特許第6861027号(P6861027)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861027
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】研削装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 19/12 20060101AFI20210412BHJP
   B24B 55/02 20060101ALI20210412BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   B24B19/12 J
   B24B55/02 A
   B24B49/10
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-250557(P2016-250557)
(22)【出願日】2016年12月26日
(65)【公開番号】特開2018-103287(P2018-103287A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年10月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】391003668
【氏名又は名称】トーヨーエイテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 誠
【審査官】 須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】 実開平07−007842(JP,U)
【文献】 特開2009−196022(JP,A)
【文献】 特開2006−088291(JP,A)
【文献】 特開2012−030319(JP,A)
【文献】 特開2016−093850(JP,A)
【文献】 特開2012−187648(JP,A)
【文献】 特開昭61−252071(JP,A)
【文献】 実開昭52−118298(JP,U)
【文献】 特開2001−121388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B1/00−1/04
B24B9/00−19/28
B24B41/00−57/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研削クーラントを供給しながら砥石を高速で回転させてワークの内面を研削する研削装置において、
上記砥石を回転させる砥石軸と、
上記砥石軸を回転させる砥石用電動モータと、
上記ワークを回転させるワーク回転軸と、
上記研削クーラントを上記ワークの内面に吐出するノズルと、
上記研削クーラントを上記ノズルに送り込むクーラント回路と、
上記クーラント回路に設けられ、研削クーラントの供給を制御する供給用制御弁と、
上記クーラント回路に設けられ、研削クーラントの供給量を増加させる増量用制御弁と、
上記クーラント回路に設けられたクーラント用ポンプユニットと、
上記砥石用電動モータ及び上記クーラント用ポンプユニットを制御する制御装置とを備え、
上記制御装置は、
上記供給用制御弁を開いて上記研削クーラントを供給すると共に、
上記増量用制御弁を開いて上記研削クーラントの供給量を増やすように構成されており、
上記ワークの楕円形貫通孔を内面研削する場合に、上記制御装置は、上記砥石軸と上記ワーク回転軸との位置関係の情報を利用し、上記砥石が楕円の長径側にあるときに上記増量用制御弁を閉じ、上記楕円の短径側にあるときに上記増量用制御弁を開いて研削クーラントの量を増やすように構成されている
ことを特徴とする研削装置。
【請求項2】
研削クーラントを供給しながら砥石を高速で回転させてワークの内面を研削する研削装置において、
上記砥石を回転させる砥石軸と、
上記砥石軸を回転させる砥石用電動モータと、
上記ワークを回転させるワーク回転軸と、
上記研削クーラントを上記ワークの内面に吐出するノズルと、
上記研削クーラントを上記ノズルに送り込むクーラント回路と、
上記クーラント回路に設けられ、研削クーラントの供給を制御する供給用制御弁と、
上記クーラント回路に設けられ、研削クーラントの供給量を増加させる増量用制御弁と、
上記クーラント回路に設けられたクーラント用ポンプユニットと、
上記砥石用電動モータ及び上記クーラント用ポンプユニットを制御する制御装置とを備え、
上記制御装置は、
上記供給用制御弁を開いて上記研削クーラントを供給すると共に、
上記増量用制御弁を開いて上記研削クーラントの供給量を増やすように構成されており、
上記制御装置は、上記砥石用電動モータの電力計の値を読み、電力計の値が大きくなるときに上記増量用制御弁を閉じ、上記電力計の値が小さくなるときに上記増量用制御弁を開くように構成されている
