特許第6861006号(P6861006)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861006
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】乳風味増強剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20210412BHJP
   A23C 9/156 20060101ALN20210412BHJP
【FI】
   A23L27/00 C
   !A23C9/156
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-187595(P2016-187595)
(22)【出願日】2016年9月26日
(65)【公開番号】特開2018-50494(P2018-50494A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】390010674
【氏名又は名称】理研ビタミン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】古瀬 憲
(72)【発明者】
【氏名】澤本 武
【審査官】 中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−201944(JP,A)
【文献】 特開平09−143491(JP,A)
【文献】 特開2010−268786(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/077385(WO,A1)
【文献】 特開2000−032910(JP,A)
【文献】 特開2009−232754(JP,A)
【文献】 特開2011−030513(JP,A)
【文献】 米国特許第06635299(US,B1)
【文献】 中国特許出願公開第102845540(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリセリンコハク酸脂肪酸エステル及びグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する乳成分含有飲食品(ただし、乳固形分濃度が12.6質量%を超える乳成分含有飲食品を除く)用乳風味増強剤であって、該剤が、下記条件(1)及び(2)を満たすことを特徴とする乳風味増強剤。
(1)酸価が70mgKOH/g以下
(2)該剤100質量%中のグリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量が45質量%以上70質量%以下
【請求項2】
グリセリンコハク酸脂肪酸エステル及びグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する乳風味増強剤を乳成分含有飲食品(ただし、乳固形分濃度が12.6質量%を超える乳成分含有飲食品を除く)に添加する乳成分含有飲食品の乳風味増強方法であって、該剤が、下記条件(1)及び(2)を満たすことを特徴とする乳成分含有飲食品の乳風味増強方法。
(1)酸価が70mgKOH/g以下
(2)該剤100質量%中のグリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量が45質量%以上70質量%以下
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳風味増強剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、牛乳、ミルクコーヒー等の多種多様な乳成分含有飲食品が製品化されて市場に流通している。このような乳成分含有飲食品は、UHT殺菌やレトルト殺菌等の加熱殺菌工程を経ることにより、又は加熱殺菌後、ホットベンダー等で高温保存状態下に置かれることにより、乳成分の劣化が生じ乳風味が損なわれてしまうという問題があった。そこで、乳成分含有飲食品について、乳風味を増強する方法がいくつか提案されている。
【0003】
それらは例えば、特定の構造を有するカフェオフランまたはその類縁体からなる乳含有飲食品用添加剤(特許文献1)、油脂、蛋白質、乳化剤及び水を含む水中油型乳化物であって、油分が50〜72重量%であり、発酵セルロース複合体を含むことを特徴とする高油分水中油型乳化物(特許文献2)等である。
【0004】
しかしながら、これらの方法には一長一短があり、さらに優れた乳風味増強効果を有する乳風味増強剤が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−79545号公報
【特許文献2】特開2015−2682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、乳成分含有飲食品に添加することにより、優れた乳風味増強効果が発揮される乳風味増強剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、グリセリンコハク酸脂肪酸エステルとグリセリンモノ脂肪酸エステルの混合物が、特定の条件下において乳成分含有飲食品の乳風味増強効果を有することを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0008】
