(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
(ダイカストマシンの構成)
図1及び
図2は、本開示の実施形態に係るダイカストマシン1の要部構成を示す、一部に断面図を含む側面図である。
図1は、ダイカストマシン1の型開状態を示している。
図2は、ダイカストマシン1の型閉状態を示している。
【0019】
ダイカストマシン1は、固定金型103及び移動金型105を含む金型101の内部に溶湯(溶融状態の金属、成形材料の一例)を射出し、金型101内で溶湯を固化させてダイカスト品(成形品の一例)を製造するための装置である。
【0020】
ダイカストマシン1は、例えば、金型101の型開閉及び型締めを行う型締装置3と、金型101内に溶湯を射出する射出装置4(一部のみ点線で示す。)と、ダイカスト品を固定金型103又は移動金型105から押し出す不図示の押出装置と、これらの各装置を制御する制御装置5とを有している。型締装置3及び制御装置5以外の構成は、公知の種々の構成と同様とされてよく、説明は省略する。
【0021】
制御装置5は、例えば、不図示の制御盤及び操作部に設けられている。制御装置5は、適宜に分割乃至は分散して構成されてよい。例えば、制御装置5は、型締装置3、射出装置4及び押出装置毎の下位の制御装置と、この下位の制御装置間の同期を図るなどの制御を行う上位の制御装置とを含んで構成されてよい。ダイカストマシン1のうち型締装置3に着目する場合において、制御装置5は、型締装置3の制御装置として捉えられてよい。
【0022】
(型締装置の構成)
型締装置3は、例えば、ベース7と、ベース7上に設けられ、固定金型103を保持する固定ダイプレート9と、ベース7上に設けられ、移動金型105を保持する移動ダイプレート11と、固定ダイプレート9及び移動ダイプレート11に架け渡される複数のタイバー13とを有している。
【0023】
ベース7は、例えば、工場の床面等に載置されている。固定ダイプレート9及び移動ダイプレート11は、互いに対向するようにベース7上に配置されている。固定ダイプレート9は、移動ダイプレート11に対向する金型取付面に固定金型103を保持しており、ベース7に対して固定されている。一方、移動ダイプレート11は、固定ダイプレート9に対向する金型取付面に移動金型105を保持し、ベース7に対して、型開閉方向(固定ダイプレート9に対して近接・離反する方向)に移動可能に設けられている。
【0024】
移動ダイプレート11の固定ダイプレート9に近接する方向(型閉方向)への移動により、金型101の型閉じが行われる(
図2)。また、移動ダイプレート11の固定ダイプレート9から離反する方向(型開方向)への移動により、金型101の型開きが行われる(
図1)。
【0025】
タイバー13は、例えば、金型101の周囲に複数本設けられている。具体的には、例えば、概略矩形の固定ダイプレート9及び移動ダイプレート11の4隅側に合計で4本設けられている。4本のタイバー13は、例えば、金型101の周囲に、上下対称及び左右対称に配置されている。タイバー13は、少なくとも型閉状態において固定ダイプレート9及び移動ダイプレート11に架け渡されることが可能な長さを有している。
【0026】
タイバー13の固定ダイプレート9側の部分(例えば端部)は、固定ダイプレート9に着脱可能に固定されている。従って、
図2に示す型閉状態において、タイバー13の移動ダイプレート11側の部分(例えば端部)を移動ダイプレート11の型開方向(固定ダイプレート9とは反対側、図の紙面左側)に引っ張ることにより、タイバー13を伸長させ、その伸長量に応じた型締力を発生させることができる。
【0027】
なお、タイバー13と固定ダイプレート9との固定は、例えば、金型交換におけるタイバー13の引き抜きを容易にするために、固定ダイプレート9に設置され、タイバー13に係合可能な係合機構14によってなされていてよい。ただし、タイバー13は、少なくとも複数の成形サイクルに亘って、固定ダイプレート9に固定された状態が維持される。係合機構14は、例えば、模式的に図示しているように、分割ナット機構(例えばハーフナット)によって構成されてよい。なお、図示とは異なり、タイバー13と固定ダイプレート9とは、ねじ等を用いて固定されていてもよい。
【0028】
(型締装置の駆動手段の構成)
型締装置3は、例えば、いわゆる複合型の型締装置により構成されており、型開閉を行うための駆動手段と型締めを行うための駆動手段とを別個に有している。具体的には、型締装置3は、例えば、型開閉を行うための電動式の型開閉駆動機構15と、型締めを行うための型締シリンダ17とを有している。
【0029】
(型開閉駆動機構の構成)
型開閉駆動機構15は、例えば、回転式の型開閉電動機19と、型開閉電動機19の回転を並進運動に変換して移動ダイプレート11に伝達するねじ機構21とを有している。ねじ機構21は、例えば、ボールねじ機構により構成されており、ベース7に支持されたねじ軸23と、移動ダイプレート11に固定され、不図示のボールを介してねじ軸23に螺合されたナット25とを有している。
【0030】
型開閉電動機19は、直流モータでも交流モータでもよいし、誘導モータでも同期モータでもよい。型開閉電動機19は、例えば、エンコーダ19aを有し、不図示のサーボドライバ(サーボアンプ)とともにサーボ機構を構成する。ただし、型開閉電動機19は、ステッピングモータ等によって構成されていてもよい。
【0031】
ねじ軸23は、型開閉方向に延びるように配置され、また、軸回りに回転可能且つ軸方向に移動不可能に支持されている。ナット25は、移動ダイプレート11に固定されることにより、軸回りに回転不可能且つ軸方向に移動可能である。型開閉電動機19の回転が直接又は適宜な歯車機構等を介して間接的にねじ軸23に伝達され、ねじ軸23が回転されると、ナット25が軸方向に移動する。これにより、ナット25に固定されている移動ダイプレート11が型開閉方向に移動する。
【0032】
なお、本実施形態の説明では、移動ダイプレート11の移動について、エンコーダ19aの検出値に基づくセミクローズドループの制御が行われる態様を例に取ることがある。ただし、オープン制御が行われてもよいし、移動ダイプレート11の位置を検出する位置センサが設けられ、フルクローズドループの制御が行われてもよい。
【0033】
(型締シリンダの構成)
型締シリンダ17は、例えば、移動ダイプレート11の型開方向側に設置されている。また、型締シリンダ17は、例えば、タイバー13毎に設けられており、本実施形態では、合計4つ設けられている。型締シリンダ17によってタイバー13を引っ張ることにより、上述のように型締力を発生させることができる。
【0034】
図3は、
図2の領域IIIを拡大して示す断面図である。
図4は、
図2の領域IIIを
図3とは異なる状態で示す断面図である。なお、以下では、4つの型締シリンダ17のうち一の型締シリンダ17に関して説明するが、他の型締シリンダ17についても同様である。
【0035】
型締シリンダ17は、例えば、軸方向が型開閉方向に平行になるように移動ダイプレート11に設置された型締シリンダ部27と、型締シリンダ部27内を軸方向に摺動可能な型締ピストン29とを有している。型締ピストン29をタイバー13に係合させ、型締ピストン29を後方(固定ダイプレート9とは反対側、紙面左側)に移動させることにより、タイバー13を引っ張ることができる。
【0036】
