特許第6861008号(P6861008)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861008
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】容器製造設備及び容器製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/78 20060101AFI20210412BHJP
   B29C 49/64 20060101ALI20210412BHJP
   B29C 49/42 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   B29C49/78
   B29C49/64
   B29C49/42
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-190117(P2016-190117)
(22)【出願日】2016年9月28日
(65)【公開番号】特開2018-51904(P2018-51904A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年4月15日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】松田 圭司
【審査官】 ▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−063143(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/148953(WO,A1)
【文献】 特開2006−052873(JP,A)
【文献】 特開2008−207434(JP,A)
【文献】 特開2012−184034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00 − 49/80
B29B 11/00 − 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製のプリフォームを搬送する搬送コンベヤが設置されたコンベヤ室と、前記搬送コンベヤによって搬送されてきた前記プリフォームをブロー成形して樹脂製の容器を製造するブロー成形機が設置された成形機室とがこの順に備えられた容器製造設備であって、
前記コンベヤ室内において前記搬送コンベヤを覆い前記プリフォームの搬送空間を区画するコンベヤカバーと、
前記コンベヤ室内の温度を通年に亘って所定の第一温度に調節し、且つ前記搬送コンベヤにより搬送する前の前記プリフォームを貯蔵しておく貯蔵室内の温度を、前記第一温度との温度差に基づいて調節するように構成された温度調節機構と、が備えられている容器製造設備。
【請求項2】
前記温度調節機構は、さらに、前記貯蔵室内の温度が、前記第一温度から、少なくとも前記貯蔵室内の年間の最高温度と前記第一温度との温度差の絶対値を引いた第二温度以上であるときは、前記貯蔵室内の温度の調節を行わず、前記第二温度より低いときは、前記貯蔵室内の温度を前記第二温度以上に調節するように構成されている請求項1に記載の容器製造設備。
【請求項3】
前記温度調節機構に、前記プリフォームの前記コンベヤ室における滞在時間を調節するように構成された滞在時間調節機構が備えられている請求項1又は2に記載の容器製造設備。
【請求項4】
前記滞在時間調節機構は、前記搬送コンベヤによる前記プリフォームの搬送速度又は搬送距離のうち少なくとも一方を調節するように構成されている請求項3に記載の容器製造設備。
【請求項5】
前記温度調節機構は、さらに、前記成形機室内の温度を通年に亘って前記第一温度に調節するように構成されている請求項1から4のいずれか一項に記載の容器製造設備。
【請求項6】
前記成形機室内の相対湿度を通年に亘って所定の湿度以下に調節するように構成された湿度調節機構が備えられている請求項5に記載の容器製造設備。
【請求項7】
前記搬送コンベヤにより搬送する前の前記プリフォームを貯蔵しておく貯蔵室と前記コンベヤ室との間に、前記貯蔵室から前記搬送コンベヤに前記プリフォームを供給するプリフォーム供給機が設置された供給室が備えられ、
