(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のような前輪及び後輪、作業装置を備えた水田作業機において、機体の向きを変更する為に、例えば前輪を右に操向操作すると、機体の前部が右に移動して、これに機体の後部が追従するというような状態となる。
【0006】
これにより、前輪の操向操作に伴って機体の前部が右又は左に移動すると、機体の前部と一緒に測位部も右又は左に移動するのであり、前輪の操向操作の度に、測位部が機体の前部と一緒に右又は左に移動する状態となる。このような状態であると、測位部による機体の位置の検出精度という面で不利な状態となるので、改善の余地がある。
本発明は、水田作業機において、機体の位置を検出する測位部を備える場合、測位部による機体の位置の検出精度を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の水田作業機は、
機体の前部に操向操作自在な右及び左の前輪が支持され、前記機体の後部に右及び左の後輪が支持され、
前記機体の後部から後側に延出されたリンク機構に作業装置が支持されて、
前記機体の後部の右部に上下方向に沿う姿勢で支持された右のフレームと、前記機体の後部の左部に上下方向に沿う姿勢で支持された左のフレームと、前記右のフレームと前記左のフレームとに亘って連結された支持フレームとが備えられ、
前
記支持フレームに、前記機体の位置を検出する測位部が支持され、
側面視で、前記後輪の前部から鉛直方向の上側に延出された前仮想線と、前記後輪の後部から鉛直方向の上側に延出された後仮想線との間に、前記測位部が位置し、
平面視で、右及び左の前記後輪の間に、前記測位部が位置している。
【0008】
機体の前部の右及び左の前輪、機体の後部の右及び左の後輪、機体の後部から後側に延出されたリンク機構に支持された作業装置を備えた水田作業機において、機体の前端部から作業装置の後端部までが水田作業機の全体となる。
【0009】
本発明によると、側面視で、後輪の前部から鉛直方向の上側に延出された前仮想線と、後輪の後部から鉛直方向の上側に延出された後仮想線との間に、測位部が配置されているので、測位部が水田作業機の全体の前後中央付近に位置することになる。
これにより、前輪の操向操作の際に、測位部が機体の前部と一緒に右又は左に移動する状態が生じることはなく、前輪の操向操作が行われる際の測位部の挙動(移動)が、穏やかなものとなる。
【0010】
本発明によると、平面視で、右及び左の後輪の間に測位部が配置されているので、前述のように、測位部が水田作業機の全体の前後中央付近に位置することに加えて、測位部が水田作業機の全体の左右中央側に位置することになる。これにより、水田作業機の全体の中心付近に、測位部が位置することになる。
【0011】
以上のように、本発明によると、前輪の操向操作が行われる際の測位部の挙動(移動)が穏やかなものになる点、及び、水田作業機の全体の中心付近に測位部が位置する点により、測位部による機体の位置の検出精度を向上させることができる。
【0012】
本発明において、
右及び左の前記後輪を支持する後車軸ケースが、前記機体の後部に備えられて、
側面視で、前記後車軸ケースから鉛直方向の上側に延出された仮想線に、前記測位部が位置していると好適である。
【0013】
水田作業機では、機体の後部に後車軸ケースが支持され、右及び左の後輪が後車軸ケースに支持されるように構成されたものが多くある。
本発明によると、後輪の回転中心に近い位置の上側の位置に測位部が配置されるのであり、水田作業機の全体の中心にさらに近い位置に、測位部が位置することになって、測位部による機体の位置の検出精度を向上させることができる。
【0014】
本発明において、
前記機体の慣性情報を計測する慣性計測装置が、平面視で前記測位部と重複するように、前記測位部の下方に備えられていると好適である。
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
本発明において、
右及び左の前記後輪を支持する後車軸ケースが、前記機体の後部に備えられて、
前記慣性計測装置が、前記後車軸ケースに取り付けられていると好適である。
【0019】
【0020】
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態において、水田で作業を行う水田作業車の一例である乗用型田植機が示されている。