型締シリンダ部27は、例えば、概略、筒状に構成されており、ねじ31によって移動ダイプレート11の型開方向側に固定されている。型締シリンダ部27は、適宜な数の部材が組み合わされて構成されてよい。例えば、型締シリンダ部27は、型締ピストン29が摺動するチューブ33と、チューブ33の後方に固定されたカバー35とを含んでいる(さらに、これらの各部材が2以上の部材から構成されていてもよい。)。
【0037】
型締ピストン29は、例えば、型締シリンダ部27内を2つのシリンダ室(前側室27f及び後側室27r)に区画するピストン本体29aと、型締シリンダ部27から前方(前側室27f側、紙面右側)へ延び出る前方突出部29bと、型締シリンダ部27から後方へ延び出る後方突出部29cとを有している。前側室27fは、ピストン本体29aに対して固定ダイプレート9側(別の観点では、2つのダイプレートのうち型締シリンダ17が設けられていない方のダイプレート側)に位置するシリンダ室であり、後側室27rは、その反対側に位置するシリンダ室である。型締ピストン29の軸芯には、タイバー13が型締ピストン29に対して軸方向に移動可能に挿通されている。型締ピストン29は適宜な数の部材から構成されてよい。
【0038】
前側室27f及び後側室27rに選択的に作動液(例えば油)を供給することによって、型締ピストン29を型開閉方向に駆動することができる。タイバー13を型締ピストン29に挿通することによって、例えば、不要なモーメントの発生を抑制しつつ、型締ピストン29からタイバー13に型開閉方向の力を伝えることができる。前方突出部29b及び後方突出部29cは、例えば、型締ピストン29の型締シリンダ部27及びタイバー13に対する傾斜抑制、並びに前側室27f及び後側室27rの作動液の漏れ抑制等に寄与する。
【0039】
図示の例では、型締ピストン29の前側室27fにおける受圧面積Sf(作動液の圧力を受ける面積)は、前側室27fの断面積から前方突出部29bの断面積(タイバー13が挿通されている開口の面積を含む)を引いた面積である。また、型締ピストン29の後側室27rにおける受圧面積Srは、後側室27rの断面積から後方突出部29cの断面積(タイバー13が挿通されている開口の面積を含む)を引いた面積である。受圧面積Sfと受圧面積Srとは、いずれが大きくてもよいし、同等の大きさであってもよい。図示の例では、受圧面積Sfの方が受圧面積Srよりも大きくなっている。
【0040】
(ハーフナット機構の構成)
型締装置3は、タイバー13と型締ピストン29との係合及びその解除を行うためのハーフナット機構37を有している。
【0041】
ハーフナット機構37において、その基本的な動作原理を実現する構成は、公知の構成と同様とされてよい。例えば、ハーフナット機構37は、互いに対向する1対のハーフナット41と、1対のハーフナット41をその開閉方向(互いに近接・離反する方向)に移動可能に支持する支持部材43と、ハーフナット41を開閉方向に駆動するナット開閉シリンダ45とを有している。なお、ナット開閉シリンダ45は、ハーフナット機構とは別個の装置として定義されてもよい。
【0042】
ハーフナット41の内周側には複数の係合溝41gが形成されている。一方、タイバー13の移動ダイプレート11側の部分(例えば端部)の外周面には、複数の係合溝41gに嵌る複数の突条13p(別の観点ではその間の複数の溝)を有する被結合部13bが形成されている。従って、被結合部13bが1対のハーフナット41間に位置した状態でハーフナット41が閉じられると、ハーフナット41と被結合部13bとは噛み合う(
図3)。これにより、ハーフナット機構37とタイバー13とが型開閉方向において係合される。また、ハーフナット41が開かれることにより、前記の係合が解除される(
図4)。
【0043】
各係合溝41g(及び各突条13p)は、例えば、タイバー13に直交する平面内にてタイバー13回りに周回するように延びている。また、複数の係合溝41g(及び複数の突条13p)は、互いに同一の形状であるとともに、一定のピッチでタイバー13に沿って配列されている。複数の係合溝41g(及び複数の突条13p)のピッチは、適宜に設定されてよいが、一例として、約30mmである。なお、
図3及び
図4では、係合溝41g(及び突条13p)は、型開閉方向において対称な形状とされているが、鋸刃のように非対称な形状であってもよい。また、係合溝41g(及び突条13p)は、タイバー13に直交するように延びるものではなく、螺旋状に延びるものであってもよい。
【0044】
支持部材43は、ハーフナット41を自身に対してその開閉方向(型開閉方向に直交する方向)に移動可能に支持しており、その一方でハーフナット41を自身に対して型開閉方向に移動不可能に支持している。また、支持部材43は、例えば、不図示のねじ等により型締シリンダ17の型締ピストン29の後部(後方突出部29c)に固定されている。なお、
図3及び
図4は模式図であることから、支持部材43に一のハッチングを付して示しているが、実際には、支持部材43は、複数の部材から構成されてよい。
【0045】
支持部材43と型締ピストン29とは固定されているから、ハーフナット41とタイバー13の被結合部13bとが上述のように噛み合うと、型締ピストン29とタイバー13とが型開閉方向において係合されることになる。これにより、例えば、型締ピストン29の駆動によってタイバー13を引っ張り、型締力を生じることが可能となる。
【0046】
ナット開閉シリンダ45は、液圧シリンダ又は空圧シリンダによって構成されている。1対のハーフナット41は、例えば、不図示の連結機構によって連結されており、一つのナット開閉シリンダ45によって、その開閉方向に駆動される。なお、ハーフナット41毎にナット開閉シリンダ45が設けられてもよい。また、シリンダに代えて、電動機等の適宜な駆動装置が設けられてもよい。
【0047】
(型厚調整の方法)
ハーフナット41及びタイバー13の被結合部13bは、適切に噛み合わされるように(係合溝41gと突条13pとが対向し、係合溝41gと突条13p間の溝とが対向しないように)、ハーフナット41を閉じる前に、複数の係合溝41gのピッチ未満の距離で型開閉方向の相対位置が調整される必要がある。
【0048】
ここで、型閉状態では(
図2)、移動ダイプレート11は、型厚(金型101の厚さ)に応じた距離で固定ダイプレート9と対向する。タイバー13は固定ダイプレート9に固定されているから、型閉状態における、移動ダイプレート11と被結合部13bとの型開閉方向における相対位置は型厚に応じて決まる。ひいては、型閉状態における、ハーフナット41と被結合部13bとが噛み合い可能な、ハーフナット41の移動ダイプレート11に対する型開閉方向の位置は、型厚に応じて決まる。
【0049】
本実施形態では、型締シリンダ17の駆動力によって型締ピストン29の位置制御を行い、これにより、移動ダイプレート11に対してハーフナット41を上記のような噛み合い可能な位置に位置決めする。すなわち、型締シリンダ17は、型締め及び型厚調整の双方に利用される。
【0050】
(型締シリンダを駆動するための構成)
図5は、型締シリンダ17に作動液を供給するための構成を示す模式図である。
【0051】
本実施形態では、シリンダ用電動機47によって液圧を介さずに駆動シリンダ49を駆動し、駆動シリンダ49から型締シリンダ17へ作動液を供給する。これにより、例えば、ポンプまたはアキュムレータによって型締シリンダ17へ作動液を供給する場合に比較して、高精度に型締ピストン29の位置制御を可能としている。具体的には、以下のとおりである。
【0052】
