(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記モジュールスタックは、前記積層方向におけるいずれかの位置に配置され前記積層方向に沿って弾発力を生じさせる弾性部材をさらに備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組電池。
前記一対の第1カバー部材における一方の第1カバー部材は、前記複数のモジュールスタックと接触して加圧する加圧部と、前記積層方向において前記加圧部よりも前記複数のモジュールスタックから離間した離間部と、を備え、
前記離間部は、組電池を持ち上げる機械を挿入可能な穴部を備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組電池。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面における各部材の大きさや比率は、説明の都合上誇張され実際の大きさや比率とは異なる場合がある。
【0011】
図中において、X、Y、及びZで表す矢印を用いて、方位を示している。Xによって表す矢印の方向は、後述する単電池120の積層方向と交差し、かつ、単電池120の長手方向及び電極タブ124の伸びる方向を示している。Yによって表す矢印の方向は、単電池120の積層方向と交差し、かつ、単電池120の短手方向及び電極タブ124の並ぶ方向を示している。Zによって表す矢印の方向は、単電池120の積層方向を示している。
【0012】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態の組電池100及び電池パック10を
図1〜
図15を参照しつつ説明する。
図1〜
図15は第1実施形態に係る組電池及び電池パックの説明に供する図である。
【0013】
電池パック10は、
図1に示すように、複数の組電池100と、ベース部材200と、電池間バスバ300と、配線400と、を有する。
【0014】
本実施形態に係る電池パック10について
図1を参照して説明すれば、複数の組電池100と、組電池100に含まれるモジュールスタック111〜114が並ぶ短手方向Yと交差する長手方向Xに組電池100を並べて配置させるベース部材200と、を有する。
【0015】
(組電池)
組電池100は、
図5に示すようにモジュールスタック群110と、プレート部材140と、バスバモジュール150と、筐体180と、を有する。
【0016】
本実施形態に係る組電池100について
図4、10を参照して概説すれば、モジュールスタック群110と、一対の加圧板181、182と、一対の側板183と、プレート部材140と、を有する。モジュールスタック群110は、発電要素121を含む電池本体123から電極タブ124を導出した単電池120を厚さ方向に複数積層したモジュールスタック111〜114を並べている。一対の加圧板181、182は、単電池120の積層方向Zにおける両側からモジュールスタック群110を覆う。一対の側板183は、積層方向Zと交差し、かつ、電極タブ124が導出する方向と交差する方向における両側からモジュールスタック群110を覆う。プレート部材140は、モジュールスタック群110において隣接するモジュールスタック同士の間であって一対の加圧板181、182における加圧板181と加圧板182とを連結する。一対の側板183は、モジュールスタック群110を一対の加圧板181、182によって積層方向Zに加圧した状態において一対の加圧板181、182と接合される。また、プレート部材140は一対の加圧板181、182と接合される。
【0017】
一対の加圧板181、182は一対の第1カバー部材に相当し、一対の側板183は一対の第2カバー部材に相当する。モジュールスタック群110は、複数のモジュールスタック111〜114を有する。モジュールスタックは電池モジュールとも呼ばれる。モジュールスタック111〜114は同様の構成であるため、以下ではモジュールスタック111について説明する。
【0018】
モジュールスタック111は、
図7に示すように複数の単電池120と、複数のスペーサ130と、を有する。以下、詳述する。
【0019】
(単電池)
単電池120は、例えばリチウムイオン二次電池などにあたる。単電池120は、
図10に示すように発電要素121を一対のラミネートフィルム122によって封止した電池本体123と、発電要素121に電気的に接続され電池本体123からラミネートフィルム122の外部に導出された電極タブ124と、を備える。ラミネートフィルム122は、例えばポリエチレンやニッケルをラミネートして構成している。
【0020】
発電要素121は、正極と負極とをセパレータで挟持したものを複数積層して構成している。発電要素121は、外部から電力の供給を受けて充電した上で外部の電気デバイスに対して放電しつつ電力を供給する。
【0021】
ラミネートフィルム122は、絶縁性を備えたシートによって金属箔の両側を覆って構成している。ラミネートフィルム122は、対となって構成し、積層方向Zから平面視した際に略矩形状に構成している。一対のラミネートフィルム122は、発電要素121を積層方向Zにおいて両側から被覆し、その四辺を封止している。一対のラミネートフィルム122は
図10に示すように短手方向Yに沿った一端部122aの間から外部に向かってアノード側電極タブ124Aとカソード側電極タブ124Kを導出している。
【0022】
ラミネートフィルム122は、
図9に示すように短手方向Yに沿った一端部122aの両端にそれぞれ備えた一対の連結孔122eに第1スペーサ131の一対の連結ピン131iをそれぞれ挿通させている。一方、ラミネートフィルム122は、短手方向Yに沿った他端部122bの両端にそれぞれ備えた一対の連結孔122eに一対の連結ピン132iをそれぞれ挿通させている。ラミネートフィルム122は、長手方向Xに沿った両端部122c及び122dを、積層方向Zの上方に向かって折り曲げて形成している。ラミネートフィルム122は、本明細書において外装体に相当する。
【0023】
電極タブ124は、
図9などに示すようにアノード側電極タブ124Aとカソード側電極タブ124Kとを有する。アノード側電極タブ124A及びカソード側電極タブ124Kは、短手方向Yにおいて離間して配置され、長手方向Xに向かって延在し、先端が屈折してZ方向に向かって延在している。アノード側電極タブ124Aは、発電要素121中のアノード側の構成部材の特性に合わせてアルミニウムからなる。カソード側電極タブ124Kは、発電要素121中の構成部材の特性に合わせて銅からなる。
【0024】
電極タブ124は、
図10に示すように基端部124cから先端部124dにかけてL字形状、言い換えれば略直角に折り曲げて形成している。そして、屈折した先端部124dは、後述するモジュール内バスバ152と向かい合い、接合される。しかし、モジュール内バスバ152との線接触しなければ、先端部124dの形状はL字状に限定されない。バスバモジュール150は、積層した単電池120などの一側面に配置して接合するため、アノード側電極タブ124A及びカソード側電極タブ124Kは単電池120を平面視した際における同じ側(辺)に配置している。
【0025】
本実施形態では、
図7に示すように一例として隣接する3つの単電池120を並列に接続し、これらの単電池120を便宜上単電池アセンブリと呼ぶことにする。
図7における上部の単電池アセンブリは単電池アセンブリ120Mとし、下部は単電池アセンブリ120Nとする。複数の単電池アセンブリ同士は直列に接続している。そのため、隣接する単電池アセンブリ120M、120Nはアノード側電極タブ124Aとカソード側電極タブ124Kの位置を逆転させつつ、先端部124dが下方を向くように構成している。
【0026】