ことを特徴とする研削装置。
【請求項3】
請求項に記載の研削装置において、
上記制御装置は、フィードバック制御により、上記電力計の値の変化と上記増量用制御弁の開閉タイミングとを調整するように構成されている
ことを特徴とする研削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カムリングなどのワークを研削する研削装置に関し、特にその加工精度の向上に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ワークを低速で回転しつつ又は砥石軸を移動させつつ、研削クーラントを供給しながら砥石を高速で回転させてワークの内面を研削するワークの内面研削方法は知られている。
【0003】
内面研削ではないが、例えば、カムに対する砥石の送り込み速度に合わせて研削クーラントの供給量を変化させるカム研削方法が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭64−71660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ワークの内面に楕円形の貫通孔を設ける場合、長径部と短径部とでは内面のテーパ精度に差が生じる。具体的には、長径部側では、砥石軸側の内径が大きく、反対側の内径が小さくなる傾向にあるが、短径部側では、ほとんどテーパが発生しないことがわかっている。
【0006】
具体的には、図4にフォーム創成軸(X軸)の座標カーブ及び砥石軸用電動モータにかかる負荷の変化の様子を示すように、研削クーラントの供給量を一定としたときに、楕円の内面を加工中に形状位相に連動して砥石軸用電動モータにかかる負荷が変動する。すなわち、長径部Aでは負荷が高く、短径部Bでは負荷が低くなる。これは、研削クーラントの逃げ(排出)量の差による加工負荷の差によって発生すると考えられる。つまり、長径部では砥石外周とワーク内面との間の隙間が狭く、研削クーラントの逃げ道が狭くなり、砥石外周とワーク内面との間に研削クーラントが食い込み、それが加工負荷となって最も細い砥石軸を撓ませ、加工面にテーパを生じさせやすくなる。負荷の変動幅hは、砥石軸電力の準急工程では約13%、仕上げ工程では約10%となり、無視できない値となることがわかった。
【0007】
さらに、研削効率を確保するには、冷却及び切削くず排出のために研削クーラントの量はある程度は必要である。
【0008】
一方、特許文献1のように、送り込み速度に合わせて研削クーラントの量を増減させる方法もあるが、例えば送り込み速度が一定の場合には適用できない。
【0009】
また、内面の研削であるので、砥石をワーク内部に挿入する必要があり、また砥石の厚さを保つためには、砥石軸の外径をあまり大きくするすることができず、負荷変動に耐えられるために砥石軸の形状を太くすることはできない。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、非真円の内面研削において砥石軸の剛性に頼ることなく、安価にワーク内面のテーパ精度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、この発明では、負荷変動に対応させて研削クーラントの供給量を変動させるようにした。
【0012】
具体的には、第1の発明では、研削クーラントを供給しながら砥石を高速で回転させてワークの内面を研削するワークの内面研削方法を前提とする。
【0013】
そして、上記砥石の外周面と上記ワークの内面との間の隙間の大きさに合わせて上記研削クーラントの供給量を調整する構成とする。
【0014】
すなわち、砥石外周とワーク内面との間の隙間が狭くなると、研削クーラントの逃げ道が狭くなり、砥石外周とワーク内面との間に研削クーラントが食い込み、それが加工負荷となって砥石や砥石軸を変形させ、加工面にテーパを生じさせやすくなる。しかし、上記の構成によると、隙間の小さいときには、研削クーラントの量を減らして負荷を小さくし、逆に隙間の大きいときには、研削クーラントの量を減らさないことで、全体として負荷を均一に近付けることができる。これにより、加工面にテーパが生じにくくなる。
【0015】
第2の発明では、上記前提のワークの内面研削方法において、
上記ワークの楕円形貫通孔を内面研削する場合に、上記砥石が楕円の長径側にあるときの研削クーラントの量よりも上記楕円の短径側にあるときの研削クーラントの量を増やす構成とする。
【0016】
すなわち、砥石外周とワーク内面との間の隙間が狭い長径部側では、研削クーラントの逃げ道が狭くなり、砥石外周とワーク内面との間に研削クーラントが食い込み、それが加工負荷となって砥石や砥石軸を変形させ、加工面にテーパを生じさせやすくなる。しかし、上記の構成によると、長径部側では研削クーラントの量を減らして負荷を小さくし、逆に短径部側では研削クーラントの量を減らさないことで、全体として負荷を均一に近付けることができる。これにより、加工面にテーパが生じにくくなる。
