(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態の説明]
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両用照明の制御装置、及びその周辺機器の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、制御装置100は、自車両が走行する走行車線を検出する走行車線検出部11と、カメラ16で撮像される画像に基づいて自車の周囲状況を検出する周囲状況検出部12を備えている。更に、自車両の走行方向に向く勾配を検出する勾配検出部13(勾配検出回路)と、自車両の左右前方に設けられる2つの前照灯21R、21Lを制御する照明制御部14(照明制御回路)を備えている。
【0010】
また、制御装置100には、地図データ上での自車両の位置を検出するGPS15、自車両の周囲を撮像するカメラ16、及び自車両に生じる加速度を検出する加速度センサ17に接続されている。
【0011】
制御装置100に含まれる走行車線検出部11、周囲状況検出部12、勾配検出回路(勾配検出部13)、照明制御部(照明制御部14)は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備えるマイクロコンピュータを用いて実現可能である。マイクロコンピュータを制御装置100として機能させるためのコンピュータプログラムを、マイクロコンピュータにインストールして実行する。これにより、マイクロコンピュータは、制御装置100が備える複数の情報処理回路(走行車線検出部11、周囲状況検出部12、勾配検出回路、照明制御回路14)として機能する。なお、ここでは、ソフトウェアによって制御装置100を実現する例を示すが、勿論、実施形態に記載した機能を実行するようにアレンジした特定用途向け集積回路(ASIC)や従来型の回路部品のような専用のハードウェアを用意して、制御装置100を構成することも可能である。また、制御装置100に含まれる各情報処理回路を個別のハードウェアにより構成してもよい。更に、制御装置100は、車両にかかわる他の制御に用いる電子制御ユニット(ECU)と兼用してもよい。
【0012】
走行車線検出部11は、GPS15より取得される自車両の現在位置情報に基づいて、自車両が走行する走行路を検出する。更には、複数の車線を有する場合には自車両が走行している車線を検出する。例えば、片側3車線の高速道路を走行しているときに、左車線、中央車線、或いは右車線のいずれの車線を走行しているかを検出する。
【0013】
周囲状況検出部12は、カメラ16で撮像される周囲画像を取得し、画像処理により自車両の前方を走行する先行車両の有無を検出する。更に、仕切物体の有無、及び仕切物体の高さを検出する。仕切物体とは、自車両が走行する車線と、これに対向する対向車線との間に介在する物体であり、例えば、光を遮るための柵、防眩板、防眩用の樹木、等である。なお、先行車両及び仕切物体の検出方法は、カメラ16により撮像された画像を用いる方法以外でも、例えば、レーザレーダ、ミリ波レーダ等の測定器を用いる方法を採用することができる。
【0014】
勾配検出部13は、自車両に搭載される加速度センサ17と接続されており、自車両に生じる加速度の変化に基づいて、自車両の走行方向に向く勾配(水平面に対する傾斜角度)を検出する。なお、勾配の検出方法は加速度センサ17に限られるものではなく、例えばエンジンの出力と車体速度の関係から検出する方法や、GPSより取得する方法を採用することも可能である。
【0015】
前照灯21R、21Lは、
図2に示すように複数のLEDを有している。例えば、5行(N1〜N5)、30列(M1〜M30)の合計150個のLEDをマトリクス状に配置した構成を有しており、ピクセルマトリクスビームを出力する。複数のLEDのうち、点灯させる領域と消灯させる領域を制御すること、或いは、高い輝度で点灯させる領域と低い輝度で点灯させる領域を制御することにより、自車両前方の光の照射領域を設定することができる。
【0016】
従って、前照灯21R、21Lは、照明制御部14の制御により、自車両に近く且つ広い視野角の領域に光を照射するロービーム、及びロービームと対比して相対的に遠く且つ狭い視野角の領域に光を照射するハイビームを適宜切り替えることができる。更には、対向車両や先行車両が存在する領域をスポット的にロービームとして、対向車両や先行車両にグレアを与えることを防止し、且つ、自車両から遠い領域の視認性を高めることが可能である。
