、
図4に示すように、電気的に並列接続した3つの単電池110からなる第1セルサブアッシ110Mと、電気的に並列接続した3つの単電池110からなる第2セルサブアッシ110Nを、交互に直列接続して構成している。
【0018】
第1セルサブアッシ110Mは、
図4に示すように、組電池100において、1段目(最下段)、3段目、5段目、および7段目(最上段)に位置する3つの単電池110に相当する。第2セルサブアッシ110Nは、
図4に示すように、組電池100において、2段目、4段目、および6段目に位置する3つの単電池110に相当する。
【0019】
第1セルサブアッシ110Mと第2セルサブアッシ110Nは、同様の構成からなる。但し、第1セルサブアッシ110Mと第2セルサブアッシ110Nは、
図4および
図5に示すように、3つの単電池110の天地を入れ替えることによって、3つのアノード側電極タブ112Aと3つのカソード側電極タブ112KがZ方向に沿って交互に位置するように配置している。
【0020】
第1セルサブアッシ110Mは、
図4および
図5に示すように、全てのアノード側電極タブ112Aが図中右側に位置し、全てのカソード側電極タブ112Kが図中左側に位置している。
【0021】
第2セルサブアッシ110Nは、
図4および
図5に示すように、全てのアノード側電極タブ112Aが図中左側に位置し、全てのカソード側電極タブ112Kが図中右側に位置している。3つの単電池110毎に、その天地を単純に入れ替えただけでは、電極タブ112の先端部112dの向きがZ方向の上下にばらついてしまう。このため、全ての単電池110の電極タブ112の先端部112dの向きが揃うように、各々の先端部112dを下方に屈折させている。
【0022】
単電池110は、例えばリチウムイオン二次電池に相当する。単電池110は、車両用モータの駆動電圧の仕様を満たすために直列に複数接続する。単電池110は、電池の容量を確保して車両の走行距離を伸ばすために並列に複数接続する。
【0023】
単電池110は、
図3Aおよび
図3Bに示すように、充放電を行う発電要素111を含み扁平に形成した電池本体110H、発電要素111を外部に臨ませる電極タブ112、および発電要素111を封止するラミネートフィルム113を含んでいる。
【0024】
発電要素111は、屋外の充電スタンド等から電力を充電した上で、車両用モータ等に対して放電して駆動電力を供給するものである。発電要素111は、セパレータによって分離されたアノードとカソードを複数組積層して構成している。
【0025】
電極タブ112は、
図3A、
図3Bおよび
図4に示すように、発電要素111を外部に臨ませるものである。電極タブ112は、アノード側電極タブ112Aおよびカソード側電極タブ112Kから構成している。アノード側電極タブ112Aの基端側は、1つの発電要素111に含まれる全てのアノードに接合している。アノード側電極タブ112Aは、薄板状から形成し、アノードの特性に合わせてアルミニウムからなる。カソード側電極タブ112Kの基端側は、1つの発電要素111に含まれる全てのカソードに接合している。カソード側電極タブ112Kは、薄板状から形成し、カソードの特性に合わせて銅からなる。
【0026】
電極タブ112は、
図3Bに示すように、発電要素111と隣接する基端部112cから先端部112dにかけてL字状に形成している。電極タブ112の先端部112dは、Z方向の下方に沿って屈折している。電極タブ112の先端部112dの形状は、L字形状に限定されない。例えば、電極タブ112は、先端部112dをさらに延在させ、その延在部分を発電要素111側に折り返すようにして、U字形状に形成してもよい。また、電極タブ112の基端部112cは、波状に形成したり湾曲形状に形成したりしてもよい。電極タブ112の先端部112dは、バスバ132と面接触する。
【0027】
ラミネートフィルム113は、
図3Aおよび
図3Bに示すように、一対からなり、電池本体110HをZ方向に沿った上下から挟み込んで封止するものである。一対のラミネートフィルム113は、Y方向に沿った一端部113aの隙間から外部に向かって、アノード側電極タブ112Aおよびカソード側電極タブ112Kを導出させている。
【0028】
ラミネートフィルム113は、