本発明の実施形態における前後方向及び左右方向は、特段の説明がない限り、以下のように記載している。機体30の走行時における前進側の進行方向が「前」であり、後進側の進行方向が「後」である。前後方向での前向き姿勢を基準として右側に相当する方向が「右」であり、左側に相当する方向が「左」である。
【0023】
(乗用型田植機の全体構成)
図1及び
図2に示すように、乗用型田植機は、右及び左の前輪1と右及び左の後輪2とを備えた機体30、機体30の後部から後側に延出されたリンク機構3及びリンク機構3を昇降駆動する油圧シリンダ4、リンク機構3の後部に支持された8条型式の苗植付装置5(作業装置に相当)、機体30の後部に支持された施肥装置12等を備えている。
【0024】
図1及び
図2に示すように、機体30の後部に運転座席18が備えられて、前輪1を操向操作する操縦ハンドル19が、機体30の前部に備えられている。
運転座席18の右側に上下向きの支柱20が備えられて、支柱20の上部にアームレスト21が支持されている。アームレスト21は、
図1及び
図2に示すように前側に延出された使用姿勢、及び運転座席18の背もたれ部に沿った上下向きの格納姿勢に、変更自在である。
【0025】
(苗植付装置)
図1及び
図2に示すように、苗植付装置5は、左右方向に所定間隔を置いて配置された植付伝動ケース6、植付伝動ケース6の後部の右部及び左部に回転自在に支持された回転ケース7、回転ケース7の両端に備えられた一対の植付アーム8、フロート9、苗のせ台10、苗のせ台10に設けられた縦送り機構11等を備えている。
【0026】
図1及び
図2に示すように、苗のせ台10が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、回転ケース7が回転駆動され、苗のせ台10の下部から植付アーム8が交互に苗を取り出して田面に植え付ける。苗のせ台10が往復横送り駆動の右端部又は左端部に達すると、縦送り機構11により苗のせ台10の苗が下側に送られる。
【0027】
(施肥装置)
図1及び
図2に示すように、機体30において運転座席18の後側に、肥料を貯留するホッパー13、及び、2つの植付条に対応した4個の繰り出し部14が備えられており、運転座席18の下側にブロア15が備えられている。フロート9に作溝器16が連結されて、8個の作溝器16が備えられており、繰り出し部14と作溝器16とに亘って8本のホース17が接続されている。
【0028】
図1及び
図2に示すように、ホッパー13から肥料が所定量ずつ繰り出し部14により繰り出され、ブロア15の送風により肥料がホース17を通って作溝器16に供給され、作溝器16を介して肥料が田面に供給される。
【0029】
(機体における運転座席の付近の構造)
図1及び
図3に示すように、機体30において、前後方向に2本の機体フレーム22が備えられ、機体フレーム22の後部に壁状の支持フレーム23が連結されており、支持フレーム23の後部にリンク機構3が上下揺動自在に支持されている。
【0030】
図1及び
図3に示すように、機体フレーム22の後部に、左右方向に向く支持フレーム24が連結され、支持フレーム23の上部に、左右方向に向く支持フレーム25が連結されている。運転座席18に着座する作業者の足元に位置するフロア26が、機体フレーム22及び支持フレーム24等に支持されている。
【0031】
図1,2,3に示すように、フロア26の後部が後側の上側に延出されて、後部フロア27が形成されており、後部フロア27が支持フレーム25に支持されている。施肥装置12のホッパー13及び繰り出し部14が、運転座席18の後側で後部フロア27の上側に支持されている。
【0032】
(機体の後部の予備苗のせ台)
図1及び
図3に示すように、第1横フレーム28が備えられて、第1横フレーム28の下部28aが支持フレーム24の右及び左の横外側部に連結されており、第1横フレーム28が後部フロア27の右及び左の横外側を通って上側に延出されている。第1横フレーム28が折り曲げられて、側面視で後側に向く凹部28b及び前側に出る凸部28cが、第1横フレーム28に備えられている。
【0033】
図1及び
図3に示すように、第1横フレーム28の後側に第2横フレーム29が備えられて、第2横フレーム29の下部29aが支持フレーム23に連結されている。第2横フレーム29の中間部29bが、支持フレーム25に沿うように配置されて支持フレーム25に連結されており、第2横フレーム29が後部フロア27の右及び左の横外側を通って上側に延出されている。
