(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1タブ部の表面に設けられた前記第2電極と、前記第4タブ部の表面に設けられた前記第2電極とが、導電性接着剤を介して接続されている請求項1に記載の積層電池。
前記第1タブ部、前記第2タブ部、前記第3タブ部、及び前記第4タブ部を折り曲げないように、前記第1〜第4のシート状電池が積層された状態で、折り曲げられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層電池。
前記第1〜第4のシート状電池が積層された状態における平面視において、前記第2タブ部と前記第3タブ部とが重複するように配置されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層電池。
前記第3タブ部の表面に設けられた前記第2電極と、前記第6タブ部の表面に設けられた前記第2電極とが、導電性接着剤を介して接続されている請求項7に記載の積層電池。
前記第2のシート状電池の前記第1電極と前記第3のシート状電池の前記第1電極とが向かい合うように配置されて、接続されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層電池。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態の一例について図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施形態を示すものであって、本発明の技術的範囲が以下の実施形態に限定されるものではない。
【0023】
実施の形態1.
(シート状電池の積層構造)
図1は、本実施形態による酸化物半導体二次電池をシート状としたシート状電池10の断面構造を示す図である。
【0024】
図1において、シート状電池10は、基材11上に、n型酸化物半導体層13、充電層14、p型酸化物半導体層16、及び第2電極17がこの順序で積層された積層構造を有している。なお、基材11の上に形成された積層構造体を積層体20とする。すなわち、積層体20は、n型酸化物半導体層13、充電層14、p型酸化物半導体層16、及び第2電極17を有している。
【0025】
基材11は金属などの導電性物質などにより形成され、第1電極として機能する。本実施形態では、基材11が負極となっている。基材11としては、例えば、SUSシートやアルミニウムシートなどの金属箔シートを用いることができる。
【0026】
絶縁材料からなる基材11を用意して、基材11上に第1電極を形成することもできる。すなわち、基材11は第1電極を含む構成であればよい。基材11の上に、第1電極を形成する場合、第1電極の材料として、クロム(Cr)又はチタン(Ti)等の金属材料を用いることができる。第1電極の材料として、アルミニウム(Al),銀(Ag)等を含む合金膜を用いてもよい。第1電極を基材11上に形成する場合、後述する第2電極17と同様に形成することができる。
【0027】
基材11の上には、n型酸化物半導体層13が形成されている。n型酸化物半導体層13はn型酸化物半導体材料(第2のn型酸化物半導体材料)を含んで構成される。n型酸化物半導体層13としては、例えば、二酸化チタン(TiO
2)、酸化スズ(SnO
2)又は酸化亜鉛(ZnO)等を使用することが可能である。例えば、n型酸化物半導体層13は、スパッタリング又は蒸着により、基材11上に成膜することができる。n型酸化物半導体層13の材料として、二酸化チタン(TiO
2)を用いることが好ましい。
【0028】
n型酸化物半導体層13の上には、充電層14が形成されている。充電層14は、絶縁材料とn型酸化物半導体材料とを混合した混合物により形成されている。例えば、充電層14のn型酸化物半導体材料(第1のn型酸化物半導体材料)として、微粒子のn型酸化物半導体を使用することが可能である。n型酸化物半導体は、紫外線照射により光励起構造変化して、充電機能を備えた層となる。充電層14の絶縁材料としては、シリコーン樹脂を用いることができる。例えば、絶縁材料としては、シリコン酸化物などのシロキサン結合による主骨格を持つシリコン化合物(シリコーン)を使用することが好ましい。
【0029】
例えば、充電層14は、第1のn型酸化物半導体材料を二酸化チタンとして、酸化シリコンと二酸化チタンとによって形成される。この他に、充電層14で使用可能なn型酸化物半導体材料としては、酸化スズ(SnO
2)、又は酸化亜鉛(ZnO)が好適である。二酸化チタン、酸化スズ、及び酸化亜鉛の2つ又は全てを組み合わせた材料を使用することも可能である。
【0030】
充電層14の製造工程について説明する。まず、酸化チタン、酸化スズ、又は酸化亜鉛の前駆体と、シリコーンオイルとの混合物に溶媒を混合した塗布液を用意する。脂肪酸チタンとシリコーンオイルを溶媒に混合した塗布液を用意する。そして、スピン塗布法、スリットコート法などにより、塗布液がn型酸化物半導体層13上に塗布される。塗布膜に対して、乾燥、及び焼成を行うことで、n型酸化物半導体層13上に充電層14を形成することができる。なお、前駆体の一例として、例えば酸化チタンの前駆体であるチタニウムステアレートが使用できる。酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛は、金属酸化物の前駆体である脂肪族酸塩から分解して形成される。乾燥、及び焼成した後の、充電層14に対して、紫外線照射を行いUV硬化させてもよい。
【0031】
なお、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛などについては、前駆体を用いずに、酸化物半導体の微細な粒子を用いることも可能である。酸化チタン、又は酸化亜鉛のナノ粒子をシリコーンオイルと混合することで、混合液が生成される。さらに、混合液に溶媒を混合することで、塗布液が生成される。スピン塗布法、スリットコート法などにより、塗布液がn型酸化物半導体層13上に塗布される。塗布膜に対して、乾燥、焼成、及びUV照射を行うことで、充電層14を形成することができる。
【0032】
充電層14に含まれる第1のn型酸化物半導体材料と、n型酸化物半導体層13に含まれる第2のn型酸化物半導体材料とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、n型酸化物半導体層13に含まれるn型酸化物半導体材料が酸化スズである場合、充電層14のn型酸化物半導体材料は酸化スズであってもよいし、酸化スズ以外のn型酸化物半導体材料であってもよい。
【0033】
充電層14の上には、p型酸化物半導体層16が形成されている。p型酸化物半導体層16は、p型酸化物半導体材料を含んで構成される。p型酸化物半導体層16の材料としては、酸化ニッケル(NiO)、及び銅アルミ酸化物(CuAlO
2)等を使用することが可能である。例えば、p型酸化物半導体層16は、厚さ400nmの酸化ニッケル膜となっている。p型酸化物半導体層16は、蒸着又はスパッタリング等の成膜方法によって、充電層14の上に成膜されている。
【0034】
第2電極17は、導電膜によって形成されていればよい。また、第2電極17の材料としては、クロム(Cr)又は銅(Cu)等の金属材料を用いることができる。他の金属材料として、アルミニウム(Al)を含む銀(Ag)合金等がある。その形成方法としては、スパッタリング、イオンプレーティング、電子ビーム蒸着、真空蒸着、化学蒸着等の気相成膜法を挙げることができる。また、金属電極は電解メッキ法、無電解メッキ法等により形成することができる。メッキに使用される金属としては、一般に銅、銅合金、ニッケル、アルミ、銀、金、亜鉛又はスズ等を使用することが可能である。例えば、第2電極17は、厚さ300nmのAl膜となっている。
【0035】