図8に示すように、シート状の金属層113Mと、金属層113Mを両面から被覆して絶縁するシート状の絶縁層113Nを含んでいる。一対のラミネートフィルム113は、
図7および
図8に示すように、単電池110のX方向に沿った両側において、電池本体110Hから延長した外縁113dを折り曲げている。外縁113dは、単電池110の積層方向であるZ方向に沿って、下方に折り曲げてから、上方に向かって突出するように合計2回折り曲げている。折り曲げた部分の外縁113dは、金属層113Mの露出した端部113eが電池本体110Hの側に対向するように、Z方向に対して傾斜している。ここで、一対のラミネートフィルム113は、
図8に示すように、金属層113Mの露出した端部113eを絶縁層113Nの表面113fから離間させている。
【0029】
単電池110は、
図6に示すように一対のスペーサ(第1スペーサ114および第2スペーサ115)によって支持された状態において、
図3および
図4に示すように積層される。
【0030】
一対のスペーサ(第1スペーサ114および第2スペーサ115)は、
図2、
図3Aおよび
図3Bに示すように、単電池110をZ方向に沿って一定の間隔で配置している。第1スペーサ114は、電極タブ112を備えた側の単電池110を支持する。第2スペーサ115は、第1スペーサ114と単電池110のX方向において対向するように、電極タブ112を備えていない側の単電池110を支持する。
【0031】
第1スペーサ114は、
図6に示すように、凹凸を備えた長尺な板形状から形成し、絶縁性を備えた強化プラスチックスからなる。第1スペーサ114は、一対のラミネートフィルム113の一端部113aに対向するように設けている。第1スペーサ114は、
図3Bおよび
図6に示すように、平坦な支持面114bによって、ラミネートフィルム113の一端部113aを支持している。第1スペーサ114は、支持面114bと隣接しZ方向に沿った壁面に当接面114hを備えている。当接面114hは、
図3Bに示すように、電極タブ112の先端部112dをX方向に沿って位置決めしている。第1スペーサ114は、
図6に示すように、支持面114bのY方向に沿った両端に、それぞれ上方に向かって突出した一対の連結ピン114cを備えている。一対の連結ピン114cは、円柱形状からなり、ラミネートフィルム113の一端部113aのY方向に沿った両端に開口した連結孔113cに挿入することによって、単電池110を位置決めしている。
【0032】
複数の第1スペーサ114は、
図3Bに示すように、一の第1スペーサ114の上面114aと、他の第1スペーサ114の下面114dが当接している。複数の第1スペーサ114は、
図3Bに示すように、一の第1スペーサ114の上面114aから突出した円柱形状の位置決ピン114eと、他の第1スペーサ114の下面114dに開口した位置決穴114fを嵌合させることによって、互いに位置決めしている。第1スペーサ114は、
図6に示すように、Y方向に沿った両端に、ロケート孔114gを両端に備えている。ロケート孔114gは、複数の組電池100同士をZ方向に沿って位置決めしつつ連結するボルトを挿入する。
【0033】
さらに、第1スペーサ114は、
図7および
図8に示すように、金属層113Mの露出した端部113eを収容する収容部114jを備えている。収容部114jは、第1スペーサ114の上面114aの一部と、その上面114aと隣り合う支持面114bの一部を上方から下方に向かって切り欠くように形成し、矩形状の底面114pを備えた凹状の穴から構成している。
【0034】
収容部114jは、
図7および
図8に示すように、その底面114pから上方に向かって段違いで凸状に突出した第1突出部114rを備えている。第1突出部114rは、単電池110のY方向に沿って、凹状の収容部114jにおける段違いの側壁の一部を構成している。第1突出部114rは、折り曲げられたラミネートフィルム113の外縁113dに対して下方から接触して、外縁113dの位置を規制している。すなわち、第1突出部114rは、金属層113Mの露出した端部113eを収容部114jの底面114pから浮かせるように強制的に離間させる規制部として機能する。また、第1突出部114rは、単電池110のY方向に沿って隣り合う側壁114tに対して金属層113Mの露出した端部113eが接触しないように、外縁113dの角度を規制している。すなわち、第1突出部114rは、金属層113Mの露出した端部113eを収容部114jの側壁114tから離間させる規制部として機能する。