【0034】
図1及び
図3に示すように、第1横フレーム28の上部28dと第2横フレーム29の上部29cとに亘って、フレーム31が連結されている。
図1,2,3に示すように、右及び左の第2横フレーム29に亘って、後フレーム32が連結されており、後フレーム32がホッパー13の後側を左右方向に沿って配置されている。
【0035】
図1,2,3に示すように、右及び左の予備苗のせ台フレーム33が備えられており、予備苗のせ台フレーム33は、上下向きの前及び後の縦部33aと、前及び後の縦部33aの上部に亘って接続される横部33bとを備えている。
【0036】
図1及び
図3に示すように、予備苗のせ台フレーム33の縦部33aの下部が、第1横フレーム28の上部28d、及び第2横フレーム29の上部29cに挿入されて連結されている。
図1,2,3に示すように、右及び左の予備苗のせ台フレーム33の上部の後部に亘って、支持フレーム35が連結されている。
【0037】
図1,2,3に示すように、予備苗のせ台フレーム33の縦部33aに、複数の予備苗のせ台34が上下方向に沿って所定間隔を置いて支持されており、予備苗のせ台34が予備苗のせ台フレーム33の縦部33aから外向きに延出されている。
予備苗のせ台34は、
図1,2,3に示すように、外向きに延出された使用姿勢と、予備苗のせ台フレーム33の縦部33aに沿った上向きの格納姿勢に操作自在であり、使用姿勢において予備苗のせ台34に苗を載置する。
【0038】
(機体の前部の予備苗支持機構)
図1及び
図2に示すように、機体30の前部の右部及び左部に、予備苗支持機構36が備えられている。
【0039】
図1及び
図2に示すように、機体30の前部に支持フレーム37が連結され、支持フレーム37が、フロア26の下側を横外側に延出され、フロア26の右及び左の横外側を上側に延出されている。支持フレーム37の上部に予備苗のせ台38が連結されており、予備苗のせ台38の前部の横軸芯P1周りに、予備苗のせ台39が上下に揺動自在に接続され、予備苗のせ台38の後部の横軸芯P2周りに、予備苗のせ台40が上下に揺動自在に接続されている。
【0040】
図1及び
図2に示す状態は、予備苗支持機構36において、予備苗のせ台38,39,40が前後方向に沿って一列状に並ぶ展開状態に設定した状態である。この展開状態において予備苗のせ台38,39,40に苗を載置する。
【0041】
図1及び
図2に示すように、予備苗のせ台39の前部に、予備苗のせ台39の長手方向(前後方向)にスライド自在な支持部39aが備えられている。
図1に示す状態は、予備苗のせ台39の支持部39aを前側に引き出した状態であり、予備苗のせ台39において苗の載置領域を長くすることができる。予備苗のせ台39の支持部39aを使用しない場合、
図2に示すように、予備苗のせ台39の支持部39aを予備苗のせ台39の内部に入れておく。
【0042】
図1及び
図2に示すように、予備苗のせ台40の後部に、予備苗のせ台40の長手方向(前後方向)にスライド自在な支持部40aが備えられている。
図1に示す状態は、予備苗のせ台40の支持部40aを後側に引き出した状態であり、予備苗のせ台40において苗の載置領域を長くすることができる。
【0043】
この場合、
図1に示すように、予備苗のせ台40の支持部40aが、第1横フレーム28の凹部28b(
図3参照)に入る状態となるのであり、第1横フレーム28と干渉することなく、予備苗のせ台40の支持部40aを後側に引き出すことができる。予備苗のせ台40の支持部40aを使用しない場合、
図2に示すように、予備苗のせ台40の支持部40aを予備苗のせ台40の内部に入れておく。
【0044】
予備苗支持機構36に苗を載置しない場合、予備苗のせ台39,40の支持部39a,40aを予備苗のせ台39,40の内部に入れて、予備苗のせ台39,40を横軸芯P1,P2周りに後側及び前側に揺動操作し、予備苗のせ台38,39,40が積み重ねられるように折り畳まれる格納状態に切り換える。
【0045】
前述のように、予備苗支持機構36を格納状態に切り換えると、運転座席18の横外側が開放されるので、作業者は運転座席18の横外側から機体30に乗降する。この場合、第1横フレーム28の凸部28c(