型締装置3は、例えば、回転式の上記シリンダ用電動機47と、シリンダ用電動機47の回転を伝達する伝達機構51と、伝達機構51からの回転を直線運動に変換するねじ機構53(変換機構)と、その直線運動が伝達されて駆動される上記駆動シリンダ49と、駆動シリンダ49と型締シリンダ17とを接続している液圧回路55と、駆動シリンダ49を制動可能なブレーキ57とを有している。なお、シリンダ用電動機47から駆動シリンダ49までの構成は、液圧回路55(流路)によって型締シリンダ17に作動液を供給できればよいから、これらの構成の型締シリンダ17等に対する配置位置及び配置の向きは任意である。
【0053】
(電動機からねじ機構までの構成)
シリンダ用電動機47は、直流モータでも交流モータでもよいし、誘導モータでも同期モータでもよい。シリンダ用電動機47は、例えば、エンコーダ47aを有し、不図示のサーボドライバ(サーボアンプ)とともにサーボ機構を構成する。ただし、シリンダ用電動機47は、ステッピングモータ等によって構成されていてもよい。また、シリンダ用電動機47は、ブレーキ付のものであってもよい。後述するシリンダ用電動機47の停止時において、シリンダ用電動機47は、例えば、トルクフリーの状態とされる。ただし、ブレーキ付電動機のブレーキが利用されてもよいし、サーボ機構による位置制御がなされてもよい。
【0054】
伝達機構51は、例えば、プーリ・ベルト機構により構成されており、シリンダ用電動機47の出力軸に固定されたプーリ61と、プーリ61とねじ機構53との間に架け渡されたベルト63とを有している。従って、シリンダ用電動機47が回転されると、その回転は伝達機構51を介してねじ機構53に伝達される。
【0055】
ねじ機構53は、例えば、ボールねじ機構又はすべりねじ機構により構成されており、ねじ軸65と、ねじ軸65に螺合するナット67とを有している。
【0056】
ねじ軸65は、不図示の適宜な軸受によって支持されることなどにより、軸方向の移動が許容されているとともに軸回りの回転が規制されている。一方、ナット67は、軸方向の移動が規制されているとともに軸回りの回転が許容されている。従って、ナット67が回転されると、ねじ軸65はその軸方向において移動する。
【0057】
ナット67には、伝達機構51のベルト63が掛けられており、ナット67は、プーリとしても機能する。これにより、シリンダ用電動機47の回転はナット67に伝達され、ひいては、ねじ軸65がその軸方向において移動する。
【0058】
(駆動シリンダの構成)
駆動シリンダ49は、駆動シリンダ部69と、駆動シリンダ部69内をその軸方向に摺動可能な駆動ピストン71とを有している。駆動ピストン71は、駆動シリンダ部69内を2つのシリンダ室(前側接続室69f及び後側接続室69r)に区画している。
【0059】
駆動ピストン71とねじ軸65とは同軸に固定されており、ねじ軸65は、駆動シリンダ部69の内部から外部へ延び出ている。すなわち、ねじ軸65は、駆動シリンダ49のピストンロッドとしても機能している。そして、ねじ軸65が軸方向に移動することにより、駆動ピストン71も移動する。これにより、前側接続室69f及び後側接続室69rの一方からは作動液が送出され、また、他方は作動液を受け入れ可能となる。
【0060】
ねじ軸65は、図示の例では、後側接続室69r側に延びている。駆動ピストン71の前側接続室69fにおける受圧面積Sf′は、前側接続室69fの断面積と同じである。また、駆動ピストン71の後側接続室69rにおける受圧面積Sr′は、後側接続室69rの断面積からねじ軸65の断面積を引いた面積である。受圧面積Sf′は受圧面積Sr′よりも大きい。
【0061】
なお、図示の例とは異なり、ねじ軸65は前側接続室69f側に延びてもよい。すなわち、受圧面積Sr′が受圧面積Sf′よりも大きくてもよい。また、駆動シリンダ49は、同径の2つのピストンロッドが駆動シリンダ部69の軸方向両側に延び出る両ロッド式のものであってもよい。すなわち、受圧面積Sf′と受圧面積Sr′とは、同等の大きさであってもよい。また、両ロッド式で2つのロッドの径の径が異なってもよい。この場合、受圧面積Sf′及び受圧面積Sr′のいずれが大きくてもよい。
【0062】
前側接続室69fは、液圧回路55によって型締シリンダ17の前側室27fに通じている。また、後側接続室69rは、液圧回路55によって型締シリンダ17の後側室27rに通じている。
【0063】
従って、駆動ピストン71を前側接続室69f側へ移動させることにより、前側接続室69fから前側室27fに作動液を供給することができる。また、この際、型締ピストン29の移動に伴って後側室27rから排出される作動液を後側接続室69rに受け入れることができる。同様に、駆動ピストン71を後側接続室69r側へ移動させることにより、後側接続室69rから後側室27rに作動液を供給するとともに、前側室27fから前側接続室69fへ作動液を排出できる。
【0064】
駆動シリンダ49の断面積及びストロークは、上記のような作動液の給排によって、型締めに必要な作動液を型締シリンダ17へ十分に送出できるように設定されている。例えば、駆動ピストン71の前側接続室69fにおける受圧面積Sf′と駆動ピストン71のストローク(移動可能距離)との積は、型締ピストン29の前側室27fにおける受圧面積Sfと型締ピストン29のストローク(移動可能距離)との積に所定の余裕量を加算した大きさである。
【0065】
型締ピストン29の前側室27fにおける受圧面積Sfと型締ピストン29の後側室27rにおける受圧面積Srとの比(Sf/Sr)は、例えば、駆動ピストン71の前側接続室69fにおける受圧面積Sf′と駆動ピストン71の後側接続室69rにおける受圧面積Sr′との比(Sf′/Sr′)と等しい。この場合、理論上は、駆動シリンダ49と型締シリンダ17との間で作動液を相互に供給するとき、作動液の過不足は生じない。なお、Sf′/Sr′が等しいといっても、実用上無視できる程度の差があってもよいことはもちろんである。例えば、1回の成形サイクルにおいて生じ得る液漏れの量に相当する程度の差があってもよい。
【0066】
受圧面積Sf及びSf′はいずれが大きくてもよいし、互いに等しくてもよい。受圧面積Sr及びSr′についても同様である。例えば、Sf′はSfよりも小さい。この場合、例えば、パスカルの原理に従って、所定の型締力を得るためのシリンダ用電動機47のトルクを小さくすることができる。また、例えば、シリンダ用電動機47の回転量に対する型締ピストン29の移動量が小さくなるから、型締ピストン29の位置制御を高精度に行いやすくなる。
【0067】
(液圧回路の構成)
液圧回路55は、上記の説明からも理解されるように、まず、前側接続室69fと前側室27fとを接続している前側流路73と、後側接続室69rと後側室27rとを接続している後側流路75とを有している。液圧回路55は、基本的には、これらの流路を有していればよい。作動液の流れの方向、流量及び圧力は、シリンダ用電動機47の回転方向、回転数(回転速度)及びトルクによって制御可能だからである。
【0068】
本実施形態では、液圧回路55は、上記の流路に加えて、例えば、前側流路73に設けられた前側バルブ77と、前側流路73と後側流路75とを連通する連通流路79と、連通流路79に設けられた連通バルブ81と、後側流路75に接続されたアキュムレータ83とを有している。
【0069】
前側バルブ77は、前側流路73を開閉可能なバルブである。前側バルブ77を閉じることによって、例えば、型締めのために昇圧された前側室27fの圧力を維持することができる。前側バルブ77の構成は適宜なものとされてよい。