【0017】
例えば、
図2に示す5行、30列のLEDで、上段の3行(N1、N2、N3)を点灯し、下段の2行(N4、N5)を消灯することによりハイビームとすることができる。或いは、全てのLEDを点灯させることにより、ハイビームとすることができる。上段の2行(N1、N2)を消灯し、下段の3行(N3、N4、N5)を点灯することによりロービームとすることができる。
【0018】
第1実施形態では、自車両の走行方向に向く勾配に応じて、前方に照射する照明光の高さを変更する。以下、
図3A、
図3B、
図3Cを参照して詳細に説明する。
図3Aは、自車両V1が平坦な走行路を走行しているときの側面側から見た様子を模式的に示す説明図である。
図3Aにおいて、走行車線L1と対向車線L2は共に平坦となっている。従って、前照灯21R、21Lをロービームとした場合には、上述したように、
図2に示す5行、30列のLEDのうち、下段の3行(N3、N4、N5)のLEDが点灯するので、符号q1に示す領域に光が照射される。このとき、照射光は対向車両の乗員の視線高さよりも低い領域に照射され、対向車両の乗員に与えるグレアを抑制できる。
【0019】
一方、
図3Bに示すように、自車両V1の走行車線L1が上り坂である場合には、該走行車線L1は、対向車線L2に対して若干の傾斜角度(上り勾配)を有することになる。このため、前照灯21R、21Lより照射される照明光は、傾斜角度分だけ上向く。前照灯21R、21Lを、上記した
図3Aと同様にロービームとし、
図2に示す下段の3行(N3、N4、N5)のLEDを点灯させると、符号q1に示す領域が上方に移動する(
図3Aと比べて
図3Bでは、符号q1の領域が高くなっている)。従って、照明光が対向車の乗員の視線高さ付近に向けて照射されてしまい、対向車両の乗員にグレアを与えてしまう可能性がある。
【0020】
本実施形態では、自車両V1が上り勾配を走行し、対向車線に対して傾斜している場合には、上り勾配の角度に応じて照明光を照射する高さを設定する。具体的には、
図2に示した複数のLEDのうち、平坦な場合に比べ低い位置のLEDを点灯させる。例えば、
図2に示した5行のLED(N1〜N5)のうち、下段の2行(N4、N5)のLEDを点灯させる。その結果、
図3Cに示すように照明光の照射領域が符号q1aに示す領域となり、照射されない領域が符号q2aに示す領域となる。こうすることにより、自車両V1が勾配を有する走行路を走行して、照明光が上向いた場合でも、対向車両の乗員にグレアを与えることを抑制できる。
【0021】
点灯させるLEDの高さは、対向車両の乗員の視線位置よりも低い位置に照明光が照射されるように設定する。具体的には、前照灯21R、21Lに設けられる複数行のLED(
図2の例では、5行)のうち、点灯させる高さを所定高さとして設定する。所定高さは、例えば、対向車両の乗員の目線の高さ、或いは対向車両のフロントガラスの高さに設定する。そして、自車両V1の走行方向の上り勾配が大きいほど所定高さを低下させる。即ち、対向車線側に照射する照射光の照射高さを低下させる際に、自車両V1の走行方向の上り勾配が大きいほど、所定高さを低下させる。
【0022】
また、所定高さよりも低い位置のLEDを高い輝度で点灯させ、所定高さよりも高い位置のLEDを低い輝度で点灯させることも可能である。こうすることにより、たとえ対向車両の乗員の視線位置に照明光が照射された場合でも、輝度が低いので乗員に与えるグレアを抑制できる。即ち、所定高さ以下よりも、所定高さ以上の照明光の輝度を低下させる。そして、自車両V1の走行方向の上り勾配が大きいほど、所定高さを低下させる。
【0023】
このようにして、本実施形態に係る車両用照明では、自車両V1の走行路の上り勾配が大きい場合には、前照灯21R、21Lに設けられる複数のLEDのうち、ロービームとするときに点灯するLEDを低くしている。例えば、通常のロービームでは、
図2に示す5行のLEDのうち、上側2行(N1、N2)のLEDを消灯し、下側3行(N3、N4、N5)のLEDを点灯させる。或いは、上側2行(N1、N2)のLEDを低い輝度で点灯し、下側3行(N3、N4、N5)のLEDを高い輝度で点灯する。
【0024】