【0035】
収容部114jは、
図7および
図8に示すように、その内側面114qから内方に向かって凸状に突出した第2突出部114sを備えている。第2突出部114sは、単電池110のY方向に沿って、凹状の収容部114jの側壁の一部を構成している。第2突出部114sは、折り曲げられたラミネートフィルム113の外縁113dに対して側方から接触して位置を規制している。すなわち、第2突出部114sは、金属層113Mの露出した端部113eを収容部114jの内側面114qから強制的に離間させる規制部として機能する。
【0036】
第2スペーサ115は、電極タブ112を支持する必要がないことから、第1スペーサ114を簡略化して構成している。第2スペーサ115は、
図6に示すように、第1スペーサ114と同様に、ラミネートフィルム113の他端部113bを支持する支持面115b、第2スペーサ同士を位置決めする位置決ピン114e、単電池110を位置決めする連結ピン115c、および複数の組電池100同士を位置決めしつつ連結するボルトを挿入するロケート孔115gを備えている。
【0037】
さらに、第2スペーサ115は、第1スペーサ114と同様に、金属層113Mの露出した端部113eを収容する収容部、収容部の底面から突出した凸状の第1突出部、収容部の内側面から突出した凸状の第2突出部等を備えている。
【0038】
加圧ユニット120の構成を詳述する。
【0039】
加圧ユニット120は、積層体110Sの各々の単電池110の発電要素111を上下から加圧する上部加圧板121と下部加圧板122、および積層体110Sを加圧した状態の上部加圧板121および下部加圧板122を固定する一対の側板123を含んでいる。
【0040】
上部加圧板121は、
図1および
図2に示すように、下部加圧板122と共に、積層体110Sを構成する複数の単電池110を上下から挟み込んで保持しつつ、各々の単電池110の発電要素111を加圧するものである。上部加圧板121は、凹凸を備えた板状に形成し、十分な剛性を備えた金属からなる。上部加圧板121は、水平面上に設けている。上部加圧板121は、
図2に示すように、発電要素111を下方に向かって加圧する加圧面121aを備えている。加圧面121aは、平坦に形成され、上部加圧板121の中央の部分から下方に向かって突出している。上部加圧板121は、組電池100同士を連結するボルトを挿入するロケート孔121bを備えている。ロケート孔121bは、貫通孔からなり、上部加圧板121の四隅に開口している。
【0041】
下部加圧板122は、
図2に示すように、上部加圧板121と同一の形状からなり、上部加圧板121の天地を逆転させるように設けている。下部加圧板122は、上部加圧板121と同様に、発電要素111を上方に向かって加圧する加圧面122a、および組電池100同士をZ方向に沿って位置決めしつつ連結するボルトを挿入するロケート孔122bを備えている。
【0042】
一対の側板123は、
図1および
図2に示すように、積層体110Sを加圧した状態の上部加圧板121および下部加圧板122を固定するものである。すなわち、一対の側板123は、上部加圧板121および下部加圧板122の間隔を一定に維持する。また、一対の側板123は、積層した単電池110のX方向に沿った側面を被覆して保護する。側板123は、平板状に形成し、金属からなる。一対の側板123は、積層した単電池110のX方向に沿った両側面に対向するように、起立して設けている。一対の側板123は、上部加圧板121および下部加圧板122に対して溶接している。
【0043】
バスバユニット130の構成を詳述する。
【0044】
バスバユニット130は、複数のバスバ132を一体的に保持するバスバホルダ131、上下に並んだ単電池110の電極タブ112を電気的に接続するバスバ132、電気的に接続された複数の単電池110のアノード側の終端を外部の入出力端子に臨ませるアノード側ターミナル133、電気的に接続された複数の単電池110のカソード側の終端を外部の入出力端子に臨ませるカソード側ターミナル134、およびバスバ132等を保護する保護カバー135を含んでいる。
【0045】
バスバホルダ131は、
図2および