図5では、スプリング及びソレノイドによって駆動される2ポート2位置のノンリーク式の切換弁によって前側バルブ77が構成されている態様を例示している。
【0070】
なお、ノンリークバルブは、液体のリークが少ない又は無い弁であり、そのカタログ乃至は仕様書などにおいて、ノンリークバルブである旨が記載されていることが多く、当該記載に基づいてノンリークバルブであるか否かを特定可能である。
【0071】
連通流路79は、例えば、前側流路73のうちの前側バルブ77と前側接続室69fとの間の部分と、後側流路75とを接続している。連通流路79により、例えば、後側流路75に接続されているアキュムレータ83と、前側流路73に接続されている前側接続室69f及び/又は前側室27fとの間における作動液の給排が可能になる。
【0072】
連通バルブ81は、連通流路79を開閉可能なバルブである。連通バルブ81を閉じることによって、例えば、アキュムレータ83と前側接続室69f及び/又は前側室27fとの間における作動液の給排を禁止又は許容できる。連通バルブ81の構成は適宜なものとされてよい。
図5では、スプリング及びソレノイドによって駆動される2ポート2位置のノンリーク式の切換弁によって連通バルブ81が構成されている態様を例示している。
【0073】
なお、前側流路73を介した前側接続室69fと前側室27fとの間の作動液の給排は、例えば、型締シリンダ17によって型締力を生じるために積極的に行われる。一方、連通流路79を介したアキュムレータ83と前側接続室69f及び/又は前側室27fとの間における作動液の給排は、例えば、作動液の過不足の解消のために補助的に行われる。従って、連通バルブ81は、前側バルブ77に比較して小さなものとされてよい。
【0074】
アキュムレータ83は、重量式、ばね式、気体圧式(空気圧式含む)、シリンダ式、プラダ式などの適宜な形式のアキュムレータにより構成されてよい。図示の例では、アキュムレータ83は、気体圧式(空気圧式含む)、シリンダ式又はプラダ式のものとされており、符号は省略するが、その内部に、気体を保持している気体室と、液体を保持している液体室とを有している。気体室の気体の圧縮によってアキュムレータ83は蓄圧される。液体室は後側流路75に接続されている。
【0075】
アキュムレータ83は、型締シリンダ17に作動液を供給して型締力を生じることに用いられるのではなく、例えば、作動液の過不足を解消することに用いられる。従って、その圧力は比較的低くてよい。例えば、アキュムレータ83の気体室の圧力(例えばアキュムレータ83の仕様で設定されている最高圧力又は成形サイクル中に実際に生じる最高圧力)は、高圧ガス保安法において高圧と定義されている圧力(1MPa)よりも低くてよい(10kgf/cm
2以下でよい。)。また、アキュムレータ83として、いわゆるミニボトルが用いられてもよい。
【0076】
(ブレーキ)
ブレーキ57は、例えば、摩擦式のものであり、直接的には、ナット67の回転を規制し、これにより駆動ピストン71の移動を規制する。具体的には、以下のとおりである。
【0077】
ブレーキ57は、例えば、ナット67と共に回転するようにナット67に連結された被制動部材85と、被制動部材85に当接して被制動部材85の回転を規制可能な制動部材87とを有している。制動部材87は、当然に、適宜な部材への連結などによって被制動部材85の回転方向における運動は規制されている。被制動部材85及び制動部材87は、例えば、ねじ軸65の同軸上に配置され、ねじ軸65の軸方向において互いに対向している。そして、被制動部材85及び制動部材87の一方が他方に向かって移動することによって両者は当接する。これにより、被制動部材85の回転に対して、被制動部材85と制動部材87との間に摩擦力が生じる。すなわち、制動力が生じる。
【0078】
被制動部材85及び制動部材87を近接及び離反させるための駆動方式は、例えば、電磁式である。具体的には、例えば、被制動部材85は、矩形で模式的に示された支持機構89によって被制動部材85及び制動部材87の対向方向において移動可能に支持されているとともに、不図示のばねによって制動部材87から離反する方向に付勢されている。そして、模式的に示されているように、制動部材87側にはコイル91が設けられており、このコイル91に通電がなされることによって(電磁石が作動することによって)、被制動部材85及び/又は支持機構89内の被制動部材85に固定されている部材(金属部材)がコイル91に引き寄せられる。これにより、被制動部材85と制動部材87とが当接する。
【0079】
なお、ブレーキとして、通電時に制動力が発揮されるものを例に挙げたが、ブレーキは、上記とは逆に、ばねによって互いに当接されている被制動部材85と制動部材87とが通電(電磁石)によって離反されるものであってもよい。制動部材87側にコイル91を図示したが、被制動部材85側にコイル91が設けられてもよい。被制動部材85に代えて又は加えて、制動部材87が近接・離反の方向に移動してもよい。また、ドラムブレーキまたはディスクブレーキ等の公知の種々の摩擦ブレーキが適宜に適用されてよい。駆動方式は、電磁式に限らず、ガス圧式(空圧式)又は液圧式であってもよい。
【0080】
(シリンダ用電動機等の数)
図6(a)及び
図6(b)は、シリンダ用電動機47等の数の例を示す模式図である。
【0081】
図6(a)に示すように、
図5を参照して説明した、シリンダ用電動機47から駆動シリンダ49までの構成及び液圧回路55は、型締シリンダ17毎に設けられていてもよい。すなわち、4つの型締シリンダ17に対応して、シリンダ用電動機47から駆動シリンダ49までの構成及び液圧回路55が4組設けられてもよい。
【0082】
また、
図6(b)に示すように、シリンダ用電動機47から駆動シリンダ49までの構成は、全ての型締シリンダ17に共通に設けられていてもよい。なお、この態様において、液圧回路55は、型締シリンダ17を個別に制御することが可能に構成されてよい。例えば、前側バルブ77は、型締シリンダ17毎に設けられてよい。
【0083】
上記の他、例えば、シリンダ用電動機47から駆動シリンダ49までの構成は、4つ型締シリンダ17のうち2つずつに対して共通に設けられてもよい。この態様においても例えば、前側バルブ77は、型締シリンダ17毎に設けられてよい。
【0084】
(信号処理系の構成)
図7は、型締装置3の信号処理系の構成の概要を示すブロック図である。
【0085】
制御装置5は、例えば、特に図示しないが、CPU、ROM、RAM及び補助記憶装置を含んで構成されている。そして、CPUがROM及び/又は補助記憶装置に記憶されているプログラムを実行することによって、各種の機能部が構築される。
【0086】
具体的には、例えば、型開閉において型開閉電動機19を制御する型開閉制御部5a、型締めにおいてシリンダ用電動機47及び液圧回路55を制御する型締制御部5b、型厚調整においてシリンダ用電動機47及び液圧回路55を制御する型厚調整制御部5c、及び型締中においてブレーキ57を制御する制動制御部5dが構築される。
【0087】
上記のような各種の機能部が構築された制御装置5は、各種の入力信号に基づいて、各部を制御するための信号を出力する。
【0088】
制御装置5に信号を入力するのは、例えば、不図示の入力装置、型開閉電動機19のエンコーダ19a(
図1)、シリンダ用電動機47のエンコーダ47a(
図5)及び型締ピストン29の位置を検出する位置センサ59(