なお、上記の説明では、充電層14の下にn型酸化物半導体層13が配置され、充電層14の上にp型酸化物半導体層16が配置されている構成としたが、n型酸化物半導体層13とp型酸化物半導体層16とは反対の構成になっていてもよい。すなわち、充電層14の上にn型酸化物半導体層13が配置され、下にp型酸化物半導体層16が配置されている構成であってもよい。この場合、基材11が正極、第2電極17が負極となる。すなわち、充電層14がn型酸化物半導体層13とp型酸化物半導体層16に挟まれている構成であれば、充電層14の上にn型酸化物半導体層13が配置されていても、p型酸化物半導体層16が配置されていてもよい。換言すると、シート状電池10は、第1電極(基材11)、第1導電型酸化物半導体層(n型酸化物半導体層13、又はp型酸化物半導体層16)、充電層14、第2導電型半導体層(p型酸化物半導体層16、又はn型酸化物半導体層13)、第2電極17の順番で積層されている構成であればよい。
【0036】
さらに、シート状電池10は第1電極(基材11)、第1導電型酸化物半導体層(n型酸化物半導体層13、又はp型酸化物半導体層16)、充電層14、第2導電型半導体層(p型酸化物半導体層16、又はn型酸化物半導体層13)、第2電極17以外の層を含む構成であってもよい。
【0037】
このように、基材11の上にはn型酸化物半導体層13、充電層14、p型酸化物半導体層16、第2電極17を有する積層体20が設けられている。したがって、シート状電池10の最表面には、第2電極17が配置される。なお、シート状電池10の端部には、積層体20が設けられていない。積層体20は、端部を除いた基材11のほぼ全面に形成されている。したがって、シート状電池10の端部では、基材11が露出している。換言すると、積層体20の外側(つまり、基材11の周端部)は、基材11が露出した露出箇所となる。シート状電池10の周端部では、基材11がシート状電池10の最表面に配置される。
【0038】
本実施形態にかかる二次電池は、
図1で示したシート状電池10を積層した構成とすることで、大容量化を図ることができる。具体的には、複数のシート状電池10を並列接続することで、二次電池の大容量化を図ることができる。このため、本実施の形態では、シート状電池10を向かい合わせて積層している。
【0039】
(シート状電池の平面形状)
本実施の形態では、2つのタイプのシート状電池を用意する。2つのタイプのシート状電池は、積層構造は同様であるが、平面形状が異なっている。
図2に2つのタイプのシート状電池の平面形状を示す。
図2では、2つのタイプのシート状電池の一方をタイプIのシート状電池110とし、他方をタイプIIのシート状電池210として示している。なお、
図2では、シート状電池110、210が載置されている平面をXY平面として示している。X方向、及びY方向は互いに直交する方向である。また、
図2は、積層体20側(
図1の紙面中の上側)からシート状電池110、210を見た場合の平面形状を示している。
【0040】
まず、XY平面におけるタイプIのシート状電池110の平面形状について説明する。
図2に示すように、シート状電池110は、矩形部131とタブ部132とを有している。XY平面において、矩形部131は、長方形状又は正方形状であって良い。ここでは、矩形部131の端辺が、X方向及びY方向と平行であり且つ、X方向を長手方向とする長方形となっている。タブ部132は、矩形部131から+Y側に張り出している。すなわち、タブ部132が矩形部131のX方向に延びる一端辺から外側に突出している。ここでは、XY平面において、シート状電池110は逆L字形状になっている。タブ部132は、矩形部131の+X側かつ+Y側の端部に形成されている。
【0041】
図2の基材111は、
図1で示した基材11に対応する。同様に、
図2の積層体120は、
図1で示した積層体20に対応する。したがって、積層体120は、
図1で示したように、n型酸化物半導体層13、充電層14、p型酸化物半導体層16、及び第2電極17を有している。
【0042】
積層体120の主要部は、矩形部131、及びタブ部132に形成されている。すなわち、矩形部131、及びタブ部132の大部分において、第2電極17が最表面に配置されている。積層体120が設けられていない箇所では、基材111が露出している。したがって、シート状電池110の周端部では、最表面が基材111となっている。
【0043】
さらに、シート状電池110上には、絶縁材143が形成されている。
図2に示すように、絶縁材143は、矩形部131の一部に形成されている。具体的には、矩形部131の+X側かつ+Y側の端部にはタブ部132が形成され、−X側かつ+Y側の端部には絶縁材143が形成されている。絶縁材243はX方向に沿って配置されている。
【0044】
絶縁材143は積層体120の外側に配置されている。すなわち、絶縁材143は、基材111が最表面となっている箇所に形成されている。絶縁材143は、基材111と接するように、基材111上に直接形成される。絶縁材143は基材111の一部を覆うように形成されている。絶縁材143は、蒸着又はスプレー塗布などにより、基材111上にコーティングされる。絶縁材143としては、例えば、ポリイミドなどの樹脂膜を用いることができる。絶縁材143は、弾性を有していることが好ましい。
【0045】
次に、タイプIIのシート状電池210の構成について説明する。シート状電池210は、シート状電池110と対称な平面形状を有している。具体的には、シート状電池210とシート状電池110とは、Y方向と平行な直線に対して線対称となっている。
【0046】
シート状電池210は、矩形部231とタブ部232とを有している。XY平面において、矩形部231は、長方形状又は正方形状であって良い。ここでは、矩形部231の端辺が、X方向及びY方向と平行であり、且つ、X方向を長手方向とする長方形となっている。タブ部232は、矩形部231から+Y側に張り出している。すなわち、タブ部232が矩形部231のX方向に延びる一端辺から外側に突出している。ここでは、XY平面において、シート状電池210はL字形状になっている。タブ部232は、矩形部231の−X側かつ+Y側の端部に形成されている。
【0047】
図2の基材211は
図1で示した基材11に対応する。同様に、
図2の積層体220は、
図1で示した積層体20に対応する。したがって、積層体220は、
図1で示したように、n型酸化物半導体層13、充電層14、p型酸化物半導体層16、及び第2電極17を有している。積層体220の積層構成は、積層体120と同じである。
【0048】
積層体220の主要部は、矩形部231、及びタブ部232に形成されている。矩形部231、及びタブ部232の大部分において、第2電極17が最表面に配置されている。積層体220が設けられていない箇所では、基材211が露出している。したがって、シート状電池210の周端部では、最表面が基材211となっている。
【0049】
さらに、シート状電池210上には、絶縁材243が形成されている。
図2に示すように、絶縁材243は、矩形部231の一部に形成されている。具体的には、矩形部231の−X側かつ+Y側の端部にはタブ部232が形成され、+X側かつ+Y側の端部には絶縁材143が形成されている。絶縁材243はX方向に沿って配置されている。
【0050】
絶縁材243は積層体220の外側に配置されている。すなわち、絶縁材243は、基材211が最表面となっている箇所に形成されている。絶縁材243は、基材211と接するように、基材211上に直接形成される。絶縁材243は基材211の一部を覆うように形成されている。絶縁材243は、蒸着又はスプレー塗布などにより、基材211上にコーティングされる。絶縁材243としては、例えば、ポリイミドなどの樹脂膜を用いることができる。絶縁材243は、弾性を有していることが好ましい。
【0051】
シート状電池110、210を積層した場合において、絶縁材143は、基材111が他のシート状電池110の第2電極17と短絡しないように設けられている。同様に、シート状電池210を積層した場合において、絶縁材243は、基材211が他のシート状電池210の第2電極17と短絡しないように設けられている。
【0052】
なお、タイプIのシート状電池110とタイプIIのシート状電池210は、X方向におけるタブ部132、232及び絶縁材143、243の位置のみが異なっている。例えば、矩形部231は矩形部131と同じ大きさとなっている。また、タブ部232は、タブ部132と同じ大きさとなっている。
【0053】
(2枚を積層した電池構造体)