図4に示すように、複数のバスバ132を一体的に保持するものである。バスバホルダ131は、複数のバスバ132を、積層体110Sの各々の単電池110の電極タブ112に対面するように、マトリクス状に一体的に保持している。バスバホルダ131は、絶縁性を備えた樹脂からなり、枠状に形成している。
【0046】
バスバホルダ131は、
図4に示すように、単電池110の電極タブ112を支持している方の第1スペーサ114の長手方向の両側に位置するように、Z方向に沿って起立した一対の支柱部131aをそれぞれ備えている。一対の支柱部131aは、第1スペーサ114の側面に嵌合する。一対の支柱部131aは、Z方向に沿って視認した場合にL字状であって、Z方向に沿って延在した板状に形成している。バスバホルダ131は、第1スペーサ114の長手方向の中央付近に位置するように、Z方向に沿って起立した一対の補助支柱部131bを離間させて備えている。一対の補助支柱部131bは、Z方向に沿って延在した板状に形成している。
【0047】
バスバホルダ131は、
図4に示すように、Z方向に沿って隣り合うバスバ132の間にそれぞれ突出する絶縁部131cを備えている。絶縁部131cは、Y方向に沿って延在した板状に形成している。各々の絶縁部131cは、補助支柱部131bと補助支柱部131bの間に水平に備えている。絶縁部131cは、Z方向に沿って隣り合うバスバ132の間を絶縁することによって放電を防止する。
【0048】
バスバホルダ131は、それぞれ独立して形成した支柱部131aと補助支柱部131bおよび絶縁部131cを互いに接合して構成してもよいし、支柱部131aと補助支柱部131bおよび絶縁部131cを一体的に成形して構成してもよい。
【0049】
バスバ132は、
図3A、
図3B、
図4および
図5に示すように、上下に並んだ単電池110の電極タブ112を電気的に接続するものである。バスバ132は、一の単電池110のアノード側電極タブ112Aと、他の単電池110のカソード側電極タブ112Kを電気的に接続する。バスバ132は、
図5に示すように、例えば、第1セルサブアッシ110Mの上下に3つ並んだアノード側電極タブ112Aと、第2セルサブアッシ110Nの上下に3つ並んだカソード側電極タブ112Kを電気的に接続する。
【0050】
すなわち、バスバ132は、
図5に示すように、例えば、第1セルサブアッシ110Mの3つのアノード側電極タブ112Aを並列接続し、かつ、第2セルサブアッシ110Nの3つのカソード側電極タブ112Kを並列接続する。さらに、バスバ132は、第1セルサブアッシ110Mの3つのアノード側電極タブ112Aと、第2セルサブアッシ110Nの3つのカソード側電極タブ112Kを直列接続する。バスバ132は、一の単電池110のアノード側電極タブ112Aと、他の単電池110のカソード側電極タブ112Kに対してレーザ溶接している。
【0051】
バスバ132は、
図3Aおよび
図4に示すように、アノード側バスバ132Aとカソード側バスバ132Kを接合して構成している。アノード側バスバ132Aとカソード側バスバ132Kは、同一の形状からなり、それぞれL字状に形成している。バスバ132は、
図3Aおよび
図4に示すように、アノード側バスバ132Aの屈折した一端と、カソード側バスバ132Kの屈折した一端を接合してなる接合部132cによって、一体化している。バスバ132を構成するアノード側バスバ132Aおよびカソード側バスバ132Kは、
図4に示すように、Y方向に沿った両端にバスバホルダ131と接合する側部132dを備えている。
【0052】
アノード側バスバ132Aは、単電池110のアノード側電極タブ112Aと同様に、アルミニウムからなる。カソード側バスバ132Kは、単電池110のカソード側電極タブ112Kと同様に、銅からなる。異なる金属からなるアノード側バスバ132Aとカソード側バスバ132Kは、超音波接合によって互いに接合し、接合部132cを形成している。
【0053】
マトリクス状に配設したバスバ132のうち、
図4の図中右上に位置するバスバ132は、21つの単電池110(3並列7直列)のアノード側の終端に相当し、アノード側バスバ132Aのみから構成している。このアノード側バスバ132Aは、積層した単電池110のうち最上部の3つの単電池110のアノード側電極タブ112Aに対してレーザ接合している。