図3及び
図4)、及び前側室27fの圧力を検出可能な圧力センサ60(
図3及び
図4)である。
【0089】
制御装置5が信号を出力するのは、例えば、不図示の表示装置、型開閉電動機19、シリンダ用電動機47、液圧回路55(そのバルブ)及びブレーキ57である。
【0090】
位置センサ59は、例えば、型締ピストン29に固定的な不図示のスケール部とともに磁気式又は光学式のリニアエンコーダを構成するものであってもよいし、レーザー測長器によって構成され、型締ピストン29に固定的な部位との距離を測るものであってもよい。位置センサ59は、例えば、型締ピストン29毎に設けられている。
【0091】
圧力センサ60は、例えば、型締ピストン29毎に設けられている。制御装置5は、圧力センサ60の検出する圧力と、型締ピストン29の前側室27fにおける受圧面積とから、型締力を算出することができる。なお、このような圧力センサ60を設けずに、位置センサ59の検出値からタイバー13の伸長量を測定し、タイバー13のヤング率、長さ及び断面積から型締力を算出することも可能である。
【0092】
(ダイカストマシンの動作)
図8及び
図9は、制御装置5が型厚調整及び型締において実行する処理の手順を示すフローチャートである。図示の処理は、ステップS0を除いて、1ショット毎(1回の成形サイクル毎)に行われる。図示の処理が繰り返されることにより、成形サイクルが繰り返される。
【0093】
ステップS0に示されているように、図示の処理に先立って、制御装置5は、型厚情報を取得する。当該取得は、例えば、不図示の入力装置を介して型厚の値が入力されることによって行われてもよいし、制御装置5が記憶装置若しくは記録媒体から金型のCADデータ等を読み出して型厚の値を特定することによって行われてもよい。
【0094】
また、
図8の処理が開始されるとき、
図1及び
図2に示すように、移動ダイプレート11は所定の型開位置に位置し、タイバー13の被結合部13bとハーフナット41とは結合が解除されている。
【0095】
(型閉じ)
ステップS1〜S4では、制御装置5は、型閉じを行う。具体的には、ステップS1では、制御装置5は移動ダイプレート11の型閉方向(固定ダイプレート9側)への移動(前進)を型開閉電動機19に対して指令する。この移動は、サイクルタイムの短縮化の観点から高速で行われる。
【0096】
ステップS2では、制御装置5は、エンコーダ19aの検出結果に基づいて、移動ダイプレート11の速度を高速から低速へ切り換える低速切換位置に移動ダイプレート11が到達したか否かを判定する。そして、制御装置5は、肯定判定の場合は、ステップS3に進み、否定判定の場合は、移動ダイプレート11の高速移動を継続する。なお、低速切換位置は、作業者が予め制御装置5に対して入力することにより、又はステップS0で取得された型厚情報等に基づいて制御装置5が自動的に設定することにより、型接触位置から適宜な距離で手前に離れた位置に設定されている。
【0097】
ステップS3では、制御装置5は、移動ダイプレート11の型閉方向への低速移動を型開閉電動機19へ指令する。型接触手前で移動ダイプレート11が減速されることによって、例えば、型接触時の衝撃が低減される。
【0098】
ステップS4では、制御装置5は、移動ダイプレート11が型接触位置に到達したか否か判定する。具体的には、例えば、エンコーダ19aにより検出された移動ダイプレート11の位置と、型接触位置とを比較して判定する。そして、制御装置5は、肯定判定のときはステップS7へ進み、否定判定のときは移動ダイプレート11の低速での前進を継続する。なお、型接触位置は、例えば、ステップS0で取得された型厚情報等に基づいて制御装置5が演算することにより特定される。制御装置5は、例えば、ステップS7へ進むときも、型開閉電動機19の適宜な大きさの駆動力によって移動金型105を固定金型103へ押し付けている。
【0099】
(型厚調整)
一方、制御装置5は、ステップS1〜S4の型閉じと並行して、ステップS5及びS6の型厚調整を行う。
【0100】
ステップS5では、制御装置5は、ステップS0で入力された型厚に応じたハーフナット41と被結合部13bとの噛み合い位置へ向かって型締ピストン29を移動させるように、シリンダ用電動機47へ指令する。
【0101】
なお、制御装置5は、
図8の処理(S0除く)に先立って、予めハーフナット41と被結合部13bとが噛み合い可能な型締ピストン29の位置を取得する。具体的には、例えば、制御装置5は、型厚が所定の基準型厚かつ型締ピストン29の位置が所定の基準位置であるときの、被結合部13bとハーフナット41との相対位置の情報と、ハーフナット41の係合溝41gのピッチの情報とを予め有している。そして、制御装置5は、これらの情報とステップS0で入力された型厚情報とに基づいて、ハーフナット41と被結合部13bとが噛み合い可能な型締ピストン29の位置を算出する。
【0102】
ステップS5における型締ピストン29の移動は、前側室27f側へのものであってもよいし、後側室27r側へのものであってもよい。状況によって双方が行われてもよい。ステップS5では、前側バルブ77は開かれている。また、連通バルブ81は閉じられている。
【0103】
型締ピストン29の後側室27r側への移動は、駆動ピストン71が前側接続室69f側へ駆動され、前側接続室69fから前側室27fに作動液が供給されることによりなされる。前側室27f側への移動は、例えば、駆動ピストン71が後側接続室69r側へ駆動され、前側室27fから前側接続室69fへ作動液を排出可能となることにより、アキュムレータ83の圧力によりなされる。いずれの移動も、シリンダ用電動機47による駆動ピストン71の位置制御によって高精度に制御される。なお、アキュムレータ83と後側流路75との接続を遮断する弁を設け、この弁を閉じた状態で、駆動ピストン71の後側接続室69r側への移動(型締ピストン29の前側室27f側への移動)が行われてもよい。
【0104】
ステップS6では、制御装置5は、位置センサ59の検出値に基づいて、型締ピストン29が噛み合い位置に到達したか否か判定する。そして、制御装置5は、肯定判定のときはステップS7へ進み、否定判定のときは型締ピストン29の移動を継続する。
【0105】
なお、制御装置5は、ステップS5及びS6を複数の型締シリンダ17それぞれについて行い、全ての型締シリンダ17についてステップS6の肯定判定が得られたときにステップS7へ進む。
【0106】
(ハーフナットの係合)
ステップS7では、制御装置5は、ステップS4及びステップS6の双方において肯定判定が得られたことを条件として、ハーフナット41を前進させる(ハーフナット41を閉じる)ように、ナット開閉シリンダ45への作動液(又はガス)の供給を制御する不図示の制御弁に対して指令する。
【0107】
なお、ステップS4及びS6の後かつステップS7の前に、不図示の近接スイッチを用いて、ハーフナット41と被結合部13bとが噛み合い可能か否かを確認してもよい。例えば、近接スイッチは、被結合部13bの外周面に対向するように設けられ、突条13pに対向したとき(被結合部13bとの距離が短くなったとき)に所定の信号を出力する。この近接スイッチを、ハーフナット41と被結合部13bとが噛み合い可能な位置にあるときに突条13pに対向するように支持部材43に取り付けておく。そして、所定の信号の有無によって噛み合い可能か否か判定できる。
【0108】