図3参照)を、乗降の際の手摺りとして持つことができる。
図1及び
図2に示すように、予備苗支持機構36の展開状態及び格納状態において、予備苗支持機構36が側面視で操縦ハンドル19よりも低い位置に備えられている。
【0046】
(機体の位置及び機体の方位の検出の構成)
図1,2,3に示すように、支持フレーム35において、平面視で機体30の左右中央CLに位置する部分に、支持板35aが連結されて、支持板35aに計測装置41(測位部に相当)が取り付けられている。計測装置41には、衛星測位システムにより位置情報を取得する受信装置(図示せず)、機体30の傾き(ピッチ角、ロール角)を検出する慣性計測装置(図示せず)が備えられており、計測装置41は機体30の位置を示す測位データを出力する。
【0047】
図1,4,5に示すように、機体フレーム22の後部の下部に、後車軸ケース43が支持されている。後車軸ケース43は左右方向に沿って配置され、後車軸ケース43の右端部及び左端部に、ギヤケース43aが連結されて後側の斜め下向きに延出されており、ギヤケース43aに後輪2が支持されている。
【0048】
図1に示すように、支持フレーム35は、後車軸ケース43の略真上に位置している。
これにより
図4に示すように、側面視で、後輪2の前部から鉛直方向の上側に延出された前仮想線L1と、後輪2の後部から鉛直方向の上側に延出された後仮想線L2とを設定した場合、側面視で前仮想線L1と後仮想線L2との間に、計測装置41が位置している。
さらに側面視で、後車軸ケース43から鉛直方向の上側に延出された仮想線L3に、計測装置41が位置している。
図5に示すように平面視で、右及び左の後輪2の間に、計測装置41が位置しており、平面視で、機体30の左右中央CLに、計測装置41が位置している。
【0049】
図4及び
図5に示すように、後車軸ケース43において、平面視で機体30の左右中央CLに位置する部分に、慣性情報を計測する慣性計測装置42が取り付けられており、平面視で、計測装置41と慣性計測装置42とが重複するように配置されている。慣性計測装置42及び計測装置41の慣性計測は、IMU(Inertial Measurement Unit)により構成されている。
【0050】
衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Sate
llite System)には、代表的なものとしてGPS(Global Positioning System)が挙げられる。GPSは、地球の上空を周回する複数のGPS衛星や、GPS衛星の追跡と管制を行う管制局や、測位を行う対象(機体30)が備える受信装置を使用して、計測装置41の受信装置の位置を計測するものである。
【0051】
慣性計測装置42は、機体30のヨー角度(機体30の旋回角度)の角速度を検出可能なジャイロセンサー(図示せず)、及び、互いに直交する3軸方向の加速度を検出する加速度センサー(図示せず)を備えている。慣性計測装置42により計測される慣性情報には、ジャイロセンサーにより検出される方位変化情報と、加速度センサーにより検出される位置変化情報とが含まれている。
これにより、計測装置41及び慣性計測装置42によって、機体30の位置及び機体30の方位が検出される。
【0052】
(作業走行ライン及び旋回ラインの設定)
機体30に備えられた制御装置(図示せず)において、以下に記載のように、作業走行ラインL01〜L07及び旋回ラインLL1〜LL6の設定が行われる。
又は、外部の制御装置(図示せず)において、以下に記載のように、作業走行ラインL01〜L07及び旋回ラインLL1〜LL6の設定が行われ、設定された作業走行ラインL01〜L07及び旋回ラインLL1〜LL6を、機体30に備えられた制御装置が取得する。
【0053】
図6に示すように、例えば畦B1,B2,B3,B4を備えた水田において、畦B1〜B4の畦際ラインB11,B21,B31,B41の位置データに基づいて、畦際ラインB11,B21から機体30(苗植付装置5)の横幅だけ水田の中央側の位置に、畦際ラインB11,B21に沿って枕地ラインLA1,LA2が設定される。畦際ラインB31,B41から機体30(苗植付装置5)の横幅だけ水田の中央側の位置に、畦際ラインB31,B41に沿って枕地ラインLB1,LB2が設定される。
【0054】