単電池120及び単電池アセンブリ120M、120Nは上記のように構成し、偏平な形状となるように構成している。単電池120及び単電池アセンブリ120M、120Nは、組み付け時に筐体180を構成する一対の加圧板181、182と同様にXY平面に延在するように配置される。また、単電池アセンブリ120M、120Nにおいて隣接する単電池120は、
図7に示すように両面テープ125によって連結される。
【0027】
(スペーサ)
一対のスペーサ130は、積層方向Zにおいて単電池120の間に配置している。一対のスペーサ130は、
図7に示すように単電池120の長手方向Xにおける一端側に配置した第1スペーサ131と、他端側に配置した第2スペーサ132と、を有する。第1スペーサ131は、
図7に示すように単電池120の電極タブ124を配置した一端部122aに沿って配置している。第2スペーサ132は、
図7に示すように長手方向Xにおいて一端部122aと反対の他端部122bに沿って配置している。第2スペーサ132は、第1スペーサ131を簡素化して形状にて構成している。一対のスペーサ130は、絶縁性を備えた強化プラスチックスなどから構成している。
【0028】
第1スペーサ131は、
図9に示すように載置部131M、131Nと、位置決めピン131cと、位置決め穴131dと、ロケート孔131eと、第1面131gと、第2面131hと、連結ピン131iと、支持部131jと、を備える。
【0029】
載置部131M、131Nは、積層方向Zにおいて隣接する第1スペーサ131同士が接触する部位である。載置部131M、131Nは、
図10に示すように隣接する載置部131Mの上面131aと下面131bとが接触する。載置部131Mは、
図9に示す短手方向Yにおける手前側の端部に位置し、載置部131Nは短手方向Yにおける奥側における端部に位置する。
【0030】
位置決めピン131c及び位置決め穴131dは、積層方向Zにおいて隣接する第1スペーサ131同士の位置合わせを行なうために設けられる。位置決めピン131cは載置部131Mの上面131aから外方に突出する円柱形状として構成している。位置決め穴131dは、
図10に示すように載置部131Mの下面131bにおいて内方に円柱形状に凹んで形成している。位置決めピン131cは、隣接する第1スペーサ131の位置決め穴131dに嵌合するように構成している。そのため、位置決め穴131dに位置決めピン131cが嵌合できれば、具体的な形状は円柱形状でなくてもよい。
【0031】
ロケート孔131eは、積層する単電池120同士を連結するボルト500(
図1参照)を挿通する円筒状の穴形状として載置部131M、131Nにそれぞれ設けている。
【0032】
第1面131g及び第2面131hは、
図9に示すように長手方向Xに隣接して配置され、積層方向Zにおいて高さを異ならせて構成している。第1面131gは第2面131hよりも長手方向Xにおける内側に配置し、第2面131hよりも載置部131M、131Nの上面131aから離間している。第1面131gには単電池120のラミネートフィルム122が当接し、載置される。第1面131gには連結ピン131iが設けられ、連結ピン131iはラミネートフィルム122の連結孔122eに挿通し、単電池120を第1スペーサ131に対して位置決めする。
【0033】
支持部131jは、
図9に示すように第1面131gの部位の側面にあたり、バスバモジュール150に含まれるモジュール内バスバ152と接触する反対側において積層方向Zに延在する電極タブ124の先端部124dと接触しうる。
【0034】
第2スペーサ132は、
図9に示すように第1スペーサ131を簡素化した形状から構成している。第2スペーサ132は、第1スペーサ131と同様に載置部132M、132Nと、位置決めピン132cと、位置決め穴132dと、ロケート孔132eと、第1面132gと、連結ピン132iと、を有する。各々の構成は第1スペーサ131と同様であるため、説明を省略する。
【0035】
(プレート部材)
プレート部材140は、
図4に示すようにモジュールスタック群110を構成するモジュールスタック111〜114において隣接するモジュールスタックの間に配置される。プレート部材140は、
図4、5に示すように本体部141と、接合部142と、を有する。なお、
図4はプレート部材をわかりやすく示すために隣接するモジュールスタック113、114を他の図面よりも離間させて図示している。
【0036】
プレート部材140は、鋼板などの略平板状のプレートから構成される。本体部141は、一対の加圧板181、182における上部の加圧板181と下部の加圧板182とを連結するように接合される。本体部141は、組電池100において側板183に略平行に配置される。本体部141は、特に隣接するモジュールスタック群110の短手方向Yにおいて積層された単電池120同士を遮蔽するように板形状が長手方向X及び積層方向Z(XZ平面)に延在して構成される。しかし、隣接するモジュールスタック群110において単電池120同士だけでなく、隣接するスペーサ130同士をも遮蔽できるように本体部141の形状を長手方向Xにより長く延在させてもよい。
【0037】
本体部141を上記のように構成することによって、仮にモジュールスタック111等の内部で不良が発生した際にその不良が組電池100において隣接するモジュールスタック112〜114に伝わることを抑制又は防止できる。
【0038】
接合部142は、加圧板181、182と接合される部位であり、組立て時に積層方向Zにおける両端部に位置する形状にあたる。接合部142は、
図20に示すように本実施形態において組み立て前に本体部141と連続するように一枚の板材のように構成される。接合部142は、加圧板181、182に設けられたスリット181g、182gを通過した後に、
図20に示すように加圧板181、182の加圧面181a、182aと略平行に折り曲げられる。接合部142は、本明細書においてプレート部材140の端部に相当する。接合部142は、加圧板181、182よりも外方に配置される。
【0039】
本実施形態において接合部142は、平板状の部材を積層方向Zにおける上下両端を短手方向Yにおいて異なる方向に折り曲げて構成している。しかし、加圧板181、182と接合できればこれに限定されず、例えば同じ方向に折り曲げてもよい。また、接合部142は必ずしも短手方向Yに平行に沿わせる必要はない。
【0040】
(バスバモジュール)
バスバモジュール150は、
図6を参照して概説すれば、バスバサブモジュール160と、モジュール間バスバ171と、アノード側ターミナル172と、カソード側ターミナル173と、保護カバー174と、を有する。
【0041】
バスバサブモジュール160は、組電池100においてモジュールスタック111〜114の各々に用意される部品群である。バスバサブモジュール160は、
図11に示すようにモジュール内バスバ161と、バスバホルダ162と、を備える。
【0042】
モジュール内バスバ161は導電性を備えた金属からなり、異なる単電池120の電極タブ124の先端部124d同士を電気的に接続する。モジュール内バスバ161は、平板状に形成し、積層方向Zにおいて平板の平面が沿うように配置している。モジュール内バスバ161は、積層方向Zにおける一端部を折り曲げて短手方向Yから見た際に略L字状、言い換えれば略90度(直角)に折り曲げて形成している。
【0043】
モジュール内バスバ161は、
図11などに示すようにアノード側電極タブ124Aと接合するアノード側バスバ161Aと、カソード側電極タブ124Kと接合するカソード側バスバ161Kと、を備える。アノード側バスバ161Aとカソード側バスバ161Kは、積層方向Zの端部に配置した一部を除きこれらを接合して一体的に構成している。アノード側バスバ161Aとカソード側バスバ161Kとは積層方向Zにおける上下を反転させて配置している。具体的には、アノード側バスバ161Aとカソード側バスバ161Kとは、略直角に折り曲げた部位を当接させて接合している。また、モジュール内バスバ161は、短手方向Yにおける側面を後述するバスバホルダ162に接合している。