ステップS8では、制御装置5は、ハーフナット41と被結合部13bとの結合が完了したか否か判定する。例えば、制御装置5は、ナット開閉シリンダ45のピストンの位置を検出する不図示の位置センサの検出結果に基づいて判定する。そして、制御装置5は、肯定判定のときはステップS9へ進み、否定判定のときはハーフナット41の前進を継続する。
【0109】
ステップS9では、制御装置5は、型開閉電動機19をトルクフリーの状態にする。すなわち、型開閉電動機19には、トルク(駆動力)を生じるための電力(位置制御によって停止状態を維持するための電力も含む)は供給されない。なお、エンコーダ19aには電力が供給されてもよい。
【0110】
(型締開始〜型締完了)
ステップS10では、制御装置5は、位置センサ59により検出されている型締ピストン29の位置を記憶する。別の観点では、制御装置5は、現在のタイバー13の被結合部13b側の端部の位置を記憶する。
【0111】
ステップS11では、制御装置5は、型締昇圧を開始するように、シリンダ用電動機47に指令する。具体的には、制御装置5は、駆動シリンダ49が前側接続室69f側へ移動するようにシリンダ用電動機47を制御する。これにより、前側接続室69fから型締シリンダ17の前側室27fへ作動液が供給され、型締ピストン29は後側室27r側へ移動する。ひいては、タイバー13が伸長され、型締力が得られる。
【0112】
このとき、前側バルブ77は開かれている。連通バルブ81は閉じられている。前側接続室69f及び前側室27fの作動液の圧縮等によって後側接続室69rに負圧が生じる場合、当該負圧はアキュムレータ83によって解消される。また、前側接続室69f及び前側室27fの圧力が高くなることによって、前側接続室69fから後側接続室69rへの液漏れ、又は前側室27fから後側室27rへの液漏れが生じることにより、後側接続室69r及び後側室27rにおいて作動液の余剰分が生じた場合、当該余剰分はアキュムレータ83によって吸収される。
【0113】
ステップS12では、制御装置5は、圧力センサ60の検出する圧力に基づいて、型締力が予め定められた値に到達したか否か判定する。そして、制御装置5は、肯定判定のときは、その圧力を維持するようにシリンダ用電動機47の制御を行いつつステップS13に進み、否定判定のときは昇圧を継続するようにシリンダ用電動機47を制御しつつステップS12を繰り返す。
【0114】
なお、制御装置5は、ステップS10〜S12を複数の型締シリンダ17それぞれについて行い、全ての型締シリンダ17についてステップS12の肯定判定が得られたときにステップS13へ進む。
【0115】
ステップS13では、ステップS10で記憶した型締ピストン29の位置と、現在、位置センサ59により検出されている型締ピストン29の位置とを比較して、型接触時からの型締ピストン29の移動量を特定し、特定した移動量の複数の型締ピストン29間における差が許容値内か否かを判定する。許容値は、例えば、不図示の入力装置を介して予め制御装置5に入力される。
【0116】
理想的には、複数の型締ピストン29の移動量は互いに等しくなる。ただし、固定金型103と移動金型105との間に異物が挟まっているなどの異常が生じている場合においては、複数の型締ピストン29の移動量に差が生じる。従って、ステップS13により、そのような異常を検出できることになる。
【0117】
なお、ステップS13の判定は、直接的に行われてもよいし、間接的に行われてもよい。例えば、前者では、複数の型締ピストン29間における移動量の差を算出し、その差が許容値内か否かを判定する。後者では、型締ピストン29の移動量と、予め定められた移動量との差が許容値内か否かを複数の型締ピストン29それぞれについて判定し、予め定められた移動量との差が許容値内にない型締ピストン29がある場合に、複数の型締ピストン29間における移動量の差が許容値内にないとみなす。
【0118】
ステップS13において、制御装置5は、肯定判定の場合(異常が無いと判定した場合)は、ステップS14へ進み、否定判定の場合は、所定の時間間隔でステップS13を繰り返す。
【0119】
所定の時間間隔でステップS13を繰り返している間、制御装置5は圧力センサ60の検出する圧力が予め定められた圧力に維持されるようにシリンダ用電動機47の制御を継続している。従って、複数の型締ピストン29間の移動量の差が一時的なものである場合、例えば、液圧が振動しつつ収束する過渡状態にあり、たまたまステップS13の判定時に移動量の差が許容値外であった場合には、複数の型締ピストン29間の移動量の差は、いずれ許容値内に収まる。
【0120】
なお、特に図示しないが、制御装置5は、ステップS13の繰り返し回数が所定回数を超えた場合は、異常時処理を実行してもよい。異常時処理は、例えば、成形サイクルを中断したり、警告画像を表示装置に表示したりする処理である。成形サイクルの中断の前に、所定のステップ(例えばステップS10、S3又はS1)から成形サイクルをやり直す処理が行われてもよい。移動量の差が型接触時や型締昇圧時において生じた偶発的な要因によるものである場合、やり直しによって移動量の差を解消できる。やり直しは、所定回数を限度とし、所定回数を超えたとき(異常が恒常的なものである場合)は、制御装置5は成形サイクルを中断する。
【0121】
ステップS14では、ブレーキ57を作動させ、また、前側バルブ77を閉じる。これにより、前側室27fの圧力は維持され、ひいては、型締力が維持される。なお、ブレーキ57及び前側バルブ77の一方のみによって前側室27fの圧力が維持されてもよい。別の観点では、前記一方のみが設けられていてもよい。
【0122】
ステップS15では、制御装置5は、シリンダ用電動機47をトルクフリーの状態とする。すなわち、シリンダ用電動機47には、トルク(駆動力)を生じるための電力(位置制御によって停止状態を維持するための電力も含む)は供給されない。ただし、エンコーダ47aには電力が供給されてもよい。また、シリンダ用電動機47が、電力の供給によって作動するブレーキを有している場合は、当該ブレーキも電力が供給されても構わない。
【0123】
シリンダ用電動機47をトルクフリーにしても、上記のようにブレーキ57及び/又は前側バルブ77によって型締力は維持される。このように、シリンダ用電動機47は、型締力を実現するための比較的大きなトルクを維持する必要がないことから、消費電力及び発熱量が低減され、また、小型化も期待される。なお、現実には、作動液の漏れが生じるから、適宜な時期に適宜な時間長さで、ブレーキ57の作動を停止し、前側バルブ77を開き、シリンダ用電動機47を駆動して、型締力の低下を抑制するようにしてもよい。
【0124】
(射出)
図8のステップS15の後、制御装置5は、射出装置4を制御して、型締めされている金型101内へ溶湯を射出する。なお、射出工程の一部(現に金型101内に射出する前の一部)は、ステップS15以前の一部と重複していてもよい。そして、制御装置5は、金型内の溶湯が凝固したか否か判定し、凝固したと判定したときは、
図9のステップS16へ進む。溶湯が凝固したか否かは、例えば、射出開始以後の適宜な時期からの経過時間に基づいて判定される。
【0125】
(型締終了から型開き)
ステップS16では、制御装置5は、前側室27fの圧抜きを行う。具体的には、制御装置5は、ステップS14とは逆に、ブレーキ57の作動を停止し、また、前側バルブ77を開く。シリンダ用電動機47はトルクフリーの状態が維持される。なお、シリンダ用電動機47がブレーキ付のものである場合、当該ブレーキは作動されない。一方、型締ピストン29には、タイバー13の復元力(短縮しようとする力)によって前側室27f側への力が加えられている。型締ピストン29は、前側室27fの作動液を前側接続室69fへ排出しつつ型締め前の位置へ移動する。これに伴い、駆動ピストン71も後側接続室69r側へ移動する。この際、タイバー13の伸長量の低減に伴って前側室27fの圧力は低下していく。