2枚のシート状電池110を積層した電池構造体について、
図3〜
図5を用いて説明する。以下、2枚のシート状電池110を積層した電池構造体をシートペア150として説明する。
図3は、シートペア150の分解斜視図である。
図4は、シートペア150の側面構成を示すXZ平面図である。
図5は、シートペア150の平面構成を示すXY平面図である。
【0054】
シートペア150は、対となる2枚のシート状電池110a、110bを有している。シートペア150では2枚のシート状電池110a、110bが接続される。なお、以下の図では、
図2と同様に、シート状電池110a、110bが載置されている平面をXY平面とする。また、XY平面に直交する方向をZ方向として示している。シート状電池110a、110bの面内方向をX方向、及びY方向とし、シートペア150の厚さ方向をZ方向とするXYZ直交座標系を用いて説明する。
【0055】
また、説明のため、+Z側を上側とし、−Z側を下側とする。シート状電池110aがシート状電池110bの上側に配置されている。
【0056】
2つのシート状電池110a、110bの構成要素を識別するため、符号の後にa、又はbのアルファベットを付して説明する。例えば、シート状電池110aに設けられた絶縁材143、矩形部131、タブ部132、第2電極17、及び積層体20を、絶縁材143a、矩形部131a、タブ部132a、第2電極17a、及び積層体120aとして示す。同様に、シート状電池110bに設けられた絶縁材143、矩形部131、タブ部132、第2電極17、及び積層体120について、絶縁材143b、矩形部131b、タブ部132b、第2電極17b、及び積層体120bとして示す。なお、説明の明確化のため、図において、積層体120a、120bと第2電極17a、17bの符号を適宜併記して示している。また、2つのシート状電池110a、110bを区別しない場合、符号の後のアルファベットa、又はbを適宜省略する。
【0057】
シートペア150は、第1のシート状電池であるシート状電池110aと、第2のシート状電池であるシート状電池110bを有している。シート状電池110aのタブ部132aが第1タブ部となり、シート状電池110bのタブ部132bが第2タブ部となる。同様に、シート状電池110aに設けられた絶縁材143aが第1絶縁材となり、シート状電池110bに設けられた絶縁材143bが第2絶縁材となる。
【0058】
シート状電池110aとシート状電池110bとは、第2電極17a、17bが向かい合うように配置されている。したがって、シート状電池110bは、第2電極17bが−Z側を向くように、シート状電池110aに対して反転した構成となっている。具体的には、Y軸を回転軸として、
図2のシート状電池110を180°回転させると、シート状電池110bの向きとなる。シート状電池110aは、
図2のシート状電池110と同じ向きとなっている。
【0059】
シート状電池110aの第2電極17aが上側を向くように配置され、シート状電池110bの第2電極17bが下側を向くように配置されている。したがって、
図4に示すように、シート状電池110aでは積層体120aが基材111aの上側に配置されており、シート状電池110bでは積層体120bが基材111bの下側に配置されている。XY平面視において、矩形部131aと矩形部131bとが重複するように、シート状電池110aシート状電池110bとが積層される。
【0060】
シートペア150において、シート状電池110aの第2電極17aとシート状電池110bの第2電極17bとが向かい合うように配置されて、接続される。シート状電池110aの上面では、第2電極17aが露出し、シート状電池110bの下面では、第2電極17bが露出している。よって、シート状電池110aの第2電極17aとシート状電池110bの第2電極17bとが向かい合うように配置されることで、第2電極17aと第2電極17bとが接触する。これにより、シート状電池110aの第2電極17aとシート状電池110bの第2電極17bとが導通する。
【0061】
シート状電池110bがシート状電池110aに対して反転されているため、XY平面において、タブ部132aとタブ部132bとがずれて配置される。すなわち、タブ部132aは、シート状電池110aの+X側の端部に配置され、タブ部132bは、シート状電池110bの−X側の端部に配置されている。このように、X方向におけるタブ部132aの位置とタブ部132bの位置が異なっている。XY平面において、タブ部132aとタブ部132bがずれている。換言すると、XY平面において、シート状電池110aのタブ部132aが、シート状電池110bの外側にはみ出すように形成されている。同様に、XY平面において、シート状電池110bのタブ部132bが、シート状電池110aの外側にはみ出すように形成されている。
【0062】
また、シート状電池110bの下面には、絶縁材143bが形成されている。絶縁材143bは、タブ部132aの近傍に配置されている。絶縁材143bは、シート状電池110bの端部に設けられている。ここで「近傍」とは、例えば、絶縁材143bは、シート状電池110bの積層体120bが設けられていない箇所であって、タブ部132aに対応する箇所を示す。シート状電池110aのタブ部132aに延在する箇所において、シート状電池110aとシート状電池110bとの間に絶縁材143bが配置される。換言すると、XY平面において、シート状電池110aのタブ部132aと矩形部131aとの境界部分であって、矩形部131a側の領域に絶縁材143bが配置される。これにより、タブ部132a近傍の積層体120aの最表面に設けられた第2電極17aと、シート状電池110bの基材111bとの間に、絶縁材143bが介在することになる。よって、シート状電池110aの第2電極17aとシート状電池110bの基材111aとの短絡を防ぐことができる。
【0063】
また、シート状電池110aの上面には、絶縁材143aが形成されている。絶縁材143aは、タブ部132bの近傍に配置されている。絶縁材143aは、シート状電池110aの端部に設けられている。絶縁材143aは、シート状電池110aの基材111aと、シート状電池110bの積層体120bとの間に配置される。
【0064】
具体的には、絶縁材143aは、シート状電池110aの積層体120aが設けられていない箇所であって、タブ部132bに対応する箇所に形成されている。シート状電池110bのタブ部132bに延在する箇所において、シート状電池110aとシート状電池110bとの間に絶縁材143aが配置される。換言すると、XY平面において、シート状電池110bのタブ部132bと矩形部131bとの境界部分であって、矩形部131b側の領域に絶縁材143aが配置される。
【0065】
これにより、タブ部132b近傍の積層体120bの最表面に設けられた第2電極17bと、シート状電池110aの基材111aとの間に、絶縁材143aが介在することになる。よって、シート状電池110aの第2電極17aとシート状電池110bの基材111bとの短絡を防ぐことができる。
【0066】
このように、X方向において、タブ部132aとタブ部132bとの位置がずれている。このため、本実施の形態では、タブ部132と矩形部131との境界箇所において、一方のシート状電池110の第2電極17と、他方のシート状電池110の基材11が向かい合う領域が存在してしまう。そこで、本実施の形態では、この領域に絶縁材143を配置している。換言すると、基材111の露出箇所において、絶縁材143がシート状電池110aとシート状電池110bとの間に配置される。この露出箇所に絶縁材143を設けることで、第2電極17が他のシート状電池110の第1電極との短絡を防ぐことができる。
【0067】
なお、シート状電池210についても同様に積層することでシートペアを構成することができる。2枚のシート状電池210において、第2電極同士が向かい合うように配置して、接続する。
図6に、シート状電池210c、210dを有するシートペア250のXY平面形状を示す。なお、シートペア250の積層構成は、シートペア150と同様であるため、説明を省略する。
【0068】
シートペア250では、