【0017】
第3の発明では、上記前提のワークの内面研削方法において、
上記砥石の回転軸を回転させる砥石用電動モータの電力計の値が大きくなるときに上記研削クーラントの量を減らし、上記電力計の値が小さくなるときに上記研削クーラントの量を増やす構成とする。
【0018】
上記の構成によると、砥石用電動モータの電力計の値が大きいときには、研削クーラントの量を減らすことで研削クーラントによる反力を低減し、逆に電力計の値が小さくなるときには、研削クーラントの量を増やすことで、研削クーラントによる反力の大きさをできるだけ均一化し、ワーク内面のテーパが生じないようにすることができる。
【0019】
第4の発明では、第3の発明において、
フィードバック制御により、上記電力計の値の変化と上記研削クーラントの量の増減のタイミングとを調整する構成とする。
【0020】
すなわち、電力計の変化に合わせて研削クーラントを増減させると、ノズルまでの経路等の影響で応答がずれてしまう。上記の構成によると、ずれ具合を制御装置に戻してフィードバック制御することにより、電力計の値の変化と研削クーラントの量の増減のタイミングとを適切に調整することができる。
【0021】
第5の発明では、研削クーラントを供給しながら砥石を高速で回転させてワークの内面を研削する研削装置を前提とし、
上記研削装置は、
上記砥石を回転させる砥石軸と、
上記砥石軸を回転させる砥石用電動モータと、
上記ワークを回転させるワーク回転軸と、
上記研削クーラントを上記ワークの内面に吐出するノズルと、
上記研削クーラントを上記ノズルに送り込むクーラント回路と、
上記クーラント回路に設けられ、研削クーラントの供給を制御する供給用制御弁と、
上記クーラント回路に設けられ、研削クーラントの供給量を増加させる増量用制御弁と、
上記クーラント回路に設けられたクーラント用ポンプユニットと、
上記砥石用電動モータ及び上記クーラント用ポンプユニットを制御する制御装置とを備え、
上記制御装置は、
上記供給用制御弁を開いて上記研削クーラントを供給すると共に、
上記増量用制御弁を開いて上記研削クーラントの供給量を増やすように構成されている。
【0022】
すなわち、砥石外周とワーク内面との間の隙間が狭くなると、研削クーラントの逃げ道が狭くなり、砥石外周とワーク内面との間に研削クーラントが食い込み、それが加工負荷となって砥石や砥石軸を変形させ、加工面にテーパを生じさせやすくなる。しかし、上記の構成によると、隙間の小さいときには、増量用制御弁を閉じて研削クーラントの量を減らして負荷を小さくし、逆に隙間の大きいときには、増量用制御弁を開いて研削クーラントの量を減らさないことで、全体として負荷を均一に近付けることができる。これにより、加工面にテーパが生じにくくなる。
【0023】
第6の発明では、第5の発明において、
上記ワークの楕円形貫通孔を内面研削する場合に、上記制御装置は、上記砥石軸と上記ワーク回転軸との位置関係の情報を利用し、上記砥石が楕円の長径側にあるときに上記増量用制御弁を閉じ、上記楕円の短径側にあるときに上記増量用制御弁を開いて研削クーラントの量を増やすように構成されている。
【0024】
上記の構成によると、制御装置が砥石軸とワーク回転軸との位置関係の情報を読み、砥石が楕円の長径側にあるときにには、研削クーラントの量を減らすことで研削クーラントによる反力を低減し、逆に楕円の短径側にあるときには、研削クーラントの量を増やすことで、研削クーラントによる反力の大きさをできるだけ均一化し、ワーク内面のテーパが生じないようにすることができる。
【0025】
第7の発明では、第5又は第6の発明において、
上記制御装置は、上記砥石用電動モータの電力計の値を読み、電力計の値が大きくなるときに上記増量用制御弁を閉じ、上記電力計の値が小さくなるときに上記増量用制御弁を開くように構成されている。
【0026】
上記の構成によると、制御装置が、砥石用電動モータの電力計を読み、その値が大きいときには、研削クーラントの量を減らすことで研削クーラントによる反力を低減し、逆に電力計の値が小さくなるときには、研削クーラントの量を増やすことで、研削クーラントによる反力の大きさをできるだけ均一化し、ワーク内面のテーパが生じないようにすることができる。
【0027】
第8の発明では、第7の発明において、
上記制御装置は、フィードバック制御により、上記電力計の値の変化と上記増量用制御弁の開閉タイミングとを調整するように構成されている。
【0028】