【0054】
マトリクス状に配設したバスバ132のうち、
図4の図中左下に位置するバスバ132は、21つの単電池110(3並列7直列)のカソード側の終端に相当し、カソード側バスバ132Kのみから構成している。このカソード側バスバ132Kは、積層した単電池110のうち最下部の3つの単電池110のカソード側電極タブ112Kに対してレーザ接合している。
【0055】
アノード側ターミナル133は、
図1および
図2に示すように、電気的に接続された複数の単電池110のアノード側の終端を外部の入出力端子に臨ませるものである。アノード側ターミナル133は、
図2に示すように、マトリクス状に配設したバスバ132のうち、図中右上に位置するアノード側バスバ132Aに接合する。アノード側ターミナル133は、両端を屈折させた板状に形成し、導電性を備えた金属からなる。
【0056】
カソード側ターミナル134は、
図1および
図2に示すように、電気的に接続された複数の単電池110のカソード側の終端を外部の入出力端子に臨ませるものである。カソード側ターミナル134は、
図2に示すように、マトリクス状に配設したバスバ132のうち、図中左下に位置するカソード側バスバ132Kに接合する。カソード側ターミナル134は、アノード側ターミナル133と形状からなり、天地を反転させている。
【0057】
保護カバー135は、
図1および
図2に示すように、バスバ132等を保護するものである。すなわち、保護カバー135は、複数のバスバ132を一体的に被覆することによって、各々のバスバ132が他の部材等と接触して電気的な短絡が発生することを防止する。保護カバー135は、
図2に示すように、Z方向に沿って起立した側面135aの一端135bと他端135cを爪のようにX方向に向かって屈折し、絶縁性を備えたプラスチックスからなる。
【0058】
保護カバー135は、側面135aによって各々のバスバ132を被覆しつつ、一端135bと他端135cによってバスバホルダ131を上下から挟み込んで固定している。保護カバー135は、矩形状の孔からなりアノード側ターミナル133を外部に臨ませる第1開口135dと、矩形状の孔からなりカソード側ターミナル134を外部に臨ませる第2開口135eを、それぞれ側面135aに備えている。
【0059】
以上説明した実施形態の作用効果を説明する。
【0060】
単電池110は、電池本体110Hと、アノード側電極タブ112Aおよびカソード側電極タブ112Kと、一対のラミネートフィルム113と、を有している。電池本体110Hは、発電要素111を含み扁平に形成している。アノード側電極タブ112Aおよびカソード側電極タブ112Kは、電池本体110Hから導出している。一対のラミネートフィルム113は、シート状の金属層113Mと、金属層113Mを両面から被覆して絶縁するシート状の絶縁層113Nと、を含み、電池本体110Hを挟み込んで封止している。ここで、一対のラミネートフィルム113は、電池本体110Hから延長した外縁113dの少なくとも一部を折り曲げつつ、金属層113Mの露出した端部113eを絶縁層113Nの表面113fから離間させている。
【0061】
組立体100Aは、上記の単電池110と、単電池110を支持するスペーサ(第1スペーサ114および第2スペーサ115)と、を有している。ここで、例えば第1スペーサ114は、金属層113Mの露出した端部113eの少なくとも一部を収容する収容部114jを備えている。
【0062】
かかる単電池110および組立体100Aによれば、ラミネートフィルム113の外縁113dを折り曲げた状態において、その外縁113dの金属層113Mの露出した端部113eを、ラミネートフィルム113の表面113fから離間させている。すなわち、結露によって生じた水滴、水膜、または水柱が、ラミネートフィルム113の表面113fを伝って移動しても、金属層113Mの端部113eへの接触を抑制することができる。さらに、かかる単電池110および組立体100Aによれば、ラミネートフィルム113の外縁113dを折り曲げていることから、体積効率を向上させて小型化できる。したがって、単電池110、および単電池110とスペーサ(第1スペーサ114および第2スペーサ115)との組立体100Aによれば、金属層113Mの端部113eが露出したラミネートフィルム113を用いる場合であっても、結露に起因した漏電を抑制しつつ小型化することができる。なお、金属層113Mの端部113eを絶縁性を備えた部材によって絶縁する構成を採用した場合、製造原価が増大することになる。