即ち、本発明は、次の〔1〕及び〔2〕からなっている。
〔1〕グリセリンコハク酸脂肪酸エステル及びグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する乳風味増強剤であって、該剤が、下記条件(1)及び(2)を満たすことを特徴とする乳風味増強剤。
(1)酸価が85mgKOH/g以下
(2)該剤100質量%中のグリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量が35質量%以上
〔2〕上記(1)に記載の乳風味増強剤を含有する乳成分含有飲食品。
【発明の効果】
【0009】
本発明の乳風味増強剤を乳成分含有飲食品に添加することにより、乳成分含有飲食品の乳風味を増強させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の乳風味増強剤に含有されるグリセリンコハク酸脂肪酸エステルは、グリセリンが有するヒドロキシル基のいずれかにコハク酸及び脂肪酸がそれぞれ少なくとも1つエステル結合した化合物である。
【0011】
本発明の乳風味増強剤に含有されるグリセリンモノ脂肪酸エステルは、グリセリンが有するヒドロキシル基のいずれか1つに脂肪酸がエステル結合した、エステル結合数が1の化合物である。
【0012】
上記グリセリンコハク酸脂肪酸エステル及びグリセリンモノ脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、食用可能な動植物油脂を起源とする脂肪酸であれば特に制限はなく、例えば炭素数6〜24の直鎖の飽和脂肪酸(例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等)又は不飽和脂肪酸(例えば、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、γ−リノレン酸、α−リノレン酸、アラキドン酸、リシノール酸、縮合リシノール酸等)等が挙げられ、好ましくは炭素数16〜18の飽和又は不飽和脂肪酸である。これら脂肪酸は1種類のみであっても、2種類以上を任意に組み合わせたものであっても良い。
【0013】
本発明の乳風味増強剤において、条件(1)の酸価は、85mgKOH/g以下、好ましくは83mgKOH/g以下、さらに好ましくは70mgKOH/g以下である。該酸価は、「第8版 食品添加物公定書」(日本食品添加物協会)の「40.油脂類試験法」に記載の方法に準じて測定される。
【0014】
本発明において、条件(2)のグリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量は、35質量%以上、好ましくは35質量%以上90質量%以下、より好ましくは37質量%以上80質量%以下、さらに好ましくは45質量%以上70質量%以下である。該含有量は、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)で分析することにより求められる。具体的には、以下に示す分析条件にて試料を分析し、分析後、データ処理ソフトウェアによりクロマトグラム上に記録された被検試料の各成分に対応するピークについて、積分計を用いてピーク面積を測定する。測定されたピーク面積に基づいて、面積百分率として各成分の含有量を求めることができる。HPLC分析条件を以下に示す。
<HPLC分析条件>
装置:島津高速液体クロマトグラフ
データ処理ソフトウェア(型式:LCsolution ver.1.0;島津製作所社製)
ポンプ(型式:LC−20AD;島津製作所社製)
カラムオーブン(型式:CTO−20A;島津製作所社製)
オートサンプラ(型式:SIL−20A;島津製作所社製)
検出器:RI検出器(型式:RID−10A;島津製作所社製)
カラム:GPCカラム(型式:SHODEX KF−801;昭和電工社製)
カラム:GPCカラム(型式:SHODEX KF−802;昭和電工社製)
2本連結
移動相:THF(テトラヒドロフラン)
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
サンプル濃度:0.01g/1mL THF
サンプル注入量:20μL(in THF)
【0015】
本発明の乳風味増強剤の製造方法としては、例えば、反応による製造方法、混合による製造方法等を例示することができる。
【0016】
上記した反応による製造方法では、攪拌機、加熱用のジャケット、邪魔板等を備えた通常の反応容器にグリセリンモノ脂肪酸エステル及び無水コハク酸を89/11〜83/17の質量比で仕込み、必要に応じてアルカリ触媒を添加し、例えば90〜130℃、好ましくは94〜110℃で15〜180分間、好ましくは30〜120分間加熱してエステル化反応を行い、条件(1)及び(2)を満たす反応物を得る。
【0017】
上記した反応による製造方法に用いられるグリセリンモノ脂肪酸エステルとしては、商業的に製造及び販売されているグリセリン脂肪酸エステルを使用することができ、該グリセリン脂肪酸エステルとしては例えば、エマルジーP−100(製品名;グリセリンモノパルミチン酸エステル;グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量97質量%;理研ビタミン社製)、エマルジーMS(製品名;グリセリンモノステアリン酸エステル;グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量98質量%;理研ビタミン社製)等が挙げられる。
