特許第6861047号(P6861047)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861047
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】車両の荷室のドア構造
(51)【国際特許分類】
   E05C 9/18 20060101AFI20210412BHJP
   B60J 5/10 20060101ALI20210412BHJP
   B62D 33/04 20060101ALI20210412BHJP
   E05C 9/08 20060101ALI20210412BHJP
   E06B 7/22 20060101ALI20210412BHJP
   E05B 83/18 20140101ALI20210412BHJP
【FI】
   E05C9/18
   B60J5/10 A
   B62D33/04 C
   E05C9/08
   E06B7/22 F
   E05B83/18
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-27607(P2017-27607)
(22)【出願日】2017年2月17日
(65)【公開番号】特開2018-131858(P2018-131858A)
(43)【公開日】2018年8月23日
【審査請求日】2019年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219233
【氏名又は名称】東プレ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】石川 史綱
【審査官】 桐山 愛世
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02711489(EP,A1)
【文献】 実開昭62−108465(JP,U)
【文献】 実開昭63−127578(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05C 1/00−21/02
E05B 1/00−85/28
B62D 33/04
B60J 5/10
E06B 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両における荷室に形成された開口部を、開閉自在のドアで封止可能に構成した車両の荷室のドア構造であって、
前記開口部の周縁部に取り付けられた車体側のストッパーと、
前記ドアに設けられて回動可能に支持された係止部材と、を備え、
前記ドアが開いて前記係止部材がストッパーに係止されることにより、
前記ドアが開閉途中の半開き状態に保持されるように構成し
前記係止部材の先端部は、爪形状に形成され、
前記ストッパーは、前記開口部の周縁部から延在する弾性変形可能な板材部と、前記板材部の先端側に設けられて円筒体を有する支持部と、を有し、
前記ドアが閉まるときに、前記係止部材の先端部が前記ストッパーの円筒体を押して前記板材部が弾性変形したのち、前記係止部材の先端部が円筒体に係止されるように構成されたことを特徴とする車両の荷室のドア構造。
【請求項2】
請求項に記載の車両の荷室のドア構造であって、
前記ドアは、第1扉と第2扉とからなる一対の観音扉であり、
前記第1扉の周縁部における第2扉側の端部にゴム製のシール部材が設けられ、前記第1扉が半開き状態のときに、前記シール部材が第2扉の周縁部における第1扉側の端部に当接するように構成したことを特徴とする車両の荷室のドア構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の荷室のドア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、貨物自動車等の荷室の後部や側部に開口部を設け、この開口部を開閉可能なドアによって封止可能に構成したドア構造が公知である(特許文献1を参照)。ここで、例えば、貨物自動車が冷凍車(保冷車)の場合、冷凍機を稼働させたまま荷室の内部で空パレットの整理などの作業を行うときがある。しかし、荷室の内部の冷気が外部に漏れると荷室内の温度が上昇してしまうため、ドアを開閉途中の半開き状態で保持する必要がある。このドアを開閉途中の半開き状態で保持する従来のドア構造を、特許文献1を参照して以下に具体的に説明する。
【0003】
この特許文献1に記載の荷室の後部においては、荷室の開口部の下側周縁部にブラケットを固定し、ドアに長尺状の案内部材を固定している。案内部材には、長手方向に沿った摺動溝が形成され、摺動溝の途中部分には、切込みが形成されている。ブラケットには、挿通孔が形成されている。ストッパーアームの一端をブラケットの挿通孔に回動可能に支持し、他端を案内部材の摺動溝の切込みに係止させることにより、ストッパーアームを介してドアを半開き状態で保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−317410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1では、強風等によってドアを押す荷重が入力されると、ストッパーアームの他端が摺動溝の切込みから外れ、ドアが閉じてしまうおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、かかる従来の問題に鑑みて、トラック等の荷室のドアを、開閉途中の半開き状態で確実に保持することができる車両の荷室のドア構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために本発明は、車両における荷室に形成された開口部を、開閉自在のドアで封止可能に構成した車両の荷室のドア構造である。