前記温度調節機構は、さらに、前記供給室内の温度を通年に亘って前記第一温度に調節するように構成されている請求項1から6のいずれか一項に記載の容器製造設備。
【請求項8】
樹脂製のプリフォームを搬送コンベヤによって搬送する搬送ステップと、前記搬送ステップによって搬送されてきた前記プリフォームをブロー成形して樹脂製の容器を製造するブロー成形ステップとがこの順に備えられた容器製造方法であって、
前記搬送ステップにおいて、前記搬送コンベヤが設置されたコンベヤ室内の温度を通年に亘って所定の第一温度に調節し、且つ前記搬送ステップにより搬送する前の前記プリフォームを貯蔵室に貯蔵しておく貯蔵ステップにおいて、前記プリフォームを貯蔵する温度を前記第一温度との温度差に基づいて調節する温度調節ステップが実行される容器製造方法。
【請求項9】
前記温度調節ステップは、さらに、前記貯蔵ステップにおいて前記プリフォームを貯蔵する温度が、前記第一温度から、少なくとも前記貯蔵ステップにおける年間の最高温度と前記第一温度との温度差の絶対値を引いた第二温度以上であるときは、前記貯蔵ステップにおいて温度の調節を行わず、前記第二温度より低いときは、前記貯蔵ステップにおいて温度を前記第二温度以上に調節する請求項8に記載の容器製造方法。
【請求項10】
前記温度調節ステップに、前記プリフォームの前記コンベヤ室における滞在時間を調節する滞在時間調節ステップが備えられている請求項8又は9に記載の容器製造方法。
【請求項11】
前記滞在時間調節ステップは、前記搬送ステップによる前記プリフォームの搬送速度又は搬送距離のうち少なくとも一方を調節する請求項10に記載の容器製造方法。
【請求項12】
前記温度調節ステップは、さらに、前記ブロー成形ステップにおける温度を通年に亘って前記第一温度に調節する請求項8から11のいずれか一項に記載の容器製造方法。
【請求項13】
前記ブロー成形ステップにおける相対湿度を通年に亘って所定の湿度以下に調節する湿度調節ステップが備えられている請求項12に記載の容器製造方法。
【請求項14】
前記搬送ステップにより搬送する前の前記プリフォームを貯蔵しておく貯蔵ステップと前記搬送ステップとの間に、前記貯蔵ステップから前記搬送ステップに前記プリフォームを供給する供給ステップが備えられ、
前記温度調節ステップは、さらに、前記供給ステップにおける温度を通年に亘って前記第一温度に調節する請求項8から13のいずれか一項に記載の容器製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製のプリフォームを搬送する搬送コンベヤが設置されたコンベヤ室と、前記搬送コンベヤによって搬送されてきた前記プリフォームをブロー成形して樹脂製の容器を製造するブロー成形機が設置された成形機室とがこの順に備えられた容器製造設備等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂製容器入り液体製品の一例としての樹脂製容器入り飲料の製造工場において、樹脂製容器の一例としてポリエチレンテレフタレート製ボトル(以下、PETボトルという。)に無菌環境下で飲料を充填する充填機の前段に、PET製のプリフォームからPETボトルをブロー成形するブロー成形機を有するPETボトル製造設備(容器製造設備)が備えられている。
【0003】
ブロー成形機においては、プリフォームは約100℃に加熱され軟化させられたあとに金型内にセットされ、口部から挿入された延伸棒で延ばされながら、高圧の空気が吹き込まれ膨らまされ、金型に沿った所定の形状にブロー成形される。
【0004】
このようなブロー成形をするにあたっては、ブロー成形前のプリフォームの温度や、ブロー成形機の金型の温度が好ましい温度に維持されていないと、得られるPETボトルの肉厚や寸法が変化したり、一部に変色が生じたり、歩留まりが低下してしまう。
【0005】
この問題を解決するために、特許文献1には、ブロー成形機自体を成形機室に設置し、温度調節機構を用いて当該成形機室内の温度及び湿度を制御する技術が開示されている。
【0006】