これに対して、走行路が上り勾配であるときには、例えば、上側3行(N1、N2、N3)のLEDを消灯し、下側2行(N4、N5)のLEDを点灯させる。或いは、上側3行(N1、N2、N3)のLEDを低い輝度で点灯し、下側2行(N4、N5)のLEDを高い輝度で点灯させる。
【0025】
その結果、自車両V1が、対向車線に対して相対的に上り勾配となっており、前照灯21R、21Lの照射光が上向いた場合でも、対向車の乗員に与えるグレアを抑制することができる。
【0026】
[第2実施形態の説明]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。装置構成は、
図1と同様であるので構成説明を省略する。
第2実施形態では、自車両が最も仕切物体に近い車線を走行しているときに、該仕切物体の高さに応じて、前照灯21R、21Lに設けられる複数のLEDのうち、点灯するLEDを変更する。具体的には、対向車線側に照射する照明光の高さを低くする(高さを変更する)ことにより対向車両に与えるグレアを抑制する。また、自車両の進行方向をハイビームとすることにより、自車両前方の視認性を向上させる。
【0027】
図4は、自車両と対向車両との関係を示す説明図であり、自車両V1が片側2車線道路の右側の走行車線L1を走行しており、対向車線L2との間に防眩板等の仕切物体C1が介在している。このような状況下では、自車両V1からP1に示す領域に照明光が照射されている。このうち、自車両V1から対向車線L2側に向けて照射される照明光X1が仕切物体C1の高さよりも高い場合には、仕切物体C1を超えて対向車線L2を走行する対向車両V2に照射される。従って、対向車両V2の乗員にグレアを与えてしまう。
【0028】
一方、これを回避するために、例えば、
図2に示した5行、30列のLEDのうち、右側5列(M26〜M30)、合計25個のLEDを消灯し、対向車線L2側を向く照明光を抑制してしまうと、仕切物体C1に照明光を照射できなくなり、自車両前方の視認性が低下する。
【0029】
第2実施形態では、例えば、
図5Aに示すように前照灯21R、21Lの右上側の領域、例えば、上側2行(N1、N2)の、右側5列(M26〜M30)の合計10個のLEDを消灯することにより、仕切物体C1よりも高い位置へ照明光が照射されることを防止する。
図5Aで、黒色で示すLEDは消灯を示している。このため、対向車両V2の乗員にグレアを与えることなく、且つ、仕切物体C1に照明光を照射して仕切物体C1の視認性を向上させる。また、上記10個のLEDを消灯することに代えて、輝度を低下させる(所定高さ以上のLEDの輝度を低下させる)ことも可能である。
【0030】
更に、本実施形態では、前述した第1実施形態と同様に、自車両の走行方向に向く勾配に応じて、対向車線側に照射する照明光の高さを変更する。以下、
図6A、
図6B、
図6Cを参照して詳細に説明する。
図6Aは、自車両V1が平坦な走行路を走行しているときの側面側から見た様子を模式的に示す説明図である。
図6Aにおいて、走行車線L1と対向車線L2は共に平坦となっている。また、対向車線側に照射される照明光は、その一部が仕切物体C1(
図4参照)により遮られる。具体的には照明光のうちの下部の領域q1は仕切物体C1により遮られる。上部の領域q2は対向車線側に向けて照射される。従って、上部の領域q2に照明光を照射しないように、前照灯21R、21Lの照射光を制御すれば、対向車両の乗員に与えるグレアを抑制できる。
【0031】
また、
図6Bに示すように、自車両V1の走行車線L1が上り坂である場合には、該走行車線L1は、対向車線L2に対して若干の傾斜角度を有することになる。このため、前照灯21R、21Lより照射される照明光が上向くので、仕切物体C1により遮られる領域が変化する。従って、
図6Aで示した領域q1、q2をそのまま設定してLEDの点灯を制御すると、
図6Bに示すように、領域r1から照明光が対向車線に向けて照射されてしまい、対向車両の乗員にグレアを与えてしまう可能性がある。
【0032】
本実施形態では、自車両V1の走行路が傾斜し、上り勾配となっている場合には、この傾斜角度に応じて照明光を照射する高さを設定する。例えば、
図5Bに示すように、5行のLEDのうち、上側1行(N1)のLEDを全て消灯し、且つ、右側5列(M26〜M30)の、上側3行(N1〜N3)のLEDを消灯する。その結果、