【0126】
ステップS17〜S21では、制御装置5は、概略、ステップS1〜S8とは逆の手順により、型開きを行う。具体的には、制御装置5は、ハーフナット41を後退させ(ステップS17)、ハーフナット41と被結合部13bとの結合解除が完了したか否かを判定しする(ステップS18)。そして、制御装置5は、結合解除が完了したと判定すると、移動ダイプレート11を比較的低速で後退させ(ステップS19)、移動ダイプレート11が所定の高速後退開始位置に到達すると移動速度を比較的高速にする(ステップS20)。その後、移動ダイプレート11は型開位置に到達する。
【0127】
以上のとおり、第1の観点では、型締装置3は、固定ダイプレート9と、移動ダイプレート11と、型締シリンダ17と、タイバー13と、ハーフナット機構37と、駆動シリンダ49と、液圧回路55と、シリンダ用電動機47と、型厚調整制御部5cと、型締制御部5bとを有している。
【0128】
移動ダイプレート11は、固定ダイプレート9に対して型開閉方向に移動可能である。型締シリンダ17は、移動ダイプレート11(2つのダイプレートのうちの一方のダイプレート)に設置された型締シリンダ部27と、型締シリンダ部27内に収容されている型締ピストン29とを有している。型締シリンダ部27内は、型締ピストン29によって固定ダイプレート9側(他方のダイプレート側)の前側室27fとその反対側の後側室27rとに区画されている。また、タイバー13は、型開閉方向に延在しており、固定ダイプレート9(他方のダイプレート)に着脱可能に固定されている。ハーフナット機構37は、型締ピストン29(他方の部材)の後方突出部側に固定されており、タイバー13との噛み合い及び当該噛み合いの解除が可能である。駆動シリンダ49は、駆動シリンダ部69と、駆動シリンダ部69内に収容されている駆動ピストン71とを有している。駆動シリンダ部69内は、駆動ピストン71によって前側接続室69fと後側接続室69rとに区画されている。液圧回路55は、前側室27fと前側接続室69fとを接続しているとともに後側室27rと後側接続室69rとを接続している。シリンダ用電動機47は、駆動ピストン71に液圧を介さずに駆動力を伝達可能である。型厚調整制御部5cは、ハーフナット機構37とタイバー13との噛み合い位置を調整するようにシリンダ用電動機47を制御する。型締制御部5bは、型締力を上昇させるようにシリンダ用電動機47を制御する。
【0129】
従って、例えば、型締力を発揮するための型締ピストン29の位置制御によって型厚調整を行うことができることから、構成が簡素化される。この際、既に言及したように、シリンダ用電動機47によって液圧を介さずに駆動シリンダ49を駆動し、これによって型締シリンダ17における作動液の給排が制御される。その結果、例えば、ポンプまたはアキュムレータから型締シリンダ17へ供給される作動液の流量を弁によって制御する場合に比較して、高精度に型締ピストン29の位置制御を行うことが可能となる。一方で、全電動式に比較して、例えば、作動液の圧縮によって衝撃を吸収することができる。
【0130】
また、第2の観点では、型締装置3は、固定ダイプレート9と、移動ダイプレート11と、型締シリンダ17と、タイバー13と、ハーフナット機構37と、駆動シリンダ49と、液圧回路55と、シリンダ用電動機47とを有している。型締シリンダ17は、移動ダイプレート11(2つのダイプレートのうちの一方のダイプレート)に設置されている。タイバー13は、型開閉方向に延在しており、固定ダイプレート9(他方のダイプレート)に着脱可能に固定されている。ハーフナット機構37は、型締ピストン29に連結されており、タイバー13との噛み合い及び当該噛み合いの解除が可能である。
【0131】
従って、例えば、第1の観点と同様に、型締力を発揮するための型締ピストン29の位置制御によって型厚調整を行うことが可能であり、また、シリンダ用電動機47によって高精度に型厚調整を行うことができる。さらに、ハーフナット機構37によって型締ピストン29とタイバー13とを着脱可能に固定する構成であることから、例えば、型締ピストン29とタイバー13とが固定されている構成(後述する
図10(b)及び
図10(c)参照)のように、型厚調整においてタイバー13ごと型締ピストン29を駆動する必要はない。その結果、例えば、型厚調整における駆動力を小さくしたり、摺動抵抗の変動を小さくしたりすることができ、ひいては、型厚調整を高精度に行うことができる。
【0132】
本実施形態では、型締ピストン29の前側室27fにおける受圧面積Sfと、型締ピストン29の後側室27rにおける受圧面積Srとは互いに異なる。駆動ピストン71の前側接続室69fにおける受圧面積Sf′と、駆動ピストン71の後側接続室69rにおける受圧面積Sr′とは互いに異なる。そして、Sf/Srと、Sf′/Sr′とが互いに等しい。
【0133】
従って、例えば、既に言及したように、駆動シリンダ49と型締シリンダ17との間で作動液を互いに供給する際における作動液の過不足を低減する(理論上は無くす)ことができる。また、SfとSrとが異なり、Sf′とSr′とが異なることから、例えば、駆動シリンダ49及び型締シリンダ17を両ロッド式のものにする必要はない。
【0134】
本実施形態では、上記のようにSf/Srと、Sf′/Sr′とが互いに等しく、さらに、SfがSrよりも大きく、Sf′がSr′よりも大きい。駆動シリンダ49は、駆動ピストン71から後側接続室69rを経由して駆動シリンダ部69の外部まで延びているねじ軸65(ピストンロッド)を有している。シリンダ用電動機47の駆動力は、ねじ軸65に伝達される。
【0135】
従って、例えば、型締シリンダ17においては、SfがSrよりも大きいことによって、大きな型締力を得ることを容易にしつつ、全体として液量を少なくすることができる。これに対して、駆動シリンダ49においては、例えば、ねじ軸65は、駆動力を駆動シリンダ部69内の駆動ピストン71に伝達することに利用されるとともに、Sf/SrとSf′/Sr′とを等しくすることにも利用される。このように、全体として好適な構成が実現される。
【0136】
また、本実施形態では、型締装置3は、後側接続室69rに通じているアキュムレータ83を更に備えている。
【0137】
従って、例えば、ステップS11の説明で言及したように、駆動シリンダ49等に生じる負圧及び/又は液漏れに対応することができる。また、例えば、後側接続室69rにタンクを接続している態様(この態様も本開示に係る技術に含まれる)に比較して、積極的に負圧の解消を行うことができることから迅速に型締シリンダ17の昇圧を行うことができる。
【0138】
また、本実施形態では、型締装置3は、駆動ピストン71の移動に伴って運動する被制動部材85と、被制動部材85に当接して被制動部材85を制動可能な制動部材87とを含むブレーキ57を更に有している。
【0139】
従って、例えば、ステップS14及びS15の説明で言及したように、前側室27fの圧力(すなわち型締力)を保持するときにシリンダ用電動機47をトルクフリーの状態にして、消費電力及び発熱量を低減することができる。ブレーキ57は、主として、停止している駆動ピストン71の移動を規制することに利用されるものである。従って、ブレーキ57は、例えば、静止摩擦係数が駆動ピストン71の移動の規制に十分な大きさであればよい。換言すれば、ブレーキ57は、静止摩擦係数よりも小さい運動摩擦係数が大きくなるように構成される必要はない。その結果、ブレーキ57は、小型化可能である。