さらに、特許文献2には、プリフォームを貯蔵する貯蔵室や、貯蔵室に貯蔵されているプリフォームをブロー成形機に搬送するコンベヤが設置されたコンベヤ室についても、温度調節機構を用いて温度を制御する技術が開示されている。
【0007】
なお、プリフォームは貯蔵室に受け入れられたあと最低24時間のエージングをしたあとにブロー成形する運用がされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−68494号公報
【特許文献2】特開2015−063143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、貯蔵室内、コンベヤ室内、成形機室内のすべての温度を通年に亘って所定の温度に調節する温度調節システムを設置するとともに運用することは、PETボトル製造設備におけるイニシャルコスト及びランニングコストを大幅に高める原因となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたもので、コストを低減することができる容器製造設備及び容器製造方法を提供することを目的としている。
【0011】
上述の目的を達成するための、本発明に係る容器製造設備の特徴構成は、樹脂製のプリフォームを搬送する搬送コンベヤが設置されたコンベヤ室と、前記搬送コンベヤによって搬送されてきた前記プリフォームをブロー成形して樹脂製の容器を製造するブロー成形機が設置された成形機室とがこの順に備えられた容器製造設備であって、前記コンベヤ室内において前記搬送コンベヤを覆い前記プリフォームの搬送空間を区画するコンベヤカバーと、前記コンベヤ室内の温度を通年に亘って所定の第一温度に調節するように構成された温度調節機構と、が備えられている点にある。
【0012】
樹脂製のプリフォームをブロー成形して樹脂製の容器を製造するブロー成形機においては、得られた容器の肉厚や寸法等の品質を安定させる観点から、プリフォームの温度が少なくともブロー成形機に搬送されるまでに所定の第一温度に調節されている必要がある。
【0013】
つまり、所定の第一温度とは、樹脂製のプリフォームをブロー成形して樹脂製の容器を製造するブロー成形機において得られた容器の肉厚や寸法等の品質を安定させる観点から予め調節しておくことが好ましい温度であり、プリフォームの材質や形状、ブロー成形機の能力に応じて定められる。
【0014】
プリフォームは、コンベヤ室を通過する際に、コンベヤ室内の空気と熱交換することによって温度が調節される。そこで、温度調節機構を用いて、コンベヤ室内の温度を通年に亘って所定の第一温度に調節することによって、ブロー成形機に搬送されるプリフォームの温度を所定の第一温度に調節する。貯蔵室におけるプリフォームの長時間のエージングが不要となるため、イニシャルコストないしランニングコストをいくらか低減することができる。
【0015】
なお、搬送コンベヤによって搬送されるプリフォームは、コンベヤカバーによって区格された搬送空間内を搬送されることとなるため異物が付着する虞が低減されている。
【0016】
本発明においては、前記温度調節機構は、さらに、前記搬送コンベヤにより搬送する前の前記プリフォームを貯蔵しておく貯蔵室内の温度が、前記第一温度から、少なくとも前記貯蔵室内の年間の最高温度と前記第一温度との温度差の絶対値を引いた第二温度以上であるときは、前記貯蔵室内の温度の調節を行わず、前記第二温度より低いときは、前記貯蔵室内の温度を前記第二温度以上に調節するように構成されていると好適である。
【0017】
貯蔵室内の温度は、貯蔵室の外気温に応じて変動する。貯蔵室に貯蔵されているプリフォームの温度も、貯蔵室内の温度に応じて変動する。
【0018】
たとえば夏場の日中のように外気温がとても高いときには、貯蔵室内の温度もそれに応じて高くなり、貯蔵されているプリフォームの温度も所定の第一温度を上回る熱さになる。逆に、冬場の早朝のように外気温がとても低いときには、貯蔵室内の温度もそれに応じて低くなり、貯蔵されているプリフォームの温度も所定の第一温度をはるかに下回る冷たさになる。
【0019】