図2に示したタイプIIのシート状電池210c、210dが、積層体220cと積層体220dとが向かい合うように積層されている。具体的には、シート状電池210cの積層体220cが上側を向き、シート状電池210cの積層体220dが下側を向いている。すなわち、Y軸を回転軸として、
図2のシート状電池210を180°回転させると、シート状電池210dとなる。シート状電池210cとシート状電池210dでは、第2電極17が向かい合うように配置されて、接続される。
【0069】
シートペア250では、タブ部232c、232dのX方向位置が異なっている。タブ部232cが−X側の端部に配置され、タブ部232dが+X側の端部に配置される。XY平面において、シート状電池210cのタブ部132cが、シート状電池210dの外側にはみ出すように形成されている。同様に、XY平面において、シート状電池210dのタブ部232dが、シート状電池232cの外側にはみ出すように形成されている。
【0070】
このように、本実施の形態では、2種類のシートペア150、250が用いられる。なお、同じタイプの2枚のシート状電池から構成されるシートペアでは、シート状電池を積層した状態におけるXY平面において、タブ部の位置が異なっている。すなわち、シートペアにおいて、一方のシート状電池のタブ部は、他方のシート状電池の外側にはみ出すように配置されている。シートペア150を第1のシートペア150と称し、シートペア250を第2のシートペア250と称する。
【0071】
シートペア150、250を積層する場合、矩形部131、231が重複するように、シート状電池110、210を積層する。従って、XY平面において、シートペア250のタブ部232cは、シートペア150のタブ部132aと重複し、シートペア250のタブ部232dは、シートペア150のタブ部132bと重複する。なお、タブ部132a、及びタブ部232cは、積層体120a、220cが+Z側を向いて配置され、タブ部132b、及びタブ部232dは、積層体120b、220dが−Z側を向いて配置される。
【0072】
(積層電池)
次に、複数のシートペアを有する積層電池の構成について、
図7、
図8を用いて説明する。
図7は、積層電池1の構成を示す模式図である。
図8は、積層電池1の側面構成を示すXZ平面図である。なお、積層電池1では、シート状電池110、210のほぼ全体が重複して積層されることになる。したがって、
図8では、説明の明確化のため、シート状電池110、210を一部ずらして図示している。
【0073】
図7、
図8では、積層電池1が8枚のシート状電池110a、110b、210c、210d、110e、110f、210g、210hを含んでいる状態を示している。シート状電池110a、110b、110e、110fは、
図2に示したタイプIのシート状電池110である。シート状電池210c、210d、210g、210hは
図2に示したタイプIIのシート状電池210である。
【0074】
図7、
図8では、シート状電池110a、110b、110e、110fに設けられたタブ部をタブ部132a、132b、132e、132fとして示す。シート状電池110a、110b、110e、110fに設けられた積層体を積層体120a、120b、120e、120fとして示す。同様に、シート状電池210c、210d、210g、210hに設けられたタブ部をタブ部232c、232d、232g、232hとして示す。シート状電池210c、210d、210g、210hに設けられた積層体を積層体220c、220d、220g、220hとして示す。また、
図8では、シート状電池110a、110b、110e、110fに設けられた基材を基材111a、111b、111e、111fとして示し、シート状電池210c、210d、210g、210hに設けられた基材を基材211c、211d、211g、211hとして示す。
【0075】
なお、以下の説明において、シート状電池110a、110b、210c、210d、110e、110f、210g、210hを特に識別しない場合、a〜hのアルファベットを省略してシート状電池110、210とし、他の構成要素について同様に記載する。
【0076】
図8に示すように、シート状電池110a、110b、210c、210d、110e、110f、210g、210hはこの順番で積層されている。
図8では、シート状電池110aが最も下側に配置され、シート状電池210hが最も上側に配置されている。なお、シート状電池110a、110b、210c、210d、110e、110f、210g、210hを順番に第1のシート状電池110a〜第8のシート状電池210hと称し、他の構成要素についても同様に称する。
【0077】
図7、
図8において、タイプIのシート状電池110で構成されるシートペアをシートペア150a、150eとする。第1のシートペア150aは、2枚のシート状電池110a、110bを備えている。シートペア150eは、2枚のシート状電池110e、110fを備えている。同様に、タイプIIのシート状電池210で構成されるシートペアをシートペア250c、250gとする。第2のシートペア250cは、2枚のシート状電池210c、210dを備えている。シートペア250gは、2枚のシート状電池210g、210hを備えている。
【0078】
シートペア150aにおいて、積層体120aと積層体120bが向かい合うように配置されているため、
図4で示したように、第2電極17(
図7、
図8では不図示)同士が接続される。同様にシートペア150eにおいて、積層体120eと積層体120eが向かい合うように配置されているため、第2電極17(
図7、
図8では不図示)同士が接続される。シートペア250cにおいて、積層体220cと220dが向かい合うように配置されているため、第2電極17(
図7、
図8では不図示)同士が接続される。同様にシートペア250gにおいて、積層体220gと積層体220hが向かい合うように配置されているため、第2電極17(
図7、
図8では不図示)同士が接続される。このように、それぞれのシートペア150a、150e、250c、250gにおいて、正極同士が接続される。
【0079】
図8に示すように、シート状電池110b、210d、110f、210hは、積層体120b、220d、120f、220hが下側を向くように配置されている。例えば、第2のシート状電池110bでは、基材111bが積層体120bよりも上側に配置されている。第4のシート状電池210dについても、基材211dが積層体220dよりも上側に配置されている。第6のシート状電池110fについても、基材111fがそれぞれ積層体120fよりも上側に配置されている。第8のシート状電池210hについても、基材211hが積層体220hよりも上側に配置されている。
【0080】
一方、シート状電池110a、210c、110e、210gは、
図8に示すように、積層体120a、220c、120e、220gが上側を向くように配置されている。第1のシート状電池110aでは、基材111aが積層体120aよりも下側に配置されている。第3のシート状電池210cについても、基材211cが積層体220cよりも下側に配置されている。第5のシート状電池110eについても、基材111eが積層体120eよりも下側に配置されている。第7のシート状電池210gについても、基材211gが積層体220gよりも下側に配置されている。
【0081】
図8に示すように、奇数番目のシート状電池110a、210c、110e、210gと偶数番目のシート状電池110b、210d、110f、210hとは基材と積層体の向きが上下反転して積層されている。
【0082】
したがって、第2のシート状電池110bの基材111bと第3のシート状電池210cの基材211cとは向かい合うように配置されて、接続される。同様に、第4のシート状電池210dの基材211dと第5のシート状電池110eの基材111eとは向かい合うように配置されて、接続される。第6のシート状電池110fの基材111fと第7のシート状電池210gの基材211gとは向かい合うように配置されて、接続される。
【0083】
ここで、シート状電池110a、110b、110e、110fは
