(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861067
(24)【登録日】2021年3月31日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】希薄混合気燃焼エンジンからの排出ガス浄化用吸蔵還元型触媒
(51)【国際特許分類】
B01J 27/232 20060101AFI20210412BHJP
B01J 37/02 20060101ALI20210412BHJP
B01D 53/86 20060101ALI20210412BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20210412BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20210412BHJP
F01N 3/10 20060101ALI20210412BHJP
F01N 3/28 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
B01J27/232 AZAB
B01J37/02 301D
B01D53/86 222
B01D53/94 222
F01N3/08 A
F01N3/10 A
F01N3/28 301P
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-63661(P2017-63661)
(22)【出願日】2017年3月28日
(65)【公開番号】特開2018-164897(P2018-164897A)
(43)【公開日】2018年10月25日
【審査請求日】2020年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220804
【氏名又は名称】東京濾器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】田原 祥平
(72)【発明者】
【氏名】重岡 功平
(72)【発明者】
【氏名】松岡 充弘
(72)【発明者】
【氏名】黒田 拓海
(72)【発明者】
【氏名】三木 和
(72)【発明者】
【氏名】川本 智彦
【審査官】
森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−223708(JP,A)
【文献】
特開平08−117600(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/111457(WO,A1)
【文献】
特開平10−174866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 − 38/74
B01D 53/86
B01D 53/94
F01N 3/00 − 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化マグネシウムを含有する基材に白金族金属を担持した構成と、
吸蔵材とを含む吸蔵還元型触媒であって、
さらに、前記吸蔵材を、特定の基材上に担持または固定することなく、前記基材粒子間に独立して配置する構成であることを特徴とする、吸蔵還元型触媒。
【請求項2】
吸蔵材が炭酸バリウムであることを特徴とする、請求項1記載の吸蔵還元型触媒。
【請求項3】
希薄混合気燃焼エンジン(リーンバーンエンジン)からの排出ガスにおける窒素酸化物の量を低減するための触媒であることを特徴とする、請求項1または2に記載の吸蔵還元型触媒。
【請求項4】
前記酸化マグネシウムを含有する基材に、前記白金族金属のパウダーと、前記吸蔵材と、水と、任意成分としての分散剤とを混ぜ合わせたスラリーを担体に塗布して製造することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸蔵還元型触媒の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として希薄混合気燃焼エンジン(リーンバーンエンジン)からの排出ガス浄化用触媒、具体的には、前記排出ガスにおける窒素酸化物の量を低減するための触媒に関する
【背景技術】
【0002】
エンジンの燃焼においては、空気/燃料混合物(混合気)の状態で燃料供給される。ここで、混合気中に含まれる空気と燃料との比率、いわゆる「空燃比」が重要な要素となりうる。
【0003】
重量比で、空気14.7に対して燃料1の割合が、「理論空燃比(ストイキオメトリー)」として知られている。これより燃料の割合が大きい状態での燃焼を、「濃厚混合気による燃焼(リッチバーン)」、逆に燃料の割合が少ない状態での燃焼を、「希薄混合気による燃焼(リーンバーン)」と呼ぶ。なお、本願において、適宜「ストイキ」「リーン」「リッチ」などの略語を用いる。
【0004】
燃料の割合が少ない状態の混合気は、燃料の完全な燃焼に必要とされるよりも高い濃度の酸素を含むことを意味する。そして、対応する排出ガスは、還元排出ガス成分(CO、H