そこで、貯蔵室内の温度が第二温度、すなわち、第一温度から、少なくとも貯蔵室内の年間の最高温度と第一温度との温度差の絶対値を引いた温度より低いときには、貯蔵室温度調節機構によって貯蔵室内の温度を第二温度以上に調節するのである。なお貯蔵室内の温度が第二温度以上であると温度調節は不要である。
【0020】
なお、温度調節機構は、貯蔵室内の最低温度が実際に第二温度よりも低いときに、前記貯蔵室内の温度を第二温度以上に調節してもよいし、予め設定された時季になると、前記貯蔵室内の温度を第二温度以上に調節してもよい。このような温度調機構により、最小限の投資でプリフォームの温度の調節が可能となる。
【0021】
本発明においては、前記温度調節機構に、前記プリフォームの前記コンベヤ室における滞在時間を調節するように構成された滞在時間調節機構が備えられていると好適である。
【0022】
滞在時間調節機構によって、プリフォームのコンベヤ室内における滞在時間を調節することができるため、搬送コンベヤによって搬送されるプリフォームの温度を成形機室に至るまでに確実に第一温度に調節することができる。
【0023】
本発明においては、前記滞在時間調節機構は、前記搬送コンベヤによる前記プリフォームの搬送速度又は搬送距離のうち少なくとも一方を調節するように構成されていると好適である。
【0024】
滞在時間調節機構は、搬送コンベヤによるプリフォームの搬送速度又は搬送距離の少なくとも一方を調節することによって、プリフォームのコンベヤ室内における滞在時間を調節することができる。
【0025】
本発明においては、前記温度調節機構は、さらに、前記成形機室内の温度を通年に亘って前記第一温度に調節するように構成されていると好適である。
【0026】
樹脂製のプリフォームをブロー成形して樹脂製の容器を製造するブロー成形機においては、得られた容器の肉厚や寸法等の品質を安定させる観点から、ブロー成形機が設置されている成形機室の温度は所定の第一温度に調節されている必要がある。温度調節機構によって、ブロー成形機が設置されている成形機室の温度も通年に亘って第一温度に調節される。
【0027】
本発明においては、前記成形機室内の相対湿度を通年に亘って所定の湿度以下に調節するように構成された湿度調節機構が備えられていると好適である。
【0028】
樹脂製のプリフォームをブロー成形して樹脂製の容器を製造するブロー成形機においては、得られた容器の肉厚や寸法等の品質を安定させる観点から、ブロー成形機が設置されている成形機室の相対湿度は所定の湿度以下である必要がある。湿度調節機構によって成形機室の相対湿度が所定の湿度以下に調節される。なお、貯蔵室や、コンベヤ室の相対湿度は成行きであってよい。
【0029】
本発明においては、前記搬送コンベヤにより搬送する前の前記プリフォームを貯蔵しておく貯蔵室と前記コンベヤ室との間に、前記貯蔵室から前記搬送コンベヤに前記プリフォームを供給するプリフォーム供給機が設置された供給室が備えられ、前記温度調節機構は、さらに、前記供給室内の温度を通年に亘って前記第一温度に調節するように構成されていると好適である。
【0030】
貯蔵室とコンベヤ室との間にプリフォーム供給機が設置された供給室を配置する場合には、当該供給室内の温度も通年に亘って第一温度に調節されることが好ましい。そこで、温度調節機構によって、供給室内の温度を所定の第一温度に調節する。なお、供給室内の相対湿度は成行きであってよい。
【0031】
上述の目的を達成するための、本発明に係る容器製造方法の特徴構成は、樹脂製のプリフォームを搬送コンベヤによって搬送する搬送ステップと、前記搬送ステップによって搬送されてきた前記プリフォームをブロー成形して樹脂製の容器を製造するブロー成形ステップとがこの順に備えられた容器製造方法であって、前記搬送ステップにおいて、前記搬送コンベヤが設置されたコンベヤ室内の温度を通年に亘って所定の第一温度に調節する温度調節ステップが実行される点にある。
【0032】
本発明においては、前記温度調節ステップは、さらに、前記搬送ステップにより搬送する前の前記プリフォームを貯蔵しておく貯蔵ステップにおいて前記プリフォームを貯蔵する温度が、前記第一温度から、少なくとも前記貯蔵ステップにおける年間の最高温度と前記第一温度との温度差の絶対値を引いた第二温度以上であるときは、前記貯蔵ステップにおいて温度の調節を行わず、前記第二温度より低いときは、前記貯蔵ステップにおいて温度を前記第二温度以上に調節すると好適である。