図2で示したタイプIのシート状電池110であり、シート状電池210c、210d、210g、210hはタイプIIのシート状電池210である。そして、偶数番目のシート状電池と奇数番目のシート状電池で積層体の向きが異なる。
【0084】
よって、第1のシート状電池110a、第4のシート状電池210d、第5のシート状電池110e、第8のシート状電池210hのタブ部132a、232d、132e、232hは、+X側の端部に配置される。すなわち、XY平面において、タブ部132a、232d、132e、232hは重複するように配置される(
図9を合わせて参照)。
【0085】
第2のシート状電池110b、第3のシート状電池210c、第6のシート状電池110f、第7のシート状電池210gのタブ部132b、232c、132f、232gは、−X側の端部に配置される。すなわち、XY平面において、タブ部132b、232c、132f、232gは重複するように配置される(
図9を合わせて参照)。また、XY平面において、タブ部132b、232c、132f、232gは、タブ部132a、232d、132e、232hとずれて配置される。
【0086】
ここで、第1のタブ部132aは、第4のタブ部232dと重複するため、第1のタブ部132aの第2電極17と第4のタブ部232dの第2電極17が向かい合うように配置される。したがって、第1のタブ部132aの第2電極17と第4のタブ部232dの第2電極17を容易に接続することができる。
【0087】
具体的には、第1のタブ部132aの第2電極17と第4のタブ部232dの第2電極17を接続するように、積層電池1には、導電性接着剤45adが設けられている。すなわち、導電性接着剤45adを介して、第1のタブ部132aと第4のタブ部232dとが接着されるとともに、第1のシート状電池110aの第2電極17と第4のシート状電池210dの第2電極17とが接続される。これにより、隣接する2つのシートペア150a、シートペア250cの第2電極17同士が接続される。第1のシート状電池110aと第4のシート状電池210dとの間には、2つのシート状電池110b、210cが配置されているため、導電性接着剤45adは2枚のシート状電池の厚さに相当する。
【0088】
同様に、第3のタブ部232cは、第6のタブ部132fと重複するため、第3のタブ部232cの第2電極17と第6のタブ部132fの第2電極17が向かい合うように配置される。したがって、第3のタブ部132cの第2電極17と第6のタブ部132fの第2電極17を容易に接続することができる。
【0089】
具体的には、第3のタブ部232cの第2電極17と第6のタブ部132fの第2電極17を接続するように、積層電池1には、導電性接着剤45cfが設けられている。すなわち、導電性接着剤45cfを介して、第3のタブ部232cと第6のタブ部132fとが接着されるとともに、第3のシート状電池210cの第2電極17と第6のシート状電池110fの第2電極17とが接続される。これにより、隣接する2つのシートペア150e、シートペア250cの第2電極17同士が接続される。第3のシート状電池210cと第6のシート状電池110fとの間には、2つのシート状電池210d、110eが配置されているため、導電性接着剤45cfは2枚のシート状電池の厚さに相当する。
【0090】
さらに、第5のタブ部132eは、第8のタブ部232hと重複するため、第5のタブ部132eの第2電極17と第8のタブ部232hの第2電極17が向かい合うように配置される。したがって、第5のタブ部132eの第2電極17と第8のタブ部232hの第2電極17を容易に接続することができる。
【0091】
具体的には、第5のタブ部132eの第2電極17と第8のタブ部232hの第2電極17を接続するように、積層電池1には、導電性接着剤45ehが設けられている。すなわち、導電性接着剤45ehを介して、第5のタブ部132eと第8のタブ部232hとが接着されるとともに、第5のシート状電池110eの第2電極17と第8のシート状電池210hの第2電極17とが接続される。これにより、隣接する2つのシートペア150e、シートペア250cの第2電極17同士が接続される。第5のシート状電池110eと第8のシート状電池210hとの間には、2つのシート状電池110f、210gが配置されているため、導電性接着剤45ehは2枚のシート状電池の厚さに相当する。
【0092】
このように、導電性接着剤45ad、45cf、45ehを用いることで、8枚のシート状電池110、210の全ての第2電極17を並列に接続することができる。このようにすることで、第2電極17を接続するタブリードや、櫛歯電極が不要になる。よって、部品点数を削減することができるとともに、構成、及び製造工程を簡素化することができる。よって、積層電池の生産性を向上することができる。導電性接着剤45ad、45cf、45ehがシート状電池の2枚分の厚さ相当とすることで、薄型化を図ることができる。よって、省スペース化が可能になる。
【0093】
導電性接着剤45の厚さが2枚のシート状電池の合計厚さと実質的に等しくなっている。このようにすることで、シート状電池110、210の積層数を多くした場合でも厚さの違いを小さくすることができる。シートペアの厚さを導電性接着剤との厚さと揃えることで、より簡便に積層することができる。
【0094】
また、積層方法もシンプルなため、余分な工程を追加せずに、製造コストの削減が可能である。よって、簡便に薄型化することができる。さらに、複数のシート状電池110が並列接続されるため、大容量化が可能となる。
【0095】
なお、本実施の形態では、4枚のシート状電池110と4枚のシート状電池210とを有する積層電池1について説明したが、積層電池1に含まれるシート状電池110、210の総数は8枚に限定されるものではない。積層電池1は少なくとも1つのシートペア150と1つのシートペア250とを備えていればよい。すなわち、積層電池1は、4枚以上のシート状電池110、210を備えていればよい。
【0096】
また、積層電池1は、シートペア150とシートペア250を1セットとして、すなわち、4枚のシート状電池110、210を1セットとして、複数セット有していることが好ましい。例えば、積層電池1に含まれるシート状電池110、210の総数は、12枚、16枚であってもよい。この場合、シートペア150とシートペア250とが交互に配置されるように、シート状電池110、210を積層していけばよい。
【0097】
さらに、積層電池1を折り曲げることも可能である。積層電池1を折り曲げる構成について、
図9を用いて説明する。
図9では、複数のシート状電池110、210が積層された積層電池1の構成を簡略化して示す平面図である。
【0098】
図9に示すように、X方向と平行な折り曲げ線X1に沿って積層電池1を折り曲げることが可能となる。積層電池1を折り曲げることで、XY平面における面積を半分程度になすることができるため、積層電池1を簡便に小型化することができる。折り曲げ線X1はタブ部132、232を跨がないように配置される。よって、矩形部131、231のみが折り曲げられる。すなわち、タブ部132、232を折り曲げないように、積層電池1が折り曲げられている。
【0099】
さらに、タブ部132、232において、積層体120が設けられている領域よりも+Y側の領域を接合領域135、235とする。接合領域135、235は、基材111、211の周縁部の領域である。基材111、211の周縁部の領域では、積層体120が設けられておらず、基材111、211が露出している。すなわち、接合領域135、235では、シート状電池110、210の両方の表面において基材111、211が露出している。接合部46が接合領域135、235を接合する。このように、接合部46では、シート状電池110、シート状電池210の基材111、211の周縁部同士が接合されている。
【0100】
接合部46は、例えば、抵抗溶接又は超音波溶接等の溶接によって形成される。このようにすることで、全てのシート状電池110、210の第1電極同士が接続される。よって、複数のシート状電池110、210を並列に接続することができる。さらに、接合部46において、全てのシート状電池110、210が固着される。積層電池1を簡便に小型化することができる。
【0101】
実施の形態2.