【0018】
上記した混合による製造方法では、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル及びグリセリンモノ脂肪酸エステルを均一に混合し、条件(1)及び(2)を満たす混合物を得る。
【0019】
上記した混合による製造方法に用いられるグリセリンコハク酸脂肪酸エステルとしては、例えば、ポエムB−10(製品名;グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量16質量%;理研ビタミン社製)、ポエムB−30(製品名;グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量16質量%;理研ビタミン社製)等が商業的に製造及び販売されており、本発明ではこれらを用いることができる。
【0020】
上記した混合による製造方法に用いられるグリセリンモノ脂肪酸エステルとしては、商業的に製造及び販売されているグリセリン脂肪酸エステルを使用することができ、該グリセリン脂肪酸エステルとしては例えば、エマルジーP−100(製品名;グリセリンモノパルミチン酸エステル;グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量97質量%;理研ビタミン社製)、エマルジーMS(製品名;グリセリンモノステアリン酸エステル;グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量98質量%;理研ビタミン社製)等が挙げられる。
【0021】
本発明の乳風味増強剤は、本発明の効果を妨げない範囲で他の任意の成分を配合することができる。例えば、カゼインナトリウム、デキストリン、結晶セルロース等の賦形剤、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル及びグリセリンモノ脂肪酸エステル以外の乳化剤等を配合することができる。
【0022】
本発明の乳風味増強剤は、乳成分含有飲食品に用いることができる。該乳成分含有飲食品としては、例えば、乳、乳製品並びに乳及び/又は乳製品を含有する飲食品等が挙げられる。該乳としては、例えば、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(昭和26年12月27日厚生省令第52号)に規定された生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳及び加工乳等が挙げられる。該乳製品としては、例えば、前記省令に規定されたクリーム、バター、バターオイル、チーズ、濃縮ホエイ、アイスクリーム類、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、たんぱく質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、発酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料等が挙げられる。該乳及び/又は乳製品を含有する飲食品としては、例えば、上記の牛乳、クリーム、バター、チーズ、練乳、粉乳等を添加したコーヒー飲料、茶飲料、果汁飲料、炭酸飲料、冷菓類、和洋菓子類、パン類、スープ類、カレー、シチュー、各種インスタント食品、各種スナック食品、ドレッシング等の調味料等が挙げられる。
【0023】
本発明の乳風味増強剤を乳成分含有飲食品へ添加する方法は特に制限はなく、乳成分含有飲食品の製造時に原料として仕込む方法、製造された後の乳成分含有飲食品に添加する方法等、いずれの方法であっても良い。
【0024】
本発明に係る乳成分含有飲食品に対する本発明の乳風味増強剤の添加量としては、乳成分含有飲食品の形態にもよるので一概には言えないが、例えば乳成分含有飲食品100質量部に対し、通常0.005〜0.3質量部、好ましくは0.03〜0.15質量部である。
【0025】
以下に本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない
【実施例】
【0026】
<乳風味増強剤の製造>
[製造例1]
グリセリン脂肪酸エステル(商品名:エマルジーP−100;グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量97質量%;理研ビタミン社製)850g、無水コハク酸(商品名:リカシッド;新日本理化社製)150gを四ツ口フラスコに仕込み、114℃で30分間エステル化反応を行わせた。得られた反応物を冷却し、乳風味増強剤1を得た。該剤を分析したところ、酸価は83mgKOH/g、グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量は37質量%であった。
【0027】
[製造例2]
グリセリン脂肪酸エステル(商品名:エマルジーP−100;グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量97質量%;理研ビタミン社製)850g、無水コハク酸(商品名:リカシッド;新日本理化社製)150g、炭酸ナトリウム(商品名;高杉製薬社製)1.49gを四ツ口フラスコに仕込み、112℃で30分間エステル化反応を行わせた。得られた反応物を冷却し、乳風味増強剤2を得た。該剤を分析したところ、酸価は83mgKOH/g、グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量は37質量%であった。