【0033】
本発明においては、前記温度調節ステップに、前記プリフォームの前記コンベヤ室における滞在時間を調節する滞在時間調節ステップが備えられていると好適である。
【0034】
本発明においては、前記滞在時間調節ステップは、前記搬送ステップによる前記プリフォームの搬送速度又は搬送距離のうち少なくとも一方を調節すると好適である。
【0035】
本発明においては、前記温度調節ステップは、さらに、前記ブロー成形ステップにおける温度を通年に亘って前記第一温度に調節すると好適である。
【0036】
本発明においては、前記ブロー成形ステップにおける相対湿度を通年に亘って所定の湿度以下に調節する湿度調節ステップが備えられていると好適である。
【0037】
本発明においては、前記搬送ステップにより搬送する前の前記プリフォームを貯蔵しておく貯蔵ステップと前記搬送ステップとの間に、前記貯蔵ステップから前記搬送ステップに前記プリフォームを供給する供給ステップが備えられ、前記温度調節ステップは、さらに、前記供給ステップにおける温度を通年に亘って前記第一温度に調節すると好適である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】容器製造設備の概略図である。
図2】コンベヤ室の説明図である。
図3】コンベヤ室におけるプリフォームの時間と温度の説明図である。
図4】コンベヤ室におけるプリフォームの時間と温度の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、樹脂製容器入り液体製品の一例としての樹脂製容器入り飲料の製造工場において、樹脂製容器の一例としてPETボトルに無菌環境下で飲料を充填する充填機が設置されている充填機室6の前段に、PET製のプリフォームからPETボトルをブロー成形するブロー成形機などを備えた本発明に係る容器製造設備1が備られている。なお、本発明に係る容器製造方法は容器製造設備1によって好適に実現される。
【0040】
容器製造設備1は、貯蔵室2、供給室3、コンベヤ室4及び成形機室5を備えている。貯蔵室2、供給室3、コンベヤ室4及び成形機室5は、共通の建屋内において、パーティション等によってそれぞれ個別のエリアに区分されながらも、PETボトルの元となるプリフォームP(図2参照)の搬送経路を介して連通されている。
【0041】
貯蔵室2は、プリフォームPが多数収容されているコンテナを受け取り、貯蔵するためのエリアであり、貯蔵室2において本発明に係る容器製造方法が備える貯蔵ステップが実行される。
【0042】
供給室3は、貯蔵室2に貯蔵された前記コンテナからプリフォームPを、コンベヤ室4に備えられた搬送コンベヤC(図2参照)に繋がる供給コンベヤ上に取り出すプリフォーム供給機が設置されたエリアであり、供給室3において本発明に係る容器製造方法が備える供給ステップが実行される。前記供給コンベヤは、ローラコンベヤから構成されている。
【0043】
コンベヤ室4は、図2に示すように、プリフォーム供給機によってコンテナから取り出されたプリフォームPを搬送する搬送コンベヤCが設置されたエリアであり、コンベヤ室4において本発明に係る容器製造方法が備える搬送ステップが実行される。
【0044】
搬送コンベヤCは、その全長に亘ってコンベヤカバーVによって覆われ、コンベヤカバーVによってプリフォームPの搬送空間が区画される。搬送コンベヤCによって搬送されるプリフォームPは、コンベヤカバーVによって覆われることとなるため異物が付着する虞が低減されている。なお、コンベヤカバーVは、好ましくは透光性を有する樹脂から構成されている。これにより搬送中のプリフォームPの様子を視認することができる。
【0045】
なお、搬送コンベヤCは、アキュームレーション機能を有するローラコンベヤから構成されている。搬送コンベヤCは、図示しない制御部が搬送コンベヤCを駆動させるローラの回転及び停止の制御並びに回転速度を制御することによって、プリフォームPの搬送速度が調節可能であるとともに、アキュームレーション機能によってプリフォームPの搬送を一時停止することができるように構成されている。すなわち、搬送コンベヤC及び前記制御部は本発明に係る容器製造設備1が備える滞在時間調節機構を構成し、これらによって本発明に係る容器製造方法が備える滞在時間調節ステップが実行される。