(シート状電池の平面形状)
本実施の形態では、シート状電池が積層されている点で、実施の形態1と共通するが、シート状電池の平面形状が異なっている。
図10を用いて、本実施の形態にかかるシート状電池310の平面形状について説明する。なお、本実施の形態では、全てのシート状電池310が同じ平面形状となっている。すなわち、全てのシート状電池が同じタイプIIIとなっている。なお、実施の形態1と同様の内容については適宜説明を省略する
【0102】
タイプIIIのシート状電池310はタブ部332、及び絶縁材343の位置がタイプI、IIのシート状電池110、210と異なっている。なお、タブ部332の位置以外は、実施の形態1のシート状電池110、210と同様であるため、説明を省略する。例えば、基材311、積層体320は、それぞれ基材111、積層体120と同様であるため、説明を省略する。
【0103】
矩形部331は、XY平面において、長方形又は正方形となっている。矩形部331から、+Y方向にタブ部332が突出している。タブ部332は、X方向において、矩形部331の中央部分に設けられている。
【0104】
矩形部331の−Y側の端部には絶縁材343が設けられている。絶縁材343は、X方向において、矩形部331の中央部分に設けられている。したがって、タブ部332と絶縁材343とのX方向位置は一致している。
【0105】
(2枚を積層した電池構造体)
2枚のシート状電池310を積層した電池構造体について、
図11〜
図13を用いて説明する。以下、2枚のシート状電池310a、310bを積層した電池構造体をシートペア350aとして説明する。
図11は、シートペア350aの分解斜視図である。
図12は、シートペア350aの側面構成を示すXZ平面図である。
図13は、シートペア350aの平面構成を示すXY平面図である。
【0106】
シート状電池310aとシート状電池310bとは、第2電極17a、17bが向かい合うように配置されている。したがって、シート状電池310bは、
図10のシート状電池310が裏表反転した構成となっている。具体的には、X軸を回転軸として、
図10のシート状電池310を回転させると、シート状電池310bの向きとなる。シート状電池310aは、
図10のシート状電池310と同じ向きとなっている。
【0107】
シート状電池310aの第2電極17aが上側を向くように配置され、シート状電池310bの第2電極17bが下側を向くように配置されている。したがって、
図12に示すように、シート状電池310aでは積層体320aが基板311aよりも上側に配置されており、シート状電池310bでは積層体320bが基板311よりも下側に配置されている。XY平面において、矩形部331aと矩形部331bとが重複するように、シート状電池310aシート状電池310bとが積層される。
【0108】
シートペア350aにおいて、シート状電池310aの第2電極17aとシート状電池310bの第2電極17bとが向かい合うように配置されて、接続される。シート状電池310aの上面では、第2電極17aが露出し、シート状電池310bの下面では、第2電極17bが露出している。これにより、シート状電池310aの第2電極17aとシート状電池310bの第2電極17bとが導通する。
【0109】
また、XY平面において、タブ部332aとタブ部332bとは異なる位置に配置されている。具体的には、タブ部332aは、+Y側の端部に配置され、タブ部332bは、−Y側の端部に配置されている。従って、実施の形態1と同様に、XY平面において、タブ部332aは、シート状電池310bの外側にはみ出すように配置される。XY平面において、タブ部332bは、シート状電池310aの外側にはみ出すように配置される。
【0110】
タブ部332aの近傍には、絶縁材343bが設けられている。よって、基材311bとシート状電池310aの第2電極17aとの間に、絶縁材343bが配置される。基材311bとシート状電池310aの第2電極17aの短絡を防ぐことができる。また、絶縁材343aについても、同様に、基材311aとシート状電池310bの第2電極17bとの間に配置されて、短絡を防止する。
【0111】
次に、シートペア350aと異なる平面構成のシートペア350cの構成について、
図14を用いて説明する。シートペア350cはシート状電池310cとシート状電池310dを備えている。
【0112】
シート状電池310cとシート状電池310dとは、第2電極17c、17d同士が向かい合うように配置されている。シート状電池310cの第2電極17cが上側を向くように配置され、シート状電池310dの第2電極17dが下側を向くように配置されている。したがって、Z軸を回転軸として、
図13の平面形状を180°回転すると、
図14に示す平面形状と一致する。この場合、シート状電池310aがシート状電池310cに対応し、シート状電池310bがシート状電池310dに対応する。
【0113】
XY平面において、タブ部332cとタブ部332dとは異なる位置に配置されている。具体的には、タブ部332dは、+Y側の端部に配置され、タブ部332cは、−Y側の端部に配置されている。従って、実施の形態1と同様に、XY平面において、タブ部332cは、シート状電池310dの外側にはみ出すように配置される。XY平面において、タブ部332cは、シート状電池310dの外側にはみ出すように配置される。
【0114】
シートペア350aとシートペア350cとを積層する場合、XY平面において、シート状電池310aのタブ部332aと、シート状電池310dのタブ部332dが重複するように配置される。同様に、XY平面において、シート状電池310bのタブ部332bと、シート状電池310cのタブ部332cが重複する。XY平面において、タブ部332a、及びタブ部332dは、タブ部332b、及びタブ部332cからずれてい配置される。
【0115】
(積層電池3)
次に、複数のシート状電池310を積層した積層電池3の構成について、
図15を用いて説明する。
図15は、積層電池3の積層構造を示すXZ平面図である。
【0116】
積層電池3は、8枚のシート状電池310a〜積層電池310hを備えている。
図15に示すように、下から順に、シート状電池310a、シート状電池310b、シート状電池310c、シート状電池310d、シート状電池310e、シート状電池310f、シート状電池310g、シート状電池310hの順番で積層されている。
【0117】
シートペア350aは、シート状電池310a、シート状電池310bを有しており、
図13で示した平面形状となっている。シートペア350cは、シート状電池310c、シート状電池310dを有しており、
図14で示した平面形状となっている。
【0118】
シートペア350eは、シート状電池310e、シート状電池310fを有しており、
図13で示した平面形状となっている。すなわち、シート状電池310eは、シート状電池310aの平面形状と一致し、シート状電池310fは、シート状電池310dの平面形状と一致する。
【0119】
シートペア350gは、シート状電池310g、シート状電池310hを有しており、