【0044】
アノード側バスバ161Aは、アノード側電極タブ124Aと同様にアルミニウムから構成している。カソード側バスバ161Kは、カソード側電極タブ124Kと同様に銅から構成している。アノード側バスバ161Aとカソード側バスバ161Kとは例えば超音波によって接合することができる。
【0045】
モジュール内バスバ161は、電極タブ124と接合される。そのため、上記のように単電池120を並列接続する場合、アノード又はカソードの複数の電極タブ124が一のモジュール内バスバ161と接合される。なお、積層方向Zにおける端部にはアノード側バスバ161Aとカソード側バスバ161Kとが接合されず、単独で配置されるものも存在する。
【0046】
バスバホルダ162は、モジュール内バスバ161を一体的に保持するために設けられる。バスバホルダ162は、絶縁性を備えた樹脂から構成し、枠(フレーム)状に形成している。
【0047】
バスバホルダ162は、
図11に示すように支柱部162aと、補助支柱部162bと、絶縁部162cと、を備える。支柱部162aは、バスバホルダ162における短手方向Yの両端部に配置し、積層方向Zに延在するように構成している。支柱部162aは、第1スペーサ131の載置部131M、131Nと嵌合し、バスバモジュール150をモジュールスタック111〜114に取り付けることができるように構成している。支柱部162aは、断面が略L字状、言い換えればプレートを略直角に折り曲げて構成している。しかし、バスバモジュール150をモジュールスタック111〜114に取り付けることができれば、断面形状はこれに限定されない。
【0048】
補助支柱部162bは、バスバホルダ162における短手方向Yの中間部分、又は略中央部に配置している。上述したモジュール内バスバ161は、支柱部162a又は補助支柱部162bの一方又は両方に接合される。
【0049】
絶縁部162cは、積層方向Zにおいて隣接する単電池120の意図しない部位での通電を防止してこれによる放電を防止する。絶縁部162cは、
図11に示すようにXY平面に略平行であって支柱部162aと補助支柱部162bとの間に配置している。
【0050】
なお、上述した支柱部162a、補助支柱部162b、及び絶縁部162cは、板状部材を各々接合して構成してもよいし、一部品にて構成してもよい。
【0051】
モジュール間バスバ171は、
図6に示し、短手方向Yにおいて隣接するモジュールスタック同士を電気的に接続する。モジュール間バスバ171は、
図6に示すように第1スペーサ131の載置部131M、131Nやバスバホルダ162の支柱部162aなどを避けるように略中央部を長手方向Xにおける外方に突出させて形成している。
【0052】
アノード側ターミナル172は、組電池100の終端であって、
図12に示す積層方向Z及び短手方向Yの端部に配置される。アノード側ターミナル172は、マトリクス状に配置したモジュール内バスバ161において
図12の右上に位置するアノード側バスバ161Aと接合される。また、アノード側ターミナル172は、電池間バスバ300又は配線400に取り付けられ、電気的に接続される。アノード側ターミナル172は、導電性を備えた金属板から構成している。アノード側ターミナル172は、板材を折り曲げ、組み付け時に保護カバー174の開口部174bを挿通するように構成している。アノード側ターミナル172はこのように構成することにより、アノード側バスバ161Aと接合し、電池間バスバ300又は配線400に取り付けられる。
【0053】
カソード側ターミナル173は、組電池100の終端であって、積層方向Zの端部かつ短手方向Yにおけるアノード側ターミナル172とは逆の端部に配置される。カソード側ターミナル173は、本実施形態において複数の単電池120のカソード側バスバ161Kと接合される。その他はアノード側ターミナル172と同様であるため、説明を省略する。
【0054】
ここで、組電池100における単電池アセンブリ120M、120Nの電気的な接続について
図12を参照して説明する。
図12において各々のモジュールスタック111〜114における複数の単電池アセンブリ120M、120Nは直列に接続される。そして、
図12の最も右側のモジュールスタック111と隣接するモジュールスタック112とは、
図12の一番下部においてモジュール間バスバ171によって接続される。
【0055】
図12の中央部において隣接する2つのモジュールスタック112、113は、
図12の一番上部においてモジュール間バスバ171によって接続される。
図12において一番左側のモジュールスタック114と隣接するモジュールスタック113とは、
図12の一番下部においてモジュール間バスバ171によって接続される。
【0056】
以上のように
図12において短手方向Y(第1方向に相当)に並ぶ4つのモジュールスタック111〜114は、3つのモジュール間バスバ171を介してアノード側ターミナル172からカソード側ターミナル173に至るまで電気的に接続される。そのため、組電池100が組み立てられた時点で組電池100を構成するモジュールスタック111〜114は電気的に接続される。
【0057】
保護カバー174は、バスバサブモジュール160よりも長手方向Xにおける外方に配置され、アノード側ターミナル172及びカソード側ターミナル173を除くバスバサブモジュール160及びモジュール間バスバ171を被覆する。保護カバー174は、絶縁性を備えたプラスチックスから構成している。保護カバー174は、
図6に示すように折り曲げ部174aと、開口部174bと、を有する。
【0058】
保護カバー174は、組立て時にYZ平面に略平行に配置し、積層方向Zにおける両端部を長手方向Xに向けて折り曲げることによって折り曲げ部174aを形成している。折り曲げ部174aは、バスバサブモジュール160のバスバホルダ162に嵌合し、本実施形態ではスペーサ130の載置部131M,131Nを避けるように切り欠きを設けている。しかし、保護カバー174をバスバサブモジュール160に取り付けることができれば、取り付けの形態は嵌合に限定されず、上記以外にもスナップフィット等を用いてもよい。
【0059】
開口部174bは、アノード側ターミナル172とカソード側ターミナル173とを保護カバー174を通じて外部に配置された電池間バスバ300や配線400等と接続させるために設けられる。開口部174bは、積層方向Zにおける一端部、
図6における上部近傍であって短手方向Yにおける両端近傍に設けている。
【0060】
(筐体)
筐体180は、
図3、6に示すように一対の加圧板181、182(一対の第1カバー部材に相当)と、一対の側板183(一対の第2カバー部材に相当)と、を有する。
【0061】
一対の加圧板181、182は、積層方向Zにおいて積層した単電池120及びスペーサ130の外方に配置し、積層した単電池120を加圧した状態にしている。別の言い方をすれば、一対の加圧板181、182は、積層した単電池120の積層方向Zの高さが無負荷状態よりも低くなるように加圧力を付加している。一対の加圧板181、182は、
図6に示すように第1加圧板181(一の第1カバー部材に相当)と、第2加圧板182(他の第1カバー部材に相当)と、を有する。第1加圧板181及び第2加圧板182は、組み付け時に単電池120等と同様にXY平面に延在するように配置している。以降、第1加圧板181と第2加圧板182とは同様の構成であるため、便宜上、第1加圧板181について説明する。
【0062】
第1加圧板181は、
図6に示すように、加圧面181a(加圧部に相当)と、外周部181b(離間部に相当)と、保持部181cと、ロケート孔181dと、折り曲げ部181eと、フック穴181fと、スリット181gと、を有する。
【0063】
加圧面181aは、