【0046】
成形機室5は、搬送コンベヤCによって搬送されてきたプリフォームPをブローしてPETボトルを成形するブロー成形機が設置されたエリアであり、成形機室5において本発明に係る容器製造方法が備えるブロー成形ステップが実行される。
【0047】
このブロー成形機においては、プリフォームPは約100℃に加熱され軟化させられたあとに金型内にセットされ、口部から挿入された延伸棒で延ばされながら、高圧の空気が吹き込まれ膨らまされ、金型に沿った所定の形状にブロー成形される。
【0048】
前記ブロー成形機によって製造された空の状態のPETボトルは、図示しない空容器検査機によって成形異常等の有無が検査される。前記空容器検査機によって異常がないと判定されたPETボトルは充填機室6に設けられた充填機によって飲料が充填される。飲料が充填されたPETボトルは、図示しないキャップ巻締装置によってキャップが装着され密封され、出荷される。
【0049】
貯蔵室2には、複数台のファンコイルユニット10と、貯蔵室2の室内の温度を検出する温度計11と、温度計11によって検出された温度に基づいてファンコイルユニット10の稼働を制御する制御部12と、が備えられている。ファンコイルユニット10は、熱交換器とファンとを備えて構成されている。当該熱交換器は、PETボトル入り飲料の製造工場内において使用されている約70℃の循環水を熱源として利用する。なお、前記熱交換器はブロー成形機の排熱を熱源として利用してもよい。このように既存の熱源を利用することにより省エネが図られている。
【0050】
供給室3、コンベヤ室4及び成形機室5には、各室内の温度を調節するエアハンドリングユニット20が接続されている。具体的には、供給室3、コンベヤ室4及び成形機室5のそれぞれに備えられた排気口が吸込配管21を介してエアハンドリングユニット20の吸込側と接続され、供給室3、コンベヤ室4及び成形機室5のそれぞれに備えられた給気口が給気配管22を介してエアハンドリングユニット20の吐出側と接続されている。
【0051】
エアハンドリングユニット20は、送風機、熱交換器、加湿器及び除湿器等を備えて構成されている。当該送風機、熱交換器、加湿器及び除湿器等は制御部23によって制御され、供給室3、コンベヤ室4及び成形機室5から吸い込んだ空気の温度及び湿度を調節して、供給室3、コンベヤ室4及び成形機室5へ供給するように構成されている。
【0052】
なお、供給室3、コンベヤ室4及び成形機室5からエアハンドリングユニット20への吸込量は、制御部23が吸込配管21に備えられたダンパ24を制御することによって個別に調節可能となっている。
【0053】
また、エアハンドリングユニット20から供給室3、コンベヤ室4及び成形機室5への給気量は、制御部23が給気配管22に備えられたダンパ25を制御することによって個別に調節可能となっている。
【0054】
なお、供給室3、コンベヤ室4及び成形機室5は、異物の混入を防止するために、ある程度の気密性を有しつつ陽圧に制御される。また、コンベヤ室4内においてはコンベヤカバーVの周囲の空気の温度が直接的に調節されるが、コンベヤカバーVの隙間ないしコンベヤカバーVを介して搬送空間を搬送されるプリフォームPの温度が調節される。
【0055】
PET製のプリフォームPをブロー成形してPETボトルを製造するブロー成形機においては、得られたPETボトルの肉厚や寸法等の品質を安定させる観点から、プリフォームPの温度が少なくともブロー成形機に搬送されるまでに28℃に調節されている必要がある。つまり、本実施形態においては28℃が所定の第一温度である。
【0056】
したがって、制御部23は、供給室3、コンベヤ室4及び成形機室5の各室内の温度を、通年に亘って28℃に調節する。なお、供給室3、コンベヤ室4及び成形機室5の各室内の温度は、所定の第一温度(28℃)から多少のずれ(±2〜3℃)を有していてもよい。このずれの幅は、ファンコイルユニット10やエアハンドリングユニット20の性能による。制御部23は、少なくとも成形機室5の室内の相対湿度が通年に亘って50%以下となるようにエアハンドリングユニット20を稼働させる。供給室3及びコンベヤ室4の相対湿度は成行きであってよい。