図14で示した平面形状となっている。すなわち、シート状電池310gは、シート状電池310cの平面形状と一致し、シート状電池310hは、シート状電池310fの平面形状と一致する。
【0120】
したがって、実施の形態1と同様に、タブ部において、第2電極同士が接続される。例えば、タブ部332a、332dにおいて、シート状電池310aの第2電極17(
図15では不図示)と、シート状電池310dの第2電極17(
図15では不図示)が、導電性接着剤345adを介して接続される。また、タブ部332e、332hにおいて、シート状電池310eの第2電極17(
図15では不図示)と、シート状電池310hの第2電極17(
図15では不図示)が、導電性接着剤345ehを介して接続される。なお、
図15では図示されていないが、タブ部332c、332fにおいて、シート状電池310cの第2電極17(
図15では不図示)と、シート状電池310fの第2電極17(
図15では不図示)が、導電性接着剤を介して接続される。
【0121】
このようにすることで、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。例えば、タブリードや櫛歯電極が不要となるため、部品点数を削減することができるとともに、構成、及び製造工程を簡素化することができる。また、実施の形態1と同様に、積層電池3の薄型化を図ることができる。本実施の形態では、シート状電池310のタイプが一つであるため、部品点数をより削減することができる。
【0122】
このような積層電池3についても、実施の形態1の積層電池1と同様に折り曲げることが可能となる。例えば、
図16に示すように、Y方向と平行な折り曲げ線Y1、Y2に沿って、積層電池3を折り曲げることができる。これにより、積層電池3を小型化することができる。折り曲げ線Y1、Y2はタブ部332を跨がないように配置される。よって、矩形部331のみが折り曲げられる。
【0123】
図16に示すようにタブ部332において、積層体320が設けられている領域よりも外側の領域を接合領域335とする。接合領域335では、積層体320が設けられていないため、基材311が露出している。すなわち、接合領域335では、シート状電池310の両方の表面において基材311が露出している。接合部346が接合領域335を接合する。
【0124】
接合部346は、例えば、抵抗溶接又は超音波溶接等の溶接によって形成される。このようにすることで、全てのシート状電池320の第1電極同士が接続される。よって、複数のシート状電池310を並列に接続することができる。さらに、接合部346において、全てのシート状電池310が固着される。積層電池3を簡便に小型化することができる。
【0125】
実施の形態3.
(シート状電池の積層構造)
本実施の形態に用いられるシート状電池の断面構成について、
図17を用いて説明する。
図17はシート状電池60の積層構成を示す断面図である。基材61の一方の面に積層体70が設けられ、他方の面に積層体90が設けられている。なお、実施の形態1,2と同様の内容については適宜説明を省略する。
【0126】
積層体70及び積層体90の積層構成は、実施の形態1で説明した積層体20と同様である。すなわち、積層体20のn型酸化物半導体層13、充電層14、p型酸化物半導体層16、及び第2電極17が、それぞれ積層体70のn型酸化物半導体層63、充電層64、p型酸化物半導体層66、及び第2電極67に対応する。同様に、積層体20のn型酸化物半導体層13、充電層14、p型酸化物半導体層16、及び第2電極17が、それぞれ積層体90のn型酸化物半導体層83、充電層84、p型酸化物半導体層86、及び第2電極87に対応する。
【0127】
したがって、基材61の一方の面に第2電極67が設けられ、他方の面に第2電極87が設けられている。
【0128】
本実施の形態では、2つのタイプのシート状電池が用いられている。具体的には、
図17に示すように、基材61の両方の面に積層体が設けられているシート状電池60と、
図1に示すように、基材11の一方の面のみに積層体20が設けられているシート状電池10である。
【0129】
(シート状電池の平面形状)
図18に2つのタイプのシート状電池の平面形状を示す。ここで、両面に積層体が設けられているシート状電池60をタイプIVのシート状電池660とし、一方の面のみに積層体20が設けられているシート状電池10をタイプVのシート状電池710とする。なお、なお、シート状電池660を両面電池シート、シート状電池710を片面電池シートとも称する。
【0130】
シート状電池660は、基材661の一方の面上に、積層体670が形成されている。なお、基材661の他方の面上に設けられた積層体を積層体690とする。積層体670は、
図17の積層体70に対応する。積層体690は、
図17の積層体90に対応する。XY平面において、積層体670、及び積層体690の形状、大きさ、位置は同じである。
【0131】
シート状電池710は、基材711上に、積層体720が形成されている。積層体720の大きさ、形状は、積層体670、690と同じである。
【0132】
シート状電池660は、シート状電池660は、矩形部631、及びタブ部632を有している。シート状電池710は、矩形部731、及びタブ部732を有している。シート状電池660に第1電極と第2電極との短絡を防ぐ絶縁材643が設けられている。絶縁材643は、基材611の両面に設けられていてもよい、片面のみに設けられていてもよい。シート状電池710には、第1電極と第2電極との短絡を防ぐ絶縁材743が設けられている。絶縁材643、743の形状、位置、及び構成は、絶縁材143と同様であるため、説明を省略する。
【0133】
シート状電池660の基材661、及びシート状電池710の基材711は、タイプ1のシート状電池110の基材111と同じ形状となっている。タブ部632、732は、タブ部132と同様の位置にある。
【0134】
(2枚を積層した電池構造体)
2枚のシート状電池660を積層した電池構造体について、
図19、
図20を用いて説明する。以下、2枚のシート状電池660を積層した電池構造体をシートペア650として説明する。
図19は、シートペア650の側面構成を示すXZ平面図である。
図20は、シートペア650の平面形状を示すXY平面図である。
【0135】
シートペア650は、シート状電池660bとシート状電池660cを有している。シート状電池660cとシート状電池660bは、
図18に示したタイプIVのシート状電池660である。シートペア650では、2枚のシート状電池660cとシート状電池660bが同じ向きのまま重ね合わされている。
【0136】
シート状電池660cとシート状電池660bが完全に重複するように配置される。実施の形態1、2とは異なり、X方向において、シート状電池660cのタブ部632cと、シート状電池660bのタブ部632bとが同じ位置になる。したがって、XY平面において、シート状電池660cのタブ部632cと、シート状電池660bのタブ部632bとが重複している。シート状電池660cの第2電極67cとシート状電池660bの第2電極87bとが向かい合って、接続されている。