【0028】
[製造例3]
グリセリン脂肪酸エステル(商品名:エマルジーP−100;グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量97質量%;理研ビタミン社製)849g、無水コハク酸(商品名:リカシッド;新日本理化社製)151g、炭酸ナトリウム(商品名;高杉製薬社製)6.29gを四ツ口フラスコに仕込み、92℃で120分間エステル化反応を行わせた。得られた反応物を冷却し、乳風味増強剤3を得た。該剤を分析したところ、酸価は80mgKOH/g、グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量は37質量%であった。
【0029】
[製造例4]
グリセリン脂肪酸エステル(商品名:エマルジーP−100;グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量97質量%;理研ビタミン社製)870g、無水コハク酸(商品名:リカシッド;新日本理化社製)130g、炭酸ナトリウム(商品名;高杉製薬社製)4.69gを四ツ口フラスコに仕込み、93℃で120分間エステル化反応を行わせた。得られた反応物を冷却し、乳風味増強剤4を得た。該剤を分析したところ、酸価は70mgKOH/g、グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量は45質量%であった。
【0030】
[製造例5]
グリセリン脂肪酸エステル(商品名:エマルジーP−100;グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量97質量%;理研ビタミン社製)890g、無水コハク酸(商品名:リカシッド;新日本理化社製)110g、炭酸ナトリウム(商品名;高杉製薬社製)1.48gを四ツ口フラスコに仕込み、94℃で120分間エステル化反応を行わせた。得られた反応物を冷却し、乳風味増強剤5を得た。該剤を分析したところ、酸価は62mgKOH/g、グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量は50質量%であった。
【0031】
[製造例6]
グリセリン脂肪酸エステル(商品名:エマルジーP−100;グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量97質量%;理研ビタミン社製)890g、無水コハク酸(商品名:リカシッド;新日本理化社製)110g、炭酸ナトリウム(商品名;高杉製薬社製)4.68gを四ツ口フラスコに仕込み、110℃で30分間エステル化反応を行わせた。得られた反応物を冷却し、乳風味増強剤6を得た。該剤を分析したところ、酸価は60mgKOH/g、グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量は54質量%であった。
【0032】
[製造例7]
グリセリン脂肪酸エステル(商品名:エマルジーP−100;グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量97質量%;理研ビタミン社製)770g、無水コハク酸(商品名:リカシッド;新日本理化社製)110g、炭酸ナトリウム(商品名;高杉製薬社製)4.68gを四ツ口フラスコに仕込み、110℃で30分間エステル化反応を行わせた。得られた反応物にグリセリン脂肪酸エステル(商品名:エマルジーP−100;グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量97質量%;理研ビタミン社製)120gを添加し、90℃で30分間撹拌した後冷却し、乳風味増強剤7を得た。該剤を分析したところ、酸価は56mgKOH/g、グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量は49質量%であった。
【0033】
[製造例8]
グリセリン脂肪酸エステル(商品名:エマルジーP−100;グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量97質量%;理研ビタミン社製)560g、無水コハク酸(商品名:リカシッド;新日本理化社製)80g、炭酸ナトリウム(商品名;高杉製薬社製)4.68gを四ツ口フラスコに仕込み、110℃で30分間エステル化反応を行わせた。得られた反応物にグリセリン脂肪酸エステル(商品名:エマルジーP−100;グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量97質量%;理研ビタミン社製)360gを添加し、85℃で30分間撹拌した後冷却し、乳風味増強剤8を得た。該剤を分析したところ、酸価は43mgKOH/g、グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量は63質量%であった。
【0034】
[製造例9]