図6Cに示すように、照明光を照射しない領域q4が設定される。即ち、前照灯21R、21Lより照射される照明光のうち、下部の領域q3は仕切物体C1により遮られ、上部の領域q4は対向車線側に向けて照射されるので、領域q4に照明光を照射しないように、前照灯21R、21Lの配光を制御する。こうすることにより、
図5Aと対比して、相対的に上段のLEDが消灯することになり、自車両V1が上り勾配を走行して前照灯21R、21Lが上向きになった場合でも対向車両の乗員に与えるグレアを抑制できる。また、勾配の角度が大きいほど、照明光の照射領域を低く設定してもよい。
【0033】
以下、第2実施形態の作用を
図7に示すフローチャートを参照して説明する。
図7に示す処理は、
図1に示した制御装置100によって実行される。
初めに、ステップS11において、走行車線検出部11は、通行帯を設定する。具体的には、左側通行、或いは右側通行を設定する。日本国の場合は左側通行に設定する。
【0034】
ステップS12において、走行車線検出部11は、GPS15より取得される現在位置情報に基づいて、自車両が自動車専用道路を走行しているか否かを判断する。自動車専用道路とは、高速道路等の歩行者が進入しない道路である。
自動車専用道路を走行していない場合には(ステップS12でNO)、ステップS18において、照明制御部14は、前照灯21R、21Lを通常の配光となるように制御する。通常の配光とは、例えば、市街地を走行中には全ての領域でロービームとなるように制御することや、対向車両の存在を検出し、対向車両に向く領域のみをロービームとし、それ以外の領域をハイビームとする制御である。
【0035】
自動車専用道路を走行している場合には(ステップS12でYES)、ステップS13において、走行車線検出部11は、GPS15より取得される現在位置情報に基づいて、自車両が走行している車線を検出する。そして、自車両が走行している車線は右端の車線であるか否かを判断する。なお、右側通行の場合では、左端の車線を走行しているか否かを判断する。
【0036】
右端の車線を走行していない場合には(ステップS13でNO)、ステップS17において照明制御部14は、前照灯21R、21Lをハイビームとして前方に照明光を照射する。右端を走行していないということは、例えば、3車線道路の左側、或いは中央の車線を走行している場合であり、対向車線との間に少なくとも一つの車線が存在している。この場合には、ハイビームとしても対向車両にグレアを与えることは無いものと推定できるので、前照灯21R、21Lをハイビームとして、自車両前方の視認性を向上させる。
【0037】
一方、右端の車線を走行している場合には(ステップS13でYES)、ステップS14において、周囲状況検出部12は、自車両の走行車線と対向車線との間に介在する柵、反射板等の仕切物体の高さを検出する。具体的には、カメラ16で撮像された画像に基づいて、画像処理により仕切物体の高さを検出する。
【0038】
ステップS15において、勾配検出部13は、自車両の勾配を検出する。具体的には、車両に搭載される加速度センサの出力信号に基づき、自車両の進行方向に向く勾配を検出する。例えば、自車両が上り坂を走行している場合には、この上り坂の傾斜角度が検出されることになる。
【0039】
ステップS16において、照明制御部14は、仕切物体の高さ及び自車両の勾配に基づいて、前照灯21R、21Lの配光を制御する。対向車線側に照射する照明光の高さを低くする。具体的には、
図5A、
図5Bに示したように、前照灯21R、21Lの右上側の領域のいくつかのLEDを消灯することにより、仕切部材の上側から対向車線に向けて照明光が照射されることを回避する。この際、自車両の勾配を考慮しているので、
図6Bに示したように、仕切物体C1の上側から照明光が照射されることを防止できる。
【0040】
このようにして、第2実施形態に係る車両用照明の制御装置では、仕切物体C1よりも低い領域に照明光が照射されるように、各前照灯21R、21Lより照射する照明光の高さを制御する。即ち、各前照灯21R、21Lの複数のLEDのうち、右上方の領域に存在するいくつかのLEDを消灯する。
【0041】
この際、消灯する領域は、仕切物体C1の高さに応じて変更する。即ち、仕切物体C1の高さが高い場合には、より上方の光を遮ることができるので、点灯する領域を高くし、より高い位置まで照明光を照射するように設定する。こうすることにより、対向車にグレアを与えることを回避でき、且つ、仕切物体C1に照明光を照射できるので、仕切物体C1の視認性を高めることができる。