【0063】
単電池110において、外縁113dは、電池本体110Hの側に向かって折り曲げることが好ましい。
【0064】
かかる単電池110によれば、単電池110の周囲の部材において結露によって生じた水滴が、単電池110のラミネートフィルム113の側に移動しても、その水滴を金属層113Mの端部113eに接触させ難くすることができる。したがって、単電池110は、結露に起因した漏電を抑制することができる。
【0065】
単電池110において、外縁113dは、複数回折り曲げることが好ましい。
【0066】
かかる単電池110によれば、結露によって生じた水滴が、ラミネートフィルム113の表面113fを伝って移動しても、その水滴を金属層113Mの端部113eまで到達させ難くすることができる。したがって、単電池110は、結露に起因した漏電を抑制することができる。
【0067】
単電池110において、電池本体110Hは、水平に配置し、外縁113dは、下方に折り曲げてから上方に向かって突出するように折り曲げることが好ましい。
【0068】
かかる単電池110によれば、結露によって生じ自然落下する水滴を、金属層113Mの端部113eに接触させ難くすることができる。また、結露によって生じ自然落下する水滴が金属層113Mの端部113eに接触しても、その水滴を金属層113Mの端部113eから離間させることができる。したがって、単電池110は、結露に起因した漏電を抑制することができる。また、金属層113Mの露出した端部113eを上方に向かせていることから、下方に位置する構成部材(例えば第1スペーサ114)を大きく切り欠く必要が無く、その構成部材(例えば第1スペーサ114)の剛性を保つことができる。
【0069】
組立体100Aにおいて、収容部114jは、金属層113Mの露出した端部113eを収容部114jの内面(例えば底面114pまたは内側面114q)から離間させるように外縁113dに接触して、外縁113dの位置を規制する規制部(例えば第1突出部114rまたは第2突出部114s)を備えることが好ましい。
【0070】
かかる組立体100Aによれば、結露によって生じ収容部114jに伝わる水滴と、規制部によって収容部114jの内面から離間された金属層113Mの端部113eを接触させ難くすることができる。したがって、組立体100Aは、結露に起因した漏電を抑制することができる。
【0071】
組立体100Aにおいて、電池本体110Hは、水平に配置し、外縁113dは、下方に向かって折れ曲がり、収容部114jは、下方に向かって開口した凹状の穴からなり、規制部は、収容部114jの底面114pから部分的に突出した凸状の第1突出部114rからなることが好ましい。
【0072】
かかる組立体100Aによれば、結露によって生じ収容部114jの底面114pに溜った水滴や水膜と、第1突出部114rによって底面114pから離間された金属層113Mの端部113eを接触させ難くすることができる。したがって、組立体100Aは、結露に起因した漏電を抑制することができる。
【0073】
組立体100Aにおいて、電池本体110Hは、水平に配置し、外縁113dは、下方に向かって折れ曲がり、収容部114jは、下方に向かって開口した凹状の穴からなり、規制部は、収容部114jの内側面114qから部分的に突出した凸状の第2突出部114sからなることが好ましい。
【0074】
かかる組立体100Aによれば、結露によって生じ収容部114jの内側面114qを伝わる水滴や水柱と、第2突出部114sによって内側面114qから離間された金属層113Mの端部113eを接触させ難くすることができる。したがって、組立体100Aは、結露に起因した漏電を抑制することができる。
【0075】
そのほか、本発明は、特許請求の範囲に記載された構成に基づき様々な改変が可能であり、それらについても本発明の範疇である。
【0076】
例えば、一対のラミネートフィルム113の外縁113dを単電池110の積層方向に沿って上方に向かって折り曲げ、スペーサ(第1スペーサ114および第2スペーサ115)の収容部114jを下方から上方に向かって開口した穴として構成してもよい。