図4に示すようにモジュールスタック111〜114と接触し、モジュールスタック111〜114を積層方向Zに押圧するために設けられる。加圧面181aは、略平板状の部品をプレス成形などで凹凸状に成形することによって形成される。加圧面181aは、積層方向Zから平面視した際に略矩形状に構成し、第1加圧板181の略中央部に設けられる。しかし、積層した単電池120の偏平な平面を積層方向Zにほぼ偏りなく加圧できれば、加圧面181aの形状や設ける位置はこれに限定されない。なお、本実施形態においてモジュールスタック111〜114における単電池120の積層数は同じとなるように構成している。
【0064】
外周部181bは、XY平面において加圧面181aの周囲に位置する部位であり、積層方向Zにおいて加圧面181aよりも単電池120などから離間して構成している。本実施形態において外周部181bには、
図6に示すように隣接するモジュールスタック同士の間の外方にあたる部位が周囲より一段へこんだ凹み部181hを形成している。
【0065】
保持部181cは、スペーサ130の位置を保持するために設けられる。保持部181cは、第1加圧板181において加圧面181a及び外周部181bよりも長手方向Xにおける外方に設けられ、略中央にロケート孔181dを設けている。保持部181cは、組立て時に積層方向Zにおいてスペーサ130を被覆するように形成される。
【0066】
ロケート孔181dには、
図1に示すように単電池120同士を連結するボルト500が挿通される。第1加圧板181は、組立て時に略中央部にあたる加圧面181a及び外周部181bがXY平面に延在するように配置される。折り曲げ部181eは、XY平面に延在する外周部181bの短手方向Yにおける両端部を積層方向Zに向けて折り曲げて構成している。
【0067】
フック穴181fは、組電池100をベース部材200に搭載する際に組電池100を持ち上げる機械(後述の把持部790)を挿入可能な穴部として構成している。フック穴181fは、
図5に示すように第1加圧板181の加圧面181aよりも外方に位置する外周部181bの四隅角部付近に略矩形形状にて設けている。しかし、組電池100を持ち上げて搬送できれば、形状や設ける位置はこれに限定されない。
【0068】
組電池100は、ベース部材200に対する設置との関係で側板183には隣接する部品が配置される可能性がある一方、加圧板181には隣接する部品が配置される可能性が少ない。このように、フック穴181fを組み付け時に他部品と近接しない第1加圧板181の外周部181bの四隅に設けることによって、組電池100を配置する際に組電池100を把持する機械とベース部材200における隣接部品との距離を考慮する必要がなくなる。よって、組電池100を隣接部品により接近させてよりコンパクトに配置することができる。
【0069】
なお、本実施形態では部品共用化等の観点から、組電池100を持ち上げる際に使用される側とは反対の第2加圧板182にもフック穴182fを設けている。
【0070】
スリット181gは、
図6に示すように外周部181bの凹み部181hに設けられる。スリット181gは、
図20に示すように折り曲げ前のプレート部材140の接合部142を挿通させる。スリット181gは、
図6に示すように本実施形態において2箇所設けているが、プレート部材140を加圧板181、182に接合できれば、スリット181gの場所や個数は
図6に限定されない。
【0071】
第2加圧板182は、加圧面182a、外周部182b、保持部182c、ロケート孔182d、折り曲げ部182e、フック穴182f、スリット182g及び凹み部182hを有するが、第1加圧板181と同様であるため、説明を省略する。
【0072】
側板183は、
図3、6に示すように一対の加圧板181、182が積層した単電池120を積層方向Zに加圧した状態を維持できるように一対の加圧板181、182に接合される。側板183は、矩形状の金属板から構成し、組立て時にXZ平面に沿って略平行に配置している。側板183は、一対の加圧板181、182の折り曲げ部181eよりも外方に配置され、折り曲げ部181eと当接し、接合される。側板183には、例えば積層方向Zにおける辺において一対の加圧板181、182の各々に線状、又はスポット状で複数箇所溶接箇所が形成される。
【0073】
(ベース部材)
ベース部材200は、電池パック10に必要な電力を発生させるだけの組電池100を載置させる。ベース部材200は、
図13に示すように組電池100を設置する設置部210と、設置部211よりもXY方向における外方に設けられるフランジ部220と、を有する。
【0074】
設置部210は、組電池100を本実施形態では4つ長手方向X(第2方向に相当)に載置できるように表面を略平坦に形成している。設置部210には組電池100をベース部材200に固定するためのボルト穴が設けられ、
図12ではボルト500を設置している。フランジ部220は、電池パック10を例えば車両に搭載する際等にプラケット等の部品を取り付けできるように平坦な板材を折り曲げるなどして構成している。
【0075】
(電池間バスバ)
電池間バスバ300は、隣接する組電池100を電気的に接続する。電池間バスバ300は、
図14に示すように延在部310と、設置部320と、締結部330と、を有する。組電池100は、
図1に示すように長手方向Xに並べて配置される。延在部310は、長手方向Xにおいて隣接する組電池100のアノード側ターミナル172とカソード側ターミナル173とを接続するために設けられる。延在部310は、導電性のある金属板などを平板状にして構成している。
【0076】
設置部320は、本実施形態において延在部310よりも積層方向Zにおいて高さを異ならせた平面部として構成し、アノード側ターミナル172又はカソード側ターミナル173と接触する。締結部330は、電池間バスバ300を組電池100と接続するための取り付け穴にあたる。
【0077】
(配線)
配線400は、複数の組電池100から取り出される電力の取り出し口であり、不図示の端子などと接続される。ベース部材200に載置された複数の組電池100を構成するモジュールスタック111〜114は、電池間バスバ300及びモジュール間バスバ154によって
図14に示すアルファベットの順に電気的に接続される。
【0078】
(電池パックの製造方法)
次に
図16〜
図32を参照して本実施形態に係る電池パックの製造方法について説明する。
図16〜
図32は本実施形態に係る電池パックの製造方法の説明に供する図である。
【0079】
図16を参照して組電池100の製造方法について概説すれば、モジュールスタック111〜114に必要な単電池120及びスペーサ130と、プレート部材140と、を用意する。次に、単電池120の積層方向Zにおける両側からモジュールスタック111〜114及びプレート部材140を覆う加圧板181、182における加圧板182を配置する(ST1)。次に、加圧板181においてモジュールスタック111〜114の配置と、隣接するモジュールスタック同士の間におけるプレート部材140の配置と、を行なう(ST2、3)。次に加圧板181、182における加圧板181をモジュールスタック111〜114及びプレート部材140に対して加圧板181と逆側に配置する(ST4)。次に積層方向Zと交差し、かつ、電極タブ124が導出する方向と交差する方向におけるモジュールスタック111〜114の両側に一対の側板183を配置する。次に単電池120の積層方向Zにおける両側から一対の加圧板181、182を用いてモジュールスタック111〜114に加圧力を付与した状態で一対の側板183及びプレート部材140を一対の加圧板181、182における各々に接合する(ST5、6)。
【0080】
電池パック10の製造方法では、上記にて組み立てた組電池100を複数用意する。次に複数の組電池100を配置するベース部材200に複数の組電池100をモジュールスタック111〜114が並ぶ短手方向Yと交差する長手方向Xに並べて配置する(ST10)。以下、詳述する。