図6に示すように、作業走行ラインL01,L02,L03,L04,L05,L06,L07が、枕地ラインLB1,LB2と平行で、且つ、所定間隔W1(機体30(苗植付装置5)の横幅)を置いて互いに平行となるように、枕地ラインLA1,LA2に亘って設定され、作業走行ラインL01〜L07の向き(
図6に示す作業走行ラインL01〜L07の矢印参照)が設定される。
【0055】
図6に示すように、作業走行ラインL01〜L07の始端部(一方の端部)が、作業開始位置C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7となる。作業走行ラインL01〜L07の終端部(他方の端部)が、作業終了位置D1,D2,D3,D4,D5,D6,D7となる。
【0056】
図6に示すように、作業終了位置D1と作業開始位置C2とを接続するように、平面視で円状の旋回ラインLL1が水田に設定される。同様に、作業終了位置D2と作業開始位置C3、作業終了位置D3と作業開始位置C4、作業終了位置D4と作業開始位置C5、作業終了位置D5と作業開始位置C6、作業終了位置D6と作業開始位置C7とを接続するように、平面視で円状の旋回ラインLL2,LL3,LL4,LL5,LL6が設定される。
【0057】
(機体の自動走行)
前述の(作業走行ライン及び旋回ラインの設定)に記載のように、作業走行ラインL01〜L07、及び旋回ラインLL1〜LL6が設定された状態において、
図6に示すように、機体30をスタート位置K1に位置させた状態で、作業走行を開始する。
【0058】
図6に示すように、作業開始位置C1〜C7において、苗植付装置5が田面に下降操作され、苗植付装置5及び施肥装置12が作動状態に操作される。これと同時に、計測装置41及び慣性計測装置42の検出に基づいて、前輪1の自動的な操向操作が行われて、機体30は作業走行ラインL01〜L07に沿って自動的に走行するのであり、苗植付装置5による苗の植え付け及び施肥装置12による肥料の供給が行われる。
【0059】
図6に示すように、機体30が作業終了位置D1〜D7に達すると、苗植付装置5及び施肥装置12が停止状態に操作され、苗植付装置5が田面から上昇操作される。これと同時に、計測装置41及び慣性計測装置42の検出に基づいて、前輪1の自動的な操向操作が行われて、機体30は旋回ラインLL1〜LL6に沿って自動的に走行する。
【0060】
図6に示すように、機体30が作業開始位置C1〜C7に達すると、苗植付装置5が田面に下降操作されて、苗植付装置5及び施肥装置12が作動状態に操作される。前述と同様に、計測装置41及び慣性計測装置42の検出に基づいて、前輪1の自動的な操向操作が行われて、機体30は作業走行ラインL01〜L07に沿って自動的に走行するのであり、苗植付装置5による苗の植え付け及び施肥装置12による肥料の供給が行われる。
【0061】
(前輪の自動的な操向操作に関する構造)
前項(機体の自動走行)に記載の前輪1の自動的な操向操作に関して、前輪1の自動的な操向操作の構造について、以下に説明する。
【0062】
図7及び
図8に示すように、操縦ハンドル19を支持するハンドルポスト44の下部にパワーステアリング装置45が備えられており、ハンドルポスト44とパワーステアリング装置45との間に、ギヤケース46が備えられている。ギヤケース46の内部にギヤ機構64が備えられ、ギヤ機構64を駆動する電動モータ49がギヤケース46に備えられている。電動モータ49によりギヤ機構64が駆動され、操縦ハンドル19及びパワーステアリング装置45が操作されて、前輪1の自動的な操向操作が行われる。
【0063】
図7,8,9に示すように、ギヤケース46は、本体部47、蓋部48及び電動モータ49を備えている。本体部47の内部にギヤ機構64を組み込んだ状態、及び、本体部47及び蓋部48の連結面にボンド等が塗布された状態で、本体部47と蓋部48とが連結される。蓋部48の下部から出力軸50が出ている。出力軸50を囲むように、リング状の連結部51が蓋部48の下部に備えられており、半径方向に向く連結孔51aが連結部51に備えられている。
【0064】
図7,8,9に示すように、電動モータ49において、本体部47及び電動モータ49の連結面にボンド等が塗布された状態で、本体部47と電動モータ49とが連結される。
ギヤケース46をハンドルポスト44とパワーステアリング装置45との間に連結する前に、前述のようにギヤケース46を事前に組み立てておく。
【0065】