すなわち、電力計の変化に合わせて研削クーラントを増減させると、ノズルまでの経路等の影響で応答がずれてしまう。上記の構成によると、ずれ具合を制御装置に戻してフィードバック制御することにより、電力計の値の変化と研削クーラントの量の増減のタイミングとを適切に調整することができる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明によれば、砥石の外周面とワークの内面との間の隙間の大きさ、砥石の位置又は砥石用電動モータの電力計の位置に合わせて研削クーラントの供給量を調整するようにしたことにより、非真円の内面研削において砥石軸の剛性に頼ることなく、安価にワーク内面のテーパ精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】ワークの内面研削方法における各工程における砥石軸の負荷の変動等を示すグラフである。
図2A】砥石軸挿入工程を示す斜視図である。
図2B】切削中の様子を示す斜視図である。
図3】クーラント回路を示す図である。
図4】X軸の座標カーブ及び砥石軸用電動モータにかかる負荷の変化の様子を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0032】
−研削装置の構成−
図2Aは本発明の実施形態に係る、NC工作機械などの研削装置の概要を示す斜視図であり、この研削装置は、ワークWを低速で回転しつつ研削クーラントを供給しながら砥石1を高速で回転させてワークWの内面を研削するものである。研削装置は、砥石1を回転させる砥石軸2と、この砥石軸2を回転させる砥石用電動モータ3とを備えている。研削装置は、ワークWを低速で回転させるワーク回転軸4を備えている。ワーク回転軸4は、電動モータなどのワーク軸回転手段5により回転されるようになっている。砥石用電動モータ3、ワーク軸回転手段5等は、制御装置6によって制御可能となっている。
【0033】
また、研削装置は、研削クーラント10をワークWの内面に吐出するノズル11と、このノズル11に研削クーラント10を送り込むクーラント回路12を備えている。図3に示すように、クーラント回路12には、クーラント用ポンプユニット13を備え、このクーラント用ポンプユニット13には、吐出ポンプ13aとこの吐出ポンプを駆動するポンプ用電動モータ13bとが設けられている。吐出ポンプ13aは、制御装置6によって制御される。クーラント回路12には、逆止弁15と、供給用制御弁としての第1ソレノイドバルブ16と、増量用制御弁としての第2ソレノイドバルブ17とが設けられている。第1ソレノイドバルブ16とノズル11との間には、例えば固定式の絞り弁18が設けられている。第1ソレノイドバルブ16は、開き位置で吐出ポンプ13aからの研削クーラントを送り出し、閉じ時に止める役割を果たす。第2ソレノイドバルブ17は、閉じ時に第1ソレノイドバルブ16から送られてきた研削クーラントを止め、開き時にノズル11へ絞り弁18を介さずにノズル11へ送り込む役割を果たす。第1ソレノイドバルブ16及び第2ソレノイドバルブ17は、制御装置6によって操作される。研削クーラント10は、クーラントタンク19に貯留されるようになっている。
【0034】
このように構成することで、制御装置6は、第1ソレノイドバルブ16及び第2ソレノイドバルブ17を開いて研削クーラント10の供給量を増やし、第1ソレノイドバルブ16を開き、第2ソレノイドバルブ17を閉じることで研削クーラント10の供給量を減らし、すなわち所定量に戻すようになっている。
【0035】
−ワークの内面研削方法−
次に、本実施形態に係るワークWの内面研削方法について説明する。この内面研削方法では、ワークWを低速で回転しつつ研削クーラント10を供給しながら砥石1を高速で回転させてワークWの内面を研削する。そして、砥石1の外周面とワークWの内面との間の隙間の大きさに合わせて研削クーラント10の供給量を調整する。
【0036】
具体的に説明すると、図1に示すように、まず、ステップS01において、図2Aに示すように、ワークWの内面側へ砥石軸2を挿入する。このとき、第1ソレノイドバルブ16及び第2ソレノイドバルブ17は、閉じ状態にある。ワークWもX軸の座標カーブで見られるように、ゆっくりと回転する。研削は始まっていないので、砥石軸2に負荷はかかっていない。
【0037】
次いで、ステップS02の準急工程において、第1ソレノイドバルブ16を開くと共に、X軸の回転に合わせて第2ソレノイドバルブ17を開閉する。例えば、クーラントの吐出量は、第2ソレノイドバルブ17を開いたときに90L/minとし、第2ソレノイドバルブ17を閉じたときには、45L/minとする。この準急工程では、砥石1とワークWの内面との接触検知が行われる。詳しくは後述するが、このときも、第2ソレノイドバルブ17を開閉制御することにより、研削クーラント10による不均一な抵抗をなくすことができ、接触検知の精度が大幅に向上する。
【0038】