【0042】
更に、自車両が走行する走行路の勾配の角度が大きいほど(上りの勾配が大きいほど)、点灯する領域を低くさせる。即ち、対向車線側に照射する照明光の照明高さを所定高さ以下に低下させる際に、自車両V1の走行方向の上り勾配が大きいほど、所定高さを低下させる。
【0043】
また、所定高さよりも低い位置のLEDを高い輝度で点灯させ、所定高さよりも高い位置のLEDを低い輝度で点灯させることも可能である。こうすることにより、たとえ対向車両の乗員の視線位置に照明光が照射された場合でも、輝度が低いので乗員に与えるグレアを抑制できる。即ち、所定高さ以下よりも、所定高さ以上の照明光の輝度を低下させる。そして、自車両V1の走行方向の上り勾配が大きいほど、所定高さを低下させる。
その結果、自車両V1が、対向車線に対して相対的に上り勾配となっており、前照灯21R、21Lの照射光が上向いた場合でも、仕切物体C1を挟んだ対向車線を走行する対向車の乗員に与えるグレアを抑制することができる。
【0044】
また、仕切物体C1の高さが低いほど、対向車線に照射する照明光の高さを低くするので、仕切物体C1の高さに応じた適切な配光制御を行うことができる。
【0045】
更に、勾配の傾斜角度が大きいほど(上り坂が急なほど)、照明光を照射する高さが低くなるように設定することにより、勾配の変化に応じて適切な制御が行われ、自車両が勾配を有する走行路を走行している場合でも、対向車両にグレアを与えることを回避することができる。
【0046】
また、自車両が対向車線と隣接する車線(左側通行の場合には、右端の車線)を走行している場合に限って、仕切物体の高さ及び自車両の勾配に応じた配光制御を行うので、対向車線と隣接しない車線の走行時には、仕切物体の高さ及び自車両の勾配に応じた制御は行われず、不要な配光制御をすることなく、自車両前方の視認性を向上させることができる。
【0047】
更に、高速道路等の自動車専用道路を走行しているときに照明の配光を制御するので、路上に歩行者が進入するようなことは想定されず、照明光を照射する高さを低く設定しても歩行者の認識が遅れる等の問題は生じない。
【0048】
なお、上述した実施形態では、前照灯21R、21Lが有する複数のLEDのうち、いくつかのLEDを消灯する例について説明したが、消灯に限定されず、所定高さ以上のLEDの輝度を低下させることにより、対向車両に与えるグレアを回避することも可能である。具体的には、
図5A、
図5Bに示した消灯領域のLED(黒色で示したLED)を、消灯させずに輝度を低下させるようにしてもよい。
【0049】
[第3実施形態の説明]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。前述した第1、第2実施形態では、自車両の勾配を検出し、勾配の角度に応じて照明光を照射する高さを変更する例について示した。第2実施形態では、自車両の勾配と対向車線の勾配の相対的な角度に応じて、照明光を照射する高さを変更する。
【0050】
図8は、第2実施形態に係る車両用照明の制御装置の構成を示すブロック図である。
図8に示すように、第2実施形態に係る制御装置101は、前述した第1実施形態と同様に、走行車線検出部11と、周囲状況検出部12と、照明制御部14を備えている。更に、自車両の勾配を検出する自車両勾配検出部31、及び対向車線勾配検出部32を備えている。
【0051】
自車両勾配検出部31は、
図1に示した勾配検出部13と同様に、加速度センサ17の検出データに基づいて自車両の勾配を検出する。
【0052】
対向車線勾配検出部32は、GPS15にて検出される現在位置情報と地図データに基づいて対向車線の勾配を検出する。
【0053】
図8に示す制御装置101は、自車両勾配検出部31と対向車線勾配検出部32以外の構成は
図1と同様であるので、同一符号を付して構成説明を省略する。
【0054】
次に、
図9に示すフローチャートを参照して、第2実施形態に係る制御装置101の処理手順について説明する。
図9に示す処理は、
図8に示す制御装置101によって実行される。
初めに、ステップS31において、走行車線検出部11は、通行帯を設定する。具体的には、左側通行、或いは右側通行を設定する。
【0055】