本発明に係る車両の荷室のドア構造は、前記開口部の周縁部に取り付けられた車体側のストッパーと、前記ドアに設けられて回動可能に支持された係止部材と、を備える。前記ドアが開いて前記係止部材がストッパーに係止されることにより、前記ドアが開閉途中の半開き状態に保持されるように構成し、前記係止部材の先端部は、爪形状に形成され、前記ストッパーは、前記開口部の周縁部から延在する弾性変形可能な板材部と、前記板材部の先端側に設けられて円筒体を有する支持部と、を有し、前記ドアが閉まるときに、前記係止部材の先端部が前記ストッパーの円筒体を押して前記板材部が弾性変形したのち、前記係止部材の先端部が円筒体に係止されるように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る車両の荷室のドア構造によれば、強風等によってドアを押す荷重が入力される場合でも、ドアを、開閉途中の半開き状態で確実に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、車両における荷室の後部を示す斜視図である。
図2図2は、全閉状態のバックドアの要部を示す斜視図である。
図3図3は、図2を上方から見た平面図である。
図4図4は、図2を車両後方から見た背面図である。
図5図5は、バックドアの右側扉を開けた状態を上方から見た平面図である。
図6図6は、図5の要部を示す斜視図である。
図7図7は、バックドアの右側扉を大きく開けた状態を上方から見た平面図である。
図8図8は、バックドアの右側扉を半開き状態に開けた状態を上方から見た平面図である。
図9図9は、図8の要部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0011】
なお、本実施形態では、荷室の後部に設けられたバックドアの構造を一例にとって説明するが、荷室の側部に開口部を設け、この開口部を封止可能にするサイドドアの構造も本発明に含まれる。
【0012】
図1〜4に示すように、車両1の後部には荷室3が搭載され、荷室3の後端には開口部5が形成されている。この開口部5を封止可能にするバックドア(ドア)7が荷室3の後部に開閉自在に設けられている。具体的には、バックドア7は、車両右側の第1扉9と車両左側の第2扉11とからなる左右一対の観音扉である。第1扉9の右側端部は、ヒンジ13を介して開口部5の右側周縁部15に回動可能に支持されている。第2扉11の左側端部は、ヒンジ17を介して開口部5の左側周縁部19に回動可能に支持されている。
【0013】
また、第1扉9の左端部(車幅方向中央部)および第2扉11の右端部(車幅方向中央部)には、上下方向に沿って長尺状のロックロッド21が延在している。ロックロッド21は、円筒状に形成されており、留め具23を介して第1扉9および第2扉11に回動可能に支持されている。留め具は、左右一対の平坦部25と、左右の平坦部25を繋ぐU字部27と、から一体形成されている。平坦部25が第1扉9および第2扉11に締結され、U字部27でロックロッド21の外周面を保持している。ロックロッド21の下部には、ロックハンドル29が下方向に回動可能に支持されている。ロックハンドル29は、ロック時には、第1扉9および第2扉11に設けた保持部材31に保持されている。ロックロッド21の上端には、係止部材33が設けられている。
【0014】
係止部材33は、図2,3に示すように、上方から見た平面視でJ字に湾曲した爪形状の先端部35を有する。つまり、係止部材33は、長方形状の本体部37と、本体部37の端部に形成された先端部35と、から一体形成されている。そして、本体部37がロックロッド21の上端に接合されている。荷室3の後部の開口部5の周縁部のうち上側周縁部41には、係止部材33の先端部35に係止される被係合部材43が取り付けられている。被係合部材43の車幅方向中央側には、第1扉9を開閉途中の半開き状態で保持するストッパー45が開口部5の上側周縁部41に配設されている。
【0015】
被係合部材43は、車幅方向に延びる板状の基台47と、基台47の端部から後方に延びる平面視がL字状の留め部49とから一体形成されている。基台47の左右両端がボルトBLで上側周縁部41に締結されている。また、第1扉9および第2扉11を全閉状態に閉じたときには、係止部材33の先端部35が被係合部材43の留め部49に係合している。
【0016】
ストッパー45は、図2,3に示すように、開口部5の上側周縁部41から後方に延在する弾性変形可能な板材部(板バネ)51と、板材部51の先端側に設けられた支持部53と、から構成される。支持部53は、背面視でコ字状に屈曲されたコ字体55に前後一対の円筒体57を取り付けている。円筒体57に対して車幅方向の荷重が入力されると、板材部51が湾曲する弾性変形が生じる。
【0017】
図3図5に示すように、第1扉9の周縁部における左側の端部(第2扉11側の端部)にゴム製のシール部材59が設けられている。このシール部材59は、前後一対の凸部で構成されている。第2扉11の周縁部における右側の端部(第1扉9側の端部)には、樹脂製のカバー体61が設けられている。従って、第1扉9および第2扉11を全閉させたときに、第1扉9側のシール部材59が第2扉11側のカバーに押圧されて両者同士のシール性が確実に確保されている。
【0018】