2、およびHC(炭化水素))と比較して過剰の酸化成分(O
2、NO
x)を含む。
【0005】
このようなリーンバーンエンジンから排出される有害成分を浄化するための浄化装置として、特にリーン雰囲気下でNO
xを吸蔵し、ストイキ〜リッチ雰囲気下で吸蔵されたNO
xを放出し還元浄化できるNO
x吸蔵還元型浄化触媒(LNT触媒)が知られている(特許文献1参照)。すなわち、エンジンがリーン状態の燃焼時にNO
xを吸着し、一定量に達すれば、ストイキ〜リッチ状態に切り替えて窒素を排気システムに還元するものである。
【0006】
詳細には、上記窒素酸化物貯蔵触媒は、セラミックまたは金属ハニカムといったキャリア上に、一般にコーティングの形態で適用される触媒物質からなる。この触媒物質は、窒素酸化物貯蔵物質および触媒活性成分を含む。前記窒素酸化物貯蔵物質の成分としては、塩基性アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、酸化バリウム、またはこれらの炭酸塩および水酸化物が挙げられ、支持体物質に、高度に分散された形態で堆積される。これらは二酸化窒素と反応して、対応する硝酸塩を形成する。
【0007】
前記触媒活性成分としては、白金族の貴金属が用いられ、一般的に、貯蔵成分と一緒に支持物質上に配置される。支持物質としては、大きな表面積を有する酸化アルミニウム
(アルミナ)などが通常使用される。
【0008】
触媒活性成分は、燃料分率の低い排出ガス中の一酸化炭素および炭化水素を、二酸化炭素および水に転換する。さらにそれらは、排出ガスの一酸化窒素を二酸化窒素に酸化し、次いで、塩基性の貯蔵物質と反応して、硝酸塩を形成し得る(貯蔵期間)。
【0009】
貯蔵物質における窒素酸化物の組み込みの増加は、物質の貯蔵容量の減少を引き起こし、これは、一定時間ごとに、再生されるべきである。この目的のために、エンジンは、化学量論的または燃料分率が高い(リッチ)空気/燃料混合物で、短時間作動される(再生期間)。燃料分率が高い排出ガスの還元条件において、形成された硝酸塩は、窒素酸化物(NO
x)に分解し、そして、還元剤として一酸化炭素、水素および炭化水素を使用して、窒素に還元され、一方で、水および二酸化炭素が形成される。
【0010】
すなわち、エンジンがリーン状態の燃焼時にNO
xを吸着し、一定量に達すれば、ストイキ〜リッチ状態に切り替えて窒素を排気システムに還元するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−210988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1には、酸化マグネシウムおよび酸化アルミニウムの均一なMg/Al混合酸化物と組み合わせて少なくとも1つのNO
x貯蔵物質を含み、酸化マグネシウムはMg/Al混合酸化物の総重量に基づいて一定の範囲の濃度で存在すべき旨を規定した発明が記載されている。
【0013】
しかしながら、基材の耐熱劣化にともなうNO
x吸蔵材料の埋没や、シンタリングといった不具合があり、耐久後の吸蔵能力に問題があった。
【0014】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、特に燃費向上のためにエンジンのリーン制御時間を長くした場合や排ガス温度が低温時にもNO
x成分を吐き出すことなく吸蔵し、ストイキ〜リッチスパイクにより効率良くNO
x成分を浄化することができる触媒を提供することを目的とする。
【0015】
本発明者は、前述の目的を達成するため、鋭意検討の結果、吸蔵材のバリウム化合物を、特定の基材上に固定することなく、前記基材粒子間に独立して配置する構成を有する吸蔵還元型触媒にかかる発明を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0016】
すなわち本発明は、基材に白金族金属を担持した構成と、
吸蔵材とを含む吸蔵還元型触媒であって、
さらに、前記吸蔵材を、特定の基材上に担持または固定することなく、前記基材粒子間に独立して配置する構成であることを特徴とする、吸蔵還元型触媒に関する。なお、ここで、「基材」とは、金属を担持した材料を指す。
【0017】
また、前記吸蔵材は、炭酸バリウムであることが好ましい。
【0018】
また、本発明は、上述した通り、希薄混合気燃焼エンジン(リーンバーンエンジン)からの排出ガスにおける窒素酸化物の量を低減するための触媒に好ましく用いられる。
【0019】
さらに、本発明は、前記基材に、前記白金族金属のパウダーと、前記吸蔵材と、水と、任意成分としての分散剤とを混ぜ合わせたスラリーを担体に塗布して製造することを特徴とする、上記吸蔵還元型触媒の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、特に希薄混合気燃焼エンジン(リーンバーンエンジン)からの排出ガスにおいて、後述するように、従来技術よりも効率良くNO