【0057】
ところで、貯蔵室2内の温度は、貯蔵室2の外気温に応じて変動する。貯蔵室2に貯蔵されているプリフォームPの温度も、貯蔵室2内の温度に応じて変動する。
【0058】
たとえば、夏場の日中のように外気温がとても高いときには、貯蔵室2内の温度もそれに応じて高くなり、貯蔵されているプリフォームPの温度も所定の第一温度を上回る熱さになる。逆に、冬場の早朝のように外気温がとても低いときには、貯蔵室2内の温度もそれに応じて低くなり、貯蔵されているプリフォームPの温度も所定の第一温度をはるかに下回る冷たさになる。
【0059】
図3に、プリフォームPを室内の温度が38℃に調節された貯蔵室2内に、プリフォームPの温度が貯蔵室2の室内の温度に馴染む適当な時間貯蔵させたあと、室内の温度が28℃に調節されたコンベヤ室4に約10分間滞在させたときのプリフォームPの外面及び内面の温度変化の様子を示す。なお、プリフォームPの温度は、非接触温度計によって測定した。この結果から、プリフォームPは、約38℃もあった外面も約37℃もあった内面も約10分後には約28℃にまで温度が冷まされていることが分かる。
【0060】
図4に、プリフォームPを室内の温度が5℃に調節された貯蔵室2内に、プリフォームPの温度が貯蔵室2の室内の温度に馴染む適当な時間貯蔵させたあと、室内の温度が28℃に調節されたコンベヤ室4に約10分間滞在させたときのプリフォームPの外面及び内面の温度変化の様子を示す。なお、プリフォームPの温度は、非接触温度計によって測定した。温度変化の様子を示す。この結果から、プリフォームPは、約3℃の外面は約10分間では約11℃にまでしか温められず、約4℃の内面も約10分間では約13℃にまでしか温められなかった。
【0061】
プリフォームPは、コンベヤ室4を通過する際に、コンベヤ室4内の空気と熱交換することによって温度が調節される。したがって、図4のように、プリフォームPの温度が低すぎるときには、コンベヤ室4における滞在時間を大幅に長くすれば、プリフォームPは次第に28℃に調節されると考えられる。しかし、コンベヤ室4での滞在時間を大幅に長くすること、当該容器製造設備1におけるPETボトルの製造速度の低下に繋がるため好ましくない。
【0062】
そこで、貯蔵室2内の温度が第一温度(28℃)から10℃低い温度(18℃)をさらに下回っているときには、ファンコイルユニット10によって貯蔵室2内の温度を第二温度(18℃)以上に調節するのである。
【0063】
上記の図4の例でいうと、コンベヤ室4においてプリフォームPは約10℃程度の熱交換が可能であるため、図4の例のように、プリフォームPの温度が低すぎるようなときは、貯蔵室2内の温度の余裕をみて約25℃まで上げるのである。
【0064】
そうすると、プリフォームPの温度は貯蔵室2において予め約20℃近くまで温められるため、コンベヤ室4において滞在時間が約10分間あれば約28℃まで温められることとなる。
【0065】
当該容器製造設備1が設置される地域において、ある時季には、気温が一日中18℃を下回るようなことがなければ、当該時季においては、貯蔵室2については、室内の温度を調節する必要がなくなるので、ランニングコストを削減することができる。
【0066】
上述の実施形態においては、ファンコイルユニット10、温度計11及び制御部12並びにエアハンドリングユニット20、吸込配管21、給気配管22、制御部23、ダンパ24及びダンパ25が本発明に係る容器製造設備1が備える温度調節機構を構成する。そして、前記温度調節機構によって本発明に係る容器製造方法が備える温度調節ステップが実行される。また、エアハンドリングユニット20、吸込配管21、給気配管22、制御部23、ダンパ24及びダンパ25が、本発明に係る容器製造設備1が備える湿度調節機構を構成する。そして、前記湿度調節機構によって本発明に係る容器製造方法が備える湿度調節ステップが実行される。
【0067】