【0081】
組電池100の組み立てでは、載置台700を用いる。載置台700は、組電池100を構成する部品群を載置する台であり、
図17に示すようにロケートピン710と、スリット720と、を備える。ロケートピン710は、単電池120とスペーサ130とを整列させて積層するためのものであり、スペーサ130のロケート孔131e、132e及び加圧板181、182のロケート孔181d、182dに挿通するように構成している。スリット720は、プレート部材140を第2加圧板182に接合するレーザー等の光源を通過させるために設けている。
【0082】
組電池100を構成する部品はロボットアーム、ハンドリフタ、及び真空吸着タイプのコレットなどを用いて積層される。積層の際にはまず、
図17に示すように組電池100において下部に配置される第2加圧板182を把持し、ロケートピン710にロケート孔182dを挿通させて配置する(ST1)。次に単電池120とスペーサ130とが組み合わされた単電池アセンブリ120M、120Nを把持してロケート孔131e、132eをロケートピン710に通して積層する(ST2)。
【0083】
組電池100に必要な単電池120及びスペーサ130が積層できたら、プレート部材140を配置する(ST3)。プレート部材140の配置には
図21〜23に示すような設置器具730を使用する。設置器具730は、
図22、23に示すように固定部731と、可動部732と、挟持部733、734と、移動部735と、を有する。
【0084】
設置器具730は、
図21に示すようにプレート部材140を挟持した状態でモジュールスタック111〜114において隣接するモジュールスタックの間に配置する。設置器具730において挟持部733は固定部731と一体に形成され、挟持部734は可動部732と一体に形成される。移動部735は可動部732を移動自在に構成し、可動部732は固定部731に対して接近又は離間する。移動部735は、可動部732を移動させる部位であり、可動部732は人手又はモータ等の機械によって移動部735上を移動する。
【0085】
設置器具730は上記のように構成することによって、
図19、21に示すように挟持部733、734がプレート部材140を挟持する。また、設置器具730は載置台700の載置面を移動できるように構成しており、これにより、挟持したプレート部材140がモジュールスタック111〜114において隣接するモジュールスタックの間に配置される(ST3)。プレート部材140の配置は必要数配置するまで繰り返される。本実施形態では組電池100に必要な単電池120及びスペーサ130を積層した後にプレート部材140を配置する。なお、単電池アセンブリ120M、120N、スペーサ130、及びプレート部材140の配置によってモジュールスタック群110が形成される。
【0086】
組電池100に必要な単電池120及びスペーサ130を積層し、プレート部材140を配置したら、上部にあたる第1加圧板181を積層して配置する(ST4)。プレート部材140の接合部142は、この時点で本体部141に沿って延在する状態となっている。そのため、プレート部材140は、加圧板181、182のスリット181g、182gに接合部142を挿通させ、接合部142を不図示の押圧治具等を使用して加圧板181、182の加圧面181a、182aに平行に折り曲げる。本実施形態において接合部142は加圧面181a、182aに平行な状態に形成される。
【0087】
単電池120等の加圧には加圧治具740を用いる。加圧治具740は、
図24に示すように加圧部741と、連結部742と、スリット743と、を有する。加圧部741は第1加圧板181との接触面にあたり、本実施形態では平板状に構成しているが、XY平面において一対の加圧板181、182に積層方向Zにほぼ均等な圧力で加圧できれば、形状はこれに限定されない。連結部742は、加圧部741を加圧板181、182に対して接近又は離間させる駆動力を供給する電動ステージや油圧シリンダなどとの連結部分にあたる。スリット743は、後述するプレート部材140と加圧板181との接合の際にプレート部材140にレーザーを照射させるために設けられる。
【0088】
本工程では、加圧治具740を上部に配置した第1加圧板181のほぼ頭上に移動させ、下方に降下させ、第1加圧板181と接触させる。そして、第1加圧板181を下方へと移動させるように加圧力を付与する(ST5)。加圧治具740による加圧は、一対の側板183を一対の加圧板181、182に接合するまで維持される。
【0089】
次に一対の側板183を一対の加圧板181、182に接合する。上記接合には、一例としてレーザー発振器を用いる。
【0090】
レーザー発振器は、例えばYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザー等を照射し、異なる2以上の部材に接合箇所を形成する。レーザー発振器には、レーザーの強度が調節可能な状態で光ファイバーやミラー等によって光路が調製され、集光レンズによって集光され、必要箇所に照射される。例えば、レーザー発振器から照射されたレーザーは例えばハーフミラーによって分岐させたりしてもよい。
【0091】
一対の側板183と一対の加圧板181、182との接合では、側板183を第1加圧板181及び第2加圧板182と接触するように配置する。そして、レーザー発振器を使用して、レーザーLを照射する。この作業を一対の側板183のそれぞれに行なう。これにより、側板183における加圧板181、182の折り曲げ部181e、182eの当接箇所に溶接箇所が形成される。溶接箇所は連続的に形成してもよいし、断続的に複数箇所形成してもよい(ST6)。
【0092】
次にプレート部材140を一対の加圧板181、182に接合する。本工程では上記と同様のレーザー発振器を用いる。加圧板181とプレート部材140との接合の際に、レーザー発振器は、載置台700に対して上方に少なくとも一時的に配置される。
【0093】
プレート部材140は、現時点で加圧板181、182のスリット181g、182gに挿通され、挿通した端部にあたる接合部142が折り曲げられ加圧板181、182と当接した状態となっている。接合部142は、この状態において加圧板181、182よりも外方に配置されている。レーザー発振器は、
図4、
図26に示すように加圧治具740のスリット743を通過して加圧板181よりも手前に配置されたプレート部材140の接合部142にレーザーLを照射する。これにより、プレート部材140と加圧板181とが接合される。
【0094】
加圧板182とプレート部材140との接合の際に、レーザー発振器は、載置台700の下方に少なくとも一時的に配置される。レーザー発振器は、
図4、
図27に示すようにスリット720を通じて第2加圧板182よりも手前側に位置するプレート部材140の接合部142にレーザーLを照射し、溶接箇所を形成する(
図4の二点鎖線参照)。これにより、プレート部材140が一対の加圧板181、182と一体に構成される。
【0095】
次にバスバモジュール150を積層した単電池120の電極タブ124などに取り付ける。この際には、載置台700を積層方向Zから見て略90度回転させれば、レーザー発振器をバスバモジュール150の接合に利用できる。しかし、バスバモジュール150を構成するモジュール内バスバ161を電極タブ124に接合でき、モジュール間バスバ171をモジュール内バスバ161に接合できれば、必ずしも上記レーザー発振器を用いなくてもよい。上記以外に別のレーザー発振設備等を利用してもよい。
【0096】
バスバモジュール150の接合では、まず、モジュールスタック111〜114毎に用意されるバスバサブモジュール160をモジュールスタック111〜114の側面に接近させ、電極タブ124がモジュール内バスバ161と接触する程度に配置する。
【0097】
次に、