次いで、ステップS03の荒工程にすすむ。ステップS03では、第1ソレノイドバルブ16及び第2ソレノイドバルブ17は、いずれも開状態に維持され、切削を効率よく行うことが優先される。この場合、研削クーラント10は、最大量常にノズル11から噴出され、砥石1が冷やされ、研削くずが効率よく回収される。このとき、図4で説明したように、長径部A側では、砥石軸2側の内径が大きく、反対側の内径が小さくなる傾向にあるが、短径部B側では、ほとんどテーパが発生しない。
【0039】
次いで、ステップS04の仕上げ工程において、X軸の動きに合わせて第2ソレノイドバルブ17が開閉される。切込量自体が、荒工程に比べて小さくなっているので、砥石軸2の負荷自体は、低減しているが、第2ソレノイドバルブ17の開閉制御により、負荷の変動が軽減されている。すなわち、砥石軸2とワーク回転軸4との位置関係の情報を利用し、砥石1が楕円の長径側にあるときに第2ソレノイドバルブ17を閉じて通常の研削クーラントの量とし、楕円の短径側にあるときにの研削クーラント10の量を増やす。この状態で、切削することで荒工程で長径側に生じていたテーパが軽減される。
【0040】
次いで、ステップS05のスパークアウト工程においても同様にX軸の動きに合わせて第2ソレノイドバルブ17が開閉される。この第2ソレノイドバルブ17の開閉制御により、負荷の変動が軽減されている。すなわち、第2ソレノイドバルブ17を開き続けた場合、図1で示したSOL2制御無しの場合のようにX軸の動きに合わせて砥石軸2の負荷が大幅に増減するようなことが回避され、SOL2制御ありのようにかなり低減される。
【0041】
最後にステップS06において、砥石軸2がワークWの内面から取り出される。
【0042】
このように、本実施形態では、ワークWの楕円形貫通孔を内面研削する場合に、砥石1が楕円の長径側にあるときの研削クーラント10の量よりも楕円の短径側にあるときの研削クーラント10の量を増やすことにより、長径側でテーパを抑制し、非真円の内面研削において砥石1や砥石軸2の剛性に頼ることなく、安価にワークW内面のテーパ精度を向上させることができる。このため、ワークWの楕円形の貫通孔は、内面のいずれの位置においてもテーパがない、まっすぐな孔加工を行うことができる。
【0043】
例えば、研削クーラントの吐出量が90L/minで一定だった場合に長径部側のテーパが49mmの高さで8μmだったのが、吐出量を長径部側で45L/minに抑制することで、4μmに低減された。これは通常の砥石1による研削における砥石軸2の傾きと大きく変わらなかった。
【0044】
−変形例−
図示しないが、本発明の実施形態の変形例では、第2ソレノイドバルブ17の制御方法が異なる点で上記実施形態と異なる。本変形例では、図1図4と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0045】
制御装置6は、砥石用電動モータ3の電力計3aの値を取り込み、この電力計3aの値が大きくなるときに第2ソレノイドバルブ17を閉じ、電力計3aの値が小さくなるときに第2ソレノイドバルブ17を開くように構成されている。
【0046】
実際には、上記実施形態と同様に短径部側において第2ソレノイドバルブ17を開いて研削クーラントの量を増やし、長径部側においては第2ソレノイドバルブを閉じて研削クーラントの量を減らす(所定量に戻す)。
【0047】
この場合、電力計3aの変化に合わせて第2ソレノイドバルブ17を開閉制御すると、ノズル11までの経路等の影響で応答がずれてしまう。このため、ずれ具合を制御装置6に戻してフィードバック制御(学習)することにより、電力計の値の変化と研削クーラント10の量の増減のタイミングとを調整するとよい。
【0048】
本変形例では、特に正楕円ではない異形断面で特に有効である。また、本変形例では、ワークWの型番が変わる毎に再設定項目が少なくて済む。さらに、単純な制御で済むので、NC工作機械ではない研削装置でも適用できる。さらには、ワークWの高さが変動したりする場合でも、電力計3aの値が変動するので、それに合わせて研削クーラント10の量を増減させればよい。
【0049】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0050】
すなわち、上記実施形態では、ワークWの内面形状を楕円形としているが、それに限定されず、カムリングの内面など真円ではない不均一な内面を有するものであれば適用可能である。
【0051】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0052】
1 砥石
2 砥石軸
3 砥石用電動モータ
3a 電力計
4 ワーク回転軸
5 ワーク軸回転手段
6 制御装置
10 研削クーラント
11 ノズル
12 クーラント回路
13 クーラント用ポンプユニット
13a 吐出ポンプ
13b ポンプ用電動モータ
15 逆止弁
16 第1ソレノイドバルブ(供給用制御弁)
17 第2ソレノイドバルブ(増量用制御弁)
18 絞り弁
19 クーラントタンク
図1
図2A
図2B
図3
図4