次いで、第1扉9を開閉させて、開閉途中の半開き状態に保持させる手順を説明する。
【0019】
まず、通常の全閉状態では、図2図4に示すように、係止部材33の先端部35が被係合部材43の留め部49に当たっているため、第1扉9はロック状態になっている。
【0020】
次に、図1に示すロックハンドル29を下側に回動させると、保持部材31からロックハンドル29が外れる。そのまま、ロックハンドル29を後方に引くと、ロックロッド21が回動する。図5,6に示すように上方から見て係止部材33もロックロッド21と一体になって時計方向に回転するため、係止部材33の先端部35が留め部49から外れて係止部材33のロックが解除される。
【0021】
そして、図5,7に示すように、第1扉9を徐々に開く。その後、図7の矢印に示すように、係止部材33を平面視で反時計方向に回転させる。図7に示すように二点鎖線の状態から実線の状態に回動させ、この実線の状態で保持させる。なお、図7の状態において、第1扉9と第2扉11との間に侵入用開口が形成され、侵入用開口から作業者が荷室3の内部に入ることができる。
【0022】
次いで、荷室3の内部に入った作業者が第1扉9を徐々に閉めていくと、係止部材33の先端部35が2つの円筒体57のうち後方側の円筒体57に当たる。この押圧力によって板材部51が湾曲する弾性変形が生じ、図8,9に示すように、係止部材33の先端部35が、後方側の円筒体57を乗り越えて2つの円筒体57の間に配置される。すると、第1扉9が開閉途中の半開き状態に保持される。また、同時に、図8に示すように第1扉9のシール部材59が第2扉11のカバー体61に当接する。
【0023】
なお、前述したように、本発明は、荷室後部のバックドアに限定されることなく、荷室側部のサイドドアにも適用することができる。また、本実施形態では、第1扉9を車両右側のバックドアとし、第2扉11を車両左側のバックドアとしたが、これらは逆であってもよい。即ち、第1扉9を車両左側のバックドアとし、第2扉11を車両右側のバックドアとしてもよい。
【0024】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0025】
(1)車両1における荷室3の後部に形成された開口部5を、開閉自在の第1扉9(ドア)で封止可能に構成した車両1の荷室3のドア構造である。開口部5の上側周縁部41(周縁部)に取り付けられた車体側のストッパー45と、バックドア7に設けられて回動可能に支持された係止部材33と、を備える。第1扉9が開いて係止部材33がストッパー45に係止されることにより、第1扉9が開閉途中の半開き状態に保持されるように構成した。
【0026】
第1扉9(ドア)が開閉途中の半開き状態のとき、第1扉9に設けられた係止部材33が車体側のストッパー45に係止される。従って、強風等によって第1扉9を押す荷重が入力される場合でも、第1扉9を開閉途中の半開き状態で確実に保持することができる。
【0027】
(2)係止部材33の先端部35は、爪形状に形成される。ストッパー45は、開口部5の周縁部から延在する弾性変形可能な板材部51と、板材部51の先端側に設けられて円筒体57を有する支持部53と、を有する。第1扉9(ドア)が閉まるときに、係止部材33の先端部35がストッパー45の円筒体57を押して板材部51が弾性変形したのち、係止部材33の先端部35が円筒体57に係止されるように構成されている。
【0028】
係止部材33の先端部35がストッパー45の円筒体57を押すと板材部51が弾性変形するため、円筒体57の位置変動を円滑に行うことができる。
【0029】
(3)バックドア7は、第1扉9と第2扉11とからなる左右一対の観音扉である。第1扉9の周縁部における第2扉11側の端部にゴム製のシール部材59が設けられ、第1扉9が半開き状態のときに、シール部材59が第2扉11の周縁部における第1扉9側の端部に当接するように構成した。
【0030】
従って、第1扉9が半開き状態のときに、荷室3の内部の空気が外部に放出されることが抑制される。例えば、冷凍車の場合、荷室3の内部の空気が冷気であるため、冷たい空気が外部に放出されると、荷室3の内部が温まってしまう。
【0031】
(4)前述した特許文献1では、車体開口部の下端部にストッパーアームや案内部材が配置されている。よって、作業者が荷室の内部に出入りする際に、足元がストッパーアーム等に引っかかるなどのおそれがあった。
【0032】
しかし、本実施形態では、車体側のストッパー45は開口部5の上側周縁部41に取り付けられ、係止部材33もバックドア7の上端部に配置されるため、作業者が荷室3の内部に出入りする際に支障になることがない。
【0033】
(5)通常のバックドア7の開閉動作においては、図5に示すように、係止部材33がストッパー45の円筒体57に当たらないため、円筒体57との干渉音や円筒体57の摩耗などが生じることがない。
【0034】
(6)また、本実施形態では、円筒体57の材質を樹脂にしたため、第1扉9(ドア)が開閉途中の半開き状態において、係止部材33と円筒体57との干渉音を低減することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 車両
3 荷室
5 開口部
9 第1扉(ドア)
11 第2扉(ドア)
33 係止部材
35 先端部
41 上側周縁部(周縁部)
45 ストッパー
51 板材部
53 支持部
57 円筒体
59 シール部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9