図28に示すようにモジュール内バスバ161にレーザーLを照射してモジュール内バスバ161をモジュールスタック111〜114におけるいずれかの電極タブ124と接合する。これによりバスバサブモジュール160が積層された単電池120と一体化される。
【0098】
次に、
図29に示すようにモジュールスタック111〜114において隣接するモジュールスタック同士を跨ぐようにモジュール間バスバ171をモジュール内バスバ161と接触するように配置する。そして、レーザー発振器からレーザーLを照射してモジュール間バスバ171をモジュール内バスバ161に溶接する(ST7)。
【0099】
次に、
図30に示すように、折り曲げ部174aをバスバホルダ162に嵌合させて保護カバー174をモジュールスタック群110とバスバモジュール150とが組みつけられた部品群に組み付ける(ST8)。そして、アノード側ターミナル172をアノード側バスバ161Aに接合し、カソード側ターミナル173をカソード側バスバ161Kに接合する(ST9)。これにより、組電池100が形成される。
【0100】
次に
図32に示すように組電池100をベース部材200に搭載する(ST10)。この際にはロボットアーム等の設備を使用する。本明細書においてロボットアーム等は、組電池100を持ち上げる機械にあたる。
図31では説明の便宜上ロボットアーム等のハンドの先端部分を示し、これを把持部790と呼ぶ。把持部790は、
図31に示すように連結部791と、引っ掛け部792と、取り付け部793と、を有する。
【0101】
連結部791は、ロボットアーム等における関節部分にあたる。引っ掛け部792は、第1加圧板181のフック穴181fに対応して本実施形態では4箇所設けられる。取り付け部793は引っ掛け部792をXY平面に移動させるためのステージ等を搭載しており、引っ掛け部792は
図31に示すように取り付け部793において移動可能に取り付けられる。
【0102】
本工程では、ロボットアーム等の把持部790を組電池100の略頭上に移動させ、引っ掛け部792の位置を調整する。次に、加圧板181においてモジュールスタック111〜114と接触して押圧する加圧面181aよりもモジュールスタック111〜114に離間した外周部181bに設けられたフック穴181fに引っ掛け部792を導入し、組電池100の内部に位置させる。次に、組電池100を持ち上げられるように引っ掛け部792の位置を調整し、組電池100を持ち上げる。そして、ベース部材200上における所望の場所に組電池100を搬送して、配置する。組電池100は、モジュールスタック111〜114が並ぶ短手方向Yと交差する長手方向Xに並べて配置する。
【0103】
配置が完了したら、引っ掛け部792を移動させ、組電池100の引っ掛けを解除し、組電池100から引っ掛け部792を取り外す。この時点で全ての組電池100を搭載していなかったら(ST11:NO)、別の組電池100における組み立てから搭載までの工程を繰り返す(ST1〜ST10)。
【0104】
全ての組電池100をベース部材200に搭載したら(ST11:YES)、組電池100同士に電池間バスバ300を取り付け、電気的経路の終端に配線400を取り付ける(ST12)。
【0105】
第1実施形態に係る組電池100は、モジュールスタック群110と、一対の加圧板181、182と、一対の側板183と、プレート部材140と、を備える。モジュールスタック群110は、発電要素121を含む電池本体123から電極タブ124を導出した単電池120を厚さ方向に複数積層したモジュールスタック111〜114を並べている。一対の加圧板181、182は、単電池120の積層方向Zにおけるモジュールスタック群110を覆う。一対の側板183は、積層方向Zと交差し、かつ、電極タブ124が導出する方向と交差する方向における両側からモジュールスタック群110を覆う。プレート部材140は、モジュールスタック群110において隣接するモジュールスタック同士の間であって一対の加圧板181、182における加圧板181と加圧板182とを連結する。一対の側板183は、モジュールスタック群110を一対の加圧板181、182によって積層方向Zに加圧した状態において一対の側板183と接合される。また、プレート部材140は、一対の加圧板181、182と接合される。電池パック10は、上記組電池100と、モジュールスタック111〜114が並べられた短手方向Yと交差する長手方向Xに組電池100を配置させるベース部材200と、を有する。
【0106】
また、本実施形態に係る組電池100の製造方法では、上記モジュールスタック111〜114と、モジュールスタック111〜114において隣接するモジュールスタック同士の間に配置されるプレート部材140と、を用意する。次に、単電池120の積層方向Zにおける両側からモジュールスタック111〜114及びプレート部材140を覆う加圧板181、182のうち加圧板181を配置する。次に、加圧板181においてモジュールスタック111〜114の配置と隣接するモジュールスタック同士の間にプレート部材140を配置する。次に、一対の加圧板181、182における加圧板182を、モジュールスタック111〜114とプレート部材140に対して加圧板181と逆側に配置する。次に、積層方向Zと交差し、かつ、電極タブ124が導出する方向と交差する方向におけるモジュールスタック111〜114の両側に一対の側板183を配置する。次に、単電池120の積層方向Zにおける両側から加圧板181、182を用いてモジュールスタック111〜114に加圧力を付与した状態で一対の側板183及びプレート部材140を加圧板181、182に接合する。電池パック10の製造方法では、上記組電池100を複数用意する。そして、複数の組電池100を配置するベース部材200に複数の組電池100をモジュールスタック111〜114が並ぶ短手方向Yと交差する長手方向Xに並べて配置する。
【0107】
このように構成することによって、組電池100にはモジュールスタックが複数含まれることになり、これを一つずつ搬送する場合と比べて搬送回数を減らすことができ、モジュールスタックの組み立て作業性を向上させることができる。
【0108】
また、プレート部材140はモジュールスタック111〜114において隣接するモジュールスタックの間に配置され、第1加圧板181及び第2加圧板182に接合され、これによって連結される。そのため、短手方向Yにおいて一対の側板183と共に一対の加圧板181、182による加圧力を積層した単電池120に付与した状態を維持できる。
【0109】
また、組電池100においてモジュールスタック群110は、積層方向Zにおける両側において一対の加圧板181、182のみによって包囲するように構成している。そのため、モジュールスタック111〜114を一つずつ一対の加圧板で包囲する場合に比べて部品点数を減少させ、コスト低減に寄与できる。
【0110】
また、組電池100にモジュールスタック111〜114を含めることによって、ベース部材200への搭載前に組電池100を構成するモジュールスタック111〜114を電気的に接続できる。そのため、組電池100を構成するモジュールスタック111〜114をベース部材200上にて組み付ける必要がなくなる。モジュール間バスバ171をベース部材200上にて組み付ける場合、ベース部材200の近傍において隣接するモジュールスタックにモジュール間バスバ171を組み付けることは比較的作業が行いづらい場合がある。そのため、上記のように構成することによって、モジュールスタック111〜114におけるモジュール間バスバ171の取り付け位置の自由度を向上させることができる。
【0111】
また、上記のようにモジュールスタック111〜114を接続するモジュール間バスバ171の配置の自由度が向上することによって、電気経路を短縮でき、これによって通電抵抗を低下しうる。
【0112】