グリセリン脂肪酸エステル(商品名:エマルジーP−100;グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量97質量%;理研ビタミン社製)420g、無水コハク酸(商品名:リカシッド;新日本理化社製)60g、炭酸ナトリウム(商品名;高杉製薬社製)3.08gを四ツ口フラスコに仕込み、110℃で30分間エステル化反応を行わせた。得られた反応物にグリセリン脂肪酸エステル(商品名:エマルジーP−100;グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量97質量%;理研ビタミン社製)520gを添加し、88℃で30分間撹拌した後冷却し、乳風味増強剤9を得た。該剤を分析したところ、酸価は31mgKOH/g、グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量は70質量%であった。
【0035】
[製造例10]
グリセリンコハク酸脂肪酸エステル(商品名:ポエムB−30;理研ビタミン社製)859gと、グリセリン脂肪酸エステル(商品名:エマルジーP−100;グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量97質量%;理研ビタミン社製)141gを、90℃で30分間撹拌し、得られた混合物を冷却し、乳風味増強剤10を得た。該剤を分析したところ、酸価は93mgKOH/g、グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量は23質量%であった。
【0036】
[製造例11]
グリセリン脂肪酸エステル(商品名:エマルジーP−100;グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量97質量%;理研ビタミン社製)835g、無水コハク酸(商品名:リカシッド;新日本理化社製)165gを四ツ口フラスコに仕込み、115℃で30分間エステル化反応を行わせた。得られた反応物を冷却し、乳風味増強剤11を得た。該剤を分析したところ、酸価は93mgKOH/g、グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量は30質量%であった。
【0037】
[製造例12]
グリセリン脂肪酸エステル(商品名:エマルジーP−100;グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量97質量%;理研ビタミン社製)835g、無水コハク酸(商品名:リカシッド;新日本理化社製)165g、炭酸ナトリウム(商品名;高杉製薬社製)4.69gを四ツ口フラスコに仕込み、92℃で120分間エステル化反応を行わせた。得られた反応物を冷却し、乳風味増強剤12を得た。該剤を分析したところ、酸価は87mgKOH/g、グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量は29質量%であった。
【0038】
ここで、製造例1〜12で得られた乳風味増強剤1〜12について、酸価及びグリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量を表1に示す。また、後述の「乳風味増強度合の評価」では、乳風味増強剤1〜12の他に、比較例として、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル及びグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する市販の乳化剤製剤〔乳風味増強剤13(商品名:ポエムB−10;理研ビタミン社製)、乳風味増強剤14(商品名:ポエムB−30;理研ビタミン社製)、乳風味増強剤15(商品名:StepSS;花王社製)及び乳風味増強剤16(商品名:SMG−K;ケリー社製)〕についても評価を行っている。これらの乳風味増強剤13〜16について、酸価及びグリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量を表1に併せて示す。
【0039】
【表1】
【0040】
<乳風味増強度合の評価>
市販の低脂肪牛乳(商品名:おいしい低脂肪牛乳;明治社製)に乳風味増強剤1〜16のいずれかを0.1質量%添加し、70℃に保持しながら、スリーワンモーター(型式:BL600 HEIDONスリーワンモーター;新東科学社製)を用いて300rpmで10分間撹拌した。その後、TKホモミクサー(型式:ホモミクサーMARKII2.5型;プライミクス社製)を用いて10000rpmで3分間乳化した後冷却し、低脂肪牛乳1〜16を得た。また対照として、乳風味増強剤を添加していない低脂肪牛乳を、低脂肪牛乳17とした。
低脂肪牛乳1〜16について、乳風味の増強度合を評価するため官能試験を行った。官能試験では、表2に示す評価基準により、5名のパネラーで評価を行い、評価点の平均値を求め、下記基準に従って記号化した。結果を表3に示す。
◎:平均値3.5以上
○:平均値2.5以上3.5未満
△:平均値1.5以上2.5未満
×:平均値1.5未満
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
表3の結果から明らかなように、実施例としての乳風味増強剤1〜9は、乳成分含有飲食品の乳風味を増強することができた。
一方、比較例としての乳風味増強剤10〜16は、乳成分含有飲食品の乳風味を十分に増強することができなかった。