x成分を浄化することができる触媒を提供することに成功した。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の触媒を用いた、従来技術より高いNO
x浄化率を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の形態について説明するが、本発明の範囲は、実施例を含めた当該記載に限定されるものではない。
【0023】
(基材)
基材は、吸着や触媒活性を示し、他の物質を固定する土台となるものである。本願発明にかかる触媒における基材としては、アルミナ(Al
2O
3)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ランタン(La
2O
3)、酸化セリウム(CeO
2)、酸化ジルコニウム(ジルコニア、ZrO
2)、酸化ネオジム(Nd
2O
3)、酸化イットリウム(Y
2O
3)などが挙げられ、特に、大きな表面積を有するアルミナ(Al
2O
3)が、また、後述の理由により、酸化マグネシウム(MgO)、および酸化セリウム(CeO
2)が好ましく用いられる。
【0024】
(基材に担持される金属)
本願発明にかかる触媒における金属としては、白金(プラチナ)、パラジウム、ロジウムなどの白金族金属が、室温においても酸素などを解離吸着できることから、好ましく用いられる。
【0025】
ここで、塩基性の高い酸化セリウムおよび酸化マグネシウムを含むアルミナ化合物に白金族金属を少なくとも一種類以上固定することが、NO
x吸着性に優れNO
x吸蔵に必要となるNO
2転化反応やリッチスパイクによるNO
x還元浄化反応をより効率良く行うことができる点で好ましい。
【0026】
(吸蔵材)
吸蔵材は、NO
xを貯蔵するために用いられる。具体的には、背景技術の項で申し述べた公知の吸蔵材を使用することが可能であるが、好ましくはバリウムやストロンチウムの酸化物、炭酸塩、あるいは水酸化物が挙げられる。
【0027】
ここで、本願発明においては、前記吸蔵材は、前記基材上に担持せず独立して配置されていることが好ましい。言いかえると、そのような状態は、吸蔵材のみが基材粒子間に点在している状態であるから、吸蔵材分子が寄りにくく、シンタリングが起きにくい点で好ましい。また、基材の耐熱劣化に伴うNO
x吸蔵材料の埋没を抑制でき、さらに吸蔵材料と基材との固溶も抑制できることから、耐久後でも高いNO
x吸蔵能力を有することができる。なお、本願発明において、「基材」とは、金属を担持した材料を指す。
【0028】
前記担体に前記金属を担持させる方法としては、共沈法、含浸法、吸着法、ゾルゲル法などの公知の方法が用いられる。
【0029】
吸蔵材を粉砕し、吸蔵材懸濁液を用意する。次に前記基材上に担持せず独立して配置させる方法として、前記白金族金属のパウダーと、前記吸蔵材懸濁液と、水と、任意成分としての分散剤とを混ぜ合わせたスラリーを、前記担体に塗布する方法などが挙げられる。
【0030】
(層構成について)
本願発明の触媒においては、複数の触媒層を有するものであっても良い。
【0031】
(希薄混合気燃焼(リーンバーン)について)
背景技術の項でも述べた通り、重量比で、空気14.7に対して燃料1の割合を、「理論空燃比(ストイキオメトリー)」と称し、これに対する燃料の割合の大小により、「濃厚混合気による燃焼(リッチバーン)」、「希薄混合気による燃焼(リーンバーン)」とそれぞれ称する。
【0032】
ここで、背景技術の項でも述べた通り、ディーゼルエンジンなどにおいては、酸素過剰の条件下で燃焼させているものの、短期間の間、燃料分率が高い混合気を用いても作用され得るものが存在する。本願発明においては、そのような、常時は酸素過剰の条件下で燃焼させているが、間欠的にストイキ〜リッチ条件下でも燃焼させることができるエンジンのことも、希薄混合気燃焼エンジン(リーンバーンエンジン)と称する。
【実施例】
【0033】
次に、実施例により本願発明を説明するが、本願発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0034】
<実施例1>
(吸蔵材の調整)
(1)吸蔵材である炭酸バリウム濃度が35wt%になるよう、水とポリカルボン酸系分散剤とを加え、調整した。
(2)次に、これをボールミルにて、D50が250nm以下になるよう湿式粉砕し、35.92gの炭酸バリウムを得た。なお、wt%:重量%、D50:積算値が50%である粒度の粒径を表す(以下同じ)。
【0035】
(貴金属担持パウダーの調整)
・Pt(1)パウダー
Al
2O
3/MgO=80/20 粉末158.28gにジニトロジアミンPt硝酸溶 液(Pt分1.72g)を噴霧した。
・Pt(2)パウダー
CeO
2粉末79.56gにジニトロジアミンPt硝酸溶液(Pt分0.44g)を噴 霧した。
前記Pt(1)パウダーとPt(2)パウダーとを、混練した。
・Pdパウダー
Al
2O
3/La
2O
3=96/4 粉末49.76gに硝酸Pd溶液(Pd分0.24g)を噴霧し、混練した。
・Rhパウダー
CeO
2/ZrO
2/La
2O