また、組電池100ではモジュールスタック111〜114を一体としているため、モジュールスタックを一つずつアセンブリとする場合よりもモジュールスタック同士をより接近させることができ、これによって体積効率を向上できる。
【0113】
また、一対の加圧板181、182における各々の加圧板に対するプレート部材140の接合は、加圧板181、182に設けられたスリット181g、182gにプレート部材140の接合部142を挿通させる。そして、接合部142を本体部141に対して折り曲げ、接合部142を加圧板181、182と当接させた状態において行なっている。
【0114】
そのため、接合部142は加圧板181、182よりもレーザーから近い外方側に配置されることになる。プレート部材140は、加圧板181、182に比べて薄い場合がある。そのため、上記のように構成することによって、プレート部材140と加圧板181、182にしっかりと接合箇所を形成することができる。
【0115】
また、加圧板181、182はモジュールスタック111〜114を加圧する加圧面181a、182aを有し、加圧板181とプレート部材140とは接合部142が加圧面181aと平行に位置した状態において接合部位を形成することができる。同様に、プレート部材140における加圧板181との接合部142は加圧板181においてモジュールスタック111〜114を加圧する加圧面181aに対して平行な状態において加圧板181とプレート部材140とを接合することができる。
【0116】
また、一対の加圧板181、182における加圧板181は、モジュールスタック111〜114と接触して押圧する加圧面181aと、積層方向Zにおいて加圧面181aよりもモジュールスタック111〜114から離間した外周部181bを備える。外周部181bは組電池100を持ち上げる際に挿入可能なフック穴181fを備える。
【0117】
また、電池パック10の製造方法では、加圧面181aよりもモジュールスタック111〜114から積層方向Zに離間した外周部181bに設けたフック穴181fに把持部790の引っ掛け部792を導入して組電池100を持ち上げる。そして、複数の組電池100をベース部材200へと配置している。
【0118】
このように構成することによって、組電池100を把持して搬送する際に長手方向Xや短手方向Yから組電池100を把持する必要がなく、その分、組電池100を配置した際に隣接する部品との隙間を少なくできる。
【0119】
(第2実施形態)
次に
図33を参照して第2実施形態に係る電池パックについて説明する。
図33は第2実施形態に係る電池パックにおいて電池モジュールの積層構造を示す部分断面図である。第2実施形態では第1実施形態と比べてモジュールスタック111〜114の構成部品に伝熱部材145が追加されている点が異なる。その他の点は第1実施形態と同様であるため、共通する説明を省略する。
【0120】
伝熱部材145は、電池パックの使用時に生じうる熱を放熱する。伝熱部材145は、積層方向Zにおいて隣接する単電池アセンブリ120M、120N又は単電池120同士の間に配置される。伝熱部材145は、接触部146と、放熱部147(延在部に相当)と、を有する。
【0121】
伝熱部材145は、電極タブ124を除いて単電池120の発電要素121を覆うラミネートフィルム122よりも熱伝導率が高いアルミなどのプレート状の材料にて構成している。
【0122】
接触部146は、積層方向Zにおけるいずれかの位置に配置され、隣接する単電池アセンブリ120M、120Nと接触する。接触部146は、単電池アセンブリ120M、120Nと接触する部位として略平面状に構成している。接触部146は組み付け時に単電池120等と同様にXY平面に延在するように構成している。
【0123】
放熱部147は、隣接するモジュールスタック同士の間においてプレート部材140に沿って延在する。放熱部147は、単電池アセンブリ120M、120Nと接触せず、プレート状の部材を折り曲げて形成している。放熱部147は、モジュールスタック111〜114において隣接するモジュールスタックの間に配置され、隣接するモジュールスタックを少なくとも一部隔てるように構成している。放熱部147は、
図33においてプレート部材140と同様にXZ平面と略平行に延在するように構成している。また、放熱部147は、
図33における左のモジュールスタック113において接触部146から上方に伸延するように配置し、右側のモジュールスタック114では接触部146から下方に伸延するように配置している。
【0124】
しかし、モジュールスタック111〜114の内部で発生した熱を放熱できれば、放熱部147の向きなどは
図33に限定されない。
【0125】
以上のように伝熱部材145は、ラミネートフィルム122よりも熱伝導率の高い部材を含み、接触部146と、放熱部147と、を有する。接触部146は、積層方向Zにおけるいずれかの位置に配置され、隣接する単電池120を含む単電池アセンブリ120M、120Nと接触する。放熱部147は、隣接するモジュールスタック同士の間においてプレート部材140に沿って延在する。
【0126】
伝熱部材145は、上記のように積層方向Zにおける任意の位置に配置できる。そのため、モジュールスタック111〜114に含まれる単電池120等の構成に応じてモジュールスタック111〜114の冷却を効率的に行うことができる。
【0127】
また、伝熱部材145は、放熱部147の形状によって仮にモジュールスタック111に不良が発生した際にモジュールスタック112〜114に不良が伝播することを抑制できる。ここで、
図33に示すように、隣接するモジュールスタック113、114にそれぞれ配置された伝熱部材145では、放熱部147が積層方向Zにおけるいずれかの範囲において共に存在するように構成してもよい(
図33のa参照)。
【0128】
このように構成することによって、上述した不良が隣接するモジュールスタックに伝播することをより効果的に防止できる。
【0129】
第2実施形態における電池パックの製造方法は、モジュールスタック111〜114を構成する単電池アセンブリ120M、120N等の積層時に単電池アセンブリ120M、120Nとスペーサ130に加えて伝熱部材145を積層する点が異なる程度である。そのため、説明を省略する。
【0130】
(第3実施形態)
次に第3実施形態に係る電池パック及びその製造方法について説明する。
図34は、第3実施形態に係るスタックアセンブリを構成するモジュールスタックの略中央部において長手方向に沿う部分断面図である。
【0131】
第1実施形態では単電池120とスペーサ130がモジュールスタック111〜114の内部において積層方向Zに積層される実施形態について説明したが、以下のように弾性部材135、136及び中間部材137を追加することもできる。なお、本実施形態では弾性部材135、136及び中間部材137の構成のみが追加され、その他の構成は第1実施形態と同様である。そのため、共通する構成の説明を省略する。また、
図34では以下の説明に供しないバスバモジュール150や保護カバー174を省略して図示している。また、
図34において弾性部材135、136はモジュールスタック111に配置しているが、モジュールスタック112〜114に設けてもよい。
【0132】
弾性部材135、136は、積層方向Zにおけるいずれかの位置に配置され、積層方向Zに弾発力を生じさせる。弾性部材135、136は、電池パック10の使用時に電池の充放電等によって積層された単電池120等の厚さの変化を吸収するため等に用いられる。弾性部材135、136は、ステンレス鋼等の金属から構成される板ばねとして構成している。弾性部材135は、
図34に示すように変形部135aと、周辺部135bと、を有する。
【0133】
変形部135aは、弾性部材135の略中央部又は中間部に設けられ、湾曲した形状として構成している。変形部135aは積層方向Zへの加圧によって変形し、隣接する部品を加圧する。周辺部135bは、変形部135aよりも