【0140】
型締完了後、シリンダ用電動機47をトルクフリーとしつつ、前側室27fの圧力(型締力)を保持することは、前側バルブ77だけでも理論上は可能である。ただし、ブレーキ57によって駆動ピストン71を停止させて前側接続室69fの圧力を維持しておけば、前側接続室69fの圧力が低下している場合に比較して、前側室27fから前側接続室69f側への液漏れを低減できる。また、例えば、前側室27fから後側室27rへの液漏れ等に対応して前側接続室69fから前側室27fへ作動液を補給する場合、ブレーキ57によって前側接続室69fの圧力が維持されていれば、再度、前側接続室69fの作動液の圧縮及び昇圧を行う必要性が減じられる。
【0141】
なお、以上の実施形態において、ダイカストマシン1は成形機の一例である。移動ダイプレート11は一方のダイプレートの一例である。固定ダイプレート9は他方のダイプレートの一例であり、また、一方の部材の一例である。型締ピストンは他方の部材の一例である。ハーフナット機構37は分割ナット機構の一例である。シリンダ用電動機47は電動機の一例である。ねじ軸65はピストンロッドの一例である。
【0142】
(変形例)
図10(a)〜
図10(c)は変形例に係る型締装置の構成の一部を示す模式的な断面図であり、
図2の上部に対応している。なお、以下の説明では、実施形態のタイバー13及び固定ダイプレート9のように成形サイクルに亘って連結されていることを、便宜上、固定されていると表現することがある。
【0143】
実施形態では、型締シリンダ17が移動ダイプレート11に設けられ、タイバー13は固定ダイプレート9に固定され、ハーフナット機構37は型締ピストン29に固定された。すなわち、移動ダイプレート11は一方のダイプレートの一例であり、固定ダイプレート9は他方のダイプレートの一例であり、また、一方の部材の一例であり、型締ピストン29は他方の部材の一例であった。
【0144】
これに対して、
図10(a)〜
図10(c)に示す変形例では、上記の対応関係が相違する。具体的には、以下のとおりである。なお、以下では、便宜上、実施形態の構成と形状等に相違がある構成であっても、実施形態の構成に付した符号と同様の符号を用いることがある。
【0145】
図10(a)の型締装置201では、タイバー13、型締シリンダ17及びハーフナット機構37の組み合わせと、固定ダイプレート9及び移動ダイプレート11の組み合わせとの位置関係が、実施形態とは逆になっている。
【0146】
すなわち、型締シリンダ17は固定ダイプレート9に設けられ、タイバー13は移動ダイプレート11に固定されている。なお、ハーフナット機構37が型締ピストン29に固定されている点は、実施形態と同様である。
【0147】
この変形例では、固定ダイプレート9は一方のダイプレートの一例であり、移動ダイプレート11は他方のダイプレートの一例であり、また、一方の部材の一例であり、型締ピストン29は他方の部材の一例である。
【0148】
なお、図示の例では、型締シリンダ部27は、ダイプレート(ここでは固定ダイプレート9)に内蔵されている。このように、型締シリンダ17の一部又は全部は、ダイプレートに内蔵されていてもよいし、実施形態のようにダイプレートの外部に位置していてもよい。このことは、実施形態及び他の変形例においても同様である。
【0149】
図10(b)の型締装置301では、タイバー13及びハーフナット機構37が固定される部材が実施形態及び
図10(a)の変形例と異なっている。具体的には、以下のとおりである。
【0150】
型締シリンダ17は、固定ダイプレート9に設けられている。また、タイバー13は、ダイプレートではなく、型締ピストン29に固定されている。ハーフナット機構37は、型締ピストン29ではなく、移動ダイプレート11に固定されている。
【0151】
この変形例では、固定ダイプレート9は一方のダイプレートの一例であり、移動ダイプレート11は他方のダイプレートの一例であり、また、他方の部材の一例であり、型締ピストン29は一方の部材の一例である。
【0152】
なお、図示の例では、タイバー13は、一定の断面積で型締シリンダ部27を貫通しており、型締ピストン29の受圧面積は前後で同じになっている。ただし、タイバー13は、ダイプレートの背後側(2つのダイプレートが向かい合う側とは反対側)に型締シリンダ部27を貫通していなくてもよいし、型締ピストン29の前後で断面積が異なっていてもよい。
図10(c)の変形例においても同様である。
【0153】
図10(c)の型締装置401では、タイバー13、型締シリンダ17及びハーフナット機構37の組み合わせと、固定ダイプレート9及び移動ダイプレート11の組み合わせとの位置関係が、
図10(b)の変形例とは逆になっている。
【0154】
すなわち、型締シリンダ17は移動ダイプレート11に設けられ、ハーフナット機構37は固定ダイプレート9に固定されている。なお、タイバー13が型締ピストン29に固定されている点は、
図10(b)の変形例と同様である。
【0155】
この変形例では、移動ダイプレート11は一方のダイプレートの一例であり、固定ダイプレート9は他方のダイプレートの一例であり、また、他方の部材の一例であり、型締ピストン29は一方の部材の一例である。
【0156】
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【0157】
成形機は、ダイカストマシンに限定されない。例えば、成形機は、他の金属成形機であってもよいし、射出成形機であってもよいし、木粉に熱可塑性樹脂等を混合させた材料を成形する成形機であってもよい。また、成形機は、横型締横射出に限定されず、例えば、縦型締縦射出、横型締縦射出、縦型締横射出であってもよい。
【0158】
型締装置の型開閉装置は、電動式のものではなく、型開閉用の液圧シリンダであってもよい。分割ナット機構は、ハーフナット機構に限定されず、適宜な分割数のナット機構であってよい。
【0159】
電動機は、回転式のものに限定されず、リニアモータであってもよい。電動機がリニアモータである場合において、ピストンロッドは、リニアモータの可動子に直接に固定されてもよいし、同心状にコイルが配置されることなどにより、リニアモータの可動子として構成されてもよい。また、駆動シリンダ部の外部にコイルを配置し、駆動ピストンに磁石を配置し、駆動ピストンをリニアモータの可動子として機能させてもよい。すなわち、リニアモータは、一部が駆動シリンダに兼用されていてもよい。別の観点では、電動機が液圧を介さずに駆動ピストンに駆動力を伝達する方法は、ピストンロッドを介する方法に限定されない。
【0160】
電動機が回転式である場合において、その回転を直線運動に変換する機構は、ねじ機構に限定されず、例えば、ラックピニオン機構又はリンク機構であってもよい。プーリベルト機構のような回転を伝達する機構は省略されてもよい。
【0161】
ブレーキは、電動機の回転を直線運動に変換する機構に設けられるものに限定されない。例えば、電動機のブレーキであってもよい。また、ブレーキは、被制動部材が回転するものに限定されず、例えば、ピストンロッドに固定されて直線運動する被制動部材と、当該被制動部材に当接する制動部材とを有するものであってもよい。