ステップS32において、走行車線検出部11は、GPS15より取得される現在位置情報に基づいて、自車両が自動車専用道路を走行しているか否かを判断する。自動車専用道路を走行していない場合には(ステップS32でNO)、ステップS39において、照明制御部14は、前照灯21R、21Lを通常の配光となるように制御する。通常の配光とは、例えば、市街地を走行中には全ての領域でロービームとなるように制御することや、対向車両の存在を検出し、対向車両に向く領域のみをロービームとし、それ以外の領域をハイビームとする制御である。
【0056】
自動車専用道路を走行している場合には(ステップS32でYES)、ステップS33において、走行車線検出部11は、GPS15より取得される現在位置情報に基づいて、自車両が走行している車線を検出する。自車両が走行している車線は右端の車線であるか否かを判断する。なお、右側通行の場合では、左端の車線を走行しているか否かを判断する。
【0057】
右端の車線を走行していない場合には(ステップS33でNO)、ステップS40において照明制御部14は、前照灯21R、21Lをハイビームとして前方に照明光を照射する。右端を走行していないということは、例えば、3車線道路の左側、或いは中央の車線を走行している場合であり、対向車線との間に少なくとも一つの車線が存在している。この場合には、ハイビームとしても対向車両にグレアを与えることは無いものと推定できるので、前照灯21R、21Lをハイビームとして、自車両前方の視認性を向上させる。
【0058】
一方、右端の車線を走行している場合には(ステップS33でYES)、ステップS34において、周囲状況検出部12は、自車両の走行車線と対向車線との間に介在する柵、反射板等の仕切物体の高さを検出する。具体的には、カメラ16で撮像された画像に基づいて、画像処理により仕切物体の高さを検出する。
【0059】
ステップS35において、自車両勾配検出部31は、自車両の勾配を検出する。具体的には、車両に搭載される加速度センサ17の出力信号に基づき、自車両の進行方向に向く勾配を検出する。例えば、自車両が上り坂を走行している場合には、この上り坂の傾斜角度を検出する。
【0060】
ステップS36において、対向車線勾配検出部32は、GPS15で検出される現在位置情報と地図データに基づき、対向車線の勾配を検出する。
【0061】
ステップS37において、照明制御部14は、自車両の勾配と対向車線の勾配の間の相対的な傾斜角度を算出する。対向車線を基準とし、対向車線の勾配をゼロとしたときの、自車両の勾配を相対的な傾斜角度とする。例えば、自車両が上り坂を走行している場合でも、対向車線の勾配がこれと同一の勾配であれば、相対的な傾斜角度はゼロということになる。
【0062】
ステップS38において、照明制御部14は、仕切物体の高さ、及び相対的な傾斜角度に基づいて、前照灯21R、21Lの対向車両側の照明光の高さを設定する。具体的には、仕切物体の高さに基づき、この仕切物体の高さよりも低い領域に光が照射されるように各前照灯21R、21Lより照射する照明光の高さを制御する。更に、相対的な傾斜角度に応じて、照明光の高さを制御する。即ち、各前照灯21R、21Lの複数のLEDのうち、右上方の領域に存在するいくつかのLEDを消灯する。
【0063】
このようにして、第2実施形態に係る車両用照明の制御装置101では、前述した第1実施形態と同様に、自車両が対向車線と隣接する車線を走行している場合には、仕切物体よりも低い領域に光が照射されるように各前照灯21R、21Lより照射する照明光の高さを制御する。この際、照明光を照射する高さは、仕切物体の高さ、及び相対的な傾斜角度に応じて変更する。
【0064】
従って、自車両の勾配と対向車線の勾配の相対的な角度に応じて、照明光を照射する高さが変更されるので、自車両が走行する走行路の勾配に影響されることなく、対向車両にグレアを与えることを確実に防止することができる。
【0065】
また、第2実施形態についても、前述した第1実施形態と同様に、所定高さ以上のLEDを消灯するのではなく、輝度を低下させることにより、対向車両に与えるグレアを回避することもできる。
【0066】
以上、本発明の車両用照明の制御方法、及び車両用照明の制御装置を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【0067】
例えば、各実施形態では車両が自動車専用道路を走行しているときに、前照灯21R、21Lの配光を制御する例について説明したが、本発明はこれに限定されず、一般道路を走行している場合においても適用することが可能である。