図34における短手方向Yにおける外方に設けられ、略平坦な形状として構成している。弾性部材135は、
図34に示す断面形状を紙面に直行する短手方向Yに延在、又は押し出した形状として構成している。
【0134】
第1実施形態と同様に、筐体180を構成する第1加圧板181は、外周部181bが加圧面181aよりも積層方向Zにおいて単電池120等から離間している。弾性部材135の変形部135aは、
図34に示すように第1加圧板181の加圧面181aと接触させ、周辺部135bを変形部135aよりも第1加圧板181から離間させれば、内蔵部品の存在しない空間をより多く用意することができる。よって、組電池100を搬送する把持部790を構成する引っ掛け部792をフック穴181fにより挿入しやすくできる。
【0135】
弾性部材136は、弾性部材135と同様の構成であり、向きのみを上下反転させている程度であるため、詳細な説明を省略する。
図34ではモジュールスタック111に弾性部材135、136を組み込んでいるが、個数はこれに限定されず、例えば一個であってもよい。
【0136】
中間部材137は、弾性部材135、136が単電池120に直接接合されることを防止するため等に設けられる。また、中間部材137は、隣接する単電池120と弾性部材136との間又は積層方向Zにおいて弾性部材135、136が位置する側と逆側の端部に設けられる。中間部材137は、例えば平坦な形状である金属等によって構成している。しかし、弾性部材135、136を単電池120と直接接合させず、電池の使用に耐えることができれば、その他の材料で構成してもよく、形状も平坦に限定されない。
【0137】
弾性部材135は、積層方向Zにおいて隣接する第1加圧板181と略中央である変形部135aにて接合される(
図34のa1参照)。また、隣接する弾性部材135と弾性部材136とは、変形部135aよりも外方にあたる周辺部135bにて接合される(
図34のb1参照)。
図34では弾性部材135、136を積層方向Zにおける上方端部に配置しているが、位置はこれに限定されない。
【0138】
なお、第3実施形態における電池パックの製造方法ではモジュールスタック111〜114を構成する単電池アセンブリ120M、120N等の積層時に弾性部材135、136と中間部材137を含め、
図34に示すように下から順番に積層する。そして、必要に応じて弾性部材135、136を積層方向Zにおいて隣接する部品との接合を行なう。弾性部材136と中間部材137の組み合わせ及び第2加圧板182と中間部材137の組み合わせは積層前に接合し、第1加圧板181と弾性部材135の組み合わせは積層後に接合する。第3実施形態に係る電池パックの製造方法は第1実施形態と上記した点が異なる程度であるため、詳細な説明を省略する。
【0139】
以上のように、第3実施形態では、上記のようにモジュールスタック111における積層方向Zのいずれかの位置に弾発力を生じさせる弾性部材135、136を配置するように構成している。そして、組電池100の製造では、モジュールスタック111〜114を用意する際に積層方向Zにおけるいずれかの位置に弾性部材135、136を配置している。
【0140】
そのため、電池パック10の使用時に積層した単電池120の厚さが変化してもこれを吸収し、加圧した状態を維持できる。
【0141】
本発明は上述した実施形態にのみ限定されず、特許請求の範囲において種々の変更が可能である。上記では、組電池100に含まれるモジュールスタック111〜114毎にバスバサブモジュール151のバスバホルダ153を用意する実施形態について説明した。しかし、これに限定されず、上記においてモジュールスタック111〜114毎に用意した複数のバスバホルダ153を一部品にて構成してもよい。
【0142】
図35は、
図4を変更した部分断面図であって、組電池の変形例を示す図である。上記ではモジュールスタック群110を構成するモジュールスタック111〜114において単電池120の積層数を同じとなるように構成したが、これに限定されない。上記以外にもモジュールスタック111〜114の各々に含まれる単電池120の積層数を異ならせてもよい。この場合、一対の加圧板181j、182を構成するいずれかの加圧板、
図35では第1加圧板181jには外周部181bに積層数を異ならせた状態でのモジュールスタック111〜114の包囲を可能にするために段差部181kが設けられる。なお、加圧面181a、外周部181b、保持部181c、ロケート孔181d、折り曲げ部181e、フック穴181f、スリット181g及び凹み部181hは上記と同様であるため、説明を省略する。
【0143】
図36は、上記実施形態の変形例であって組電池の上部を示す部分斜視図、
図37はプレート部材の変形例について示す部分断面図、
図38は
図37の38部分を示す部分拡大図である。上記では、プレート部材140の接合部142が本体部141と略同一面である状態から加圧板181、182の加圧面181a、182aと平行となるように折り曲げる実施形態について説明したが、これに限定されない。上記以外にもプレート部材140aの接合部142aは、加圧面181a、182aに対して傾斜した状態で加圧板181、182の対応する部位と当接させ、接合してもよい。なお、
図37において接合部142aは、加圧板181mの傾斜面181nと当接し、レーザー接合等により接合される(
図37の二点鎖線参照)。
【0144】
また、伝熱部材145は、
図33に示すように隣接するモジュールスタック113、114の両方に設置する実施形態について説明したが、これに限定されない。上記以外にも伝熱部材145は組電池100においていずれかのモジュールスタックにのみ設けてもよい。
【0145】
また、上記実施形態において一対の加圧板181、182は、把持部790の引っ掛け部792を進入させない第2加圧板182にもフック穴182fを設ける実施形態について説明したが、これに限定されない。引っ掛け部792を進入させない加圧板182にはフック穴182fを設けなくてもよい。
【0146】
また、上記では第1加圧板181のフック穴181fを利用して組電池100をベース部材200に配置する実施形態について説明したが、これに限定されない。上記以外にも組電池100を一体としてベース部材200に搬送できれば、一対の加圧板181、182以外の面、例えば側板183等が上方を向いた状態で組電池100をベース部材200に配置してもよい。
【0147】
また、
図6では組電池100を構成するモジュールスタック111〜114における隣接する全てのモジュールスタック同士の間にプレート部材140を設置する実施形態について説明したが、これに限定されない。上記以外にもモジュールスタック111〜114において隣接するモジュールスタック同士の間のいずれかにのみプレート部材140を配置してもよい。また、
図6では組電池100においてプレート部材140が複数設けられているが、例えば組電池が2つのモジュールスタックから構成される場合等のようにプレート部材140は一つのみで構成してもよい。
【0148】
また、電池パック10の製造方法では、プレート部材140を接合する際に載置台700の下方からレーザーLを照射する実施形態について説明したが、これに限定されない。上記以外にも一対の加圧板181、182と一対の側板183によって包囲された複数の単電池アセンブリ120M、120Nとスペーサ130からなる部品群を載置台700上において上下反転させて載置台700の上方からレーザーLを照射してもよい。
【0149】
また、上記では組電池100に必要な単電池120及びスペーサ130を積層した後にプレート部材140を配置する実施形態について説明したが、これに限定されない。上記以外にもモジュールスタック111〜114の各々に必要な単電池120及びスペーサ130を用意する度にプレート部材140を配置し、次に隣接するモジュールスタックに必要な単電池120及びスペーサ130を積層してもよい。