図7及び
図9に示すように、リング状の連結部材52が備えられている。連結部材52には、中央の上下向きの開口部52a、開口部52aの外側に位置する上下向きの連結孔52b、外周部に半径方向に向けて開口されたネジ孔52cが備えられている。
【0066】
以上の構造により、
図7に示すように、パワーステアリング装置45の上面部に連結部材52を当て、ボルト53を連結部材52の連結孔52bに入れて、連結部材52をパワーステアリング装置45の上面部に連結する。
図7に示すように、操縦ハンドル19のハンドル軸65をギヤ機構64に接続し、ハンドルポスト44に沿った方向(上下方向)においてボルト54により、ハンドルポスト44を、ギヤケース46(本体部47)の上面部に連結する。
【0067】
次に
図7,8,9に示すように、ギヤケース46の出力軸50を、連結部材52の開口部52aに挿入してパワーステアリング装置45に接続し、これと同時にギヤケース46の連結部51を連結部材52の外側に被せる。
半径方向からボルト55を、連結部51の連結孔51aから連結部材52のネジ孔52cに挿入し締め付けて、ギヤケース46(連結部51)をパワーステアリング装置45(連結部材52)に連結する。
【0068】
この場合、先にギヤケース46(連結部51)をパワーステアリング装置45(連結部材52)に連結し、この後に、ハンドルポスト44をギヤケース46(本体部47)の上面部に連結してもよい。
【0069】
(発明の実施の第1別形態)
前述の(発明を実施するための形態)において、
図4に示すように、計測装置41を、側面視で前仮想線L1と仮想線L3との間、又は、後仮想線L2と仮想線L3との間に配置してもよい。
図5に示すように、計測装置41を、平面視で右の後輪2と機体30の左右中央CLとの間、又は、左の後輪2と機体30の左右中央CLとの間に配置してもよい。
前述のように計測装置41の位置を変更した場合、慣性計測装置42も同様に、平面視で計測装置41と慣性計測装置42とが重複するように位置を変更してもよい。
【0070】
(発明の実施の第2別形態)
前述の(発明を実施するための形態)(発明の実施の第1別形態)に対して、計測装置41を、機体30の後部ではなく機体30の前部に備える場合、
図10に示すように、計測装置41を配置すればよい。
【0071】
図10に示すように、操縦ハンドル19の横側にロプスフレーム56が備えられている。ロプスフレーム56は、機体30の前部に連結されて操縦ハンドル19の右及び左の横外側の近傍を上側に延出される縦部56aと、右及び左の縦部56aの上部に亘って接続される横部56bとを備えている。
【0072】
図10に示すように、ロプスフレーム56の横部56bの上部に、計測装置41が取り付けられており、計測装置41の後面にバックミラー57が取り付けられている。ロプスフレーム56の横部56bの下部に、警報部58が取り付けられている。警報部58は、作業者に各種の警告を行うものであり、警報ランプ58a及び警報ブザー(図示せず)が備えられている。
この場合、右及び左の予備苗のせ台フレーム33(予備苗のせ台34)を、機体30の後部ではなく、予備苗支持機構36の上部に連結してもよい。
【0073】
(発明の実施の第3別形態)
前述の(発明を実施するための形態)(発明の実施の第1別形態)に対して、計測装置41を、機体30の後部ではなく機体30の前部に備える場合、
図11に示すように、計測装置41を配置すればよい。
【0074】
図11に示すように、右及び左の支持フレーム59が、機体30の前部に連結されて、操縦ハンドル19の右及び左の横外側の近傍を上側に延出されており、右及び左の支持フレーム59の上部に亘って、横フレーム60が連結されている。日除け61が、支持フレーム59に連結されて、後側に延出されている。
【0075】
図11に示すように、横フレーム60の上部に、計測装置41が取り付けられている。
横フレーム60の下部に、日除け(フード)付きの支持枠62が連結されており、防水機能を備えたタブレット63(携帯端末)が、支持枠62に取り付け及び取り外し自在となっている。タブレット63を支持枠62に取り付けた状態で、タブレット63が日除け61の下側に位置するので、タブレット63が目視し易いものとなる。
この場合、右及び左の予備苗のせ台フレーム33(予備苗のせ台34)を、機体30の後部ではなく、予備苗支持機構36の上部に連結してもよい。