なお、制御部12は、温度計11によって検出された貯蔵室2内の最低温度が第二温度(18℃)よりも低いときに、ファンコイルユニット10を稼働させ、貯蔵室2内の温度を第二温度(18℃)以上に調節する構成に限らず、予め設定された時季になると、ファンコイルユニット10を稼働させ、貯蔵室2内の温度を第二温度(18℃)以上に調節してもよい。この場合は温度計11が不要である。
【0068】
貯蔵室2は、ファンコイルユニット10によって温度を調節する構成としたことによって、エアハンドリングユニット20のような大掛かりな設備よりイニシャルコストやランニングコストを削減することができる。ただし、ファンコイルユニット10を備えずに、貯蔵室2の室内の温度もエアハンドリングユニット20によって調節する構成としてもよい。
【0069】
上述のように滞在時間調節機構及び滞在時間調節ステップによって、プリフォームPのコンベヤ室4内における滞在時間を調節することができるため、搬送コンベヤCによって搬送されるプリフォームPの温度を成形機室5に至るまでに確実に第一温度に調節することもできる。したがって、滞在時間調節機構も温度調節機構の一部である。同様に滞在時間調節ステップも温度調節ステップの一部である。
【0070】
なお、搬送コンベヤCは、プリフォームPの搬送幅が可変に構成されていてもよい。この場合、搬送幅を狭くすることによってプリフォームPのコンベヤ室4における滞在時間を短くしたり、搬送幅を広くすることによってプリフォームPのコンベヤ室4における滞在時間を長くしたりすることもできる。
【0071】
また、搬送コンベヤCは、プリフォームPの経路長が異なる複数の搬送経路を選択的に切り替えることができるように構成されていてもよい。この場合、経路長が短い搬送経路を選択することによってプリフォームPのコンベヤ室4における滞在時間を短くしたり、経路長が長い搬送経路を選択することによってプリフォームPのコンベヤ室4における滞在時間を長くしたりすることもできる。
【0072】
プリフォームPは、ブロー成形によって製造される容器のプリフォームであれば、PET以外のポリエステルや、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのその他の樹脂から構成されていてもよい。また、ブロー成形によって製造される容器である限りその形状は問わない。したがって、容器の形状はボトル形状でなくてもよい。たとえば、口部が狭まっていない広口の形状であってもよい。
【0073】
容器に充填される内容物は飲料に限定されない。たとえば、調味料や非食品の液体でもよい。さらに、内容物は液体に限定されない。たとえば、粉末状の調味料や菓子等の固体や、液体と固体の中間的性質を持つゲル等であってもよい。
【0074】
上述の説明における第一温度、第二温度、相対湿度及び滞在時間の具体的な値は例示である。第一温度、第二温度、相対湿度及び滞在時間の値は、プリフォームPを構成する樹脂、容器の形状、当該容器製造設備が存在する地域の気候等さまざまな要因に応じて、本発明の条件を満たす範囲において決定される。
【0075】
本発明に係る容器製造設備1及び容器製造方法は、既設のホットパック充填方式の飲料製造工場をアセプティック充填方式の飲料製造工場に改築する際に適用されると特に有効である。本発明に係る容器製造設備1及び容器製造方法によると、レイアウトの制約があるなかで、搬送コンベヤCが設置されているコンベヤ室4を利用してプリフォームPを所定の第一温度に調節することができるため、従来のように貯蔵室2におけるプリフォームPの最低24時間ものエージングが不要となる。
【0076】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、明細書及び図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 :容器製造設備
2 :貯蔵室
3 :供給室
4 :コンベヤ室
5 :成形機室
6 :充填機室
10 :ファンコイルユニット
11 :温度計
12 :制御部
20 :エアハンドリングユニット
21 :吸込配管
22 :給気配管
23 :制御部
24 :ダンパ
25 :ダンパ
C :搬送コンベヤ
P :プリフォーム
V :コンベヤカバー
図1
図2
図3
図4