3/Nd
2O
3/Y
2O
3=35/50/5/2/8 粉末29.88gに硝酸Rh溶液(Rh分0.12g)を噴霧し、混練した。
上記のように試作した各パウダーを、450℃、1.5時間大気雰囲気で焼成した。
【0036】
(スラリーの調整)
上記のように作成した各貴金属担持パウダーと、水と、前記炭酸バリウムスラリーと、ポリカルボン酸系分散剤とを混合し、46%濃度でスラリー化した。スラリー化後、ボールミルにてD50が5μm以下になるよう粉砕した。このようにすることにより、吸蔵材である炭酸バリウムが、前記基材上に担持も固定もせず独立して配置されている状態となる。
【0037】
(コーティング)
(1)調整したスラリーをハニカム(日本ガイシ社製)にコーティングした。
(2)130℃で乾燥後、450℃、1.5h大気雰囲気下で焼成することにより、吸蔵還元型触媒を作製した。
【0038】
<実施例2>
(吸蔵材の調整)
実施例1と同様にして調整した。
【0039】
(貴金属担持パウダーの調整)
・Ptパウダー
Al
2O
3/MgO/CeO
2=64/16/20(重量比、以下同じ)粉末237.84gにジニトロジアミンPt硝酸溶液(Pt分2.16g)を噴霧し、混練した。
・Pdパウダー
Al
2O
3/MgO/CeO
2=64/16/20(重量比、以下同じ)粉末49.76gに硝酸Pd溶液(Pd分0.24g)を噴霧し、混練した。
・Rhパウダー
ZrO
2/La
2O
3/Nd
2O
3/Y
2O
3=73/2/5/20 粉末29.88gに硝酸Rh溶液(Rh分0.12g)を噴霧し、混練した。
上記のように試作した各パウダーを、450℃、1.5時間大気雰囲気で焼成した。
【0040】
(スラリーの調整)
実施例1と同様にして調整した。
【0041】
(コーティング)
実施例1と同様にしてコーティングした。
【0042】
<比較例1>
(貴金属担持パウダーの調整)
実施例1と同様にして調整した。
【0043】
(スラリーの調整)
上記のように作成した各貴金属担持パウダーと、水とを混合し、44%濃度でスラリー化した。なお、スラリーのpH=4.0〜4.5になるよう、硝酸を加えて調整した。スラリー化後、ボールミルにてD50が5μm以下になるよう粉砕した。
【0044】
(コーティング)
実施例1と同様にしてコーティングした。
【0045】
(吸蔵材の調整)
(1)吸蔵材である酢酸バリウム25.00g(金属分)を、440gの水に溶解して含浸溶液を調整した。
(2)コーティング後の触媒に、含浸溶液し、450℃、1.5時間待機雰囲気で焼成した。
【0046】
<比較例2>
(貴金属担持パウダーの調整)
・Pt(1)パウダー
Al
2O
3/MgO=80/20 粉末158.28gにジニトロジアミンPt硝酸溶液(Pt分1.72g)を噴霧し、混練した。
・Pt(2)パウダー
純セリア(CeO
2)材料に酢酸バリウム純水希釈溶液を、CeO
2/酢酸バリウム=69/31 の割合で噴霧し、ダマがなくなるまで混練し、100℃の乾燥機で乾燥させた。上記で試作したパウダー115.48gにジニトロジアミンPt硝酸溶液(Pt分0.44g)を噴霧し、混練した。
・Pdパウダー
Al
2O
3/La
2O
3=96/4 粉末49.76gに硝酸Pd溶液(Pd分0.24g)を噴霧し、混練した。
・Rhパウダー
CeO
2/ZrO
2/La
2O
3/Nd
2O
3/Y
2O
3=35/50/5/2/8 粉末29.88gに硝酸Rh溶液(Rh分0.12g)を噴霧し、混練した。
上記のように試作した各パウダーを、450℃、1.5時間大気雰囲気で焼成した。
【0047】
(スラリーの調整)
比較例1と同様にして調整した。
【0048】
(コーティング)
実施例1と同様にしてコーティングした。
【0049】
以上の構成をまとめたものを、表1にて示す。ここで、たとえば「Pt/CeO
2・MgO・Al
2O
3」とは、上述した通り、「Ptが担持されたCeO
2・MgO・Al
2O
3複合化合物」を意味する。
【0050】
【表1】
【0051】
<評価方法>
得られた触媒を、700℃で100時間の耐久試験をした後、各温度(320℃および410℃)にて、リッチリーンサイクル試験後のNO
x浄化量を下記の計算式にしたがって評価した。なお、「*」は、乗算を表す。
【0052】
(NO
x浄化率)
{1−(トータルのNO
x排出量)/(トータルのNO
x投入量)}*100 (%)
【0053】
上記結果の数値を表2、および前記表2の数値をグラフ化したものを
図1に示す。
【0054】
【表2】
【0055】
これらの結果より、吸蔵材である炭酸バリウムが、前記基材上に担持せず独立して配置されている状態である実施例1および2にかかる吸蔵還元型触媒は、320℃、410℃ともに、少なくとも90%近辺を超える高いNO
x浄化率を発揮した。
【0056】
これに対して、吸蔵材である酢酸バリウムを基材上に含浸担持している比較例1、およに基材上に固定している比較例2にかかる吸蔵還元型触媒は、実施例にかかる触媒よりNO
x浄化率に明らかに劣るものである。