【0137】
(積層電池6)
次に、複数のシート状電池660、710を積層した積層電池6の構成について、
図21を用いて説明する。
図21は、積層電池6の構成を模式的に示す図である。
【0138】
積層電池6は、シート状電池710a、シートペア650b、シートペア650d、シートペア650f、シートペア650h、及びシート状電池710jを備えている。シート状電池710a、シートペア650b、シートペア650d、シートペア650f、シートペア650h、及びシート状電池710jはこの順で積層されている。
【0139】
シート状電池710a、710jは、
図18で示したタイプVのシート状電池710である。シートペア650b、650d、650f、650hは
図19、
図20で示したシートペア650である。シートペア650は2枚のシート状電池660を有している。したがって、積層電池6は、2枚のシート状電池710と、8枚のシート状電池660とを備えている。
【0140】
なお、シートペア650bを構成する2枚のシート状電池660を
図19、
図20に示したよう、シート状電池660b、660cとする。また、シートペア650dを構成する2枚のシート状電池660を、シート状電池660d、660eとする。また、シートペア650fを構成する2枚のシート状電池660を、シート状電池660f、660gとする。また、シートペア650hを構成する2枚のシート状電池660を、シート状電池660h、660iとする。
【0141】
シート状電池710aは、
図18の構成のままとなっている。シート状電池710jは、
図18の構成を表裏反転している。シートペア650d、650hは、
図19、
図20で示した構成のままとなっている。シートペア650b、650fは、
図19、
図20で示した構成を表裏反転している。
【0142】
したがって、シート状電池710j、及びシートペア650b、650fでは、タブ部732j、632が−X側の端部に配置されている。XY平面において、シート状電池710j、及びシートペア650b、650fのタブ部732j、632は重複している。シート状電池710a、及びシートペア650d、650gでは、タブ部732a、632が−X側の端部に配置されている。XY平面において、シート状電池710a、及びシートペア650d、650gのタブ部732a、632は重複している。
【0143】
実施の形態1、2で説明したように、2枚のシート状電池分の厚さを有する導電性接着剤(
図21では不図示)を用いることで、第2電極同士を接続することができる。例えば、+X側の端部にあるタブ部において、シート状電池710aの第2電極17と、シートペア650dの第2電極87とが向かい合うように配置されて接続される。
【0144】
同様に、+X側の端部にあるタブ部において、シートペア650dの第2電極67とシートペア650hの第2電極87が向かい合うように配置されて接続される。また、−X側の端部にあるタブ部において、シートペア650bの第2電極87とシートペア650fの第2電極67とが向かい合うように配置されて、接続される。同様に、−X側の端部にあるタブ部において、シート状電池710jの第2電極17とシートペア650fの第2電極87とが向かい合うように配置されて、接続される。タブ部における第2電極17の接続には、実施の形態1、2で示したように導電性接着剤が用いられる。
【0145】
このようにすることで、実施の形態1、2と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施の形態では、絶縁材が不要となるため、部品点数をさらに削減することができる。よって、より生産性を向上することができる。さらに、両面電池シートが用いられているため、電池容量を向上することができる。
【0146】
また、実施の形態1で示したように、積層電池6を折り曲げてもよい。さらに、シート状電池660、710の周縁部を接合領域として、溶接などで接合してもよい。
【0147】
実施の形態3では、厚さ方向における積層電池6の最も上側と最も下側のシート状電池を片面電池シートとし、それらの間のシート状電池を両面電池シートとしてもよい。また、積層電池6に含まれるシート状電池の数は、4枚以上であればよい。すなわち、積層電池6は、少なくとも2枚のシート状電池710と、2枚のシート状電池660を備えていればよい。
【0148】
その他の実施の形態.
実施の形態1、2において、絶縁材を形成する位置はタブ部の近傍に限定されるものではない。例えば、基材の全周に絶縁材を形成してもよい。基材の全周に絶縁材を形成した例を
図22、
図23に示す。
【0149】
図22、
図23に示すように、絶縁材143a、143bがシート状電池110a、110bの外周全体に渡って形成されていてもよい。すなわち、XY平面視において、絶縁材143aがシート状電池110aの全周に連続して形成されており、積層体120aを囲んでいる。基材111aの周縁部では、最表面に絶縁材143aが配置され、中央部では、最表面に積層体120aが配置されている。このような構成においても、絶縁材143aがタブ部132aにおける積層体120aと、基材111bとの間に配置される。よって、電極間の短絡を防ぐことができる。また、絶縁材143aがタブ部132bにおける積層体120bと、基材111aとの間に配置される。よって、電極間の短絡を防ぐことができる。
【0150】
本実施の形態では、絶縁材143がシート状電池110の外周全体に設けられている。このようにすることで、より確実に短絡を防ぐことができる。なお、絶縁材143の構成は、上記の構成に限られるものではない。電極間の短絡を防ぐことができる構成であれば、実施の形態1、2で示したように、最小範囲の構成であってもよいし、
図22、
図23のように、外周全体に連続して設けられていてもよい。もちろん、絶縁材143は、構成以外の構成を有していてもよい。また、積層電池の一部については、絶縁材143をシート状電池110の外周全体に設け、一部は絶縁材143を外周の一部のみに設けてもよい。実施の形態2、3においても
図22、
図23に示すような、外周全周の絶縁材を用いてもよい。
【0151】
シート状電池において、タブ部を設ける位置は、上記の位置に限られるものではない。実施の形態1、2では、シートペアにおいて、タブ部が重複しない位置に設けられていればよい、実施の形態3では、シートペアにおいて、タブ部が重複する位置に設けられていればよい。
【0152】
また、上記の説明では、第2電極17が正極であり、基材11(第1電極)が負極である例について説明したが、第2電極17が負極であり、基材が正極となっていてもよい。すなわち、第1電極(基材)が正極の場合、第2電極である負極が基材の表面に形成され、第1電極(基材)が負極の場合、第2電極である正極が基材の表面に形成される。
【0153】
以上、本発明の実施形態の一例を説明したが、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態による限定は受けない。